2007/06/07

人工衛星

天気予報を見ていて、気象衛星のことが気になったのだ。
気象衛星は静止衛星のひとつだけど、静止衛星って本当に「静止」しているわけではなくて、地球の自転と同じ速度で赤道上空を回っているから「止まっているように見える」ということなんだよね。
実際には、赤道の上空約36,000kmをまわっているのだ(物理学的により正確に言うと、「永遠に落ち続けている」ということみたい。)。

これはニュートンさんの古典物理学で軌道の高さが決まっているんだよ。
実際にわりと簡単に計算できて、地球の重力を向心力とする等速円運動として考えると、この値が出てくるのだ。
運動方程式にあてはめると、向心力=人工衛星と地球の間の万有引力(すなわち重力)となるので、地球の質量をM、人工衛星の質量をm、地球の赤道半径をR、人工衛星の軌道高度をr、で、万有引力定数をGとすると、

 向心力=重力=GmM/(R+r)

となって、等速円運動の時の向心力は、円運動の角速度ωとすると、m(R+r)ωになるから、

 角速度ω=GM/(R+r)

となるのだ。
この円運動の周期Tは、2π/ωなので、

 周期T=2π×(R+r)3/2/(GM)1/2

となるわけ。
この式がおもしろいのは、人工衛星の質量は関係なくて、軌道の高さだけで周期が決まるということなのだ。
どんな重さの人工衛星でも、軌道高度が同じなら同じ周期で地球のまわりを周回するんだよ。
このTが24時間で、地球の質量Mが6×1024kg、赤道半径Rが6,400km、万有引力定数Gが6.7×1020/skgなので、rを求めると、約36,000kmが出てくるよ。
(自分ではきちんと計算していないけど、だいたいそんな値が出るはずなのだ・・・。)

で、カーナビに使われているようなGPS衛星は、12時間周期で地球のまわりを回っているんだよね。
上の式からそれを考えてみると、(36,000+6,400)で24時間で、その半分だから、GPS衛星の軌道をr’とすると、42,4003/2=2×(r’+6,400)3/2になって、

 r’=42,400/41/3-36,000

になるのだ。
4の立方根はだいたい1.6くらいなので(1.6の三乗は4.096)、約20,000kmという値が出てくるんだよね。
実際にGPS衛星の軌道高度は20,000kmくらいなので、この式はおおよそあっているのだ。

でも、実際には地球は完全な球体じゃなくて重力に偏りがあるし、人工衛星の軌道も完全な円軌道ではないので、少し値はずれるのだ。
それに、月や太陽の引力の影響、地球のまわりにある微量の粒子による摩擦の影響なども受けるので、人工衛星の軌道は徐々にずれていってしまうんだって。
なので、実際の軌道を観測しながら、微修正をしているのだ。
人工衛星にはスラスタなどの軌道の高さを一定に保つための装置がついているんだよ。
で、この人工衛星を一定の軌道にとどめる操作を運用と言うのだ。

静止衛星を打ち上げるときは、北半球では東打ちといって東の方向に向けて打ち上げるんだけど、これにはわけがあるんだ。
北半球で東の方向に打ち上げると、地球の自転と同じ方向に打ち上げることになるので、打ち上げたロケットの速度に地球の自転速度の分が上乗せされることになるのだ。
ロケットが地上に落ちずに静止軌道まで人工衛星を届けるためには、それだけの推力とスピードが必要なんだけど、特に軌道高度の高い静止衛星の場合は地球の自転速度の分の上乗せでより効率的に打上げができるということなのだ。
(実際には静止軌道への遷移軌道に投入するんだけどね。)
よく地球の自転による遠心力を推力に上乗せしていると誤解されるんだけど、地球を止めてみた場合の遠心力は重力の抗力で実際には関係していないのだ。

2007/06/06

エイズ発見の日

今日新聞で「今日は何の日?」のコーナーを読んでいたら、エイズ発見の日であることがわかったのだ。
1981年、ロサンゼルスの同性愛者の男性が奇妙な肺炎の症状を示していることを米国疾病管理センター(CDC:Center for Desease Control and Prevention)が症例報告して、これが後にエイズであることがわかったんだって。
その前から怪しい病気があることは認識されていたけど、このときを境に「エイズ」という病気が認識されたので、エイズ発見の日となったのだ。

エイズ(AIDS)は、後天性免疫不全症候群(Acquired Immune Deficiency Syndrome)の頭文字をとったもので、名前のとおり、後天的に(=生まれながらではなくて)、免疫機能がダメになってしまう病気なのだ。
この病気はヒト免疫不全ウィルス(HIV:Human Immunodeficiency Virus)による感染症で、エイズ発見の年から2年後の1983年にはパスツール研究所で見つけられているんだって。
今では詳細な遺伝子構造なんかまでわかっているんだよね。

エイズの病原のHIVはレトロウィルスという種類のウィルスで、遺伝情報をリボ核酸(RNA)の形で保存しているのだ。
で、このHIVはヒトのリンパ球のひとつのT細胞に進入して、自分のRNAを鋳型に、T細胞のデオキシリボ核酸(DNA)にあるもともとの遺伝情報を書き換えてしまうのだ!
これを逆転写(reverse transcription)と読んでいて、レトロウィルスの「レトロ(逆)」はここから来ているのだ。
で、免疫系がダメにされてしまうので、だんだんと病気にかかりやすくなっていくんだよね。
最初はカゼのような症状だけど、末期には、普通の人は自然免疫のおかげでかからないような感染症にかかってしまったり、がんにかかりやすくなってしまうのだ。
潜伏期間が長いことも特徴で、いつ発症するかわからないところもおそれられているんだよね。
エイズの判定テストも、ある程度ウィルスが増殖した状態でないと検査できないので、感染後数週間から1ヶ月たたないとわからないらしいのだ。
これがますます感染を拡大する原因にもなっているんだよね。
今では世界中でどんどん感染者が増えているのだ。

今ではエイズの治療薬も多少あるけど、これはHIVの特徴でもある逆転写を止めるもので、逆転写酵素を阻害するのだ。
でも、HIVの増殖を抑えるだけで、HIVを駆逐するわけではないので、根治にはいたらないんだよね。
他にもHIVに特徴的なタンパク質合成を阻害するプロテアーゼ阻害剤というのもあるんだ。
これはHIVを構成するいくつかのタンパク質がはじめは一本の長いタンパク質として作られて、それがいくつかのパートに切断されて作られていくことをターゲットにしたもので、その切断を阻害してしまうことでウィルスの増殖を抑えるのだ。
でも、これもやっぱり根治にはいたらないんだよね。

エイズといえば有名な都市伝説があって、「エイズ・メアリー」(男女が入れ替わった「エイズ・ハリー」というバージョンもあるのだ。)というものがはやったことがあるのだ。
これは、旅先のバーで知り合った女性と意気投合し、そのまま勢いで一夜をともにしてしまうんだけど、翌朝はその女性は消えているのだ。
で、ふと鏡台を見ると、口紅で「エイズの世界へようこそ」と書いてある、という話なんだよね。
これはエイズがもっぱら体液接触で感染することから来たもの。
カゼのように飛沫感染はしないので予防はしやすいはずなんだけど、潜伏期間が長くて自分がウィルスのキャリアだって知らないことも多いので、なかなか難しいみたい。
それと、そもそも途上国ではまだまだ避妊具が普及していないこともあって完全な予防は難しいみたい。
よく途上国に避妊具を普及させるキャンペーンをやっているよね。
他の感染経路しては、母体から胎児へ感染してしまう垂直感染や、HIVを含む輸血用血液や血液製剤の使用による薬害があるんだよね。
特に薬害エイズは大きな社会問題にもなったけど、これは完全に人為的なミスでもあるから、誰かの責任を追及するのもいいけど、二度と起こさないようにすることがまず一番大事だと思うな。

エイズに似た病気は動物の世界にもあって、HIVはもともとサルのウィルスがヒトにうつって進化したものと考えられているんだよね。
RNAはDNAより不安定な物質で変異が入るのが早いので、比較的短期間でヒトにエイズを発生させるウィルスになった可能性もあるのだ。
ネコにも同じようなウィルスがあって、通称ネコエイズと呼ばれているのだ。
後尾だけでなくてけんかのときの傷口からも感染するので、野良猫の間でかなり流行してしまって問題になっているんだよ。
飼い猫でも基本的には自由に外に出るから、けんかしたり野良猫と交尾させないように気をつけないといけないのだ。

