2012/08/25

ぎっくりくりくりくーりくり

引っ越しの後片付けで、小さなタンスを動かしたんだけど、ちょっと無理な姿勢で持ち上げたから腰を痛めてしまったのだ(>_<)
ま、寝違えたくらいの軽傷なんだけど。
すわっ、これがぎっくり腰か!?、と一瞬焦ったよ。
父親なんかがなったときを思い出すと、しばらく動けないくらい痛がっていたからね。

このぎっくり腰、「急性腰痛」と言われるんだけど、これってそのままの名前だよね(笑)
この名称自体は何も説明していなくて、現象を言っているだけなのだ。
急に発生する腰痛、ということだけど、原因は様々で、内臓の疾患による疼痛(すい臓、腎臓など)、皮膚の疾患、椎間板ヘルニア、脊椎の圧迫骨折、腰回りの筋肉損傷(いわゆる「筋肉痛」と同じ。)などなど。
中には腫瘍によるものもあるようなので、気をつけないといけないのだ。
このうち、重いものを持ち上げようとしたとき、立ち上がろうとしたとき、無理な姿勢をとったときなどに発生するのを俗に「ぎっくり腰」と呼ばれるのだ。

欧米では「魔女の一撃」なんて呼ばれるらしいけど、確かに、いきなり腰に「ぐきっ」という効果音がなったかのように痛みが発生するのがぎっくり腰の特徴。
そして、あまりの痛さに立ち上がれなくなったりするんだよね。
ところが、軽ければ3日もすれば直るし、2~3週間でだいたい痛みは消えるのだ。
長くても3ヶ月以内で治ることが多いみたいだよ。
不思議だよねぇ。
基本的に原因が特定できていないのでどうすればいい、と安直なことは言えないけど、一般的には炎症が起きているのは確かなので、痛みがない姿勢で安静にして冷やすのが効果的みたい。
炎症がひどくなるので、お風呂などはNG。
そもそも浴槽に座って入れないくらい板意味を伴うこともあるだろうけど。

椎間板ヘルニアや脊椎圧迫骨折だと自然に痛みがなくなることはないので、きちんと病院に行って治した方がよいのだ。
と言っても、これらもそんなに有効な治療法があるわけじゃないんだけど。
自然に治るのは、筋肉や靱帯などの損傷、つまり、筋肉痛のような状態が発生していて、それが解消されることになるから。
骨や関節まで痛めてしまうともう慢性症状になるよ。
ただ、靱帯が損傷した場合は「くせ」がつく可能性があるので、ぎっくり腰になりやすくはなるのだ。

仕組みは簡単で、無理な姿勢で力がかかるので、負担に耐えきれず筋肉や靱帯が損傷したり切れたりするのだ。
それでそのまわりで炎症が起こって痛みが発生するわけ。
損傷によっては、完全に元通りになる場合もあるし、痛みは治まっても完全には治らず、動きに制限が出たりと後遺症が起こる場合もあるのだ。
ぎっくり腰の「くせ」もその一つだよね。
で、治療法としては、炎症を抑え、筋肉・靱帯の損傷が自然に治るのを待つだけ・・・。
なので、通常の筋肉痛と同じく、痛み止め(インドメタシンなどの非ステロイド性消炎鎮痛剤)を使ったり、場合によってはコルセットなどで動きを制限することになるのだ。
ちなみに、筋肉や靱帯に損傷があるわけで、肩こりのようなうっ血・血流の滞留という症状ではないから、マッサージは厳禁だよ!

ぎっくり腰を防ぐには、普段から腰回りの筋肉・靱帯を柔らかくするしかないのだ。
でも、そんなに難しいことじゃなくて、毎日腰をひねる、回す、前屈・後屈の運動などをして体をやわらかくしておくとだいぶ違うみたい。
それとともに、無理な姿勢で無理な動きをしないことも大事。
冷えていると余計に硬くなるので、重いものを持つときなどは事前にストレッチをすることも大事だよね。
それでも、加齢による筋肉・靱帯の劣化は避けられなくて、場合によってはくしゃみをしただけでもぎっくり腰になることがあるようなのだ。
筋肉・靱帯の場合は鍛えていれば経年劣化はある程度遅らせられるので、やっぱり普段から気をつけて動かすしかないんだね。

2012/08/18

光のスピードで

最近のネットは高速化・大容量化したよね。
むかしは電話線をモデムにつないで、ネットにつなぐときに「ぴ~ひゃらひゃら・・」なんて音がしたものなのに(笑)
その後、ADSLが来て、そして、光回線が来たのだ!
電話線モデムだと54kbpsとかいう速度だったのに、一気に100Mbpsの世界だからね。
約2,000倍なのだ!
ネットで動画がさくさく見られるわけだよ。

