お葬式に参加してきたのだ。
仏式だったのでお焼香をしたのだけど、なんで粉末状のお香が燃えるのか実はよくわかっていなかったんだよね。
灰の上に置かれている四角いものが熱源であることはしっていたのだけど、今回知ったのは、それが「炭」だったということ。
熱した石とか電熱だとか、そういうのを想定していたのだけど、よくよく考えれば仏教の儀式でお香を焚くのは非常に歴史があることだから、納得がいくよね。
石を熱してもよいけど、そんなに熱が長持ちしないし。
今回、お焼香の準備をしているのをたまたま見たのだけど、表面が銀色の何かにコーティングされた四角い炭にろうそくで火をつけ、それを灰の上に置いていたのだ。
炭が燃える場合は2種類あって、炎を上げてまさしく燃えている「燃焼」状態と、炎は出さずに赤熱しただけの状態でゆっくり燃える「熾火(おきび)」状態があるのだ。
炭火焼肉屋ら焼鳥、ウナギの蒲焼なんかでも燃え盛る炎に当てて焼いている絵わけではなく、静かに炎を上げずに燃えている炭から一定程度距離を話して焼いているよね。
遠赤外線というやつだ。
お焼香もこれと基本的には同じ原理でお香を焚いているようなのだ。
この炎を出さないで燃えている状態を「無炎燃焼」というらしいのだ。
炭の表面で炭素の酸化反応(C+O2=CO2)が起きていて、これが発熱反応なので燃焼に必要な温度が維持されるのだ。
この「炭の表面」というのがみそで、外側というだけでなく、多孔質の炭の場合は中心部も含めて空気に触れている面が多く、そこ全体で反応が起きているのだ。
つまり、炭全体がゆっくりと酸化反応を起こして発熱している感じ。
この状態はゆっくりしたものなので、火力はそこまで高くないけど長時間じっくりと焼けるというメリットがあるのだ。
これが炭火焼きでつかわれる所以で、火力が強すぎると食材の表面だけが焦げて中(中心部)は生の状態になってしまうわけだけど、弱めの熱でじっくり焼くので中心部まで火が通るのだ。
仲間で熱を通す過程で余計な脂も落ち、水分も適度に保持されながら焼けていくので、ふっくらと焼けるという寸法だよ。
焼鳥なんかでは重要だよね。
ステーキの焼き方だと、まずは表面を焦がして肉汁が漏れないようにし、じっくりと中まで火を通す、みたいなことをするわけだけど、基本的に肉類はゆっくりと被を入れた方が柔らかく仕上がるんだよね。
お焼香に使う熱源の炭はそのまま「焼香炭(しょうこうたん)」というものらしいいんだけど、これは1時間くらい燃え続けているみたい。
抱いた仏式のお葬式の読経は30~40分程度であることを踏まえると、ちょうどよい長さだね。
お通夜や葬儀が始まる前に火をつけておけば、よほどのことがない限りお焼香の間は熱源として使えるのだ。
お葬式はそれでよいのだけど、ずっとお香を焚き続けるような場合は炭だけだとつらいよね。
なので、高炉の中には電熱式のものもあるみたいなのだ。
アロマオイルを使う香炉なんかだと電熱式で下から水を温めて、その上にオイルを垂らすようなタイプが多いよね。
逆に、むかしは常にお香を焚いておきたいときは、お香自体を燃えるようにしていたのだ。
そう、お線香。
お線香は香料の成分を練ったうえで燃やしやすいように加工したもの。
これも炭と同じように炎を上げずにゆっくりと燃焼していくのだ。
浅草寺のようなお寺にはもくもくと煙が出ている「常香炉」は、参拝者が煙を浴びられるように常にお香を焚いているわけだけど、あれは常にお線香を焚いているのだ。
仏式のお通夜も寝ずの番でお線香を絶やさない、みたいなのがあるけど、やはり長時間の場合はお線香を焚き続けるというのが基本みたいだ。
作り方によるけど1時間くらい燃える続けるものもあるからね。
2025/04/26
内なる〇〇を燃やせ
2025/04/19
紅白うお合戦
先日、ファミレス型の回るお寿司に行ったのだ。
タッチパネルでも注文できるのだけど、そこで疑問が出てきたわけ。
サバやアジ、イワシなどの青魚が「白身魚」のカテゴリーの中に入っている!