2007/06/05

命か、権利か

米国では来年の大統領選に向けて議論が活発化してきたのだ。
共和党、民主党それぞれ大統領選の候補者はあらかた出そろったという感じ。
これから予備選まで資金集めと支持集めが続いて、来年のはじめに両党で候補者を決定、10月のTV討論を経て、11月に本番の大統領選なのだ。

米国の大統領選では、毎回のように「中絶(abortion)」問題が議論になるんだよね。
日本だとそんなに議論になることはないけど、こっちでは、胎児であろうと生命を尊重しようとするpro-lifeの人たちと、中絶はあくまでも女性の社会参加のための権利・選択肢のひとつであって容認されるべきとするpro-choiceの人たちの議論が戦わされるのだ。
保守の共和党はpro-life、革新の民主党はpro-choiceのことが多いよ。
米国はもともと英国から清教徒(ピューリタン)が船でわたってきたところから始まるわけで、今でもキリスト教の戒律にはうるさい人たちがいるのだ。
その一方で、自由の国でもあるから、合理的な範囲では可能な限り選択肢を持てる社会を構築しようともしているのだ。
で、このせめぎ合いがこの中絶問題で表面化してくるという図式。

今のブッシュ大統領は共和党で保守派だから、基本的にはpro-lifeの考え方で、そのためにヒト胚性幹細胞(ES細胞)の研究にも消極的なんだよね。
(すでにあるものは使っていいけど、新たに作ってはいけない、という考え方。実際には連邦予算から研究助成をしないということで、禁止しているわけではないけど。)
その一方で、pro-choiceの民主党はヒトES細胞の研究を進めるための法案を用意して議会に提出するんだけど、そのたびに大統領の拒否権の発動にあって実現しないのだ。
この問題は中絶そのものだけじゃなくて、そういうところにまで影響しているんだよね。
二律背反だからわかりやすいといえばわかりやすいんだけど。

キリスト教では、受精の瞬間から生命が始まると考えるので、中絶は殺人と同じなんだよね。
これはローマ法王庁の公式見解で、前のヨハネ・パウロ2世はわりとマイルドな物言いだったけど、今のベネディクト16世はかなり強くこの意見を表明しているよ。
南米は世界的にもっとも多くのカトリック信者がいる地域なんだけど、その中でもカトリック信者がもっとも多いブラジルで、経口避妊薬(いわゆるピル)を認める法案の動きがあるのだ。
で、先日ブラジルを訪れた法王はこの動きに対して非常に強い懸念を表明していて、米国ではかなり報道されていたんだよ。

ローマ法王庁としては、「夜の営み」は子供をもうけるための行為であって、決して快楽のためだけにしてはいけない、という見解なのだ。
これは仏教の五戒の「不邪淫」も同じだけど、キリスト教の中でもカトリックでは特に厳しいんだよね。
カトリック系信者の多いアイルランドでは実際に中絶が禁止されているんだけど、レイプされて子どもを身ごもってしまった少女の中絶が許されるかどうかが大問題になったこともあるくらい!
そういう見解だから、避妊具を使うことにもローマ法王庁は否定的で、「オギノ式」(もともとは過去の月経周期から次の排卵日を予測する方法であって、不妊治療の目的で開発されたものなんだけど、今ではその逆の避妊法に使われてしまっているのだ。)が「法王も認めた唯一の避妊法」といわれるのもこのためなんだよね。
たしかにローマカトリック教会で唯一認めている避妊法なんだけど、本来的にはバース・コントロールという考え方自体がキリスト教の教えに違反しているはずだから、生まれないように工夫するっていうのはまずいような気もするんだけどな・・・。
人間の自然の周期をうまく使って、人工的な薬や器具に頼らないっていうところで妥協しているのかな?

