2012/08/18

光のスピードで

最近のネットは高速化・大容量化したよね。
むかしは電話線をモデムにつないで、ネットにつなぐときに「ぴ~ひゃらひゃら・・」なんて音がしたものなのに(笑)
その後、ADSLが来て、そして、光回線が来たのだ!
電話線モデムだと54kbpsとかいう速度だったのに、一気に100Mbpsの世界だからね。
約2,000倍なのだ!
ネットで動画がさくさく見られるわけだよ。

この光回線は、光ファイバーを使った光通信。
かつてはランプの光でモールス信号なんかをしていたわけだけど、そんなのとはわけが違うよ(笑)
従来の伝染や電波を使った通信に比べ、傍聴されにくい(秘密保持しやすい)、電磁誘導ノイズの影響を受けず安定した通信が実現(逆に、伝染や電波は強地場が近くにあったりすると影響を受けて信号にノイズが入るのだ。)など。
さらに、レーザー光を使えば高速に長距離の伝送ができるのだ!
といいことずくめ。

ところが、そんなメリットばかりではないんだよね。
今でも電線であるところのLANケーブルは普通に使うし、無線LANやWiFiといった電波による通信もむしろ伸びているよね。
これは光通信にとって比すような光ファイバーの特徴によるところが大きいのだ。
光ファイバーは高速・長距離・大容量通信が得意だけど、電線や電波に比べてデメリットもある、ということ。

まず、最大のデメリットは、光ファイバーは硬いので、曲げに弱い、ということ。
光ファイバーは、コアとクラッドと呼ばれる透明な光を伝送する部分が軸なのだ。
コアとクラッドでは微妙に屈折率が違うので、コアの中を通る光はクラッドと接するところで全反射又は屈折をして、ジグザグにコアの中を進んでいくことになるんだ。
コアやクラッドの透明度が高く、不純物が少ないほど、減衰も少なく、きれいに遠くまで情報が伝えられるという仕組み。
で、そうなると、その素材が問題で、一般的に使われているのは石英ガラス(シリカ・ガラス)。
ようはガラスの細い線なので、大きな曲率では曲げられるけど、電線のように自由自在に曲げられるわけではないのだ(>o<)
これが配線の自由度を狭めていて、長距離を結ぶなら問題ないけど、近距離を結ぶときには制約になるんだよね。
実際、光回線のルーターに来ている光ファイバーは強く曲げるとおれてしまうので曲げないように、と言われるのだ。
最近はプラスチック製の光ファイバーもあるので、ある程度融通が利くようになってはきているんだけど、プラスチックはガラスに比べて赤外線や紫外線を吸収する性質があるため、伝送損失が大きくなるのだ。
ガラスに比べると、軽く、安価で、曲げられるので使いやすくはあるけど、限界はあるんだよね。

電線だとかなり自由に曲げられる、というのもあるけど、つなぐのも比較的簡単。
素人でもできるのだ。
光ファイバーも熱で端を溶かしてつなぐことはできるけど、専用の工具がいるのだ。
プラスチック製ならわりと簡単らしいけど、ガラス製の場合はコアの軸を合わせるのが難しいみたい。
ちゃんとつなげないと結合部分でロスが大きくなるので、なかなか素人にできるものではないみたい。

上でもちょっと触れたけど、次に大きな原因は光ファイバー自体が高価なこと。
しかも、自由に曲げられないので、どうしても通信網の敷設にはコストがかかるのだ。
最近はそれで無線が増えてきているんだよね。
もともと携帯電話用の基地局があって、スマホの普及でその通信料の増強を図っているので、それを使おうというわけなのだ。
三大携帯キャリアもそれぞれその部分を強化しようとしているし、e-mobileなんかもがんばっているよね。
当然光通信に比べれば遅いけど、電波が入れば通信が可能になるので、自由度が高いのだ。
壁に穴を開けたりしなくてもすむしね。

我が家で光回線を選んだ理由は、ネットも電話もテレビも全部まとめてできること。
テレビアンテナを設置するのも大変だし、高層建築も多いから都内では電波が入りづらかったりするんだよね。
反射電波による干渉もあるのだ。
光電話も電話回線に比べると安いし(停電時は使えないなどの制約はあるけど)、まとめればお得、という判断さ。
家では光回線の開通まで不便していたけど、むかしはこんなのなかったんだよなぁ、と思うと、一度教授した文明はなかなか捨てられないんだなぁ、と思うよね。

0 件のコメント: