2019/12/28

むかしハチ公、今マサル

ロシアのフィギュアスケートのザギトワ選手が引退するとかしないとかで話題になったよね。
でも、なんと彼女はまだ17歳・・・。
けっこう大人びて見えるけど、まだそんなに若いのか。
でも、ボクはそれ以上に、彼女が秋田犬保存会から贈呈された、マサル(♀)の方が気になるのだ(笑)
もらわれたばかりの頃で本当に子犬で、ふっわふわの、もっふもふのぬいぐりみみたいだったんだよね。
あれはかわいすぎる。

見た目的には、大きい日本犬が秋田犬(あきたいぬ)、小さい日本犬が柴犬(しばいぬ)というイメージなんだけど、日本犬と言われる日本特有の犬種はほかにもいるんだよね。
甲斐犬や北海道犬などなど。
でも、やっぱりメジャーなのは秋田犬と柴犬なんだよね。
最近は豆柴ブームで柴犬が多いし、柴犬は海外でも人気があるのだ。
ところが、ザギトワ選手は秋田犬に一目惚れしたし、秋田の佐竹知事から秋田犬「ゆめ」をプレゼントされた、ロシアのプーチン大統領も秋田犬をかわいがっているようなのだ。
ロシアみたいに大きい国だと大きな犬が人気?

柴犬の「柴」は小さいという意味で、他の日本犬と比べても小柄なことから来ている名前。
すると、より大型の秋田犬の方がオオカミに近いのかというと・・・。
どうもそうではないらしい!
最新のDNA解析によると、数ある犬種の中でもオオカミにかなり近い位置にいるのが柴犬。
まず、柴犬を含むアジアスピッツ系と、ハウンド系(アフガンハウンドなど)と北欧スピッツ系(シベリアンハスキーなど)に大きく分かれたんだよね。
で、アジアスピッツ系の中で、まずシャー・ペイという中国の闘犬に使われるしわしわの犬と柴犬系が分かれ、その後、柴犬から秋田犬やチャウチャウが分かれるのだ。

って、チャウチャウってかなり見た目が違うような気がするけど、柴犬系統なのか。
でも、よくよく見てみると、チャウチャウは毛を刈って短くしたら日本犬に近いような気も。
しっぽも丸まっているしね。
すると、柴犬の系統で毛が長くなってもふもふになったのがチャウチャウで、大型化していったのが秋田犬なのかも。
アジアスピッツ系は早くから猟犬として活用されていたようだから、大型化は納得できるよね。
チャウチャウの方は、より北の寒い方で使われるから毛が長いものが選ばれたのかもしれないし、別途コートの毛皮材料にも使われていたらしいので、その関係で毛の長いものになっていった可能性も。
いずれにせよ、まずは毛を刈ってすっきりさせて柴犬や秋田犬と比べてみないといけないね!

秋田犬は、現在では国定天然記念物に指定されているんだけど、それは、江戸時代から明治時代にかけて闘犬のために洋犬と交配されるなどの品種改良が進み、純血の秋田犬が激減し絵しまったため。
同じようなことが他の日本犬にも生じていたようなのだ。
でも、大正時代になると、希少になった秋田犬の純血種を守り、保存していこうという運動が起こり、昭和6年(1931年)に優秀な9頭の犬が転園記念物としての秋田犬に指定されたようなのだ。
大戦下において軍用犬との交配で再び純血種が減ったらしいけど、戦後再度純血種の固定化が行われ、今に至るのだ。
今は秋田犬保存会というところが育成・保存を担っているよ。
ザギトワ選手にもプーチン大統領にもこの保存会の犬が贈呈されているのだ。
ちなみに、秋田の大館には、保存会が運営している秋田犬会館というのがあって、そこには秋田犬の様々な展示もあるんだけど、保存会の会員の犬にも会える場なんだって。
大館に行った際には、犬飼観でわんこと握手!

