2021/03/27

東西の差

全国的に桜が咲く季節になってきたのだ。
開花と思ったら、あたたかい容器が続いて一気に花開いたね。
3月中に満開近くになるのもめずらしいかも。
春の風に散る花びらがまた風流だ。

この季節のお菓子と言えば、桜餅。
桜の葉の塩漬けから香る桜の香り(主にクマリンという成分だよ。)がすがすがしいよね。
塩味も上品な甘さを引き立てるのだ。
そして、有名な話として、関東と関西では桜餅と言ったときに思い浮かべるものが違うんだよね。
東西で全く異なるお菓子になっているのだ。

東の桜餅は長命寺桜餅。
隅田川沿いにある長命寺の門前で売られていたのが有名得、そう呼ばれるのだ。
桜色の小麦粉をベースとしたもっちりしたクレープ上の生地で案を挟んだり包んだもの。
元祖長命寺桜餅は桜の葉3枚で巻くんだけど、通常は1枚なのだ。
クレープ生地は小麦粉の他に餅粉とかも入れるみたい。
多くはこしあんだね。

西の桜餅は道明寺桜餅。
道明寺粉(蒸した糯米を干してから粗く挽いたもの)を使ってつぶつぶ感の残る餅皮を作り、大福やまんじゅうのようにあんこを包むのだ。
やっぱり餅皮は桜色になっていて、長命寺と同様に桜の葉で巻くのだ。
桜色のおはぎを葉っぱで包んだような見た目。
こちらはつぶあんもあるみたい。

桜餅という名称で売り出したのは長命寺の方が早いっぽいんだけど、お菓子の形状で言えば、道明寺の方が伝統的なものなので、桜餅という名称だけいただいて作り出された可能性があるんだよね。
和菓子の元祖とも言われ、道明寺粉の餅皮に餡を包んで椿の葉で挟む「椿餅」は平安時代からあるのだ。
これは京菓子。
だとすると、桜餅という名称だけを聞いた京都の和菓子職人であれば、けっこう容易に道明寺桜餅の形を思いつくと思うんだよね。
だとすれば、あんまりどっちの桜餅の方が古いとか争うこともなくて、自分の好みで好きな方を選べば良いはずなんだ。
ボクは割と両方とも好きなので、最近より見る長命寺と道明寺のセットものを買うことが多いよ(笑)

同じように、東と西で呼び名が変わる甘味があるんだよね。
それが汁粉。
関東の場合、汁気があるものは粒が残っていようがいまいが汁粉なんだけど(つぶがあるのが田舎汁粉、つぶのないのが御膳汁粉)、関西では、粒が残っているものはぜんざい、粒がないものが汁粉なのだ。
なので、西野出身の人は田舎汁粉の意味がわからないんだよね!
さらに、汁気がなく、やわらかくした餅に小倉あん(多くの場合はつぶあん)を載せたものを関東ではぜんざいと余分だよね。
関西ではこれを亀山などと呼ぶのだ。
こうなると、東の人から言うと、汁気がないのがいいのに、関西に行ってぜんざいを頼むと汁粉が出てきてしまうのだ。

桜餅の場合、名称だけ同じで形状が異なるのだけどお、汁粉・ぜんざいの場合は入り組んでいるので、自分が思ったものとは違うものが出てくる、というのがよりまぎらわしいのだ。
さすがに情報化時代でいくらでもこの手の情報に触れるので今は混乱が少ないだろうけど、ネットが発達する前は、関西と関東の間を引っ越したりすると混乱があったのだろうなぁと想像するよ、。
けっこう身近なところで日本文化も多様性があるよね。

2021/03/20

でべそでもブランドもの

 スーパーで「不知火」という柑橘類を買ってきたのだ。
売り場に張ってあった「あおり」を読むと・・・。
『いわゆる「ポンカン」と同じ柑橘類で、酸味が少なく非常に甘いです。』と書かれていたよ。
その横で、「デコポン」がもう少し高い値段で売られていたんだけど、なんとなく「不知火」の方を買ったのだ。
すでに高級柑橘類の「せとか」を1個買っていたのもあるんだけど(笑)
で、少し気になったので、不知火とデコポンの関係を調べてみたんだ。

