2007/06/30

あいのこ

ロイターなんかで配信されているニュースなんだけど、ドイツでシマウマとウマの交雑種(あいのこ)の「Zorse」が生まれたのだ。
父親がシマウマで母親がウマの時に生まれるもので、アフリカではそんなにめずしいものでもないみたい。
でも、その模様がすごくおもしろくて、人間でいうと上半身の部分は白馬のような白毛で、首から上と下半身がシマウマのゼブラ・カラーなんだよね。
すっぱりと模様が分かれているのだ!
で、このニュースに興味を持って、今回は交雑種について調べてみたよ。

交雑種というのはもともと異なる種の間に生まれるもののことで、本来的に「種」というのは「交配可能」な範囲という定義なので、少し矛盾するんだよね。
普通に交配して子どもが生まれる場合は種で分けないで「亜種」として区別するんだけど、交雑種は特別なんだ。
というのも、交雑種として生まれた個体は生殖能力がなくて、一世代限りなのだ。
で、種の定義の「交配可能」というのは世代として続いていくことが全体なので、生殖能力のある個体が生まれる必要があるんだ。
なので、例え交雑で子供が生まれても、種としては別でもよいというわけ。

実際、遺伝情報を見てみると、交雑種の父親と母親では染色体の数が違うこともあって、そうすると、その子どもの背合いでは減数分裂がうまくいかないから、生殖細胞がきちんと作れないのだ。
おそらくこれが生殖能力がない理由なんだよね。
でも、染色体の数が違うのにきちんと生まれてくるというのはかなり不思議。
どうやって複雑な発生の仕組みを乗り越えているのか、なかなか興味深いよね。

交雑種として有名なものでは雄ロバと雌ウマの間に生まれるラバなんかがいるよね。
これも一世代限りのものなのだ。
それに、家畜化したアヒルと野生のカモをかけ合わせた「アイガモ」も交雑種なのだ。
雄ライオンと雌トラの交雑種のライガーや、雄ライオンと雌ヒョウの交雑種のレオポンなんかもなんかも時々話題になるよね。
こういうのはハイブリッドと呼ばれて、人工的なかけ合わせで生まれるんだ。

でも、自然界でもハイブリッドはいて、それはクサガメとイシガメの交雑種のクサイシガメ。
むかしはそれぞれたくさん個体がいたから交配することはなかったんだけど、最近は個体数が少ないから交配してしまうみたい。
両方のカメの中間的な性質を持っているカメなんだとか。
クサガメは「くさい」からクサガメというくらいなんだけど、クサイシガメだと少しはにおいは弱くなるのかな?

植物でも交雑はあって、洋ランなんかはけっこう交雑種ができるみたい。
しかも、種の違いだけでなく、もうひとつ上のカテゴリーの属の違いも乗り越えることがあるとか!
品種改良も進んでいるけど、もともとそういう交配のしやすさというのがあるんだね。

ヒトの場合はサルとの間に交雑種はできないんだけど、クロマニヨン人とかネアンデルタール人が今でも生き残っていたら、ひょっとしたら交雑種が生まれていたかも。

2007/06/29

照明

米国に来てから少しおどろいたのは、間接照明が多いということ。
日本のように必ず天井に明るい照明があるわけじゃなくて、ランプを横に置いたり、たいして明るくないシャンデリア調の照明だったりと、基本的には暗いのだ。
なので、卓上ランプなんかが必要なんだよね。
で、照明のことを気にしていたら気になったので、今回は電球と蛍光灯について調べてみたのだ。

電球はエジソンさんで有名だけど、実はその前に真空管の中で導電体を白熱させて照明器具にしたものはあったんだって。
エジソンさんがすごいのは、その電球と電灯事業を結びつけたところで、直流の電気の供給を一緒に行って、電灯を広めたのだ。
(ちなみに、今の家庭用の電気はみんな交流で、これはロシア出身のテスラさんが広めた方法なのだ。この時エジソンさんはあくまでも直流にこだわっていたんだよね。)

で、この電球の原理はいたって簡単で、電球の中にあるフィラメントがジュール熱で熱せられて白熱するというもの。
ジュール熱はQ=RI2の式でおなじみ(?)のやつだよ。
抵抗に電流が流れると一部のエネルギーが失われて熱になり、そのエネルギーが高いとさらに光を発するのだ。
エジソンさんが最初にフィラメントに使ったのは京都の竹で(手元にあった扇で思いついたとか)、その後に合成繊維が使われるようになり、タンタルやオスミウムといった金属フィラメントが出てきて、今ではほとんどがタングステンのフィラメントなのだ。
このフィラメントの部分が熱で蒸散してしまうと、電球のタマが「きれた」状態になって使えなくなるんだ。

電球の場合は、エネルギーの多くが熱として失われるため、照明としての効率はあまりよくないのだ。
よく蛍光灯の方が省エネだっていうのもそのせい。
でも、たい焼きやたこ焼きを温めておくためには熱が出る電球じゃないとダメなんだよね(笑)

電球の場合、エネルギーが高ければ高いほど明るくなるんだけど、熱もその分高くなってしまうので、フィラメントが切れやすくなるのだ。
で、フィラメントを長持ちさせるために電球の中に不活性ガスを充てんしたものがあって、反応性の低い希ガスを充てんしたのがクリプトン電球やキセノン電球と言われるもの。
で、このガスの中にヨウ素や臭素、塩素なんかが混ざるとハロゲン電球と呼ばれるのだ。
ハロゲン電球は普通の電球よりとても明るいんだよ。
でも、熱もそれだけ大きいので、ガスを充てんすることによる長寿命化は熱による短寿命化と相殺されてしまうんだって。

もう一方の蛍光灯は、電球とはまったく原理が異なるのだ。
蛍光灯の場合は、真空管の中に水銀の蒸気が充満していて、そこにアーク放電をして電子を放出すると、電子が水銀の蒸気に衝突して紫外線が出るのだ。
で、この紫外線が蛍光灯の内側に塗られた蛍光物質に吸収され、代わりに可視光が出てくるというわけ。
蛍光物質というのは、より波長の短い(=エネルギーの高い)光を吸収して、より波長の長い(=エネルギーの低い)光を出す物質のことだよ。
分子軌道論で言うと、紫外線のエネルギーを吸収して一部の電子が励起されるんだけど、吸収したエネルギーの一部は熱や振動なんかのエネルギーとして奪われるので、励起状態から再び基底状態に戻るときには吸収したものより少し低いエネルギーを出すことになるのだ。
それが光の形で出てくると蛍光と言うんだよね。

で、蛍光灯の場合、この蛍光物質を変えると照明の色が変えられるわけ。
街で売られている蛍光灯には、昼白色と昼光色というのがあるよね。
昼白色は少し赤っぽい色で、昼白色は青っぽいのだ。
昼白色の方が明るいんだけど、食べ物が青っぽくなっておいしいように見えなくなると言われていて、キッチンとかダイニングでは昼白色の方がよいと言われるのだ。
電球の色が一番あたたかみがあっておいしそうに見えるそうだけど。

蛍光灯の場合、電球に比べてかなり照明としての効率がよいので省エネなんだけど、蛍光灯には水銀が使われていたりするので、廃棄するのが大変なのだ。
日本ではきちんとした改修の仕組みができていないけど、本当はまずいんだよね。
かなり普及している割にはこういうところがまだまだだよね。

電球と蛍光灯はそれぞれ特徴があって、どっちかだけでいいっていうものでもないから、今でも両方使われているのだ
こうやって原理とか特徴を調べてみると、どういうときにどっちの方がいいのかってわかっておもしろいよね♪

2007/06/28

漢字の音読み

うちの教授が出張で北京に行くことになったんだ。
「北京」って日本では「ペキン」って発音するけど、現地の読みでは「Beijing」なんだよね。
あので、英語をはじめ、日本語以外では「ベイジン」なのだ。
そこで思ったのが、そういえば漢字の読み方っていろいろ種類があったよな、ということ。
そこで少し調べてみたのだ。

日本の漢字の音読みには3種類あって、漢音、呉音、唐音の3つ。
一番ポピュラーというか一般的な音読みが漢音で、呉音や唐音は少し特殊な読みという感じなんだよね。
漢音というのは遣隋使や遣唐使が中国の文化を日本に持って帰ってきたころの中国語の発音をもとにしたもので、このころ漢語もたくさん入ってきたので、標準的な読みという認識みたい。
呉音はそれより前に朝鮮半島経由で入ってきたよりむかしの中国語の発音をもとにしたもので、仏教とともに入ってきたので仏教用語なんかに多いのだ。
最後の唐音は、鎌倉時代以降に入ってきたもので、禅宗のお坊さんや明との貿易でもたらされたんだって。
より新しい中国語の発音をもとにしたものということになるよね。

例えば、「行」という字にはそれぞれの読み方があって、漢音では「行動」の「こう」、呉音では「諸行無常」の「ぎょう」、唐音では「行脚」の「あん」なのだ。
逆に考えると、その読み方でどの時代に日本に伝わった概念かっていうのもわかるんだよね。
呉音で読むものは奈良時代より前に伝わって来た可能性が高いし、唐音で読むものは鎌倉時代以降に伝わってきたものということになるのだ。
そうやって漢語を見直してみると、けっこうおもしろいかも。

それと、音読みといえば特殊な熟語の読み方の「重箱読み」と「湯桶読み」というのもあるよね。
普通は2字熟語の場合、「音読み+音読み」で読むのが普通なんだけど、「音読み+訓読み」で読むのが「重箱読み」、「訓読み+音読み」で読むのが「湯桶読み」なのだ。
「音読み+音読み」というのは、今でいうところの英語をカタカナで表記するようなものだからもともと中国から伝わってきた言葉ということなんだけど、「重箱読み」や「湯桶読み」をするものは訓読みが入っているので、日本でできた言葉ということなんだ。
ちょうどサラリーマンのような和製英語のようなもので、中国から伝わった概念をうまく日本に取り込んだ証拠なんだよね。
そういうのも合わせて考えると、日本語ってますますおもしろいよ。

2007/06/27

亜鉛

亜鉛は古代から銅との合金の真鍮(しんちゅう)として使われてきた金属で、溶解した亜鉛に鉄板をつけて作るトタン板や乾電池の陰極の材料としてもなじみ深いのだ。
実は、この亜鉛は鉄に次いで人体の中に多い金属で、生物の体の中でも大活躍しているのだ。
ボクも亜鉛のサプリメントを飲んでいるんだけど、今回は人体の中の亜鉛の役割について少し調べてみたのだ。

亜鉛は必須の微量元素で、体重70kgの人には薬2.3gの亜鉛が含まれるんだって。
で、体の中で何をしているかというと、酵素の活性中心(実際に酵素反応をつかさどる部分)で働いているのだ。
亜鉛のまわりにタンパク質のアミノ酸残基が配位して錯体構造(亜鉛のプラスイオンのまわりにマイナスに分極したアミノ酸の残基が弱い電気的結合で結びついて立体的な形を維持するのだ。)を作るんだけど、これが酵素の反応を媒介する重要な働きをするんだ。
有名なのはZnフィンガーと呼ばれる構造で、デオキシリボ核酸(DNA)やリボ核酸(RNA)と結合するタンパク質に多く見られる構造なんだよ。
で、核酸にくっついてリン酸結合を加水分解することで機能を発揮するんだけど、これが遺伝子発現の制御や調節に重要な働きをしているのだ。

なので、亜鉛の欠乏症はこの機能に由来する障害が出てきて、主に細胞分裂・増殖の多いところで影響が出てくるんだよ。
例えば、マンガ「美味しんぼ」に出てきて有名になったけど、亜鉛不足では味覚障害が出て味がわからなくなるのだ。
これは舌の上に当たってものの味を感じ取るセンサーの味蕾(みらい)が機能不全になるためで、味蕾の数が減少するので発生するんだって。
そのほか、腸管の上皮細胞の増殖が抑制されて食物の吸収がよくなくなることで下痢になったり、新陳代謝の激しい皮膚の細胞の増殖が抑制されて皮膚炎や爪の形成不全が起こったりするのだ。
免疫機能の減退、精子形成の減退、甲状腺機能の減退なんていうのもあって、けっこう大変なことになってしまうのだ。

亜鉛はバランスのよい食事をとっていればそんなに欠乏症が起こることはないんだけど、ジャンクフードやインスタント食品ばかりを食べていると栄養がかたよって欠乏症になると言われているんだよね。
で、亜鉛を多く含む食品と言えばなんと言ってもカキ(オイスターの方だよ。)。
他の食品に比べて特段含有量が高いのだ。
お肉やうなぎ、レバーなんかにも比較的多く含まれているよ。
植物性のものでは豆類に比較的多く含まれていて、納豆や豆腐がよいのだ。
で、よくよく亜鉛を多く含む食品を並べてみていると、普通に野菜と肉、魚のバランスのよい食事をしている限りは問題なく摂取できることがわかるんだよね(笑)
でも、ベジタリアンの人やダイエットで食事制限をしている人は不足しがちなので注意が必要なんだ。
ボクもどうしても野菜が多めの食事になっていて、食物繊維の大量摂取は亜鉛の吸収を抑えるとも言われているので、念のためサプリメントを摂取しているというわけ。

とは言え、過剰摂取もよくなくて、亜鉛のような金属は毒性もあるのだ。
銅なんかも同じだけど、微量は必須だけど、とり過ぎるとダメなんだよね。
何事も適量がよいというわけ。

2007/06/26

カカオ

ボクはチョコレートが好きなんだけど、今回はその材料のカカオについて少し調べてみたのだ。
植物園とかでカカオのみがなっているのは見たことあるんだけど、好きなわりにあんまりよく知らなかったのだ(笑)
最近はやりのカカオ増量のチョコも苦くて好きなんだけどね。

カカオは南米原産の植物で、はじめに栽培植物として育てたのはマヤ文明だとか。
わりと高度なところ(300mくらい)に自生し、水はけがよくて湿潤な気候を好むそうだよ。
このカカオを欧州に持ち帰ったのは、最後までアメリカ大陸をインドの一部だと思っていたクリストファー・コロンブスさん。
マヤ文明では儀式の時などに使われる薬物や高貴な人用の趣向品として飲まれていたみたいなんだけど、欧州では滋養強壮にきくといって広まっていくのだ。
最初は苦くて飲みづらい薬のような扱いだったんだ。
でも、飲みやすいチョコレートができると一気に貴族や富裕な商人に広まっていったそうだよ。
で、アフリカなどでも栽培が始められたんだ。

カカオのプラントはコーヒーのプラントと同じような仕組みなのだ。
大金持ちの農園主がいて、その人がただ同然の安い給料で人とを雇って収穫するんだよね。
コーヒーはスターバックスの登場などでだいぶ労働環境がましになってきているようだけど、カカオの場合はまだまだで、子どもが奴隷のように農園に売られ、そこでこき使われているようなのだ・・・。
カカオの実はわりと高いところになるので、それを子どもがするすると木に登って下に落とすという収穫方法なんだけど、安全のための命綱なんかは使わないから、落ちてけがをしてしまうと働けなくなって大変なことになるらしいよ。
このカカオ農園の問題は子どもの労働問題としてけっこうクローズアップされているんだよね。
今はカカオの需要も高まっているらしいけど、なんとかコーヒーみたいにうまい仕組みは作れないものかな?

