2020/03/28

4年たったらまた会いましょう?

コロナの影響で東京オリンピックの延期が決まったのだ。
約1年程度で、必ずしも夏にはこだわらないということなので、来春開催もあるかもしれないんだよね。
で、さんざん報道でも言われているけれど、近代オリンピックの延期は史上初。
過去に2度開催中止はあったんだけど、中止ではなく、延期を選んだのだ。
日本としてはすでに競技場の整備もしているわけで、それはそうだよなぁ、とは思うけど。

過去に中止された2回というのは、1916年のベルリン大会(第6回)と1940年の東京大会(第12回)。
どちらも世界大戦による中止だよ。
っていうか、東京でオリンピックをしようとすると、なかなか一筋縄ではいかないのか・・・。
ちなみに、近代オリンピックの場合、非開催や返上になっても大会回次はそのまま。
「みなし開催」としてカウントされるんだって。
また、1940年の東京大会は、1938年に東京が開催権を返上した後にヘルシンキが代替の開催地に選ばれているんだけど、けっきょく戦争の影響で開催できなかったのだ。

ベルリン大会は、1914年に勃発した第一次世界大戦のための中止。
当初はそこまで戦争が長引くとも思われていなかったので、組織委員会も維持されたらしいんだけど、開催できず。
戦争終結は1918年だから、それはね・・・。
これは史上初の世界大戦だったこともあり、そこまでのことになるとは想像できなかったみたい。
ちなみに、第一次大戦後、ドイツは1936年に第11回大会をベルリンで開催するのだ。
ナチスのヒトラー総統がプロパガンダに使ったことでも有名だよね。
前に整備したスタジアムなどの施設は戦争でなくなってしまっているので、開催に向けて突貫工事で整備されたらしいよ。

その次が、アジア発の開催となるはずだった東京大会。
でも、1937年にシナ事変が起きて日中戦争が勃発。
このために大日本帝国は翌1938年に開催権を返上、開催地を争ったヘルシンキが代替の開催地に選ばれたのだ。
でも、1939年には第二次世界大戦が勃発し、欧州も戦火に見舞われたのでけっきょく開催中止。
その次、1944年の第13回大会はロンドンでの開催が予定されていたんだけど、これも中止になったのだ。
でも、これは実質上繰り延べ延期で、戦後最初の大会は、1948年の第14回ロンドン大会となったのだ。

今回は1年程度の延期ということなので、これとはまた別の扱い。
東京の次のパリ大会を3年後にするのか、4年後にするのかもよくわからないけど、何もしなければ3年後の2024年なんだろうね。
なんか、西暦のカウントで行くと、紀元0年というのがないので、古代オリンピックからちゃんと4年ずつずらすと、2020年より2021年の方が合っている、なんて話も出てきているけどね。
フランスもすでに準備しているだろうから、東京大会だけずらす方が賢明か?

この県に関しては、麻生大臣が、40年周期でオリンピックに関するトラブルがある、なんてコメントしていたよね。
これは、まずは1940年の幻の東京大会、次の1980年は第22回モスクワ大会への不参加、そして、今回の2020年の開催延期のことだよ。
モスクワ大会については、開催前年の1979年にソ連がアフガンに侵攻したことを受け、米国がモスクワ大会へのボイコットを呼びかけた結果、西側諸国やイスラム諸国が不参加となったのだ。
日本では、4年後のロサンゼルス大会で柔道の金メダリストの山下選手が参加できなくて泣いた話が有名だよね。
マスコットキャラクターが小熊のミーシャで、すでに日本国内ではキャラクターグッズの販売なんかも行われていたんだよね。

で、これには報復があって、次の第23回ロサンゼルス大会には、ソ連の呼びかけで東側諸国が不参加。
この2大会でオリンピックと政治、特に冷戦下の国際情勢が注目を受けるようになったのだ。
本来は政治的な背景を離れ、スポーツを通じて国際平和を願うものなんだけど。
ちなみに、オリンピックの発祥国であるギリシア、常に全方位外交を思考する英国は両大会ともに参加。
っていうか、この両国はすべての近代オリンピック大会に参加しているんだよね。
さすがだ。

