2014/01/25

のろのろすんな!

最近は冬になるとノロウイルスによる食中毒が話題になるのだ。
自分が子供の頃だと、食中毒は夏のもので、それこそ高い気温で腐敗が進むのが早くて、傷んだものを食べてしまうのが、いわゆる「食中毒」だったのだ。
細菌性のものだよね。
細菌性の食中毒は腐ったものを食べた人から先には広がらないんだけど、ノロウイルスによる食中毒は、感染した人の吐瀉物や糞便に含まれるウイルスが経口感染することで感染が広がってしまうのだ(>o<)
ノロウイルスは乾燥に強いから、乾燥した吐瀉物や糞便から出る塵埃が口に入るおそれがあるんだよね・・・。

もともと「カキにあたる」っていうのがあるけど、これが実はノロウイルスなんだよね。
ノロウイルスに感染すると、半日~2日くらいで急性胃腸炎を発症し、激しい嘔吐と下痢に見舞われ、発熱もするのだ。
で、それを看病していると、その患者の吐瀉物や糞便に触れる可能性があって、そこからまた感染が広がるんだよね・・・。
ノロウイルスの食中毒でこわいのは、この感染の広がりによる集団食中毒なのだ!
ウイルスが乾燥に強く、アルコールや逆性石けんなどでは消毒できないので、徹底的に洗い流すしかないんだって。
とにかく衛生管理あるのみ、ということみたい。

カキなどの貝であたるというのは、貝にこのウイルスが付着していることが原因なのだ。
貝の中では増殖はせず、感染するのはあくまでもヒトだけ。
感染者の糞便が下水に流れ、それが海に流されると、海水中に漏れ出た微量のウイルスを河口付近にいる貝が取り込むのだ。
これが蓄積されてしまい、相当量蓄積されてしまった貝を食べるとあたる、というわけ。
きれいな海域の貝しか生食用にはしちゃいけない、ということだよね・・・。
よく、カキなんかは生食用と加熱用とで分けて売られているけど、それは新鮮さの違いではなく、こういうところに違いがあるのだ。
どんなに新鮮でも、その貝のとれた場所によって生食にはできない、ということなのだ。

ノロウイルスが悪質なのは、研究室レベルで増やすことがまだできていない、という点。
このせいでなかなか研究が進まないのだ。
最初にウイルスの存在が知られるようになったときは、いちいち電子顕微鏡でウイルスがあるかどうかを確認していたとか。
今では、酵素反応と高原・抗体反応を使ったELISAという分析法や、ウイルスのRNAを逆転写PCR(RT-PCR)で検出する方法が使われているみたい。
検出するだけならそれでもいいんだけど、何か試験に使おうと思っても、患者から抽出したウイルスしかない状態だとどうしても数が限られるから、なかなかきびしいよね・・・。
電子顕微鏡でしか見られなかった時代なんてそもそも診断も難しかったわけで。
そのせいでずっとマイナーだったんだけど、その感染がもたらす被害が大きいし、最近はわりと簡便に検出できるようになったので話題になり始めたのだ。

このウイルスが戦後になって急に出てきた、ということはおそらくなくて、むかしからあったけど、なんだかわからなかっただけなんだよね。
日本でむかしから「おなかに来る風邪」というものがあったけど、それもノロウイルスだったのではないか、と考えられているみたい。
最初に見つかったのは、1968年米国オハイオ州ノーフォークの小学校における集団感染。
最初はノーフォークウイルスと呼ばれていたみたい。
1977年には札幌でも同様のウイルスが発見され、そっちはサッポロウイルスと呼ばれたのだ。
それぞれのウイルスが遺伝子レベルで同定できるようになったのは1990年。
それまでは電子顕微鏡でウイルスの形を観察したり、症状から推測するしかできなかったみたい。
2002年には国際ウイルス学会で、ノーフォークの「Nor」とサッポロの「Sap」を「virus」に「o」をはさんでつなげる命名が正式採用され、それぞれ「ノロウイルス」と「サポウイルス」となったのだ。
ただし、これは属名なので、日本語では「ノロウイルス属」、「サポウイルス属」になるよ。