基本的には、不知火(シラヌヒ)はミカン科ミカン属の柑橘類の栽培品種で、大陸系の水分が少なめのポンカンと、温州ミカン(いわゆる普通のミカン)とオレンジを掛け合わせたタンゴールである「清美」を荒廃させて作られたもの。
長崎の島原にあった農林水産省の果樹試験場(現在は国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)で作られたのだ。
独特の「へそ」のような戸田付近の出っ張りが特徴なんだけど、その見た目があまり良くないのと、そのためにどうしても不揃いになってしまうのもあって、栽培品種には不向きと当初は品種登録されなかったそうなのだ。
ところが、その試験栽培の苗木が島原湾を挟んだ反対側の熊本県の不知火町に持ち込まれ、試しに栽培してみると、非常に甘い実ができたのだ。
成熟してくると川がしぼんでくるそうなんだけど、そのくらいが収穫時で、この過程で甘みが増すようなのだ。
こうして、ちょっと見た目は不細工だけど甘い栽培品種の「シラヌヒ」が生まれたわけ。

で、この新しい「シラヌヒ」を売り出すときに工夫をしたのだ。
それが品質保証で、糖度13度以上酸度1度以下の甘みが強くて酸味の少ないもののみ選択し、「デコポン」という名前をつけて流通させたんだ。
つまり、「デコポン」は登録商標(商標の所有者は、熊本県果実農業協同組合連合会)。
当然その名称使用には制限があって、日本園芸農業協同組合連合会傘下の農業団体のみが使用を許諾されているのだ。
生産者個人が販売する場合や、農協を通さずに独自ルートで販売する場合はその名前が使えないわけ(>_<)
つまり、ボクがスーパーで見かけたのは、おそらくスーパーが独自に契約農家から仕入れたもので、農協を通していないので栽培品種の名前である「不知火」で売られていたのだ。

ここで気をつけないといけないのは、「デコポン」であれば甘くて酸味が少ないという基準を満たしているので、確実においしいのだ。
一方、「不知火」はその基準を満たしているかどうかは関係ないので、よいものもあれば、そうでないものもあるわけで・・・。
独自ルートで仕入れた質の良いものならよいのだけど、「デコポン」と名乗れなかった甘みが薄いもの、酸味が強いものの可能性もあるのだ。
そこは見極めないといけないわけだよね。
おそらく、「デコポン」のブランド維持のため、基準を満たさなかったような果実は加工品に回したりして生菓としては流通させないんじゃないかな。
加工品であっても「デコポン」の登録商標の範囲内なので、仮に加工品になっても「デコポン」を名乗ることは許されないんだけど。
みかんの世界も厳しいのだ。

デコポンはハウスものだと年末年始頃から出回るんだけど、ちょうど今くらいの時期に出てくるのが露地栽培のもの。
この後も低温貯蔵されたものが夏前までで回るらしいけど、まさに今が旬なのだ!
ちなみに、不知火は収穫当初ちょっと酸味が強くても、貯蔵しておくと酸味が抑えられるようで、そういうのを後回しに出荷するみたい。
もともと果皮が厚くて日持ちもするのでそういうこともできるのだ。
ちなみに、ボクが買ってきた不知火は酸味はほぼ鳴く、非常に甘くておいしかったよ♪

2021/03/13

オレの屍を越えていけ

もうすぐホワイトデー。
ホワイトデーは感じで白日。
白日と言えば、King Gnu。
というわけで、今回気になったのはヌー。
もちろん、動物の方だよ。

ヌーはウシ科の動物で、アフリカ大陸の南部、ケニアやタンザニアの当たりに生息しているのだ。
牛とカモシカを掛け合わせたような見た目で、顔が大きくて角は立派なんだけど、脚はカモシカのような脚(笑)
ウシというとどちらかと言えばもっさりしたイメージだけど、ヌーは怒濤のごとく走るイメージ。
これは、ヌーは季節ごとに集団で大移動する性質があって、それをよくテレビで見たりするからだと思うんだよね。