2020/03/21

デザート感覚で

タピオカドリンクブームが終焉を迎えようとしているのだ。
うちの近所にもできたんだけど・・・。
ほとんど人が入っていない(ToT)
ブームっていうのは一過性のものだからこんなものだよね。
いかに早く乗って、いかに早く次に切り替えるか。
その点で、「タピオカの次に来るもの」というのに注目が集まっているのだ。

その一つが、デザート豆腐である「豆花(トウファ)」。
やっぱり台湾のデザートで、ぷるんとした豆腐に黒蜜をかけたり、フルーツのソースをかけたりして食べるんだ。
実は、今から15年ほど前にも日本に来ていて、そのころはコンビニなんかでも「豆乳花(トールーファ)」なんて名前で売られていたよ。
ボクはハウス食品から出ていたのが好きで、その頃よく食べていたんだけど、いつの間にか見かけなくなったんだよな・・・。
豆乳で作ったゼリーとプリンの間のもので、杏仁豆腐のような堅さや独特の香りがないもの、とでも言えばよいのかな。
現在は都内にもいくつか食べられる店があって、そこそこはやっているみたい。
台湾スイーツブームに乗って次に来るか?、ということらしいのだ。

基本的には豆乳を凝固剤で固めたもので、硫酸カルシウムで固めることが多いようなのだ。
実は、中国の豆腐はもともと硫酸カルシウムで固めることが多いらしく、豆腐とあんまり区別をきちんとしていないんじゃないか、と思えるる節もあるんだよね。
その起源は、紀元前2世紀の前漢時代の淮南王・劉安が豆乳を固める手法を発明した、というもの。
この時点では豆腐と豆花は区別ないんだけど、その後加工法や食べ方で呼び名を変えたんじゃないか、と考えられているのだ。

中国の場合、いわゆる「冷や奴」のように豆腐を食べることはなく、揚げたり似たりして火を通して食べるんだよね。
逆に、日本の「冷や奴」のようにそのまま食べる場合に「豆花」と読んでいて、甘くしてデザートにしたり、塩辛い味付け、辛い味付けにして食べたりするらしいのだ。
つまり、料理の素材として使う場合が豆腐で、そのまま食べるのが豆花のようなのだ。
食べ方が違うので製法も少し異なるようで、豆腐は固めに作るけど、豆花は柔らかめに作る、ということのようだよ。

日本お豆腐は伝統的に「にがり」を使うんだけど、これは海水から塩を作る際の副産物。
塩化マグネシウムは塩化ナトリウムより水への溶解性が高いので、塩化ナトリウムが結晶化して析出した後も水溶液中に残るのだ。
つまり、海水から塩を作る過程で、固体になった塩分を取り除いた起こりの液成分が「にがり」で、その主成分が塩化マグネシウムなのだ。
一方で、中国大陸は広大で、必ずしも海水・塩水が身近にないので、別の凝固剤が使われたようで、それが石膏の主成分である硫酸カルシウム。

日本でも、戦時中には、ジュラルミン(アルミニウムと銅、マグネシウムの合金)を作るために塩化マグネシウムを主成分とする「にがり」は軍に供出しなければいけなくなったので、豆腐の凝固剤として硫酸カルシウムが使われるようになったのだ。
そのときの名称が「さらし粉」。
今でも豆腐を作る際の凝固剤(添加物)として認められているんだけど、塩化マグネシウムや天然「にがり」を使った方が大豆の甘みが引き立って豆腐の味が濃くなると言われていて、再び塩化マグネシウムが主流になっているんだって。

一方で、硫酸カルシウムを使った場合は、より保水力が高く、やわらかく口当たりのよい豆腐ができるそうなのだ。
保水力がよいというのは豆乳が多少薄くても固まる、ということで、かつて某グルメ漫画では「偽物の凝固剤で固められた味の薄い豆腐」みたいな描かれ方をしていたよ。
確かに塩化マグネシウムを使った方が大豆の味は引き立つようなんだけど、ゼリーのようなぷるんとした食感を出せるのは硫酸カルシウムの方で、まさにデザートとして食べる場合にはこっちの方がよいわけ。
使い方次第ってことだよね。

