2026/04/04

糸引く水

 ネットで「納豆水」という不思議な言葉を見たのだ。
何かと思えば、納豆の張っていたパックに水をしばらく張って、水の中に納豆菌を溶かし込んだものらしい。
それがいろいろと役に立つというのだ!
うちも割とよく納豆を食べるから、これは聞き捨てならないぞ、と少し調べてみたよ。

納豆菌は枯草菌の一種で、まさに枯草に普通に付着している細菌。
でも、この枯草菌の仲間は非常に強い菌で、「芽胞」という状態になると、高熱にも耐えるのだ。
実際、納豆の製法では、稲わらをゆでてそこに蒸した大豆を詰める和kだけど、このゆでる過程で納豆菌以外の細菌はほとんど死滅するので、納豆菌による発酵が進む、ということなのだ。
繁殖力も強く、日本酒や醤油・味噌を扱っている職人さんは納豆を食べないんだよね。
麹や酵母がすべて納豆菌に駆逐されてしまうから・・・。
ボクも学生時代に細胞培養をしていたことがあったけど、細胞を触るときは納豆は食べないように、と言われたものだよ。

そんな納豆菌の強さを活かすのが「納豆水」。
一つの使い方は、家庭菜園や植木などに使うんだって。
そう、そのまま納豆水を土にかける・・・。
乞うsることで、土壌中で納豆菌が有機物を分解し、植物に必要な栄養素を作り出すとともに、持ち前の強い繁殖力で他の菌の繁殖を抑えるので、病害にも強くなるのだとか。
納豆を食べた日に納豆パックに張っておいた水をかけるだけなららくちんだ。
ちょっとにおいはありそうだけど。

そもそも枯草菌の仲間は農業では有用微生物とされていて、有機物を分解して土をふかふかにし、栄養素も作り出して根を張りやすくさせ、さらに、病害も防ぐのだ。
市販もされていて、濃い現役を薄めて巻くんだそうだよ。
納豆パックにためた水はまさにそのような薄めた状態の菌液になっているわけだ。
「枯草菌」という名前から受けるイメージだと、「草を枯らすのでは」とも思えるだけど、上述のように枯草から見つかる菌ということなんだよね。
最初は干し草を水にさらし、その水の中で発見されたらしいよ。

もうひとつの役に立ちそうな使い方が、排水口の洗浄。
排水口のぬめりやにおいの原因は、一部残ったゴミやカスに雑菌が繁殖するからなんだけど、そこにより強い納豆菌を持ってくることで駆逐してしまう、ということらしい。
ただし、水が常に流れている状態だと納豆菌も流されて行ってしまうので、寝る前など、しばらく水を流さないタイミングで納豆水を使うのがよいのだとか。
さらに言えば、直前に一度熱湯を流したうえで納豆水を流せば、熱で殺菌したうえでそこに納豆菌が生えるのでより効果が上がるはず。

我が家は金属イオンの殺菌効果を狙って、使用済みのアルミホイルを丸めて排水口に入れているのだ。
効果がどれだけ出ているかは正直わからないのだけど、少なくともにおいがしてきたことはない。
納豆水はこれを越えることができるのか。
次に納豆を食べた機械でぜひ試してみたいなぁ。
そのためには、納豆パックに水を張って夜まで待つ必要があるのか・・・。
それもなんだかな。

でもでも、こういうのは意外と生物学的対処法の方がよかったりするんだよね。
これから気温が上がると菌の繁殖力もあがるし。
やっぱり納豆パワーの実力を見てみたい気もする。
それにしても、安価で栄養豊富でおいしくて、さらに、食べた後のパックまでさらに使えるなんて、納豆はすごいやつだ。

2026/03/28

ワンポイント・リリーフ的な

 年明けに解散総選挙があった関係で、やっぱり予算が年度内成立厳しそうなのだ。
当初は「なんとか年度内成立」という感じだった高市政権も、現実問題として暫定予算になるようなのだ。
今回の場合は、参院で4月11日にまでに予算案が採決されなければ衆院を通過した予算が自然成立するので、4月11日までのどうしても必要な予算を積み込んだもの。
これを3月30日に成立させないと「予算空白」が生まれるんだよね。
日本ではほぼ想定されないものなので、普通は暫定予算がとおるのだけど。

暫定予算は、財政法第30条の規定に基づくもの。

第三十条 内閣は、必要に応じて、一会計年度のうちの一定期間に係る暫定予算を作成し、これを国会に提出することができる。
2 暫定予算は、当該年度の予算が成立したときは、失効するものとし、暫定予算に基く支出又はこれに基く債務の負担があるときは、これを当該年度の予算に基いてなしたものとみなす。


暫定予算を組むだけ組んでおいて、その終期までの間に本予算が成立すればそのまま暫定予算は失効し、本予算に移行するようになっているのだ。
今回の場合も、4月11日までの間に本予算が成立すれば、そこで暫定予算は終わるし、執行した予算は本予算において失効したものとみなしてくれるんだよね。

ところが、現行の日本の法律の世界では、暫定予算すら成立しなかった場合の「予算空白」は想定されていないんだよね。
今以上に野党による日程闘争が激しかった昭和の時代は暫定予算になるのはざらだったみたいだけど、それすら通さないということはしなかったのだ。
4月1日にさかのぼって執行できることにさえすればキャッシュフロー上の問題はなさそうだけど、どうなんだろう?
ちなみに、戦前の場合は、大日本帝国憲法第71条「帝国議会ニ於テ予算ヲ議定セス又ハ予算成立ニ至ラサルトキハ政府ハ前年度ノ予算ヲ施行スヘシ」という規定があったので、暫定予算が成立しなかった場合でも、そのまま前年度予算に基づいて執行できたんだよね。
これがあった方がよいような気もするけど、下手にこの規定があると野党が本予算成立を遅らせに遅らせようとしないとも限らないからけっこう混乱するかもとも思う。
なお、暫定予算の場合は通例「新規事業」は盛り込まず、年度の変わり目でもシームレスに継続的に支出しないとまずいような予算(人件費など)を計上するのが基本だよ。

この日本のシステムと少し趣が異なるのが米国。
ま、もともと予算制度が大きく違うから当たり前なんだけど。
まず、大前提として、大統領は予算教書という形で議会に対して政府として考える予算案を示すのだけど、これはあくまでも参考扱いで、実際の予算案は議会で作られるのだ。
日本は内閣が提出する予算案を審議し、そのまま認めるか、修正を入れるかなどをするわけだけど、米国は上下両院で予算案を作り、議会で可決したのち、大統領がその内容を認めて署名した場合に成立するのだ。
米国では予算案も法案も区別なく同じ議案なので同じプロセスになるよ。

米国の場合、そもそも上下両院で与野党がねじれている場合、ここの調整も時間がかかるんだよね。
まずは下院で予算案を作って、それを上院が修正していく、という流れなんだけど、「隔たり」が大きく、お互いに歩み寄らないと、そもそも議会での審議でとん挫するのだ・・・。
なんとか両院で可決しても、今度は大統領がそれに署名しないとダメなわけで、もうひとつハードルがあるんだよね。
なので、今でもけっこう頻繁に予算が成立しないという事態が生じるのだ。
そんなとき、通常は議会で「つなぎ予算」が組まれるんだけど、新しいことを盛り込もうとすると当然のことながらどれを入れる入れないでもめるので、原則としては前年度予算を踏襲して新しい事業には支出しない、という内容になるのだ(緊急事態対応などは除く。)。
このため、その議案は「Continuation Resolution」と呼ばれていて、まさに正式な予算ができるまで、なんとか「つなぐ」ためのもの、ということだよね。