日本では、「母体保護法」(かつては「優生保護法」)という法律で「限定的」に中絶が認められていて、一般的には刑法で「堕胎罪」が定められているので禁止されていることになっているのだ。
刑法第212条から第216条までの第29章が堕胎に関する罪を定めたもので、妊娠した女性が自分で薬等を使って堕胎しても1年以下の懲役になるし、妊娠した女性から頼まれて堕胎させた場合は2年以下の懲役なのだ。
これに対して、母体保護法では、「妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの」と「暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの」の場合は例外的に人工妊娠中絶を認めているという構図で、この母体保護法が刑法の特別法になって、日本では合法的に中絶が行われているのだ。
で、ほとんどの場合は「経済的理由」というやつで中絶しているんだよね。
たまに母体の健康状態がかんばしくなくて、妊娠状態を継続することが母体の生命を脅かすおそれがある、として中絶される場合もあるけど。
(前の「優生保護法」時代は、優生思想に基づいて「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」ことも目的になっていたので、当時は遺伝すると考えられていたハンセン病の人は不妊手術をされたり、中絶させられたりしたんだよ。それで悪法であると非難され、昭和23年に改正されて母体保護法になったのだ。)

で、刑法ではわざわざ「堕胎の罪」なんていうのを用意しているくらいなので、「堕胎」は「殺人」でないのだ。
これは、「胎児」は「人」として扱わないってことで、一般には生まれた瞬間から「人」と考えることにして、母親のおなかにいる間は「胎児」として区別するみたい。
一方、民法においては相続や損害賠償に関する条項で、「胎児は既に生まれたものと見なす」、という規定があって、「胎児」であっても「人」と同じ扱いをしていて、刑法とは考え方を異にしているんだそうだよ。
さらに、「生まれた」という状態を、一部でも出てきた瞬間ととらえるのか、全部が出てきた瞬間ととらえるのかでも議論があるし、さらに、帝王切開した場合の扱いや、超未熟児についてどう考えるかなど(これらは自然状態では「生まれていない」ことになるよね。)、グレーゾーンも多くて明確にはボーダーラインが引けないみたい。
なので、個別に判例を重ねていくということらしいよ。
ちなみに、「死体解剖保存法」では、「死体」を「妊娠四月以上の死胎を含む」としていて、妊娠4ヶ月以降なら、死んだ「胎児」も死んだ「人」と同じに扱っていて、また刑法や民法と違う扱いをしているんだよね。
なんだか複雑なのだ。

2007/06/04

たんたんたぬき

タヌキは、むかしから人里近くにも住んでいたので、日本人にとても親しまれてきた野生動物なのだ。
なのでよく民話とかにも登場するんだよね。
でも、必ずしもきちんとタヌキを識別できていたわけじゃなくて、姿・大きさの似ているアナグマやテン、ハクビシンなんかもいっしょくたに扱われていたっぽいんだよね。
それで方言なんかに混乱が見られるのだ。

タヌキの異称として、ムジナとかマミとかがあるけど、どれが何を指すのかは地方によってもまちまちで一定していないのだ。
一般には、ムジナはアナグマのこととされるけど、どうも後付けみたいなんだよね。
マミにいたっては、辞書で調べると、「タヌキ又はアナグマ」とか書いてあるんだよ!
なので、タヌキとかムジナとかマミっていうのは、人々のイメージの中でタヌキっぽい動物一般を指す言葉で、きちんと区別して使っていたわけではなさそうなんだよね。

タヌキは食肉目イヌ科の動物で、アナグマは同じ食肉目でもイタチ科で近くで見ると全然違うんだよね。
でも、タヌキはアナグマが使っていた穴を巣穴にしたりするので、余計に混同される結果となったのだ。
ハクビシンは食肉目ジャコウネコ科の動物で、長らく中国大陸からの帰化動物と考えられていたんだけど、よくよく調べてみると、タヌキやアナグマと区別されていなかっただけで、もとから日本にいたものかも、と考えられ始めているらしいのだ。
ハクビシンもやっぱりアナグマやタヌキが使った巣穴を使うんだって。
こうやって同じような行動ばかりするから間違われるんだよね、本人たちはそんなこと知ったこっちゃないだろうけど(笑)

俗にタヌキは「八畳敷」なんて言うけど、実際のタヌキの睾丸は体のサイズに比べて特別大きいわけではないのだ。
はく製を見れば一目瞭然。
これは、むかし金細工を作るときにタヌキの皮を使って延ばすと金がよく延びたので、そこからイメージがついたみたい。
一説には1匁(3.75g)の金が八畳程度の大きさまで延びるからとのこと。
さらに、福を呼ぶイメージが定着し、タヌキの置物がかざられるようになったらしいのだ。
で、大きな「袋」はそのときのおまけみたいなものみたいだよ。
「金がよく延びる」からデフォルメして大きくしたんだろうね。

