2007/07/31

狐の嫁入り

今日は、窓から外を見ると晴れていたので傘も持たずに外に出たんだけど、雨が降っていたのだ・・・(>_<)
いわゆる天気雨というやつで、太陽が出ているのに雨が降っている状態なんだよね。
しかも、けっこうな降り方で、ちょっとした通り雨というようなものではなく、本格的に降っていたよ。
おかげで少しぬれてしまったのだ。
で、ちょっとくやしいので、天気雨について調べて、対策を練ることにしたのだ!

天気雨は別名「狐の嫁入り」とも呼ばれるけど、これは民間伝承で狐の嫁入り行列があるときは晴れているのに雨が降ると信じられていたからなのだ。
キツネは稲作にとっての害獣となるネズミを捕って食べるので農耕神の使いと考えらていて、農耕神である宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)=稲荷神の使いとされているよね。
で、太陽と雨は両方とも農業にとって重要なものなわけだけど、そういうつながりからも天気雨とキツネを結びつけたみたい。
「天泣(てんきゅう)」という呼び方もあるそうだけど、ボクは聞いたことはないのだ。

肝心の天気雨の降る理由なんだけど、大きく分けてふたつあるみたい。
ひとつは、上空から雨粒は自由落下で降ってくるわけだけど(はいめは氷の粒で、落下している最中に溶けて水になることもあるのだ。それが冷たい雨。)、空気の抵抗もあるのでけっこう時間がかかって、10分くらい必要なそうなのだ。
で、その雨粒が地上に到達するまでの間に、雨粒を降らせる原因となった雲がすでに遠くに移動したり、消滅してしまったりしていると、雲がきれて晴れ間がのぞいているのに雨が降っている状態となるわけ。
でも、この場合はすでに雨の原因となる雲はいなくなっているから、雨は最初に降った分だけとなるので、ぱらっと降ってすぐ終わりなのだ。
こういう場合は虹ができやすいみたいだよ。

もうひとつは、上空にすごい強い風が吹いていて、遠くで降った雨がその風で運ばれてくるというもの。
上の雲が移動してしまう場合でも風が強いから雲が雨が到達する前に移動してしまうんだけど、こっちの場合は雲が移動するんじゃなくて、雨が「ななめ」に降って、雲の下でないところで降るという現象なのだ。
真上には雲はそんなになくて太陽も見えているんだけど、風上には雨雲があって、その雨雲から落ちてきた雨粒が風で流されて来るというわけ。
で、この場合は、雨粒は運ばれてきているだけなので、けっこう長い間雨が持続する場合もあるわけ。

実際ボクが今日体験した天気雨は15分以上は継続していたので、風で雨粒が運ばれてきた方だと思うんだよね。
風も強くて、雨も上からじゃなくて、むしろ斜め上から降っているような感じだったし。
でも、そうだとすると、風下から脱出するしか雨を抜け出す方法はないことになるのだ。
ということは、素直にいったんもどって傘をとってくるっていうのが一番かしこいね(笑)

2007/07/30

参議院

いやぁ、参議院選挙では、大方の予想どおり、自民党には厳しい結果になったみたいだね。
ボクは今米国に来ているからいまいち実感がないのだけど、ここまで強く民主党が支持されるっていうのは、それだけ今の政権に不信感が持たれているっていうことなのかも。
ま、いろいろ失言しちゃった人も多かったから、イメージが悪かったのかもだけど。
で、せっかく選挙があったので、今回は参議院の特徴について調べてみたのだ。

日本は明治時代から二院制をとっていて、帝国憲法下では衆議院と貴族院だったんだよね。
でも、戦後に貴族院は廃止され、代わりに衆議院同様、一般国民から選出される参議院が置かれることになったのだ。
参議院の「参議」はもともと太政官制度での役職のひとつで、中納言に次ぐ職で三位というからかなり偉いのだ!
参議又は三位以上は公卿と呼ばれ、貴族社会で国政を担う重要な地位だったのだ。
で、その名前を持ってきたわけ。
そのむかしの参議の定数は8名だったらしいけど、今の参議院は242名もいるね(笑)

参議院と衆議院の違いは日本国憲法や国会法で定められているんだけど、

 ・衆議院の任期は4年で途中で解散されることもあるけど、参議院の任期は6年で解散はなし(3年ごとに定数の半分を改選)
 ・衆議院の解散中で緊急を要する場合は、参議院の緊急集会で国会運営を行うことができる
 ・参議院には国政の重要事項について長期的かつ総合的に調査を行うために調査会を設けることができる
 ・衆議院で可決して参議院に送付した案件を参議院が否決した場合は、再度衆議院に返付して、衆院で可決されれば成立する

などなどなのだ。
そのほか、もともと参議院の議場が貴族院の議場で、天皇の御席があるので、国会の開会式は必ず参議院で行われるのだ。
ただし、主催は衆議院議長なんだって。
それと、もと貴族院だけあって、衆議院の議員バッジが金メッキなのに対し、参議院は一回り大きくて、しかも純金だそうだよ。

この参議院の制度設計に当たっては、米国の上院(Senate)が参考にされているとは思うんだけど、その職権には大きな違いがあるんだよね。
米国の上院は下院にはない機能として、条約の批准の承認権、大統領指名人事(各省庁の長官や大使などの政府高官)の承認権、弾劾裁判権の3つがあるのだ。
予算案は下院先議だったりするんだけど、日本の参議院に比べるとかなり大統領への影響度が強いのだ。

米国の上院は各州の代表として選ばれていて、50州から2人ずつ、100名で構成されるのだ。
もともとは古代ローマの皇帝の最高諮問機関だった元老院(Senatus)から名前をとったものなんだけど、確かにそれだけの影響力はあるのだ。
米国は連邦政府で、各州はかなり強い自治権を持っているから、それぞれの州の意見というのが大事なんだよね。
下院の場合は、単純に人口比で割り振られるんだけど、上院の場合は人口の少ない州も多い州も同じだけの影響度を持つことができるのだ。
1913年に合衆国憲法に修正条項が入るまでは州議会で選出していたらしいけど、そういうところに「州としての代表」という役割が強く表れているよね。
でも、下院に比べて定数が少ない、任期が6年などは参議院と同じ特徴なのだ。
(下院の任期は2年で、日本とは違って解散はないのだ。)
ちなみに、米国の上院は3年ごとに3分の1ずつ改選するそうだよ。
それと、上院・下院という呼び名は、フィラデルフィアに首都があったころ、議会が使用していた2階建ての公会堂(現在の独立記念館、独立宣言はここで発布されたのだ!)で、定数の多い代議員(House of Representative)が広めの1階を使い、定数の少ない元老院が2階を使ったので、Upper HouseとLower Houseと呼ばれるようになったとか。

2007/07/29

モモもスモモも?

今日はワシントンDCの台所とも言われるイースタン・マーケットに行ってきたのだ。
で、そこの青果市場では試食ができるので、いろんな果物の試食をしたんだよね。
その中で気になったのがモモとスモモ。
「モモもスモモもモモのうち」なんて言うけど、こういう差にいい加減と思われる欧米でもきちんとpeachとprumは分けているんだよね。
で、その違いが気になったのだ。

モモもスモモもバラ科のサクラ属の植物で、はっきり言って似たようなものなのだ。
どっちも白い実と黄色い実の2種類があるし、形も似ているよね。
だいたい、スモモっていう和名は「すっぱいモモ」から来たとも言われているしね。
日本にあるのはどちらも中国原産のものが伝わったもので、かなりむかしから食べられていたみたい。
モモは古事記にも出てくるし、スモモも若なんかに詠まれていて、少なくとも奈良時代には知られていたのだ。

でも、やっぱりこのふたつは確かに違うもので、それは食べてみるとよくわかるのだ。
モモはどちらかというと水分が多くてしっとりしていて、スモモはもうすこしがっちり、ねっとりした感じだよね。
おそらく、多くの人は目隠しで食べても違いがわかるんじゃないかな?
皮をむく前なら、モモは表面に産毛があって、スモモにはないから、さわっただけでわかるよね。
※ネクタリンはモモの一種だけど、表面に毛はないのだ。

で、この二つの植物の違いは、属の下、種の上の亜属レベルの違いなんだって。
モモはアーモンドなどと同じモモ亜属で、スモモはウメやアンズとスモモ亜属なんだそうだよ。
スモモ亜属は短い軸の先に花が3~5個のグループでついていたり、実の側面に縦線の溝が入っていたり、タネの表面がなめらかだったりすることで他の亜属と区別されるんだって。
モモ亜属も実に溝があるんだけど、花の付き方が違っていて、基本的には軸の先にはひとつしか花がつかないみたい。
それと、細かい差では、新芽の葉っぱの折りたたまれ方が違っていて、モモ亜属では二つ折り、スモモ亜属では巻いた状態で出てくるそうだよ。

それにしても、微妙な差だねぇ(笑)
食べてみればわかるというものの、最近はスモモも品種改良が進んでかなり甘いものが出てきたから、そのうちわからなくなっちゃうかもしれないよね。
でも、亜属のレベルで違うカテゴリーのものだから、「モモもスモモもモモのうち」とはいかないだろうけど。

2007/07/28

ひかげもの

うちの近くのスーパーでは、大根や白菜なんかのアジア系の野菜も売っているんだよね。
中国や韓国からの移民が増えたからかな?
そんな中に、もやしもあるのだ。
大根や白菜なんかはわりと高めなんだけど、もやしはむしろ安いくらいなので、ボクもついつい買ってしまうんだよね。
ボクはあのしゃきしゃきした食感が好きなのだ(^o^)/
というわけで、今回はそんなもやしについて少し調べてみたよ。

もやしというのは、豆を薄暗い風通しのよいところで日光に当てずに発芽させたもののことで、もやしという種類の野菜ではないのだ。
あくまでもそういう育て方をしたものをまとめてそう呼ぶんだよ。
もやしの原料になる豆は、大豆、緑豆、黒マッペなんかで、一晩水につけておいてから、15分くらいお湯につけて殺菌し、その後、水を換えながら数日から10日くらい育てるともやしになるんだって。
もやしの発芽パワーはなかなか強力で、以前、日本テレビの「所さんの目がテン!」で実験していたVTRでは、かなりの重しを上にのせてもずんずん成長して持ち上げていたのだ。
それだけ豆には栄養のもとがつまっているということなんだろうね。
もやし自体もビタミンCが豊富だったりと、栄養面でも優等生なんだよ。
戦中は帝国海軍が潜水艦の中で栽培できる野菜としてもやしを育てていたのだ。
ビタミンC不足で起こる壊血病の予防に重要だったんだよね。

大豆を使ったもやしは韓国料理のナムルなんかでよく見る大きな豆のついている「豆もやし」で、中華料理や韓国料理で使われるのだ。
むかしよく見かけた黒い豆の皮がついたもやしが黒マッペもやしで、いかにももやしという独特の香りがあるんだよね。
生産コストが大豆のもやしよりはるかに安かったので、日本では急速に普及したとか。
で、最近よく見かける、熱を通してもしゃきしゃき感が残るもやしが緑豆のもやし。
鍋に入れても、炒め物にしてもおいしいんだよね。
緑豆は春雨の原料にもなる豆なのだ。
別にこの3種類の豆でなくても、原理的にはもやしは作れるはずなのだ。
きっと味がよくないとか、生産コストが高いとかの理由で見かけないんだろうね。

マンガ「美味しんぼ」でもそんな話があったけど、もやしを料理するときは、先端のひげと豆の部分をとると食感が増し、雑味も少なくなるそうだよ(「美味しんぼ」では、スープに入れるもやしのひげをとると格段においしくなる、という話だったのだ。)。
いちいちそんなことやっていられないけど(笑)
でも、炒めても、ゆでてもおいしいし、手軽に食物繊維が取れるから便利なんだよね。
これからもきっとお世話になるよ。

2007/07/27

しぼう

「おまえはもう死んでいる」の「死亡」ではなくて、「脂肪」だよ。
今日、新聞を見ていたら、New England Journal of Medicineに掲載された論文の紹介がされていたのだ。
その論文では、30年にわたる追跡調査をしたところ、肥満の人と親しい人は肥満になるリスクが高くなる、という結論を出したものなのだ。
身近に太った人がいると、より肥満になることの抵抗がなくなるという心理的効果と考えているみたいだよ。

でも、米国って、肥満の人が増えていて、社会問題になっているんだよね。
大人から子どもまで肥満の人の割合が増えているんだって。
だとすると、今後加速度的に肥満になるリスクが高くなっていって、肥満の人がもっともっと増えていくのかも!
とか考えていたら、肥満のもとである「脂肪」のことが気になったので、少し調べたのだ。

いわゆる脂肪というのは隊なの脂肪組織に蓄えられたトリアシルグリセリドと呼ばれる物質で、血液検査で調べる中性脂肪がそれなのだ。
グリセロールの3つの水酸基にそれぞれ脂肪酸がエステル結合したもので、動物の場合は飽和脂肪酸がつくことが多いので融点が高く、常温でも固体の脂なのだ。
脂肪組織は肝臓や皮膚の下にあるんだけど、そのほかにも内臓のまわりにけっこうあるんだよね。
小腸のまわりにある腸間膜なんかにもけっこうあるのだ。
で、そこに脂肪がたまるわけだけど、度が過ぎると「肥満」という状態になるわけ。

皮下脂肪の場合は外から見て明らかに脂肪がついたのがわかるんだけど、肝臓や内臓のまわりについたものは外からではわかりづらいんだよね。
これが最近生活習慣病予防で話題になっている「かくれ肥満」というやつなのだ。
一般に男性は内臓脂肪がつきやすく、女性は皮下脂肪がつきやすいと言われているよ。
で、内臓脂肪は適度な有酸素運動をすることで燃焼させ安いんだけど、皮下脂肪は落としにくいとも言われているのだ。