2019/12/21

特別のハニー

冬になって、咳をしている人が多くなってきたのだ!
カゼやインフルエンザが流行しているようだね・・・・。
そのため、コンビニなんかでもマスクやのど飴が目立つところに置かれるようになっているんだけど、そこでよく目にするようになったのが、「マヌカハニー」。
一時期「プロポリス」入りがはやったけど、今は「マヌカハニー」のようなのだ。
って、これはなんだ?

調べてみると、ニュージーランドや豪州南東部原産のギョリュウバイ(現地のマオリ語で「マヌカ」)からとれるハチミツなんだとか。
灌木(丈の低い木)で、ピンク色のかわいらしい花を咲かせるよ。
古くは、豪州新大陸を発見(?)したクック船長が、この木の葉を発行させてから煎じて飲むと、胃の不調が治ることを発見し、そこから「ティー-・ツリー」と呼ばれるようになったよ。
現地のマオリ族も古くから薬用植物として枝や葉を民間療法に使ってきたみたい。
「マヌカ」というのはマオリ語で「復活の木」という意味だと言うから、大事な植物だったんだろうね。

で、今このマヌカのハチミツが着目されているのは、特別な殺菌成分が多く含まれていることがわかったから。
それがメチルグリオキサールという成分で、ピロリ菌駆除力や高い殺菌力があると言われているよ。
それでのど飴にも配合されているのだ。
もともとプロポリスも消毒・抗炎症作用が期待されて入っていたんだよね。
マヌカハニーはそこにカゼの時に処方される抗生物質のような抗菌作用をプラスする、ということのようなのだ。


実は、もともとハチミツ自体に殺菌作用が認められるんだよね。
古代ローマを始め、世界の各地で傷口ややけどの箇所にハチミツを塗る、ということが行われてきているのだ。
ひとつには、は蜜には高い糖分濃度なので、浸透圧により雑菌から水分を奪って繁殖を防ぐ効果があること。
もうひとつは、ハチミツ辞退が石けんなどと同じ弱酸性で低いpHなので、もともと雑菌が繁殖しづらい環境になっているのだ。

そして、さらに、ハチミツに広く一般的に含まれている酵素でグルコースオキシダーゼ、というブドウ糖を酸化させてグルコン酸を作るものがあるのだ。
この反応副産物で過酸化水素が生まれるんだけど、これがまた殺菌作用を示すのだ。
過酸化水素と言えば、いわゆる「オキシドール」だよね。
マヌカハニーの場合は、この過酸化水素に加えて、さらに特別な殺菌成分が入っている、ということなのだ。

でもでも、あくまでも昆虫の八が花の蜜を集めてきたもので、工業的・化学的に生産されているものではないので、その効能にはかなりばらつきがあるよ。
マヌカから採取されたハチミツであっても、ほしいメチルグリオキサールがどれくらい含まれているかはものによるからね。
逆に言うと、質の悪い、というか、殺菌成分の含有量の少ないものもあるわけなのだ。
でも、流通上は、マヌカのハチミツさえ入っていれば、「マヌカハニー入り」なわけで、気をつけないといけないんだよね。

これは生薬全体に言える話なんだけど、どうしても植物などに由来する生薬は、有効成分の量がまちまちなので、医療用途にそのまま使うのは難しいのだ。
クリアに効能を求めるなら、有効成分だけ取り出した方がよいんだよね。
例えば、昔から「麻黄」はぜんそくの薬として使われてきたんだけど、長井長義博士はここから有効成分のエフェドリンを抽出することに成功したのだ。
その後、そのエフェドリンをもとにして、様々なぜんそくの薬が作られることになったよ。
そういう意味では、生薬には効能は確かにあるんだけど、「きき」にはどうしてもばらつきがあるものなので、そういうものだと認識した上で使った方がよいのだ。