収穫されたカカオの実は水につけられて発酵させられるのだ。
で、そこからカカオ豆を取り出して加工するわけ。
こういうところもコーヒーに似ているんだよね。
カカオ豆の皮と胚芽を除いてからすりつぶして固めたものがカカオマスで、大量の油脂を含むんでいて(半分以上が油脂分)、すりつぶしても粉にならないのだ!
で、この油脂分だけを抽出したのがカカオバター。
カカオバターを除いた後に残る脱脂されたものがココアパウダーだよ。
カカオマスにカカオバターや砂糖、ミルクを加えるとチョコレートになるのだ。
(ホワイトチョコレートはカカオバターに砂糖やミルクを加えたものだよ。)
カカオバターは人の体温で融ける脂なので、座薬の基剤にも使われるのだ。
有効成分をカカオバターにまぜて、座薬の形に固めるんだよ。
で、おしりに入れるとカカオバターが融けて、有効成分が腸管から吸収されるのだ。

チョコレートにはカカオやカカオバターの含有量で厳格な規定が決まっているのだ。
で、さらに欧州ではその規格がきびしくて(カカオバターの含有量が31%以上じゃないといけないのだ。)、日本では口当たりをよくするためにミルクを多めに入れるんだけど、そうするとカカオバターの含有量が下がってしまってチョコレートとしては認めてもらえなかったりするんだよ。
でも、欧米のチョコレートって甘さもきついし、ちょっとしつこいところがあるよね。
日本のものの方が甘みもすっきりしていて口当たりもよくて好きなのだ。
米国のものでは「ビター」と言われているのが日本の普通のチョコレートくらいの甘さなんだよね。

2007/06/25

クッキー&ビスケット

米国ではよくティー・タイムにクッキーが出るんだよね。
スタバなんかでクッキーを売っているのもそうした文化を反映したものなのだ。
なので、自然と見かける機会も多いし、食べる機会も多いんだ。
で、こっちで食べるクッキーの多くは、日本のようにさくさくではなくて、どちらかというとしっとりした感じなんだよね。
じゃあ、さくさくなのはビスケットなのかな?、と思っても、さくさくなのも「クッキー」として売られているのだ。
そこで、改めてクッキーとビスケットの違いについて調べてみることに。

なんと、クッキーとビスケットを区別しているのは日本だけで、小麦粉に牛乳、砂糖、ショートニング、バターなどを混ぜて焼いたお菓子を、英国では一般にビスケットと呼び、米国ではクッキーと呼ぶらしいのだ。
つまり国による呼び方の違い!
だけど、日本では昭和46年に「ビスケット類の表示に関する公正競争規約」というのが定められて、その中では、

 ビスケット: 小麦粉、糖類、食用油脂および食塩を原料とし必要によりでんぷん、
  乳製品、卵製品、膨張剤、食品添加物の原料を配合し、又は、添加
したものを混合機、成型機及びビスケットオーブンを使用し製造した
食品

 クッキー: 手作り風の外観を有し、糖分、脂肪分の合計が重量百分比で40%以
上のもので、嗜好に応じ、卵、乳製品、ナッツ、乾果、蜂蜜などにより製
品の特徴づけを行って風味よく焼き上げたもの

と区別しているんだ。
なんでも、当時の日本ではクッキーはビスケットより高価なものと考えられていて、ビスケットがより高価なクッキーとして流通すると消費者に誤解を与えるので、わざわざこんな定義を定めたのだとか。

もともとビスケットというのは、フランス語で「2度焼いた」という意味の「bis-cuit」で、船旅などに持って行く保存食として開発されたものが起源なのだ。
より乾燥させることで、重量を減らし、日持ちもよくなるんだよね。
で、その後お菓子として発展していって、砂糖が入って甘くなり、その後フルーツやナッツ、チョコなんかも使われるようになったということだよ。
なので、最初は日本の乾パンに近いものだったようなのだ。
あれはあれでおいしいけどね。

米国のクッキーはそんなに甘くなくてパンのように食べるもの(ケンタッキーフライドチキンで売っているようなやつ)から、ごてごてに甘くて、チョコチップやM&Msがそのまま入っているようなものまでいろいろ売っているよ。
たいてい大きなものはしっとり系で、ふにゅっとした食感なのだ。
日本で言う半生クッキーなんだよね。
それはそれでおいしいんだけど、最初に食べたときはしけているのかと思ったよ(笑)

ちなみに、ショートケーキの「ショート」は「短い」という意味ではなくて「さくさくしている」という意味なんだけど、これはもともとスポンジケーキじゃなくてクッキーの上にクリームなどでデコレーションしたものだったかららしいよ。
さすがにスポンジケーキを土台にしたショートケーキは「さくさく」ではないよね。
米国では、やわらかいクッキーの上にこれでもかとはちみつやチョコレートをかけて、ナッツをちりばめてあって、そこにアイスクリームまでついてくるようなデザートがどこにでも売っているんだけど、もともとのショートケーキはそういうものだったのかも。

2007/06/24

獅子身中の虫

ボクは夏の土用の生まれで獅子座なんだけど、今の時期は夜の早い時間に獅子座がきれいに見えるんだよね。
というわけで、ライオンのことが気になったので、少し調べてみたのだ。

ライオンはインドからアフリカにかけて生息していたらしいんだけど、今ではアフリカ以外ではほぼ生息していなくて、アフリカでも数はだいぶ減っているみたい。
絶滅危惧種にも指定されているらしいよ。
でも、動物園でわりと簡単に繁殖させられるので、まったくいなくなるということは避けられるみたい。
とは言え、野生の習慣なんかは失われていってしまうから、自然の姿で残すことが重要なのだ。

ライオンは「百獣の王」とも言われるくらいで、勇猛さで知られるわけだけど、それだけに、強さや高貴さ、勇猛さのシンボルとしても扱われるようになるのだ。
さらに、ライオンの群れ(「プライド」と言うんだって)は一頭のオスと多数のメス、それに子どもからなるんだけど、これがなかなか立派なハーレムなので、繁栄の象徴でもあるんだよね。
なので、欧州ではライオンを紋章に使う貴族が多いのだ。
後ろ足で立ったライオンのモチーフはよく見かけるよね。

でも、このライオンの群れはなかなか大変なもので、オスの地位は安定ではないのだ。
オスの子どもはたてがみが生える2歳くらいで群れから追い出されるんだけど、その後数年放浪した末に、別のオスの持っている群れを乗っ取るんだよね。
オス同士が戦って、負けた方が去っていくわけだけど、一度群れを追われたオスはたいがいは死んでしまうんだって。
もともとライオンはメスが狩りをしているし、乗っ取られてしまうようなオスは老齢だったりするからなのだ。
で、この後がすごくて、新たに群れのリーダーになったオスは、今いる子どもとその後生まれてくる子供(=メスが妊娠している子ども)をみんな殺してしまうのだ。
前のオスの血は残さないということなんだよね。
で、ライオンのメスはこの子殺しに出くわすと発情することが知られていて、新しいオスと子どもを設けるようになる、というようにうまく仕組みができているのだ。
こわい話だけど、自然の知恵なんだよね。

ライオンといえば、よく噴水で水をはいているけど、あれには意味があるんだよ。
獅子座はとても古くからある星座のひとつで、古代エジプトでは、太陽が獅子座の位置にあるときにナイル川が氾らんすることが知られていたのだ。
これでライオンと水が結びつくわけ。
ナイル川の氾らんは破壊ももたらすけど、同時に肥よくな土壌ももたらすものなので、ライオンにもこの二面性の性格が与えられることになったんだ。
なので、反映の象徴でもあって、大きな破壊力の象徴でもあって、畏敬される存在なのだ。

それと、ライオンといえばドアのノッカーになっていることもあるけど、これにも意味があるのだ。
「歴史」の中でヘロドトスさんが「ライオンは眠らない動物」ということを書いていて、ギリシアの大哲人のアリストテレスさんもこれを支持したので、長らく欧州では「ライオンは眠らない動物」と認識されてきたのだ。
なので、「寝ずの見張り」になって、ドアのノッカーになるわけ。
今ではライオンの映像はテレビでも見られるから、普段は寝てばっかりだってわかるけどね(笑)
ネコは「寝る子」だからネコっていう名前になったとも言われるくらいで、ネコの仲間は体力温存のためにもよく寝ていることが多いのだ。
おそわれるんじゃなくて、おそう方だからできる芸当なんだけどね。

ライオンと並んで欧州でよくモチーフに使われるのはドラゴン。
これは想像上の生物だけど、やっぱり貴族の紋章に使われたり、門柱に彫刻があったりするんだよね。
ドラゴンはヘビの不死性(ヘビは脱皮を繰り返すので、むかしの人は不死の生物と考えていたのだ。)がさらに誇張されたものと考えられていて、聖書に出てくるサタンはヘビとしても描かれるし、大いなる竜とも言われるよね。
北欧神話の英雄のジークフリードは全身にドラゴンの血を浴びて不死になるんだけど、唯一ドラゴンの血のつかなかった背中が弱点となるのだ。
で、このドラゴンは時代が下ると財宝を守護するものとも考えられるようになって、アーサー王伝説なんかでもドラゴン退治と財宝の発見がセットになってくるのだ。
この「不死」と「財宝」というので、家の繁栄を願って紋章に使われるようになるんだよね。
もともとはそんなに縁起がよいものでもないんだけど。

東洋だと「竜虎」だけど、西洋だとこうしてライオンとドラゴンとなるのだ。
ドラゴンと竜はもともとは違うものだけど、似ているよね。
(竜は暴風雨のシンボルと言われていて、姿は同じヘビをモチーフにしたから似ているけど、出自は異なるのだ。)
ライオンとトラも同じ大型のネコ科のほ乳類だし、けっこう共通点はあるものなのだ。

2007/06/23

げし

米国時間では今日が夏至。
1年で一番昼間の長い日なのだ。
夏至を過ぎると本格的に夏って感じがするよね。
北緯66.6度より北の北極圏では白夜になるのだ!

で、この夏至というのは二十四節気のひとつで、立春や春分、啓蟄、大寒なんかの仲間なのだ。
二十四節気は太陽太陰暦と実際の季節のずれを解消するための指標で、1年を24の区分に分け、季節を表すようにしたものなのだ。
立春から始めると、雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨、立夏、小満、芒種、夏至、小暑、大暑、立秋、処暑、白露、秋分、寒露、霜降、立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、大寒で24なのだ。
むかしは季節の移り変わりと太陽の見た目の位置で決めていたみたいだけど、今では太陽の黄道上の角度で決めているから、日にちじゃなくて何時何分何秒まで決まっているんだよ。
日本では国立天文台で毎年発表しているのだ。

太陽太陰暦の場合、一ヶ月は月の満ち欠けを基本にするので、必ず1日は新月になるので朔日というくらいなんだけど、そうすると、月の周期は27日ちょっとなので、それを12ヶ月にしても365日より短くて、太陽暦とずれてくるんだよね。
でも、季節の移り変わりは太陽の位置で決まるので、このずれを解消する必要があったのだ。
そこで、日本で使われていた太陽他陰暦では閏月なんかを入れて、暦上もずれを解消する仕組みが導入されているのだ。
でも、暦が重要なのは主に農業で、農業の1年の流れと暦をシンクロさせる必要があったので、この二十四節気が使われるようになったみたい。
1年のうち、今がどのあたりの季節かがわかりやすくて便利なのだ。
「芒種」なんてまさに「タネをまくころ」って意味だしね。
歌にある「夏も近づく八十八夜」っていうのは、立春から数えて88日目ってことなんだよ。
それくらい生活に浸透していたものなんだよね。

で、イスラム教文化圏では今でも太陰暦が使われていて、西暦とは異なるイスラム歴を使っているよね。
実は、イスラム歴では太陽暦とのずれを解消していないので、西暦の1年よりイスラム歴の1年が短いからなのだ!
なので、少しずつずれていくんだよ。
イスラム教の生まれた中東は砂漠気候で、1年中ほぼ同じような気候なので、季節とあまりシンクロさせる意味がないんだよね。
なので、ずれを補正しないでそのまま行けるみたい。

古代エジプトでは太陽の位置でナイル川が氾らんする時期を予測していたり、太陽と星の位置で1年の時間の流れをかなり正確に把握していたのだ。
ナイル川の氾らんは上流部の雨期との関係があるから、どうしても季節を知る必要があったんだよね。
すぐ近くのエジプトにはそういう暦があって、これはギリシアやローマを通じて欧米に伝わっていくんだけど、なぜか中東ではずっと太陰暦のままというのは不思議だよ。
アラーは太陽の神のはずなのに、暦だけは月が基本なんだよね。

2007/06/22

何見てはねる?