アジア人は人種的に脂肪がつきやすい人種で、つまりは太りやすいのだ。
いわゆる人種は生活環境にそれぞれ適応していった結果なんだけど、どうもアジア人(モンゴロイド)は飢餓状態が長く続くような環境だったようで、エネルギーを貯蔵しやすい体質の人種としてできあがったようなのだ。
アザラシやホッキョクグマ、ペンギンなんかは寒さをしのぐために皮下脂肪をたくさんつけているけど、そういう気候の要素もあるのかな?
でも最近は欧米諸国の方が肥満の人の割合が増えてきているんだって。
これは完全に食生活の違いだろうけどね。
アジア人は脂肪はつきやすいけど、多くのアジア人は脂肪をため込むほど余分に栄養を摂取できていないというのが大きいと思うのだ(日本もアジアだけど、逆に言うと日本は例外的に恵まれているんだよね。)。

でも、実は脂肪は外から摂取しなくても体内で作られてしまうんだよね。
脂肪酸やコレステロールは一切口にしなくても、糖なんかを分解して材料にして作ることが可能なのだ。
でも、人の体の中で作れない種類の脂肪酸もあって、それが必須脂肪酸なんだよね。
必須脂肪酸は特定の位置に不飽和結合が入った脂肪酸のことで、オリーブオイルに多く含まれるオレイン酸やベニバナ油やコーン油に多く含まれるリノール酸なんかがそうなのだ。
植物にはこの必須脂肪酸を作る酵素があるので、光合成で作った糖をもとに作ることができるんだよ。
とは言え、外からはいる文を減らせば全体の量は減るので、必須脂肪酸はしっかり摂取した上で全体的に油を控えめにするのはよいことなのだ。

歴史的には、太っていることは「豊かさ」の象徴で、逆に好まれたことがあったんだよね。
日本でも「しもぶくれ」のおたふくみたいな顔が美人とされていたと言うし、欧州でもスリムよりは肉付きがよい方が好まれたのだ。
彫刻や絵画を見ても、今の基準からだとちょっとぽっちゃり系の女性が多いのはそういうわけ。
丸みがあるほうが女性らしいとみなされていたのだ。
アフリカでは今でも太った女性がもてたりするよね。
でも、「飽食」の時代となった現在は、逆にほうっておくと太るので、「やせている」ことが美的とされるように変わってきているのだ。
いずれの時代でも「苦労しないと手に入らない」体型がもてるということなのかも。

2007/07/26

燃えろよ燃えろ

東京電力管内では新潟の原子力発電所が停止してしまって、電力不足の危機があるんだよね(新潟自体は東北電力の管内なんだけど・・・。)。
3年前の夏も福島の原子力発電所でトラブルがあって、電力危機になりそうだったんだけど、幸いその年はそんなに気温も上がらず、結果としては電力消費が伸びなかったのでなんとか間に合ったのだ。
今回はどうなんだろう?

で、現在検討されている方策は、他の電力会社からの融通と他の電源保有者からの電気の購入(製鉄会社とか石油会社とかガス会社が大きな発電所を持っていて、卸しで電気を売っているのだ。)、卸電力取引所の活用などなど。
それと、重要なのが東京電力が保有している火力発電所の最大活用なんだよね。
火力発電は燃費も高めだし、環境面への配慮もあって停止しているものが多いんだけど、それに再度火を入れようというわけ。
品川、川崎、横浜なんかにそういう火力発電所があるみたいだよ。

というわけで、今回は少し火力発電について調べてみたのだ。
火力発電は燃料でわけると大きく3つに分かれて、石炭、石油、ガスのそれぞれを燃料とするものだよ。
石炭と石油を燃料とする場合は汽力発電で、燃料を燃やした熱で水を水蒸気に換え、その水蒸気で蒸気タービンを回す発電方式なのだ。
原子力発電も同じように蒸気タービンを回すんだけど、熱源が核分裂反応のエネルギーというところが違うんだよね。
蒸気タービンは始動するまで(回転数が安定するまで)に少し時間がかかるので、立ち上がりが遅いんだよね(電気は周波数が決まっているので、きちんとした回転数に達しないと意味がないのだ!)。
さらに、石炭の場合はじわじわと、ゆっくりと燃えるので、立ち上がりもゆっくりだし、途中で出力変更も難しいのだ。
これは原子力発電も同じで細かな出力変更は困難と言われているんだ。
その点、石油は一度燃え出しちゃうと燃料を加える量を調節するだけで簡単に出力変更ができるんだよ。
なので、石炭火力や原子力はベース電源と呼ばれる常に稼働させておく電源として使われて、石油のような電源は調整電源とかピーク電源といわれて需要の増減にあわせて電気の出力の調整に使われることが多いのだ。

一方、ガス火力発電は少し方式が異なるのだ。
内燃力発電と呼ばれるもので、燃料の可燃性ガス(基本的には天然ガス)と圧縮空気を混ぜて爆発的に燃焼させて、そのときに出てくる高温高圧の排気ガスを通過させることでガスタービンを回すのだ。
飛行機のジェットエンジンなんかも同じ原理だよ。
熱エネルギーでなくて、爆発的な体積膨張のエネルギーを電気に変換するところが違うのだ。
気体は温度が高ければ高いほど体積が大きくなるので、ガスタービンの入口温度が高い方がタービンをたくさん回せるんだけど、実際はあまりに高温だとタービンの材料がもたずにとろけてしまうので、少し回り道をさせたりして冷却してから通すんだって。
なので、タービンの入口温度をいかに高くするかが効率化のカギで、そのための材料開発がさかんに行われているそうだよ。

さらに、ガスタービンを通した後の排気ガスもかなり高温なので(1,000度を超えるんだって。)、この熱を使ってさらに汽力発電を行うこともできるんだよね。
これがコンバインドサイクル発電というやつで、このおかげでガス火力は石炭火力や石油火力に比べてエネルギー変換効率が高く、環境にもやさしいと言われるのだ。
一般的にはこういう排熱利用でエネルギー効率を高める方法はコージェネレーションと言われるんだよね。
ちなみに、ゴミ焼却場の排熱を使った温水プールはコージェネレーションじゃないんだよ。
エネルギー産生の排熱を使うから、co(一緒)のgeneration(産生)なのであって、ゴミ焼却の場合はただの排熱利用なのだ。

ガス火力は、立ち上げは早くできるんだけど、石油火力ほどの柔軟な調整はできないのだ。
これは発電の原理から来るもので回避しようがないんだ。
なので、電源としては主に石炭火力と石油火力の中間的な立場で利用されていて、ミドル電源と呼ばれるのだ。
突然需要が高まって電気の供給量が大幅に不足するようなときにも使うとか(真夏に天気予報で気温が上がらないと言われていたのに一気に気温が上がったりすると、そういう事態が発生するのだ。)。
平日の場合、電気は通常昼間の使用量が多くて夜間に少なくなるんだけど、普段はそういうおおまかな変化の調節に使うみたい。
最近はエネルギー効率がよいのでもっとベース電源的に使うこともあるみたいだけど、なんと言っても石炭火力は発電コストが安いのが魅力で、逆にガス火力は一番発電コストが高いので、うまくバランスを考えないといけないのだ。
そうしないと電気料金が高くなっちゃうんだよね。

一口に火力発電と言ってもけっこう種類があるんだよね。
戦前は水主火従と言われて、水力発電がベースで、火力発電で調整をしていたんだけど、戦後になると水力発電だけじゃ間に合わなくなって、火力が増えてくるのだ。
で、水力と火力の立場が逆転するんだけど、さらにそこに原子力発電が登場するんだよね。
それでまた火力発電の使われ方が変わったのだ。
今回は、そんな火力発電が再び主力の電源として投入されようというもので、まだ原子力発電が主力じゃなかった時代にもどるようなものなんだよね。

2007/07/25

まるまった葉っぱ

米国に来てから自分で料理するようになったので食べるものに気を使い始めたんだよね。
で、進んでよく食べるようになったのが野菜。
食べやすくて、使い道も多いので、キャベツとレタスを食べることが多いんだよね。
この2つの野菜は似ているけど、どこがどう違うんだろう?、って疑問に思ったので、少し調べてみたのだ。

キャベツはアブラナ科の野菜で、青汁の原料のケールをケルト人が改良して作ったものなんだって。
古代ギリシアや古代ローマでは健胃作用のあるものとして食べられていたみたいだけど、今でもキャベツから抽出したビタミンU入りのキャベジンなんてのがあるよね。
油っぽいとんかつなどの揚げ物にキャベツの千切りが付け合わせでつくのにも意味があるのかも。
ちなみに、キャベツの千切りを一度冷水につけるとしゃっきり感が増して食感がよくなるんだけど、その代わり水溶性の栄養素がすべて水に流れ出てしまうのだ。
なので、切ってそのまま食べた方がいいんだよ。

日本には18世紀にオランダから観葉植物として伝わって、食用になったのは明治からだとか。
この観葉植物はいわゆる葉ボタンのことで、キャベツの葉っぱがきれいな色になったものなのだ。
どちらも放っておくとタマ状に丸まった葉っぱがほどけてきて、中から菜の花のような花が出てくるんだよね。
この花を見ると確かにアブラナ科だとよくわかるのだ。
ちなみに、白菜も同じアブラナ科なんだけど、カブの変種らしいよ。
野沢菜もカブの一種なんだけど、カブはずいぶんとバラエティに富んでいるねぇ。

キャベツは生で食べることも多いけど、漬け物にしたり、煮たり、炒めたりといろんな食べ方をするのだ。
もつ鍋なんかの具にもするよね。
火を通すとやわらかく、かつ、甘くなるので、生で食べるのとはまた違う食感、味が楽しめて、実に使い勝手のよい野菜なのだ。
それでここまで広く食べられるようになったんだろうけど。
今では季節に関係なく栽培できるのも広まったひとつの理由だよね。

一方のレタスはキク科の植物。
キャベツとは形は似ているけど、そもそも科が違うのだ。
レタスも放っておくと丸まった葉っぱがほどけて中から花が出てくるらしいけど、それは小さなキクみたいな花なんだって。
そういう話を聞くとキク科というのもうなづけるのだ。

レタスは語源的にはラテン語で「牛乳」という言葉から来ていて、これは新鮮なレタスをちぎると白い乳液状のものが出てくるからだとか。
ラクチュコピリンというポリフェノールだそうだよ。
和名は「ちしゃ」というんだけど、これは「乳草」が略されたもので、やっぱり同じ性質に注目しているのだ!
で、和名もあるくらいで実はむかしから知られていたものなんだ。
レタスの名前が浸透したので外来のものっぽい感じがするけど、中国ではむかしから使っていて、日本にもそれが伝わっていたみたい。
ちなみに、レタスは欧州では鎮静作用があると信じられていて、粉末にして鎮静剤として使われることもあったとか。

レタスは生で食べるイメージがあるけど、中国なんかでは炒め物やスープの具として熱を通して食べるのだ。
生で食べる場合はサラダやサンドイッチ・ハンバーガーの具にするけど、しゃきしゃきして、みずみずしくておいしいんだよね。
一方、火を通すと、しゃっきり感が残りつつ、しっとりして、また違った食感が楽しめるのだ。
ボクはけっこう火を通したレタスも好きで、自分でもスープに入れたり、炒飯の具にしたりするんだ。沖縄ではむかしながらの火を通す食べ方が保存されていて、お味噌汁の具に使ったりするらしいよ。

こうやって見てみると、似ているのは「丸まっている」という状態だけで、やっぱり全然別の野菜なんだよね。
それぞれいいところがあるので、特長を生かしておいしく食べたいのだ。

2007/07/24

トルコのごはん

前に一緒の部署で働いていた人がトルコに出張に行ったという話を聞いたのだ。
実は、トルコ料理はフランス料理(又はイタリア料理)、中華料理と並んで世界三大料理に数えられるもので、特徴的なんだよね。
日本ではケバブ(串焼き肉)やのびるアイスが有名だけど、その他にも、最近有名になってきたサバサンド(焼くか揚げるかしてカリカリにしたサバの半身を野菜と一緒にパンにはさむ)もあるし、甘くないヨーグルトで作ったスープなんかもあるのだ。
日本では西洋料理として知られるピラフももとはトルコ料理なんだとか。

で、そんな風にトルコ料理にしばし思いをはせていると、突如思い出したのが「トルコライス」。
食堂のメニューで最初に目にしたときはいったいどんな料理かと思ったものだよ。
今でも実際に食べたことはないけど・・・。

トルコライスという名称は大阪や神戸にもあるんだけど、広まりつつあるのは長崎発祥のトルコライスなのだ。
この料理は、大きなお皿にピラフ(カレーピラフ、炒飯も可)と具ナシのナポリタンが半々に盛ってあって、そこにデミグラスソースをかけたトンカツが載っているというものなのだ。
名前の由来には諸説あるんだけど、ボクが最初に聞いたのは、こんな説。
スパゲッティが西洋、ピラフやカレーピラフは中国又はインドでアジアを表して、その間をトンカツでつないでいるので、アジアと欧州の境界にあって架け橋の役割をしているトルコの名を冠している、というものだよ。
なかなか納得しちゃうよね?

でも、他にも説があって、トルコ料理が起源だとする説では、ピラフがもともとトルコ料理なのでトルコ風ライスと呼ばれていて、スパゲッティとトンカツは付け合わせでつけられていた、というもの。
もうひとつは「トリコロール」がなまったというもので、それぞれの色で「トリコロール」とする説と、最初に考案したお店が「トリコロール」という喫茶店だったという説があるのだ。
真相はすでに藪の中で、よくわからないみたい。

長崎といえばチャンポンや卓袱(しっぽく)料理が有名だけど、海外の食文化をうまく取り入れて地元の食文化として作り上げるのが特異な土地柄なんだよね。
たしかマンガ「美味しんぼ」の日本全県味めぐりの長崎県の回でもそんなことを言っていたのだ。
トルコライスもきっとそういう土地柄で生まれたものなんだろうね。
でも、とにかく油と炭水化物でカロリーが高そうだから、食べるときは注意しないと!