この光回線は、光ファイバーを使った光通信。
かつてはランプの光でモールス信号なんかをしていたわけだけど、そんなのとはわけが違うよ(笑)
従来の伝染や電波を使った通信に比べ、傍聴されにくい(秘密保持しやすい)、電磁誘導ノイズの影響を受けず安定した通信が実現(逆に、伝染や電波は強地場が近くにあったりすると影響を受けて信号にノイズが入るのだ。)など。
さらに、レーザー光を使えば高速に長距離の伝送ができるのだ!
といいことずくめ。

ところが、そんなメリットばかりではないんだよね。
今でも電線であるところのLANケーブルは普通に使うし、無線LANやWiFiといった電波による通信もむしろ伸びているよね。
これは光通信にとって比すような光ファイバーの特徴によるところが大きいのだ。
光ファイバーは高速・長距離・大容量通信が得意だけど、電線や電波に比べてデメリットもある、ということ。

まず、最大のデメリットは、光ファイバーは硬いので、曲げに弱い、ということ。
光ファイバーは、コアとクラッドと呼ばれる透明な光を伝送する部分が軸なのだ。
コアとクラッドでは微妙に屈折率が違うので、コアの中を通る光はクラッドと接するところで全反射又は屈折をして、ジグザグにコアの中を進んでいくことになるんだ。
コアやクラッドの透明度が高く、不純物が少ないほど、減衰も少なく、きれいに遠くまで情報が伝えられるという仕組み。
で、そうなると、その素材が問題で、一般的に使われているのは石英ガラス(シリカ・ガラス)。
ようはガラスの細い線なので、大きな曲率では曲げられるけど、電線のように自由自在に曲げられるわけではないのだ(>o<)
これが配線の自由度を狭めていて、長距離を結ぶなら問題ないけど、近距離を結ぶときには制約になるんだよね。
実際、光回線のルーターに来ている光ファイバーは強く曲げるとおれてしまうので曲げないように、と言われるのだ。
最近はプラスチック製の光ファイバーもあるので、ある程度融通が利くようになってはきているんだけど、プラスチックはガラスに比べて赤外線や紫外線を吸収する性質があるため、伝送損失が大きくなるのだ。
ガラスに比べると、軽く、安価で、曲げられるので使いやすくはあるけど、限界はあるんだよね。

電線だとかなり自由に曲げられる、というのもあるけど、つなぐのも比較的簡単。
素人でもできるのだ。
光ファイバーも熱で端を溶かしてつなぐことはできるけど、専用の工具がいるのだ。
プラスチック製ならわりと簡単らしいけど、ガラス製の場合はコアの軸を合わせるのが難しいみたい。
ちゃんとつなげないと結合部分でロスが大きくなるので、なかなか素人にできるものではないみたい。

上でもちょっと触れたけど、次に大きな原因は光ファイバー自体が高価なこと。
しかも、自由に曲げられないので、どうしても通信網の敷設にはコストがかかるのだ。
最近はそれで無線が増えてきているんだよね。
もともと携帯電話用の基地局があって、スマホの普及でその通信料の増強を図っているので、それを使おうというわけなのだ。
三大携帯キャリアもそれぞれその部分を強化しようとしているし、e-mobileなんかもがんばっているよね。
当然光通信に比べれば遅いけど、電波が入れば通信が可能になるので、自由度が高いのだ。
壁に穴を開けたりしなくてもすむしね。

我が家で光回線を選んだ理由は、ネットも電話もテレビも全部まとめてできること。
テレビアンテナを設置するのも大変だし、高層建築も多いから都内では電波が入りづらかったりするんだよね。
反射電波による干渉もあるのだ。
光電話も電話回線に比べると安いし(停電時は使えないなどの制約はあるけど)、まとめればお得、という判断さ。
家では光回線の開通まで不便していたけど、むかしはこんなのなかったんだよなぁ、と思うと、一度教授した文明はなかなか捨てられないんだなぁ、と思うよね。

2012/08/11

赤い惑星を捜索せよ

8月6日に米国の火星探査ミッション「マーズ・サイエンス・ラボラトリー(MSL)」のローバー「キュリオシティ」が無事に火星表面に軟着陸したのだ!
今回は中継なんかもあって、宇宙大好きな米国人は大興奮。
日本でもそれなりに報道されていたよね。
火星に生物の痕跡を見つける、という重要な任務を持っているのだ。