でもでも、米国はさらにまずい点があるのだ。
それは、この「つなぎ予算」すら成立しない、或いは、成立してもその資金が尽きるまでに本予算が成立しないことがあるという点。
「つなぎ予算」はおかわりもできるけど、それができないときに生じるのが「政府閉鎖」。
米国では、別の法律で緊急時対応を除いて予算不測の時は業務を停止しなければならない、とされているので、次から次へと中央省庁が業務を停止していくのだ。
あくまでも連邦政府の話で州政府は動いているけど、それでもかなりのインパクト。
トランプ大統領について言えば、1期目の時も閉鎖に追いやられているし、2期目も昨年は一時閉鎖していたのだ・・・。
日本も法律の建付け上は暫定予算すら成立しないと同じようなことを考えないといけないんだよね。
とはいえ、最近は予算の中身とはあまり関係ない質問で時間稼ぎして予算成立を遅らせる野党はけしからん、という風に受け止められるようになってきているから、しばらくはそういうことは心配しなくてすみそうだけど。

2026/03/21

へぇ、あんたも「奈花」って言うんだ

 やっと春を感じられるようになってきた今日この頃。
この時期だけ出回る野菜が「菜の花」。
花が咲く直前くらいのつぼみと茎、葉を食べるのだ。
少し苦みがあって、それがよいと言われるんだよね。
メインはおひたしや天ぷらかな。

この野菜として出回っている植物はアブラナ。
その名でも日本在来種のもの。
江戸時代までは重要な灯火燃料であり食用油だった菜種油を得るために栽培されていたんだよね。
米や麦のような国三井外としてはかないr大規模に栽培されていた農作物だよ。
もともとは西アジアから北欧にかけて大麦の畑の近くに生えていた雑草で、その実から油が取れるので、ということで世界に広まったらしい。
日本には弥生時代には入ってきていたみたいだよ。

油を搾るためには実を完熟させて種を取らないといけないのだけど、花が咲くくらい前の、まだ茎や葉が柔らかいうちに摘んでしまうのが野菜として食べている菜の花。
もともとカブ(小松菜や野沢菜などを含む)やダイコンもアブラナ科で菜っ葉ではあるのだ。
アブラナについては、少しの苦み、そして、マスタード系の辛みがあるんだよね。
現在野菜として流通している菜の花はもともと辛みがなく、苦みが抑えられたもの。
むかしはもう少しとんがったもの(苦い、辛い)ものを食べていたかもね。

ちなみに、特に辛みが強いのはからし菜。
この実は和辛子の原料になるのだ。
乾燥した種を粉状に粉砕したのが粉辛子で、これを水や湯で練って作るんだよね。
練りたては目に染みるほど強い方向だけど、ぴりっとしたさわやかさがあるんだよね。
ちなみに西洋のマスタードの原料になるのは近縁種のシロガラシというものだよ。
からし菜は非常に丈夫な植物のようで、川端とかで自生している「菜の花」の多くはからし菜みたい。
中央アジアあたりで辛みの強い原種とアブラナが交雑してできたのがからし菜のようで、こういう交雑種は繁殖力がなくなるか、非常に強くなるかのどちらかなんだよね。
これは後者というわけ。
セイヨウカラシナという呼び名もあるけど、これは日本で伝統的に栽培されてきたからし菜とは別に、明治期以降により脂が多く取れるセイヨウアブラナを持ってくる際に一緒にもってきてしまったからし菜の原種が改めて日本で交雑種を作って帰化植物となったものらしいよ。
ゲノム的には大きな差がないので、生物種としては日本古来のからし菜と明治期以降に帰化植物となったセイヨウカラシナは区別しないようになっているみたい。

話はアブラナにもどるけど、現在菜種油の原料に用いられているのはセイヨウアブラナ。
これはよく見かける菜の花なのだ(花が咲いているときにちょっと目に染みる感じのにおいが出ているのはからし菜の場合が多いよ)。
油はたくさんとれるのだけど、茎がちょっと固いみたいで、野菜として食べるのには不向きみたい。
なので、セイヨウアブラナは油の原料、古来のアブラナは野菜というようなすみわけみたい。
でも、ここにも例外的に当てはまらないやつがいるのだ。
それが「のらぼう菜」。
埼玉なんかで栽培されている菜の花の一種なんだけど、もともとは江戸時代にジャカルタ経由で入ってきたセイヨウアブラナの「闍婆菜(じゃばな)」が徐々に改良されて野菜になったものなんだって。
もともとアブラナは荒れた土地でも育つけど、これは耐寒性も高く、江戸時代の冷害による飢饉のときにも栽培できたので商品作物としてひろまったのだとか。
アブラナの仲間はビタミン類も取れるから、「江戸煩い」こと脚気(=ビタミンB欠乏症)にもちょうどよいんだよね。
なので、のらぼう菜は江戸伝統野菜にもなっているよ。
正式にはセイヨウアブラナは明治期以降に入ってきたことになっているし、茎や葉は固いとされているけど、こういう例外もいるのだ。

というわけで、桜はこれからどんどん咲いていくけど、同時に見て、食べて、菜の花も楽しみたいものなのだ。
最近は1年中手に入る野菜が多いけど、そんな中でも菜の花はほぼほぼ季節限定でプレミア感あるしね。
でも、あんまり食べ方にバリエーションがないんだよなぁ。
おひたし以外にもいろいろと試してみるか。

2026/03/14

海の要衝

 イランと米国のいざこざで大変なことになっているのだ。
もともと危惧されていたことだけど、シーレーンの要衝、ホルムズ海峡が封鎖され中東の石油の輸出ルートの大動脈がたたれた!
さっそく国内でもガソリン価格が上がっているけど、石油関連製品は無数にあるし、物流にも影響が大だから、生活全般に影響が出そうだよね。
まさに、令和のオイルショックになりそう・・・。

航空機が発達して久しいとはいえ、地上には国境線もあれば山や谷もあるので、大量の物資輸送においては海上輸送が極めて重要なのだ。
陸の道と違って必ずしも同じところを通る必要はないけど、深さや潮の流れ、陸との距離などなどからだいたい通るルートは決まってくるんだよね。
これが「シーレーン」。
で、今回のホルムズ海峡もそうなんだけど、そういうシーレーンの中で、迂回できない、或いは、迂回できるにしてもものすごく遠回りになるところが「チョークポイント」と呼ばれるのだ。

で、世界的なシーレーンのチョークポイントは4つあって、①スエズ運河、②パナマ運河、③マラッカ海峡、及び、④ホルムズ海峡だよ。
①と②は本来陸続きだったところを船でショートカットできるように作られた運河だよね。
二次元的な地図で考えると一番細くなっているところを開削して海と海をつなげばいいけだけど・・・。
実際にはくびれていると言っても相当な距離があるし、つなぐ海の間に高低差があるので、そううまくはいかないのだ。
特に問題なのがパナマ運河。
最高地点が海抜26mのガトゥン湖なので、そのまま船は通行できず、閘門で仕切って船の水位を上下させて移動する必要があるのだ。
なので、移動にはけっこう時間がかかるよ。
さすがに南米大陸をぐるっと回りこむよりは早いわけだけど。


③と④は原油の輸送上重要なので「オイルロード」とも言われるのだ。
マラッカ海峡はインド洋と太平洋を結ぶ海路の要衝で、昔から重要な航路だったんだよね。
で、海賊も出るのだ。
昔の話ではなく、今も。
そのために周辺国で海賊対策をしていて、日本も海上保安庁が積極的に連携・協力しているのだ。
太平洋戦争の時はシーレーンが封鎖されてげにゅが手に入りづらくなったこともあり、帝国軍はまずはここを狙ったくらい。
なんとかマレー周辺を抑えて原油を確保、それで継戦するという作戦だったんだよね。
日中戦争から始まったはずなのに最前線が東南アジアに移っていくのはそういうわけなのだ。