2007/07/23

ガス

米国に来てから毎日自炊するのでそれなりにガスを使っているんだけど、計量の単位が立米(立方メートル)なので、毎月の使用量が1m3で同じなんだよね(笑)
なので、微妙に節約してもガス料金は変わらないのだ。
で、ガスのことを考えていたら、もともとこのガスってなんなんだっけ?、と気になったので調べてみたんだ。

いわゆる都市ガスというのは液化天然ガス(LNG)や液化天然ガスに石油ガスをブレンドしたもので、導管(パイプライン)によって各使用場所に供給されるのだ。
ガスタンクはそのガスのおおもとを液体として貯蔵・保存しているところで、そこから地下の導管を通ってきているというわけ。
ガスの導管は電線や電話線、水道管と同じようにライフラインのひとつなので、公共料金として料金設定は法令の規制を受けるのだ。
ちなみに、都市ガス自体は本来は無臭なんだけど、ガス漏れを検知しやすいよう、わざとあの独特ににおいをつけているんだよ。

一方、地方に行くとよくあるプロパンガス(和製英語なんだよね。)又は液化石油ガス(LPG)もガスはガスなんだけど、これは各使用場所で個別に保存するんだよね。
なのでガス屋さんが使用量をチェックして使った分を足してくれるのだ。
詰め替える手間があるんだけど、初期費用のかかるインフラの導管を引かなくてもいいし、何より、地震などの災害後にもすぐに使えるようになるという利便性があるのだ。
阪神大震災の後は、電気や都市ガスは2~3ヶ月復旧に要したと言うけど、プロパンガスは数日以内に復活したんだよね。
これはすごい強みで、人口密度が低いところや離島、山の上のような導管を整備しづらいところでは大活躍なのだ。
ちなみに、いわゆる家庭用のプロパンガスは簡易ガス事業と呼ばれる区分で、やっぱり料金設定は法令の規制を受けるのだ。
プロパンガスも漏れたらすぐわかるようにわざわざにおいがつけてあるんだよ。

で、それぞれのガスの特徴だけど、液化天然ガスは名前のとおり天然にガスの形で産出される気体燃料を-162度まで冷却して液体にしたもので、冷やしている限りは常圧でも液体なのだ。
都市ガスはこれを気化させてから導管で運ぶんだよ。
主成分はメタンで、そのほかにエタンやプロパン、ブタンなんかも含まれるみたい。
ガスの中では安全性が高い方らしいけど、メタンは二酸化炭素以上に温室効果の強い気体で、ガス漏れが大きな問題になるのだ。
シベリアの天然ガスの導管ではけっこうガス漏れが起こっているらしくて、地球温暖化につながっていると言われているのだ。
(ウシのげっぷには大量にメタンが含まれていて、地球温暖化問題で議論されることもあるんだよ。)
また、空気より軽いので、都市ガスは上方に拡散していくんだよね。
なので、都市ガスが漏れたときは姿勢を低くした方がいいわけ。

液化石油ガスは石油と一緒に採掘されることがあるので石油ガスと呼ばれるんだけど、実は石油とは独立しても採掘されるのだ。
石油ガスの場合は、ちょっと圧力をかけただけで(8気圧くらいだって)常温でも液体になるので、小型のガスタンクに高い圧力で詰め込むと液体として保存できるというわけ。
冷やさなくてよいし、持ち運びにも優れているので、導管のない地方でも使われるんだ。
プロパンガスと言われるくらいで主成分はプロパンだけど、ブタンなんかも含まれるそうだよ。
でも、ガスが漏れると爆発を起こしやすいので取扱いは気をつけないといけないんだ。
で、石油ガスは空気より重いので、ガスが漏れると下に沈むのだ。
なので、プロパンガスが漏れたときは、姿勢を低くしてはいけないんだよ!
都市ガスとは逆なのだ。

こうやって見てみると、使い方は同じようなものだけど、都市ガスとプロパンガスではけっこう性質が違うんだよね。
安全に使えるようにいろいろ工夫されているとは言え、何が起こるかわからないから、自分が使っているガスについてちょっと調べてみるのはよいことかも。

2007/07/22

夏はこれ?

夏と言えばビールの季節だね。
ボクはお酒をそんなに飲まないけど、ものすごく暑いときは冷えたビールもいいかもな、とは思うのだ。
でも、お酒に弱いから飲むことはまれなんだけど・・・。
真夏なら一度はビア・ガーデンなんかに繰り出すのも風物詩だよね。
というわけで、少しビールについて調べてみたよ。

ビールの元祖はすでに古代エジプトに存在していて、大麦を発芽させた麦芽を粉にしてパンのように焼き、それを水につけてふやかして発酵させてお酒を造っていたのだ。
麦芽にはデンプンを麦芽糖に分解する酵素(maltase)が含まれているので、水でふやかしているうちに益虫で麦芽糖ができて、それを今度は酵母がアルコール(エタノール)と炭酸ガス(二酸化炭素)に分解するというわけ。
大麦はそのままだと粉にしにくいんだけど、麦芽にしてから乾燥させると粉にもしやすくて、麦芽パンが作られるようになったんだけど、そこからさらに派生してお酒が造られるようになったみたい。
当時は先に小さな穴の開いたストローのような器具もあって、まだふやけたパンが残っているものを飲んでいたみたいだよ。

これがケルト人やゲルマン民族にも伝わるんだけど、いちいちパンのようにしてから発酵させなくなり、麦芽を砕いてそのまま水につけて発酵させるようになったんだって。
本来食糧となるべき穀物をわざわざお酒にするので、収穫祭などの「ハレ」の日に飲まれるものとして作られたのだとか。
ローマやギリシアにはエジプトからのむかしながらのものや、ケルトやゲルマンの新しいものも伝わったんだけど、ワインが主流でビールは野蛮人が飲むものとしてあまり普及しなかったみたい。
しかも、当時はワインも酔うために飲まれているのではなく、ブドウジュースを長期保存するために発酵させただけだったので、水で割って飲んでいたそうだよ。
今でもフランスでは子どもに飲ませるのに水で割ったりするんだよね。

中世になってゲルマン人が社会の中心を担うようになるとビールの生産も盛んになるんだけど、やっぱりお祭りの時などの飲み物という扱いが続いたみたい。
むかしから発酵を安定させるためにハーブを入れる技術があったらしいんだけど、このころに殺菌作用と適度な苦みをつけるためにホップが使われるようになり、それがビールの主流になったのだとか。
このときからほろ苦のアルコール飲料となったのだ。

19世紀後半になると技術も進歩し、低価格で大量生産できるようになったので、いつしかワインを追い抜いて日常的に飲むお酒となり、現在に至るのだ。
ビールはそれぞれの国ごとに特徴や違いはあるけど、ほぼ世界中で飲まれているお酒なんだよ。
はじめのころは最後に熱処理して殺菌していたんだけど、低温殺菌法が開発され、濾過技術なども向上すると、熱処理しないビールが登場したんだ。
それが生ビール。
ビンに入っていても熱処理していなければ生ビールなんだよ!

ビールには大きく分けて2種類あるんだけど、それはエールとラガー。
エールというのはむかしながらの手法で作られるもので、常温(20度くらい)で短時間発酵させるもの。
炭酸ガスが大量に発生するので、最後に酵母が上に浮かんできて層を作るので上面発酵と呼ばれるのだ。
一方、低温(10度以下)で長時間発酵させるのがラガー。
もともとはローカルなビールだったらしいんだけど、大量生産に向いているので、技術革新とともに普及したのだとか。
最後に酵母は下に沈んで澱(おり)になるので、下面発酵と呼ばれるのだ。
キリンが有名だけど、日本のビールはほぼラガーだよ。

ビールというときんきんに冷やして飲むイメージだけど、英国やアイルランドでは常温のまま飲むこともあるんだって。
ドイツやベルギーでは温めて飲むこともあるらしいよ。
日本だとぬるくなったビールはおいしくない、と言って新しいものを頼む人もいるのにね。
それぞれ風味も違うんだろうけど、飲み方もいろいろなのだ。

ちなみに、発泡酒というのは麦芽以外の原料を多く使用したアルコール飲料で、酒税法でビールより税金が安かったので一気に普及したのだ。
トウモロコシや米なんかが使われるんだけど、ビールより悪酔いするという噂もあるのだ・・・。
でも、発泡酒も酒税法の改正で増税されてしまったので、新たに「第三のビール」が出てきたんだよね。
これはビール煮麦焼酎を混ぜて「リキュール」という区分にしたり、麦を使わずに作って「その他の醸造酒」という区分にして酒税法上低い税率のお酒にしたものなんだって。
あくまでも「ビール風味」にはこだわっているけど、すでにもとからだいぶ離れてしまっているのだ。
ま、安く飲めればいいのかもしれないけど。
もちろん、海外ではそもそもそういう税制になっていないので、そういうビール風味飲料は存在しないのだ!

ビールというと「ビール腹」というのがあるけど、あれは必ずしもビールで太っているわけじゃないみたい。
アルコール自体に含まれる熱量(カロリー)は体温の上昇やアルコールの分解ですぐに使われてしまうのでそんなに気にしなくてもよいらしいんだよね。
問題は、アルコール飲料中にある糖分や、おつまみとして食べる食物なんだって。
カクテルのような甘いお酒は当然糖分も多いし、アルコールには揚げ物をおつまみとして食べることが多いので、カロリーが高めのものを一緒にとりがちになっているのだ。
しかも、アルコールには食欲増進作用もあるので、食べ過ぎちゃうこともあるので、気をつけないと行けないみたい。
ビールだけ飲んでいるのならそんなに太らないはずなんだけど、唐揚げや枝豆などを大量に食べることで太るらしいのだ。

2007/07/21

くやしいけれど、おまえに夢中!?

米国では、明日にハリー・ポッター・シリーズの最終巻の発売を控え、かなりの話題になっているのだ。
映画第5弾が公開されて間もないというのもあるんだよね。
で、そんな中、映画で主人公を演じているダニエル・ラドクリフ君の露出も増えるんだけど、彼は英国でほぼ全裸に近い姿になる役を「equus(馬)」という舞台で演じていて、そのとき、以外にも毛深いことがわかって話題になったのだ!
そこで思い出したのが「ギャランドゥ」という言葉。

今ではほぼ一般名詞として、男性のへそから股間にかけて生えている毛で、特にパンツからはみ出してしまうものを意味しているよね。
ラドクリフ君は胸からずっと下までつながっているのだ(笑)
で、これはもちろん西城秀樹さんのヒット曲「ギャランドゥ」から来てはいるんだけど、作詞をしたもんたよしのりさんは「特に意味のない言葉」として使っていたようなのだ。
これを今使われているような意味に使った起源として、松任谷由実さんがラジオで使ったとか、タモリさんが使い始めたとか諸説紛々なんだけど、ボクは断然「松本人志創作説」を主張するよ。

あれは「ガキの使いやあらへんで」がウッチャンナンチャンのSHA.LA.LAとともに「笑撃的電影箱」として放映されていたころと思ったけど、トークのはがきのコーナーに「ギャランドゥって何ですか?」という質問が来て、ダウンタウンの松本人志さんが「へその下の毛」と応えたのが始まりなのだ。
ボクはちょうどその回はリアルで見ていたよ。
浜ちゃんと「へその下の毛に夢中なんかい!」なんて軽妙なトークがあって、すっごくおもしろかったのだ。
この「へその下の毛」というのはちょうどよい言葉が当時はなかったから、「渡りに船」とばかりに一気に広まったんだよね。

同じようにテレビ番組に起源を持つ言葉としては「スパム」というのが有名だよね。
英国BBCが世界にほこるコメディ番組の「モンティ・パイソン」で、なんでもかんでもスパム(ハムに似たランチョンミートの缶詰)が入ったメニューを持つ食堂のスケッチ(コント)があって、そこで何度も何度もスパム、スパムと連呼するものがあるのだ。
で、しつこくしつこく来る迷惑メールをこのスケッチに例えて「スパム・メール」と呼ぶようになったと言われているんだよね。
これは番組から直接発信されたわけじゃないけど、それだえその番組の内容はインパクトのあるもので、みんなに「なるほどね」と感心させる力があったということだよね。
こういうのははやり廃りの激しい流行語とはまた違って、言葉として残っているものなのでおもしろいのだ。

ちなみに、語源といえばもうひとつちょっとした話をひとつ。
お正月に上げる凧は関東では「タコ」、関西では「イカ」なんて呼ぶんだよね。
どうももともとはその形(ひし形の本体にひらひらと長いしっぽ)から「いかのぼり」と呼ばれていて、関西の呼び方の方が古いものなのだ。
これが江戸に伝わると「イカだかタコだか知らねぇが」といなせな江戸っ子が言ったかどうかは定かじゃないけど、言葉遊びとして関西に対抗して「タコ」と呼ぶようになったそうだよ。
それが定着して関東での呼び名になったのだ。

言葉は「生き物」で常に変化し続けていくんだよね。
新しい言葉は何かと「言葉の乱れ」なんて言われるけど、歴史的に言葉は変わり続けてきたので、仕方のないものだと思うんだよね。
米国では最新版のWebsterの辞書に、「gigantic」と「enormous」をくっつけた造語の「ginourmous」という語や、「sudoku」(日本の「数字は独身に限る」の「数独」)という語が新たに米語として登録されて話題になったけど、そうやって実際に使われている言葉は受け入れていくのが適切だと思うな。

2007/07/20

保存肉

米国に来てパン食中心に食生活になってから、ソーセージやハム、ベーコンをよく食べるようになったんだよね。
冷凍庫があるので普通に豚肉や牛肉を買ってもよいのだけど、やっぱり気軽にサンドイッチにしたりするには加工肉の方が何かと便利なのだ。
解凍の手間もいらないしね。
ということで、今回はソーセージ、ハム、ベーコンについて少し調べてみたよ。