ちなみに、塩化マグネシウムはすぐに凝固反応が始まるので豆腐作りに技術が必要なのだ。
豆乳の温度、凝固剤の入れ方・混ぜ方などなどこつが必要。
逆に、硫酸カルシウムの場合はもともと硫酸カルシウム自体が水にそんなに溶けないものなので反応が遅く、技術がなくても均一に分散させることができ、素人でも豆腐作りに失敗しづらいんだって。
それで戦後豆腐作りの機械化が進む中でもよく使われていたみたいだよ。
今は技術が格段に進歩したので「にがり」でも問題なく機械で豆腐が作れるのだ。

さらにちなみに、凝固剤でメジャーなものとしてはもうひとつ、グルコノデルタラクトンというデンプンを発酵させて作る有機系のものがあるのだ。
水に溶かすと「グルコン酸」というさんが出てきて、その効果で豆乳がゲル化するのだ。
塩化マグネシウムや硫酸カルシウムが「塩析」でゲル化しているのに対し、こっちは酸凝固と言われるもの。
塩析は、タンパク質表面の電気的偏りを帯びた部分にイオンがくっつくことで、水素結合で水分子がくっつくのを邪魔して水への溶解度を下げて起こるのだ。
さらに、マグネシウムやカルシウムのイオンは2価なので、隣り合っているタンパク質同士を結びつけてくっつけて(架橋して)しまうんだよね。
この際、タンパク質は水を抱えたままふんわりと固まるので、水分が多いゲル(豆腐)になるよ。

グルコン酸の場合は、pHを調整することでタンパク質の溶解度を下げるのだ。
タンパク質は、プラスでもマイナスでも、電気的な偏りがあると、そこに水分子が水素結合でくっつくことで水に溶けるんだけど、電気的に中性になるとこの水分子が水素結合でくっつけなくなるので、溶けなくなるのだ。
グルコン酸の場合は、液性を酸性に傾けることで投入中のタンパク質を電気的に中和し、水に溶けづらくするんだ。
この場合、タンパク質同士は正負の電荷が等しいので、(イオンの介在なく)自分たちで勝手に集まって塊になるよ。
それが沈殿するわけ。
でも、この反応は極めて遅く、よりゆっくりとかたまり、かつ、固まった後は賛成なので、少し酸味があるんだって。
それで風味が失われると言われるけど、賛成で雑菌が繁殖しづらいので長持ちもするみたい。
ちなみに、塩化マグネシウムを使ったt語気よりもはるかに薄い豆乳でも固めることができるので、さっきも出てきた某グルメ漫画ではぼろくそに言われている凝固剤だよ。

2020/03/14

ぶわぁーっと乾かせ

コロナの影響で結構みんなまじめに手洗いをしているよね。
男子トイレだと、そもそも手を洗わない人も多かったんだけど、そういうこともなくなったのだ(笑)
そして、始終「ぼわぁー」という音がしているのだ。
そう、ハンドドライヤーの音。
大震災後一時使用停止になっていたけど、やっはりペーパータオルより便利ということで復活しているんだよね。

これって、つい最近のものなのかと思っていたら、実は古いのだ。
昭和35年(1960年)には発売されていたんだって!
今でもこの業界の大手の東京エレクトロンという会社で、当時の社長が米国で同種の製品を見て、これだと、と手をつけたのだ。
で、この会社が特許を取って販売していたんだけど、その頃は鳴かず飛ばず。
そもそも扇風機のようなファンで風を送る方式なので、風が弱く乾かすどころのものではなかったよう。
そこで、ヒーターをつけたりしたそうだけど、それでも、回転式タオルやペーパータオルには太刀打ちできなかったようなのだ。