ウサギというとどうしても耳の長い、赤い目の白い姿が思い浮かぶけど、このウサギはアナウサギを家畜化したカイウサギの姿で、日本には輸入されて来たものなのだ。
それがrabbit。
日本古来のウサギはノウサギ(hare)で、耳はそんなに大きくないし、茶色っぽくて、とにかくすばしっこいのだ。
ちょっと耳の大きいネズミみたいな感じ。
奄美大島にいる天然記念物のアマミノクロウサギがまさにそうだよ。

日本でもウサギはむかしから親しまれてきていて、それこそ十二支のひとつにもなっているし、獣肉を食べることがタブーにされた後でも、「鳥」という扱いで食べられたりしてきたのだ。
でも、明治期にカイウサギが輸入され、ジャパニーズホワイトという今の日本でおなじみのウサギが生まれて、いつの間にかウサギというとそれを思い浮かべるようになってしまったのだ。
かちかち山のウサギや、「待ちぼうけ」で切り株に転げるウサギは日本古来のウサギなんだよ。
でも、この白くて耳の長いウサギも一部は野生化していて、環境問題にもなっているんだって。
輸入されたころの小型のカイウサギはナンキンウサギと呼ばれていて、南方熊楠先生の「十二支考」のウサギの章を見ると、生態の違いや日本と西洋のウサギに関する民俗の違いなんかもわかるので参考になるよ。

西洋のカイウサギはもともとアナウサギというもので、地面に穴を掘ってそこを巣穴にして生活するのだ。
絵本のピーターラビットも穴の中に住んでいるよね。
で、ノウサギは生まれたときにすでに毛が生えていて、目も開いていて自力歩行できるんだけど、アナウサギは穴の中で生まれるためか、毛も生えていないし、目も開いていなくて自力歩行できないんだって。
生活環境でだいぶ違うものなんだねぇ。

ウサギにはいろいろ種類があって、日本固有腫の日本のウサギはだいぶ数を減らしているみたい。
そもそも生息できる環境が限られているからね。
そのわりに西洋から来たカイウサギが野生化したりするから不思議なのだ。
で、家畜用のウサギとしては、耳がたれていてかわいいと人気のロップイヤーや、かつては毛皮の材料にされていたアンゴラなんかもいるよね。
戦争中は食糧確保と毛皮を取るため、日本がアンゴラの飼育数世界一になっていたそうだよ!

日本は獣肉をあまり食べなかった時代は、山鯨ことイノシシと並んでウサギは貴重なお肉だったわけだけど、明治維新以降ブタやウシを食べるようになってからはあまり食べないよね。
でも、西洋ではけっこう今でも食べるみたい。
フランス料理なんかではけっこうよく使うんだよね。
でも、フランス料理って、シカかザリガニ、ハトなんかも使うから、中国と同様に食にどん欲なところがあるような気がするのだ。
さすがに他に食べるものがないわけじゃないだろうし、フォアグラみたいに無理矢理作り出すものもあるからね。

ウサギを飼うときに、「さびしいと死んでしまう」とか「水を与えてはいけない」なんていわれることがあるけど、これはウソなんだって。
うさぎは縄張り意識が強いので、同性の個体を近くにおいておくとけんかするし、当然生き物である以上水分も必要で、ドライのペットフードを食べさせるような場合は特に水に気をつけないといけないそうだよ。
こういう風説にだまされず、ウサギを飼うときはきちんと買い方を調べた方がよいみたい。
でも、ウサギはげっ歯類なので、いくら世話をしてもそんなにはなつかないのだ。
ネコやイヌとはやっぱり違うんだよね。

2007/06/21

火事

サウス・カロライナ州で、家具店が火事があったんだけど、消防士が9名も亡くなる大惨事になったのだ。
まだ崩れないと思って建物の中に入って消火活動をしていたらしいんだけど、突然天井が落ちてきて崩れ、下敷きになったりしてしまったみたい。
原因は、家具店の商品としておいてあったソファなどに使われる化学繊維じゃないかって言われているんだ。

これはおそらく、フラッシュオーバー(flashover)と言われる現象なのだ。
比較的密閉された空間で火事が起こると、プラスチックや化学繊維などの石油製品が高温になって、そこから可燃性のガスが発生するのだ。
で、しばらくは普通の火事と同じように着や布といった燃えやすいものが燃えていくんだけど、火災現場の温度が高くなってきて、これらの可燃性ガスの発火温度になると、一気に火勢が強まって爆発的な燃焼が起こるのだ。
これがフラッシュオーバーで、まだまだ火が弱いと思っていても、発火温度になった瞬間に一気に火が広がって、しかも超高温の爆風も起こるので、ものすごく危険な現象なのだ。
ちなみに、発火温度というのは火を近づけなくてもその温度に達すると自然に火がついてしまう温度のことで、火を近づけたときに火がつく着火温度よりもはるかに高温なのだ。

火災現場でもうひとつ危険な現象がバックドラフト(backdraft)。
むかしそういうタイトルの、消防士が主人公の映画があったよね。
フジテレビでやっていた「料理の鉄人」のテーマ音楽はこの映画「バックドラフト」の音楽なのだ。
このバックドラフトというのは、完全に密閉された室内で火事が起こったときに起こる現象なんだ。
ものが燃焼するには酸素がないとダメなわけだけど、密閉空間で火事が起こると徐々に酸素がなくなっていって不完全燃焼になるのだ。
そうすると、部屋の中に可燃性の一酸化炭素が充満してくるわけ。
で、ある程度に達すると、火はくすぶる程度になってしまって、一見火事がおさまったかのようになるんだよね。
そのときにドアや窓を開けると、一気に新鮮な空気が流れ込んで酸素が供給され、部屋に充満していた一酸化炭素が爆発的に燃焼するのだ。
フラッシュオーバーと同じように、一気に火勢が強くなって、超高温の爆風も起こるんだ。
最近の集合住宅は密閉性が高いので、このバックドラフトが危険性が高いのだ。
なので、集合住宅の火災の場合は、火がおさまっているように見えても安心してはいけないんだよ。

爆発という意味で危険なのものには「粉じん爆発」もあるよね。
ものが燃えるにはちょうどいい量の酸素がないといけなくて、車のエンジンもガソリンの蒸気と空気をバランスよく混ぜて燃焼させていて、バランスが悪くなるとぶすぶす言うようになるのだ。
可燃性粒子も同じで、空気中に適度に分散して、可燃整流子と空気のバランスがちょうどよくなったときに火花が散ったりすると、そこで一気に燃焼が始まって、爆発を起こすのだ。
これが粉じん爆発と呼ばれる現象。
粒子の量が少なくいと爆発的な燃焼はしないし、多すぎても酸欠になるのでやっぱり爆発しないんだけど、けっこうこわいものなんだよね。
炭坑の石炭の粉じんによるものが有名だけど、小麦粉や金属粉なんかでも起こるので、街中の工場でも起こる可能性がある減少なのだ。
粉じんが空気中に舞わないように工夫したり、適度に喚起をすることが重要なんだよね。

それにしても、火事はこわいのだ。
気をつけられる部分も多いから、気をつけたいよね。

2007/06/20

お風呂

今日のワシントンDCはまるでサウナのような熱気と湿度。
ちょっとの間ならいいんだけど、ずっと外にいるのはつらいよ。
なんだか温室に閉じこめられたみたい。
そんなことを考えていたら、お風呂のことが気になったので、少し調べてみたのだ。

前身を浴槽につける今の日本のお風呂の様式が出てきたのは江戸時代のはじめのころで、それまではお風呂といえば蒸し風呂(サウナのように蒸気にあたるもの)で、半身浴のように下半身だけお湯につかるのは湯屋とか湯殿と呼ばれたとか。
この浴槽にはったお湯に体をつける文化は、6世紀に仏教とともに日本に伝来したと言われていて、寺院で「体を清める」という目的で入浴が行われるようになったんだって。
で、この入浴は一般の人にも施されたので、徐々に浸透していって、お公家さんなんかは数日に一度とか定期的に入浴するようになったらしいよ。
そういえば、全国にある温泉の多くは、空海さんや行基さんなんかの偉いお坊さんが発見したなんて伝説がつきまとうから(伊豆の修善寺なんかが有名だよね。)、仏教とともに入浴の文化が広まったというのもうなずけるのだ。

戦国時代くらいになると武将なんかの有力な武家もよく入浴するようになって、お風呂文化も発達してくるんだよね。
武田信玄さんの「隠し湯」なんてのもあるくらいで。
で、このころはタオルなんて当然ないので、入浴した後は「湯帷子(ゆかたびら」というものを着て、体についた水分を吸い取らせたのだ。
体が乾くまで、次から次へと着ては脱ぎ、着ては脱ぎ、としていたんだって。
江戸時代にもなって入浴が庶民にも浸透してくると、この湯帷子が入浴した後に着る「浴衣」になるのだ。
もともとは着やすくて、風通しもよくて涼しい着物なのでお風呂の後に着るようになったんだけど、それがいつの間にやら暑い季節に着る簡略の着物になっていったんだよね。
ちなみに、江戸時代になると体は手ぬぐいで拭くようになったので、浴衣を何度も着替えることはないんだよ。

江戸時代には公衆浴場もできて、ときどき風紀を取り締まるために混浴が禁止されることがあったけど(松平定信さんの寛政の改革なんかがそうなのだ。)、基本的に混浴だったんだよね。
江戸末期から明治になって、外国人がその風習を見て、びっくりしたのだ。
遊郭も発達していたし、日本の性に関する文化はとても開放的と思われたみたい。
で、明治になって欧米文化を取り入れて先進国の仲間入りをしようと政府がやっきになっていろいろやったわけだけど(鹿鳴館とかもそうだよね。)、混浴も悪しき風習として禁止され、銭湯から混浴がなくなったとか。
今でも温泉とかには少し残っているけどね。

でも、こうやって見てみると、今のようなお風呂の文化が登場したのは江戸時代で、しかも、男女別になったのは明治時代から、そんなに歴史のあることじゃないんだよね。
しかも、今は銭湯も少なくなってきていて、今の子どもたちは温泉くらいしか公衆浴場を経験することもないから、銭湯でのお風呂上がりに飲むフルーツ牛乳や、ケロリンの黄色い洗面器なんかも知らないんだよね。
それが時代の流れなのかもしれないけど、そうやってボクの子どものころにあったお風呂の文化がなくなっていくのもさびしいものがあるよ。

2007/06/19

ヒイラギの秘密

昨日は国立樹木園でヒイラギを見たので、少し気になって調べてみたんだ。
そうしたら、驚きの事実が!
単にボクが知らなかっただけなのかもしれないけど、けっこう衝撃的なのだ。
それは、日本のヒイラギと西洋のヒイラギはまったく違う種類なんだって!

日本で生け垣に植えたり、節分の日に鰯の頭をさしたりするヒイラギは、モクセイ科の植物で、キンモクセイなんかの仲間なのだ。
秋に花を咲かせて、翌年の春の終わりに紫色の実をつけるとか。
葉っぱがとがっているので邪気を防ぐといわれているのだ。
鬼門(北東)にはヒイラギ、裏鬼門(南西)には南天を植えるといいなんて信じられてきたんだよね。

で、欧米でクリスマス・リースに使うヒイラギは、モチノキ科の植物でまったく違うもの。
科も違うので、葉っぱの形が似ているというだけなのだ。
こっちは春に花を咲かせて、秋から冬にかけて赤い実をつけるんだって。
クリスマス・リースには鮮やかな緑の葉っぱときれいな赤い実がついているよね。
クリスマス・ホーリー(Christmas Holly)とも呼ばれるのだ。
やっぱり欧米でも葉っぱがとがっているから魔除けになると考えられていて、クリスマス・リースに使われるようになったみたい。

それにしても、まぎらわしいのだ。
最初は似たような植物だと混同していたのかな?
でも、その葉っぱのイメージは洋の東西を問わず共通なのがおもしろいよ。
欧米でも東洋でも、脱皮をするヘビは長生きとか不死だとか考えられているけど、そういうのと同じなのだ。
とがっている葉っぱは悪いものを退けるというイメージなんだろうね。

こういう文化的な類似性を調べてみるのもなかなかおもしろいのだ。
でも、さっきのヘビの例だと、西洋では悪者で、東洋だとむしろ神の使いみたいに思われていて、逆の方向にイメージがふくらんでいっているんだよね。
ヒイラギの場合は、日本は鰯の頭をさしたかざりで、欧米はきれいなクリスマスツリーという違いはあるけど(笑)、悪いものを近づけないという発想は同じなのだ。
しかも、日本の節分はもともと季節の変わり目を祝うまつりで、節分は立春の前日だから、冬から春に変わる変わり目の行事なんだよね。
一方、クリスマスはもともと冬至祭りの名残で、太陽の力が一番弱くなると考えられる冬至の日を盛大に盛り上げて太陽の再活性化を祝うものなのだ。
なので、そういう意味では季節の変わり目を祝う祭りなんだよね。
季節の変わり目はどうしても体長を崩しやすかったりするから、そういうので病気にならないようにって願っているのが根底にあるのかもね。
そういう風に考えていくと、なかなか興味深いかも。

2007/06/18

アジサイ

今日は国立樹木園(United States National Arboretum)に行ってアジサイを見たのだ。
ボクはけっこうこの花が好きなんだよね。
というわけで、少し調べてみたよ。

アジサイはアジサイ属アジサイ科の植物で原産地は日本。
英語名の「Hydrangea」は「水の容器」という意味らしいけど、アジサイはとにかくたくさんの水を吸う植物で、水が足りないとすぐしおれちゃうんだよね。
そういうところから来ているのかな?
なかなかよく考えられた名前と思うよ。
和名のアジサイは「藍色が集まったもの」という意味の「あづさい(集真藍)」がなまったものと言われているんだ。
漢字の「紫陽花」は中国の詩人の白居易(白楽天)さんが別の花に名付けたものを、源順(みなもとのしたごう)さんが平安時代にあやまってこの漢字を当ててしまい、誤って広まったものだとか。