火星探査車といえば、今でも稼働しているオポチュニティが有名だよね。
これは双子の探査車で、「マーズ・エクスプロレーション・ローバー(MER)」というミッションで、1ヶ月弱を挟んで二つの探査車を送り込んだ計画の片割れなのだ。
火星の離れた場所に二つのローバーを下ろして、広範囲を探索しようというものだよ。
相方のスプリットも実は長持ちで、2010年1月までは元気に動き回っていて、その後動けなくなってから2011年4月にミッション終了が宣言されたんだ。
史上もっとも長く稼働し続けた惑星探査車じゃないかな?
何より、丈夫に作っているよね。
今回のキュリオシティにもそれくらいの活躍をしてほしいし、できれば、2台が出会うなんてのも夢があるよね(笑)

人類による火星探査の歴史は古くて、1960年の冷戦下で米ソによる宇宙開発競争が活発化している時代、付の次の目標として設定されたのが火星だったのだ。
ソ連も1970年代前半までに何機も探査機を送っているんだけど、たどり着けなかったり、探査車が着陸してもすぐに通信途絶になったりとうまくいかなかったのだ・・・。
その後も何度かトライしているけど、やはり運がないのかうまくいかないのだ(>o<)
月の探査も地球からは見えない裏側の探査がメインだし、このあたりではどうしても米国の一人勝ちなんだよね。

一方、米国は1960年代中盤から惑星探査を本格化し(ちょうど有人月面探査が軌道に乗り始めたところだから、次の目標ということだろうね。)、マリナー計画が始まったのだ。
マリナー計画は地球のおとなりの惑星を探査する計画で、金星と火星が対象なんだ。
最終的には太陽系外に出て行くボイジャー計画につながったんだよ。
このマリナー計画の3号・4号、6号~9号が火星探査に当てられているんだけど、最初の3号は失敗するものの、4号は火星の近傍(それでも9600km地点)を通過して、接近撮影に成功しているのだ。
さらに、5号・6号は3550kmまで近づき、表面写真を撮ることに成功したんだ。
8号の打上げ失敗をはさみ、9号では初めて火星の周回軌道へ入れることに成功し、火星表面の約70%を撮影したのだ。
これが1971年のできごとで、有人月面探査のアポロ計画ももう終盤にさしかかっているころだね。
で、この周回探査の成功を踏まえ、今度は火星表面へ探査機を送ろう、ということになったのだ。

その最初がバイキング計画。
小型の探査車(ランダー)をパラシュートと逆噴射ロケットで火星表面に軟着陸ことに成功し、世界で初めて火星表面の鮮明な写真を送ってきたのだ!
バイキングは1号も2号も1976年に軟着陸してから5年間ほど活躍したのだ。
火星の周回軌道に残ったオービターもトンデモ系で有名な「火星の人面岩」の写真を撮っているよね。
これは大成功を収めた探査だったのだ。

その後しばらくはスペースシャトルの開発に集中していたので火星探査はとぎれるんだけど、1990年代に再開。
火星探査の場合、地球と惑星の公転周期の違いから780日(約2.135年)の間隔で打上げの良タイミング’少ないエネルギーで火星に到達できるタイミング)が訪れるんだ。
ここからNASAは本気になって、このタイミングごとに火星ミッションを送ろうと計画することになるよ。
国際宇宙ステーションは着々と進んでいったけど、やはり地球の重力圏外に出たいという欲求が強いんだろうね。
ところが、1992年打上げのマーズ・オブザーバーは失敗orz
それを挽回したのは1996年に打ち上げられたマーズ・グローバル・サーベイヤーで、翌年に火星に到達し、詳細な地図の作成に成功したのだ。

これと対となる火星探査車ミッションもあるのだ。
マーズ・グローバル・サーベイヤーの1ヶ月遅れで、けっこう有名なマーズ・パス・ファインダーが打ち上げられ、なぜかマーズ・グローバル・サーベイヤーより4ヶ月早く火星に到達し、ローバーを軟着陸させたんだよね。
マーズ・グローバル・サーベイヤーはきれいに周回軌道に入れる必要があるけど、こっちはローバーを届けるだけだからかな?
マーズ・パス・ファインダーが有名になったのは、パラシュートとロケット噴射で減速した後、エアバッグをふくらませて火星表面で弾ませて衝撃を抑える、という着陸方法だよね。
すごいことを考えるものなのだ。
ローバーは1ヶ月程度の寿命の小型のもの(10.6kgと大きなラジコンくらい!)で、けっきょく3ヶ月弱にわたって探査したのだ。
火星にかつて水が存在した証拠を発見したことが功績だよ。
ちょうどこのころのNASAの長官はゴールディンさんで、「Faster, Better, Cheaper」の方針を提示し、バイキング計画の1/5の資金で、3年という短い開発期間で達成されたミッションだよ。

