小学校で習ったことを活かそう
特に年末の大掃除の時期が多いけど、あの汚れがこんなにすっきり、みたいなお掃除テクニックって情報番組の定番だよね。
実際に反響があったり、需要もあるからやっているんだろうけど。
でも、たいていはほぼ同じ話で、使い回している感じ。
身近にあるもので簡単に、なんて厳しい制約を書けたら、それはそうなるよね(笑)
で、その中でもよく出てくるのが、石灰化した水垢落とし。
よく紹介されるのは2通りで、ひとつはキッチンまわりで、急須や電気ケトル、マグカップなどに付着している石灰化した水垢。
これは普通に洗剤で洗っただけではなかなか落ちなくて、かといって、クレンザーで無理矢理削り落とすと傷がつく。
なんとかきれいに落とせないか、みたいな。
もうひとてゃ、お風呂場の水垢。
こっちは鏡や浴槽、風呂桶などなど。
やっぱり無理矢理削ると傷がついちゃうので、ということなんだよね。
まず前者のキッチンまわりの水垢から。
これは水の中に含まれるカルシウムが炭酸カルシウムとして結晶化して沈着するのが主な原因。
日本の水道水は軟水だからそこまでじゃないけど、欧米のような水道水が硬水の地域ではすぐに白い結晶がこびりつくのだ。
でも、さすがになれているだけあって対応も手慣れたもの。
炭酸カルシウムは酸には溶けるので、お酢で洗うんだよね。
そうするととれるのはとれるのだけど、においも残ってしまう・・・。
日本のテレビなんかで紹介される場合は、お酢でやる、というのもあるけど、多くの場合は薬局・薬店で簡単に手に入るクエン酸を使うもの。
クエン酸は炭酸カルシウムをよく溶かすことで知られているのだ。
そのプロセスで炭酸ガス(二酸化炭素)が発生するので、よく見るとシュワシュワ泡立っているよ。
石灰岩が酸性雨でぼろぼろになるけど、これは酸性の雨水中に石灰岩の主成分である炭酸カルシウムが溶け出してしまうから。
これと同じことをしているのだ。
実は小学校で習った知識が使えるんだよね。
さらに、別の小学校の理科の知識も使えるよ。
炭酸カルシウム(CaCO3)は水に溶けないけど、炭酸水素カルシウム(Ca(HCO3)2)は水によく溶けるのだ。
これは二酸化炭素の検出の時に使う石灰水の実験を思い出してもらうとよいのだけど、消石灰(Ca(OH)2)の飽和水溶液である石灰水に二酸化炭素を通じると、炭酸カルシウムができて析出して白濁するんだけど、さらに二酸化炭素を入れ続けるとそれが炭酸水素カルシウムになってしまうので再び透明に戻るのだ。
つまり、これと同じ現象を起こせばよいわけ。
すなわち、余計なものが入っていない炭酸水を買ってきて、それで洗ってやればよいのだ。電気ケトルなんかはウィルキンソンの強炭酸を買ってきて中に入れてシェイクしてからしばらく放置すればかなり落ちるよ。
これだとにおいも味もないので、かるく水ですすげばまたすぐ使えるのだ。
問題は、後者の風呂場まわり。
こっちもかたまっているのは炭酸カルシウムなんだけど、そこに余計なものが入っているのだ。
それはいわゆる石けんかす。
これは皮脂汚れが石けんや洗剤のような界面活性剤で水の中に溶け出した後、その水の中にあるカルシウムなどのミネラル分の陽イオンとくっついて水に不溶なものになってできるのだ。
よくある石けんは脂肪酸カリウムで、これはよく水に溶けるのだけど、これが脂肪酸カルシウムになるととたんに水に溶けなくなるのだ。
これは金属石けんと呼ばれるものだよ。
それが炭酸カルシウムの結晶に巻き込まれて一緒に固まると風呂場の水垢になるわけ。
このふたつだけなら酸に溶かせるんだけど、お風呂場の場合は、ここにそのままの皮脂汚れがさらに混ざり込むんだよね。
カルシウム塩は酸で除去できるけど、皮脂汚れはもともと酸性物質なので酸には溶けない・・・。
そこで出てくるのが、重曹(炭酸水素ナトリウム)とのツープラトン攻撃。
通常は、まず重曹で皮脂汚れを浮かび上がらせて取り除く。
その後に残ったカルシウム塩の水垢をクエン酸などで取り除く、という二段階だよ。
浴槽であれば、水を抜く前のあたたかいお湯に重曹を溶かして冷めるまで放置。
こうすることで皮脂汚れは浮いていて簡単に除けるので、その上でさんを使って凝り固まった水垢を除去。という感じ。
鏡なんかの場合は、キッチンシートに重曹水をしみこませてしばらくはりつけておいて、その後酸で洗うとよいよ。
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