2019/12/14

自転車操業で借金

年末も押し迫ってきたのだ。
そんな中、目についたニュースが、
それは、政府の補正予算編成で、赤字国債の追加発行が濃厚になった、というもの。
税収予想が下振れしたために国が借金して予算を組まないといけなくなった、ということで、赤字国債発行は3年ぶりだって。
当初は税収増を見込んでいたんだけど、けっきょく予算規模に対して税収が足りなくなる予想になったので、必要な財源を確保するために、赤字国債発行となるわけなのだ。

で、よくよく考えてみると、「赤字国債」っていまいちよくわからないんだよね(笑)
端的に言えば、「財政の赤字を補填するために発行される国債」だって。
個人レベルで言うと、収入に対して生活費をはじめとする支出が多すぎるので、とりあえず借金をしてしのぐ、ということなのだ。
なんか、こう言われるとかなりまずい状況だよね・・・。
実際に赤字国債を発行し続けてきて、国が借金まみれになってしまったので、「プライマリー・バランスの黒字化」なんて話が出てきたんだけど。

我が国の財政は、まずは憲法の第7章、第83条~第91条に定めがあるのだ。
例えば、予算の単年度主義の理念は第86条に「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」と定められていて、会計年度ごとに国会の議決を要するとしているのだ。
ただし、これと「会計年度独立の原則」は必ずしも同じではないそうで、複数年度にまたがる予算を否定しているわけではない、と解釈されるそうな。
で、その「会計年度独立の原則」を直接規定しているのは、この憲法の財政に関する規定を受けている財政法なのだ。
例えば、その「会計年度独立の原則」は、財政法第12条に「各会計年度における経費は、その年度の歳入を以て、これを支弁しなければならない。」と規定していて、各会計年度で歳入と歳出をバランスさせなければいけないことになっているのだ。

さらに、財政法第4条第1項では、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」となっていて、原則として借金をして予算を組んではいけないことになっているのだ。
一方で、同条同項の「ただし書き」で、「但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。」とも規定していて、「公共事業」などであれば例外的に借金してもいいよ、と言っているんだ。
この場合はよく公共施設の建築に事業に使われるので「建設国債」と呼ばれるよ。
ここで例示されている、「公共事業」であれば、インフラとして「もの」が残るので、国民の利益にもつながる、「出資金」や「貸付金」であればいずれ償還されるべきものなのでキャッシュフローだけの問題、などなど、後世につけを回さないように、という規定なんだ。
それでもどうしても借金しないとクビが回らないときは、「特例公債法」という法律を別に通して、特別に借金をして財源に充てることを国会に認めてもらう必要があるのだ。
逆に、この法律がないと、赤字国債(特例公債)は発行できないんだよ。

もともとは、1965年(昭和40年)の補正予算で赤字国債を発行するために、第一次佐藤内閣が成立させたよ。
次は、1975年(昭和50年)の第一次田中内閣~三木内閣のとき。
ちょうどオイルショックがあって税収が大きく落ち込んだときなんだよね。
その後しばらく、1990年(平成2年)まで赤字国債発行は続くんだけど、原則として「単年度に限り」という建て付けになっていて、毎年度法律を通していたんだ。
その後3年間は好景気で税収増だったので赤字国債は格好されなかったんだけど、その後はまた発行が続くのだ。
これはまさに自転車操業で、借金をして前の借金を返済している状態(>_<)
信用があるからできるわけだけど、個人レベルで考えるとかなりまずい状況だよね・・・。

2012年(平成24年)以降は、複数年にまたがって赤字国債発行を認める内容になっていて、現在は、2016年(平成28年)に成立した、「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法及び財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律」によって、2016年度(平成28年度)~2020年度(令和2年度)の5年にわたって赤字国債発行が認められているよ。
ま、発行できるというだけで、昨年も一昨年も発行しなかったんだけど、今年は発行せざるを得ない、ということになったのだ。
今回は補正予算も含めて大型の財政出動が必要と言われておりこともあり、予算規模を抑えきれなかったんだろうなぁ。
ま、先行投資で将来の税収が上がる見込みがあるのであれば、必要なことなんだけどね。

