福を呼び込む漬け物?
お正月と言えばお節料理。
そして、最近では見なくなったけど、「おせちもいいけどカレーもね」ということで、お節料理やお雑煮に飽きてくるとカレーなんかの味の変わったものが食べたくなるのだ。
そろそろそんな頃合いだよね(笑)
カレーと言えば外せないのが福神漬け。
なんだか縁起のよい名前だし、お正月に食べるにはもってこいの付け合わせかな?
この福神漬け、一般には7種類の野菜を漬け込んでいるので七福神にあやかって名付けられているのだ。
オーソドックスなものとして、(1)ダイコン、(2)ナス、(3)カブ、(4)レンコン、(5)ウリ、(6)シソの実、(7)ナタマメの7種類なんだけど、他にもショウガやキュウリ、ゴマ、ゴボウ、ニンジンなどなどいろいろな野菜が入ることがあるのだ。
多くの種類の野菜を少し甘めの醤油だれで漬け込んだ発酵していない漬け物の総称なんだよね。
かつては色素も入れてきれいに赤くしたこともあったけど、今では自然の色の茶色のままのものが増えているよね。
ボクなんかはどちらかというと茶色い方がおいしく見えるのだ。
この中で気になるのはナタマメだよね。
ちょっと固い、十字状のさやの輪切りがそれ。
今では福神漬けに入っているものくらいしか見ないけど、熱帯のアジア又はアフリカの原産で、清経由で江戸時代に渡来したものだって。
食用としてだけでなく、薬用や健康茶にも使われ、今ではむしろそっちが注目されているみたい。
独特の食感があるので、漬け物や炒め物に使われてきているらしいよ。
今度食べるときはちょっと注意して探してみるとおもしろいかも。
この福神漬け、歴史はそんなに深くなくて、考案されたのは明治時代。
今でも上野にある酒悦の15代野田清右衛門さんが考案したというのだ。
この人は新しい商品を作るのに長けた人で、幕末にはのりの佃煮も発明したんだとか。
かつてはのりの佃煮と福神漬けが酒悦の二枚看板だったのだ!
江戸時代までは発酵させない漬け物は塩漬けくらいしかなかったようで、どうしても醤油漬けを作りたかったのだとか。
(ぬか漬けや味噌漬けは発酵させているのだ。同じく茶色い奈良漬けは酒粕に漬け込んだものだよ。)
試行錯誤の結果、明治10年頃になって、醤油にみりんを加えた少し甘みのあるたれに上野近郊でとれた野菜を漬け込む福神漬けが完成したんだって。
このときに七福神にちなんで「福神漬」としたんだけど、酒悦の近くの不忍池には弁財天があるのと、この福神漬けは大変美味で他におかずがいらないからお金が貯まるというのをかけたそうだよ。
この名前を考案したのは流行作家の梅亭金鵞さん。
今でも通用しているんだからしゃれた名前だよね。
発売当初から好評だったんだけど、福神漬けが一気に全国区に躍り出たのは日清・日露の両戦争で兵隊さんの携帯食に採用されてからなんだって。
当時の携帯食ではおかずなんてほとんど持って行けないから、福神漬けは貴重でとてもおいしく感じたようなのだ。
「福神漬」という名称は酒悦の登録商標だったんだけど、これで一気に類似商品が全国に出回ることになったのだ。
さらに、明治も後半になると、日本郵船の欧州航路の一等客席の食事のカレーの付け合わせに採用されたのだ(大正時代説あり。また、帝国ホテルや資生堂パーラーが最初に付け合わせに採用したという説もあるみたい。)。
本場インドのカレーのチャツネにヒントを得て、少し甘みのある福神漬けが選ばれたみたい(この理由はらっきょうの甘酢漬けも一緒だろうね。)。
すると、これも一気に広がり、カレーの付け合わせには福神漬けが定番となっていくのだ。
さらに時代が下って戦後になると、日本の一般家庭にカレーが広まるのだ。
それまでは「ハイカラ」な料理だったカレーを、従軍していた人たちが家庭に持ち込んだからだよ。
軍隊で食べたのがおいしくて、家庭でも、ということになったのだ。
で、当然福神漬けとの組み合わせも家庭にも広がっていくことに。
逆に今では福神漬けはカレーの付け合わせでしか見なくなってしまったけどね・・・。
ネットで調べてみると福神漬けはわりと簡単に家でも作れそう。
自然派志向の人が多いから自分で作っているのかも。
塩漬け又は醤油漬けした細かく切った野菜をみりんや砂糖で甘みを漬けた醤油だれに漬け込むだけ。
ただ漬け込む場合と、一度煮てから冷ます場合があるようだけど、仕上がりのしゃきしゃき感とかが変わってくるのかな?
また、上野には今でも酒悦があるので、そこで元祖の福神漬けを買ってもよいね。
通販でも缶入りのものなどが売っているようなので、上野に行けない人でも帰るのだ!
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