むかしから日本では好まれていて、古来からたくさんの園芸品種が作られているのだ。
それが今ではこうして海外にまで普及しているというわけ。
長崎に来ていたシーボルトさんもアジサイが大好きで、欧州にアジサイを紹介したんだって!
しかも、特に花の大きい一品種を愛人の「小滝さん」から名前をとって、「オタクサ」と名付けたとか。
でも、雨にむせぶアジサイの花なんて、誰が見てもきれいだよねぇ。

でも、僕たちが花と思っている部分は実は「ガク」で、4枚のガクの中心にある部分が本当の花なのだ。
こういうのを装飾花というらしいけど、ミズバショウとかもそうだよね。
今よく見かけるアジサイはセイヨウアジサイという種類で、古来からあるガクアジサイを品種改良したもので、ガクがすべて装飾花になるので、「アジサイの花」がたくさんできるようになったものだそうだよ。

アジサイと言えば、土壌によって花の色が変わることで有名だよね。
酸性土壌だと青くなって、アルカリ性土壌だと赤くなるのだ。
なので、骨粉や貝殻をまいて花の色を変えたりするよね。
これは、アジサイの花にアントシアニンという色素が含まれていて、その色が変化しているのだ。
アジサイの場合は特に土壌の酸性・アルカリ性に敏感で、劇的に色が変わるみたい。
(他の花の多くも色素にアントシアニンを含んでいるけど、そんなに土の違いで大きく色は変わらないのだ。)

この色の変化は、pH試験紙として有名なリトマス試験紙と同じようなものなんだよ。
リトマス試験紙は地衣類からとった色素をろ紙に吸い込ませたものだけど、アジサイの花をしぼった汁をしみこませても似たようなことができるのだ。
赤キャベツの絞り汁でもできるんだよね。
よく夏休みの宿題の例に出てくるのだ。
でも、アジサイの場合はもう少し複雑で、他の要因にも影響を受けるから、もっと複雑な色の変化も試せるみたいだよ(アルミニウムイオン濃度とかにも影響を受けるようなのだ。)。
たしかいん、アジサイは色の濃淡だけでなく、いろんな色の花があるよね。
これは大人でも試してみるとおもしろいかも。

2007/06/17

電子レンジ

今日は料理を温めるのに電子レンジを使ったのだ。
これって、冷めたものを温めるときや、解凍、温野菜を作るのなんかにも便利だよね。
消費電力は高いけど、便利なことは確かなのだ。
で、少し気になったので、電子レンジについて調べてみたよ。

電子レンジは、英語では「micro wave oven」なんて呼ばれるんだけど、その名前のとおり、マイクロ波という電磁波を使って温めるものなのだ。
マイクロ波というのは、こたつや焼き肉でおなじみ(?)の遠赤外線よりさらに波長の長い電磁波のことで、波長がおよそ1m未満のものがマイクロ波と呼ばれるみたい。
衛星放送なんかもマイクロ波を受信しているんだって!

で、電子レンジのマイクロ波は、通常周波数が2.45GHzのものが使われているとか。
これは、1秒間に2.45×109、つまり24億5千万回振動するということなのだ。
波長になおすと、光の速度は毎秒30万kmなので、波長=並の速度÷周波数の式に当てはめると、

 3×108/2.45×109=0.122m=12.2cm

となって、だいたい波長10cmくらいの電磁なのだ。
なので、10cmより目の細かい網目は通過できないんだよ!
電子レンジのドアに網目があるのは、外にマイクロ波が漏れないようにしているのだ。

で、なんでマイクロ波でものが温まるのかというと、マイクロ波をあてることで水の分子の動きを活性化させているのだ。
水の分子の中の酸素と水素の結合している部分の振動エネルギーや回転エネルギーがちょうどこのマイクロ波のエネルギーに対応していて、マイクロ波の照射で水分子の振動・回転が活発化するんだよね。
で、その活発化した振動・回転エネルギーが熱エネルギーに変換されて、中に含まれる水が温められ、全体が温まるというわけ。
パンなんかを電子レンジで長時間温めるとぱさぱさになって、しまいにはかたくてかめなくなるけど、これは水分が温められてどんどん水蒸気として抜けて行ってしまうからなのだ!
ゆで卵を作ろうとしてたまごをそのまま入れると爆発するのは、中で発生した水蒸気の逃げ場がないからなんだよ。
レトルト食品を温めるとき、袋に水蒸気の逃げ道として穴を開けるように書いてあるのはそういうことなのだ。

電子レンジと言えば、ペットのネコを乾燥させようとして電子レンジに入れてしまった人が、家電メーカーに対して「ペットを入れてはいけない」と書いてなかった、という訴訟の話が有名だけど、これは本当の話ではないんだって。
全米中の裁判記録を調べても、そういう例はなくて、ちょっとしたことでもすぐ訴訟になる米国をよく象徴している話なので広まったものだとか。
もともとは何かの本で想定例として書いてあったようなものが一人歩きしたみたい。
ドライブスルーでコーヒーをこぼしてやけどした人がハンバーガー・チェーンから莫大な賠償金を手に入れた話は本当なんだけどね。

じゃむ

米国に来てから毎日パン食になったんだけど、こっちではパン食用にいろんなものがあるんだよね。
いわゆるスプレッドというやつで、パンにぬって食べるものなのだ。
(日本で海苔の佃煮や漬け物、梅干し、ふりかけなどなど、ごはんのともがあるのと同じなのだ。)
様々な肉類のペーストや、いろんなフレーバーのバター、クリームチーズなどなど種類も豊富。
で、当然のことながら、ジャムもたくさん種類があるのだ。
そこで、今回はボクも買うことがあるジャムについて調べてみたよ。

ジャムは果物を保存食にするために発明されたもので、砂糖やハチミツで甘く煮付けて濃縮したものなのだ。
果物の長期保存方法としては、干し果物にするか、ジャムにするかなんだけど、干し果物はブドウやアンズなんかだといいけど、柑橘類なんかはダメだよね。
ジャムの方がオールマイティではあるのだ。
最近は甘さ控えめのものも多いけど、もともとは保存食なので、しっかり甘みをきかせて、砂糖の糖分で浸透圧を高くして雑菌が繁殖しにくいようにするものなんだよ。
表面にカビが生えることはあるけどね。

ジャムの一般的な作り方は、果物を適当な大きさに砕いて、水と砂糖、ハチミツなどを加えてひたすら焦げつかないように煮ていくだけ。
とろみをつけるためにレモン汁を入れることがあるけど、これは、ジャムのとろみのもととなるペクチンという糖を抽出するためなのだ。
ペクチンは植物の細胞壁にあるもともと含まれている糖で、酸性条件下でよく水に溶け出すのだ。
で、レモン汁に大量に含まれるクエン酸が加えられて弱酸になると、このペクチンが溶け出してきて、寒天と同じようにとろみのもとになるわけ。
イチゴジャムやオレンジ・マーマレードのような古典的なジャムは、普通にレモン汁を少し加えるだけでかなりのとろみがつくんだよ。
このペクチンが少ないとさらさらでジャムにならないんだけど、最近は後で「増粘多糖類」というものを添加して、とろみをつけることもあるのだ。
それで今までなかったようなジャムもできるようになったんだよね。
中には果物すら使わない、甘い牛乳にとろみをつけたミルクジャムなんてのもあるとか。
(ヨーグルトだったら酸味もあっておいしそうだけど。)

日本にもブルーベリージャムとかはあるけど、米国はブラックベリーやらクランベリーやら、ほかのベリー系のジャムもあるのだ。
アンズジャムも日本より普及しているみたい。
洋菓子の材料としてもよく使うんだよね、甘みがさっぱりしているからかな?
それと、日本ではまず見ないけど、欧米では食べられるのが、ルバーブという野菜のジャム。
これは漢方薬にもなるダイオウの一種で、シベリア原産の植物なのだ。
セロリのような茎の部分を甘く煮付けて、パイの具やジャムとして食べるんだよ。
ボクもまだ未経験だけど、けっこう人気があるものみたい。

ちなみに、日本ではジャムを入れた紅茶のことをロシアン・ティーというけど、これは誤解で、ロシアではそういう飲み方はしないんだって。
ジャムをなめながら紅茶を飲む習慣があって、それで誤解されるようになったみたい。
中には入れないのだ。
欧州の方ではあんまり紅茶は甘くせずに、甘いものと一緒に食べるんだよね。
英国では紅茶のおとものお菓子はよく発達しているのだ、料理はダメだけど(>_<)

米国ではその逆で、とにかく紅茶は甘くするんだよね。
コーヒーはブラックで飲む人が多いみたいだけど。
もともと米国南部で生まれたアイス・ティー(Iced Tea)は、本来はこれでもかというほど砂糖を入れるもので、そういうのをサザン・スタイルというらしいよ。
世界に広まるにつれてストレートや甘み控えめのアイス・ティーも出てきたけど、基本はどこまでも甘くするものみたい。
なんでも、禁酒法時代にお酒に変わるベバレッジとして普及したとか。
そのせいで、米国内で売っているアイス・ティーはとことん甘くて、フレーバー付きのものはジャムを入れたような感じなんだよ。
日本人には合わないかも(>_<)

2007/06/15

せっけん

お風呂で新しいせっけんをおろしたので、今回はせっけんについて調べてみたのだ。
せっけんは、高級脂肪酸の塩の総称で、一般には脂肪酸ナトリウムか脂肪酸カリウムなのだ。
脂肪酸というのは、酢酸のように炭化水素にカルボキシル基(-COOH)がついたもので、酢酸の場合はCH3-COOHという化学式になるんだけど、この炭化水素(-CH2-)が長くなると水に溶けなくなって、いわゆる「油脂」になるんだよね。
で、「高級」というのは特に炭素鎖が長いもののことを言うのだ。

せっけんの簡単な作り方は、古くなった油(=酸化した脂肪酸)に水酸化ナトリウムを加えてよく混ぜ、そこに食塩を大量に入れるのだ(むかしは水酸化ナトリウムの代わりに木の灰なんかを使ったのだ。灰の中にはけっこうアルカリが含まれているんだよね。)。
そうすると、脂肪酸と水酸化ナトリウムが反応してできた脂肪酸ナトリウム(=せっけん)が沈殿してくるので、それをこして形を整えるとできあがり。
むかしはよく手作りせっけん教室なんてのがあって、廃油利用とか言って作ったりしてたけどね。
で、そのままだとにおいも色もよくないので、少し香水を入れたりして香り付けをしたり、クレヨンの削ったものなんかを入れて色をつけたりするのだ。

工業的には、これとほぼ同じ方法で大量に作ったりもするけど、未反応の水酸化ナトリウムが残るとよくないので、中和法という方法で、もう少しマイルドなアルカリで脂肪酸を中和して作る方法もあるんだって。
で、そこに保湿成分だとか薬用成分だとか、殺菌成分を加えるのだ。
それでいろいろな用途のせっけんができるというわけ。
ナトリウムじゃなくてカリウムでもせっけんはできるんだけど、より水に溶けやすくなってしまうので、固形せっけんはナトリウムで作るみたい。
逆に液体せっけんはカリウムで作るらしいのだ。

せっけんは、もともとの脂肪酸の炭素鎖の部分が親油性といって油をひきつける性質を持っていて、塩になっているカルボキシル基の部分は親水性で水に溶けやすい性質になっているのだ。
なので、せっけん自体は水にも油にも親和性があるというわけ。
で、炭素鎖の部分でもともと水に溶けづらいもののまわりを囲んで、反対側にある水に溶けやすいカルボキシル基の作用で水の中に溶けるという仕組みなのだ。
つまり、水に溶けにくいものが溶けやすくなるように間を取り持つわけ。
こういうのを界面活性作用と言うんだよね。
台所用の中性洗剤を界面活性剤と呼ぶのはこのためなのだ。

で、油と水を橋渡しできればいいので、別に脂肪酸のアルカリ塩である必要はなくて、カルボキシル基の代わりにスルホニル基(-SO3H)を使うと、より強力な界面活性作用が得られるのだ。
でも、そうすると手が荒れちゃうから、あまりせっけんには向かないけどね。
台所用の中性洗剤の場合は、炭素鎖の部分に工夫をして、手が荒れないようにしてあって、より強力な洗浄作用(=界面活性作用)を実現しているんだ。
さらに、別に親水性の部分はマイナスのイオンになる酸性のものである必要はなくて、プラスのイオンになるアルカリでもよいのだ。
で、実際にアミンで作るのが逆性せっけんというもの。
でも、これは洗浄作用が弱い代わりに殺菌力が強いので、主に消毒剤で使うらしいよ。
ちなみに、普通のせっけんと逆性せっけんを混ぜるとより強力になりそうな気もするけど、プラスとマイナスのイオンが結びついてしまうので、かえって界面活性作用は弱まってしまうので、混ぜちゃいけないんだよ。

2007/06/14

冷やし中華はじめました

日本の夏の冷たい麺類の代表選手といえば、なんといってもそうめんと冷やし中華なのだ。
最近は冷やしタヌキや冷やしキツネのようなそば・うどんや、冷やしてもかたまらない油を使った冷やしラーメンなんてのもあるけど、やっぱり風物詩とまで言えるのはこの2つだよね。
で、今回はこの2つについて少し調べてみたのだ。

まずは冷やし中華から。
冷やし中華は「中華」とは言いながら、日本の料理なのだ。
台湾や香港には似たようなものがあるらしいけど、中国には逆輸入なんだよ。
なんでも、仙台が発祥の地だとか。
これは、中華麺を使っているから中華言うのだ。
マンガ「美味しんぼ」では、海原雄山先生が「中華でもないのに中華を名乗るのはけしからん」と怒っているのだよね(きちんとした作り方をすればおいしい料理であることは認めているんだよ。山岡さんがおいしい冷やし中華を作って食べさせる、という話なのだ。でも、中国産の材料を使った方がよりおいしいと、つめの甘さを指摘されてしまうんだよね。)