ソーセージは一般的にはヒツジなんかの腸にミンチにした肉とハーブと塩をまぜたものを詰めて、燻製・ボイル(今は蒸気で蒸すのが一般的みたい。)したもの。
フランクフルトやウィンナーが有名だけど、この名前は本来は産地を表しているだけで太さの違いじゃないみたい。
フランクフルトで作られないとフランクフルトと名乗れなかったので、オーストリアでまねして作ったのがウィンナーとなったとか。
ちなみに、ソーセージには血をつめてつくるものもあるし、最近のドイツでは若者のソーセージ離れを解消するため、様々なフレーバーをつけたものもあるみたい(よくわからないけど、チョコ・フレーバーとかもあるらしいよ・・・。)。
米国のホットドッグ用のソーセージは腸詰めにしないでミンチ肉を整形して固めただけのものなのだ。
日本だと魚肉ソーセージなんてのもあるけど、あれも魚のすり身を整形して固めただけだよね。
もはや「腸詰め」ではなくなっていて、形からソーセージと名乗っているのだ。

ハムは、塩漬けにしたもも肉を燻製・ボイルして作るもので、もも肉のほかにもロースや肩肉なんかも使うのだ。
くず肉を集めて整形したプレスハムなんてのもあるけど、日本でむかしハムといえばこの赤く縁取られたプレスハムだったのだ。
骨付きのまま塩漬けにしてハムにするのが骨付きハムで、逆に骨をとって食べやすくしたのがボンレスハム。
「わんぱくでもいい、たくましく育ってもらいたい」ってやつだよね(笑)
で、一般的には燻製してから蒸すんだけど、塩漬けにした後に乾燥しただけのものがいわゆる生ハムなのだ。

ベーコンは、バラ肉を塩漬けにしてから燻製にしたもので、蒸さないところがハムとの違い。
バラ肉を使ったベリーハムなんてのもあるみたいだけど、一応これで区別がつくのだ。
でも、最近の安いベーコンは燻製していないものが多く、塩入の燻製液に肉をつけるだけのものが多いみたい。
ベーコンもバラ肉だけじゃなくて、ロースや肩肉も使うみたい。
でも、ベーコンといえばやっぱり適度な塩辛さと、したたるような油が特徴だよね。

というわけで、それも肉を長期保存して、なおかつおいしく食べるための知恵なんだけど、それぞれ作り方に違いがあるのだ。
ハムとベーコンなんてかなり似たような作り方のような気もするけど、ボイルの有無でずいぶん仕上がりに違いがあるものだね。
もともとの部位の違いも大きいのかもしれないけど。
ボクはソーセージだったらゆでたもの(しかも、ぱりっと歯ごたえがいいもの)、ハムなら厚めに切ってステーキにしたもの、ベーコンはカリカリに焼いたものが好きなのだ!

2007/07/19

ダンとポール

中国の「段ボール入り」肉まんがかなり話題になっているよね。
おおよそ中国人にしか思いつかないような斬新な発想だからかな?
つい最近、「やらせ報道でした」なんてニュースがなだれているけど、政府系メディアの流していたニュースだし、基本的にあんまり言論の自由もない国だから、本当のところは怪しい気がするなぁ・・・。
そんなこんなで、段ボールのことが気になったので、少し調べてみたのだ。

段ボールはもともと19世紀の英国で、シルクハットの内側で汗を吸い取るためのものとして発明されたんだとか。
それが米国にわたってガラス製品などを包む包装に使用され始めるんだって。
現在用いられている形のものを作りだし、「段ボール」の名前をつけたのは、レンゴーを設立し阿「段ボールの父」こと井上貞治郎さんなんだとか。

「段ボール」という名称は、ライナーと呼ばれる外側の厚紙の間に波状に加工した中芯がはさんであって、その波状の部分が段々になっていて、素材がボール紙だったからそう名付けたみたい。
今ではボール紙じゃなくて主に古紙のパルプを使うみたいだけど。
ボクは前に職場で「ダンとポールが作ったんだけど、ダン・ポールは日本人には言いづらいので段ボールになった。」という冗談を言ったことがあるんだけど、意外や意外、本気で信じた人がいたのだ・・・。
ダンもポールも関係ないんだよ(笑)

段ボールは、間に挟まっている波状の部分のおかげで強度がかなり強くなっていて、重いものにも耐えられるし、何度も使えるのだ。
しかも、クッションがきいていて耐衝撃性もあるんだ。
で、もとが紙なのでとても軽いのだ。
なので、引っ越しや運送には欠かせないものとなったのだ。
波状の部分は間に空気が入り込むので断熱性もけっこうあって、ホームレスの人が段ボールでおうちを作るのはそのためなんだよ。

で、問題の段ボール入り肉まんは苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)で処理してから肉と混ぜるんだよね。
水酸化ナトリウムで処理すると、段ボールの中の繊維が加水分解で短くちぎられるのだ。
それでぼろぼろになるわけ。
色は黒く変色するんだけど、これは段ボールの中に含まれているリグニンなどの成分が反応してできるんだ。
化学的にパルプを作る際は、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムで木材をぼろぼろにするんだけど、そのときリグニンや樹脂成分などは液中に溶け出すのだ(リグニンは高分子のフェノール系化合物で、いわゆる「木」の質感のもとになっている物質なのだ。)。
この廃液が黒液と呼ばれるもので、バイオマス燃料に使われたりするんだよね。
段ボール肉まんはこれと同じようなことをしているんだよ!
意外に科学的なのだ。
「やらせ」でアルバイトがでっち上げたわりには、あまりにも手際がよすぎるよね(笑)

2007/07/18

二足歩行

今日新聞を読んでいると、米国科学アカデミー紀要(PNAS:Proceedings of the National Academy of Science of the United States of America)にこんな記事が載るというのを見つけたのだ。
二足歩行のエネルギー消費について調査したもので、チンパンジーの二足歩行とナックル・ウォーキング(手をつけて歩くサル独特の四足歩行)と、人間の二足歩行のエネルギー消費を比べているんだ。
結果的には、チンパンジーでは二足でも四足でもそんなに差はないけど、人間の二足歩行はチンパンジーに比べて消費エネルギーが4分の1程度という結果だったのだ!
これは、人間は二足歩行にとても適した体の構造をしているからなんだって。
サルに比べて長い足や、骨盤の形状、おしりの筋肉なんかが関係しているみたいだよ。

生物の中では人間のほかにも二足歩行をするものがいて、鳥なんかは羽は飛ぶときにしか使わないから、二足歩行と言えなくもないんだよね(笑)
もっと二足歩行らしい二足歩行としては、クマやサルが立ち上がって歩くものがあるのだ。
それに、恐竜の中にもティラノサウルスのように二足で歩いていたと考えられるものもいるし、カンガルーなんかは二足で跳躍するよね。
でも、これらの動物はたいてい背中が曲がっているか前傾姿勢になっていて、重心は低いままなのだ。
人間の二足歩行とは少し違うので、人間のように背筋が伸びたものを特別に「直立二足歩行」と呼ぶそうだよ。

直立二足歩行の代表は人間とペンギン。
ここでも鳥類が出てきてしまうんだけど(笑)、ペンギンの場合は後ろ足が体の側面についていて、体ごと揺らしてよちよちと歩くことになるのだ。
体全体と足の動きが連動してしまうわけ。
人間は胴体の真下に足がついているので、腰のところで足を動かすことによるゆれは吸収できるので、上半身をまっすぐにしてあることができるのだ。
これが大きな違い。
こういう歩き方をするのは人間だけなんだよ。

でも、この歩き方は四足歩行に比べると重心が高い位置に来ることもあって不安定だし、走る速度も極端に遅くなるのだ。
カール・ルイスさんよりチンパンジーの方が走るのは速いんだよ!
カバでさえ本気で走ると時速40kmというから、時速約36kmのカール・ルイスさんはかなわないのだ・・・。
それと、腰からおしりにかけての部分で上半身の重みを支えることになるので、負担がかかっていて、他の動物のかからない「痔」という病気を発症するようになったのだ。

これまでの研究では、サルの場合は四足歩行でも二足歩行でもそんなに消費エネルギーは変わらないという結果が得られていたので、そういったデメリットの部分は常に手が使えるというメリットで乗り越えたんだろうと思われていたんだよね。
いつも手に道具を持っていられるので、それが生存上有利だったという考え方。
でも、今回の研究で、実はエネルギー的に「得」だったということがわかったのだ。
進化の話は現在の視点で見てしまうのでどうしても「合目的的」に考えてしまうんだけど、実際にはいろんな変化がランダムで発生していて、そのうち生存に有利なものが残っていくという「自然選択」が基本なんだよね。
それを思い出して今回の結果を考えると、たまたま後ろ足が長くなったり、骨盤の形状が二足歩行に適したような類人猿が出てきて、その類人猿は四足歩行より二足歩行する方がエネルギー的に有利なので、そうするようになった、と考えられるのだ。
すると、歩くのに手を使わないから、別のことに使う、というようになるよね。
なので、手を使うために二足歩行になったんじゃなくて、二足歩行になったから手を使うようになった、と考える方がおそらく適切なのだ。
逆なんだよね。

さすがに猿人や原人で同様の実験はできないから(笑)、化石の形状なんかで判断するしかないんだけど、アウストラロピテクスなんかはすでにより人間に近い形状に変わっているようなので、そういう面でもこの説は補強されるみたい。
こういう話は証明できないからデータを積み重ねて推測していくしかないんだけど、今回の発見はボク的には「目からウロコ」だったのだ。

2007/07/17

炭酸飲料

米国では清涼飲料水の種類がそんなになくて、アイス・ティーかスポーツドリンク、体に悪そうな色のビタミンドリンク、それとコーラに代表される炭酸飲料しかないんだよね。
日本のように缶コーヒーとかはないのだ。
で、自然と炭酸飲料を飲む機会が増えるんだけど、今回はその炭酸飲料について調べてみたのだ。

炭酸飲料というとノンアルコールの清涼飲料水を思い浮かべるけど、炭酸の入った飲み物全般を指すようなので、ビールやスパークリング・ワインも本来は入るみたい。
炭酸入りのソフトドリンクを指すときは別に炭酸清涼飲料水と言うようなのだ。
ま、どっちでもいいんだけどね(笑)

ソフトドリンクの炭酸飲料は、多くの場合加圧状態で無理矢理炭酸を液体中に溶かし込み、そのままふたをするのだ。
気体は圧力が高ければ高いほど水に溶けやすくなるので、その性質を利用しているというわけ。
で、ふたを開けると一気に常圧にもどるので、溶けきれなくなった炭酸ガス(二酸化炭素)がしゅわーっと吹き出してくるのだ。

ふたをしている状態でも炭酸ガスを溶かし込んだときよりは圧力が弱くなっているので、炭酸は「過飽和」状態で、不安定な溶け方をしているんだよね。
なので、振ったりして刺激すると、一気に溶けきれない炭酸ガスが出てきてしまうというわけ。
それで炭酸は振ると泡がたくさん出るのだ。
めいっぱい食塩を溶かした水を静かにゆっくり冷やしていくと、なかなか結晶が析出しないんだけど、そこにちょっとした衝撃を与えると一気に溶けきれなくなった食塩が結晶として析出するんだよね。
それと同じなのだ。

最初の炭酸水は、レモネード(レモン汁に砂糖やはちみつを加えて冷水で割ったもの)に炭酸水素ナトリウム(重曹)を加えて作ったそうだよ。
そうすると、レモン汁中に含まれるクエン酸と炭酸水素ナトリウムが反応して、クエン酸ナトリウムと炭酸ガスができるのだ。
ただ、炭酸水素ナトリウムを入れすぎると苦くなったりするから加減が難しいかも。

一方、ビールやスパークリング・ワインの炭酸はちょっと違うんだよね。
こっちは製造過程で自然に発生してくるものなのだ。
酵母(イースト)を使って発酵させるとき、低酸素状態だと、糖からアルコール(エタノール)を作るときに炭酸ガスが発生するのだ。
ブドウ糖だと、

 C6H12O6 → 2CH3CH2OH + 2CO2

という化学式になるよ。
エタノールが2分子できると炭酸ガスが1分子できるのだ。

ビールの場合は麦芽の中のデンプンが酵素で麦芽糖に分解されて、その糖がアルコールに変わるんだよね。
スパークリング・ワインの場合は、まず一度普通にワインを作るんだけど、そこに糖分を多く含むシロップなどを足してから二次発酵させるみたい。
この時に独特のマッシュルーム型のコルク栓をして、発酵過程でできた炭酸ガスが逃げないようにするのだ。
無理矢理とか仕込んでいるのではなくて、自然に発生したものが溶け込んでいるだけなので、ソフトドリンクほどは炭酸がきつくないのが特徴だよ。
ひょっとしたら安いスパークリング・ワインは後から炭酸ガスを溶かしているかもしれないけど・・・。

ちなみに、むかしコーラで骨が溶けるなんて話があったけど、あれは酸である炭酸に骨を入れると溶けた、というだけで、炭酸を飲んだせいで骨が溶けるわけではないのだ。
そんなこと言ったらすっぱい食べ物が食べられなくなるよね。
レモンやお酢でも骨が溶けてしまうのだ!
ただし、等を含む炭酸飲料は粘性もあって、葉の表面に付着しやすいので、虫歯になりやすくなるのは確かで、そういう意味では歯を溶かすおそれはあるよ。

2007/07/16

運動飲料

この季節は何かと汗をかくよね。
ボクは汗かきなので、それはそれは大量の汗をかくのだ。
でも、汗をかいてそのあと水だけをいっぱい飲むと体内のイオンバランスが崩れるというので、最近ちょっとスポーツドリンクに興味を持っているのだ。
というわけで、ちょっと調べてみたよ。