え、光物って白身だっけ?
というわけで、ちょっと調べてみたのだ。
白身魚と赤身魚の違いはその名前が示すとおり、身の色。
人間でも、短距離走の選手はミオグロビンの少ない白筋(速筋)がメインで、逆に長距離走の選手はミオグロビンの多い赤筋(遅筋)が多いというけど、魚も同じみたい。
白身魚の多くはスプリンタータイプで、普段はあんまり動かず、エサを見つけた時や敵から逃げるときにさっと素早く動くような魚なのだ。
赤身魚の多くはマラソンランナータイプで、マグロやカツオのように常に泳ぎ続けていないとダメなやつ。
実際に白身と赤身は100gあたりのメモグロビン・ミオグロビンの含有量で区別するそうで、10mg以上が赤身、10mg未満が白身ということらしい。
白身魚の場合は、ミオグロビンが少ないという特徴のほか、コラーゲンが多いという特徴もあるのだ。
これは煮魚にしたとき決定的で、マグロなんかをねぎま鍋とかで煮て食べる場合、身はどちらかというとぱさぱさ下感じの仕上がり。
一方、カレイやキンメダイの煮つけの場合、コラーゲンが溶け出して煮凝りができるよね。
白身魚は熱で溶けだすコラーゲンが多いので加熱すると身を崩しやすいのだけど、逆に、それがあるからこそ、似て食べる場合は柔らかくなるのだ。
逆に、赤身魚の場合は、加熱すると水分が少なくなって固くなる傾向があるので、「火を入れ過ぎない」ことがおいしく食べるこつだったりするよね。
で、外観はそんな感じなんだけど、具体的に振り分けていくと、あ、そうなんだ、っていうのがいくつかあるんだよね。
一つはサケ・マス類。
身がオレンジ色なので赤身のようにも思えるけど、見は白身。
身がオレンジ色なのはエサとして食べているオキアミなどの甲殻類の持っている色素、アスタキサンチンによるもの。
ミオグロビンの色ではないのだ。
サケ・マス類は川を下って海に出て川に戻ってくる生体で知られるけど、河川残留型或いは陸封型といって海に下らずに淡水域に留まる連中もいるんだよね。
例えば、渓流釣りのヤマメはサクラマスの陸封型、逆に、塩鮭としてよく食べられるベニザケが陸封型になるとヒメマスになるのだ。
で、降海するサクラマスやベニザケは身がオレンジ色なのだけど、淡水域に留まるヤマメやヒメマスは身が白いんだよね。
かつ、その卵(イクラ)の色も違って、降海型はよく見慣れた赤い卵、陸封型は黄色い卵なのだ。
陸封型のサケ・マス類の卵は黄金イクラなんて呼ばれることもあるのだ。
問題の青魚だけど、一般的には赤身に分類されるのだ。
確かに味の刺身の色なんか見れば赤身だけど、サバって白くない?
でも、さっきのミオグロビン含有量で行くとサバも赤身みたい。
おそらく、血合いの部分は非常に色が濃く、そこはミオグロビンがたっぷりだから、全体を通してみると赤身になるっぽいのだ。
そう考えてみると、サバの味噌煮とカレイの煮つけってやっぱり違うよね。
サバは身がしっかり残っているイメージがあるし。
コラーゲン量も違うのだと思う。
境界線上に入るっぽいのがカジキの類。
カジキの仲間は回遊しているけど、海中屈指のスプリンターでもあるよね。
メカジキなんかは白身に分類されるけど、マカジキ、クロカジキなんかは赤身になるんだそうで。
確かに、ステーキのように焼いたときに、パサつくのとしっとりするのがあるけど、それはその赤身・白身の違いなのかもしれないなぁ。
カジキでひとくくりにしてどのカジキを買っているかあまり意識したことなかったけど、そこを見てみると面白いかも。
2025/04/12
かっふ~ん
最近テレビのお天気コーナーでも「ヒノキ花粉」情報が出てくるようになったのだ。
前はスギ花粉以外はあまり触れなかったよね?
