2013/08/31

手作りだとぶよぶよ

家のお風呂でもらった手作り石けんを使っているんだけど、これがすぐにとろとろのどろどろ、ぶよぶよに溶け崩れてしまうんだよね(>o<)
で、素人が作ったものだから、と思っていたのだけど、プロが作った有機素材の手作り石けんというやっぱり同じことが起こることがわかったのだ!
やっぱり興行的に作っているやつとは何か成分が違うのかなぁ?、工業製品だと溶けにくくなるような成分が入っているのかなぁ?、なんて考えていたんだよね。
ところが、これが実は「逆」だったのだ。

むしろ手作り石けんには余計な成分が残っているので、高温多湿な場所にあるととろけてきてしまうんだって。
一般に、手作り石けんは、油脂をあたためたところに苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を加え、よく撹拌するのだ。
全体がトロンとなってきたところで型に入れて固めたらできあがり。
これを化学反応で考えると、トリアシルグリセロール(グリセリンに3つの脂肪酸がエステル結合したもの)である油脂が水酸化ナトリウムで加水分解され、3つの脂肪酸ナトリウムとグリセリンになるのだ。
で、この反応を進めるのには熱が必要なのであたためてかき回すわけ。
分解反応が起きると反応熱があるので、最初に反応を起こせばある程度自動的に反応は進んでいくのだ。
この反応は「けん化」と呼ばれるものだよ。

石けんを作る場合は必要な水酸化ナトリウムの量をあらかじめ計算して加えるんだけど、油脂の種類ごとに必要な量が変わるので、注意が必要なんだ。
1gの油脂をけん化するのに必要な水酸化ナトリウムの量をけん化価と言っていて、通常は油脂の種類ごとにだいたいの値が書いてある一覧表をもとに計算するんだ。
油脂はグリセリンに様々な脂肪酸が結合した状態なので、この脂肪酸の分子量の大きさでけん化価が変わってくるわけ。
炭素鎖の長い大きな脂肪酸がついたものだと、重量に比べて分子数は少なくなるのでけん化価は小さくなるし、その逆に炭素鎖の短い小さな脂肪酸がついたものだとけん化価は大きくなるよ。
ちなみに、油脂の種類というか、油脂に含まれる脂肪酸の種類で、石けんの水への溶けやすさ、泡立ち、洗浄力なんかも変わってくるのだ。
手作りする場合はそういうところにも気を遣っている人がいるみたい(オリーブ油石けんとか、パーム油石けんとか)。

で、けん化反応を終えたものをそのまま型に流し込んでしまうと、未反応の油脂が残っているし、グリセリンも混ぜ込まれている状態なんだよね。
さらに、廃油なんかを使っている場合は、油脂に含まれていた不純物も残っているのだ。
手作り石けんが柔らかかったり、溶け崩れを起こす主な原因はこの未反応の油脂やグリセリンが原因。
特に、油脂はできた手作り石けんの融点を下げるので、溶けやすいものになるよ。
グリセリンは吸湿性があるくらい水に溶けやすいので、これが入っていると水分を吸ってとろとろになるのだ。
で、この二つが合わさると、手作り石けんの特徴の溶け崩れが発生するよ(>o<)

あらかじめけん化価は計算していても、厳密に計算しているわけじゃなくて概算だし、そもそも反応が100%進むわけでもないので、未反応のものが残るのは仕方がないのだ。
でも、この未反応の油脂が手作り石けんの保湿性の高さの所以だったりするんだよね。
スキンケア用のクリームにも油脂が入っているわけで、肌の表面から水分が奪われるのを防ぐのだ。
また、グリセリンは化粧品の中で保湿成分にも使われるようなものなので、こちらも貢献しているよ。
それから、未反応の油脂は洗浄力を落とすんだけど、これが過剰に肌の表面から脂質をそぎ落とすのを防ぐ効果もあって、肌に優しい石けん、ということにもなるのだ。
このため、わざとあまりあたためずに、反応熱だけでけん化する製法もあるくらい。
ただし、オリーブ油とかにかぶれる人もいるし、油脂の中には刺激性のものもあるので、注意が必要なのだ。
また、未反応の油脂や残っている不純物は酸化されて劣化するので、手作り石けんはそんなに長期には保存できないみたい。

