2019/07/27

速い電車

日本に戻ってきて1週間。
まだ仮住まいで生活の立ち上げもままならないのに・・・。
なぜか大阪出張に行ってきたのだ。
うちの職場はきびしいなぁ(>_<)
そのときにひさしぶりに新幹線に乗ったんだけど、これが快適音符
車内はきれいだし、ゆれないし。
フランスのTGVとは大違いだ(笑)

新幹線は言わずと知れた日本の高速鉄道で、世界に冠たるものなのだ。
その高速性・静粛性は世界トップの性能。
何より、運行側の不手際による乗客の死亡事故はこれまでゼロという「安全神話」もあるのだ。
こういう実績をひっさげて、海外にインフラ輸出もしているよね。
そのときのライバルはたいてういフランスのTGVなんだけど、実際に乗り比べてみると、TGVよりはるかによいのだけど、日本の新幹線の運行には相当の手間がかかっているから、実際に海外で運行するのは難しいのかも。

我が国最初の新幹線は先の東京オリンピックの時に開業した東海道新幹線。
在来線である東海道本線という幹線鉄道に対し、新たな幹線鉄道となるべき高速鉄道路線なので、「新幹線」と名付けられたのだ。
ちなみに、江戸時代の五街道の東海道中は江戸日本橋から京都三条大橋までの区間、東海道本線は東京駅から神戸駅までの区間、東海道新幹線は東京駅から新大阪駅までの区間とどれも微妙に終点がずれているのだ。
最初は各駅停車の「こだま」と一部駅を通過する「ひかり」の2種類だったけど、さらに停車駅が少なくなった「のぞみ」も運行されるようになったのだ。
音速、光速と来てその次はどうするかと話題になったんだけど、最終的には、希望は光を超えるという結果になったのだ。
どれも「やまと言葉」できれいな響きだよね。

もともと新幹線のような構想は戦前からあって、当時は「弾丸列車計画」よ呼ばれていたみたい。
これは新幹線の英語名称にそのまま「bullet train」として残っているのだ。
ちなみに、TGVは「Train à Grande Vitesse」の略で、「大きな速度の列車」というそのままの名前だよ。

明治期に全国に鉄道もを敷設するとき、日本ではコストの問題から「狭軌」を採用したんだよね。
このため、光速で安定的に運行できる鉄道は実現できず、せいぜい100km/hだったのだ。
これを欧米と同じ規格の「広軌(標準軌)」にして、200km/hを越える光速で鉄道を走らせようという計画が出てきたわけ。
それが実現したのが新幹線なのだ。
でも、今となっては、秋田新幹線や山形新幹線のように、在来線の「狭軌」の線路をそのまま走る「ミニ新幹線」も運行されているんだよね。
これは新たに広軌の線路を敷設するのは難しいけど、超特急はどうしても通したいというところから出てきた折衷案。
「全国新幹線鉄道整備法」では、その第2条で「その主たる区間を列車が200キロメートル毎時(以降km/hと記す)以上の高速度で走行できる幹線鉄道」を「新幹線」の定義としているので、全区間で必ず200km/hの速度を越えている必要はないのだ。
ちなみに、在来線の線路を使う区間は130km/h程度だよ。

日本の新幹線は、高速性と安全性を確保する観点から、設備面でだいぶ在来線とは異なるんだよね。
まず第一に、踏切が一切ないのだ。
基本的には高架でわたすか、道路の方を線路の上か下に通すか、ということをしているんだ。
都内では西大井に東海道新幹線の線路に近づけるところがあるけど、壁は高くて中はほぼ見えないし、新幹線の線路を横断するのは結構大変なのだ。
でも、そのおかげで安全性が高まり、高速で運行できるんだよね。
さらに、線路のつなぎ目でがたんというのをできるだけ避けるために、ロングレールというのを採用しているのだ。
線路の一つ一つの単位が長いんだ。
つなぎ方にも工夫があって、がたがたしないようになっているんだ。
高速だとその衝撃が大きくなるので、この工夫により、静かに走ることができるんだよ。
そして、路線自体もできるだけまっすぐに、カーブするときは大回りで、としてあって、ゆれないし、速度を落とさずにすむようになっているのだ!
このあたりは、がたがたゆれ、すぐに徐行するフランスのTGVとは大違い(笑)

2019/07/20

しめりけでむしむし

日本に帰ってきて一番びっくりしたのは、蒸し暑さ。
気温だけで見るとパリとほとんど変わらないのに!
でも、東京ははるかに暑い・・・。
というか、空気に重みや粘りけを感じる。
これは湿度の違いなんだよね。