2019/12/07

煮込んだ末に

寒くなってくると、あたたかい料理が恋しくなるよね。
熱々の鍋とか。
日本ではそうなんだけど、パリにいた頃は、フランス人が猫舌が多くて熱々のものが少なかったんだよね(>o<)
そんな中でもわりと熱々で出てくるのが、ブッフ・ブルギニョン(牛肉のブルゴーニュ風)。
いわゆるシチュー料理で、オーブンで加熱していた熱々の鉄鍋が出てくることが多かったのだ。
ま、持ってくるのが遅くなって冷めることもあるんだけど(笑)
これは牛肉の赤身肉を野菜とともに赤ワインでひたすら煮込んだ料理。
肉はたいていとろっとろになっているのだ。
脂が指しているとその部分が柔らかくなるんだけど、この料理の特徴は赤身肉がほぐれるくらい柔らかくなっていることだよ。

これは、煮込んで加熱することで、筋繊維の中のコラーゲンが変性するのだ。
コラーゲンは通常3つの繊維がらせん状に絡まっている構造なのだ。
これが熱変性するとその三重らせんがほぐれるんだ。
この変性したコラーゲンの中には水に溶けるものがあって、そうして抽出されたものがゼラチン。
温かいうちは液状だけど、冷めてくるとゲルになるのだ。
牛すね肉なんかを煮込むと煮こごりができるけど、それは固い牛すね肉の筋繊維の中からコラーゲンが溶け出して、それが冷めて固まるのだ。
魚の煮こごりなんかも同じだよ。

で、筋繊維は筋肉の形状を維持しているもので、すなわち、肉の固さの大きな要因なのだ。
それが熱で少しずつ変性して、一部が水の中に溶け出すと、その分だけ筋繊維はもろくなるわけ。
これが肉が軟らかくなる仕組みだよ。
とろっとろの牛シチューで肉が細かい繊維状にほぐれてくるのは、全体を筋肉としてまとめていたコラーゲンの構造が失われるため。
これが舌の上でとろける肉なのだ。
圧力鍋を使うとより高熱になるので、早く柔らかくなるのだ。
じっくりコトコト煮なくても、肉の中で同じような変化が起こるわけ。

逆に言うと、コラーゲンの構造が壊れれば肉は軟らかくなるわけで、それを化学的に起こしているのが、酵素による分解。
つまり、パイナップルやパパイヤ、タマネギなんかと一緒に肉を少し漬けて柔らかくする、という方法だよ。
これらの果物・野菜にはタンパク質分解酵素が含まれていて、それがコラーゲンを含めて筋繊維のタンパク質を細切れにするのだ。
その結果、肉がやわらかくなるわけ。
中心部まで柔らかくするためには、長時間漬けたり、事前に肉をフォークなどで刺して穴を開けたり、よく揉み込んだりすることが大事になるよ。

固いけど、じっくり煮込むと柔らかくなって出汁も出ると言われているのがすじ肉。
アキレス腱の部分や筋肉の間の筋のまわりの肉。
この部位はとにかくコラーゲンが豊富で固いんだけど、その分、じっくり熱をかけてコラーゲンを変性させてあげるとぷりっぷりで柔らかくなるよ。
ま、コラーゲンを抽出するだけなら豚の皮ぎしの方が楽なんだけど。
だからコラーゲン鍋には豚が使われることが多いような気がするけど、牛すじは本来捨てられることが多かったこともあって、庶民の食べる肉として食文化が形成されてきたのだ。

ただ、牛すじの難点はアクが大量に出て、しかも、くさいこと!
長時間アクを取りつつ、このにおいがしなくなるまでゆでる必要があるのだ。
そこまでが下処理で、さらに煮込むことになるんだよね。
なので、手間はかかるけど、安くおいしく食べられる肉だったわけで、それが牛丼に使われたりしたんだよね。
それにしても、こういうのって食への飽くなき探究心を感じさせるよね、
最初に、誰が長時間煮込んだらおいしく食べられると発見したのか、気になるところなのだ。