工業的にはどうしてるかというと、けん化反応が終わったところで塩析をして、不純物とグリセリンを除いているのだ。
石けん分子はコロイド粒子として液中に分散していて、これは水分子が水素反応で石けん分子のまわりに適度に水和しているからなんだけど、ここにより水和力の強いイオンを加えると、石けんは分散できなくなり、析出してくるのだ。
これが塩析という現象で、とろとろになった反応液に食塩水とかの塩の水溶液を加えて混ぜてやると、石けんが析出してきて、液の上に浮かんでくるよ。
このとき、たいていの不純物は水より重くて下に沈むので、石けんと不純物を分離できるのだ。
この塩析による精製を何度かして石けん素地(ニートソープ)というものを作り、これに香料や色素を加えて練ってから型にはめて固めると、売られている堅くて溶け崩れしにくい石けんができあがるのだ。

塩析をしない方法としては、あらかじめ高温加水分解で油脂を脂肪酸とグリセリンに分解しておき、脂肪酸だけをとりだして水酸化ナトリウムと反応させる中和法というのもあるよ。
あらかじめ脂肪酸を選べるし、後で不純物を除く必要もないので、いろいろと目的に応じたものが作りやすくなるのだ。
刺激性の強い分子量が小さい脂肪酸を抜くこともできるし、けん化反応に使うアルカリも残留しないので、より高い品質の製品が作れるんだよ。
ただし、塩析する方が個性的な石けん(=画一化していない)になるので、小規模事業者だと伝統的な塩析を使う方法(=釜焚き法)を続けているみたい。

で手作りした石けんを溶けづらくする方法だけど、塩析までして精製すればよいわけだけど、これってけっこう大変なんだよね。
そこまでやらないにしても、少しの工夫で溶け崩れを起こしづらくすることは可能なのだ。
それは、型に入れてからもある程度の温度に保温してやることで、けん化反応をしっかり起こさせるというもの。
通常は型に入れてからは反応熱でけん化が進むと同時に冷やされていくんだけど、型が大きかったりすると中心部はいいとして、周辺部では早々に冷やされて反応が止まってしまうのだ。
なので、保温しながらゆっくり固めることでけん化率を上げ、未反応の油脂を減らそうというわけ。
残留する水酸化ナトリウムの量も減らせるので、より安全になるのだ。
グリセリンは残っているから多少の保湿性は残っているし、わりとよい感じでできるみたい。
夏休みの宿題で石けんを作ったりすることもあるけど、そのまま固めたものと、保温しながらゆっくり固めたもので溶け崩れの差まで調べたらおもしろいかも。

2013/08/24

むぎゅ~

最近職場の冷蔵庫には麦茶が入っているのだ!
不断はコーヒーやお茶を飲むことが多いんだけど、やっぱり夏は麦茶だよね。
さっぱりすっきりでくせがない。
ウーロン茶とは違ってカフェインも入っていないので、妊婦さんや赤ちゃん、乳幼児も安心して飲めるのもよいよね。

そんな麦茶、最近ではまた徐々に復権してきているんだって。
どうしても昭和の飲み物、という印象だけど、なんだかんだでぐるっと回って見直され、評価されているようなのだ。
やっぱり一番大きいのはカフェインが入っていないこと。
カフェインは覚醒作用だけでなく、利尿作用もあるので、あんまりお茶やコーヒーを飲み過ぎるとトイレが近くなるんだよね・・・。
で、夏の水分補給を考えると、これはあんまりよくないことなのだ(>o<)
麦茶ならカフェインレスなので、水分補給にはばっちり♪というわけ。

さらに、研究も進んでいて、いろんな効用がわかってきているらしいよ。
どこまで本当に有効なのかはよくわからないけど(笑)
よく言われているのは、胃の粘膜を保護する作用、高い抗酸化作用(発がん物質を方挙したり、生活習慣病を予防したりする効果も期待できるとか)、血液さらさら作用(血液の粘度を下げ、流動性を上げる効果があるとか)、バクテリアの定着を予防する作用(特に、虫歯の原因菌として名高いミュータンス菌の菌膜生成を阻害して、虫歯予防にもなるんだとか)などなど。
そんなこんなで、むかしから愛され、飲まれてきたけど、地味にすごい飲み物だった!、と再び脚光を浴びつつあるのだ。

