2009/09/26

串に刺して焼け

今日は両国に行ってきたんだけど、両国と言えば相撲の生地の国技館だよね。
ちょうど秋場所が開催中だったので近辺にも人があふれていたのだ。
で、ボクが国技館を見ると思い出すのは焼き鳥。
テレビで見て知ったんだけど、国技館の地下は場所中のみ稼働する巨大焼き鳥工場になっていて、国技館内で売られている焼き鳥を製造しているんだよ。
枡席におみやげとしてついてくる焼き鳥も地下の工場で作られたものなのだ!
鳥は2本足で立っていて「手をつかない」ので、相撲では縁起がいいとされているから相撲観戦のお供になっているらしいよ。

この焼き鳥、現在ではスシと同様に国際的に有名になった日本料理で、実は宇宙食にもなっているのだ!
土井さんや若田さんは国際宇宙ステーション(ISS)で食べているんだよ。
もともと甘辛い「照り焼き」味はジャパニーズ・テイストとして欧米でブームになったんだけど(欧米の料理ではあまりそういう味付けはないからね。)、焼き鳥の場合は、炭で焼いて油を落としているのでさらにヘルシーということではやったようなのだ。
ボクも米国の鉄板焼きの店(なぜか「ヒバチ・グリル」と呼ばれているよ。)で見かけたけど、けっこうメジャーなメニューだよ。
焼くときに空中に浮かせたりと変なパフォーマンスをするので日本食ではないんだけど(笑)
もちろん、「照り焼き」味が好きなので、「塩」はなくて「タレ」だし、串に刺さっていないことも多いんだよね。

「焼き鳥」は字義的には鳥肉を焼けばよいわけだから、どんな焼き方でもよいわけだよね。
実際に日本でも古くから鳥の肉は食べられていて、平安時代にはキジが最高級の食材だったりしたらしいよ。
当時はどう食べていたかはよくわからないけど、おそらく丸焼きに近いスタイルだろうね。
それでも、高級な食材で庶民がそうそう食べられるようなものではなかったようで(猟師さんは別だよ。)、一般に広まったのは南蛮人が渡来したあたりから。
彼らは鶏肉も卵も食べるので、それで日本人もマネして食べるようになったみたい。
それまでは仏教の戒律もあって肉食は疎んじられていたらしいけど。

ところが、江戸期になると肉食が禁忌とされ、また食べられなくなるのだ!
と言っても、鳥は4つ足じゃないとか言って、貴重なタンパク源にはなっていたんだよね。
田舎では卵を産まなくなった雌鳥をすき焼きにしたりして食べていたらしいし、都市部でもイノシシやうさぎなどとともに「ももんじ屋」に行けば肉食ができたのだ。
卵をとるのに家畜として育てられていただけあって、中でも鶏はポピュラーな方だったみたい。
とは言え、まだまだ高級食材で、明治期に肉食が正式に解禁されても庶民にはなかなか手が出るようなものではなかったようなのだ。

鶏肉が一般人の食卓にも頻繁に並ぶようになるのは大正時代になってブロイラーの養鶏が始まり、鶏肉が安価に流通するようになってからなんだって。
それで一気に大衆化し、いわゆる焼き鳥も世間に認知される庶民の味になっていったのだ。
甘辛いたれにつけて焼くつけ焼きの「焼き鳥」はすでに江戸時代の料理本にも載っているらしいんだけど、それがいつから串に刺されて焼かれるようになったのかはわからないみたい。
ちなみに、忠犬ハチ公は御主人の帰りを待っていたのではなく、駅前の焼き鳥の屋台の親父さんに焼き鳥をもらえるのが楽しみで通っていて、実際に亡くなったハチを解剖したら胃に焼き鳥の串が数本刺さっていた、なんて話もあるんだよね。
すると、大正から昭和にかけての時期にはすでに串に刺されて焼かれる現在の形の焼き鳥が普通に売られていたということになるのだ。

今では高級志向の焼き鳥もあって、備長炭で焼くとか、高級地鶏を使うとかこだわりがあるよね。
そういうものに限って、肉の味をより楽しむためと言って「塩」で食べるのだ。
おそらく、縄文時代から上古にかけてはそんなに調理法もないし、調味料もないので普通に焼いて塩でもかけて食べていたんだろうと思うんだけど、すでに江戸時代にはタレで食べていたようなので、これは原点回帰なんだよね。
むしろ、流通がそんなに発達していなかったから新鮮な肉は手に入らないし、卵を産まなくなった雌鳥だと年をとっているから、必然的に肉に臭みがあったはずなのだ。
それでもおいしく食べる技術としてタレが発明されたはずなんだよね。
欧州で劣化した肉を食べるのに重宝した胡椒がもてはやされたのと同じなのだ。