冷やし中華には酢じょうゆ系のたれとごまだれがあるけど、ボクはやっぱり酢じょうゆ系だね。
お酢をきかせると暑い夏にもってこいだよ。
で、上にのせるのもチャーシューではなくてハム、それにキュウリとたまご、もやしくらいの庶民派が好きなのだ(笑)
もともとそんなに上品な料理じゃないんだから、庶民的なもので十分だよね。
最近は具にもバリエーションが出てきているし、たれにも種類が増えてきて、さらに発展しているよね。
日本はこうやって外来の食文化をうまく取り込んで独自に発展させるのが得意なのだ。
カレーライスとか、トンカツ・コロッケなんかもそうだよね。

で、次はそうめん。
そうめんの材料はうどんと同じ小麦粉なんだけど、表面に綿実油などをぬってから延ばして作るところが違うのだ。
うどんだと油はぬらないし、生地を仕上げた後に麺状に切って作ることが多いよね。
そこが大きな違いなんだ。
で、手で延ばしたのが高級な手延べそうめん、さらにその後自然乾燥させて熟成させるか、機械乾燥させるかでグレードが決まってくるのだ。
日本にある麺類では唯一乾麺でのみ流通するもので、そういう意味では実はめずらしい麺なんだよね。
お歳暮ではよくもらうけど(笑)

ちなみに、似たもので冷や麦があるけど、むかしは細めのうどんを冷やして食べるのが冷や麦で、製法がそもそも違っていたのだ。
でも、今では製法もそうめんと同じようなものも出てきていて、太さで分けられているんだって。
日本農林規格(JAS)では、 角状の場合:幅0.7mm以上1.2mm未満、厚さ約1.0mmがそうめんで、幅1.2mm以上1.7mm未満、厚さ1.3mm以上1.7mm未満を冷や麦と言うんだって。
丸状の場合は、直径が0.8mm以上1.3mm未満がそうめん、1.3mm以上1.7mm未満が冷や麦。
ボクはなんとなく丸くて細いのがそうめんで、太くて四角いのが冷や麦と思っていたよ。

そうめんは冷たい水の中で泳がせてめんつゆにつけて食べるのが一般的だけど、あたたかいまま食べるにゅうめんもいいよね。
ボクは冬場に食べるにゅうめんはなかなか好きなのだ(^o^)/
沖縄では焼きそばみたいに炒め物(チャンプルー)にするし、お吸い物の具にされることもあるのだ。
けっこうあると便利だよね。

2007/06/13

睡眠(=_=)zzZ

今朝は久々に夢を見たので、睡眠について少し調べてみたのだ。
世の中には夢を見る人と見ない人がいるけど、どうも「夢を見ていない」というのは「覚えていない」だけで、誰でも夢は見ているものなんだって。
脳波を調べると夢を見ている時の波形が出たりするのでわかるとか。
そのうちSFみたいに夢を画像化する装置ができるといいのにね。

で、睡眠なんだけど、睡眠には大きく分けて浅い睡眠と深い睡眠のふたつがあって、これは寝顔を見るだけで区別できるのだ。
浅い睡眠の時は急速眼球運動(Rapid Eye Movement)というのが起こっていて、まぶたの下で目がきょろきょろと素早く動いているのだ。
なので、頭文字をとってレム睡眠とも呼ばれるんだよね。
この状態は筋肉は弛緩しているけど脳は覚醒しているのとほぼ同じような状態で、夢を見ているのもこのときなんだって。
レム睡眠から目覚めると寝覚めもよく、夢を覚えていることも多いとか。

深い睡眠はこのレム運動がないのでノンレム睡眠とも呼ばれるんだけど、この時は脳も休んでいる状態なのだ。
で、この深い睡眠には脳波の状態でさらにいくつかに分類されるみたい。
この状態は完全に心身ともに休息している状態で、ここから目覚めると寝ぼけて目覚めがよくないそうだよ。
睡眠薬の中には強制的にこの深い睡眠に導く(脳の活動を弱める作用なのだ。)ものがあって、一般に寝覚めが悪くなるのだ。

このレム睡眠とノンレム睡眠は焼く1.5時間周期で交互に出てくると言われているんだ。
なので、うまく睡眠時間をコントロールすると、寝覚めもよくなるというわけ。
でも、それだけじゃなくて、起き抜けに強い光(特に日光)を浴びると体が覚醒を認識して、人間の体内時計もリセットされて、一気に目が覚めるんだよ。
いつまでもだらだらと暗がりにいるといつまでたっても体が起きないみたいなのだ。
ちなみに、統計的に見てみると、7時間くらいの睡眠が一番平均余命が長くなるみたい。
(平均余命というのは現在の年齢からあと何年生きられるかを統計的に調べたものだよ。0歳児の平均余命が俗に言う平均寿命なのだ。)

ことわざで「寝る子は育つ」なんて言うけど、実際にねている間には脳下垂体から成長ホルモンが分泌されることが知られていて、夜更かしすると成長ホルモンの分泌が弱まるとも言われているんだ。
なので、夜早く寝る子は確かに成長ホルモンがたくさん分泌されるので大きくなりやすいというわけ。
あながち適当なことを言っているわけでもないのだ。

睡眠に関する病気としては、不眠症や睡眠時無呼吸症候群なんてのが知られているよね。
不眠症は脳の活動がなかなか静まらなくて眠れない状態になるのだ。
なので、鎮静作用で脳の活動を抑える睡眠薬が使われるんだよね。
その鎮静作用の強さでいくつかの種類に分かれるのだ。
逆に、いつでもdこでも睡魔に襲われてしまうナルコレプシーという病気もあって、この病気は突然の眠気おそわれるからとても危険な病気なんだよね。
自動車の運転中なんかにいきなりねてしまったりしたら大変なことになるのだ。

睡眠時無呼吸症候群は、中年で「寝ても疲れがとれない」と言っている人がよくかかっているもので、名前のとおり寝ているときに呼吸が一時止まるんだよね。
これは首のまわりとかに脂肪がつきすぎて、寝ているときに気道がふさがれてしまうからなのだ。
ダイエットをするとともに、寝方(特に枕の高さ、位置など)に気をつけないといけないんだよね。

そのほか、俗に夢遊病なんて言われるものがあるけど、その中にはレム睡眠行動障害という病気があるのだ。
寝ぼけて歩き回っているようなものなんだけど、レム睡眠行動障害の場合は、普段なら筋肉が弛緩していて行動できないのに、何らかの理由で筋肉が動いてしまうので、夢で見ているのと同じ行動をとってしまうんだって。
本人は寝ているのか起きているのか区別がついていないんだよね。
「金縛り」と言われている状態は、脳はほぼ完全に覚醒しているんだけど、筋肉が弛緩したままで動けない状態なんだ。
ちょうどこの夢遊病と逆なのだ。
夢と現実の区別がつかないと言えば「荘周の夢」の話があるけど、実際にそんな状態は起こるものなんだね。
でも、夢遊病や金縛りじゃ人生の無情さはわからないのだ(笑)

2007/06/12

野菜か果物か

米国ではスイカやメロンがけっこう安いんだよね。
日本と比べると半額以下くらい。
で、これからは、水気の多いウリのおいしい季節だから、ボクも安売りしているとついつい買ってしまうのだ。
一人で全部食べるとなると、何日かに分けても食べでがあるよ)^o^(

もともと日本では野菜と果物の違いを草か木かで区別していたので、ウリ科のような1年草は野菜に区別されるんだけど、欧米のvegetableかfruitかは別の区別なんだとか(欧米の考え方では、野菜でもあり、果物でもある、とみなすらしいよ。)。
で、日本の野菜と果物の違いも欧米の考え方に引きずられてきたので、こんな話になっているとか。
一応日本的にはウリ類はみんな野菜みたい。

ボクはスイカが果物の中でもばつぐんに好きなんだけど、もともとは乾燥地帯の植物なんだよね。
日本には室町期に伝わったらしいよ。
で、タネのまわりの部分に甘い、水気の多い果肉をつけることで、その水気を目当てにスイカの果肉をタネごと食べさせ、動物に遠くまで運ばせて別の場所とフンと一緒に排泄してもらう、という戦略みたい。
なかなか考えられているのだ。
日本のスイカは緑に黒のしましまだけど、海外にはもっと色が薄くて、黄色に緑のしましまみたいなのもあるんだよね。
米国のスイカは色は日本と同じだけど、もっといびつでまるくないのだ。
日本のは形を整えるために工夫しているっていうのもあるんだけど。

ウリ科の果物といえばメロンもあるけど、メロンには2種類あって、網目ができる、いわゆる「高級な」メロンと、網目のない「庶民的な」メロンがあるよね(笑)
マスクメロンに代表されるメロンの網目は、果実が成長していくときに外の皮と中の果肉の成長の早さにずれがあって、中側の方が成長が早いので、皮がひび割れてしまってできるものなのだ。
なので、かさぶたみたいなものなんだよ。
表目がつるつるのメロンはきちんとバランスをとって成長しているというわけ。
成長のバランスが悪い方が高級っていうのもなんかおかしな話だねぇ(>_<)

そのつるつるメロンの代表は学校給食にもよく出るプリンスメロンだけど、これは日本にもむかしからあるマクワウリをメロンと交配させたものだとか。
マクワウリは縄文時代から日本で食べられていて、水分の多いウリとして長い間食べられてきたのだ。
戦前まではよく田舎で栽培していたらしいよ。
美濃国の真桑村(今の岐阜県本巣市あたり)でよく作られていたのでマクワウリと呼ばれるんだけど、唐瓜だとか梵天瓜だとか味瓜だとかいろいろな名称があるみたい。
メロンやスイカに比べて甘みはうすくて、いよいよ野菜っぽい感じだけど、ボクはけっこうその淡泊な味は好きなんだよね(^o^)/
あれはメロンだと思うからがっかりするのであって、そういうものだと思えばおいしいと思うのだ。

で、調べてみて衝撃的だったは、メロンとスイカでは食べている部分が違うということ。
スイカのいわゆる赤い果肉の部分は、メロンでいうタネのまわりのドロドロの部分。
メロンはスイカでいうところの皮に近い白い部分が厚くなって、そこに甘みもついているという状態なんだとか。
メロンだと捨てている部分をスイカでは食べていて、スイカでは食べ終わった後にぬか漬けにするような部分をメロンではありがたがって食べていることになるのだ。
同じウリ科でも違うものだねぇ。

2007/06/11

給食

ボクの夕食はメインのお皿とパンが基本なので、学校の給食のようなメニューなんだよね。
最近は学校に給食費を払わない家庭が増えていると言うけど、なんでなんだろうね?
生活保護を受けていても、給食費の分は上乗せになっているので、払わないといけないんだって。
「好きで食べているわけじゃない」ってことかもしれないけど、食べている以上は払うべきだよね。
と、そんなことを考えて、給食について調べてみたのだ。

給食の制度は戦後に始まったような感じがするけど、実は明治22年に山形県鶴岡市(当時は鶴岡町)の私立の小学校で、貧困児童におにぎり、焼き魚、煮付けといった昼食を与えたのが始まりと言われているんだって。
鶴岡市では今でもこのときのメニューを再現した給食が出るらしいよ。
でも、今のような給食制度が確立されたのはやっぱり戦後。
戦後の食べ物のない時代に、各国からの救援物資やユニセフからの救援物資を受けて児童に配給したのがはじまりなのだ。

このときの救援物資が栄養価が高い「脱脂粉乳」。
団塊の世代の人たちにはとことん不人気だけど、最近はスキムミルクの名前で健康食品としてけっこう流通しているよね。
(米国ではまず無調整乳は見ることがなくて、低脂肪乳かスキムミルクしかないのだ!)
で、このときから給食にはミルクがつきものになったのだ。

現在の学校給食の根拠は学校給食法で、その施行規則の文部科学省令で給食の定義が決められているのだ。
それには3種類あって、

(1)完全給食:  パン又は米飯、ミルク及びおかずからなる給食
(2)補食給食:  完全給食以外でミルク及びおかず等からなる給食
(3)ミルク給食: ミルクのみである給食

と、どの給食でも必ずミルクが含まれることになっているんだよ!
やっぱり最初が肝心だということかな?
無理にミルクを含まなくてもいいような気もするけど。

開始当初はそれこそ脱脂粉乳とコッペパンというメニューだったんだけど、高度成長期に入ると給食メニューも増えてきて、クジラ肉を使った大和煮や竜田揚げなんかも出るようになったのだ。
もちろん他のおかずもあったけど、今はクジラは商業捕鯨ができなくてあまり食べられないから、余計ノスタルジーをかき立てて、「思い出のおかず」になるんだよね。
その後、カレーライスやスパゲッティ、ハンバーグなどの子どもの好きなおかずが登場し始めて、パンも揚げパンなどの子どもに人気のパンも出るようになるのだ。
さらに、昭和も終わりのころになると、家庭での洋食化が進んで米の消費量が減ったため、古米を消費するために学校給食に米飯が増えてくるのだ。
それまではカレーライスくらいだった米飯給食が、炊き込みごはんや手巻き寿司、ピラフなどと一気にバリエーションを広げたんだよね。
今では地域の特産品を活かした給食や、季節の行事(七草がゆ、ひなまつりなど)を取り入れた給食なんかも出るみたい。

ボクが子どものころはまだ学校の中に給食室のある学校がけっこうあったけど、今はたいてい給食センターの一括管理なんだよね。
その方がコストが安いのかもしれないけど、お昼前に給食のにおいがしてくるのが楽しみだったのにな。
いまではそういうのは味わえないんだね。
さらに、給食と言えば、かつては軽くて丈夫なアルマイトの食器が使われたけど、今ではセラミックが主流みたい。
アルマイトは戦前に財団法人だった理化学研究所で発明されたもので、日本が世界にほこる金属加工品だったんだよ。
で、こういうことを言っていると、ジェネレーション・ギャップが出てしまうのだ・・・(>_<)
最近の子どもは「先割れスプーン」も使ったことがないそうだよ!
あれって批判はいろいろとあったけど、それなりに便利なんだけどね。

ボクが小学生時代に最後まで納得できなかったのは「三角食べ」(今でも納得できないけど。)。
牛乳、パン、おかずを交互に食べていくってことなんだけど、おかずと牛乳を一緒に食べたら味がおかしくなっちゃうよ、ということで、ボクはいつも牛乳は一気のみだったのだ(笑)
クラスでも1番早飲みだったんだよ(^o^)/
それと、むかしは食べ残すと昼休みがなくなったり、放課後まで残されることもあったけど、最近ではそういうこともしないんだそうだよ。
たしかにあまり意味ないし、最近はアレルギーとかで食べたくても食べられない場合もあるしね。