でも、ボクたちがイメージする、ひんやりと冷たい麦茶というのは戦後のもの。
冷蔵庫の普及で冷やして飲まれるようになっただけで、その前は温かい(或いはぬるい)飲み物として親しまれていたのだ。
これは今は温かい飲み物として親しまれているけど、むかしは冷たくして飲んでいた甘酒と対照的。
煎った麦を煎じて飲むようになったのは、緑茶が伝わるはるか以前の平安時代と言われているよ。
お茶がなかった時代からあったから、当然名称も「麦茶」ではなく「麦湯」だよ。
っていうか、戦後になってから「麦茶」という名前が定着したみたい。
実はつい最近の出来事なのだ。

室町時代までは主に貴族の飲み物で、戦国時代になると武将の間でも飲まれるようになったのだ。
江戸期に入ると、町中に麦湯を売る屋台が現れ、夏の夕方に屋台のそばで縁台に座りながら麦湯を飲んで涼む、という風物詩が生まれているみたい。
麦湯の専門店では、若い少女が麦湯だけを売っていて、水茶屋のように団子などの軽食は置いてなかったようなのだ。
簡易カフェだね。
麦湯は明治期までそういう形で親しまれていたんだけど、西洋からカフェ文化が入ってくると廃れてしまったみたい・・・。
でも、家庭で作る清涼飲料として飲まれ続けるのだ。

明治になると自宅で大麦を煎ったり、煎られた大麦を買ってきたりして麦湯を作ったんだって。
なんで麦湯にしたかというと、そこには上水の整備の問題が絡んでくるのだ。
当時はまだ井戸が一般的だし、一部で敷設されていた上水道も基本的には川や池から直接を水を引いてきたもの。
つまり、そこにある水は基本が「生水」なのだ。
したがって、飲料水にするために、湯冷ましにすることがスタンダードだったんだって。
で、どうせいったん沸かすなら、麦湯にして香ばしくしておいしく飲もう、ということになったみたい。
おいしい水がそのままごくごく飲める社会で普及しなかったわけだね!

戦後に冷蔵庫が普及してからは冷やして飲むのが一般的になったのは最初に書いたとおり。
で、夏場の定番の冷たい飲み物となったんだけど、他の例に漏れず、もっと勘弁に麦茶を飲みたい、という四級から、商品開発が進むのだ。
そうして出てきたのが、ティーバッグタイプの水出し麦茶。
むかしから水出しというのはあったようで、より香ばしくなるらしいんだけど、時間がかかるので通常は煮出していたのだ。
でも、それが面倒だ、ということで、水に入れておくだけで麦茶にしたい、とこの商品が生まれたわけ。
その後、すでにできている麦茶が缶やペットボトルに入れられて売られるようになり、ポーションタイプの水で薄めるようなものまで出てきたよ。

ただし、注意したいのは、こういう即席タイプの麦茶は、早く色を出せるように純粋な麦茶でないものがあるらしいのだ。
お茶の粉が混じったりしていて、タンニンやカフェインを含んでいるものあるので気をつけないといけないみたい。
特に、小さい子に飲ませるならよく調べてみないとね。
麦茶は実は家庭でもけっこう簡単にできて(だから明治期に家庭に普及したんだけど)、六条大麦をフライパンなどで2分ほどから煎りしてあら熱をとったものを沸かしたお湯に入れ、5~10分煮出したらできあがりなのだ。
そのまま麦を入れたままだと苦みなどの雑味が出るので、温かいうちにふきんなどでこして冷やせばいいみたい。
ティーバッグタイプは煎るのを省略できるのと、煮出した後に取り出しやすくするところが楽になっているのだ。
でも、夏休みに子供と一緒に作ったりしたらおもしろそうだよね。
煎る時間や煮出す時間を変えて色や香りを比べてみて、なんて夏休みの宿題にも使えそう。

2013/08/17

「南国」土佐はやはり南国だった!