実際には、ヒノキもスギも同じヒノキ科で近縁種なので、スギ花粉にアレルギーのある人の多くはヒノキ花粉にもアレルギーを持つらしい。
で、スギ花粉が2~4月に飛散するのに対し、ヒノキ花粉はちょっとずれて3~5月に飛散するらしいので、あれ、スギ花粉は終わったはずなのに花粉症の症状が続くな、と思ったらヒノキ花粉もでした、ということらしい。
ボクは幸いまだ発症していないけど、つらい時期がさらに1か月伸びるとなるとねぇ。
確かにヒノキ花粉情報というのも求められているのかも。
スギ花粉とヒノキ花粉は、飛散の時期が少しずれる以外にも違いがあるわけだよね。
粒径はスギ花粉が30~40μm、ヒノキ花粉が28~35μmと、ヒノキの方が一回り小さい感じ。
また、スギ花粉は表面に突起があってとげとげしているのに対し、ヒノキ花粉はのっぺりとしているんだって。
そんな形状の違いで症状も異なると言われていて、スギ花粉が鼻の症状が強く出るのに対し、ヒノキ花粉は目や粘膜の症状が出やすいと言うよ。
とはいえ、アレルギーの症状は個人差が大きいのでそうも一概に言えないのだけど。
どちらも風に乗ると数kmから数十kmも飛ぶらしいので、都心部であっても影響は免れないのだ。
花粉から逃げようと思ったら、沖縄か、小笠原か、北海道か。
結構遠くまで離れないと無理なんだよなぁ。
そもそも花粉症が問題視されるようになったのは症状の原因が特定できるようになったからで、むかしから花粉が飛散する時期に鼻やのどの調子のおかしい人はいた、と言われているのだ。
ただし、その出現頻度はかなりあがっていて、その要因の一つは大気のよごれとも言われているよ。
花粉単独というのではなく、花粉とPM2.5のような大気中の微粒子が一緒に合わさるとアレルギーになる、という考え。
そういう面もあるかもしれないけど、黄砂のような微粒子はむかしから流れていているから、それだけでもないはず。
よくもう一つの要因と言われるのは、スギやヒノキの数が増えたから、というもの。
確かに、戦後の植林では、すぐに使える建材としてスギの植林がすすんだんだよね。
短期間でまっすぐな木材が得られるスギは建材という点では優秀なのだ。
ヒノキは成長に時間がかかるけど、性質的に建材としては最上級のもので需要も多いので植えられていったわけだよね。
これで我が国の人工的に管理している森林の多くがスギやヒノキになっていったわけ・・・。
一方で、伝統的な植林では、スギやヒノキばかり植えていたわけではないのだ。
森林資源として重要だったのは建材ではなく、むしろ薪炭の材料。
化石燃料が主体の今と違って、木炭が重要な燃料だったので、その材料となる木を植えたわけ。
代表的なのはクヌギやコナラ。
そう、どんぐりのなる木だね。
スギやヒノキは実を落とさないので森の動物にとってほとんど恩恵がないんだけど、これらの期は森の生態系を豊かにする効果もあったのだ。
逆に言うと、スギやヒノキを効率的に圧縮して植林すると、動物も寄り付かない「緑の砂漠」になってしまうのだ(>_<)
それに次いで重要だったのがアカマツ。
マツの仲間はまっすぐな木材はとりづらいけど、しなやかで加工しやすいので、梁の材料に使われたりしていたのだ。
かつ、松脂もとれるし、乾燥した松葉は着火剤にも使えるので、非常に便利だったのだ。
しかも、タカなどの猛禽類は枝ぶりから安定的に営巣できるからかアカマツに巣を作ることがおおいらしく、そういう面でも生態系に貢献しているのだ。
確かにスギやヒノキだと鳥が巣を作るのは難しそう。
今では花粉症対策として「花粉の少ないスギ」への植え替えなんてことが行われているけど、生物多様性の確保などの観点を踏まえると、かつての里山管理のような考え方を入れて、いろんな樹種を増えた方がいいんだよなぁ。
それには管理コストがかかるので、ペイするように工夫がいるわけだけど。
ドローンとかを使えば効率的にできるだろうし、もっとまじめに考えないといけない問題かもね。