スポーツドリンクという名前は、運動中に水分補給を行うとともに、発汗で失ったナトリウムやカリウム、ミネラル分も補給するための飲料として開発されたので、そういう名前がついているのだ。
運動中に飲むものなので、クエン酸とか、ブドウ糖(glucose)やショ糖(sucrose)、果糖(fructose)なんかの糖分も入っていて、エネルギー補給もできるようになっているものもあるんだよね。
だから、べとべとして甘いのだ。
さらに、最近では差別化を図るために、必須アミノ酸を入れたり、分岐鎖アミノ酸(BACC、ロイシン、イソロイシン、バリンのこと)を入れたり、ビタミンを入れたりしているよね。
たいていは吸収がいいように、血液と同じくらいの浸透圧に調節してあって、生理食塩水(重量比率で約0.9%)くらいの濃さなんだって。
これで、脱水症状や熱中症を防ぐのだ。

米国のダム工事現場で、水だけを飲み続けていた作業員が体の不調を訴えるので調べてみると、汗をかいた後に水だけを飲むと体内のイオンバランスが崩れることがわかったんだって。
そのときは塩化ナトリウムや塩化カリウムを錠剤にしたものを一緒に飲むようにしたそうだよ。
で、この事実がわかってから、フロリダ大学の泌尿器科の教授がアメリカン・フットボールのチームの協力を得て、水分補給とミネラル補給を同時に行う飲料の開発をしたんだ。
それが世界最初のスポーツドリンクのゲータレードで、今でも米国でのシェアは非常に高いよ!
日本で最初に開発されたのはポカリスエットで、もともと大塚製薬は点滴用の輸液や注射用の生理食塩水を作っていたので、その技術を基礎に開発したとか。
今では国内外のものも含めて多くの種類があるよね。

でも、このスポーツドリンクはもともと運動時の水分補給を目的に開発されたものなので、運動していないときに飲み過ぎるとよくないそうだよ。
汗をかいていないのにスポーツドリンクを飲み過ぎると塩分やミネラルの過剰摂取になるし、糖分の入っているスポーツドリンクを飲み過ぎると、急性の糖尿病を発症する危険性もあるとか。
これは俗に「ペットボトル症候群」と呼ばれているもので、飲み物だと知らず知らずのうちに大量の糖分を摂取してしまうので、こういうことが起こるのだ。
スポーツドリンクの中には炭酸飲料より糖分が多いものもあるみたいだから、きちんと確認しないとダメなんだろうね。

2007/07/15

のってる?

今日はスーパーで買ったキムチがあまっていたので、キムチ・パスタ(ほとんどキムチ焼きそばだけど)を作ってみたのだ。
で、なぜか家に韓国海苔もあったので、ちぎってかけてみたんだ。
やっぱり韓国のもの同士は味が合うねぇ。
なかなかおいしかったのだ。
で、ふと海苔のことが気になったので、少し調べてみたのだ。

「のり」という言葉はかつては海藻全般を指す言葉だったみたいで、ひじきとかも「のり」と呼ばれていたとか。
今でも海藻の中には食用じゃないけど「○○ノリ」という名前になっているのはその名残だそうだよ。
で、いわゆる食用にしている海苔は、実は1種類じゃなくて、いろんな種類があるのだ。
逆に言うと、「海苔」として食用にしている海藻を一般的に「のり」と呼んでいるみたい。
川にある海苔(川なのに海?)もあるみたいだけど、よく食卓に上るのは、赤黒い海苔か青っぽい海苔だよね。
赤黒い海苔はアサクサノリやスサビノリ、ウルップノリなどの紅藻類で、ウシケノリ科アマノリ属なんだとか。
お好み焼きやたこ焼きに代える青のりや海苔の佃煮に使われる青っぽい海苔は、緑藻類のアオサ科アオサ属又はアオノリ属のものなんだって。
この2つの海苔は原料となる海藻のライフサイクルが判明しているので、養殖もできるようになっていて、それで大量に流通しているというわけ。

アサクサノリは、浅草沖でよく採れたからアサクサノリというんだけど、今ではほとんどみかけないそうだよ。
アサクサノリはカキなどの貝殻に胞子がついて、そこでしばらく成長してから再び浮遊して、また岩に付着するのだ。
で、海が汚れたり、埋め立てがされたりでその生活環境が厳しくなってきて、ほとんどとれなくなってしまったそうだよ。
江戸時代は浅草から大川(隅田川)を少し下ると江戸湾だったというから、だいぶ埋め立てられているんだよね。

ボクは浦安市の市立郷土博物館で「海苔すき」をしたことがあるんだけど、これがなかなかおもしろいんだよ。
まず、採ってきたノリを包丁でよくたたいて細かくするのだ。
ここできちんと細かくしないと、ノリが均一に延びなくて、板海苔が作れなくなるのだ。
で、細かくしたノリを水にさらしてドロドロの状態にして、それを和紙をすくのと同様の要領ですくんだよね。
ノリがきちんと細かくなっていて、かつ、均一にすけていると、これがきれいにはがれるので、これを天日で干すのだ。
で、アサクサノリなどの赤い海苔の場合は、できたてのものを見ると茶色っぽいんだけど、これを火であぶるとあざやかな黒い色に変わっていくんだよね。
あぶりたては香ばしくておいしかったよ。

ノリをすいて板海苔にするようになったのは江戸時代からで、それまでは生海苔として食べていたとか。
今でもお吸い物に入れたりするよね。
で、海苔の養殖技術と多量生産法を開発したのは大森の人たちで、京急線大森町駅の近くの三輪厳島神社にはそれを記念した碑がある神社があるよ。
で、海苔というと、江戸時代から江戸湾のものが有名で、火災や浦安などの江戸川沿いでもよく採れたんだけど、近代化が遅れて養殖ができなかったんだよね。
でも、明治になってからがんばって、乾海苔(いわゆる海苔のことだよ。)の大量生産に成功するのだ。
そのことを記念した碑は江戸川区の葛西地区にはけっこうあるみたいで、ボクは葛西橋どおりから少し入ったところにある宇喜田稲荷神社で見たのだ。

海苔はよくお茶屋さんで一緒に売られているけど、それにはわけがあるんだ。
それはどちらも保存方法が似ているということで、お茶も海苔も高温多湿を避け、冷暗所で保存することが大事なのだ。
それで一緒に売られるようになったというわけ。
いまではどちらも真空パックがあるけど、むかしはそれ用の店構えとかも必要だったから、ついでに扱うことにしたんだろうね。

ちなみに、ボクが今日食べた韓国海苔は、日本の海苔と同じようにすいて作るんだけど、ごま油と塩で味がつけてあるんだよね。
日本にも味付け海苔はあるけど、それは全然違うよね。
海苔自体は穴があったりするけど、日本の海苔よりさくさく感があることも特徴。
ボクはどっちもそれぞれの良さがあるので、好きなのだ。

2007/07/14

玄米

今日は米国に来てからはじめてお米を炊いてみたんだけど、それは前に住んでいた人が置いていった玄米だったのだ。
玄米を炊くのははじめてだったんだけど、ネットで調べてからそのとおりにやってみると、けっこううまく炊けたのでおどろき。
おいしく炊けたので玄米が好きになったくらい。
ということで、今回は玄米について少し調べてみたよ。

玄米は田んぼから収穫したお米のもみ殻だけをとったもので、精米する前のものなのだ。
「玄」は「黒い」という意味で、白米に対して茶色っぽいのでこう呼ばれるんだよね。
英語ではそのまま「brown rice」というみたい。
玄米はそのまままくと芽が出て稲になるんだよね。
発芽玄米はしばらく水につけておいて発芽させたもので、発芽させる過程でお米の中のデンプンが麦芽糖に分解されたりして甘みが出るのだ。
ほかにも発芽に必要な栄養を作るので、より栄養価が高くなったものなんだって。

お米もほかの野菜や果物と同様に、皮と実の間に栄養がつまっていると言われるんだよね。
ブドウのポリフェノールが皮の所にあるのと同じなのだ。
玄米の場合はそれがビタミンBやミネラル分で、これは精米してしまうと米ぬかの方に行ってしまうのだ。
江戸時代に都市部では白米が食べられるようになったんだけど、逆にそれでビタミンB不足になって、かっけが流行したんだよね。
そのときにぬか漬けを食べるとかっけが防げることが経験的に知られるようになるんだけど、これは米ぬかにもともと玄米に含まれていたビタミンBが含まれているからなのだ!
食物繊維も多く含んでいるので、白米に比べてかたく、よくかまないといけないんだけど、逆によくかむので米の甘みなどが感じられて、味もいい、と評価する人も多いとか。

通常売られている白米は重量にして玄米を90%ていどまで精米したものなのだ。
日本酒にする場合は、さらに雑味を少なくするためにもっと削りこんで、70%未満にまでするのだ。
ここまで精米すると細長いシャトル型になるんだけど、お米は芯に近いところの方が質のよいデンプンが含まれているからだとか。
吟醸酒では60%未満、大吟醸では50%未満まで精米することになっているんだって。

玄米は皮が残っているので普通の白米よりかたいので、より多く水を吸わせて炊くのが一般的なんだ。
でも、水の吸収もそんなによくないので、一晩水につけておいてから、少し多めの水で炊くというのが一般的みたい。
おいしく炊き上げるために、ひとつまみの塩を入れるとよいそうなのだ(浸透圧が高まってより水が浸潤しやすくなるのだ。)。
でも、実際は水を吸ってふくらむデンプンの分量は皮がある分だけ玄米の方が比率として少ないはずなので、多めに水を入れると、それだけ多くの水を吸うってことになるんだよね。
でも、皮のおかげでかたさを保っているので、デンプンがよりふやけても、炊きあがったお米自体はまだまだ適度なかたさが残っていて、ぷちぷちした独特の食感が楽しめるというわけ。

むかしは銀シャリなんて言って、白米は贅沢品あつかいだったけど、今では逆に玄米の方が健康食品として希少価値が高いよね(笑)
かつてはお米が足りないときのがさふやしだった雑穀も「五穀米」とかいって健康食品ではやっているし。
これも時代の移り変わりなのかも。

2007/07/13

はちみつ

ボクは毎朝シリアルを食べているのだけど、そのとき甘みを少し足すために、シナモンとはちみつを少し加えているのだ。
こうすると香りもよくなって、少し甘みも出ておいしく食べられるんだよね。
そこで、今回はその毎日使っているはちみつについて調べてみたよ。

はちみつは名前のとおりハチが集めた蜜だけど、これは花の蜜とは成分が異なっているのだ。
花の蜜をハチが集めただけないんだよ。
花の蜜は薄いショ糖(砂糖:sucrose)の溶液で、ハチはこれを集めるだけでなく、いったん体内に取り込んで、転化酵素(invertase)を加えてブドウ糖(glucose)や果糖(fructose)に分解しているのだ!
で、それをもう一回はき出してはちみつとして巣に保存しているわけ。
この時にビタミンやミネラル、アミノ酸なんかも豊富になるんだよね。
さらに、巣に保存しているときは常に換気を行うので、水分がとんでいってどんどん濃くなっていくのだ。
というわけで、花の蜜を原料に、はちみつという別のものが作られているわけ。

はちみつは同量の砂糖に比べてはるかに甘いんだけど、その分カロリーも高め。
でも、はちみつに含まれる果糖は高温では甘みを感じにくいので、熱いコーヒーなんかに入れるときには注意が必要で、ついつい入れすぎてしまうことになるのだ。
ホットのはちみつレモンも同じだよ。
で、このはちみつは糖の過飽和溶液(通常溶ける以上の糖が溶けている状態)になっているので、いったん冷えたりして糖が析出してしまうと、いくら温めてももとどおりにはなかなかならないのだ。
冷やしても糖が析出しないのは「はちみつ類似甘味料」で、はちみつを加工したものなんだよ(不純物が少ないはちみつは析出しづらいらしいけど。)。

で、このはちみつよりさらに栄養価が高いといわれているのがロイヤル・ゼリー。
これは女王バチを育てるための特別のものなんだよね。
最近の研究で、ロイヤル・ゼリーを食べることで活性化して、女王バチへの発達に寄与する酵素が発見されたという話もあるのだ。
幼虫の時は働きバチと変わらないんだけど、食べるものの違いで遺伝子の発現に違いが出てきて、最終的に女王バチと働きバチという見た目も役割もまったく異なる成虫になるんだ。
なんだか不思議な話ではあるよね。

働きバチというととても働き者というイメージがあるけど、実はそうでもなくて、働いているのは全体の7割くらいで、逆に3割くらいは蜜や花粉を集めることもせず、ぼけーっと巣のまわりをうろうろしているだけなのだ。
おもしろいことに、働きバチの数が減っても、「なまけもの」の働きバチの割合は変わらないんだって。
なので、働き手が少なくなってもさぼっているやつがいるのだ。
でも、これはただ単にさぼっているわけじゃなくて、きっと何か意味があるんだよね。
さぼっている連中がいる方が生存競争に強かったからこそ生き残っていると考えるのが普通なのだ。
ひとつ考えられるのは、スズメバチなどに巣が襲われた時の要員というもの。

アジアにいるトウヨウミツバチ(ニホンミツバチはその亜種)は、オオスズメバチが天敵なんだけど、スズメバチが来ると、スズメバチのまわりを無数のミツバチが囲んで「蜂球(ほうきゅう)」という状態を作るのだ。
この中でミツバチはものすごく動いて熱を発生させて、より熱に弱いスズメバチを撃退するんだ。
内部は45度ほどにもなるなとか。
みんなが幼虫の世話をしたり、花の蜜を集めに行っているといざというときにこの撃退をする要員がいなくなるので、「待機」しているんじゃないかな、って思うんだよね。
ちなみに、西洋にはオオスズメバチのような天敵がいないので、セイヨウミツバチは蜂球を作らないのだ。
さぼっている連中はどうも同じようにいるらしいけど・・・。
他にも何か役割があるのかな?
(セイヨウミツバチの方がはちみつを集める能力が高いので養蜂家はセイヨウミツバチを使うんだけど、蜂球が作れなくて天敵に対抗できないので、今のところニホンでは野生化できていないんだって。)

2007/07/12

ばなな

米国人はバナナが大好きで、コンビニでもバナナを売っているんだよね。
しかも日本よりはるかに安いのだ。
かくいうボクも、毎朝バナナを食べているんだ。
そこで、少しバナナについて調べてみたのだ。

バナナは熱帯原産のバショウ科の植物で、「木」ではなく「草」なんだって。
茎のように見えている部分は葉っぱが丸まって集まったもので、本当の茎は地中で横にはっているそうだよ。
野生のバナナだとタネがあるんだけど、食用で栽培されているバナナはタネができないので、株分けなどで増やすんだって。
生産性と栄養価はとても高いんだけど、保存性がよくないので、穀物のように主要な食糧とはならず、準じた扱いだそうだよ。
すぐに熟しすぎて黒くなっちゃうから、乾燥させた穀物やイモ・トウモロコシのように長持ちさせられないということなのだ。
バナナチップで補存じておくわけにもいかないしね(笑)

日本では植物防疫法によって未熟なバナナしか輸入できないんだって。
これは完熟バナナには害虫がついている可能性があって、その害虫が国内に進入するのを防ぐためなんだとか。
なので、まだまだ緑色の「青い」バナナを輸入して、倉庫の中で温度と湿度を調節し、そこに成熟ホルモンの働きをするエチレンガスを入れて熟成させるのだ。
適度に黄色くなってきたら市場に出回るそうだよ。
ちなみに、リンゴからはエチレンガスが出ることが知られていて、バナナとリンゴを一緒に置いておくとバナナがすぐに熟れてしまうのだ!
熟れたバナナを食べたいときはリンゴと一緒に置いておくとよいけど、そうでないときはすぐに黒くなってダメになっちゃうから注意が必要だよ!

