2018/06/30

カレーのパートナー

インド料理屋さんに行ったら頼みたいのがラッシー。
サービスで出してくれるところもあるよね。
辛いカレーを食べているとき、水を飲んでしまうと辛さがますます強くなってしまうけど、ラッシーだと辛さを緩和してくれるのだ!
ちょっと酸味もあって、おいしいよね。

で、たまたまネットで、本格インド料理店に勤務するネパール人(笑)がお店のレシピを教えてくれた、というのを見つけたのだ。
それによると、等量のヨーグルトと牛乳を混ぜ、そこに砂糖とレモン汁少々を入れるんだって。
これをよく攪拌したらできあがり。
ヨーグルトは固形分があるので、泡立て器でがっつり混ぜるとまろやかになるそうだよ。
これは明治ブルガリアヨーグルトのサイトでも紹介されているのだ。
ミキサーで混ぜるときに果物を入れるとフルーツ・ラッシーになるみたい。

もともとのインド・ネパールの作り方も、実はこれと大差ないのだ。
インドやネパールで作られているヨーグルトの一種「ダヒ」。
「ダヒ」はいわゆるヨーグルトとは別の乳酸菌によってできる発酵乳で、粘度が低く、味わいや風味が違うんだって。
英語だと「curd(カード)」と呼ばれるんだけど、もともと「カード」はカッテージチーズのことで、見た目が似ているのでそう呼ばれるみたい。
ダヒは水切りするとカッテージチーズのように少しぼそっとした感じになるんだけど、これが粘度の違いなんだろね。

このダヒにクリームやミルク、砂糖を加え、よく混ぜ合わせて泡立てたものがラッシー。
ダヒを使うときは上のレシピよりは量が少なめのようだけど、おそらく、水切りした後の固形分が多いものがラッシーを作るように売られているからなのだ。
ミキサー普及前は、とにかく木の棒でがしがしとかき混ぜたり、二つの容器に代わる代わる注いで泡立てたりと、かなり手間がかかるものだったみたい。
泡立ってなめらかになるまでひたすら混ぜるのだ。

砂糖を入れないプレーン。
砂糖入りのミーティー。
薄塩味のナムキーンなどの種類があるんだって。
塩味のものは、トルコの塩味の乳酸発酵飲料であるアイランに似ているとか。
ボクは一度アイランをごちそうになったことがあるんだけど、それには、キュウリなんかも入っている「冷たいスープ」状になっていたもので、飲んだ瞬間すごく驚いたのだ。
で、あんまり合わないなぁ、というのが正直な感想(笑)
やっぱり甘いラッシーの方がいいな。

日本では「飲むヨーグルト」を自分で作ることはあまりなくて、市販品を買ってくるよね。
これは粘度を低くしてスプーンなどを使わずに「飲める」ように商品開発したもので、ヤクルトの「ジョア」がその先駆けなんだって。
これは日本では長らく乳製品を食べる習慣がなかったからで、海外では、ヨーグルトの食べ方の一つの形態として、水で薄めたりして飲み物に加工されてきていたのだ。
日本が大豆から醤油や味噌を造るように、乳製品大量消費国ではバターやヨーグルトをいろんな形で食べてきているってことだね。

でも、こうしてレシピを知ってしまったからには、自分でも工夫できそう。
やっぱり脂肪分少なめでさっぱり目がよいから、自分で作るなら、無脂肪乳(スキムミルク)を使うかなぁ。
でも、そうなると、カレーの辛さを緩和する能力がよわくなるかな?
とりあえず、一度試してみたい。

2018/06/23

学生のみかた

パリ在住の日本人なら誰でも知っている情報誌のOvni。
そのOvniに、パリの学食に関する記事が載っていたのだ。
学生だけじゃなく、誰でも利用できるんだそう。
ちょっと試してみたくなるよね。

