総統閣下の飲み物
以前、ファンタは第二次大戦中に帰化・コーラが手に入らなくなったナチス・ドイツで開発された、という話を耳にしたことがあったのだ。
ということは、ロシアの偽マクドナルドのようなものか、と勝手に思っていたんだけど、実際はそうではないらしい。
あくまでも、コカ・コーラ社の製品なのだ。
米国本社ではなく、ドイツ法人が開発したということだけど。
ドイツにおいてコカ・コーラ社が現地法人を設立してコカ・コーラを販売し始めたのは、第一次大戦の復興から立ち上がりきっていない大不況下の1929年。
ところが、その後ドイツではナチス・ドイツ政権下で経済が復興し、コカ・コーラの売り上げも大きく伸びていて、甘い炭酸飲料がかなり浸透していたbだよね。
ところが、第二次大戦が勃発すると米国との貿易には制限が出てきてしまって、コカ・コーラの原液が輸入できなくなってしまったのだ!
よく知られていることだけど、この現役のレシピは門外不出としてごくごく少数の限られた人たちの間でだけ伝承されるものなので、ドイツ法人においそれと渡せるようなものではないわけで。
そこで、国内で手に入る原料を使って何か新しい商品ができないか、と開発が始まったのだ。
そうして出来上がったのが「ファンタ」。
ただし、この戦前ドイツのファンタは今のものとはまったくの別物。
リンゴジャム製造時の残渣と乳製品製造時の副産物の乳性などを原料にしたもので、果汁入りオレンジジュースとコーラとレモンジュースを混ぜたような味わいだったらしい。
代用品として開発されたことを考えるとそんなものかも、とは思うけど。
とはいえ、戦時下のドイツ国内で広く受け入れられ、戦後の1949年にコカ・コーラの原液の輸入が再開されるまで、コカ・コーラ社のドイツ法人の主力商品だったらしい。
戦時下ではビタミンCとカフェインが添加され、粉末状にされた「ファンタ」がレーションに採用されていたらしい。
帝国陸軍の糧食が米(終戦直前はアルファ化米)又は乾パンと大和煮などの缶詰だったというから、ずいぶんとおしゃれだよね。
でも、イタリアはデザート、フランスはワイン、イギリスは紅茶とクッキー、米国はチョコレートまで入っていたというし、日本だけが貧弱なのかもしれないけど・・・。
ちなみに、今のファンタが普及してからも当時の味を懐かしむ声があって、「シュペツィ」という名称の飲料として残されたらしいよ。
ネットで調べる限りは今でもありそうだ。
で、次の問題は、今の「ファンタ」がどこから来たか。
これは、1955年にイタリア・ナポリで開発されたものだって。
イタリアのコカ・コーラのボトラー(原液を輸入してコカ・コーラの製品を作って流通・販売する会社)がオレンジ果汁を配合した炭酸飲料を開発し、先行してドイツで販売されていた飲料から名前だけもらったんだって。
これがファンタ・オレンジの最初と考えられているよ。
以降、糖分、果汁、フレーバーや着色料を配合し、炭酸で割ったコカ・コーラブランドの炭酸飲料が「ファンタ」になったのだ。
各国で使える原料が異なるので、国ごとの味になっているらしいよ。
そういえば、最初に米国出張に行ったときに飲んでみたファンタ・オレンジは日本のものより薬臭くてびっくりしたっけ。
ちなみに、スプライトは、当時米国ではやり始めたレモンライム風味の炭酸飲料のセブンアップに対抗するため、米国のコカ・コーラ本社がドイツで販売されていたファンタのクリアレモン味をもとにして開発したもので、源流はファンタらしい。
で、日本国内のファンタといえば、オレンジとグレープを主軸に様々なフレーバーが展開されているけど、都市伝説として知られているのが「ゴールデンアップル」。
1970年代にそういうフレーバーがあったという話が出てくるんだけど、日本コカ¥コーラからは正式に否定されていて、かつて「ゴールデングレープ」は販売していたけど、「ゴールデンアップル」は販売した記録がない、としているのだ。
なのに、公式記録に残っていないだけで販売していたという記憶を持っている人がいる、販売会社の方でもそのような商品を扱っていたと聞いたことがある、なんて声が今でもあるらしい。
まさに「伝聞調」なところが都市伝説そのものなんだけど・・・。
そして、商魂たくましい日本コカ・コーラは、2002年に新フレーバーとして「ゴールデンアップル」を販売したらしいよ。
それはなんか見た記憶がある。