バナナは熟してくると色が黄色から茶色に変わってくるけど、その過程で茶色の斑点が出てくるよね。
これがシュガー・スポット(Sugar Spot)と呼ばれるもので、食べ頃のサインとも言われているんだ。
バナナがねっとり甘く熟した証拠なんだよ。
でも、ボクは個人的にまだかための、甘みのうすいバナナが好きだから、緑色が残っているうちに食べるけどね(笑)
バナナクリームやバナナシェイクにしたりするときはこのシュガー・スポットの出た完熟バナナがいいんだよ。
完熟バナナをクレープやパイに入れると、クリーム状にとろけておいしいよね。

日本ではもっぱらデザートとして生食されることが多いけど、熱帯地方ではイモのように料理して食べることも多いのだ。
料理用にはそれ専用の種類のバナナがあって、デザート用のものに比べて繊維質やデンプンが多いんだって。
皮のついたままたき火の下に入れて蒸し焼きにしたりして食べるのだ。
焼きイモみたいでおいしいらしいよ。
(普通のデザート用のバナナでも、焼いて食べるとねっとりと甘くとろけてけっこうおいしいよ。)
スープとかにも入れたりするみたい。

バナナは食物繊維と糖分が豊富で、しかも消化によいので、栄養補給にはもってこいなのだ。
マラソンとかでバナナで栄養補給するのはこのためだよ。
さらに、カリウムなんかも多く含まれているので、ミネラルもとれるのだ。
牛乳と合わせると、炭水化物とタンパク質、カルシウム、カリウム、繊維質とかなりバランスのよい食事になるんだ。
朝の忙しいときなんかにはもってこいなんだよ。
むかしに日本では高級品だったけど、今では手軽に手に入る優れた食物なのだ。

2007/07/11

光化学スモッグ

米国は都会でもわりと緑が多いし、東京なんかに比べるとはるかに環境はよさそうな気がするんだけど、やっぱり車社会でとにかく自動車が多いから、空気は汚れてしまうみたい。
夏になると光化学スモッグ警報がけっこう出るみたいなのだ。
首都ワシントンDCでは、光化学スモッグ警報が出ると自動車の利用を減らすため、域内のバスが無料になるんだって。
でも、ボクがいつも使っている地下鉄のメトロは平常どおりなのだ(>_<) というわけで(?)、今回は光化学スモッグについて調べてみたよ。 光化学スモッグというのは、工場からの排煙や自動車の排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)や炭化水素(エーテル、アセトンとかの揮発性有機化合物)が、紫外線で光化学反応を起こして有害な物質(オゾンやアルデヒドなどの光化学オキシダント)ができる現象を言うのだ。
できた酸化物が空気中に滞留してもやもやっとスモッグ状になるのでこう呼ばれるんだ。
日差しが強くて風が弱いときに起こりやすいみたい。

米国は実は光化学スモッグの本場のようで、世界ではじめて光化学スモッグが認識されたのはロサンゼルスなんだって。
それは1945年のこと。
日本では環七沿いの杉並区堀ノ内のあたりで1970年に確認されたのが最初だって。
最近は減少傾向にあったんだけど、また発生件数が増えてきているらしいよ。
中国からの大気汚染の流入なんかも関係しているとか。
米国では日差しがかなり強いので、光化学スモッグも発生しやすいのかな?

光化学スモッグが発生すると、目が痛くなったり、のどが痛くなったりするんだけど、ひどい場合には嘔吐や皮膚のはれ、手足のしびれ、意識障害なんかも出るんだって。
植物にも有害で、葉っぱを枯らせたり、花の色を変色させたりするとか。
紫外線による光化学反応で反応性の高い物質が精製され、それが空気中を漂っているんだけど、それに触れるとさらに化学反応が起きてしまうと言うわけなのだ。
薬品の飛沫が空気中を漂っているようなものなんだよね。

はっきりいって個人では防げないんだけど、大気汚染をできるだけしないように努めるしかないのだ。
とにかく発生のおそれのある場所にいる場合は、警報に気をつけるしかないね。
個人でできる対策としては、光化学スモッグが発生して気持ち悪くなったりしたらシャワーを浴びて体に付着した有害物質を洗い流したり、目を洗ったりうがいをして被害を少なくすることくらい。
雨が降ったり、気温が下がると徐々に有害な光化学オキシダントがなくなっていくので、光化学スモッグが発生したら建物の中に非難して、ほとぼりが冷めたころに外に出る、というのもあるんだよね。
外にいなくちゃいけない場合はダメだけど。
光化学オキシダントの粒子は花粉なんかに比べてもはるかに小さいので、マスクなんかでは避けられないので、こうするしかないみたい。

2007/07/10

熱中時代!

米国では夏も本格化してきて、連日気温が35度を超えるようになってきたのだ。
西部や南部の方では40度を超えることもざらなんだって。
で、そのまま放っておくとホームレスの人たちが熱中症で亡くなってしまう可能性もあるので、図書館などの空調のきいた公共施設を開放して、そこに非難するように促すのだ!
そんな話を聞いて、今日は少し熱中症について調べてみたよ。

熱中症というのは、高温多湿な外気等が原因となって起きる症状の総称で、大きく分けると、熱失神、熱疲労、熱けいれん、熱射病に分類されるそうだよ。
熱射病のうち、強い日差しに当たりすぎて発症するのが日射病なのだ。
でも、日差しがなくても高温多湿だと同様の症状が発症するので、大きくは熱射病と言うんだよね(サウナなんかで倒れる人が時々いるよね。)。

熱失神は発汗による脱水と熱による末梢血管の拡張によって循環器機能が低下して起きるもので、その名のとおり失神していきなり倒れるのだ。
夏の校庭で長い校長先生の話を聞いていると倒れる、というのが典型的なもの。
いきなり意識がなくなって倒れるので、打ち所が悪いとけがもしてしまうんだよね。
体温は正常であることが多いけど脈拍は弱くなっているとか。
とりあえず冷やすとともに、ひどい場合には輸液で直接血液中に水分を補給するんだって。

熱疲労は多量の発汗によって水分と塩分の補給が間に合わなくなって起こる脱水症状で、とにかく大量の発汗が認められるとか。
夏に汗をかきすぎて気持ち悪くなることがあるけど、それは程度の軽い熱疲労が起きているのだ。
この状態で水だけ飲むと体内のイオンバランスが崩れてしまうので、スポーツドリンクなどで水分を補給した方がいいんだよね。
体を冷やして汗を抑えるのが重要みたいだけど、ひどい場合にはやっぱり輸液で治療するのだ。

実際にイオンバランスが崩れて、塩分・ミネラルが不足した状態になってしまうのが熱けいれん。
名前のとおり手足がけいれんするんだよ。
イオンバランスが崩れているので、スポーツドリンクよりももっと濃い食塩水なんかを飲むと症状が軽減するとか。
けっこうすぐに効果があるみたいだよ。
でも、自分一人だとどうにもできないことも多いから、この症状が出ないように、水分補給時は適度に塩分やミネラルもとるように気をつけることが大事なのだ。

熱射病は視床下部にある体温の調整機能が正常に機能しなくなったときに起こるもので、あまりにも暑いところにずっといると起こるのだ。
多少の「慣れ」はあるんだろうけど。
熱射病の場合は意識がなくなっていくと同時に体温もどんどん上昇していくので危険な状態に陥りやすいのだ。
まずは体を冷却してあげて、安静にするしかないんだよね。
霧吹きがあれば吹きかけて上げて気化熱で体温を下げるようにするのもよいみたい。
本当に意識がなくなって倒れてしまった場合は緊急治療が必要なので、救急車の出番なのだ。
これはとにかく暑いところにずっといるのを避けるしかないんだよね。
日射病はつばのある帽子をかぶるだけでもだいぶ効果があるみたいなので、暑いのが苦手な人は特に気をつけたいのだ。

注意点は、温度はそんなに高くなくても湿度が高いと起こることがあること(通常は汗をかいてその気化熱で体を冷やしているんだけど、多湿だとその調節がきかなくなるのだ。)、急激な気温差があると起こりやすいこと(空調のきいたところからいきなり暑い外に出るとぐっと来るのだ。)など。
疲労がたまっていると起こりやすいので、疲れているときは暑いところでの作業は避けたり、適度に休憩をとることも重要なのだ。
それと、水分補給をするときは塩分やミネラルの摂取にも気をつけることかな。
ボクは暑いのはわりと得意だけど、過信していると大変なことになるかもしれないから、自分でも気をつけようと思ったよ。

2007/07/09

七夕

ちょっと遅れてしまったけど、米国時間では昨日が七夕。
日本ではもう一昨日だよね(笑)
でも、本来は中国から伝わった五節句のひとつなので、旧暦でやるべきなのだ。
そうすると梅雨も明けているから晴れることが多いんだよね。
ちなみに、米国ではきれいに晴れていたよ。

七夕は中国から伝来したもので、旧暦では立秋前後にあたるので、お盆行事と一緒に行われていたんだって。
それが独立して七夕になったとか。
七夕と書いて「たなばた」と読むのは、古事記なんかにもある棚機津女(たなばたつめ)の伝説と習合したためで、この棚機津女というのは、川のそばで神の衣を織り、一夜神に身を捧げる巫女さんの一種なんだ。
神に仕えて機を織ると言うところが重なって習合したみたい。
もともとは神への生け贄「人身御供」の一種なんだけどね。

大伴家持さんなんかは七夕のことを和歌に詠んでいてそれが万葉集に載ってるくらいで、奈良時代には日本に伝わって宮中行事として行われていたみたい。
笹はもともと精霊(祖先の霊)のやどるよりしろで、お盆の行事の一部だったことの名残なのだ。
短冊に願い事を書いてかざるようになったのは江戸時代からで、日本独自の風習らしいよ。
でも、よく考えれば、なんでお願い事するのかよくわからないよね。

七夕と言えば先代の七夕祭りが有名だけど(これは旧暦に合わせて8月だよね。)、もともと飢饉の多かった東北地方で天災を払うお祭りが行われていたんだって。
それを伊達政宗公が婦女に対する文化向上の目的をこめて七夕祭りを奨励してことから、七夕祭りとして行われるようになったとか。
藩政時代は盛大に行われていて、明治・大正になると細々と続けられるだけになるんだけど、1927年に地元の商店街が大規模に飾り付けるようになって、今のお祭りになったのだ。

2007/07/08

君は誰?