この成果をもとに、今度はもっと大きな探査車を送って大々的に探査しよう♪、と出てきたのが先ほどのスピリットとオポチュニティ。
その前にも1回探査機を送っているんだけど、それは着陸に失敗しているんだ・・・。
で、このスピリットとオポチュニティでもエアバッグ方式を採用。
今でも動いているオポチュニティは平坦な場所でなく、クレーターの中心付近に着陸したんだけど、なんとか抜け出したんだ。
着陸したときは「ホールインワン」とか言って喜んで、そのクレーターを「イーグルクレーター」なんて名付けたらしいけど・・・。
これらは火星の広範囲にわたって土壌と岩石の分析をし、火星に水があった証拠集めをしていたのだ。
今では火星に水が存在したことはほぼ定説なんだけど、液体の状態で水があったかどうかが焦点なんだよね。
地球型生命の場合、液体の水が存在することが重要なので。

そして、さらに大型の分析を行うべき開発されたのがマーズ・サイエンス・ラボラトリー。
名前が示すとおり、火星の表面で岩石や土砂をすくい、そのままそれをサンプルとして科学分析をしてしまおうという計画。
探査車のクリオシティも巨大で900kgくらいあるのだ(スピリットとオポチュニティは174kgなので約5倍!)。
軽自動車ほどの大きさかな?
過去と現在の火星で地球型生命が保持できるかどうかを確かめるのがミッションの目的なのだ。
コスト超過、計画遅延で打上げが危ぶまれたけど、去年の11月に打ち上げられ、つい先日ローバーが火星に降り立ったのだ。
さすがにこの大きさだとエアバッグは無理なので、パラシュートと逆噴射で軟着陸するんだけど、探査車を火星表面に送り届ける機構がまた複雑なんだ。
はやぶさで使われたような耐熱シールドのエアロシェルの中に入って火星の大気圏に突入。
その後パラシュートを開いて耐熱シールドを分離するのだ。
さらに、ローバー自体が逆噴射するんじゃなくて、逆噴射する降下ステージというのがあって、ローバーはそこにクレーンでぶら下げられているんだよ。
地表すれすれまできたところでクレーンからローバーを分離、降下ステージはそのまま逆噴射して別のところまで行ってから落ちるので、ローバーを傷つけないのだ!
よくこんなのを成功させたものだよ。

でも、これはいわばやっと目的地にたどり着いたところ。
ここから1火星年(約2.2年)は探査をすることになるのだ。
今度はどんな成果が出るのかな?
楽しみだよね。

2012/08/04

いつまでも続けられると思うなよ?

最近は家庭菜園をやっていたり、ベランダでプランター農業をやっていたりするけど、肥料をやっているのに育ちが悪くことがあるのだ(>o<)
1年目はしっかり収穫できたのに、2年目、3年目とできが悪くなってくる・・・、ということも。
でも、これって実は農業としては当たり前のことかもしれないんだよ。
それは「連絡障害」というやつなのだ。

農業の素人であるボクらは、それこそ農家の人は同じ田・畑で同じものを作り続けていると思っているけど、さにあらず。
同じ作物を育て続けると、土壌に変化が起こったり、病害が蔓延したりして収穫量ががくんと落ちるのだ。
これを連絡障害と言って、むかしから対策が講じられてきているんだよ。
日本の主要作物である水稲の場合は、湛水(たんすい)していることもあって連絡障害を起こしづらく、たまに休耕田はあっても常に同じ稲を作り続けているからそのイメージが薄いんだよね。
でも、畑作の作物なんかは同じものを作らず、複数の作物を循環させて作ったりするんだよ(これを「輪作」と言うのだ。)。