研究が進んでいないだけあって、このノロウイルスによる症状の発症メカニズムは不明なんだとか。
そのため、基本的には対症療法しかできなくて、熱を下げたり、下痢がひどい場合には栄養輸液をしたりというのが基本。
ウイルスを出し切ることもあって、あまり止瀉薬は使わないとか。
出すだけ出してすっきりしろ、ってこと?
症状がそんなにひどくない場合には、経口補水液やスポーツドリンクを人肌にあたためて飲むがよいらしいよ。
ちなみに、ノロウイルスは血液型感染率に差があることが知られていて、O型は罹患しやすく、B型は罹患しづらいとか。
B型は丈夫だなぁ(笑)

とにもかくにも、こういうよくわからないものなので、予防には衛生管理あるのみ。
自分でできることは、手洗いの徹底と、自宅のキッチンまわりを清潔に保つことだね。
この寒い時期に寒いトイレにこもるのはつらいから、気をつけないと!

2014/01/18

暑さ寒さも風次第

東京が寒波で冷え込んでいる!
北米で死者まで出した寒波が日本にも降りてきているんだよね。
なんでも、温暖化の影響でジェット気流が弱くなっていて、通常ならそこまで南下してこない寒波が降りてきているんだとか。
温暖化なのに逆に寒くなるとは・・・。

で、この寒波で特に寒く感じるのは「風」なんだよね。
冷たい、乾いた来たよりの風が吹くと、芯から冷えるのだ(>o<)
天気予報で気温だけ見ていてもダメで、風とか湿度とかを気にしないと、この時期の寒さ対策はできないよね。
いわゆる、体感温度というやつなのだ。
夏に話題になる不快指数も同じような考え方だよ。

気温は文字どおり大気の温度、すなわち、大気中の空気分子が持つ熱エネルギーなわけだけど、同じ気温でも暑く感じたり、寒く感じたりするんだよね。
これが体感温度というもので、これはもともと人間が体温をほぼ一定に保つ機能を持っていることに由来するのだ。
例えば、暑いときも寒いときも影響してくるのが湿度。
人間の体の表面からは常に水蒸気と熱が発散されているんだけど、その水蒸気のもとは体表面の水分=汗。
湿度が高い状態だと汗が蒸発していかないので、気化熱により体から失われていく熱が減るのだ。
逆に湿度が低いと蒸発しやすくなるので、気化熱でどんどん熱が奪われていくよ。

高温多湿がねっとりした暑さなのはこのためで、いくら汗をかいても流れ落ちるだけで蒸発していかないから、大して熱が発散できないのだ。
ここにうちわや扇風機で風を当ててあげると、汗が蒸発しやすくなって気化熱で熱が奪われていくので涼しく感じるよ。
夏の不快指数は湿度の影響を見ているものなのだ。

上州名物のからっ風のような乾燥した風は、汗の蒸発を促すので体から熱を奪っていくのだ。
また、人間の体は常に体温を保つようにできているけど、それによって自分のまわりの空気をあたためているんだよね。
ダウンジャケットなどはこの体表面のあたたかくなった空気と外の冷たい空気の間を遮断して保温するんだけど、風が吹くと、せっかく体のまわりにできていたあたたかい空気の層が崩されるので、冷たい外気に直接触れることになるのだ!
これもあって風が吹くと寒く感じるんだよね・・・。
一般には、風速毎秒1mの風で体感温度は1度下がると言われているくらい。
ウィンドブレーカーのように薄手の生地でも風を防ぐだけであたたかく感じる理由はここにあるのだ。

冬の寒くて風の強い日に、ちょっと風が防げるだけの場所に避難してもだいぶあたたかく感じるんだよね。
さらに、実は頭部からは多くの熱を発散しているので、帽子をかぶるとかなりの防寒対策になるんだって。
街中にいるときはそんなに問題にならないけど、冬山登山なんかの場合は大きくきいてくるらしいよ。
帽子の着用は必須で、あまりに強い風が吹いてきたら風が防げるところに避難するのが大事なのだ。
そうしないとどんどん体温を奪われ、体力が低下していってしまうよ。

もう一つの要素は日射。
夏の直射日光はとにかくじりじりと熱いし、冬の日射しはぽかぽかとあたたかいよね。
まさにこの効果で、太陽光に含まれる赤外線の効果なのだ。
気温の場合は、太陽光により地面があたためられ、その地面からの放射熱であたためられるので、タイムラグが生じるんだよね。
地面があたたまるのに1時間、そこから空気があたためられるのに1時間で、約2時間の遅れ。
なので、もっとも太陽光が強い南中時から2時間遅れで気温がピークになるのが普通なのだ。
人間の体の場合は直接赤外線から熱を受け取れるので、その地面をあたためるのと同じタイミングで熱を感じるわけ。
日射の強さは気温に影響していないわけじゃないけど、タイムラグがあるので体感温度としては先取りすることになるのだ。