で、今回のホルムズ海峡。
ペルシア湾とオマーン湾をつなぐところで、アラビア半島の右上に位置するUAEやオマーンがあるところが飛び出るような形になっているので海がくびれているのだ。
でも、深さが十分にあって並穏やかでタンカーも通れるというすばらしい海路。
アラビア半島で産出した原油を海路で運ぼうとすると紅海側の西ルートで行くか、ホルムズ海峡をとおる東ルートで行くかの2ルートあるはずだけど・・・。
このうち、西ルートは基本はサウジアラビア沿岸。
ここから運び出すこともできるのだけど、問題は油田の位置なのだ。
主要な産油国として知られるクウェートやカタール、バーレーンがアラビア半島東部にあることからもわかるとおり、油田は主に東側に偏在しているんだよね。
なので、紅海から運び出す場合は地上のパイプラインで西側に運ばないといけないんだけど、ここの容量に限界があるので、ホルムズ海峡の影響はカバーしきれないわけ(>_<)

これがまさに問題の根幹なんだよね。
海峡を封鎖するくらいだからイランを通って陸路でパイプラインを敷設するわけにもいかないし。
すでに機雷まで巻かれているので、戦争が終わっても後始末があるのだ。
かつて海上自衛隊の掃海艇がペルシア湾に派遣されたけど、そういう国際協力も今後求められるはずなんだよね。
どうもイランは死に物狂い、というか、死なばもろともというか、自国経済が壊滅してもホルムズ海峡を封鎖して世界の経済を止める、と息巻いているようだから、どうなることやら。
ちなみに、米国は国内でも石油が出るし、この前ベネズエラの石油も抑えたからわりと余裕あるんだよね・・・。
欧州も十分あ良とは言えないけど北海油田のような海底油田があるし。
きついのは東寄りのアジア諸国なんだよなぁ。

2026/03/07

冬の小川は水がない

今年の秋冬はとにかく降水が少ない。
東京も今年になってまともに雨が降ったのは2回。
北関東の水源地の貯水率も心配なレベルなのだ。
で、そんな中、多摩川水系の野川や浅川では川の水がなくなった!
川ってどこかに水源があってそこから流れてくるものだから、水源ごとかれてしまったのか?

実はそんなことはなくて。
水量が減ったので、いわゆる川底の下を流れる伏流水になっているらしい。
野川の場合は、国分寺崖線という段差のある断層に沿って流れているんだけど、わりと湧水が豊富で、その水を集めて流れているのだ。
ここはもともと古多摩川が流れていた跡で、地形が川に削られて段差のある河岸段丘というものになっているんだ。
で、その川筋跡は細かい石の層(礫層)になっていて、そこにまた水が集まって小さな川になったというもの。
そういうわけで、そこまで川の水の流量はなくて、さらに川底を侵食していくほどでもないんだよね。
そのため、もともとがけ下にあった礫層の上を流れるだけで、その小石を下流に押し流し、そののちにされに川底を削ってく、みたいなことはおこらなかったわけ。

つまり、流れている水の量は十分にあれば礫層の上に川が見えるけど、流量が減ると礫層の中を通るようになってしまって表面上は川の流れが消えるのだ。
ちょうど「水無川」になってしまうわけ。
でも、流量が戻ればまた普通に表面にも川の流れが出てくるよ。
アフリカには乾季には筋だけが残っていて、雨季にだけ流れる川というのもあるけど(「ワジ」と言うのだ。)、あっちは本当に川の流れが途絶えているんだよね・・・。
そういうのをどうしてもイメージしちゃうけど、さすがにそこまでは乾燥しているわけでない。

もともとの野川はもっと神奈川よりを流れていたんだけど、今の世田谷区・大田区に農業用水を供給するための六郷陽水(次太夫堀)が開削される際、もっと東寄りの流路に付け替えられたのだ。
これが江戸時代になる直前くらいの話。
戦後になって、六郷陽水の大部分が埋め立てられるようになると、少し西寄りに流路が変えられ、狛江と調布の間を通るようになるのだ。
このころは、下水設備も不十分で、生活排水が直接この野川に流されたので、どぶ川のようになってしまうんだよね。
悪臭が立ち込め、生態系も大きく損なわれるんだけど、平成に入るころにやっと下水道も十分に整備され、生活排水が流れ込まなくなると、徐々にきれいにもどっていったのだ。
ただし、生活排水がなくなった分流量が減って、今のように乾燥が続くと川が消えるようになってしまったようなのだ。
一方で、そのちょろちょろと流れるくらいの流れは川の生態系にとってはよいみたいで、湿原のような感じで葦が生え、魚や亀などの水生生物や昆虫が増え、それを目当てに鳥もやってくる、みたいになっているよ。
確かに野川の上流の方ってそういうイメージがあるよね。

そんなちょろちょろした流れだからといってあなどれないのがまた問題。
上に書いたように、もともと流量が少なくて浅い川なのだ。
「浅川」なんてそのままの名前だし。
これが何を意味するかというと、ちょっとした大雨で一気に流量が増えると、川があふれる、ということ。
実際、直近では2005年(平成17年)のときの集中豪雨で氾濫したらしく、世田谷区で床下浸水とかあったようなのだ。
神田川のようにもともと流量がそこそこある川で氾濫の危険性が高い川だと地下に巨大な調節池が整備されて氾濫しないようにするのだけど、乾燥が続くと川の流れが消えてしまうようん野川だとそういうわけにもいかないんだよね。
ないとは言わないけど、めったに起こらないから「それなりの備えで」としかならないのだ。

で、ボクが一番気になっているのは、亀や昆虫はいいとして、魚はどこに行っているのか、ということ。
野川は20km以上ある河川なので、もう少し水の豊富な川に逃げるにしても逃げ切れないと思うのだ。
かといって、ある程度の大きさのある魚であれば水と一緒に礫層に中に、というわけにもいかないだろうし。
徐々に川の水がなくなっていく中で、上流又は下流に追いやられるのだろうか?
で、水の流れが戻ったらまたもどってくるのだろうか?
近所に住んでいたらぜひ観察したいものなのだ。

2026/02/28

お値段据え置き

 職場の生き返る道すがらにガソリンスタンドがあるのだ。
で、いやでもガソリン価格が目に入るのだけど・・・。
ん、なんかおかしいぞ?
ガソリン税の暫定税率が昨年いっぱいで廃止されたはずなのに、価格が変わっていない。
ガソリンって安くなるんじゃなかったのか。
そんな疑問を持ったので、ちょっと調べてみたよ。

答えは簡単だった。
ガソリン価格の高騰を受けて出していた政府の補助金がなくなったので、暫定税率分の値下げと相殺されているらしい。
暫定税率廃止直前は特に、暫定税率見合いの分だけ補助金で下支えしてガソリン価格を抑え込んでいたので、ちょうど差し引きゼロのようなのだ。
確かにガソリン価格は下がっているのだけど、実感はできないというわけだ。
これだけ人気の高市政権の成果でガソリンについて触れられないのもこのためだね。

もともと、ガソリン税が導入されるとき、本当に「暫定的措置」として上乗せされた分が暫定税率ななよね。
時は小昭和49年(1974年)。
高度経済成長期が終わりをつげ、石油ショックの爪痕が残るころ。
ちょうどオリンピックを契機に道路などのインフラ整備を拡大してきたところでこれだったので、道路整備五か年計画に対して財源不足に陥ったのだ。
そこで目を付けたのがこれ。
とりあえず暫定的にガソリン税に暫定税率を上乗せして臨時収入にしよう、という話。
もともとの税率の倍にする形で2倍の税率になっていたのだ。