ということで、給食は時代とともにどんどん変化しているのだ。
でも、このまま不払いが続くと、給食制度自体がなくなってしまうのかな?
みんなで「同じ釜の飯を食う」っていうのは、集団行動の練習としていい面もあると思うんだけどな。

2007/06/10

シナモン

ボクはシナモンの甘い香りが好きで、シナモン風味のお菓子なんかがあるとついつい選びがちなのだ。
リンゴとシナモンの組み合わせなんてたまらないよね。
シナモン風味の紅茶も、砂糖を入れなくても甘い感じがしておいしいのだ。
香りだけで甘そうっていうのがいいんだよね(^o^)/

シナモンは熱帯に広く生育しているクスノキ科の植物で、いわゆる香辛料のシナモンはこの木の樹皮を乾燥させて粉にしたものだよ。
樹皮のまま小さく切ってまるめたのがシナモン・スティックなのだ。
漢方では桂皮という名前で、食欲増進を増進させたり、体を温めたり、健胃作用、発汗作用などを目的に使われるのだ。
香りとほのかな甘みもあるから、そういう意味でも調合されることがあるみたいだよ(漢方薬ってくさくて苦いイメージがあるからね。)。
最近では、シナモンの甘い香りは気分を落ち着けて不安を和らげる作用もあると言われていて、アロマとしても使われるのだ。
たしかにシナモンの甘い香りはほんわかするよねぇ。

日本や中国には近縁の木もあって、それがいわゆるニッキ(肉桂)なのだ。
ちょっと成分が違うけど、主要な成分は同じみたい。
でも、ニッキっていうとシナモンよりちょっぴり辛みや苦みをイメージするよね。
ニッキアメと言われると魅力がないけど、同じ香りでもシナモン風味というとありがたみが増すのだ(笑)
関西ではおなじみのニッキ水も、シナモン・フレーバー・ティーに比べると庶民的な感じだよね(>_<)
香り成分は同じようなもののはずなんだけど、イメージかな?

シナモンは古くから人類に使われていて、エジプトでは紀元前4,000年にミイラの防腐剤として使われていたんだって。
中国では、中国でもっとも古い医薬の本である、後漢時代の「神農本草経」に載っているとか。
ちなみに、神農氏というのは中国の古代の支配者の三皇五帝の三皇の一人で、牛頭人身の神様なのだ。
百草をなめ、毒と薬に分けたという伝説があって、医薬の神様として信仰されているんだよ。
続く五帝の一人の黄帝は中国の伝統医療である漢方(正確には中国の生薬を使った伝統医療は「中薬」というのだ。漢方は漢の時代の中薬の処方のことで、日本にはこれが最初に伝わってたので中国の伝統医療を一般に漢方と呼ぶのだ。)を完成させたと言われていて、現存する最古の医学書の「黄帝内経」を表したとも言われていて、神農氏とならんで崇敬されているのだ。
ユンケルに名前を残しただけじゃないんだよ(笑)

2007/06/09

カレーライス

暑いと辛いものが食べたくなるよね。
ボクは毎新田部手もいいくらい、カレーライスやカレーパンが好きなのだ。
カレーライスといえば今や日本の国民食とも言われるほどメジャーなものだけど、実は戦後に普及したものなのだ。
日本のカレーの発祥は定かではないみたいだけど、英国経由でインドのカレーが伝わったとするのが一般的みたい。
なので、英国式のカレーはどことなく日本のに似ているんだって。

カレーが一般にも普及したのは日本軍で兵士が食べて気に入って、家でも食べるようになったから、と言われているんだけど、これにも海軍説と陸軍説があるみたい。
どちらかというと陸軍の方が人数も多いし、いろんなところに基地もあったから信憑性は高そうだよね。
でも、横須賀海軍カレーなんて伝統的なメニューもあるし、海上自衛隊では、曜日感覚をなくさないように、毎週金曜日の昼食はカレーライスなんだって。
海の上にいると曜日がわからなくなるので、同じメニューを出すことで曜日感覚をとりもどすのだ。帝国海軍の時は土曜の昼食で、その伝統が今も残っているそうだよ。
(これはうちの実家も同じで、ボクが中学生の時に提案して、毎週土曜の夜はカレーライスで、日曜のお昼にその残りを食べていたんだ。2日目のカレーがまたおいしいんだよね。)
それに、海軍といえば、東郷平八郎元帥が英国で食べたビーフシチューの味が忘れられず、和風にアレンジして肉じゃがが生まれたなんて話もあるし、けっこう料理と関係が深いのだ。

一方、陸軍では交代制でみんなが炊事を担当していて、専門の炊事番がいる海軍とは違って、誰でも家にカレーライスの作り方を持って帰ることが得きる状況にあったのだ。
これはけっこう大きな話で、食べておいしかったから、と言っても家で再現できるわけじゃないから、作ったことがある、っていうのは重要なんだよね。
で、陸上自衛隊にも名物のカレーがあって、それはレンジャーカレーというもの。
カレーライスに納豆がのせられているんだけど、なぜそう呼ばれているのかはすでに不明なんだって。
ボクは家で試してみたことあるけど、なかなかいけてたよ。
納豆が好きな人なら、カレーの味がマイルドになってよいのだ(^o^)/

日本のカレーライスにはジャガイモが入っているけど、これを発案したのは、「Boys, be ambitious!」でおなじみのクラーク博士と言われているそうだよ。
クラーク博士は札幌農学校の教頭として赴任したんだけど(結局8ヶ月しか札幌にはいなかったのだ。)、そのとき、日本の学生の体が貧弱なのは米食のせいだと思って、学生にごはんを食べることを禁止したのだ。
かわりにパンを食べるように指導していたんだけど、肉と野菜と炭水化物がバランスよくとれるからと、カレーライスだけは例外として扱われていという話が伝わっているんだ、信憑性はちょっと怪しいんだけど。
で、問題のジャガイモは米不足を補うためにガサ増やしで入れたみたい。

ボクは大学生時代毎日のようにカレーパンを食べていて、なかば主食と化していたんだけど、カレーはおいしいよね。
カレーの味はそんなに変わらないから、どこに行ってもある程度安心して食べられるのがうれしいのだ。
このボクの大好きなカレーパンの元祖といわれているのが、大江戸線森下駅近くにある、深川のカトレアなのだ。
ここの揚げたてのカレーパンを食べたことがあるんだけど、おいしかったよ。
カレーうどんもおいしいし、カレースパゲッティや、カレーピラフ・炒飯、なんでもありだよね。
そこもまたカレーの魅力なのだ。
インド人は毎日カレーを食べているわけだし、日本人でも毎日カレーを食べていてもいいんだよね、黄レンジャーみたいに(笑)

2007/06/08

万能な細胞

米国では、科学雑誌Natureの電子版に掲載された、皮膚の細胞からヒト胚性幹細胞(ヒトES細胞)と同じような万能細胞を作ることに成功したという論文が大きく報道されているのだ。
日本でも少しはニュースになっているみたいけど、こっちではワシントン・ポスト紙の1面をかざっているよ。
ひとつは京都大学再生医科学研究所の山中教授の論文で、もうひとつはマサチューセッツ工科大学(MIT)の論文
で、今回はこのES細胞について調べてみたのだ。

ES細胞というのは、Embryonic Stem Cellのことで、胎児になる手前の胚(embryo)から作られるもので、理論上はどんな細胞にも分化できるので、俗に「万能細胞」と呼ばれるのだ。
受精卵はどんどん2倍2倍に増えていくんだけど、4回分裂した16細胞期から、6回分裂した64細胞期あたりの細胞を取ってる来るんだよ。
このころになると桑実胚というその名のとおり桑の未のようなぶつぶつがくっついた状態から、胚盤胞という中にすきまができた状態になるのだ。
すると、外側の球面状の部分は後に胎盤になって、すきまの中にある内側の部分が胎児になるんだよ。
この胎児になる部分を取り出して細胞株にしたものがES細胞というわけ。

もともとはマウスで奇形がん腫(tertoma)というのが知られていて、これはおおきなこぶみたいながんが皮膚の下にできるんだけど、その中には骨とか毛とか血球とか様々な形の細胞がぐちゃぐちゃにまざっていることが知られていたのだ。
で、このがんの中からまだそういう細胞に分化しきっていない未分化の細胞を取り出して細胞株にしたところ、いろいろな細胞に分化できる細胞が手に入ったんだよね。
これが胚性がん細胞(EG細胞:Embryonic Carcinoma Cell)というもので、通常のマウスの胚盤胞のすきまの中にこの細胞を入れると、キメラマウスができることが発見されたのだ!
キメラというのはひとつの個体の中で異なる遺伝情報を持つ細胞が共存している状態で、このキメラマウスは、通常のマウスの受精卵由来の細胞と、EC細胞由来の細胞がまざった状態になっているということなのだ。

で、EC細胞で研究が進められていくうち、さっきのES細胞も作られるようになって、1981年にマウスのES細胞が登場して、1998年にはウィスコンシン大学でヒトのES細胞が作られたんだ。
で、この分野の研究が一気に進んだわけ。
似たような細胞で、人工妊娠中絶した胎児の生殖器から生殖細胞のもととなる始原生殖細胞をとって作られる胚性生殖幹細胞(EG細胞:Embryonic Germ Cell)なんてもあるのだ。
米国では、日本みたいにかぎのついた棒でかき出すのではなくて、掃除機のような装置で吸い取るので、中絶の時に胎児がそのままの形で出て来るのでこういう細胞を作ることができるのだ。
でも、どちらにしても、ヒトの受精卵を使ったり、胎児を使ったりするので、倫理的に課題があるわけ。

日本では文部科学省が内閣府の総合科学技術会議と協力して指針を作っていて、それに従ってヒトのES細胞の研究が行われているのだ。
最近改正されたみたいだよ。
で、米国の場合は、人工妊娠中絶自体が大きな政治的な問題で、今の共和党政権はもともと中絶には否定的なこともあって、ヒトES細胞を作る研究には連邦予算から予算を出さない、という大統領令が出ているのだ。
前は全面的に禁止だったんだけど、今ではすでに存在しているヒトES細胞を使った研究にはお金が出るんだよ。
でも、民間からの資金でやる分には自由だし、もともと最初のヒトES細胞も米国で作られているのだ。
一方、議会で多数派を占める民主党は中絶容認派で、医薬業界からも強い要請を受けているので、ヒトES細胞の研究を侵攻するための法案を議会に提出しているんだよね。
でも、これはおそらく大統領の拒否権発動で実現しないと言われているのだ。

日本では理化学研究所の発生・再生科学総合研究センターや京都大学の再生医科学研究所が中心になって研究を進めているんだけど、その他にも多くの大学や研究機関で研究をしているみたい。
世界的にも大規模に研究が行われているのだ。
というのも、このES細胞はどんな細胞にも分化させられると考えられているので、将来の移植医療用の材料として期待されているんだよ。
実際に一部の神経細胞がダメになるパーキンソン病や、すい臓のインスリン産生細胞がダメになるタイプの糖尿病などで期待が高まっているんだ。
これらは細胞に分化させられればすぐに使えるから、かなり実用化が近いと言われているんだよね。
さらに将来的には肝臓や腎臓といったようにまるまるの臓器にすることも考えているみたい。
そうすると、移植用の臓器不足が一気に解消する可能性があるわけ。

さらに、クローン技術を使えば、自分と同じ遺伝情報を持ったES細胞を作れるので、拒絶反応をまったく起こさないものも作れる可能性があるのだ。
今回話題になっている山中教授の研究は、もともと自分の皮膚の細胞からES細胞と同じような万能細胞が作れるので、クローン技術を使わなくてもすむわけ。
まだまだ発がん性などの安全性の問題があるみたいだけど、かなり期待されているみたいだよ。

それにしても、技術は知らないうちにどんどん進化していくものなのだ。
でも、必ずこういう問題には社会との関係、特に倫理の問題が出てくるんだよね。
そもそも移植医療自体がやっていいことかどうかという議論もあるし、このES細胞の場合はヒトの受精卵を使ったり、クローン人間の産生につながる技術だったりするので、やっぱり倫理的問題があるのだ。
山中教授のものにしても、クローン人間の産生につながりかねないものだし、倫理問題が完全にクリアされたわけじゃないんだよね。
アインシュタイン博士は原爆の製造を契機に科学と社会との関わりを意識するよう世界に訴えたわけだけど、この問題も同じようなことをはらんでいるのだ。
ちょっと調べてみるとそういうこともわかって、なかなか興味深いね。

2007/06/07

人工衛星

天気予報を見ていて、気象衛星のことが気になったのだ。
気象衛星は静止衛星のひとつだけど、静止衛星って本当に「静止」しているわけではなくて、地球の自転と同じ速度で赤道上空を回っているから「止まっているように見える」ということなんだよね。
実際には、赤道の上空約36,000kmをまわっているのだ(物理学的により正確に言うと、「永遠に落ち続けている」ということみたい。)。

これはニュートンさんの古典物理学で軌道の高さが決まっているんだよ。
実際にわりと簡単に計算できて、地球の重力を向心力とする等速円運動として考えると、この値が出てくるのだ。
運動方程式にあてはめると、向心力=人工衛星と地球の間の万有引力(すなわち重力)となるので、地球の質量をM、人工衛星の質量をm、地球の赤道半径をR、人工衛星の軌道高度をr、で、万有引力定数をGとすると、

 向心力=重力=GmM/(R+r)

となって、等速円運動の時の向心力は、円運動の角速度ωとすると、m(R+r)ωになるから、

 角速度ω=GM/(R+r)