ヌーが生息しているあたりは乾季と雨季がはっきりしているので、寒気になると雨が降る方=えさとなる草がある方に草食動物が移動するのだ。
歩奥の場合、天敵である肉食動物に備えるために秀だね異動するんだけど、ヌーはその集団の大きさが半端じゃないんだ。
その数なんと100万頭以上!
まるでナウシカに出てくる王蟲のようだよ。
1年で1600kmを超える距離を移動して、えさを求めてぐるっと異動し続けるのだ。

そのところどころに天敵である肉食獣のライオンやチーター、ヒョウ、ハイエナなんかがいて、むれからはぐれた個体、けがなどで群れの動きについて行けなくなった個体などが捕食されるんだ。
ただし、大集団で移動しているときは、そこに突っ込むと逆に肉食獣の方が踏みつぶされてしまうので、あくまで近くで監視していて、弱ったやつが出てくるとそれをおそう、という構図みたい。
また、ヌーの移動先には必ず水もあるので、ヌーについていくとけっこうくいっぱぐれがないのだ。
さすがに肉食獣には縄張りがあるのでどこまでも追いかけることはないみたいだけど、自分のテリトリーに入ったところから出て行くところまではストーキングするわけだね。

この大移動自体がすごいんだけど、中でもクライマックスは川渡り。
アフリカの川なので日本でイメージする川とは大きく違って過酷なもの。
川幅は広いし、天敵であるワニも生息しているのだ。
そして、川渡りの時期は、繁殖が一段落した頃で、生後半年程度の仔ヌーをつれながらの移動になるんだよね。
もちろん、子供たちを群れの真ん中において大人たちがサポートし、また、天敵から守りながら渡るわけだけど、ぐずぐずしていると天敵に襲われるのでそれなりにスピードが必要。
すると、群れの動きについて行けない子供も出てくるし、もともと体力が弱っていておぼれるような個体も出てくるのだ。
ケニアとタンザニアの国境付近に流れているマラ川を渡るときは、6000頭以上が命を落としていると推定されていて(それでも100万頭の集団とすると0.6%!これが「数の力」だね。)、その死体は1000トン以上になるそうだよ。
シロナガスクジラ10頭分くらいらしい・・・。

これだけの数となるとワニも食べきれなくて、川に死体が残るのだ。
これが徐々に腐敗sい、分解されていくんだけど、実は、これが重要な栄養源として生態系に還元されているんだって。
特に、最後まで残る骨は徐々に分解されていくんだけど(約7年かかるとの推定)、その過程で植物にとって貴重な栄養素である有機リンが出てくるのだ。
これによって、肥沃な草原が生まれ、またそこが草食動物のえさ場になるのだ。
もちろん、途中で朽ちていく肉は魚のえさになって、それはワニや鳥のえさになるのだ。

ところが、最近ではアフリカでも土地開発が進んでいて、農場や牧場が作られてしまうのだ。
そこを大集団で移動してきて荒らされては困るので、フェンスをもうけたり、柵で囲ったりするわけ。
そうなると、移動するヌーの方は移動のルートを変更せざるを得ない。
ルートが変更されると、川を渡る場所が変わるので、その生態系にとってみると、定期的に来るはずだった栄養が来なくなることを意味するのだ。
こうして土地開発をしたところから離れたところでも環境影響が出てくるみたい・・・。
これはかなり難しい課題だよね。
でも、こういう生態系の栄養循環はどこかがほころぶと全体がダメになるんだよなぁ(>_<)

ちなみに、ケニアやタンザニアではサファリツアーとして野生動物を見るのが大きな観光資源になっているけど、このヌーの大移動は人気のツアーみたい。
あまり近づけないだろうけど、100万頭が怒濤のごとく走り抜けていくというのはかなりの壮観だろうね。
テレビなどで映像で見ているだけでもすごいけど、そこに震動なんかもくわわるんだろうなぁ。
それと、ヌーの集団には往々にしてシマウマも混じっているらしいので、ヌーの大移動を見に行くとたいていシマウマもついてくるよ。