実際に体感温度は計算する式はいくつかあるみたいだけど、感覚的な部分もあるのでなかなあ数値で表すのは難しいみたい。
不快指数のように数値化せずに、体感温度として2~3度低く感じる、なんて表現するのもそのためだろうね。
とにかく、空気が乾燥していたり、風が強いときはより寒く感じるし、さらにくもりで日射が少ないとそれが加速されるので、防寒対策を強化しないといけないのだ。
ま、それだけわかっていれば、実行上はこまらないよね(笑)

2014/01/11

内側からぬくもりを

年が明けてますます寒くなってきた!
例年関東では1~2ガツに雪が降るけど、やっぱり寒さのピークは年が明けてからなんだろうね。
で、この時期活躍するのがユニクロのヒートテックを始めとしたあったかインナー♪
生地は薄いけど、確かにあたたかい。
セーターやダウンだとどうしても厚みがあって、さらに重ね着すると雪だるまのように着ぶくれしてしまうけど、これがあるとそこまでいかなくて動きやすいのだ。

これらは吸湿発熱素材と呼ばれる特殊な化学繊維でできていて、ユニクロのヒートテックの場合は、ポリエステル、アクリル、レーヨン、ポリウレタンの混紡。
東レが開発した繊維が使われているみたい。
複数の繊維が混ざっているので染色ムラが大きな課題だったようで、それが解決されて今のような多彩なカラーバリエーションができたとか。
あたたかいという快適性だけでなく、ファッション性が犠牲になっていなかったというのが成功のもとかな?

いろんな繊維メーカーが作っているけど、吸湿発熱素材の特長は3つ。
一つ目は、繊維中に空気を多く取り込み断熱層を作ることで実現している保温効果。
これはセーターやダウンと同じで、空気は熱伝導率が低いので、外気と体の間に空気が挟まると断熱効果が高いのだ。
セーターだと大きな目の編み込み、ダウンだと羽毛の起毛によって空気をとりこんでいるわけだけど、ヒートテックの場合は中空の糸が使われていたりするらしいよ。

二つ目は、少し奇異に感じるけど、ドライ効果。
汗を素早く吸収し、表面積の大きな繊維ですぐに拡散させるのだ。
これは夏に売られているシルキードライなんかも同じだよね。
冬に体が冷える原因としてるのは、重ね着をして動くと最初は暑いくらいなんだけど、その後汗をかくとそこから気化熱で体温を奪われて体が冷えていくというもの。
冬山登山でももっとも危険視されることでもあるのだ。
これを防ぐため、汗は素早く吸収し、体表から気化熱が奪われないようにしているというわけ。
フリースなんかだと密な編み込みで風を通さずあたたかいけど、まったく汗を吸わないから、いったん汗をかいてしまうと着心地が悪くなり、しまいには体が冷えてしまうんだよね・・・。

三つ目が最大の特長である発熱効果。
体から出る水蒸気を繊維が吸着するときに発熱するそうなのだ。
水蒸気の運動エネルギーが繊維へ吸着したときに熱エネルギーに変換される、とかいうと熱交換器的な機能を想定してしまうけど、なんのことはない、水蒸気の凝縮熱のことを言っているのだ。
水が蒸発するときに熱を奪っていく気化熱の逆で、水蒸気が凝縮して水滴になるときに発熱するのだ。
その熱量は2,258kJ/kg(539.4kcal/kg)くらい。
体からは何もしてなくても毎日約800mlほどの水蒸気が発散されているらしいので、すべてが捕捉されると1,806.4kJ(431.5kcal)だから、うどん一杯分くらいの熱量を再利用できたことになるね。

問題はここから。
体から出た水蒸気を繊維が吸着して発熱するのはよいのだけど、その繊維に吸着された水分が外に蒸発していくときには今度は気化熱を奪っていくので、本来的にはエネルギー保存の法則で熱収支はゼロのはずなんだよね。
それなのにあたたかく感じているのは、水分が蒸発していくのは布地の外側、空気の断熱層の向こう側だから。
布地の表と裏で温度差が生じているのだ。
ちなみに、ある程度水分が蒸発していかないと吸湿効果も低くなるので、あったかインナーの外側にはある程度空気の出入りがあるようにするとよいのだ。
ということは、フリースとの組み合わせはあまりおすすめではない?