焼き鳥というと、焼肉と同様にいろんな専門用語があって、心臓のハツ、砂肝のズリ、おしりの部分の肉のボンジリ、・・・とあるけど、焼き鳥と聞いてイメージするのはねぎまだよね。
今では「ネギ間」で間にネギをはさむからねぎま、というような当て字をするけど、これが実は後付けらしいのだ。
もともとは、マグロとネギを交互に串に刺して焼いたり煮たりする料理があって、それを鶏に置き換えたものから派生したんだって。
なので、ねぎまの「ま」はマグロの「ま」なのだ!
確かに、今でもねぎま鍋と言えばネギとマグロだよね。

2009/09/19

年輪を重ねるように

最近新宿伊勢丹の地下に新しくバウムクーヘンのお店ができたのだ。
我が家でもさっそく買ってきて食べたんだけど、おいしかったよ♪
よく結婚式の引出物でもらったりするけど、実は普通のケーキよりカロリーが高かったりするので敬遠されることもあるのだ。
でも、ボクはけっこう好きなお菓子なので、今回はちょっとバウムクーヘンについて調べてみたよ。

よく知られているように、バウムクーヘンはその切り口の見た目から年輪に例えられていて、それが故に結婚式の引出物にも選ばれるのだ。
ドイツ語でバウムクーヘン(Baumkuchen)は「木+ケーキ」の造語で、まさに木のお菓子、という意味。
質実剛健を旨とする(?)、あまり食べ物に華があるとは言えないドイツの料理・お菓子の中では日本でもっともポピュラーなんじゃないかな?
ドイツでは「お菓子の王様」とも呼ばれていて、ドイツ菓子組合のシンボルにもなっているらしいよ。

このバウムクーヘン、日本ではいろんなバリエーションがあるけど、本場ドイツでは厳格な品質基準があって、原材料は小麦粉、バター、砂糖、卵のみで、かつ、その割合が1:1:1:2でないといけないんだって。
日本ではさっくり感を出そうとショートニングを使ったり、ふわふわ感を出そうとふくらし粉や重曹を使ったり、しっとり感を出そうと水飴を使ったりするけど、ドイツではそういう材料を使うとバウムクーヘンとは名乗れないんだって。
もちろん、食品添加物などもってのほかなので、日本のちまたで見かけるもののほとんどはバウムクーヘンとは言えないのだ!

焼き方も手間がかかっていて、通常は専用のオーブンで焼かれるよ。
心棒がバナーの上で自動的に回転するような形で、生地をつけてくるくると回しながら焼くと薄い生地の層ができるのだ。
この上にさらに生地をつけて重ね焼きをしていって、10層から20層くらいまで重ねるんだって。
むかしはカシの木の心棒に生地をつけ、手動で回していたというんだから、さらに手間がかかっていたのだ。
日本だと焼き上がったままの、焦げ目のついた茶色い表面のものがよく売られているけど、これに砂糖でコーティングしてグレージングしたり、チョコレート・コーティングでアイシングしたりもするんだよね。
で、結果として、カロリーの高いお菓子ができあがるのだ(笑)
確かに、材料を見ても、作り方を見てもがっしりしているよね。
バウムクーヘンはパウンドケーキなんかと比べるとぎっしりつまっている感じがするよね。

このバウムクーヘンを日本で最初に焼いたのが、洋菓子のユーハイムの創始者のカール・ユーハイムさん。
もともとは青島で菓子店を開いていたそうなんだけど、第一次世界大戦で進軍してきた日本軍に連行され、広島に連れて行かれたそうなのだ。
その広島の広島物産陳列館(現在の原爆ドーム)で開催された俘虜作品展示即売会で出品されたんだって。
時に1919年というから大正8年なのだ。
この時はカシの木の心棒に生地をかけ、手で回しながら焼き上げるという手間のかかる手法で作っていて、そのあまりのおいしさにすぐに売り切れたということなのだ!

俘虜解放後、日本で菓子店を開業するんだけど、それが今のユーハイム。
戦後国外退去となったので一時お店は閉められていたみたいだけど、一家は再来日し、再び菓子店を開いたそうなのだ。
店頭のディスプレイに飾られたバウムクーヘンは当初「ピラミッドケーキ」の名前で親しまれていたらしいんだけど、1960年代にバウムクーヘンと改められ、日本の高度成長期とともに国中に広まっていったんだとか。
ボクらの世代では物心ついた時からあったからそんなでもないけど、今でも年配の人がバウムクーヘンをこじゃれたお菓子だと認識しているのにはそういう時代背景もあるのだ。