2021/03/06

ひな祭りリキュール

 3月3日はひな祭り。
もともとは健康長寿を願う「上巳(桃の節句)」だったんだよね。
ひな人形も最初は飾るものではなく、川に流すもので、汚れを人形に託して川に流すことで健康を願ったのだ(「流し雛」)。
これがどうも江戸時代くらいにひな人形を飾る風習に変わり、そこに備えられるようになったのが白酒だよ。
室町時代には桃の花を浸したお酒を飲んでいたらしいんだけど、それが江戸時代に今のような白酒になったようなのだ。
一見濁り酒のように見えるけど、実は全く異なるものなのだ。
上品などぶろくとばかり思っていたよ(笑)
甘口のお酒なので、婦女子向けなんだって(っていうのもおかしな話だけど・・・)。

また、白い色に意味もあると考えられていて、花嫁衣装である角隠しや白無垢が示すように、白い色は純粋無垢であることの象徴で、そのために女の子の祭りにふさわしいと考えられたとも言われているみたい。
酒自体には清め、払いの意味がもともとあって、かつてはの桃の節句は不老長生を願って桃の花びらを浮かべたわけだけど、江戸時代に女の子の節句となってからは、こういう意味合いも出てきたんだろうね。
ひな祭りの食事と言えば、ちらし寿司とハマグリの吸い物が定番だけど、夫婦和合の象徴であるハマグリも幸せな結婚を願うとの観点でひなまつりに入ってきているようなのだ。
今はそういう社会ではないけど、当時の日本では、女の子は幸せな結婚をすることこそが大事だったからね。
そういうからみの縁起物が混ざってくるのは仕方ないのだ。

白酒は混ぜて作るもので、焼酎やみりんといったアルコール度数の高いお酒に蒸したもち米と米麹を加え、熟成させたもの。
これって、焼酎やみりんに甘酒を混ぜているようなものだよ。
麹はデンプンを分解して糖を産生するので、甘みが出るのだ。
でも、強いアルコールの存在かだし、ここには酵母、つまり、酒母や酛(もと)と呼ばれるものは入っていないので、産生された糖がアルコールに発酵することはないのだ。
その辺にも自然酵母はいるけど、アルコール存在下では増殖できないので、それだけじゃ発酵は進まないよ。
なので、後から加えているもち米は、まさにアルコール発酵の手前で止める「甘酒」の状態なんだよね。
最終的には、残っている粒をよくすりつぶしてできあがり。
どぶろくの場合はまだ粒が残っているけど、白酒はすりつぶしているので、全体的にもわっとしているのだ。

で、この製法のため、酒税法上は「リキュール類」に分類されるんだって。
仕上がりでは、アルコールは9%程度、糖分は45%程度というから、かなり甘めのお酒だよね。
甘いだけでそれなりにアルコールは強いから悪い酔いするタイプのやつだ・・・。
強めのアルコールに果汁などを混ぜるカクテルと同じ。
もっと言うと、焼酎に混ぜものをして飲みやすくする酎ハイと同じなのだ。
焼酎の甘酒割だよね(笑)
逆に言うと、わざわざ白酒を買ってこなくても、家にある甲種焼酎に買ってきた麹甘酒を混ぜても良いのかも。

この白酒で特に有名だったのは、神田猿楽町にあった豊島屋。
一説には、ひな祭りの白酒はこの店から広まったとも言われるくらいだよ。
もともとしろ酒は高級な甘いお酒として季節を限定せずに売られていたらしいんだけど、この豊島屋が桃の節句前に売り出すのが大いにもてはやされたんだそうだよ。
江戸での白酒の元祖と言われていて、桃の節句に白酒がつきものになって行くに当たって大きな貢献をしたのは確かみたい。
現在は所在地は東村山に移っているけど、白酒の製造は続けていて、皇室へも届けているとか。
ちなみに、今でも豊島屋は白酒の売り出し時期をひな祭り前の一時期に限定しているんだって
そう言われるとちょっと試してみたい。
機械ですりつぶすのではなく、昔ながらの伝統製法に従って石臼ですりつぶしているので、ものすごくきめの細かい白酒だそうだよ。