欧州は夏の気温が上がっても、日差しが強くても、湿度は低め。
からっとしているので、汗をかくことでかなり体は冷却されるようなのだ。
ところが、日本は高湿度。
汗をかいても流れるだけであまり蒸発せず、そのため、気化熱を奪われることもなく。
結果として、汗をかく不快感だけが残って、あまり涼しくないのだ。

だからこそ東京では冷房が普及していて、パリでは普及していないんだよね。
ところが、この日本型暑さはまだ問題があるのだ!
それは、外で大量に汗をかいた後に冷房のきいたところに入ると一気に冷えるのだ。
冷房は原理的に湿度下げることになるので、気化熱が奪われて冷却される分さらに冷えるのだ。
一気に汗は引くけど、今度は寒いくらいに感じするのだ。
これが「体感温度」なんだなぁと実感するよ。

日本の天気予報では「不快指数」というのが出てくるけど、これはそんな温度と湿度の関係を数値化したものなのだ。
気温が低くても湿度が高いと「蒸す」と感じるし。
気温が高くても湿度が低めなら、からっとした暑さでそこまで不快ではないのだ。

最初に提唱したのは米国の人みたいだけど、日本で使われているものは次の式から算出される数字だよ。
0.4 × (乾球華氏温度 + 湿球華氏温度) + 15
乾球温度は普通の温度計のさす温度のこと。
一方、湿球温度は、百葉箱の中などで見られる、濡れたガーゼでくるまれた温度計のさす温度のこと。
濡れたガーゼで包むことで温度計表面で水分が蒸発し、気化熱で奪われる熱量が反映されるのだ。

湿度が高いときは気化熱が奪われないので乾球温度とほぼ同じ数字をさすよ。
湿度が低いと気化熱で熱が奪われるので乾球温度より低い数字をさすのだ。
 つまり、湿度が高い時の方がこの不快指数の数値が上がるし、当然、もとの温度が高いとやはり高くなるのだ。
 これってけっこうわかりやすい指標だよね。

フランスの天気予報では聞いたことはなかったけど、気温が高くなっても不快指数はそんなに高くならないんだろうなぁ。
 実際にそこまで不快ではなく、直射日光させしのげればなんとかなることが多かったからね。
日陰に入っても熱気でムンとしている日本とは大違い!

2019/07/13

サメにあらず

出張で東欧某国に行ったのだけど、キャビアが有名なんだって。
ま、出張で行くようなときは冷蔵が必要なキャビアは持って帰れないのだけど。
でも、一応名物ということで、一回は食べたのだ。
その際、チョウザメの肉もいただいたのだ。
これが白身でぷりぷりしていてなかなか美味。

チョウザメは、「サメ」という名前はついているけど、いわゆる軟骨魚類の「サメ」ではなく、硬骨魚類。
形態が似ているので「サメ」という名前がついているだけで、「サメ」とは全く異なる種類の魚なのだ。
ただし、古代魚ではあって、3億年くらいまえから生息しているとみられているみたい。
シーラカンスみたいなものなのか!

「サメ」の場合、えらがむき出しで、浮き袋がないので肝臓の油で浮力調節をしていて、体の構造的には「チョウザメ」と大きく異なるのだ。
でも、食べる場合のもっと大きな違いは、「アンモニア臭」。
「サメ」は、体液の浸透圧の調整に尿素を使っているので、鮮度が落ちるとそこからアンモニアが発生するんだよね。
それでものすごく身がくさくなるのだ。
そのため、鮮度が悪くならないうちに加工する必要があって、多くの場合、かまぼこやはんぺんのような練り物に使われたり、煮こごりにされたりするのだ。

でも、アンモニアは発生して臭くなるけど、それは腐っているわけではなく、むしろ日持ちはするので、日本の内陸部では臭いを我慢しつつ食べる習慣が残っているんだよね。
栃木の「モロ」なんかがまさにそうだよ。
腐らずに運べる「サメ」の白身は貴重だったのだ。
ただし、そうやって食べられるのは比較的アンモニア臭の少ないネズミザメなどだよ。

ちなみに、その全く逆に突き抜けているのが、韓国料理のホンオフェ。
世界に冠たる臭い料理の一つだよ。
ガンギエイの身を壺に入れて発酵させたものなんだけど、その発酵過程で実の中の尿素がアンモニアに分解され、ものすごい臭気になるのだ。
アジアでは最強のくささで、スウェーデンのシュールストレミングに匹敵すると言われるよ。
最初にこの方法で食べた人は何が目的だったんだろう?