ところが、「暫定措置」のはずがそれ以降ずっと続いたわけで。
いったん平成19年(2008年)度末で期限切れとなるはずだったので、暫定税率を維持するか、そのまま廃止にするかで大論争になるのだ。
これが「ガソリン国会」。
後に「うふふ、そうでしたっけ?」ととぼけられる、民主党(当時)のガソリン値下げ隊が活動していたのもこの頃。
ところが、けっきょく福田内閣で暫定税率は復活して、ずっと続くことになるのだ。
とはいえ、ガソリン価格は生活に密着しているのでこのままではすませない、というわけで、平成21年(2010年)に二度と期限切れにならないように暫定税率の期限をなくす租税特別措置法の改正案が出た際に設けられたのが有名な「トリガー条項」。
一定の条件ガソリンの3か月の平均小売価格が1リットル当たり160円を超えるに至った場合が整った場合には暫定税率を廃止する、というもののはずなんだえど・・・。

おりしも導入直後に東日本大震災が発生。
その復興予算(主に道路整備関係)に使う必要がある、とトリガー条項の適用が見送られることになったのだ。
このとき、「別に法律の定める日までトリガー条項は凍結」という形にしてしまったので、条件が整えば自動的にというのが魅力的だったのに、けっきょく法律を通さなと廃止できなくなってしまったんだよね。
いやな原点回帰。
それでやっと今回暫定税率が廃止されたのだ。

最初のガソリン国会から20年くらいかかっているわけだ。
確かに出来事としては大きいのだけど、額面上のありがたみが薄いのが残念だね。
円安傾向がおさまって、かつ、原油価格も下がってくればガソリンは確実に安くなった、と感じられるはずなんだけど、ぐんぐん価格が上昇傾向にある中では、上昇度合いを抑制している、という形にしかんらないんだよなぁ。
これはけっこう残念なことだ。

2026/02/21

これはそういうことで

 第二次高市政権が始まったのだ。
全閣僚留任だけど。
で、真っ先に取り組みたいと首相が言っているのが、「働き方改革」の見直し。
サビ残の強要とか劣悪な働き方はこの世から駆逐しないといけないのだけど、厳しすぎる残業規制で人繰りが間に合わず、みたいな話が出てきているんだよね。
代表的なのが物流業界。
しかも、ここ最近は物価上昇などもあって副業する人も多く、働きたい氷魚には健康を害さない程度にもう少し残業させてあげてもよいのでは、みたいな声もあるのだ。
何事も行き過ぎはよくないから、労働者人口が減っていく将来に向けてよい妥結点が見いだせるとよいのだけど。

で、この話の中で話題になっているのは、「裁量労働制」という働き方。
本来、労働基準法では労働時間を定めていて、出退勤や休憩などをきちんと時間管理することを求めるとともに、残業についても上限を設けているのだ。
だけど、必ずしもそういう働き方にそぐわない職種もある、ということで導入されているのが「みなし労働時間制」というもの。
労働基準法の第38条の2から第38条の4にかけて規定されているよ。
労働時間管理の難しい職種についてはあらかじめ定めれれたルールの中で一定の労働時間だけはたららいたものとみなす、というもの。
このうち、第38条の3が「裁量労働制」なのだ。

第三十八条の三 使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、労働者を第一号に掲げる業務に就かせたときは、当該労働者は、厚生労働省令で定めるところにより、第二号に掲げる時間労働したものとみなす。
 一 業務の性質上その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして厚生労働省令で定める業務のうち、労働者に就かせることとする業務(以下この条において「対象業務」という。)
 二 対象業務に従事する労働者の労働時間として算定される時間
 三 対象業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し、当該対象業務に従事する労働者に対し使用者が具体的な指示をしないこと。
 四 対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置を当該協定で定めるところにより使用者が講ずること。
 五 対象業務に従事する労働者からの苦情の処理に関する措置を当該協定で定めるところにより使用者が講ずること。
 六 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
2 前条第三項の規定は、前項の協定について準用する。


これが条文で、具体的な職種は厚生労働省令(労働基準法施行規則)で定めることとされていて、それがこれ。

第二十四条の二の二 法第三十八条の三第一項の規定は、法第四章の労働時間に関する規定の適用に係る労働時間の算定について適用する。
2 法第三十八条の三第一項第一号の厚生労働省令で定める業務は、次のとおりとする。
 一 新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務
 二 情報処理システム(電子計算機を使用して行う情報処理を目的として複数の要素が組み合わされた体系であつてプログラムの設計の基本となるものをいう。)の分析又は設計の業務
 三 新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務又は放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第二条第二十八号に規定する放送番組(以下「放送番組」という。)の制作のための取材若しくは編集の業務
 四 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
 五 放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務
 六 前各号のほか、厚生労働大臣の指定する業務
3・4 (略)



これでわかるとおり、さらに厚生労働大臣が指定できることになっているんだけど、それは厚生労働省告示で決まっているのだ。
全体像については、厚生労働省の説明資料がわかりやすいよ。
ここの1~5までは省令で具体的に規定されているもの。
6~20がそれとは別に大臣が指定しているものなのだ。
これだけ見ると、確かに働いた時間だけで管理してもあんまり意味がない業務内容かな、というものだよね。

とはいえ、これって使い方によっては危険なものなんだよね。
裁量労働制を採用する場合は、業務として「いつまでにどこまでやってほしい」という業務内容を労使間で合意する必要があるのだけど、これが偉く高い達成目標になっていると、いくら残業しても足りない、でも、みなし労働時間は一定だから給与は増えない、という状況に陥ってしまうのだ。
なので、「普通」に働いているだけではなかなか達成できないような業務を押し付けるような形で決めてしまうと、残業代なしで働かせ放題にサブスクになってしまう・・・。
これが問題視されていて、だからこそ、この「裁量労働制」を入れてよい業種は限定しているんだよね。
ここが今回の見直しで拡大されるといやだなぁ、と言っている人が多いわけ。

一方で、経団連が提唱しているように、日本でも欧米式のジョブ型雇用(職階・業務内容によって給与を決定、自動的に昇進はしない)を導入する動きもあるよね。
これはいわゆる「成果主義」に非常に相性がよいので、「裁量労働制」と組み合わせやすいのだ。
現在でもIT土方と呼ばれる孫請け、非孫請けの会社のプログラマやシステムエンジニアなんかは「裁量労働制」の対象職種なんだけど、到底守れないような締め切り、過剰ともいえるような仕様要求で「みなし労働時間」の地獄にいると言われているのだ。
それがさらに拡大というのは政権がやりたいこととは逆行しているはずだよね。
そういう悪用されるリスクを極力なくしてうまく制度設計できればよいのだけどね。
ちなみに、うちの職場ではむかし「当直制度」があったらしいけど、一般職員にやってもらうと残業ダイヤラ手当やらが必要になってしまうので、残業代を払わなくてよい管理職だけで回していたそうな。
これって労働基準法違反なのか?

2026/02/14

カレーライスは外で食べた方が安いか?