2025/04/05
炭酸力
スーパーの和菓子コーナーで、聞きなれない商品を見つけたのだ。
その名も「炭酸まんじゅう」。
草大福やら黒糖まんじゅうと一緒に並んでいた、黄色いおまんじゅうだよ。
その時点ではドンパッチでも入っているのか?、と思ったんだけど(笑)
よくよく考えてみたら、生地を発酵させずに重曹(炭酸水素ナトリウム)で皮を作ったのか、と思い至ったのだ。
でも、まんじゅうの皮ってそもそもどうなんだっけ。
まんじゅうの起源は中国。
中華風蒸しパンである「饅頭(マントウ)」や具入りの蒸しパン「包子(パオズ)」だよ。
日本では多くの地域でお米がとれるわけだけど、埼玉や群馬、長野のようなもともと稲作にあまりむいていない地域では代わりに小麦が栽培されていたし、温暖な吸収や四国は二毛作の裏作で小麦を作っていたんだよね。
その関係で日本でも小麦食の伝統があるわけだけど、そこに食い込んだのだ。
まんじゅうの場合、実は大陸から二系統が伝わってきていて、酒種を使って生地を発酵させる「酒まんじゅう」と発酵させずに重曹で生地をふっくらさせる「利休まんじゅう」の二つだよ。
酒まんじゅうの方が本場のものに近いけど、発酵させるのには温度管理が必要だし、時間もかかるので、重曹を使って簡単にふっくらした皮が作れるのはありがたいわけだよね。
炭酸まんじゅうがまさにそれで、別名を「田舎まんじゅう」と言うんだけど、それはまさに田舎で自分で作って自分で食べるようなまんじゅうだから、ということなのだ。
「利休まんじゅう」は、お茶文化と一緒に発達した薄皮まんじゅうだけど、これは作るのに技術がいるんだよね。
薄い皮であんこを包むのが難しいのだ。
なので、大福のように小麦粉を練って作った生地にあんこを入れて蒸すだけの田舎まんじゅうは皮があついのだま、田舎で食事として食べるものならその方がいいしね。
で、蒸さずに囲炉裏の灰の中で焼くと長野の名物「おやき」になるよ。
ちなみに、上州名物焼きまんじゅうはぐなしの酒まんじゅうを焼くらしい。
実は手間がかかっているみたいなんだけど、これは江戸末期に店で売る商品として開発されたものだから。
埼玉や群馬では小麦食がさかんで、うどんやらまんじゅうやらすいとんやらをよく食事として食べていたらしいので、まんじゅうを作っておいて冷たく硬くなったやつを焼いて食べていた、みたいなのが下地にあったんじゃないかとは思うけど。
この炭酸まんじゅうの特徴は、重曹の効果により皮が黄色くなっていて、少し苦みがあること。
重曹を加熱すると二酸化炭素が発生し、それによって生地がふんわりするわけだけど、二酸化炭素が抜けた後には水産間トリウムが残るんだよね。
これが苦みの原因だけど、市販されているベーキングパウダーの場合は中和剤も入っているので、この苦みが出ないように工夫されているのだ。
黄色い色も水酸化ナトリウムの効果で、小麦粉中に少しだけ存在しているフラボノイド色素が塩基性課で黄色く発色するから。
これはうどんは白いのにかん水(塩基性)を入れあ中華麺は黄色くなるのと同じ。
さらに、塩基性課ではグルテンの結合が強化されるので、ぷりぷりとした歯ごたえが出てくるのだ。
これがうどんと中華麺の弾力の違いなんだけど、実は、乾麺のパスタをゆでるときに少し重曹を入れると中華麺のような食感になるんだよね。
なので、生地を練る段階でなく、ゆでる段階でも作用するようなものなのだ。
今売られているような田舎まんじゅうは、小麦粉と砂糖を混ぜて水で練って重曹を加えてあんこを包んで蒸す、という工程。
そう、あんこのあるなしはあるけど、ほぼほぼ蒸しパンと同じなのだ。
あんこを包んだ蒸しパンと言っても過言ではないね。
ちなみに、あんこを入れる代わりにゆでたサツマイモをサイコロ状に切ったものを混ぜてから成形して蒸せば鬼まんじゅう。
戦前から食べられているとまんじゅうで、戦後になって食べられるようになると蒸しパンという名前になっているのかもしれないなぁ。