1970年代までは特許で保護されて伊tんだけど、それが切れると大手企業も参入してきたとか。
具体的には、トイレ大手のTOTO(にOEMで製品を供給している会社)や松下や三菱電機のような家電大手。
各社ともいかに短い時間で乾かすか、というところに工夫を凝らすようになったんだけど、このときに手についた水滴を吹き飛ばすくらいの風量のものが出てくるのだ。
すごい音がするけど、手の皮膚の表面が波打つくらいの強い風が来るものもあるよね。
三菱製のものは風の出口を絞ることでさらに風を強くし、「ジェットタオル」という名称で売り出したのだ。
ほかにも、紫外線ライトをつけて同時に殺菌を行うものなどもあるよ。

現在投入されているものは大きく2種類あって、手を入れて上から風が当たるタイプと、下向きに手を差し込んで横から風を当てるタイプがあるのだ。
どちらも風を当てて手について水滴を吹き飛ばして乾かすのが基本だよ。
秋冬だとぬれたところに風が当たると気化熱で冷たく感じるので、温風になっているのだ。
ちなみに、下向きに手を差し込むタイプは業界では「おばけ式」と呼ばれているんだって。
「うらめしや」の幽霊の手の形になるから(笑)

コロナがはやり始めた頃から手洗いは奨励されているんだけど、ハンドドライヤーは使わないで、という動きも出てきたんだよね。
これは、手についた水滴を飛ばす際に、コロナウイルスを含むエアロゾルが周囲にまき散らされるおそれがあるため。
特に、上から風を当てるタイプだと周囲に飛び散りやすいのだ。
日本製のものは下に「受け」がついているからまだましなんだけど、海外製だと風の吹き出し口しかなくて、吹き飛ばされた水滴はそのまま床に落ちるようになっているので、危険度が高いのだ。
「お化け式」だと必ず手が覆われているのでそこまで飛び散らないんだけどね。

ちなみに、経済性で言うと、ハンドドライヤーに分があるみたい。
初期費用ははるかに高いのだけど、回転式タオルやペーパータオルは消耗品費がかかるし、何より、交換の手間=人件費が乗ってくるので、トータルで見るとコスト高のようなのだ。
電気代はそこまで高いわけではないし、たまにメンテナンスすればいいだけなので、長く使うことを考えたらハンドドライヤーの方が有利なんだって。
これが徐々に浸透してきてシェアを拡大してきたそうだよ。

2020/03/07

生活必需品品薄対策


新型コロナウイルスの影響で全国的にマスク不足に陥っているのだ。
さらに、ツイッターなどのSNSを機転としたデマの流布により、トイレットペーパーなども品薄状態が続いているのだ・・・。
で、よく目にするのが、「石油ショックの時と国民の行動が変わっていない」というもの。
昭和48年(1973年)の第一石油ショックの際は、やはり「トイレットペーパーや洗剤が供給不足になる」とのデマが流れ、全国的に買い占め行動が行われてしまったんだよね。
中には、そのときに買ったトイレットペーパーがまだ実家にある、なんて報告も!
すごい大騒動だったんだよね。

そんな社会情勢を受けて出てきているのが、すでにある法律によってきちんと対応すべきというもの。
特に、マスクの転売については、法律で厳しく取り締まるべき、なんて意見を見るよね。
でもでも、その法律ってけっきょくどんなものかよくわかっていなかったので、少し調べてみることにしたよ。
で、見つかったのは、ともに消費者庁所管の2つの法律で、どちらも昭和48年に制定されたものだよ。

一つ目は、「国民生活安定救急措置法(昭和48年法律第121号)。
まさに第一次オイルショックを受けて制定された法律で、先に加藤厚労大臣が政府がマスクを買い取って緊急事態宣言が出ている北海道の特に感染の多い地域に配布する、というのは、この法律に基づく指示だよ。
この法律には、「国民生活との関連性が高い物資又は国民経済上重要な物資(生活関連物資等)」について、その価格と需給の安定を図るための措置が定められているのだ。
価格の安定については、「価格が著しく上昇し又は上昇するおそれがある」ときには、生活関連物資等のうち特に価格の安定を図る必要のある物資を政令で「指定物資」として定め、その標準価格を定めることになるのだ。
その後、小売業者等に対しては、標準価格で販売するよう指示するんだけど、正当な理由なく従わない場合は、その旨を公表することができる、となっていて、社会的な制裁が加えられることになるんだよね。