 最近のニュースで、「カレーライス物価指数」が過去最高になったというのがあったのだ。
って、「カレーライス物価指数」って何?
調べてみると、家庭でカレーライス1皿分を作るのに必要なコストを物価の指標にしたものだとか。
より詳細に見ていくと、具材は、ニンジン、玉ねぎ、ジャガイモ、牛肉(輸入)、米(コシヒカリ)、市販カレールー、食用油で、6食分(通常の市販カレールーの1パック分)を調理したときの食材費、光熱水費をコストとして積み上げて1食あたりで割った数字らしい。
問題のニュースは、2025年分の平均が349円にまで到達して、過去最高を更新(帝国データバンク調べ)、ということ。
1食350円だと学食や社員食堂のカレーライス並みということか。

上述のとおり、この数字には作るまでのコストしか入っていないので、食べ終わった後の皿洗いの水道代等は含まれていないことを考えると、400円くらいまでの値段なら外で食べた方が安いということにもなりかねないね。
っていうか、最近はちょっと高級なレトルトカレーとかあって300円とか400円とかするけど、実は自分で作るのとそこまで変わらなくなっているのか。
カレーはこだわるほど高くつくから、1食、2食なら買ってきたものを食べる方が効率的なのかも。
コスパやタイパなど、何かと「パ」を気にする若い世代にはカレーを自分で作るという選択肢はなくなりつつあるかもね。

外食というか、総菜や弁当などを買ってきて家で食べる「中食」は最近の文化のようにも見えるけど、実は都市部ではけっこう古い時代からそうだったんだよね。
例えば、当時世界最大の都市のひとつであった江戸の場合、初期実は狭い長屋住まいが多く、煮炊きできるスペースが限られているので、一膳めし屋のような店で外食するか、寿司やそばなどの屋台で買い食いするか、ごはんだけ家で炊いて売りに来る煮豆や納豆、つくだ煮などを買うかなどが多かったのだ。
武士の場合も、参勤交代で単身赴任で江戸詰めになっている人も多いし、何より江戸は男余りで独身者も多かったから、外食、中食がメインだったのだ。

さすがに農村部はそういう商売が成り立たないので家で作っていたわけだけど、今よりもっと大家族で三世帯同居で農作業と家事を分担しながら、みたいな生活だったんだよね。
それが、明治維新以降近代化されて行って、都市化されていった地域では核家族化も進み、その分担がうまく回らなくなるんだよね。
当時は家電も充実していなくて家事に手がかかることもあって、ごはんは家で炊くけどおかずの総菜は買ってくる、みたいなのはけっこうスタンダードなもの。
肉屋のコロッケやメンチカツ、から揚げだけでなく、煮物や漬物を買ってくるのも珍しくはないのだ。
なぜかその後、スーパーで買ってきた総菜や冷凍食品ばかり、みたいにおかずを買ってくることを見下す文化ができるのだけど、これは家電が発達して掃除やら洗濯に時間がかからなくなって料理に手がわかせるようになったからだろうか?

とはいえ、すでに日本はほぼ共働きがデフォルトになりつつあるし、「原点回帰」で「買ってくる」文化にもどってきているよね。
温めるだけでおかずがそろう冷凍品みたいなものもあるし。
実際、物価や光熱水費が上がっているので、少量しかつくらない場合、家で調理するのは非効率ではあるのだ。
総菜を食べる分だけ買ってくる方が安上がりだったりするし。
何より、冷凍食品なんかは、天候等の理由で野菜などの値段が変動する中、安い時期に勝手大量に製造して保存してあるので、価格の安定性が高いんだよね。
物価上昇に合わせて値上がりはするけど、雨が少なくて野菜が高くなっても冷凍食品の値段は変わらないのだ。
普段は少し割高でも、今のようにジャガイモや玉ねぎの価格が上がっていると、冷凍食品の方が安上がりになることもあるんだよね。

で、最初に戻って、カレーライス物価指数は、国民食ともいえる家庭料理の定番のカレーライスに着目し、日常生活と密着した物価の指標として考案されたものだけど、考え直さないとダメかもしれないよね。
ここまで見てきたように、そもそも家で作っても買ってきてもさほど値段が変わらないなら、「カレーを家で作る」ということには何か付加価値が発生している可能性が高いのだ。
大量に作りたい場合もそうだし、こだわりがあって自分の味を極めたい場合もそうだし。
そうなると、市販ルー6皿分を使って作るステレオタイプのカレーライスというのは家庭料理にはならなくなてくるかもしれないのだ。
だとすると、この物価指標もそのうち見直されてしまうのかも。
だけど、外で食べるカレーもおいしいけど、家庭のカレもおいしいんだよなぁ。

2026/02/07

貴重な土

 海洋研究開発機構(JAMSTEC)が内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)で南鳥島海域の海底のレアアースを含む泥の引き揚げに成功したことが大きく報道されているのだ。
なぜか松本文科相は報道発表はこれからなんですが、と先にXに投稿しているんだよね・・・。
これって本当は勇み足?
喜ばしい成果だけど、世界の供給量の大部分を担う中国が輸出規制をかけていることもあり、特に注目度が高まっているんだよね。
でも、こういうのをあまり報道すると妨害されるんじゃないか、という慎重な意見も出ていて、実際に近傍の公海上に中国籍の船がいた、なんて話も報道されていたような。

レアアースというのは、希土類元素のことで(これかなり直訳だよね)、第3族第4周期のスカンジウム(Sc)、同じく第3族の第5周期のイットリウム(Y)、及び、その下の第6周期のランタノイドの17元素のこと。
ランタノイドは、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)の15の元素。
長周期表で別表のように下にはみ出ているやつね。
さらにその下のアクチノイドは含まれないのだ。

スカンジウムはちょっと性質が異なるみたいだけど、これらの元素はみな似たような性質を示すためにそれぞれ混ざった状態で採掘されるんだけど、非常に分離が難しいらしいのだ。
量的にはかなりの量があるようなんだけど、単元素で取り出すのが難しいので「レア(=希)」なのだ。
で、このレアアースが鉱物資源として重要なのは、蓄電池や発光ダイオード、強磁石などのエレクトロニクス製品に不可欠な材料になっていること。
なので、特定の国に依存度が高いことが前から問題視されていたし、以前にも中国は輸出量を絞ったことがあって、その時も混乱したんだよね。
そういう性質から、「産業のビタミン」とも呼ばれるのだ。
で、経済安全保障の観点から、供給源の多角化に向け、日米欧なんかで話をしているというわけ。

でも、実は昔は日本や米国でも精錬していたんだよね。
なぜそれが中国一強になったのかというと、精錬の過程で放射性廃棄物が大量に出るから。
レアアースは互いに制つが似ていて混ざって功績になっていると書いたけど、マグマが冷え蒲田待って鉱石ができていく過程で、ここにトリウムやウランのような放射性元素も混ざってくるようなのだ。
現在知られている陸上鉱山の場合はほぼ確実にこれで、精錬するとこういう放射性元素が廃棄物の中に入っているわけ。
で、先進国は安い労働力と環境面への影響をものともしなかった中国に精錬を任せるようになっていったわけなのだ。
それを見直さなくちゃいけないわけ。

では、その依存度を下げるにはどうするか?
日本では3つの方法で取り組んできているのだ。
ひとつは資源の再利用。
「都市鉱山」と言われているけど、廃棄された電子部品からレアアースを改修し、再度資源として活用する、というストレートなもの。
でも、これが難しくって、天然鉱石から精錬するのも大変なくらいで、こっちもかなり高コストになるみたい。
電子部品については金なんかの貴金属も使われているんだけど、これも回収にコストがかかるので再利用はあまりされていないわけで・・・。
背に腹は代えられない、くらいまでいかないと採算面で難しいとされてきたのだ。
基本技術はあるみたいなので、低コスト化を目指すんだろうけど。

二つ目は、そもそもレアアースを使わずに施産ませられないか、という考え方。
レアアーズは「不純物」としてごく少量混ざることで材料の性質を変えているので、それを原子レベルの欠陥制御でなんとかできないか、というもの。
これもかなりのところまでできるみたいなんだけど、ナノテクを駆使して制御するわけで、製造技術として使うにはまだまだ進歩が必要なのだ。