この保温・発熱効果をさらに高めるために、繊維の伸縮性にも工夫があるんだよね。
体にしっかりフィットさせることで、体から出る水蒸気を素早く吸着して発熱するとともに、体表に近い位置で発熱することができるのだ。
インナーが体にフィットしていればしているほど、その外側の衣服との間には隙間もできるので、さっきの風通しの問題もある程度解決できるというわけ。
なおかつ、ごわごわせず動きやすいというおまけつき。
よく考えられて作られているんだねぇ。

ちなみに、吸湿発熱効果はどんな繊維にもあるもので、それを強化した素材ということみたい。
綿の肌着が着心地がよくてあたたかいのは、天然に保温、速乾、発熱のバランスがとれているからなんだろうね。
とにもかくにも、寒いのが苦手なボクにはありがたいものができたよ。
これからしばらく恩恵にあずかりますか(^o^)/

2014/01/04

年の初めのラッキー

もうもらえなくなってひさしいけど、お正月の楽しみといえばお年玉だよね♪
半分以上は貯金させられたけど、子どもとしては大きな臨時収入だから、うれしい限り。
おもちゃ屋さんも必ず元日開店していたもんだよね。
今でもお年玉をもらった子どもがわんさかやってくる、なんてことがあるのかな?

今のお年玉は目上の人が目下の人にお正月のお祝いとしてあげるもので、通常は金銭だよね。
目下の人がお世話になった目上の人にあげるお歳暮とは逆。
お金をポチ袋に包んで渡すのが一般的かな。
縦社会が厳しいところ(某男性アイドル事務所とか某刑事ドラマを得意とする軍団とか)だと、先輩が後輩に渡すのもあるけど、通常は大人が親戚や知り合いの子どもに渡すのだ。
最近では子どもが引退した親にお小遣いとして渡すようなものもあるようだけど。

ところが、もともとお年玉はお金じゃないんだよね。
お年玉の習慣は中世までさかのぼれるらしいんだけど、そのときは金銭だけじゃなく、「金品」だったようなのだ。
室町時代には茶碗や扇子を贈っていたのが確認されていて、江戸時代だと、武士なら太刀、医者なら丸薬と、今で言うお年玉とはかけ離れたようなものが贈られていたみたい。
お金だと「御祝儀」的な色彩が強いけど、やっぱりもともとは贈答品だったんだろうね。

その語源にはいくつか説があるんだけど、一般に 言われているのは、年神様に供え物として捧げていたお餅を払い下げたもの、いう説。
お正月を迎えるに当たっては、門口に門松を立て、家の中に鏡餅を用意して、年神様を迎えたのだ。
鏡餅は名前のとおり「鏡」の代わりで、年神様の依り代になるのだ。
なので丸く作るわけ。
民俗学的には、「お年玉」の「たま」は「たましい」のことで、年神様の分霊が宿るお餅をいただくことで、新年に神と一体化し、力をみなぎらせるんだとか。
今でも神社の奉納品を氏子に配ったりするよね。

でも、これだと、お正月になってすぐにもらえるものではなくて、鏡割りなりをしないともらえないような・・・?
そこでもう一つの説があって、それは、「年の賜物」で「年玉」というもの。
1年で最初の賜物だとすると、お正月早々にもらえるのもうなづけるよね。
中背にはすでに金品を贈っていたとなると、無理に年神信仰につなげなくても、新年を寿いで贈り物をした、ということでもよいような。
ま、もらえれば何でもよいんだけど(笑)

ちなみに、他の東アジア諸国でも旧正月に大人が子どもに金銭などを与える習慣があるんだとか。
おとなりの中国では、「圧歳銭」と呼ばれるものを日本と同じようにポチ袋に入れてあげるみたい。
中国では、「歳」と「祟」が同じ音なので、年始に大人が子どもに金銭を与えることで、子どもを襲う祟りを抑え、無事に1年を過ごさせようという民間信仰なんだって。
でも、新年を迎えるときに何かを贈答するという行為はアジアでは一般的なのかもね。
新年を祝って気前よく目下の人にものをあげる習慣があって、それになにやらあとづけで理由をつけているだけなのかも(笑)