ボクも学生時代はけっこう学食を利用した方なのだ。
外で食べた方がおいしいのだけど、学食は安いし、早いから。
ちょうどファストフードの低価格化が進行していたけど、それでも、野菜もとれるような定食については学食の方が安かったのだ。
量は多いけどおいしくない、と言われる学食も多いけど、最近では、有名なレストランとコラボしたり、朝食を100円で提供したりと、いろんなことをしているみたいだね。

で、パリの学食だけど、やっぱり量が多くて安い、でも、そんなにおいしくない、というものみたい(笑)
Ovniの記事によれば、スタンダードな定食は前菜+主菜+デザートのセットで3.25ユーロ!
500円くらい。
日本だと500円ランチは割とあるけど、パリではカフェでごはんを食べると15ユーロは超えるので、これは破格なのだ。
マックの一番リーズナブルなセットで5ユーロ弱、庶民の味方ケバブサンドで6ユーロくらいだから、ファストフードよりも安いのだ。
学生以外の人が食べるときは7.5ユーロだって。
それでも1,000円くらいか。

パリの学食は、大学のキャンパス内にあるわけではなく、大学のキャンパスの近くの街中にあるんだって。
これも不思議な感じ。
定食に更にプラスして追加メニューも食べることができて、それも軒並み安いので、学生さんはお昼に学食でしこたま食べて、夜はサンドイッチなどで軽く済ます、みたいな伝統があるみたい。
学食は昼のみの営業のようなのだ。

米国に留学していた時代に米国の大学の学食も利用したことがあるんだけど、そっちは完全なカフェテリア形式。
いろんな料理が並んでいて、取った分だけお金を払うシステムだよ。
一方、パリの学食は、セルフサービスなんだけど、各ブースに行って前菜、主菜、デザートのそれぞれを選んでトレーにとって、必要なら他のもの(飲み物、果物、サラダ等々)を追加で取る、というもの。
これは日本の学食や社食に近い気がするけど、前菜、主菜、デザートのそれぞれが選べて組み合わせられるというのが特徴だね。
この3つのセットで食べるというのは小学校の給食の時から変わらないらしいから、フランス人の食生活と切っても切り離せないものとなっているみたい。

でも、フランスには社食はあまりないみたい。
代わりに、チケ・レスト(英語風に言うとレストラン/チケット)というのが支給されることがあって、これは会社が昼食代の一部を負担してくれるシステムなのだ。
割安で買ったチケットで、カフェやレストランで食事ができるんだよ。
使える店は限られるんだけどね。
さすがに日本の会社だとここまでの制度はないかな?

とにかく外食の価格が高いパリ。
このままで学生さんなんかは暮らしづらいだろう、と思っていたんだけど、それなりの救済措置はあるんだね。
学生じゃなくても使えるみたいだから、機会があったらトライしてみるかな。

2018/06/16

街路樹に新鮮な空気を

東京にいたときから気になっていたんだけど、街路樹の根元に竹筒みたいのが刺さっているんだよね。
で、ずっと何かなぁ、と疑問に思っていたのだ。
パリに来てみると、街路樹の根元にホースが刺さってる・・・。
東京と同じようなもののように見えるのだ。
いよいよ気になって、ネットで検索しまくってしまったよ。

結論から言うと、空気を送り込むための通気の筒なんだって。
街路樹の場合、舗装された道路に穴を開け、そこに土を入れて植えられていることが多いのだ。
その土の入っている部分を植枡というらしいんだけど、これは気の高さに比べるとそんなに体積がないので、放っておくと土壌の質が悪くなるんだって。
pHなんかの問題もあるし、水はけの問題もあるみたい。
街路樹の根元が踏まれやすい場合には、徐々に土が硬くなってしまう、なんてことも。

で、通気の確保もその一つ。
土の中ではわりと空気は移動していて、好気性の土壌細菌や木の根による呼吸で酸素が消費され、 二酸化炭素が増えるんだって。
濃度が高くなった二酸化炭素は拡散によって広がり、代わりに外から酸素含有量の大きな空気が入ってくるのだ。
これで土壌中に空気が循環するわけ。

