上陸とは海から陸地に上がるということです
秋の連休が台風の影響ですごいことになりそうな中、ネットで面白いものをみつけたのだ。
1951年以降の気象庁のデータをもとに、台風が上陸したことのある都道府県に色を付けた地図。
ぱっと見でわかるんだけど、すごく不思議なんだよね。
まず、沖縄に色がついていない。
なのに、福井や広島には色がついている・・・。
記事の中にも解説が少しついているけど、その原因は気象庁における「台風の上陸」の定義なのだ。
気象庁では「台風の中心が北海道・本州・四国・九州の海岸に達した場合」を「上陸」と言っているんだよね。
ポイントは、日本列島のうち大きな4島に限られていること。
そもそも沖縄には「上陸」という概念は決してはまらないのだ。
代わりに、「台風の中心が、小さい島や小さい半島を横切って、短時間で再び海上に出る場合」は「通過」と言っていて、沖縄はよく「台風の通過」があるところ、ということだよ。
で、よくよくこの地図を見ていると、東京都も白いのだ。
伊豆七島やら小笠原はけっこう台風被害があるような気がしていたけど、こちらは「通過」はあっても「上陸」はないんだよね。
東京都に台風が上陸しようとする場合、他の県の海岸線に接しないように東京湾に入り込んだうえで、ごくごく限られた東京湾の海岸線(大田区、品川区、港区、中央区、江東区及び江戸川区)から陸地に入らなければいけないのだ。
区の数でいえば多いけど、東京湾の左上のさらに入り組んだところなので、普通はその手前の三浦半島あたりで神奈川に上陸してしまうか、南から東京湾に入って千葉の房総半島に上陸して東進して太平洋に抜けるかしてしまうわけだ。
理論上ないとは言えないけど、これはまず無理だね。
では、なぜ福井に上陸しているのか。
これは2010年9月の台風8号らしいんだけど、朝鮮半島と九州・本州の間をうまくぬけて日本海に入り込んだ台風が来るっと向きを変えて敦賀から陸地に入ったらしいのだ。
これは観測史上初で、以降もないらしいので、非常にレアなケース。
同様に、広島にも過去3回上陸しているんだけど、直近は2019年の台風10号で、九州・四国の間をうまく(?)縫って呉から陸地に入ったらしいのだ。
同じように、けっこう特殊なルートを通ったものとしては、宮城や秋田、兵庫への上陸もあるよ。
※この地図は「再上陸を含まず」なので最初に陸地に入ったところだけをカウントしているので、これらの県に上陸するのは珍しいのだ。
意外なのは福岡で、台風へけっこう来ているイメージはあるけど、上陸は1回のみ。
これもいったん日本海の方に入ってから南に進路を変えない限り福岡から上陸にはならないから。
さらに、今年初上陸となったのは茨城。
これはニュースでも話題になったよね。
茨城からりくちにはいろうとするとかなり大きく方向転換しないといけないので、いままではなかったのだ。
もう少し大回りになると、宮城とか岩手に上陸、ということになるんだよね。
よくある多雨風の進路だと日本の真南あたりで発生し、フィリピンの方をまわって時計回りに大きく弧を描いて日本に接近してくるわけど、その場合は東海地方や千葉に上陸してしまうのだ。
今年の台風15号はフィリピンの方には進まず、そのまま日本の方に接近してきて、茨城にワンタッチして東に進路を変えるみたいな進路をとっていて、うまいこと千葉には触れず、茨城に上陸したみたいなのだ。
確かに、いつもの進路コースを東にシフトすればそういう弧になるけど、これは狙ってもなかなかできなさそうなコースだ(笑)
そして、最初の定義に戻るのだけど、そもそも海岸線を持っていないと絶対に上陸はないのだ。
なので、長野、岐阜、滋賀、奈良、栃木、群馬、埼玉のような内陸県(海なし県)には上陸しないよ。
上陸はないけど、不通に台風は通っていくから被害はあるのだけどね。
そういう意味では、この地図は面白いけど、「上陸」という言葉に大きく振り回されているので、よくよくわかってないと誤解がありそうだ。
台風の被害とはあんまり関係ないからね。