米国ではサマータイムが導入されているので、夜の21時くらいまで明るいんだけど、日が沈むと一気に暗くなるんだよね。
とは言え、車社会で道路のネオンがとても明るいから、前後不覚になるようなことはないんだけど。
でも、少し街を離れると一気に暗くなって、道路の近く以外は真っ暗なこともあるのだ。

それこそ電気のなかったむかしは日が沈んでしまうと真っ暗で、月夜ならまだしも、新月だと星明かりしかなかったんだよね。
そういうくらい雰囲気も趣があるような気もするけど、何かと不便も多かっただろうね。
行灯とか提灯といった心許ない明かりしかなかったし。

そうすると、夕方になって日が沈んでくると、あたりが暗くなって少し離れたところにいる人の顔が識別できなくなって来たのだ。
それで、夕方のことを「誰ぞ彼」から「たそがれ」時と呼ぶようになったんだよね。
顔がはっきり見えないから、誰?と思ってしまうということだよ。

似たような言葉に「かはたれ」時というのがあるけど、これは「彼は誰」で逆になったヴァージョン。
基本的に同じなんだけど、いつしか「かはたれ」時は朝方の薄暗い状態を指す言葉として主に使われるようになったのだ。
なので、朝暗いうちは「かはたれ」、夕方暗くなったら「たそがれ」なんだ。

さらに「逢ふ魔が時」なんて言葉もあるけど、これは誰かはっきり識別できなくて、ひょっとしたら「人ならぬもの」もいるかも知れないという潜在的な恐怖感の表れなのだ。
柳田国男先生の著作を読むと、「もしと1回だけ問いかけてくるのが妖怪で、人ならば、もしもし、と2回問いかけてくる」なんて話が出てくるけど、誰だか識別できないからむかしの人は見慣れない人らしき影があると恐怖を抱いたんだよね。
で、よくないことなんかが起きるときっとそのときに見た妖怪のせいだ、というようになったのだ。
時としては「大禍時(おおまがとき)」とも書いて大きな災いがある時間帯、ともされるんだよね。
どっちが最初かわからないけど、別に夕方にばかり災害が起こるわけじゃないので、大きな災いが起こる、というのは少しこじつけのような気がするけどね。

今では街全体が明るいからこういう恐怖感じゃなくて、犯罪があるんじゃないかっていう恐怖感の方が強いけど、これって想像力がなくなっていっているということでもあるんだよね。
むかしは説明できないこと、わからないことをなんとか形にしようとして妖怪とかが想像されていたんだけど、科学によっていろいろなことが解明され、物理的な闇も街から消えると、妖怪が生き残る隙がほとんどなくなってしまうのだ。
なんだか少しさみしい気もするよ。

2007/07/07

陶磁器

博物館に行くと、陶器とか磁器とかが分けて説明されるんだけど、いまいち違いがわからなかったんだよね(>_<)
さすがに素焼きの土器と瀬戸物の違いはわかるけど、それ以外はよくわからなかったのだ(笑)
ということで、今回は陶磁器について調べてみたのだ。

まず、粘土質の土をこねて、乾燥させてから普通にたき火の中などに入れて焼くのが土器。
これは野焼きと言って、いわゆる「窯(かま)」は使わないで焼くので、焼成温度は低くて、700度から900度くらいだって。
なので、器としては形になるけど強度もあまりなく、気孔も残っているので吸水性・浸水性が高いのだ。
(ようは割れやすくて、水がしみこむということ。)
ちなみに、素焼きのかめに水を入れておくと、かめが水を吸い込んで、その水はかめの表面で蒸発していくので、気化熱が奪われて中の水は冷たくなるのだ!(水は減っていくけど。)

で、ここから発達して、窯を使って焼くようになったのが須恵器と呼ばれるもの。
古墳時代くらいから登場して、平安時代くらいまで使われたみたい。
これは窯を使って1,000度以上の高温で焼成させるので、強度も高く、表面も少しガラス質になってつるつるになるのだ。
水も素焼きほどはしみこまなくて、器として使いやすいのだ。
最初は高級品だったみたい。

ここからはさらに技術が発展して、今のような窯を使って焼き物を作るようになるんだ。
そこで出てくるのが陶器。
陶器は単純な窯(ドーム上にして煙突をつけ、密閉して焼くだけの窯)を使って1,100度から1,300度で焼き上げたもので、透光性はないけど、少し吸水性が残るのだ。
釉薬(うわぐすり)を使うこともあって、一般に厚手で重くて、たたくと鈍い音がするのが特徴だそうだよ。
瀬戸焼や大谷焼なんかが陶器なのだ。

もっと高温で焼くようになると、今度は磁器と呼ばれるものになるのだ。
磁器の場合は、まずは700度くらいで素焼きした後、釉薬をつけてさらに1,300度くらいで焼き上げるのだ。
これには登り窯などの高温が持続できる窯が必要なんだよ。
焼き上げると、半透光性(半透明)になって、陶磁器の中ではもっともかたく、たたくと金属音がするのだ。
これは中でガラス質が多くなっているためで、もともとの粘土の粒子の間にあった隙間がもっとも密に埋まっているので、強度もあって、金属のような硬質の音がするようになるのだ。
有田焼や九谷焼なんかが代表だよ。

この陶器と磁器の中間的な存在のものもあって、それは炻器(せっき)と呼ばれるのだ。
焼成温度は1,200度から1,300度で一般には釉薬は使わないんだけど、もともと粘土に含まれていた成分が自然に溶け出した釉薬のようになったりすること(自然釉薬)はあるみたい。
備前焼や常滑焼きが代表で、自然な感じを活かしたシックなデザインが好まれるものなのだ。
かたくて耐水性もあるので世界各地でよく使われているみたい。

というように、簡単に見ただけでも、けっこう違いがあるものなんだよね。
実は、焼く温度だけでなく、それぞれ使う粘土の質も違っていて、磁器だと長石が入っていないとダメだったりとかいろいろあるみたい。
きっとこういうのは試行錯誤の上に一番うまくいくものが選ばれていったんだろうね。
その土地、地域の土の特色などを生かしていろんな陶磁器が生まれてきたのだ。
こういう文化は大事にしたいよね。

2007/07/06

はみがき

日本でも米国でも、中国製の歯磨き粉に本来は行っていてはいけない化学物質が見つかって問題になっているのだ。
歯磨き粉は食べ物ではないけど、同じように口に入れるものだからこわいよね。
そんなニュースを見ていて、歯磨き粉のことが気になったので少し調べてみたのだ。

歯みがき粉とは言うけど、実際に「粉」状のものを見かけることはほとんどなくて、今ではほとんどがチューブに入ったペースト状のものだよね。
でも、日本で初期に売り出されたものが「粉」だったので、言葉としては「粉」となってしまっているのだ。
(テレビのチャンネルを「まわす」とか、そういう言葉としてだけ残っている例はけっこうあるよね。)
一時期液体歯みがきもあったけど、今ではほとんど見かけないのだ。
ボクは泡立ちが弱くてわりと好きだったんだけど。

歯みがき粉の歴史をさかのぼってみると、古代エジプトや古代ローマまでさかのぼるみたい。
その頃から「歯にいい」と思われる成分をつけて歯をきれいにする習慣があったのだ。
でも、今のように一般にも浸透したのは19世紀以降の米国みたい。
当時はまだ粉が主流で、自家製のものも多かったそうだよ。
チョークの粉や食塩を混ぜていたようなのだ。
20世紀になると今のように歯をきれいにする成分が入ったペースト状のものが登場し始めて、それが主流になっていったとか。

南国の島では珊瑚礁が細かく砕かれた砂を歯にこすりつけるところもあるし、粗塩だけで歯をみがく民族もいるよね。
日本の場合は、楊枝で歯を掃除するのが主流で、粉などは使わなかったみたい。
今のような先のとがった楊枝も使っていたけど、先をブラシ状にした楊枝もあったんだよね。
今の歯ブラシと同じようなものなのだ。

現在主流の歯みがき粉に入っている主要な成分は、研磨剤、発泡剤、保湿剤、結合材、それに薬用成分なのだ。
研磨剤は文字どおり歯を「みがく」ためのもので、かたい微粒子なのだ。
炭酸カルシウムやリン酸水素カルシウム、水酸化アルミニウムなんかが多いみたいだけど、歯の表面を削るんだよね。
歯を白くする降下はあるけど、歯の表面を削り取って細かい傷をつけるのでよくないとも言われているのだ。

発泡剤は歯みがき粉の泡のもとで、ラウリルサルコシンナトリウムやラウリル硫酸ナトリウムなんかが使われるみたい。
これはいわゆる中性洗剤と同じで、歯の表面についた汚れを浮き上がらせて落とすものなのだ。
台所用洗剤でも効果は同じか、より強いくらいなんだけど、口の中に入れるのでよりマイルドで、かつ、味が悪くないものが使われるんだ。
なめてみるとわかるけど、台所用洗剤は「にがじょっぱい」んだよ(>_<)

保湿剤と結合材は歯みがき粉をペースト状にするためのもの。
保湿剤としてはグリセリンやプロピレングリコール、ソルビトールなんかが使われるのだ。
おそらくこれらの成分の不純物として入っていたのだ。
結合材はアルギン酸ナトリウムやカルボキシメチルセルロースなんかが使われるけど、これは粘性を出すためのものなんだよね。
水分子と保持する保湿剤と合わさってペーストができるというわけ。
市販の歯みがき粉の場合、味をつけるためにここいサッカリンナトリウムやキシリトール、香料なんかが加えられるんだよね。

最後の薬用成分が歯みがき粉ごとの特徴があるもので、いろいろなものがあるよね。
単純に粗塩が入っているようなものもあるし、指向を分解する酵素が入っているものもあるのだ。
欲は言っているフッ化化合物(フッ化ナトリウム、モノフルオロリン硫酸ナトリウムなど)は歯の表面にフッ化カルシウムの膜を作って歯質を強化すると言われているもので、飲料水中に微量のフッ素が含まれる地域では虫歯が少なかったことから、その効用が注目されたのだ。
でも、今では本当に虫歯になりにくくなるのか疑問とも言われているみたい。
ボクは個人的にフッ素入りが好きだけど。

一時期はやったハイドロキシアパタイトは、歯の主要成分のリン酸カルシウムと親和性が高いもので、歯の表面の微少な傷のあるところに結合して、歯がつるつる、きれいになると言われているものなのだ。
歯垢除去効果なんかも高いみたい。
とある歯みがき粉に含まれているグリチルリチン酸ジカリウムは抗炎症作用のある成分で、歯肉炎などに効果があるのだ。

ちなみに、審美歯科の分野で化学的なホワイトニングに使われるのは過酸化尿素で、歯の表面の黄ばみ成分などを脱色してしまうのだ。
原理は漂白剤とまったく同じで、色素成分を除去しているんじゃなくて、色素の色自体をなくしているんだよ。
でも、人間の歯はあまりにも白いとかえって不自然に見えるので、適度にクリーム色くらいの方がきれいに見えるらしいよ。
きちんと歯みがきをして、自然に白くなるのが一番なのだ。

2007/07/05

進化

欧米には「インテリジェント・デザイン」という考え方があるのだ。
これはダーウィンさんから始まった進化説を否定するもので、世界のありとあらゆるものが全知全能の神がデザインした、というものなんだ。
これだけ複雑でありながら調和した仕組みが自然にできあがるなんてナンセンスで、神でなければ作り得ない、と主張して、教科書に載っている進化説の話を削除するよう求めたりもするんだよ。
最近このインテリジェント・デザインの考え方に基づく博物館も作られたとか。
※別に世界のとらえ方は科学がすべてじゃないからボクは否定も肯定もしないけど、別に他のパラダイムを攻撃することはないから、科学は科学、聖書は聖書、と割り切ればいいのに、とは思う。

で、この話を耳にして、大学の時に授業で習った進化説のおもしろい話を思い出しのだ。
話を聞いたときは、へぇ~って感心したものだよ。
進化って、合目的的に見えるけど、それは結果を見ているからで、実際には多種多様なものの中から合理的なものだけが残っていくっていう仕組みなんだよね。
「下手な鉄砲数打ちゃ当たる」の世界なのだ。
そんな世界の法則として提唱されているものなんだ。

ひとつ目は「ハンディキャップ仮説」というもの。
これはクジャクでは羽の立派なオスがもてたり、シカではツノの大きなオスが好まれたり、セミでは鳴き声の大きなオスがメスを獲得する「理由」を説明しようとするものなんだ。
証明できないから仮説のままなんだけど。
この考え方では、立派な羽や大きなツノ、大きな鳴き声は必ずしも生存競争上は有利に働く要素ではなくて、むしろ捕食者に見つかりやすかったり、生活の邪魔になったりして不利に働くことに着目しいているのだ。

で、なんで本来は不利に働くはずの特質を持っているオスがもてるのか、という説明として、そういう不利な条件を持ちながらも生存しているオスは、「きっと」他のオスより生存能力が高いから生き残っているに「違いない」とメスが本能的に考えるからだ、とするんだよね。
つまり、多少のハンディキャップがあっても他のオスと変わりなく生き残っているということは、その他の面で他のオスより優れているはずだ、という理屈なわけ。
さすがに人間には当てはめづらいけど(笑)、動物の世界ではけっこうこの説明でしっくり来ることが多いんだよね。
「色男、金と力はなかりけり」っていうのはこういうことかな?

もう一つは、「赤の女王仮説」。
これはルイス・キャロルさんの「鏡の国のアリス」(ハンプティ・ダンプティや白の騎士なんかが出てくるやつね。)の登場人物の赤の女王が「その場にとどまるためには全力で走り続けなければならない」ということを言うことにちなんでいるのだ。
進化における「赤の女王仮説」とは、生物としては進化が止まっているように見えても、時々刻々変化するまわりの環境に適応するためには進化し続けないといけない、ということを指しているんだよ。
カブトガニやシーラカンスは生きる化石と言われるけど、別にずっとむかしから進化していないわけじゃなくて、ずっと進化をし続けて、なおかつ、むかしの姿を保っている、ということなのだ。
進化から取り残されると、まわりの環境に適応できなくて、種としては絶滅してしまうのだ!