2009/09/12

二日目がつらい・・・

木曜日の夜に若手職員の懇親会があったんだけど、学生の時のノリで飲んでしまったので、翌日すごいことに。
さすがにアラサーで一気とかは体に悪いのだ・・・(>_<)
なんとか職場には来ているけど、みんな気持ち悪そうな顔をしていて、頭が痛いなんて言っている人もいたのだ。
つまりは、二日酔いに苦しんでいたというわけ。
ボクはもともと量が飲めないこともあって二日酔いになることはほとんどないんだけど、ちょっと気になったので調べてみたよ。

「二日酔い」は「宿酔い」とも書くけど、アルコールによる酩酊状態が続くというわけではなくて、代謝能力を越えるアルコールを摂取したことによる不快な身体的状態を指すのだ。
よく酒が残っていると言うけど、多くの場合は中間代謝物であるアセトアルデヒドがたまっている状態なのだ。
ちなみに、壁紙の接着剤などの建築材から出るアセトアルデヒドはシックハウス症候群の原因物質のひとつで、それが体内でできてたまっているのだから、体によいわけがないのだ!
このアセトアルデヒドを分解するアルデヒド脱水素酵素(デヒドロゲナーゼ)の能力がお酒を飲める・飲めないの差となるのだ。
この酵素の機能が低いとアルコールの分解が途中でつまってすぐ気持ち悪くなるのだ。
世界的には東アジアのモンゴロイドのみに見られるんだよね。

一般には、頭痛、吐き気・嘔吐、胸のむかつき(胃炎)、のどの渇きなどが症状だよ。
ほとんどの症状は体内にアセトアルデヒドがたまっているから起こる症状だけど、のどの渇きだけは違うのだ。
アルデヒドを分解するときは水を使ってカルボン酸に酸化するんだけど(いわゆるアルコールのエタノールの場合はアセトアルデヒドから酢酸になるのだ。)、分解に水を大量に消費するので水分がほしくなるわけ。
同時に、分解を行っている肝臓ではそのエネルギーも必要となるので糖分も欲しているのだ。
食べ物と同時にお酒を飲むと二日酔いになりにくい、というのは、食べ物が胃に入ることで過度に出た胃酸が中和され、アルコールの分解に必要なエネルギーも得られるからなのだ。
二日酔いの時にスポーツドリンクをおいしく感じるのも糖分も摂取できるからなのだ。
原理的にはコーラとかでもよいわけだけど、胃がむかむかしていることが多いから、炭酸飲料は飲む気がしないんだよね(>_<)
シジミ汁も二日酔いに聞くと言われるけど、シジミにはうま味成分のコハク酸が多量に含まれていて、このコハク酸はすぐに分解されてエネルギーとなるのだ。
二日酔い防止のドリンク剤にカキエキスが含まれているのは、同じようにカキにエネルギー源となるグリコーゲン(ブドウ糖が分岐しながらたくさんつながったもの)が大量に含まれているからだよ。

わざとアルデヒド脱水素酵素の働きを悪くする薬もあって、それはアルコール依存症に使われるんだよね。
ちょっと飲んだだけで気持ち悪くなるので飲まなくなる、というわけなのだ。
こういうのを嫌酒薬と言うんだよ。
よくかぜ薬とアルコールを同時に摂取するとよくないと言われるけど、これも似たような話で、よくかぜ薬に入っている解熱鎮痛薬のアセトアミノフェンは肝機能を低下させる副作用があって、大量のアルコールと同時に摂取するとアルコールが分解できなくなって、その中毒になるのだ。
これは急性アルコール中毒と同じような状態で、アルコール自体がアルデヒドに分解されきらず、血中に高い濃度で残ってしまうことで、脳機能が麻痺していき、最終的には脳幹の呼吸器や循環器を司る部分も麻痺してしまって意識を失うのだ(>o<)
これはアルデヒドを分解できるとかできないとかは関係なく、純粋にアルコールの濃度が高いときに起こるので、お酒に強い・弱いにかかわらず、短時間で大量にお酒を摂取すると起こってしまうんだよ!
普段お酒が強い人も中毒になるので注意が必要なのだ!

戦後のもののない時代は、通常アルコールとして摂取されるエタノールが不足していて、かわりにメタノールが飲まれることもあったんだよね。
でも、これは危険で、やってはいけないのだ。
メタノールが分解されてできるホルムアルデヒドは有害物質として有名だけど、これが網膜の視細胞に作用して、失明するのだ。
視細胞の中で光を完治するのに使われているロドプシンというタンパク質は、レチナールというアルデヒドが光に当たったときに構造変化を起こすことを感知しているのだけど、これがホルムアルデヒドに変わってしまうと光が感知できなくなるのだ。
なので、「目散る」と言われたんだよね。

