月が綺麗ですね
「I love you.」を「我君ヲ愛ス」と訳した学生に、「月が綺麗ですね」とでも言えば想いは伝わる、と言ったといわれているのは夏目漱石さん。
さすがに明治の文豪は風流だねぇ。
これが現代で通じるかというと「?」だけど(笑)
それでも、そんな「月が綺麗ですね」という現象がついこの間あったのだ。
それは、「スーパームーン」。
これは天文学の用語でもなんでもなく、もともとは占星術で使われていた言葉らしいんだけど、月が地球に近づいていて、いつもより満月が大きく見える、ということなのだ。
月は地球のまわりを回る唯一の衛星だけど、その軌道は真円ではなく楕円なのだ。
遠地点距離(=半長径)は405,495km、近地点距離(=半短径)は363,304kmで、その差は42,000km以上!
そりゃあ大きさも変わって見えるよね。
5月5日~6日にかけての「スーパームーン」(地球との距離が356,955km、去年のスーパームーンの方が近かったみたい。)は月が遠地点にある場合(=一番小さく見える場合)に比べ、14%大きく、30%明るいんだそうだよ(NASA発表資料より)。
※ちなみに、スーパームーン時の地球と月の距離が近地点距離を下回っているのは太陽などの他の天体の影響で、月の公転軌道は地球と月だけで考えたものよりずれるのだ。
もともとの占星術では、月が近い(=大きい)と、それだけ月の影響力が強くなって、いろんなことが起こると考えられていたんだ。
海の潮の満ち引きは月の引力によるので、確かに潮の干満には物理的に影響が出るだろうけど、人間の精神や自然災害の発生にも影響が出ると見なすのだ。
人間の血液も月の引力の影響を受けるので、新月や満月の日に犯罪が多いとか言うよね。
(ちなみに、カニやカメが満月の日に散乱するのは単に干満の差が大きく、それだけ海が近くまで来るからで、精神的な影響じゃないよ!)
自然災害も不吉なことが起きる、というところから来ているみたいなんだけど、これってマーフィーの法則で、たまたま満月や新月の日によくないことが発生したことが強く記憶に残っているだけで、その発生確率に影響を与えているとは思えないのだ・・・。
そんなことはさておき、確かに5日の夜半に外を見たら、やけに明るかったのでびっくりしたのだ。
それも該当とかの明かりじゃなく、月明かりの、ほのかに黄色い明かりだからね♪
これはロマンチックかも。
大きさについては目に見えて多きという気はしなかったんだけどね(笑)
でもでも、それもそのはずで、面積比で14%増ということは、その平方根をとると1.068、つまり、半径では7%弱しか大きくなっていないのだ!
明るさと比べるとちょっと認識しづらいのは確か。
むしろ、明るいからいつもより大きく見える、という効果の方が大きいかも。
これはそこそこまれな現象なんだけど(と言いつつ、去年の3月にもあったし、来月もあるらしいけど。)、非常にまれな現象としてブルームーンというのがあるのだ。
スーパームーンは周期的に起きるけど、ブルームーンはそうではないのだ。
ブルームーンというのは大気中のちりなどの影響で月が青く見える現象。
物理的に言えば、大気中に漂うちりなどにより、長波長の可視光が散乱されやすくなり、短波長の可視光がより多く透過して青く見えている、ということ。
普段は波長の長い葵光の方が散乱されやすいので、昼間の空は青く見えるし、夕焼けは赤く見えるんだけど、それと逆のことが起こるのだ(ちなみに、これと同じ原理で、月が赤く見えることはままあるのだ。)。
火山噴火や大きな隕石の落下の後に見られるということなんだけど、まず見られないんだよね。
なんとなく青い月っていうのはイメージしやすいけど、スーパームーンのように予測してねらって見られるものとは違うのだ。
そのため、英語では「once in a blue moon」なんていう慣用句もあって、これは「非常にまれなこと」、「あり得ないこと」といった意味になるんだよ。
ブルームーンという単語だけでもそういう滅多にないことの代名詞的に使われることも。
ところが、どこで勘違いされたか、一部の人の間では別の意味にとられているのだ。
それは、1ヶ月のうちに2回満月があるときの2回目の満月を指す場合。
太陽暦では太陰暦と違って月の周期(約29.5日)と暦の月がずれるので、30日や31日ある月(すなわち2月以外)の初めに満月が来ると、月終わりにも満月が来ることがあるのだ。
そのときの1回目の満月をファーストムーン、2回目をブルームーンと呼ぶんだって。
でも、実はこれは予測できる話で、珍しいのは珍しいけど、正真正銘のブルームーンほどレアではないのだ。
ま、まれな現象だから勘違いでブルームーンと呼ばれるようになってしまったのかもしれないけど。
というわけで、世紀のスーパーショートまではいかないまでも、けっこう全世界的にスーパームーンは話題にあんったようだね。
ボクは当日まで知らなかったけど(笑)
でもでも、東京でも見られる天体といえば、月や金星くらいしかないから、もう少し気にしてもよいかも。
そうしたら、幸運にもブルームーンに出会えるかもしれないしね。
今度そんな月を見たら、想い人にそれとなく「月が綺麗ですね」って伝えてみるのもよいかも(^o^)/
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