これは病原体との関係や、捕食者との関係でよく説明されるんだ。
例えば、病原菌が進化すると病気にかかる生物は進化してその病気にかかりにくいようになるのだ。
すると更に病原菌はその生物に感染しやすいように進化する、という「いたちごっこ」が続くので、ともに進化をし続けるというもの。
捕食者と被食者の関係でも同じで、食べられまいと被食者の足が速くなると、捕食者も足が速くないと獲物が捕まえられないから足が速い個体が残っていく、ということなんだよ。
これは環境の変化に対しても同じで、常に進化し続けて、環境に適応した個体だけが残って、それ以外は淘汰されていく、ということなんだ。

実は、遺伝情報レベルでは常に変化が起こっていて、遺伝情報の本体であるデオキシリボ核酸(DNA)の複製には一定の確立で複製エラーが起こるのだ。
で、これは遺伝子の内容(タンパク質のアミノ酸配列や遺伝子発現を制御する情報など)を変えるものもあるし、まったく関係ないところが変わるだけのものもあるんだけど、DNAの分子レベルでは常に変化が起こっていて、常に遺伝情報としては多様性が生み出される状態になっているのだ。
で、その多様性の中には、環境が変わったときにより適応しやすいものもごくごくまれにあって、そういう遺伝状をを持っている個体が自然淘汰で生き残っていく(自然選択される)ということなんだ。

有性生殖と無性生殖の有利・不利という話とも関係があって、自分の遺伝情報が100%子孫に伝えられるという意味では無性生殖にメリットがあるんだけど、この環境の変化への適応を考えると有性生殖の方がメリットが出てくるのだ。
オスとメスの両方から遺伝情報を受け継いでシャッフルするわけだけど、それで遺伝情報にはより多様性が生まれるので、環境の変化には「強い」ということなんだよ。
例えば、ある環境の変化に対して2つの遺伝子が変化しないといけないとした場合、無性生殖では2回遺伝子の変化が発生しないと適応できないんだけど、有性生殖ではそれぞれ別の遺伝子が変化したオスとメスが子供を作ればよいので、1回の遺伝子の変化ですむことになるのだ。
これが有性生殖のメリットで、生物としてのシステムが複雑になればなるほど世代交代に時間がかかるので、有性生殖の方がより有利になるというわけ。
大腸菌は30分周期で細胞分裂できるけど、ほ乳類は10年はたたないと世代交代しないからね。

こうやって進化の話を調べていくとおもしろいんだよね。
すっごく複雑なシステムなんだけど、原理は単純で、多様性の中から適したものが選ばれる、というだけなのだ。
このシステムが自然に発生したのか、神が作ったのかはよくわからないけど(笑)、現象論としてはとても興味深いよ。

2007/07/04

加工乳

米国に来てから乳製品を日本にいたときよりより多く食べているような気がするんだけど、やっぱりパン食だとチーズやヨーグルトが合うんだよね。
ごはんに味噌汁と漬け物がつくようなものなのだ(^o^)/
というわけで、今日はそのチーズとヨーグルトについて少し調べてみたよ。

どちらも牛乳やその他の乳(ヤギ乳、ヒツジ乳など)を発酵させた食品で、もともと生乳の保存性の悪さを解消するためのものだったのだ。
水分を除いて持ち運びやすくしたのがチーズで、液体のままでとりあえず日持ちだけするように工夫したのがヨーグルトっていうイメージみたい。
たぶん、生乳の感じをできるだけ残して保存性を高めたのだヨーグルトの発想で、何が何でも長期間保存したいというのがチーズの発想なんだろうね。
どっちもおいしいから両方あった方がよいんだけど(笑)

チーズは、レンネット(凝乳酵素)やレモン汁・酢などで乳脂肪分を沈殿させ、さらに水分を絞って作るのだ。
そのまま発酵させずに食べるのがいわゆる「フレッシュ・チーズ」で、カッテージ・チーズなんかが有名だよね。
無調整牛乳にレモンの絞り汁を少し入れて、よく振ってからふきんでこすと簡単に作れるよ。
さらにしぼったものをカビや乳酸菌で発酵させるのが一般的なチーズ。
発酵させていく過程でかたくなってきて、独特のにおいも出てくるのだ。
この発酵のさせ方により、パルミジャーノ・レッジャーのようにかちかちになったり、カマンベールのように中がとろっとしたりするみたい。
発酵過程が工夫のしどころというわけだね。

で、発酵させてチーズを作った後、そのまま食べるのがナチュラル・チーズで、一度熱でとかしてから固め直すのがプロセス・チーズなのだ。
ナチュラル・チーズはにおいが強いんだけど、一度熱処理するとだいぶにおいがマイルドになるんだよね。
それに、熱処理をするとそこで発酵も止まるので、より長期間安定的に保存できるのだ。
むかし日本でチーズと言ったらプロセス・チーズしかなかったけど、最近はいろんなものが売っているよね。
牛乳以外で作ったチーズもデパートや大木阿スーパーには置いてあるのだ。
それだけチーズを食べる文化が根付いてきて、需要があるということなのだ。

ヨーグルトは、一度沸騰するまで生乳をあたため、人肌程度に冷ましてから乳酸菌を加えて発酵させて作るのだ。
日本の場合は湿気が高くて雑菌が繁殖しやすいから作りにくいんだけど、乾燥地帯や湿気の少ないところだとけっこう工夫せずにうまく行くようなのだ。
ヨーグルトの本場の欧州やトルコなんかは湿気がそんなに高くないので、うまく発酵させられるわけ。
それで発達したっていうのもあるんだろうけど。

作り方からわかるとおり、素のヨーグルト(プレーン・ヨーグルト)は生乳を発酵させただけなのではっきりいって甘くないのだ。
むしろ、乳中の乳糖が乳酸発酵して乳酸ができるのですっぱくなるんだよね。
しかも、別にとろみもたいしてないんだよ。
なので、トルコとかブルガリアなんかのヨーグルト消費大国は、料理の材料としても使っていて、塩を加えてスープにしたりもするんだ!
「飲むヨーグルト」っていうのが日本にはあるけど、もともとは固まっていないので、わざわざ固めずに飲みやすいように甘みをつけたのが「飲むヨーグルト」というわけ。

日本の場合、砂糖とゼラチンを加えてとろっと甘くしたものが最初に普及したので、どうしてもそのイメージがつきまとうんだよね。
プレーン・ヨーグルトがかなり普及してきた今でも「デザート」という感覚がついて回っている感じがするよ。
米国はアイスクリーム消費大国なんだけど、アイスクリームはカロリーが高いからと、フローズン・ヨーグルトを開発した国でもあるんだよね。
これはなかなかの大発明なのだ。
フローズン・ヨーグルトは甘みも控えめなことが多いし、酸味もあってさっぱりしているし、アイスの中でもボクはもっとも好きな部類なのだ。
でも、米国の場合はそこにフルーツを足したり、チョコソースやベリーソースをかけまくるから、たいして普通のアイスクリームと変わらなくなるんだけど・・・。

2007/07/03

Spring Rain

今日は夕ごはんに酸辣湯風スープ春雨を作ったのだ。
これがけっこうおいしくできたんだよね。
で、ふと、春雨ってなんじゃらほい?、と思ったので、少し調べてみたのだ。

春雨というのは日本での名称で、中国では「粉絲(フェンスー)」、台湾では「冬粉(タンフン)」というらしいよ。
日本と台湾では季節がずれているんだね(笑)
日本では鎌倉時代ころに中国から伝わり、禅宗で使う食材として普及したみたい。
今では春雨サラダや、スープ春雨、春巻きの具、麻婆春雨などなど、いろいろと食べる機会も多いよね。
カロリーが低くてダイエット食品としてもよく食べられるのだ。

春雨はマメやイモのデンプンを水で練って生地を作り、小さな穴の開いた容器からところてんのように熱湯中に押し出して麺にするのだ。
できた麺は冷やしてから一度凍結させ、それを乾燥させて乾麺にするみたい。
寒天と同じように乾燥させるんだね。
材料は緑豆やサツマイモ、ジャガイモなどが使われるみたいだけど、緑豆のものが一番煮くずれしにくいので、鍋やスープの具にするものとしては緑豆春雨がポピュラーみたい。
スーパーでもよく見かけるよね。
ちなみに、緑豆というのは小さな緑色の豆で、もやしを作るマメでもあるのだ。

で、この春雨とほぼ同じようなものがビーフン。
ビーフンの場合はうるち米を粉にして水で練りながらデンプンを抽出して生地を作り、それを小さな穴の開いた容器から熱湯中に押し出すのだ。
生麺も食べることがあるけど、やっぱり保存食として乾燥させるのが多いみたい。
米かマメ・イモの違いなんだね。
そのわりにはけっこう食感が違うような気がするのだ。
デンプンがあればいいのであれば、トウモロコシとかでもできるのかな?

どっちも小麦の麺とはまた違った食感でおいしいよね。
つるつるっとしていて、独特の粘りけがあるのだ。
これは麺の「コシ」を出す要素の違いで、ラーメンやパスタ、うどんのような小麦の麺の場合は、グルテンというタンパク質がもちっとした食感を出して「コシ」になるんだけど、春雨やビーフンの場合はデンプンの粘りけが「コシ」になるんだよね。
なので、春雨やビーフンの方がねちょっとしていて、かみ切れない感じを与えるのだ。
ヤマトノリもデンプンだけど、まさに糊だからね。
おもちの粘りけと同じようなものなのだ。

2007/07/02

ベーグル

米国に来てからベーグルを食べる機会が増えたのだ。
日本でもかなり普及してきたけど、そんなに食べる機会はなかったんだよね。
というのも、実は米国では菓子パンというのがなくて、それに近いのがレーズンやイチゴを練り込んだベーグルなので、よく食べるようになったのだ(笑)

ベーグルと普通のパンの最大の違いは、焼く前に一度ゆでるという作業。
これにより中身がつまって独特のもちもちした食感が出るそうだよ。
焼きたてはまだ食べたことがないけど、かなりおいしいんだって。
(機会があれば挑戦したいけど、あんまり焼きたてのベーグルを売っている店って見かけないんだよね。)
それと、パンに比べて水分量も少ないので、保存性も高く、冷凍にも向いているんだって。

ベーグルはポーランドのあたりのユダヤ人社会で出てきたもので、それが移民によって米国に伝わったのだ。
でも、20世紀の終わりまでは東欧系のユダヤ人社会で食べられていただけで、そんなに知られていなかったとか。
ヘルシー指向の流れと相まって一気に流行したみたい。
もともとはバターをつけただけで食べるものだったらしいけど、今ではサンドイッチのようにチーズやハム、野菜をはさんだり、フルーツなんかを練り込んだりとバリエーションも増えたのだ。
サンドイッチのようにする食べ方は米国で豊かになったユダヤ人が始めたもので、それがベーグルがはやるきっかけになったのだ。
なので、欧州ではそのまま食べるのが主流で、サンドイッチのようにして食べるのは「逆輸入」になるみたい。

北米大陸では大きく分けて2系統のベーグルがあるとかで、モントリオール式とニュー・ヨーク式があるそうだよ。
モントリオール式は、麦芽とたまごで作った生地(塩は使わない)をハチミツの入ったお湯でゆでてから、薪を使って窯で焼き上げるものなんだって。
黒いケシのみをふりかけたNoir(黒)と、白ごまをふりかけたBlanc(白)があるようなのだ。
(最近はもっとバリエーションが増えたらしいよ。)
一方、ニュー・ヨーク式は、麦芽と塩で生地を作り、普通にゆでてからオーブンで焼くのだ。
やっぱり米国の方が簡便な方法をとるんだね(笑)
モントリオール式の方が全体が詰まってもっちりした食感になるんだけど、ニュー・ヨーク式はふくらむので表面が少しかたくなるのが特徴だそうだよ。
そのまま食べるのと、サンドイッチみたいにして食べるのとでそれぞれの食べ方に合うように発展したのかな?
たぶん日本で普及しているのはニュー・ヨーク式の方なのだ。

今では米国から発信されて世界に広まっているんだよね。
パンでもいいんだけど、ベーグルの独特の食感も捨てがたいのだ。
でも、そうやって広がっていくと、また地域地域で独特の新しい食べ方や製法が出てくるんだよね。
襟度発祥のカレーやイタリア発祥のピザがそうなのだ。
本国のものとかなり違うものが流通したりすることになるけど、それもまたそれぞれの文化が別の文化を取り込んだっていうことなんだろうね。
日本は特にそういうのが多いけど(>_<)
そのうち日本独自のベーグル食文化も生まれるかな?
カレー・ベーグルとか(笑)

2007/07/01

コンビーフ

昨日の買い出しの時、スーパーでコンビーフを見つけて、少し気になったのだ。
あまりにも大きな缶詰なので買わなかったけど(日本のやつの5倍くらい)、日本ではけっこう食べていたんだよね。
ボクはけっこう好きなのだ。
というわけで、今回はコンビーフについて調べてみたよ。

コンビーフは英語だと「corned beef」で、「塩漬けにした牛肉」という意味なのだ。
で、その名前のとおり、特徴的な台形の缶詰に入っているコンビーフは、牛肉を塩漬けにした後、加圧加熱してフレーク上にほぐし、牛脂で固めたものなんだとか。
欧米では塩漬けの牛肉をそのまま食べることも多いんだって。
日本では缶詰しか知られていないよね。

このコンビーフの缶詰は、カギのような形の器具がついていて、それで缶詰の横の帯状になった部分をくるくると巻いて開けるんだよね。
むかしはいまのようなパッ缶はなかったので、缶切りなしで開けられる貴重な缶詰としてアウトドアで活躍したそうだよ。
けっこう開けるのにコツはいるんだけどね(笑)
途中で帯状の部分が切れてしまって、最後は力業で引きちぎることも多いのだ。

もともとは肉を長期保存するために塩漬けにしたもので、保存用の食料や舟に積む食料として活躍したんだって。
で、そのままパンにはさんでサンドイッチにしたり、グラタンやパスタの具にしたりと、けっこう使い道はあるのだ。
ボクの実家ではキャベツと一緒に炒めて野菜炒めのようにして食べるんだけど、これがなかなかおいしいんだよね。
単純なわりにいけるよ。
冷めると脂が固まってくるので、あつあつのうちに食べるのだ(^o^)/

で、日本だと、ノザキの「ニュー・コンビーフ」っていうのもあるよね。
これは牛肉に馬肉をまぜて作ったもので、日本オリジナルなんだって。
戦後の食糧難の時代に生まれたらしいよ。
なので、海外からはまったくの別物として扱われるとか。
でもでも、このニュー・コンビーフはなかなか優れものなのだ。
というのも、馬の脂はウシの脂より低温で融けるので(「馬油」なんてのもあるけど、馬の脂はヒトの体温で融けるのだ。)、そのまま食べれば口の中で脂が融けてまろやかだし、熱を通して食べるときも、冷めても固まりにくいのだ。
なので、ボクはどちらかというとニュー・コンビーフの方が好きかも。
なんか純粋に牛肉だけじゃないって思うとあれだけど、よりなめらかにするための工夫と思えば、十分に優れものと思うのだ。