で、最後はもっとも単純な、新たな「鉱山」の開発。
以前に中国がレアアースの輸出量を制限したときは、日本の商社がモンゴルの鉱山の権利を取り付けてきたりもしたんだけど・・・。
精錬のところで中国に大きく依存しているので、あまりうまくいってはいないのだ。
なので、今は米豪が共同で精錬場をせいびしようとしていたりするんだよね。
陸上鉱山の問題が顕在化してきたところで、どうも南鳥島近海の5,000~6,000の深さの海底の泥にはレアアースが多く含まれているらしい、ということがわかり、それを掘りに行くことにしたのが冒頭に出てきた内閣府のプロジェクト。
よくよく調べてみると、陸上さんの功績とは組成も異なっていて、放射性元素をほとんど含まないものなので、廃棄物の心配はなさそうなのだ。
独自の精錬プロセスも検討しているようなので、本土から2,000km弱はなれた深海底かあ泥を引き上げ、その中にb量に含まれるレアアースを精錬する、という一連の行程のコストをどこまで効率化できるのかがカギになるよ。

すでに経済安全保障担当で、本件プロジェクトの担当でもある小野田大臣は、経済効率性からの産業としての成立性だけでなく、安全h症という観点も含めて考えるべき、との見解を示していて、許容範囲の「割高」であればレアアースの供給源として考え得る、ということになっているよ。
いずれにせよ、世界初の成果というのはうれしいよね。

2026/01/31

神隠しか、異世界転生か

 新潟の十日町で女子中学生がいきなり行方不明になって話題になっているのだ。
直前まで家族と団らんしていたのに、30分後には行方不明だとか・・・。
スマホや財布も残されているというから、計画的な家出でもなさそうとのことで捜索が続いているんだよね。
まさに現代の神隠し事件と言われているよ。
これが江戸時代なら「天狗にさらわれた」だし、昭和なら「人さらいのサーカス団に連れていかれた」、平成なら「北に拉致された」となるわけだけど。
今だと普通に誘拐・監禁事件の線が濃厚なのだろうか?

「神隠し」というのは便利な言葉で、原因不明の行方不明事案をそう言うんだよね。
原因を説明していそうで、実は現象を表している言葉なのだ。
実際問題として、何らかの事故で亡くなった人がいても死体が発見されなければ「神隠し」扱いだし、子供の口減らしでいつの間にか子供の数が減っていても表向きには「神隠し」だったわけで。
遊んでいるうちに山や森に迷い込んで見つからなくなった、とか、乱心してどこかに行ってしまった、というのもあるんだろうけど、そこは追求せずに「よくわからないけどいなくなった」という事実だけを関係者間で共有するためのマジックワードだったわけだね。

さすがに昔の人も本気で天狗にさらわれた、なんて思ってなくて、もしかしたらなくなっているかもしれないけど生きていてほしい、という思いも込みで「神隠し」にしていたんじゃないかと思うんだけど、そうではな例も残ってはいるんだよね。
有名な例が、平田篤胤さんと寅吉少年の関係。
寅吉少年は上野寛永寺で遊んでいたところ天狗にさらわれて異郷で過ごすうちに神通力を身に着けるに至るのだ。
で、こっちの世界に戻ってきて有名になるのだけど、それに目を付けたのが復古神道を大成した国学者の平田篤胤さん。
寅吉を自分の家に住まわせたうえでインタビューし、「仙境異聞」という書をまとめているのだ。
非常にトンデモな本だけど、書いた本人はいたって真面目なんだよな。
現代のオカルト評論家やUFO研究科に通ずるものがあると思う・・・。
なんか江戸時代の人は無知蒙昧で妖怪やら幽霊やらを本気で信じていた、みたいに思われることもあるけど、決してそんなことはなくて、ある程度まゆつばとわかったうえでうまく扱っていたんじゃないかと思うんだよね。
それこそ、当時の日本の識字率は世界でトップ、庶民が数学の難しい問題に遊びで取り組むみたいな文化もあったわけで。
洒落本やらにはキャラクター化された化け物も多く登場するから、雑誌「ムー」を楽しむような感覚で受け入れていたのではないかと思うのだ。

戦後日本の「夜遅くまで外で遊んでいるとサーカス団にさらわれる」みたいな話はまさに「子供だまし」ではあったわけだけど、実際に一部の日本海側地域で人がいきないr行方不明になる事件が起きるんだよね。
後にこれは北による拉致事件と判明し、小泉政権の時の総理の電撃訪朝ではじめて先方も渋々そういうことをしたことを認めたわけ。
55年体制で最大野党だった日本社会党は最後まで拉致事件は都市伝説ととりあわなかったけど、本当のことだったのだ。
で、今回も新潟県ということでその線も疑われてはいるけど、海沿いでもないし、このタイミングで改めて拉致というのもよくわからないんだよね。
それよりは、同じ外国人に関係する事件なら、外国籍の不法滞在者の荒くれにさらわれた、という方が本当っぽいのだ。

とはいえ、単に家出の可能性もあるんだよね。
記憶に新しいのは10年ほど前に北海道の林道で行方不明になった少年の事案。
駄々をこねる子を懲らしめるために林道に置き去りにし、反省したかなとしばらく時間をおいて戻ったらいなかった、という話。
結果的には、5km以上離れた自衛隊の演習場の小屋の中で雨露をしのいでいて、元気な姿で発見されたのだ。
クマなどに襲われたのではないか、がけに落ちたりしたのではないか、と死体捜索も並行して行われていただけに驚きの結果だったんだよね。
少年の幸運がすごいのか、サバイバル能力が高かったのか。

こういう迷子みたいな話は子供だけじゃなくて、おt名の場合もあるんだよね。
大人の場合で「遭難」じゃなくて「行方不明」になるのはまたりゆうがあるのだけど。
映画「ピアノマン」のように記憶をなくして一時行方不明になっていた(と主張している)のは当時物まねタレントだった若人あきら(現・我修院達也)さん。
我が国で民俗学を立ち上げた柳田国男翁も「遠野物語」や「山の人生」で取り上げているけど、山間の村ではちょいちょい大人が山や森に入って帰ってこない、というのはあったみたい。
精神に異常をきたして(=乱心して)出奔するような場合もあれば、いわゆる「山の民」のコミュニティに入り込んでしまって帰ってこなくなった場合もあるみたいだけど。
柳田翁の紹介している民話の事例の中にも、「神隠し」にあった女性が山の中で再発見されたときに、鬼(=山の民?)にかどわかされて一緒に暮らしている、もうもどれないと語った、みたいなのがあるけど、これは完全に新たコミュニティに取り込まれたっていう話だよね。
江戸時代は「山の民」、昭和は「北」というわけで・・・。

さて、今回は中学生なので、ある程度分別はありながら、子供でもあるわけで。
家出かもしれないし、事故かもしれないし、事件かもしれない。
いずれにせよ、元気な姿で見つかることを祈るばかりだね。

2026/01/24

ホームでガード

 有楽町線/副都心線の地下鉄赤塚駅で総長に人身事故が発生して大混乱になったのだ。
この路線って、東武東上線、西武池袋線、東急東横線・みなとみらい線、東急新横浜線・相鉄新横浜線、相鉄本線・いずみ野線といろんなところとつながっているから、どこかでトラブルがあると大変なことになるのだ。
かつ、今回のように東武東上線と並行して走っている場所だと、振り替え輸送で東武東上線の混雑が激化したりととにかく影響が多いんだよね。
はた迷惑な話だ・・・。

