2011/01/22

みなさまお誘い合わせの上・・・

お正月のおせちでにわかに注目を集めた共同購入型クーポン。
ネットなんかに載っている情報だとトラブルも多いみたいだけど、うまく賢く使えば得するということで利用者も多いのだ。
通信販売と一緒で、「見極める」力がいるのかもね。
で、この手法って、よくよく考えてみると、いわゆる団体割引や大量購入の割引と同じなんだよね。
一定規模での物品又はサービスの購入をすることで、一部の利益を還元してもらう仕組みなのだ。

一般には、永遠に在庫を抱えきれないし、サービスの提供には一定以上の人数が必要なので、コストにおける原価計算にはマージンが含まれるんだよね。
商品だったらすべてを売り切れるわけではないので、どれくらい在庫を抱えるかを考えて売れなかった場合のリスクをあらかじめコストに載せておかないといけないのだ。
サービスの場合も、一人でもサービスを受けたい人がいれば提供しないといけないから、どうしてもサービスの提供者の手が空いている時間(アイドルタイム)ができてしまうんだけど、その間も人件費は発生しているわけで、サービス提供の非効率性をリスクとしてコストに載せておく必要があるのだ。
電車だったら乗車率だし、映画館だったら空席率なんかがその指標だよね。

で、大量購入する場合、その在庫リスクをおさえることができるので、その分を利益還元して割引に使うというわけ。
米国から来たコストコのような一気に大量にものを売るスーパーや、10個買うと1個無料でついてくるなんていうキャンペーンがそれだよね。
生協(生活協同組合)なんかは組合員が一緒になって購入することで大口購入者となって価格交渉力を上げるとともに、大量に仕入れるので仕入れ価格がおさえられるので、組合員が買うときにその分が価格に還元されるのだ。
家電量販店の場合は、メーカーから大量に商品を買うことで仕入れ価格をおさえているんだけど、こっちはリスクをとって商売をしているだけで、一気に売り切らなくちゃいけないんだよね。
街の電気屋さんに比べれば多くの商品が売れるからよいのだろうけど。
端的なのは共同購入で、注文が入った分だけ仕入れればよいのでリスクを見込まなくてよくなるんだけど、当然仕入れるときにある程度の量を注文しないといけないので、共同購入する仲間を増やさないといけないんだよね。

サービスの場合もそうで、電車の団体割引なんかは想定されている乗車率を超えて多くの人が利用するので、リスクとして想定していた分を還元できるのだ。
これは博物館や美術館、映画館なんかでも同じだよね。
団体が来たときだけ開館する展示施設や、希望者が一定規模以上になると好きな映画を上映してくれる映画館のようなサービスも言わば共同購入なのだ。
ただし、厳密にどれだけサービス提供の効率性が上がるかなんて評価できないので、実際には50円引きとか100円引きとか均一的な割引が多いのだ。
でも、そういう割引を設定することにより、団体で利用した方がお得なので、団体の利用が増えるというわけ。
そうすると自然とサービスの提供の効率性が上がり、利益率もよくなるのだ。

で、これを利用したのがグルーポンをはじめとする共同購入型クーポンなのだ。
大量に物品なりサービスが消費される仕組みとして、はじめから存在している団体を対象にするのではなくて、任意で集まってもらうわけ。
お店の側からすれば、安定的に消費されることが確実ならリスクは下げられるわけで、その分安く提供できるようになるんだ。
必ずしも安くする必要はないわけだけど(笑)、価格競争力は出るよね。
物品の場合は在庫を抱えなければ常に新鮮なもの、流行のものを売ることができるし、サービスの場合も効率的な人員配置で人件費が抑えられるよ。
ぐるなびとかホットペッパーのクーポンでも何名様以上なら幹事様無料なんてのがあるのもこれなのだ。

これだけだと、大勢お客が集まればよいだけなので、乗り合いバスとか、最少催行人数が決まったパック旅行、お米や野菜の共同購入と同じなのだ。
でも、グルーポンなどが画期的なのは、ここにフラッシュ・マーケティングと呼ばれる手法を組み込んだこと。
人数や申込時間に制限を設けて、その条件がクリアされたときのみクーポンが利用できるようになるんだ。
これのねらいは、一時的なクーポンなのでお店側の協力が得られやすいことと、条件をクリアするためにクーポンをほしい人たちが短時間で情報を広めてくれること。
最近口コミという宣伝媒体が注目を集めていて、ブログやツイッターで宣伝してくれたら広告費を払います、なんてのもあるけど、その広告費を払う代わりにクーポンで還元するのだ。
自主的にどんどん広めてくれるというところがポイントだよね。
書かされているよりは自分で書きたいと思っている方が心がこもるだろうし。

この共同購入型クーポンの場合、回避できた分のリスクに相当するコスト分だけ利益還元してくれるのならビジネスモデルとして安定的なんだけど、実はそうでもないのだ。
多少「赤」が出ても宣伝効果に期待してその分を広告費として飲み込む場合があるのだ。
これはセールで目玉商品を用意してそれで客を呼び込むのと同じだよね。
まずはお試しセットで、ということだけど、それをドモホルン○ンクルとかプロア○ティブ自分で宣伝するのと、共同購入型クーポンを用意して口コミで広めてもらうのには大きな差があるのだ。
宣伝費がかかるかからないの差だけじゃなく、口コミで広まっていくと強いというのがあるんだよね。
けっこう自分で広告を出すとなると大変だけど、グルーポンのような会社がそういう枠組みを用意してくれていて、そこにのるだけでよい、というのも楽だし、敷居が低いよね。

ただし、やっぱりそんなうまい話ばかりでもないのだ。
お正月に問題になったおせちの場合は、とても用意できないような数の注文を受けてしまったために起きたもので、もともとお正月シーズンに品薄になりがちな数の子などの材料が確保していないままやってしまったところに問題があるんだ。
申し込み上限が多すぎたことともあいまってああいう結果になってしまったんだよね(ToT)
また、ウラでよく言われるのは、もともとの値段からいったん価格をつり上げて、そこから値下げして「偽装」しているというもの。
例えば、前から3,000円で提供していた宴会コースを「定価6,000円」とした上で、共同購入型クーポンが成立すると「半額の3,000円」で提供する、といったもの。
ここまで露骨でなくても、どうも底上げ疑惑があるクーポンもあるみたいだよ。
さらに、注文したけど商品が来ない・遅れた、というような通販にありがちなトラブルもあるのだ。

こうしたことからいろいろとトラブルが起きていて、自分の目で見極めないとダメなんだよね。
うまく利用できれば賢い選択だけど、そこには罠も待っているかもしれないから手放しで安いから飛びつくという姿勢はまずいのだ。
安いには安いなりに理由があるので、そこについてちょっと考えてから購入しないとね。

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