一方で、チョウザメの方は普通の白身。
天然のチョウザメが絶滅危惧種になって養殖が進んでいることもあるんだけど、その身も食べようという動きが活発になってきているみたい。
さすがに卵巣だけとってキャビアに加工し、残りは廃棄物というのはもったいないよね。
種類によっては身もおいしいし、しかも、くさみの少ない白身なので重宝するのだ。
刺身でも食べられるんだそうだよ。

日本国内でも養殖が広まってきていて、国産キャビアというのもあるらしいのだ。
個人的にはキャビアはそこまで好きじゃないけど、チョウザメの身はおいしかったから、これが新たな食幼魚として広まったらいいと思うけどなぁ。
鮭に匹敵するような食材になれる可能性はあると思うけど。
キャビアだけじゃなくて身も売れるようになれば養殖事業ももっと盛んになるよね。
ただし、キャビアがとれるようになるまでには10年以上かかるんだって・・・。
チョウザメの養殖はけっこう息の長い話なんだね。

2019/07/06

西へ東へ

東欧某国に出張に来たのだ。
フランスから帰国する前の最後の出張だ。
本当は帰国準備があるから避けたかったんだけど(笑)
ま、仕方がないね、ということで、せめてそこでしか食べられないものを食べようと思ったんだけど・・・。
東欧って、だいたいトルコ料理に近いものなんだね・・・。
ギリシア・トルコでよく見るような、ケバブ(ヒツジなどの挽肉を香辛料とともに串に巻き付けて焼いたもの)やフムス(ひよこ豆のペースト)、そして、ダンプリング。

ダンプリングというのは日本や中国で言えば餃子。
小麦粉を練って作った皮で包んだものの総称だよ。
饅頭も入るし、チベットやネパールのモモ、イタリアのラビオリなんかもこれの仲間。
水餃子のような料理が東アジアから中央アジアを通って欧州まで広がっているんだよね。
まさに「シルクロード」とともに分布しているのだ!

コムギはオオムギに比べて少し食べづらくて、実が硬いので粉に引く必要がるんだよね。
そういう食べ方を発見して主要作物にしたのはメソポタミア。
これがパンやパスタを含む麺類に発展していくんだけど、そういう「アドバンスド」な食べ方を最初からしているわけじゃなくて、これらは工夫に工夫を重ねた末の結果なんだよね。
当然、最初はコムギをひいたものを水で練って生地を作り、それを焼く、ゆでるなどの簡便な料理法なのだ。
おそらく、メソポタミアで食べ始めて、それが西へ東へ伝播していったんだよね。
さらに、シルクロードをはじめとする交易路を通じて食文化の交流も起こって、似たような料理がいろんな地域に広がったのだ。

焼くものとして代表的なのは、今でも中東でよく食べられる「平パン」。
総称は「ホブズ」と言うみたい。
ケバブサンドに使う、いわゆる「ピタ」もそうだけど、これは発酵させてから焼いたもの。
インドにある、務発酵で焼いた平パンがチャパティ。
こっちは薄めにフライパンで焼くのだ。
発酵させてから焼くナンと違ってふっくらとはしていなくて、もっさりした食感なのだ。
で、正直、このままだとそんなにおいしくないので、発酵させることでふっくらとさせるようになったんだよね。
中国では、焼くのではなくて発酵させた生地を蒸すんだよね。
それが「饅頭(マントウ)」で、日本に伝わって「まんじゅう」になるのだ。

で、もう一つの食べ方はゆでるというもの。
単純には、生地をちぎったものをそのままゆでるんだよね。
日本のすいとんやだご汁みたいなもの。
で、もう少し工夫したのが、平たくしてから中に「餡」を入れて包むもの。
これがダンプリングなのだ。
肉や野菜だけでなく、果物や砂糖を包むようなものまで、世界中にものすごくバラエティのある料理だよ。

コムギがオオムギより優れているのは、グルテンを含んでいるので、生地を練ると「コシ」がでること。
オオムギはグルテンがないから、生地を練って焼いたりゆでたりしてもぼそぼそ、もっさりなのだ。
コムギの場合はもっちりするんだよね。
特に、ゆでた場合はつる、ぷり、といった食感が楽しめるのだ。
酵母を加えて発酵させたり、その代わりに膨張剤を入れて膨らませたりするとふっくらとした食感が出せてさらにおいしいのだけど、こっちはゆでるだけだから、水がある地域ならすぐに採用される食べ方なんだよね。
中国では、こっちもさらに蒸すことで蒸し餃子や焼売が出てくるのだ。

はっきり言って、これは中身の餡にさせ気をつけておけば、はずれはないんだよね。
食感も味も想像しやすいのだ。
なので、ボクはこの手の料理があるところではたいてい試してみるんだよね。
取り立てておいしい♪、ということはまずないけど、それなりにおいしいのだ(笑)