よく考えると、東京メトロのほぼすべての駅にはホームドアが設置済み。
でも、南北線以外についてはハーフハイトと言われる一定の高さの可動式のホーム柵があるタイプなので、のr越えようと思えば乗り越えられてしまうんだよね。
他に利用客が多ければ騒ぎになるけど、総長で人がいない時間だと気づかれずに乗り越えられてしまったのだと推測できるよ。
南北線で採用されているフルハイトは、天井までしっかり壁になっていて電車の登場口に合わせて開閉する扉があるタイプ。
でも、これって導入コストが高いので、全く新規に液を作った南北線だと導入で来ても、すでに運航している駅に導入するのは厳しいんだよね。
で、東京メトロで採用されているのは、胸くらいの高さ(1.3m)の可動式ホーム柵で、荷物を電車に引っ掛けたり、つまずいて転んだりみたいな事故は防げるのだ。
でも、柵の上から手を出す、乗り出す、今回のように乗り越えるみたいなリスクは残るんだよね。

日本でホームドアが最初に導入されたのは、1970年の大阪万博に合わせて開通したモノレール(万博記念公園を通っている大阪モノレール)。
その後、やはり大阪万博に合わせて開業した東海道新幹線の熱海駅で導入されたのだ。
熱海駅は「こだま」しか止まらなかったので「ひかり」がかなりの速度で通過していくんだけど、駅の立地上対比路線がとれず、ホームの中に入ってきて危ないので、ということで引っ掛けられないように策が導入されたみたい。
その後、神戸ポートピアの会場だったポートアイランドと三宮を結び神戸新交通ポートアイランド線で導入されたんだけど、これは無人運転の新交通システムなので、安全性確保のために導入されたようなのだ。
いわゆる普通の鉄道で導入されたのは東都高速度交通営団地下鉄(当時)の南北線。
こちらは気合を入れてフルハイトにしたわけだけど、以降順次導入されたのはハーフハイトの可動式ホーム柵になるのだ。
ちなみに、関西に出張でいったとき、はじめてロープが上がってくるタイプのホームドアを大阪環状線で見たけど、あれはさらに導入コストが安いそうだよ。

なんでホームドアの導入にそこまで費用が掛かるかというと、どうも列車の乗降口とホームドアの扉の位置合わせが大変みたい。
確かに、少しずれただけで相当乗りにくいよね・・・。
時々あるけどオーバーランもあるので、自動システムにしようとすると、適切な位置に列車が入ってきた場合だけホームドアが開くようにしないといけないのだ。
これを列車と駅側の設備を連携させてやっているらしいんだけど、それはお金がかかるよね・・・。
なので、ちゃんとした位置に列車が止まったときに駅員さんが主導で開く、という駅もあるみたい。
最近では、列車の外側にQRコードがはってあって、それをホームにあるカメラが認識して位置情報を確認する、なんて方法もあるみたいで、これだと列車側の改修が不要なので、導入コストが下がるみたい。
ホームドア未設置はおそらく地方の、あまり乗降客数の多くない駅だろうから、どうやって安く導入するかが重要になるわけだよね。

上にも少し書いたけど、ホームドアを導入したから安心というわけでもなくて、ホームドアの種類によってリスクは残っているのだ。
一番安全に見えるフルハイトも、ホームと列車の間が開いていると、ホームドアと列車の間に挟まれる人が出てくるというリスクがあるんだよね・・・。
意図的に挟まる人はいないだろうけど、満員電車で列車の中に入り切れなかったとか、酔っ払いがはさまっちゃったとか。
ハーフハイトの場合は、乗り越えられる、柵の上に乗り出すというのが当然あるし、乗降式のロープタイプは下をくぐれてしまう、というリスクもあるのだ。
なので、ホームドアを導入したうえで、残ったリスクを踏まえて必要な対処をしないといけないってことなんだよね。
もちろん、リスクフリーはめちゃめちゃ高コストになるので、あふぉーダブルな範囲でリスクとコストを天秤にかけるわけだけど。
今回に限らず、ハーフハイトのホーム柵を乗り越えた事例はいくつかあるようなので、そのうちもう一工夫入ったホームドアが登場するかも、

2026/01/17

クールじゃなかったランニング

 ボブスレー日本代表がかわいそうなことになっているのだ。
協会の方でルールがよく把握できていなかったらしく、3週間後に迫ったミラノ・コルティナ冬季五輪に出場資格未達で参加できなくなったのだ。
報道に触れているだけだとすごく不思議なのだけど、出たかったのはボブスレー2人乗りの競技なんだけど、新たな国際ルールでは、ボブスレー4人乗りの大会にもきちんと出場してポイントを稼いでおかないと行けなかったらしく、日本チームはそっちに全く参加していなかったのでオリンピックへの出場資格が得られなかったみたい。
他国の選手から「日本は4人乗りに参加してないけど大丈夫?」と指摘されて慌てて調べたらそれが判明し、協会の方で主催側の国際ボブスレー・スケルトン連盟(IBSF)に救済措置を求めたけど却下されたんだとか。

もともと、北京大会までは2人乗り、4人乗りのそれぞれで予選があって、そこで勝ち抜けばよいというシンプルなシステムだったみたい。
それが、今回のミラノ・コルティナ大会から2人乗りと4人乗りの両方の国際大会に出場してポイントを獲得していくシステムに替わったんだって。
これはおととしのIBSFの議会で決定し、その旨日本の協会にも通知があったようなんだけど、そもそもその議会には日本の協会からは参加しておらず、担当者に任せっきりのぜい弱な体制だったので、その担当者が見逃したら「はいそれまでよ」ということだったみたい。

さらにそもそものその根本原因は、ボブスレーが日本国内ではマイナーな競技だということなんだよね。
映画「クールランニング」で知られるようになったけど、実はボブスレーは冬季五輪第1回のシャモニー・モンブラン大会から採用されている伝統的な競技。
日本でも札幌大会、長野大会の時に北海道と長野県にコースが作られたんだけど・・・。
現時点で国内で正式に競技に使える施設はゼロ。
長野は休止中なのでお金があれば再開できるみたいだけど、北海道の移設はすでに廃止されているって。
なので、国内では国際隊顔も開けず、練習もままならない状態。
同じそり競技のリュージュに比べてもボブスレーのそりはお金がかかるし、ますます選手への負担が大きいので競技人口も増えづらいということなのだ。

最初から協会があてにできなくて、選手自らが全部国際ルールの変更なども含めてフォローするような超マイナーなスポーツならまだなんとかなったかもだけど、日本で2回も冬季五輪をしたからか、きちんと国内協会があるんだよね・・・。
そこには人的にも資金的にも十分な体制ではなかったようだけど。
そういう意味ではポテンヒット的に起きてしまった「事故」のような話なんだけど。
さすがに4年に一度しかないオリンピックに出られないというのは選手からしたら辛すぎるよね。
上記のような国内の状況の中で頑張ってきた人たちなわけだし。

では、なぜそんなルール変更をしたのか?
正確な意図はなんとも言えないけど、AI君によると、特定の種目だけでなく、広く国際大会への参加を促すため、と言われているようだよ。
日本でもマイナーなくらいから、世界的にはそこまで競技人口は多くないような気もするけど、だからこそ、大会により多くの選手に出てもらい、経験値を積み、競技レベルの底上げをしたい、ということのよう。
建前はそうでも、ただでさえ遠征費がかさむのに、両方の国際大会にちゃんと出て成績を残さないといけないなんてハードルが高すぎるような・・・。
こういうスポーツの国際ルールは影響力の強い国々の意向が反映されるから、特定の勢力に有利なようにルール亜変更された可能性はぜろじゃないけどね。
特に、欧州各国であればそこまで遠征費用もかからないわけで、国際大会の梯子もなんとかなるよね・・・。
不幸にもこういう形で脚光を集めてしっまったけど、国内でボブスレーをがんばっている選手に支援が集まるようになればよいけど。