となるのだ。
この円運動の周期Tは、2π/ωなので、

 周期T=2π×(R+r)3/2/(GM)1/2

となるわけ。
この式がおもしろいのは、人工衛星の質量は関係なくて、軌道の高さだけで周期が決まるということなのだ。
どんな重さの人工衛星でも、軌道高度が同じなら同じ周期で地球のまわりを周回するんだよ。
このTが24時間で、地球の質量Mが6×1024kg、赤道半径Rが6,400km、万有引力定数Gが6.7×1020/skgなので、rを求めると、約36,000kmが出てくるよ。
(自分ではきちんと計算していないけど、だいたいそんな値が出るはずなのだ・・・。)

で、カーナビに使われているようなGPS衛星は、12時間周期で地球のまわりを回っているんだよね。
上の式からそれを考えてみると、(36,000+6,400)で24時間で、その半分だから、GPS衛星の軌道をr’とすると、42,4003/2=2×(r’+6,400)3/2になって、

 r’=42,400/41/3-36,000

になるのだ。
4の立方根はだいたい1.6くらいなので(1.6の三乗は4.096)、約20,000kmという値が出てくるんだよね。
実際にGPS衛星の軌道高度は20,000kmくらいなので、この式はおおよそあっているのだ。

でも、実際には地球は完全な球体じゃなくて重力に偏りがあるし、人工衛星の軌道も完全な円軌道ではないので、少し値はずれるのだ。
それに、月や太陽の引力の影響、地球のまわりにある微量の粒子による摩擦の影響なども受けるので、人工衛星の軌道は徐々にずれていってしまうんだって。
なので、実際の軌道を観測しながら、微修正をしているのだ。
人工衛星にはスラスタなどの軌道の高さを一定に保つための装置がついているんだよ。
で、この人工衛星を一定の軌道にとどめる操作を運用と言うのだ。

静止衛星を打ち上げるときは、北半球では東打ちといって東の方向に向けて打ち上げるんだけど、これにはわけがあるんだ。
北半球で東の方向に打ち上げると、地球の自転と同じ方向に打ち上げることになるので、打ち上げたロケットの速度に地球の自転速度の分が上乗せされることになるのだ。
ロケットが地上に落ちずに静止軌道まで人工衛星を届けるためには、それだけの推力とスピードが必要なんだけど、特に軌道高度の高い静止衛星の場合は地球の自転速度の分の上乗せでより効率的に打上げができるということなのだ。
(実際には静止軌道への遷移軌道に投入するんだけどね。)
よく地球の自転による遠心力を推力に上乗せしていると誤解されるんだけど、地球を止めてみた場合の遠心力は重力の抗力で実際には関係していないのだ。

2007/06/06

エイズ発見の日

今日新聞で「今日は何の日?」のコーナーを読んでいたら、エイズ発見の日であることがわかったのだ。
1981年、ロサンゼルスの同性愛者の男性が奇妙な肺炎の症状を示していることを米国疾病管理センター(CDC:Center for Desease Control and Prevention)が症例報告して、これが後にエイズであることがわかったんだって。
その前から怪しい病気があることは認識されていたけど、このときを境に「エイズ」という病気が認識されたので、エイズ発見の日となったのだ。

エイズ(AIDS)は、後天性免疫不全症候群(Acquired Immune Deficiency Syndrome)の頭文字をとったもので、名前のとおり、後天的に(=生まれながらではなくて)、免疫機能がダメになってしまう病気なのだ。
この病気はヒト免疫不全ウィルス(HIV:Human Immunodeficiency Virus)による感染症で、エイズ発見の年から2年後の1983年にはパスツール研究所で見つけられているんだって。
今では詳細な遺伝子構造なんかまでわかっているんだよね。

エイズの病原のHIVはレトロウィルスという種類のウィルスで、遺伝情報をリボ核酸(RNA)の形で保存しているのだ。
で、このHIVはヒトのリンパ球のひとつのT細胞に進入して、自分のRNAを鋳型に、T細胞のデオキシリボ核酸(DNA)にあるもともとの遺伝情報を書き換えてしまうのだ!
これを逆転写(reverse transcription)と読んでいて、レトロウィルスの「レトロ(逆)」はここから来ているのだ。
で、免疫系がダメにされてしまうので、だんだんと病気にかかりやすくなっていくんだよね。
最初はカゼのような症状だけど、末期には、普通の人は自然免疫のおかげでかからないような感染症にかかってしまったり、がんにかかりやすくなってしまうのだ。
潜伏期間が長いことも特徴で、いつ発症するかわからないところもおそれられているんだよね。
エイズの判定テストも、ある程度ウィルスが増殖した状態でないと検査できないので、感染後数週間から1ヶ月たたないとわからないらしいのだ。
これがますます感染を拡大する原因にもなっているんだよね。
今では世界中でどんどん感染者が増えているのだ。

今ではエイズの治療薬も多少あるけど、これはHIVの特徴でもある逆転写を止めるもので、逆転写酵素を阻害するのだ。
でも、HIVの増殖を抑えるだけで、HIVを駆逐するわけではないので、根治にはいたらないんだよね。
他にもHIVに特徴的なタンパク質合成を阻害するプロテアーゼ阻害剤というのもあるんだ。
これはHIVを構成するいくつかのタンパク質がはじめは一本の長いタンパク質として作られて、それがいくつかのパートに切断されて作られていくことをターゲットにしたもので、その切断を阻害してしまうことでウィルスの増殖を抑えるのだ。
でも、これもやっぱり根治にはいたらないんだよね。

エイズといえば有名な都市伝説があって、「エイズ・メアリー」(男女が入れ替わった「エイズ・ハリー」というバージョンもあるのだ。)というものがはやったことがあるのだ。
これは、旅先のバーで知り合った女性と意気投合し、そのまま勢いで一夜をともにしてしまうんだけど、翌朝はその女性は消えているのだ。
で、ふと鏡台を見ると、口紅で「エイズの世界へようこそ」と書いてある、という話なんだよね。
これはエイズがもっぱら体液接触で感染することから来たもの。
カゼのように飛沫感染はしないので予防はしやすいはずなんだけど、潜伏期間が長くて自分がウィルスのキャリアだって知らないことも多いので、なかなか難しいみたい。
それと、そもそも途上国ではまだまだ避妊具が普及していないこともあって完全な予防は難しいみたい。
よく途上国に避妊具を普及させるキャンペーンをやっているよね。
他の感染経路しては、母体から胎児へ感染してしまう垂直感染や、HIVを含む輸血用血液や血液製剤の使用による薬害があるんだよね。
特に薬害エイズは大きな社会問題にもなったけど、これは完全に人為的なミスでもあるから、誰かの責任を追及するのもいいけど、二度と起こさないようにすることがまず一番大事だと思うな。

エイズに似た病気は動物の世界にもあって、HIVはもともとサルのウィルスがヒトにうつって進化したものと考えられているんだよね。
RNAはDNAより不安定な物質で変異が入るのが早いので、比較的短期間でヒトにエイズを発生させるウィルスになった可能性もあるのだ。
ネコにも同じようなウィルスがあって、通称ネコエイズと呼ばれているのだ。
後尾だけでなくてけんかのときの傷口からも感染するので、野良猫の間でかなり流行してしまって問題になっているんだよ。
飼い猫でも基本的には自由に外に出るから、けんかしたり野良猫と交尾させないように気をつけないといけないのだ。

2007/06/05

命か、権利か

米国では来年の大統領選に向けて議論が活発化してきたのだ。
共和党、民主党それぞれ大統領選の候補者はあらかた出そろったという感じ。
これから予備選まで資金集めと支持集めが続いて、来年のはじめに両党で候補者を決定、10月のTV討論を経て、11月に本番の大統領選なのだ。

米国の大統領選では、毎回のように「中絶(abortion)」問題が議論になるんだよね。
日本だとそんなに議論になることはないけど、こっちでは、胎児であろうと生命を尊重しようとするpro-lifeの人たちと、中絶はあくまでも女性の社会参加のための権利・選択肢のひとつであって容認されるべきとするpro-choiceの人たちの議論が戦わされるのだ。
保守の共和党はpro-life、革新の民主党はpro-choiceのことが多いよ。
米国はもともと英国から清教徒(ピューリタン)が船でわたってきたところから始まるわけで、今でもキリスト教の戒律にはうるさい人たちがいるのだ。
その一方で、自由の国でもあるから、合理的な範囲では可能な限り選択肢を持てる社会を構築しようともしているのだ。
で、このせめぎ合いがこの中絶問題で表面化してくるという図式。

今のブッシュ大統領は共和党で保守派だから、基本的にはpro-lifeの考え方で、そのためにヒト胚性幹細胞(ES細胞)の研究にも消極的なんだよね。
(すでにあるものは使っていいけど、新たに作ってはいけない、という考え方。実際には連邦予算から研究助成をしないということで、禁止しているわけではないけど。)
その一方で、pro-choiceの民主党はヒトES細胞の研究を進めるための法案を用意して議会に提出するんだけど、そのたびに大統領の拒否権の発動にあって実現しないのだ。
この問題は中絶そのものだけじゃなくて、そういうところにまで影響しているんだよね。
二律背反だからわかりやすいといえばわかりやすいんだけど。

キリスト教では、受精の瞬間から生命が始まると考えるので、中絶は殺人と同じなんだよね。
これはローマ法王庁の公式見解で、前のヨハネ・パウロ2世はわりとマイルドな物言いだったけど、今のベネディクト16世はかなり強くこの意見を表明しているよ。
南米は世界的にもっとも多くのカトリック信者がいる地域なんだけど、その中でもカトリック信者がもっとも多いブラジルで、経口避妊薬(いわゆるピル)を認める法案の動きがあるのだ。
で、先日ブラジルを訪れた法王はこの動きに対して非常に強い懸念を表明していて、米国ではかなり報道されていたんだよ。

ローマ法王庁としては、「夜の営み」は子供をもうけるための行為であって、決して快楽のためだけにしてはいけない、という見解なのだ。
これは仏教の五戒の「不邪淫」も同じだけど、キリスト教の中でもカトリックでは特に厳しいんだよね。
カトリック系信者の多いアイルランドでは実際に中絶が禁止されているんだけど、レイプされて子どもを身ごもってしまった少女の中絶が許されるかどうかが大問題になったこともあるくらい!
そういう見解だから、避妊具を使うことにもローマ法王庁は否定的で、「オギノ式」(もともとは過去の月経周期から次の排卵日を予測する方法であって、不妊治療の目的で開発されたものなんだけど、今ではその逆の避妊法に使われてしまっているのだ。)が「法王も認めた唯一の避妊法」といわれるのもこのためなんだよね。
たしかにローマカトリック教会で唯一認めている避妊法なんだけど、本来的にはバース・コントロールという考え方自体がキリスト教の教えに違反しているはずだから、生まれないように工夫するっていうのはまずいような気もするんだけどな・・・。
人間の自然の周期をうまく使って、人工的な薬や器具に頼らないっていうところで妥協しているのかな?

日本では、「母体保護法」(かつては「優生保護法」)という法律で「限定的」に中絶が認められていて、一般的には刑法で「堕胎罪」が定められているので禁止されていることになっているのだ。
刑法第212条から第216条までの第29章が堕胎に関する罪を定めたもので、妊娠した女性が自分で薬等を使って堕胎しても1年以下の懲役になるし、妊娠した女性から頼まれて堕胎させた場合は2年以下の懲役なのだ。
これに対して、母体保護法では、「妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの」と「暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの」の場合は例外的に人工妊娠中絶を認めているという構図で、この母体保護法が刑法の特別法になって、日本では合法的に中絶が行われているのだ。
で、ほとんどの場合は「経済的理由」というやつで中絶しているんだよね。
たまに母体の健康状態がかんばしくなくて、妊娠状態を継続することが母体の生命を脅かすおそれがある、として中絶される場合もあるけど。
(前の「優生保護法」時代は、優生思想に基づいて「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」ことも目的になっていたので、当時は遺伝すると考えられていたハンセン病の人は不妊手術をされたり、中絶させられたりしたんだよ。それで悪法であると非難され、昭和23年に改正されて母体保護法になったのだ。)

で、刑法ではわざわざ「堕胎の罪」なんていうのを用意しているくらいなので、「堕胎」は「殺人」でないのだ。
これは、「胎児」は「人」として扱わないってことで、一般には生まれた瞬間から「人」と考えることにして、母親のおなかにいる間は「胎児」として区別するみたい。
一方、民法においては相続や損害賠償に関する条項で、「胎児は既に生まれたものと見なす」、という規定があって、「胎児」であっても「人」と同じ扱いをしていて、刑法とは考え方を異にしているんだそうだよ。
さらに、「生まれた」という状態を、一部でも出てきた瞬間ととらえるのか、全部が出てきた瞬間ととらえるのかでも議論があるし、さらに、帝王切開した場合の扱いや、超未熟児についてどう考えるかなど(これらは自然状態では「生まれていない」ことになるよね。)、グレーゾーンも多くて明確にはボーダーラインが引けないみたい。
なので、個別に判例を重ねていくということらしいよ。
ちなみに、「死体解剖保存法」では、「死体」を「妊娠四月以上の死胎を含む」としていて、妊娠4ヶ月以降なら、死んだ「胎児」も死んだ「人」と同じに扱っていて、また刑法や民法と違う扱いをしているんだよね。
なんだか複雑なのだ。

2007/06/04

たんたんたぬき

タヌキは、むかしから人里近くにも住んでいたので、日本人にとても親しまれてきた野生動物なのだ。
なのでよく民話とかにも登場するんだよね。
でも、必ずしもきちんとタヌキを識別できていたわけじゃなくて、姿・大きさの似ているアナグマやテン、ハクビシンなんかもいっしょくたに扱われていたっぽいんだよね。
それで方言なんかに混乱が見られるのだ。

タヌキの異称として、ムジナとかマミとかがあるけど、どれが何を指すのかは地方によってもまちまちで一定していないのだ。
一般には、ムジナはアナグマのこととされるけど、どうも後付けみたいなんだよね。
マミにいたっては、辞書で調べると、「タヌキ又はアナグマ」とか書いてあるんだよ!
なので、タヌキとかムジナとかマミっていうのは、人々のイメージの中でタヌキっぽい動物一般を指す言葉で、きちんと区別して使っていたわけではなさそうなんだよね。