今年の夏は恐ろしいほどの猛暑続き。
なんと、ついこの間更新されたばかりの日本最高気温がまたまた更新されたのだ。
ほぼお風呂の温度と同じ41度だよ!
最高気温が40度を越えた日も4日連続だったからたまらないよ・・・。
実際は蒸し風呂状態なんだろうね。

長らく日本の最高気温は山形市で観測された40.8度だったのだ。
これは戦前の昭和8年(1933年)の7月のデータ。
平成19年(2007年)8月に埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市で40.9度が観測されるまで、チャンピオンだったわけ。
山形というと雪深いイメージだから、最高気温が山形で観測されたというのは意外性があって、よくクイズでも出題されていたっけ。
今度は高知県なので、暑いだろうなぁ、という気はするけど、それでも今までそこまで暑い印象はなかったので意外なのだ。
ところが、最高気温の順位なんかを見ていると、今回最高気温が観測された江川崎観測所っていうのは上位の常連さんだったんだよね。
ついにトップに躍り出た、ということなのだ。

山形市で最高気温が観測された理由として考えられているのは、主にフェーン現象なのだ。
海側から来る湿った風が山を越えて吹き下ろすと、暖かい、乾いた風になるんだよね。
これについては以前に調査したのだ。
で、山形市は盆地なので、その熱風が来た後にそこにたまってしまうので、必然的に気温が上がってしまうわけ。
山梨県の甲府や、京都や奈良の市街も盆地だけど、フェーン現象が起こらない分、そこまでの気温にはならいんだ。
(もともと盆地は山に囲まれた天然の要塞なので、古くから街が栄えるんだけど、暑いのが欠点なのだ!)

埼玉の熊谷もフェーン現象と盆地のコンボで猛暑になると考えられているんだ。
実は群馬の館林も地図で見ればわかるとおりすぐ近くなので、暑い理由は同じ。
東京湾方面から吹いてくる湿った南風が秩父の山にいったん遮られ、埼玉や群馬に吹き下ろすときには熱い乾いた風になっているというわけなのだ。
さらに、北西の三陸沖から吹いてくる風は赤城山で遮られ、フェーン現象であたためられた「からっ風」として吹き下ろしてくるのだ。
このあたりは熱風の交差点と言われているらしいよ。
長らく1位だった山形を抜いたのは、東京都心部のヒートアイランド現象で南方面から来る風がさらに熱くなったから、と考えられていて、人工的な要因がからんでいる可能性があるのだ。

で、今回の四万十市。
高知県というと海に近いイメージがあるし、市の名前のとおり、四万十川も流れていて涼やかな印象を与えるんだけど、地図で見るとわかるとおり、実は高知と愛媛の県境付近で四国でもかなりの内陸部。
しかも、山に囲まれている盆地なのだ!
というわけで、フェーン現象+盆地のコンボにより暑くなる地域のひとつというわけ。
これまではトップになるほどは暑くはならなかったんだけど、どうも今年は太平洋高気圧が上空まで強く張り出していて、このあたりに下向きの強い空気の流れがあって、どんどん熱が流れ込んだようなのだ。
しかも、いつもは瀬戸内海側から来る風によって多少熱が流されるんだけど、強い高気圧の張り出しで今年はそれもあまり吹かなかったので、ますます熱がたまったんだとか・・・。




というわけで、平年以上に熱が流れ込んでくる状態になったと同時に、その熱を冷ます作用も弱まったので、あたたまり続けた、というわけ。
もともとこのあたりは降雨量も少ないし、雨に冷やしてもらうこともかなわず。
熱がまったく逃げないので連日40度越えという状況にもなったのだ(ToT;)
あなおそろしや。
ここまで暑いと、35度になったくらいでも涼しく感じるんだろうなぁ。

そういう意味では、四万十市が日本最高気温を記録したのは今年の気圧の状況によるところが多いので、又来年も同じように暑いとは限らないのだ。
もちろん、もともと暑いところだから、日本一じゃなくても、日本で5本の指に入るくらいの暑さにはなるんだろうけどorz
果たしてこれが名誉なのかどうかはよくわからないけど、とにかく有名にはなったよね(笑)
高知県は鳥取、島根に次いで人口が少なく(世田谷区と同じくらい。)、坂本龍馬以外に全国に誇れるものがないのが悩みだったんだけど、これでかなり挽回できたよね?
熊谷や館林は「暑い」ことを地域興しにつなげているので、四万十市にもがんばってほしいのだ。

2013/08/10

Tの魅力

ボクは紅茶よりはコーヒー派なのであまり使わないけど、職場のお茶スペースにはいろんなティーバッグがおいてあるのだ。
紅茶も茶葉の種類やフレーバーでいろんな種類があるよね。
ティーバッグだと1回分ずついろんなものが楽しめるのが魅力なのだ。
お湯を注ぐだけで簡単だしね。

