2011/06/18

やんのか、やらへんのか、どっちやねん?

退陣表明をしたと思われた総理はまだしばらく居座るつもりみたいだね。
それもあって、今やっている通常国会の会期を延長するとかしないとかでもめている、というニュースが盛んに流れているのだ。
でもでも、一般国民からすると「会期の延長ってそもそも何?」っていうのが正直なところだよね(笑)
そこで、ちょろっと調べてみたのだ。

国会の会期については衆議院のHPの説明がわかりやすいよ。
って、それだけじゃ終わっちゃうので、少し解説すると、常に開催することが決まっているのが「常会」とも言われる「通常国会」。
国会法第2条では、「常会は、毎年一月中に召集するのを常例とする」とあるので、通常は1月中に招集されるのだ。
通常国会の会期は150日間と決められていて(途中で衆議院が任期満了となる場合はその日まで)、1回だけ延長できるんだ。
現在も通常国会の最中で、それがほうっておくと6月22日で会期末となるので、延長するしないという話題になっているわけ。

通例秋に招集されているのが「臨時会」こと「臨時国会」。
これは内閣が求めた場合、いずれかの議院に所属する総議員の1/4以上の要求があった場合、任期満了後の衆議院総選挙後又は参議院通常選挙後の場合に招集されるのだ。
「特別会」こと「特別国会」は解散後の衆議院総選挙の後に開かれるよ。
二つともその会期(開いている期間)は両議員の一致の議決で定めることになっていて(国会法第11条)、衆参で異なる議決となった場合は衆院の議決が優先するんだ(国会法第13条)。
で、この臨時会と特別会は2回まで延長ができるんだ。
特別会は解散総選挙後のみだけど、臨時会は普通は9月~12月にかけて開いているのだ。
常会を延長したり、臨時会を早めに開いたりしてほぼ1年中国会を開いている状態を「通年国会」と呼んでいるよ。
「震災対応は通年国会で対応」なんてことを言っている人もいるよね。

会期の延長を定めているのは国会法第12条で、その第1項では、両議員の一致の議決をもって延長することができると規定しているんだけど、さっきと同じで、第13条により、衆参で異なる議決となった場合は衆院の議決で決まるのだ。
なので、「ねじれ国会」でも衆院の議決だけで延長自体は可能なわけ。
ところが、そうやって無理に延長をすると野党が審議拒否をするおそれがあって、そうなると延長した意味がなくなるので、普通は与野党で合意してから延長するのだ。
その調整でもめているのが今の状況。
ただし、日本国憲法で定められた衆議院議決の優越を使って時間稼ぎをしたいときは無理やり延長することもあるんだよね(予算は衆院が参院に送ってから30日以内に議決しない場合は衆院の議決で決まるし、法案も衆院から参院に送られてから60日以内に議決しないと否決したものと見なされて、衆院の2/3以上の賛成で再可決で成立させることが可能なのだ。)。

これで延長問題が本質が何となく見えてきたけど、今回与党が会期延長をしたいのはいくつかの法案を成立させるためなので、やっぱり野党の協力がないときついんだよね。
一方、震災対応があるのに審議拒否をするとなると野党が責められるおそれもあって、野党も慎重なのだ。
そこにつけこんでけっこう与党が強引に延長を持ちかけているのもあるんだろうけどね。
で、例えば報道されているように90日延長すると9月下旬までになって、総理が言っている震災対応の三次補正までなんとかなりそう、ということになるのだ・・・。
とりあえず、今変性指示が出ている二次補正(1.5次補正?)を通すためには、多少は延長しないといけないのは確かなのだ。
どうなるかわからないけどね。

ちなみに、退陣を表明していて執行をしないであろう内閣が次の補正予算を編成して国会に提出するのはおかしい、というのは正論だけど、延長をいやがっているのは他にも大きな理由があるのだ。
それは「内閣不信任案」の提出問題。
これは国会法等で定められているものではなく、言わば「不文律」のルールなんだけど、「一事不再議」の原則というのがあるのだ。
同一会期中に同じ議案を再び審議しない、というもの。
すなわち、一度不信任案を出してしまって否決されているので、このルールを守る限りは、次の臨時会以降でないと再び不信任案が出せない、となるのだ。
法的拘束力のない参議院の問責決議なら出せるし、可決もできるけど、無視を決め込む可能性があるんだよね・・・。
通常はそれに対して審議拒否をすることで対抗するんだけど、やっぱり震災対応で大事な時期に、と批判されるので、この手も使いづらいのだ。
なので、会期延長に慎重にならざるを得ないわけ。

というわけで、今回は今般の政局を解説してみたのだ。
なんだか池上なんちゃらさんになったみたいだね(笑)
でも、法律のこととか、国会のルールなどの背景情報を知ってからニュースに接すると、よくわかっておもしろいよ♪

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