ところが、土が硬くなって本来あるはずの隙間が埋まってしまったり、水はけが悪くて空気が通るべき隙間に常に水があったりとかすると、通気が悪くなるのだ。
その結果、嫌気性の土壌細菌が増えて土壌の性質が変わったり、根が十分に呼吸できなくなったりして、根腐れを起こしたりするらしいのだ。
それを防ぐために、通気を確保する必要があるらしいよ。

対処法としてわかりやすいのは、根元の土を耕すこと。
土を耕すというのはもともと硬くなった土を掘り返して再び柔らかくすると言うことだからね。
でも、街路樹が生えたままはできないので、植え替えの時しかできないのだ。
なので、植える前から水はけをよくする小石を敷き詰めた上に土をのせて排水性をよくしたり、土の中に他校生のパーライトというのを入れて土が踏まれても通気性が損なわれないようにしたりするのだ。
でも、これって最初から計画しないとできないので、今ある街路樹を救うことができないんだよね。

ところが、街路樹の根元に筒をある程度の深さまで刺して、その筒の中に通気性・排水性のよい材料を詰めておくと、そこを通して水と空気の交換ができるので、かなり土壌の質が改善されるらしいのだ!
まさにそれが行われているのをボクは見ていたわけ。
調べてみるとそんなものか、と思うけど、ここにたどり着くまでけっこう大変だったよ・・・。
ま、当たっていないかもしれないけど(笑)

2018/06/09

意味を読み取る

有名な人工知能(AI)のプロジェクトに「東ロボくん」というのがあるよね。
国立情報学研究所でやっているやつ。
AIは東大入試を突破できる学力を身につけられるか、というプロジェクトだったのだ。
で、結果としては、現在のAIではおそらく東大に合格できるほどの学力を身につけることは無理、というのがわかったんだよね。
その原因は、データをとにかく詰め込むことで知識量はあるんだけど、「文章の意味」が理解できないので、正答になかなかたどり着けない、ということだったのだ。
しかも、このプロジェクトを進めていく中で、圧倒的に読解力が低く、暗記や計算だけで問題を解いている子供たちがけっこうな割合でいることがわかったのだ。
今では、研究リーダーだった新井紀子博士は、子供たちのリーディング・スキルをどうやったら上げられるか、という研究に移行しているらしいよ。

で、ここでいう「文章の意味」とか「読解力」とは何なのか?
わかりやすい例で言えば、その言葉の発せられた状況やその文章の前後関係から「それらしい意味」を読み取る、ということなんだよね。
話し言葉だと同音異義語の意味の取り方がまさにそうなのだ。
海にいる「蛸」と、お正月に上げる「凧」は両方とも「タコ」という音だけど、食べ物の話をしているときは「蛸」を意味することが普通だよね。
でも、AIはそれが判別できないので、シチュエーションや前後関係も含めて大量の「例文」を記憶させ、その場に最も近いと思われる事例を参照してどちらの意味で使われているかを判断するのだ。
統計的な処理なので、こういうワードと一緒に出てくるときは「蛸」を意味することが多い、という結論を導き出すわけ。
音声認識はこれが非常に難しいんだよね。
イントネーションが違えば区別できるんだけど。

で、これが書き言葉ベースでも同じようなことが起きるのだ。
単語単語の意味はそれぞれりかいできても、それがつながって文章になったとき、「何が言いたいのか」がわからない、ということが起こるんだって。
「必ずしもないわけではない」といった二重否定や、「○○であろうか、いやない」のような反語は、単語の意味だけつなげてもその意味はわからないことが多いんだよね。
こういう複雑なものでなくても、特定の単語にだけ反応してしまって、文章全体の意味を取り損ねる、なんてのもあるみたい。
ツイッターでのわけのわからないリプは、全体が理解できていないまま、特定のワードにだけ反応して発せられていることが多い、というのもわかっているようなのだ。