タヌキは食肉目イヌ科の動物で、アナグマは同じ食肉目でもイタチ科で近くで見ると全然違うんだよね。
でも、タヌキはアナグマが使っていた穴を巣穴にしたりするので、余計に混同される結果となったのだ。
ハクビシンは食肉目ジャコウネコ科の動物で、長らく中国大陸からの帰化動物と考えられていたんだけど、よくよく調べてみると、タヌキやアナグマと区別されていなかっただけで、もとから日本にいたものかも、と考えられ始めているらしいのだ。
ハクビシンもやっぱりアナグマやタヌキが使った巣穴を使うんだって。
こうやって同じような行動ばかりするから間違われるんだよね、本人たちはそんなこと知ったこっちゃないだろうけど(笑)

俗にタヌキは「八畳敷」なんて言うけど、実際のタヌキの睾丸は体のサイズに比べて特別大きいわけではないのだ。
はく製を見れば一目瞭然。
これは、むかし金細工を作るときにタヌキの皮を使って延ばすと金がよく延びたので、そこからイメージがついたみたい。
一説には1匁(3.75g)の金が八畳程度の大きさまで延びるからとのこと。
さらに、福を呼ぶイメージが定着し、タヌキの置物がかざられるようになったらしいのだ。
で、大きな「袋」はそのときのおまけみたいなものみたいだよ。
「金がよく延びる」からデフォルメして大きくしたんだろうね。

キツネに比べるとおっとりした感じで親しみやすいけど、これはタヌキの動物としての性質によるみたい。
キツネはかなり俊敏な動物で、警戒心も強いんだけど、タヌキはどちらかというとどうもまぬけな感じなのだ。
「タヌキ寝入り」なんて言うけど、これは漁師の鉄砲の音に驚いてタヌキが気絶してしまうことから来たようで、漁師は仕留めたと思って捕まえるんだけど、実は気絶してただけなので、油断していると後で逃げてしまうのだ。
これが死んだふりと思われたわけだけど、ようは臆病で逃げることもできずに腰をぬかしているんだよね(笑)

タヌキの中には妖術で高名な(?)やつがいるのだ。
このへんはキツネや天狗といっしょなんだけど、それだけ妖怪としても庶民にも親しまれていたってことかな?
四国の八百八狸を従える隠神刑部(いぬがみぎょうぶ)、屋島の禿(はげ)、阿波狸合戦を制した金長大明神、佐渡からキツネを追い出した団三郎、芝居見物を好んだ淡路の芝右衛門などなど、有名な狸がたくさんいるんだよ。
どれもちょっとにくめない性格で描かれているのが特徴だね。
冷酷に描かれることの多いキツネやネコとは違うのだ。

これらの有名なタヌキたちも登場する、スタジオジブリの「平成狸合戦ぽんぽこ」にもあったけど、最近は山間部の開発が進んでいるので、タヌキは少なくなってきているんだって。
なんだかさびしい話だよね。
山が狭くなって、里に下りてくると、畑を荒らすので害獣とされたり、高速道路で車にはねられたりとさんざんだよ・・・。
愛らしい動物なので、なんとか自然を保護して生き残ってほしいよ。

2007/06/03

血液型

今日は医学関係の展示と遺伝学の展示を見たので、血液型のことが気になったのだ。
これって、一番身近なものだよね。

日本で一般に「血液型」と言われているものは、1900年にオーストリアの医学者のカール・ラントシュタイナーさんが発見したABO式のことなのだ。
この他にも、Rh式なんかは有名だよね。
他にも、MN式とかもあるそうだよ。
臓器移植とかになると、これに白血球の型(HLA抗原の型)なんかも出てくるのだ。

この血液型と性格判断をリンクさせているのは、日本と一部の国だけで、外国では通じないんだよ。
星占いは共通しているんだけどね。
血液型と性格・行動については、統計学的にも相関はなさそう、という結果は示されているみたい。
性格に影響を与えるような遺伝子と血液型を決める遺伝子が染色体上ですぐ近くにあったりすれば、ひょっとしたら関係はあるのかもしれないけど、肯定的な証拠は出ていないのだ。
一般的には、あんまり関係ないと言われているよね。
そもそも、血液型ごとの性格も、誰にでもそういう一面はあるよな、っていうのが多いのだ。

このABO式の血液型というのは、赤血球表面の糖鎖抗原の違いで、A型の人はB型の抗原に対する抗体を持っていて、B型の人はA型の抗原に対する抗原を持っているのだ。
O型の場合はこの抗原がまったくない状態で、A型・B型両方の抗原を持っているんだよ。
逆にAB型は両方の抗原を持っているので、抗体はないのだ。
で、この抗原と抗体の反応が起こるから、血液型の異なる血液を混ぜると凝集が起こるというわけ。
簡易的な血液型テストはこの抗原への反応性で赤い凝集(沈殿)ができるかどうかで調べるんだよね。

で、この血液型はよく遺伝学の授業でも出てくるんだけど、A型抗原の情報を伝えるA遺伝子、B型抗原の情報を伝えるB遺伝子、どっちの情報も持っていないO遺伝子があって、その組み合わせなのだ。
A遺伝子とB遺伝子は優劣がないんだけど、O遺伝子はA遺伝子、B遺伝子に対して劣性なんだよね。
なので、例えば同じA型でも、AA型の遺伝子の人と、AO型の遺伝子の人がいるのだ。
なので、A型とB型の両親からO型の子どもが生まれることがあるんだよ。
このせいで血液型で血がつながっているかどうかを単純に判断しようとするとむずかしいんだよね。
祖父母の代までさかのぼって血液型を調べたり、いろいろなパターンを考えないといけないのだ。

世界全体ではO型の血液の人が多いらしいけど、日本はA型が多かったりと、地域でのかたよりがあるみたいなのだ。
そういうのを考えると、なんか血液型が民族性に影響を与えているような気もしてくるよね。
例えば、鎌状赤血球症(sickle cell anemia)という特殊な病気があって、赤血球がまるい形じゃなくて「鎌」のような形にひしゃげているのだ。
で、酸素運搬能力がまるい赤血球に比べて劣るので貧血気味になるらしいんだけど、実は、この赤血球はマラリアに耐性があることが知られているのだ。
なので、貧血気味なのとマラリアにかかりにくいのの間で、この血液型の人たちも生き残ってきた、と言われているんだ。
ひょっとしたら、血液型でもそういう関係があって、地域ごとに「適した」型があるのかも。
残念ながら、血液型と病気との相関はほぼないことが証明されているので、あるとすれば、「暑いのに強い」とか、「乾燥に強い」とかそういうののはずなのだ。

2007/06/02

保安官

米国には警察のほかに保安官組織があるんだよね。
でも、どういう仕切りになっているかまったくもって不明なのだ。
で、少し調べてみたわけ。

保安官はもともと治安を守る自治組織として生まれたもので、保安官は選挙で選ばれるらしいよ。
西部時代は荒くれ者がなったりもしたみたいだけどね。
で、当時の保安官は警察業務だけじゃなくて一部司法(裁判に関する仕事)も扱っていて、日本で言うと江戸時代の町奉行の役割に近いのかも。
保安官というのは一番偉い人で、実際には副保安官や保安官代理という人たちが法を執行するんだって。
今でも全米各地に残っているけど、州ごと、群ごとでも役割は異なっていて、一概に何をしているとも言えないとか。
警察みたいな仕事をしている場合もあれば、囚人の搬送や刑務所の管理、令状の送付、ハイウェイのパトロールなど、特定の仕事だけをしている場合もあるんだって。
ますますわからないのだ。
でも、こっちの人も実はよくわかっていないみたい(笑)

警察は後からできた機構で、もともとは保安官を補佐するために組織されたとか。
それが政府の執行機関になって、犯罪の捜査やパトロール、交通規制なんかをするようになったのだ。
でも、この警察も複雑で、米国の場合は州ごとに役割が異なるらしく、階級や発令権限もまちまちなんだって。
警察は地域ごとじゃなくて、メトロ警察や議会警察など、特定の場所・団体に対する警察もあるみたい。
日本の鉄道警察隊や皇宮警察みたいなものだろうね。
さらに、警察のほかにも、連邦捜査局(FBI)や麻薬取締局などなど他にも捜査権を持っている執行機関がたくさんあって、とっても複雑な仕組みになっているそうだよ。

で、けっきょくわかったのは、州ごと地域ごとでまちまちなので、よくわからない、ってことかな(笑)
警察は「お上」だけど、保安官はより住民の方を向いていそう、というのはなんとなくわかったのだ。
選挙で選ばれるくらいだから当然なんだろうけど。

この保安官組織は地域ごとに規模が違うらしいんだけど、少ないところでは数人、多いところでは1万人を超えるとか。
で、全米最大の保安官組織と言われるのがロサンゼルス郡のもので、そこの保安官(一番偉い人だよ。)の名前は「バカ」保安官というらしいのだ(フルネームは、Lee Bacaさん)。
でも、名前とは裏腹に(というか、米国では「バカ」という名前に否定的な意味はないけど。)、人情家として知られていて、住民からとても慕われているそうだよ。
ロス市警と言えばコロンボ警部がいるけど、保安官組織にもすごい人がいたのだ!

2007/06/01

かつては不治の病

米国では、結核菌に感染した人が欧州と米国の間を航空機で往復して大きく報道されているのだ。
疾病対策センター(Center for Desease Control and Prevention)によって今は隔離されているんだけど、欧州からもどって来ちゃダメだっていったのにもどってきたとか、いろいろあるみたい。
で、今回はその結核について調べてみたよ。

結核は細菌性の感染症で、結核菌によって引き起こされるのだ。
日本名は、病気が進行すると肺に結節ができることから。
レントゲンで見ると、肺に影ができるので診断できるそうだよ(そのころには相当病気も進行しているし、専門医でないと診断できないんだよね。)。
この細菌を発見したのは細菌学の開祖といわれるロベルト・コッホさん。
ノーベル医学賞も受賞しているし、日本の北里柴三郎さんも師事した人だよ。
で、この結核菌という菌はやっかいで、血清の存在かでないと増殖しないんだよね。
なので、細菌性だろうと推測されていたんだけど、なかなか病原菌が特定できなかったというわけ。
それをコッホさんが成し遂げたわけだけど、他にも炭疽菌やコレラ菌も発見しているすごい人なのだ。

で、この結核は長い間不治の病とされてきて、特に日本では「労咳」なんて言われて、栄養をとって静養するくらいしかなかったんだよね。
新撰組の沖田総司さんも結核でなくなっているし、正岡子規さんも結核で亡くなっているのだ。
ちなみに、「子規」というのはホトトギスのことで、「血を吐くまで鳴き続ける」と言われることからそれを号としたのだ(いわゆる「鳴いて血を吐くホトトギス」)。
本名は「のぼる」というんだよ。

結核が日本でおそれられなくなったのは、ひとつにはツベルクリンとBCGのおかげで、これでかかる人が減ったのだ。
でも、欧州では必ずしもツベルクリンをやっていないし、米国ではまったくやっていないので、今回のように問題になっているのだ。
世界的には結核は毎年数多くの死者を出しているこわい感染症なんだよ。

で、この結核を劇的に治療できるようになったのは抗生物質のおかげ。
フレミングさんが青カビからペニシリンを見つけたのが最初で、これが結核などの細菌性の感染症に効くことがわかって普及し出すのだ。
日本でも戦後にはペニシリンやストレプトマイシンが使われるようになって、それまで死の病だった梅毒や結核も治療可能な病気になったんだよ。
映画「男はつらいよ」で主人公の寅さんを演じていた渥美清さんももともと結核もちで、それが原因で片肺を切除しているんだけど、抗生物質のおかげで治すことができたみたい。

抗生物質は細菌が作り出す物質で、自分以外の細菌を殺すことを目的にしているのだ。
これは縄張り争いのためで、自分たちが生き延びるためには、他の細菌が増殖すると困るわけで、他の細菌の増殖を止めるために自分のまわりに、自分は平気だけど他の細菌の増殖を止める物質を出すようになったんだよね。
それが抗生物質なのだ。
細菌の増殖メカニズムを特異的に狙っているので、人間の細胞の増殖には影響ないことが多いんだけど、中には細胞増殖全体を止めるような強いものもあって、そういうのは抗がん剤として使われることもあるよ。
また、人間の細胞の増殖は止めないけど、他のところで副作用が出ることもあるのだ。
今ではいろいろな種類が発見されていて、それぞれ用途ごとに使い分けられているのだ。

でもでも、細菌では他の感染症と同様に抗生物質に耐性のある結核菌が出てきていて、それがはやり出すと大変なことになるのだ。
今ではイソニアジド、リファンピシンなどの複数の抗生物質をまぜて使うんだけど(ストレプトマイシンは副作用で難聴になることがあるので、細菌は使われないのだ。)、このリファンピシンという薬を飲むと、おしっこがオレンジ色から赤色になるんだよね。
この薬が処方されると必ず注意喚起があるのだ、おどろかないように。
でも、薬剤耐性の結核菌の場合は、こういう抗生物質が効かないこともあるから、その場合はむかしの状態と同じようになってしまうんだよね。
治療に使える抗生物質があればいいんだけど、こういうのはいたちごっこで新しい薬を使い始めるとその耐性菌が出始めるんだよね・・・。
なので、予防と感染の拡大を防ぐのが一番大事なのだ。

日本ではこういう場合は国立国際医療センターに隔離されるんだよ。
東南アジアとかで赤痢やコレラに感染したおそれのある旅行者が隔離されるなんて報道が年に何度かあるよね。
で、国立感染症研究所と協力しながら対処するのだ。
国立感染症研究所はかつては予防衛生研究所という名前で、そのまま感染症の予防と感染の拡大を防ぐことを主目的にしていたんだよね。
感染症研究所ではワクチンの研究なんかもしていて、SARS(重症急性呼吸器症候群)やインフルエンザのワクチンの研究をしていて、国民の健康を守っているのだ。
こういう機関にはきちんと予算をつけてがんばってほしいよね。