連作障害の主な原因は、作物を生育させることに起因する土壌の変化と、土壌における病害の蔓延。
例えば、土壌の変化でいうと、作物によって吸収しやすい栄養素が違ったりするので、特定の微量元素やミネラルが不足したり、過剰に余ったりするのだ。
これが適切に生育する範囲を越えると生育不良が発生し、連作障害となるわけ。
病害の方は、細菌や虫、ウイルスなど原因はいろいろとあるけど、同じ作物を育て続けるとその作物につく病害の原因が土壌に蔓延しやすくなり、病気にかかりやすい土壌となってしまうのだorz
これは灌漑用水や農具・農業機械で伝播するおそれもあって、けっこう危険なんだよ。
こうなるともう消毒しかないので、燻蒸したり、黒いビニールで表面を覆って太陽熱を集めて土壌温度を高くしたり(これってけっこう見かけるよね。)、熱湯をかけたりといろいろ方法があるみたい。

で、病害の方はなんとか防ぐとしても、土壌の変化は作物を育てる以上避けられないのだ。
稲も水稲だと連絡障害は起こりにくいけど、陸稲だとダメなのだ。
これは水をはっているかどうかの違いで、水が張られている田んぼは多様な生物が生息していてひとつの生態系が構築されているので、天然に有機物が供給されるシステムになっているのだ。
冬の間に水を抜いても、そこにはミミズなどが繁殖し、土をよくかき混ぜてくれるんだよね。
そう考えると、水田というのは実によくできた農業システムで、まさに米ばかり食べていた日本を支えていたのだ。

水田のようなシステムを持っていない場合は、他から土を持ってきて入れ替えたり、深く掘り返して土壌の室改善をしたりもするよ。
もっと極端なものだと、南米で問題になっているような焼き畑農業になるのだ。
もともと栄養分に乏しい赤土の層が薄くしかないのが熱帯雨林の特徴で、その上にシダやこけ、下草が生えることで保水性が維持され、ジャングルを支えているのだ。
でも、そのまま開墾したのでは農業には適していないので、それらを焼き払って一時的に有機物を添加し、農業に使うんだよね。
とは言え、すぐにその有機物は枯渇してしまうので、連絡障害が起こり、次の農地を獲得するためにまた火をつける、ということで森林がどんどんなくなっていくんだ・・・。

そのような消耗戦をし続けるわけにもいかないので、古来からローテーションで作る作物を変える、ということが行われてきたんだ。
これが輪作。
例えば、コムギ、オオムギなどの穀物は土壌の窒素分をよく吸収するので、土壌がやせ衰えていくのだ。
そこで、空気中の窒素を固定する根粒菌と共生するマメ科の植物を途中で栽培すると、土壌中の窒素が増え、地力が復活するわけ。
家畜用飼料作物であるクローバーやダイズ、白インゲンなどの豆類が栽培されるのはこのためだよ。
キャベツや白菜などのアブラナ科の結球する野菜は、連作するとまるまらなくなるので、同じアブラナ科であるダイコンやカブ、コマツナなどもダメなんだ。
セリ科のニンジン、ナス科のピーマン、ナス、トマト、ジャガイモ、ウリ科のキュウリ、シロウリ、マメ科のダイズ、エンドウマメ、ソラマメなどに変える必要があるよ。
おそらく、家庭菜園でうまくいかないのはこの辺なのだ。
アブラナ科は栽培しやすいからついつい連作になってしまうのだ。
その場合は、ウリ科のゴーヤや、マメ科のダイズやエンドウマメなんかを栽培したらいいんじゃないかな?

欧州で中世から行われてきたのは三圃式農業。
コムギのような冬穀(春に収穫する穀物)、オオムギ、ライムギのような夏穀(秋に収穫する穀物)、休耕地でローテーションを回すのだ。
には家畜(ウシ、ヒツジ、ヤギ)を放牧し、その排泄物で土壌を回復させるんだよ。
これがさらに発展したのが、農業革命とも言われた英国のノーフォーク農法。
夏穀=>クローバー=>冬穀=>カブの4周期で回すんだけど、これだと休耕地がいらないし(クローバーは家畜の飼料にもなるし、蜂蜜もとれるのだ。)、カブは不足しがちな冬季の家畜用飼料になるんだ。
これで一気に農業生産力が上がったんだって。

連作障害を防ぐには肥料や有機堆肥をどんどん追加していくっていう方法もあるんだけど、どうしても余計なものが残ったりして土地がやせていくことになるので、やっぱりむかしながらの輪作が持続可能な形態みたい。
今ではそれこそいろんな栽培用植物があるから、うまく回せればもともと土地がやせている場所でも農業が可能になっているのだ。
どこまで人口が増えるのか、増やしていいのかはよくわからないけど、現に食糧難は存在しているから、ローテクでもこういう技術がもっと発展して広がっていけばいいんだけどね。
持続発展型農業というのはこれからの課題なのだ。