さらに、人の書いた文章が読めない人は、当然自分で文章を書くのも不得意なんだよね・・・。
修飾語が長すぎて文章のつながりがわかりにくい、並列関係や順接・逆接がくずれている、主語・述語の対応がおかしい、などなど。
おそらく、自分ではあまり変だとは思っていないんだけど、他人から見ると、「何が言いたいのかわからない」というものになっているのだ。
話し言葉だとそこまで気にならず流せるようなものでも、書き言葉になるととたんにつらくなるんだよね。
言いたいことを正確に伝えるために文字で書き起こしているはずなのに・・・。

こういう話を聞くと不安になってくるよね・・・。
AIに限界があって、完全に人間に置き換えられない、というのはいいんだけど、人間の方でAI的な思考回路に近づいているというのは大問題なのだ。
コミュニケーションを取ることで社会性を保つのが生物種としてのヒトの特徴のはずだからね。
こういうのって、本を読まなくなったこととも関係しているのかな?
逆に、読んでも意味がわからないから読まなくなっているだけかもしれないのだけど。

2018/06/02

酸っぱいくき?

日本ではあまりお目にかからないけど、フランスではわりとよく見る食材として、ルバーブがあるのだ。
ジャムやパイのフィリング、デザートのソースなんかに使われるよ。
さわやかな酸味でなかなかおいしいんだよね。
日本で買うと高いから、こっちにいる間に食べないと(笑)

ルバーブの和名は、ショクヨウダイオウ。
ダイオウは生薬の大黄のことで、中国原産の大黄に用いられるタデ科ダイオウ属の食用植物だよ。
主に食用にされている茎のようなところは実は葉柄。
土中に木質の短い地下茎があって、そっから葉っぱが生えている、ということみたい。
この地下茎を乾燥させたのが生薬の大黄だよ。
便秘薬などに使われるのだ。

で、欧州にはまず生薬の大黄としてこの植物が知られるようになったんだって。
古代ギリシアですでに知られていたらしいけど、中国の大黄が交易で運ばれるようになるのは、中世になってから。
シルクロードの重要な交易品の一つだったんだって。
でも、そうやってはるばる東の大陸から運ばれてくるルバーブは高価なので、欧州で栽培できないか、となってきたみたい。
すると、ブルガリアの寒冷地で近縁の種が自制しているのが見つかり、18世紀にはシベリア原産の近縁種も導入されるように。
こうした種が交雑して、今の食用のルバーブができあがったみたい。
でも、最初の目的は、あくまでも生薬だよ。

19世紀の初め、英国で、ルバーブを野菜として売り出す試みが行われたのだ。
もともと薬用植物として知られていたものなので、なかなか売れなかったんだけど、野菜として栽培品種に王室ゆかりの名前をつけたりして認知度を徐々に高めていって、今のように広く食べられるようになったとか。
そのとき重要だったのが、砂糖の低価格化。
ルバーブはそのままではめちゃくちゃ酸っぱいので、基本的には砂糖とともに煮てペースト状にするんだよね。
なので、砂糖が安くなければ広まらなかったのだ。

ルバーブは水分が多めなので、ざく切りにして砂糖をかけておくと、どんどん水がしみ出てくるんだ。
これをそのまま煮ると、わりと簡単にペースト状になるよ。
これにコーンスターチや小麦粉でとろみをつけてパイやタルトのフィリングにしたり、ペクチンで粘性を上げてジャムにしたりするのだ。
このペーストをそのままデザートのソースにつかったりもするよ。
アンズのような香りと酸味があるので、こういうお菓子に使うのにもってこいなんだよね。
特に、果物が乏しい寒冷地でも育てられるルバーブは、北の国では貴重なお菓子材料なのだ!

ルバーブは特に葉にシュウ酸が多く、葉柄にも微量に含まれているので、アクがあるのだ。
なので、食材として使う前には、しばらく水にさらしてあく抜きをする必要があるよ。
スーパーなどで見かける際には葉っぱはついていないけど、仮に葉っぱを食べようとする場合はもっとしっかりとアク抜きをしないと危ないので要注意。
英国ではほうれん草のように葉を食べていた、という記録もあるようだけど、とことん煮込んだあげくに煮汁を捨ててくたくたになったものを食べる文化だから、アク抜きは問題なかったんだろうね(笑)