キツネに比べるとおっとりした感じで親しみやすいけど、これはタヌキの動物としての性質によるみたい。
キツネはかなり俊敏な動物で、警戒心も強いんだけど、タヌキはどちらかというとどうもまぬけな感じなのだ。
「タヌキ寝入り」なんて言うけど、これは漁師の鉄砲の音に驚いてタヌキが気絶してしまうことから来たようで、漁師は仕留めたと思って捕まえるんだけど、実は気絶してただけなので、油断していると後で逃げてしまうのだ。
これが死んだふりと思われたわけだけど、ようは臆病で逃げることもできずに腰をぬかしているんだよね(笑)

タヌキの中には妖術で高名な(?)やつがいるのだ。
このへんはキツネや天狗といっしょなんだけど、それだけ妖怪としても庶民にも親しまれていたってことかな?
四国の八百八狸を従える隠神刑部(いぬがみぎょうぶ)、屋島の禿(はげ)、阿波狸合戦を制した金長大明神、佐渡からキツネを追い出した団三郎、芝居見物を好んだ淡路の芝右衛門などなど、有名な狸がたくさんいるんだよ。
どれもちょっとにくめない性格で描かれているのが特徴だね。
冷酷に描かれることの多いキツネやネコとは違うのだ。

これらの有名なタヌキたちも登場する、スタジオジブリの「平成狸合戦ぽんぽこ」にもあったけど、最近は山間部の開発が進んでいるので、タヌキは少なくなってきているんだって。
なんだかさびしい話だよね。
山が狭くなって、里に下りてくると、畑を荒らすので害獣とされたり、高速道路で車にはねられたりとさんざんだよ・・・。
愛らしい動物なので、なんとか自然を保護して生き残ってほしいよ。

2007/06/03

血液型

今日は医学関係の展示と遺伝学の展示を見たので、血液型のことが気になったのだ。
これって、一番身近なものだよね。

日本で一般に「血液型」と言われているものは、1900年にオーストリアの医学者のカール・ラントシュタイナーさんが発見したABO式のことなのだ。
この他にも、Rh式なんかは有名だよね。
他にも、MN式とかもあるそうだよ。
臓器移植とかになると、これに白血球の型(HLA抗原の型)なんかも出てくるのだ。

この血液型と性格判断をリンクさせているのは、日本と一部の国だけで、外国では通じないんだよ。
星占いは共通しているんだけどね。
血液型と性格・行動については、統計学的にも相関はなさそう、という結果は示されているみたい。
性格に影響を与えるような遺伝子と血液型を決める遺伝子が染色体上ですぐ近くにあったりすれば、ひょっとしたら関係はあるのかもしれないけど、肯定的な証拠は出ていないのだ。
一般的には、あんまり関係ないと言われているよね。
そもそも、血液型ごとの性格も、誰にでもそういう一面はあるよな、っていうのが多いのだ。

このABO式の血液型というのは、赤血球表面の糖鎖抗原の違いで、A型の人はB型の抗原に対する抗体を持っていて、B型の人はA型の抗原に対する抗原を持っているのだ。
O型の場合はこの抗原がまったくない状態で、A型・B型両方の抗原を持っているんだよ。
逆にAB型は両方の抗原を持っているので、抗体はないのだ。
で、この抗原と抗体の反応が起こるから、血液型の異なる血液を混ぜると凝集が起こるというわけ。
簡易的な血液型テストはこの抗原への反応性で赤い凝集(沈殿)ができるかどうかで調べるんだよね。

で、この血液型はよく遺伝学の授業でも出てくるんだけど、A型抗原の情報を伝えるA遺伝子、B型抗原の情報を伝えるB遺伝子、どっちの情報も持っていないO遺伝子があって、その組み合わせなのだ。
A遺伝子とB遺伝子は優劣がないんだけど、O遺伝子はA遺伝子、B遺伝子に対して劣性なんだよね。
なので、例えば同じA型でも、AA型の遺伝子の人と、AO型の遺伝子の人がいるのだ。
なので、A型とB型の両親からO型の子どもが生まれることがあるんだよ。
このせいで血液型で血がつながっているかどうかを単純に判断しようとするとむずかしいんだよね。
祖父母の代までさかのぼって血液型を調べたり、いろいろなパターンを考えないといけないのだ。