ホルムアルデヒドの水溶液はホルマリンで、タンパク質を変性させ、固定させる作用があって、よく生物標本を作るのに使われるよね。
そんなのが体内の血液中を流れることになる、と考えるとおそろしいけど、実際にはすぐに分解されてしまうので、問題になるのは目への影響のみだそうだよ。
むしろ、ホルムアルデヒドが分解されてできるギ酸を霊長類は分解できないので、こっちの悪影響の方があるのだ。
ギ酸がたまると血液が酸性に傾くアシドーシスという状態になり、ひどいと意識を失うのだ。さらに神経毒性もあるので、かなりやばいんだよ。
今では工業用アルコールを飲料にしないようにわざとメタノールを添加していたりするんだよね。

2009/09/05

男の身だしなみ

身だしなみというと、お肌の手入れをしたり、爪をきれいにしたりと女性の方がはるかに大変なわけだけど、男性だけがやるものといえばヒゲの手入れ。
伸ばすにしてもきちんとそろえないと無精髭で汚らしいし、はやさないのならきちんと定期的に剃らないといけないしで、けっこうめんどくさいのだ(>_<)
ボクなんかはカミソリ負けする方なので、けっこう気も使うんだよね。
で、ヒゲのことが気になったので、ちょっと調べてみたのだ。

ヒゲは主に男性の顔に生える毛で、これは男性ホルモンによって発毛が促されるため。
なので、男性でも思春期から生え出すのだ。
少ないけど女性にも多少ははえていて、牛乳を飲んだ後に産毛に牛乳がついてヒゲみたいになったりするよね。
最近は顔ぞりで剃ることもあるけど、モデルさんやタレントさんはアップにしたときに化粧が浮いているのがわかるらしくて剃るらしいのだ。
これも男性ホルモンの量とかで人によって個人差があって濃さが違うのだ。
男性でも濃い人、薄い人といるよね。

このヒゲなんだけど、男性に生えているものは他の体毛に比べるとはるかにかたいもので、銅線に匹敵するともいわれるんだって。
ひげそり前に蒸しタオルを当てるのは少しでもひげをやわらかくするためだよ。
逆に言うと、かたいからこそカミソリを顔の表面にはわせたときにヒゲだけがそれるのだ。
このヒゲは一人当たり6,000~25,000本ほど生えていて、これが1日に約0.4mm伸びるのだとか。
たいていは朝剃るけど、実は朝から昼にかけての方が昼より伸びているらしく、朝剃ってきても会社の前で電気シェーバーをわたされればそれなりにそれるのだ!
あのCMにはそういうからくりもあるんだよね。

欧米の人はヒゲがわりと濃くて、伸ばすといわゆる「サンタヒゲ」のようになるんだけど、日本人を含む東洋系、新モンゴロイドと呼ばれる東アジアの民族は比較的薄いのだ。
伸ばしてもちょびヒゲ程度でかえってかっこわるくなることも・・・。
どうも、かつて寒冷地にいたので、ヒゲがあると吐息でそこから凍結してしまって凍傷になるので、薄くなったんじゃないかと考えられているみたい。
ヒゲもじゃの方があたたかそうだけどね(笑)

このヒゲ、洋の東西を問わず、むかしから男性のおしゃれの一部だったようなのだ。
主に男性しか生えないから、男性らしさの象徴的な意味もあったんだろうね。
今でもイスラムでは男性はヒゲをはやすものだとされているし、欧米でどうしても童顔に見られてしまうアジア人は自分が大人であることの証明にヒゲを生やすことも多いのだ。
日本語では「ヒゲ」だけだけど、漢字や英語ではしっかりと使い分けられていて、口の上にある「口ひげ」は「髭」でこれは「ムスタッシュ(mustache)」、口の下からあごの先端にかけて生える「あごひげ」が「鬚」で「ビアード(beard)」、もみあげからほほにかけての「ほほひげ」が「髯」で「サイドバーン(sideburns)」と言うのだ。
これはヒゲがそれだけ興味・関心を持って扱われていたことの証拠だよね。
単にじゃまだから剃るだけなら、「顔の毛」とだけ認識していればよいのだ。

動物の場合も顔から飛び出ている毛は「ヒゲ」と呼ばれるけど、そもそも顔中毛だらけなわけで、人間のヒゲと同じものではないのだ。
ネコはヒゲですき間に自分の体が入るかどうかを察知しているというけど、まさにそういうことに使う感覚器官で、昆虫の触角のようなものなのだ。
空気の振動やものとの接触を感知しているわけ。
これは洞毛(どうもう)と言われる毛状の感覚器官で、構造自体は体毛と同じなんだけど、つけ根の毛包の部分に海綿体用の組織があって、そこで毛のゆれを感知しているんだって。
なので、ネコのヒゲを切ったりするとバランス感覚が悪くなってしまうので要注意なのだ。