それでもなお価格の安定が図れない場合は、さらに「特定物資」として指定を行い、全国的或いは地域ごとに「特定標準価格」を定めることになるんだ。
こちらについては、「特定標準価格」を超えて小売業者が販売を行った場合、その超過分について課徴金として国庫に納付するよう命じることができるんだ。
つまり、「標準価格」を定めてもなお価格のつり上げなどが横行している場合は「特定標準価格」が定められることとなり、そうなったら、「特定標準価格」を超える文の利益は国に取り上げられることになる、というわけ。
転売についてはこれが適用できないか、という話だったわけだけど、ついに総理がこの法律でマスクの転売を禁止する、と言明したよね。

厚労大臣の指示の根拠になっているのはまた別の規定で、「物価が高騰し又は高騰するおそれがある場合において、生活関連物資等の供給が不足することにより国民生活の安定又は国民経済の円滑な運営が著しく阻害され又は阻害されるおそれがあると」は、特定の物資を指定した上で、生産や保管、売り渡しなどを事業者に指示することができることになっているんだ。
今回のマスクの場合は、第22条第1項の「主務大臣は、特定の地域において生活関連物資等の供給が不足することにより当該地域の住民の生活の安定又は地域経済の円滑な運営が著しく阻害され又は阻害されるおそれがあり、当該地域における当該生活関連物資等の供給を緊急に増加する必要があると認めるときは、当該生活関連物資等の生産、輸入又は販売の事業を行う者に対し、売渡しをすべき期限及び数量、売渡先並びに売渡価格を定めて、当該生活関連物資等の売渡しをすべきことを指示することができる」という規定をもとに行われているものだよ。
この「売り渡し、輸送または保管に関する指示」は、条文にあるとおり「特定の地域」で需給が逼迫している場合にも使えるよ。
つまり、西日本では足りていても、東日本で圧倒的に不足していたら、この指示が出せるのだ。
ただし、これも罰則があるわけではなく、指示に従わない場合はその旨が公表されるのみだよ。

もう一つの法律は、「生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律(昭和48年法律第48号)」。
実は、この法律は第一次石油ショックの3ヶ月前に制定されたもので、当初は、「生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律」という名称だったのだ。
もともとは田中内閣の「日本列島改造論」に触発された地価高騰に端を発する物価高騰の対策としてできたもの。
石油ショックを受けて、先の「国民生活安定緊急安定措置法」の不足で一部改正が行われ、石油ショックの影響への対応としても使われるようになったものだよ。

こちらの法律では、生活関連物資等(定義は「国民生活安定緊急措置法」と同じ。)について、「買占め又は売惜しみが行なわれ又は行なわれるおそれがあるとき」は、政令で「特定物資」を指定し、価格の動向及び需給の状況に関し必要な調査を行っうのだ。
その上で、「生産、輸入又は販売の事業を行う者が買占め又は売惜しみにより当該特定物資を多量に保有していると認めるとき」は、その事業者に対して売り渡しを指示することができるんだ。
で、この指示に従わない場合は、罰則(三年以下の懲役又は百万円以下の罰金)付きで売り渡しを命じることができるようになっているよ。
不当に過剰な在庫を抱えつつ売り惜しみをして価格をつり上げようとする場合に適用できるのだ。
こっちはあんまり転売対策には向かないんだよね。

政府においては、さらにコロナ対策として緊急措置法を検討しているとの報道が出ているけど、生活必需品等の安定供給についてはこの二つの法律でなんとかなる部分が多いから、それ以外の部分、例えば、休業等による損益への保証、中小事業者への支援の拡充等々があるじゃないかと思うんだよね。
場合によっては、マスク等の需給調整や配給制なんかもあるかもしれないけど、そこまでしないとダメということでもない気がするんだよね。
いずれにせよ、これらはあまり抜かれない「伝家の宝刀」で、いざとなったら使える、というものなんだけど。