世界全体ではO型の血液の人が多いらしいけど、日本はA型が多かったりと、地域でのかたよりがあるみたいなのだ。
そういうのを考えると、なんか血液型が民族性に影響を与えているような気もしてくるよね。
例えば、鎌状赤血球症(sickle cell anemia)という特殊な病気があって、赤血球がまるい形じゃなくて「鎌」のような形にひしゃげているのだ。
で、酸素運搬能力がまるい赤血球に比べて劣るので貧血気味になるらしいんだけど、実は、この赤血球はマラリアに耐性があることが知られているのだ。
なので、貧血気味なのとマラリアにかかりにくいのの間で、この血液型の人たちも生き残ってきた、と言われているんだ。
ひょっとしたら、血液型でもそういう関係があって、地域ごとに「適した」型があるのかも。
残念ながら、血液型と病気との相関はほぼないことが証明されているので、あるとすれば、「暑いのに強い」とか、「乾燥に強い」とかそういうののはずなのだ。

2007/06/02

保安官

米国には警察のほかに保安官組織があるんだよね。
でも、どういう仕切りになっているかまったくもって不明なのだ。
で、少し調べてみたわけ。

保安官はもともと治安を守る自治組織として生まれたもので、保安官は選挙で選ばれるらしいよ。
西部時代は荒くれ者がなったりもしたみたいだけどね。
で、当時の保安官は警察業務だけじゃなくて一部司法(裁判に関する仕事)も扱っていて、日本で言うと江戸時代の町奉行の役割に近いのかも。
保安官というのは一番偉い人で、実際には副保安官や保安官代理という人たちが法を執行するんだって。
今でも全米各地に残っているけど、州ごと、群ごとでも役割は異なっていて、一概に何をしているとも言えないとか。
警察みたいな仕事をしている場合もあれば、囚人の搬送や刑務所の管理、令状の送付、ハイウェイのパトロールなど、特定の仕事だけをしている場合もあるんだって。
ますますわからないのだ。
でも、こっちの人も実はよくわかっていないみたい(笑)

警察は後からできた機構で、もともとは保安官を補佐するために組織されたとか。
それが政府の執行機関になって、犯罪の捜査やパトロール、交通規制なんかをするようになったのだ。
でも、この警察も複雑で、米国の場合は州ごとに役割が異なるらしく、階級や発令権限もまちまちなんだって。
警察は地域ごとじゃなくて、メトロ警察や議会警察など、特定の場所・団体に対する警察もあるみたい。
日本の鉄道警察隊や皇宮警察みたいなものだろうね。
さらに、警察のほかにも、連邦捜査局(FBI)や麻薬取締局などなど他にも捜査権を持っている執行機関がたくさんあって、とっても複雑な仕組みになっているそうだよ。

で、けっきょくわかったのは、州ごと地域ごとでまちまちなので、よくわからない、ってことかな(笑)
警察は「お上」だけど、保安官はより住民の方を向いていそう、というのはなんとなくわかったのだ。
選挙で選ばれるくらいだから当然なんだろうけど。

この保安官組織は地域ごとに規模が違うらしいんだけど、少ないところでは数人、多いところでは1万人を超えるとか。
で、全米最大の保安官組織と言われるのがロサンゼルス郡のもので、そこの保安官(一番偉い人だよ。)の名前は「バカ」保安官というらしいのだ(フルネームは、Lee Bacaさん)。
でも、名前とは裏腹に(というか、米国では「バカ」という名前に否定的な意味はないけど。)、人情家として知られていて、住民からとても慕われているそうだよ。
ロス市警と言えばコロンボ警部がいるけど、保安官組織にもすごい人がいたのだ!

2007/06/01

かつては不治の病

米国では、結核菌に感染した人が欧州と米国の間を航空機で往復して大きく報道されているのだ。
疾病対策センター(Center for Desease Control and Prevention)によって今は隔離されているんだけど、欧州からもどって来ちゃダメだっていったのにもどってきたとか、いろいろあるみたい。
で、今回はその結核について調べてみたよ。