で、このティーバッグ、実は偶然から生まれたものなんだって。
すでに有名な話としてその経歴(?)は明らかにされていて、時は1908年、場所はニューヨーク。
コーヒーの貿易商をしていたトーマス・サリバン氏が、コーヒーの売れ行きが悪く、紅茶に手を出したのが始まり。
当時はお茶のサンプルはブリキ缶に入れて送るのが主流だったんだけど、お金がないので絹の袋に入れて送ったそうなのだ。
でも、送られた方はそんなのは見たことないわけで。
どうしたらよいかわからず、そのままお湯を注いでしまったとか。
するとあら不思議、紅茶がきれいに煮出せるじゃありませんか!
茶葉を濾す必要もないし、後で袋を取り出せばポットを洗うのも楽ちん♪
ということで、1920年代には米国中に広がっていったみたい。

英国では伝統的な淹れ方が主流で、ティーバッグには距離が置かれていたみたいなんだけど、今ではかなり広がり、英国で消費される紅茶の8割以上がティーバッグと言われているのだ!
1960年代以降に広まったというから、米国文化が世界を席巻した後のことなのかな?
ちなみに、日本や米国、欧州のほとんどでは1杯分ずつの地位名ティーバッグが主流なんだけど、英国やカナダでは複数人分をいっぺんに入れる大きなティーバッグが主流とのこと。
ティーバッグは使っても、なおティーポットで入れたい、ということなのかもね(笑)

最初こそ絹の袋だったけど、何も使い捨てにするのにそんな高級な布は必要ないわけで、やがてそれは綿に変わるのだ。
そして、合成繊維や不織布なんかが出てくると、そっちに取って代わられることになるよ。
形も進化していって、最初は単にてゃばを放送していただけなので本当に袋に入っているだけだけど、やがておいしく、きれいに紅茶が抽出できるように工夫されていくのだ。
ポットに入れるタイプとして、円形のティーバッグが生まれ、今度は、すぐに取り出せるようにひもがついたり。
袋の形状も、普通に折りたたんだ四角いタイプから、中で茶葉が動けるように隙間を作るために三角錐型になったりと様々。

で、紅茶だけじゃなくて、緑茶やハーブティー、中国茶なんかでもティーバッグが増えてきているよね。
ところが、いわゆる「茶」カウントされるものはそうなんだけど、コーヒーの方はなぜかそうなっていないのだ。
粉状の溶かすだけのインスタントコーヒーか、簡易にドリップするタイプしかないよね。
ティーバッグ上のものの中にコーヒーの粉が入っていてもいいような気はするんだけど・・・。
逆に、粉タイプの紅茶ってほとんどないよね。
ミルクティーでお湯を注ぐだけの粉はないことはないけど。
これは何か理由があるのかなぁ?

最後に、おいしいティーバッグでの紅茶の淹れ方をひとつ。
リプトンの公式ページによると、ティーバッグをゆすったり、押したりすると渋みが出るので、ゆっくりと出し入れするのがコツとあるよ。
あらかじめカップを温めておいて、そこに沸騰した熱湯を投入。
カップの縁からゆっくりとティーバッグを滑り込ませ、1~2分待つのだ。
ふたがあればより香りが楽しめるとか。
で、出すときも慎重にゆっくりとティーバッグを引き出す。
アイスの場合は、ポットで同様に人数分のティーバッグを使って作るんだけど、氷の分濃いめに作るんだって。
というわけで、ボクはあまり飲む機会はないけど、今度やってみようっと。

2013/08/03

アゲアゲ

先日伊勢丹新宿店の沖縄展で「かまぼこ」を買ってきたのだ。
沖縄のかまぼこは、小田原名物のかまぼこや仙台名物の笹かまぼことは違って、揚げたもの。
むしろ鹿児島名物の薩摩揚げに近いもの。
ただ、本場の薩摩揚げはかなり甘みがあるし、色も茶色いんだけど、沖縄かまぼこはきつね色くらいで、味付けも強くはないのだ。
なので、そのまま食べるだけでなく、チャンプルー(炒め物)や沖縄そばの具なんかに使われるんだよ。

