2012/10/20

正しく使おう!

山中教授のノーベル生理学・医学賞受賞のすぐ後で、大問題が発生したのだ。
そう、iPS細胞研究の臨床研究に関するねつ造疑惑・・・。
まだ調査中というのが公式スタンスなんだろうけど、限りなく黒に近いグレーだよね。
本人はウソをついているうちに、自分でも本当だと信じ始めちゃっているのかな?
前には韓国の研究者がES細胞でねつ造した事件があったけど、そのときは世界中でES細胞研究が止まる事態にもなったんだよねorz
今回は断罪すべきところは断罪するとして、そういう「伸び盛り」の分野に負の影響を及ぼすことがなければいいけど。

で、この人、社会的制裁はあるとして、研究者としては他にもペナルティがあるのだ。
というのも、国から研究費をもらっていたんだよね。
虚偽申請で研究費を獲得していたり、研究費の成果として虚偽の実績報告をしていると処罰の対象になるのだ(>o<)
例えば、国の研究費のほとんどを持っている文部科学省では、研究活動の不正行為についてガイドラインをまとめているんだよね。
よく話題になるのは研究費の不正使用で、空出張やら預け金やら横領やら、信じられないような話が出てくるけど、それは研究費の使い方の話なのでこのガイドラインの対象外。
むしろ、今回のようなねつ造・でっち上げ、盗用・ぱくりなんかも対象だよ。

研究費の使い方の方は、基本的に個別の制度ごとに会計・経理の仕方が違うので、それぞれで定めているんだ。
ただし、結果的に正しくない使われ方をしていたとしても、「故意」と「過失」があるので、切り分けるのが普通なのだ。
例えば、研究費の使用については、知らずにやってしまった、或いは、手続き上のミスがあった場合で結果的に研究費が正しく使われなかったものについては「不適正経理」という扱いにあるんだよね。
悪意を持って研究費を不正に使う「不正使用」とは峻別しているのだ。
当然過失でも許されない部分があるのでペナルティはかかるわけだけど、故意のものに比べれば相対的に軽くなるのだ。

今回は文部科学省の科研費をもらっていたようだけど、科研費の場合は「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」の対象になるので、法令による罰則も適用される可能性があるのだ。
不正な手段により補助金の交付を受けた場合は罰金だけでなく懲役刑もあるんだよ!
「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律施行令」で対象となる国の補助金や委託費が定められていて、その経費についてはこの法律が適用されるのだ。
科研費もその一つだよ。
で、不正などがあった場合は、第17条の規定で「交付決定の取消」が行えることになっていて、さらに、その次の第18条でその場合に「補助金等の返還」を求めることができるようになっているんだ。
今回は事実関係を調査した上で、不正行為が認められれば、交付されていた科研費の一部又は全部の返還が求められることになるよ。

具体的な手続については、科研費の交付要綱科研費取扱規程に定められているよ。
交付要綱は適正化法とあまり変わらない表現ぶりだけど、重要なのは取扱規程。
不正行為が発覚した場合、ペナルティとして以降2~5年間は科研費が申請できなくなるのだ。
いわゆる「みそぎ」だね。
取扱規程の細則で、不正行為の内容に従って定めるけど、規定ぶりはあいまいなので、個別に判断しているみたい。

ちなみに、文部科学省の場合は、「水平展開」ということで、科研費で不正行為をした研究者は、他の文部科学省の研究費をもらえないルールになっているそうだよ。
その期間にもよるけど、研究者としての生命線である研究費が止められることになるので、相当つらいよね・・・。
ま、それだけのことをしてしまった、ということだけど。
今回のように大々的に報道されずとも、そういう制裁は受けることになるのだ。

さすがに今回の人はもう研究者としてはやっていけないだろうね。
一時の過ちでで一生がダメになってしまうのだ(ToT)
国民の税金を使っているということを意識して、正しく使ってほしいね!

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