2026/01/10

遠くでぐらーり

 先日の鳥取・島根の地震で、改めて「長周期地震動」というのが注目されるようになったのだ。
端的に言えば、字のごとく、周期が長い地震動ということ。
ここでいう地震動の周期というのは、揺れが行って帰ってで最初の状態に戻るまでにかかる時間。
横揺れでも縦揺れでも波である以上は位置がずれっぱなしになるわけではないのだ。
普段「地震だ」って感じている揺れは短周期で数秒以内(震度の基準にしているのは0.2~1秒のゆれ)。
長周期はそれより長いものということだけど、数十秒を越えるもの、分の単位になるものもあるようなのだ。
大きくゆっくり揺れる地震波ということだね。


地震が発生すると様々な周期成分で地震波が発生するんだけど、震源地の近傍で発生後すぐに感じる揺れは短周期のもので、多くの場合減衰も早いのですぐに収まるのだ。
一方、長周期のゆれは短周期のゆれにくらべて感じづらいけど、より遠くまで届き、減衰もしづらい(やわらかい地層の表面波だと増幅されてしまう)という特徴があって、震源地から離れたところで時間差で揺れたりするみたい。
実際、東日本大震災のとき、震源地から比較的離れていた東京都心部のゆれは長周期のゆれで、道路標識や信号がぐわんぐわん揺れたり、高層ビルが共振で揺れて中にいる人が船酔いのような状態になることもあったのだ。
おどろくことに、大阪の構造ビルも揺れてえれべたーが止まっていたりりしたんだって!
短周期のゆれは貞操の建物に大きな影響を及ぼすけど、長周期の場合は構想の建物に影響が出やすく、建築物の固有振動数と重なって共振するとしばらく大きく揺れ続けるのだ。
ちなみに、単純に二次元でぐらぐらするだけではなくて、縦波と横波のミックスなので三次元にねじれのある揺れ方になるらしいよ。

むかしはそこまで構想の建物がなかったのでよかったのだけど、高層建築が増えてきた現代では、この長周期地震波にも対応しないといけない。
でも、ここで問題が!
地震の影響度を測る指標の「震度」は地表面で短周期の地震波の影響を図る指標で、長周期の地震波の揺れの影響にはきれいにマッチしないんだよね。
なので、別の指標が必要だ、ということになって、新たに「長周期地震動階級」というのが作られたのだ。
今回の参院の地震波最大の「階級4」なんだけど、各階級は以下のような感じ。
詳しくは気象庁の解説ページがわかりやすいよ。

【階級1】
(人の体感・行動)室内にいたほとんどの人が揺れを感じる。驚く人もいる。
(室内の状況)ブラインドなど、吊り下げものが大きく揺れる。

【階級2】
(人の体感・行動)室内で大きな揺れを感じ、物に掴まりたいと感じる。物につかまらないと歩くことが難しいなど、行動に支障を感じる。
(室内の状況)キャスター付き什器がわずかに動く。棚にある食器類、書棚の本が落ちることがある。

【階級3】
(人の体感・行動)立っていることが困難になる。
(室内の状況)キャスター付き什器が大きく動く。固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがある。
(建物への影響)間仕切壁などにひび割れ・亀裂が入ることがある。

【階級4】
(人の体感・行動)立っていることができず、はわないと動くことができない。揺れにほんろうされる。
(室内の状況)キャスター付き什器が大きく動き、転倒するものがある。固定しない家具の大半が移動し、倒れるものもある。
(建物への影響)間仕切壁などにひび割れ・亀裂が多くなる。

ちなみに、2013年に基準を作ってから初めて最大の「階級4」が観測されたのは2016年の熊本地震。
その時は震度6強で、その後も震度が6強や7の時に観測されていたんだけど、今回は震度5強なんだよね。
原理的には、地震の強度が大きい(=マグニチュードが大きい)地震ほど長周期のゆれも強くなるようなので、今回の震度5強で階級4というのは珍しいのかも。
地震波の伝わる地層の硬さや湿度なんかにも影響されるようだから、地理的にたまたま長周期の波が強く出るような感じだったのかもだけど。

2026/01/03

奈良の春日の青芝に

 年末に奈良に行ってきたのだ。
今回は桜井や飛鳥の方を回ったのだけど、最終日は春日大社へ。
そう、鹿の本場だ。
たくさん鹿がいるよね。
さすがにここの鹿は神使だから大事にされているわけだけど、ニホンジカは古来から日本人にとって身近で重要な狩猟対象だったんだよね。

まずは皮革。
日本の武具や馬具に使われる皮革のほとんどは鹿革。
鹿革(ディアスキン)は一般的に軽くて引っ張り強度があり、通気性があってなめらか。
手袋にいいといわれているんだけど、まさに武具にはちょうどよい性質なのかも。
ただし、鹿革の最大の欠点として、なめした後の表皮側に当たる「銀面」がはがれやすい、というのがあるのだ。
なので、革小物に用いると表面がぼろぼろになりやすいのだ。
そういう意味では実用品向きなのかもね。

そして、角(枝角)。
プラスチックがなかったむかしは、適度に硬くて加工しやすく、水でふやけない素材は重要だったわけだよね。
骨や亀の甲羅と並んで動物の角は重要なものだったのだ。
特に、鹿の角は毎年生え変わるので、鹿を狩猟できなくても手に入るのだ。
うまいタイミングで山に入れば拾えるわけだ。
これは利用しやすいよね。
今では装飾品に使うのがメインだと思うけど、縄文時代には釣針とかにも加工して使っていたみたい。

何より大事なのは食肉。
ジビエとして最近よく見かけるようになっているけど、一般に肉食が近畿だった江戸時代も「薬食い」として猪肉(ぼたん)と並んで鹿肉(もみじ)よく食されていたようなのだ。
少し臭みhがあるけど、低カロリー、低資質、高たんぱくで、やわらかい赤身肉でヘム鉄を多く含んでいるのだ。
ジビエとしてはかなり食べやすいので出す店も多いんだよね。
ただし、寄生虫などのもんだいがあるので、決して生で食べてはいけない肉でもあるのだ。

一時期山野部の開発で生息数が多く減ったのだけど、最近はまた増えてきていて、獣害の方が問題になってきているよね。
なので害獣駆除として狩猟される個体が増えて、ジビエで提供される機会も増えたのだ。
鹿は装飾だと思われているけど、実は雑食でなんでも食べるんだよね。
積極的に食べるのが植物性のものがおおいというだけで。
犬歯も発達しているので、かまれると危ないのだ。
ヤギと同じように草でも樹皮でも何でも食べてしまうので、数が増えすぎると山が荒れるのだ。
ここのところ問題になっているクマの問題も、鹿が増えすぎて相対的に熊のえさが減って里に下りてきている、とかいう説もあるくらいだしね。

というわけで、適正な数に抑えたいわけだけど、自然の鹿は管理がむずかしいんだよね。
奈良公園の鹿なんかは鹿せんべい以外エサはあげない、おいかけたりしない、角切りして人との事故を避ける、などなどの保護と管理をしているわけだけど、これは長年神獣として鹿を大事に扱ってきている伝統があるからできることで。
野生の場合は増えすぎたら間引きするしかないんだよなぁ。
鹿は大型動物なのであまり点滴もいないしね。
そういう意味では、せっかきょく狩猟対象になるなら、革や角、肉は最大限有効活用しないとね。