もともとかまぼこは魚をおいしく食べるために考案されたもののようなのだ。
平安初期の文献にすでに現れるらしいんだけど、この頃はナマズなどの淡水魚を使っていたみたい。
ま、京都が都だから、琵琶湖や鴨川なんかでとれた淡水魚の方がよかったんだろうね。
というのも、かまぼこは生魚ほどではないにしても傷みやすい食材・・・。
干物みたいな保存食とは違うのでそんなに遠くには運べないのだ(>o<)

このころのかまぼこは、棒に魚のすり身を巻き付けてやいたもの。
見た目が「蒲の穂」や「鉾」に似ているので、「がまほこ」になって、これが「かまぼこ」になるのだ。
漢字では今でも「蒲鉾」だよね。
後にいたにすり身をつけて蒸す製法が開発されると、棒につけて焼く方は「竹輪蒲鉾」と呼ばれるようになり、それが単に「ちくわ」になったみたい。
笹かまぼこみたいに今でも棒につけて焼いたものが「かまぼこ」の名を冠している場合もあるけどね。
一方、蒸す方は板についているので「板かまぼこ」。

一般には白身の魚で作られるけど、むかしはスケトウダラやサメなんかが大量に水揚げされることもないので、実は高級品だったらしいよ。
今ではおせち料理の中で脇役的な扱いだけど、実はかまぼこは紅白で縁起もよいし、高級な食材だったのだ。
でも、実は高級な白身魚を使わないかまぼこもあって、静岡の黒はんぺんとか、愛媛のじゃこ天なんかはその代表例。
どちらも色がちょっと灰色っぽいのだ。
でも、これはもっと身近な魚を使っているので、庶民の味だったはずなんだよね。

ここで、焼く、蒸すに次ぐ第三の調理法として揚げるが出てくるのだ。
一般には薩摩地方の名物なので「薩摩揚げ」と呼ばれるけど、鹿児島ではつけ揚げ、沖縄では「ちきあぎ」と呼ばれているよ。
語源や発祥もあまり定かではなく、「つけ揚げ」自体も沖縄の「ちきあぎ」から来ているんじゃないかと言われる位なので、ひょっとすると、沖縄経由で中国大陸の調理法が入ってきたのかも。
もともと肉団子などミンチした肉を油で揚げる調理法があるからね。

一般名称としては「揚げかまぼこ」と呼ばれていて、すり身だけを揚げたものと、具材を混ぜて揚げたものなどバリエーションは様々。
形も、四角いもの、丸いもの、球状のもの、棒状のもの、円筒状のもの、成型していない不定型なものなどこっちもいろいろ。
沖縄には、じゅーしー(味付けごはん)を包んだ揚げかまぼこもあるんだ。
特に具材を巻いたものや、具を混ぜたものは「天ぷら」と呼ばれる場合も。
東京だとゴボウ天うどんは、ゴボウの天ぷらが入ったうどんだけど、九州だとゴボウ入りの薩摩揚げがのったうどんの場合もあるので注意が必要だよ。
ま、どっちでもおいしいんだろうけど(笑)

揚げかまぼこの次の革命は魚肉ソーセージ!
戦後すぐのころは遠洋で獲れたマグロを冷凍して持ってくる技術がなかったので、氷冷だったんだって。
そうすると、どうしても鮮度が落ちてしまってよい値がつかなかったそうなのだ。
そこで考案されたのが、そういう魚肉を使ってハムやソーセージを作ってはどうかというアイデア。
基本はかまぼこと同様にすり身にするんだけど、そこにブタの脂やスパイスを加え、ビニールに包んで加熱殺菌したもの。
すると、殺菌されているので日持ちもよくなって、まだ肉が高かった日本の市場で大きなブームが起きたのだ。
最近はかなり減ってきたみたいだけど、今でも時々食べたくなるあじだよね。

その後も、スケトウダラの冷凍すり身化技術の確立とか、かに風味かまぼこの開発など、技術革新が進んでいるそうだよ。
やっぱり日本の食卓には欠かせない食材となっているんだねぇ。
おでんに揚げかまぼことか竹輪が入っていないのは想像できないし。
米国では豚肉のミンチを使ったミートローフがまさに国民食となっているけど、海とともに生きてきた日本人にはやっぱり魚肉すり身だね♪
低カロリー高タンパク食品として見直されてきているし、これからどんどんかまぼこを食べよう。