2026/02/07

貴重な土

 海洋研究開発機構(JAMSTEC)が内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)で南鳥島海域の海底のレアアースを含む泥の引き揚げに成功したことが大きく報道されているのだ。
なぜか松本文科相は報道発表はこれからなんですが、と先にXに投稿しているんだよね・・・。
これって本当は勇み足?
喜ばしい成果だけど、世界の供給量の大部分を担う中国が輸出規制をかけていることもあり、特に注目度が高まっているんだよね。
でも、こういうのをあまり報道すると妨害されるんじゃないか、という慎重な意見も出ていて、実際に近傍の公海上に中国籍の船がいた、なんて話も報道されていたような。

レアアースというのは、希土類元素のことで(これかなり直訳だよね)、第3族第4周期のスカンジウム(Sc)、同じく第3族の第5周期のイットリウム(Y)、及び、その下の第6周期のランタノイドの17元素のこと。
ランタノイドは、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)の15の元素。
長周期表で別表のように下にはみ出ているやつね。
さらにその下のアクチノイドは含まれないのだ。

スカンジウムはちょっと性質が異なるみたいだけど、これらの元素はみな似たような性質を示すためにそれぞれ混ざった状態で採掘されるんだけど、非常に分離が難しいらしいのだ。
量的にはかなりの量があるようなんだけど、単元素で取り出すのが難しいので「レア(=希)」なのだ。
で、このレアアースが鉱物資源として重要なのは、蓄電池や発光ダイオード、強磁石などのエレクトロニクス製品に不可欠な材料になっていること。
なので、特定の国に依存度が高いことが前から問題視されていたし、以前にも中国は輸出量を絞ったことがあって、その時も混乱したんだよね。
そういう性質から、「産業のビタミン」とも呼ばれるのだ。
で、経済安全保障の観点から、供給源の多角化に向け、日米欧なんかで話をしているというわけ。

でも、実は昔は日本や米国でも精錬していたんだよね。
なぜそれが中国一強になったのかというと、精錬の過程で放射性廃棄物が大量に出るから。
レアアースは互いに制つが似ていて混ざって功績になっていると書いたけど、マグマが冷え蒲田待って鉱石ができていく過程で、ここにトリウムやウランのような放射性元素も混ざってくるようなのだ。
現在知られている陸上鉱山の場合はほぼ確実にこれで、精錬するとこういう放射性元素が廃棄物の中に入っているわけ。
で、先進国は安い労働力と環境面への影響をものともしなかった中国に精錬を任せるようになっていったわけなのだ。
それを見直さなくちゃいけないわけ。

では、その依存度を下げるにはどうするか?
日本では3つの方法で取り組んできているのだ。
ひとつは資源の再利用。
「都市鉱山」と言われているけど、廃棄された電子部品からレアアースを改修し、再度資源として活用する、というストレートなもの。
でも、これが難しくって、天然鉱石から精錬するのも大変なくらいで、こっちもかなり高コストになるみたい。
電子部品については金なんかの貴金属も使われているんだけど、これも回収にコストがかかるので再利用はあまりされていないわけで・・・。
背に腹は代えられない、くらいまでいかないと採算面で難しいとされてきたのだ。
基本技術はあるみたいなので、低コスト化を目指すんだろうけど。

二つ目は、そもそもレアアースを使わずに施産ませられないか、という考え方。
レアアーズは「不純物」としてごく少量混ざることで材料の性質を変えているので、それを原子レベルの欠陥制御でなんとかできないか、というもの。
これもかなりのところまでできるみたいなんだけど、ナノテクを駆使して制御するわけで、製造技術として使うにはまだまだ進歩が必要なのだ。

で、最後はもっとも単純な、新たな「鉱山」の開発。
以前に中国がレアアースの輸出量を制限したときは、日本の商社がモンゴルの鉱山の権利を取り付けてきたりもしたんだけど・・・。
精錬のところで中国に大きく依存しているので、あまりうまくいってはいないのだ。
なので、今は米豪が共同で精錬場をせいびしようとしていたりするんだよね。
陸上鉱山の問題が顕在化してきたところで、どうも南鳥島近海の5,000~6,000の深さの海底の泥にはレアアースが多く含まれているらしい、ということがわかり、それを掘りに行くことにしたのが冒頭に出てきた内閣府のプロジェクト。
よくよく調べてみると、陸上さんの功績とは組成も異なっていて、放射性元素をほとんど含まないものなので、廃棄物の心配はなさそうなのだ。
独自の精錬プロセスも検討しているようなので、本土から2,000km弱はなれた深海底かあ泥を引き上げ、その中にb量に含まれるレアアースを精錬する、という一連の行程のコストをどこまで効率化できるのかがカギになるよ。

すでに経済安全保障担当で、本件プロジェクトの担当でもある小野田大臣は、経済効率性からの産業としての成立性だけでなく、安全h症という観点も含めて考えるべき、との見解を示していて、許容範囲の「割高」であればレアアースの供給源として考え得る、ということになっているよ。
いずれにせよ、世界初の成果というのはうれしいよね。