結核は細菌性の感染症で、結核菌によって引き起こされるのだ。
日本名は、病気が進行すると肺に結節ができることから。
レントゲンで見ると、肺に影ができるので診断できるそうだよ(そのころには相当病気も進行しているし、専門医でないと診断できないんだよね。)。
この細菌を発見したのは細菌学の開祖といわれるロベルト・コッホさん。
ノーベル医学賞も受賞しているし、日本の北里柴三郎さんも師事した人だよ。
で、この結核菌という菌はやっかいで、血清の存在かでないと増殖しないんだよね。
なので、細菌性だろうと推測されていたんだけど、なかなか病原菌が特定できなかったというわけ。
それをコッホさんが成し遂げたわけだけど、他にも炭疽菌やコレラ菌も発見しているすごい人なのだ。

で、この結核は長い間不治の病とされてきて、特に日本では「労咳」なんて言われて、栄養をとって静養するくらいしかなかったんだよね。
新撰組の沖田総司さんも結核でなくなっているし、正岡子規さんも結核で亡くなっているのだ。
ちなみに、「子規」というのはホトトギスのことで、「血を吐くまで鳴き続ける」と言われることからそれを号としたのだ(いわゆる「鳴いて血を吐くホトトギス」)。
本名は「のぼる」というんだよ。

結核が日本でおそれられなくなったのは、ひとつにはツベルクリンとBCGのおかげで、これでかかる人が減ったのだ。
でも、欧州では必ずしもツベルクリンをやっていないし、米国ではまったくやっていないので、今回のように問題になっているのだ。
世界的には結核は毎年数多くの死者を出しているこわい感染症なんだよ。

で、この結核を劇的に治療できるようになったのは抗生物質のおかげ。
フレミングさんが青カビからペニシリンを見つけたのが最初で、これが結核などの細菌性の感染症に効くことがわかって普及し出すのだ。
日本でも戦後にはペニシリンやストレプトマイシンが使われるようになって、それまで死の病だった梅毒や結核も治療可能な病気になったんだよ。
映画「男はつらいよ」で主人公の寅さんを演じていた渥美清さんももともと結核もちで、それが原因で片肺を切除しているんだけど、抗生物質のおかげで治すことができたみたい。

抗生物質は細菌が作り出す物質で、自分以外の細菌を殺すことを目的にしているのだ。
これは縄張り争いのためで、自分たちが生き延びるためには、他の細菌が増殖すると困るわけで、他の細菌の増殖を止めるために自分のまわりに、自分は平気だけど他の細菌の増殖を止める物質を出すようになったんだよね。
それが抗生物質なのだ。
細菌の増殖メカニズムを特異的に狙っているので、人間の細胞の増殖には影響ないことが多いんだけど、中には細胞増殖全体を止めるような強いものもあって、そういうのは抗がん剤として使われることもあるよ。
また、人間の細胞の増殖は止めないけど、他のところで副作用が出ることもあるのだ。
今ではいろいろな種類が発見されていて、それぞれ用途ごとに使い分けられているのだ。

でもでも、細菌では他の感染症と同様に抗生物質に耐性のある結核菌が出てきていて、それがはやり出すと大変なことになるのだ。
今ではイソニアジド、リファンピシンなどの複数の抗生物質をまぜて使うんだけど(ストレプトマイシンは副作用で難聴になることがあるので、細菌は使われないのだ。)、このリファンピシンという薬を飲むと、おしっこがオレンジ色から赤色になるんだよね。
この薬が処方されると必ず注意喚起があるのだ、おどろかないように。
でも、薬剤耐性の結核菌の場合は、こういう抗生物質が効かないこともあるから、その場合はむかしの状態と同じようになってしまうんだよね。
治療に使える抗生物質があればいいんだけど、こういうのはいたちごっこで新しい薬を使い始めるとその耐性菌が出始めるんだよね・・・。
なので、予防と感染の拡大を防ぐのが一番大事なのだ。

日本ではこういう場合は国立国際医療センターに隔離されるんだよ。
東南アジアとかで赤痢やコレラに感染したおそれのある旅行者が隔離されるなんて報道が年に何度かあるよね。
で、国立感染症研究所と協力しながら対処するのだ。
国立感染症研究所はかつては予防衛生研究所という名前で、そのまま感染症の予防と感染の拡大を防ぐことを主目的にしていたんだよね。
感染症研究所ではワクチンの研究なんかもしていて、SARS(重症急性呼吸器症候群)やインフルエンザのワクチンの研究をしていて、国民の健康を守っているのだ。
こういう機関にはきちんと予算をつけてがんばってほしいよね。