2008/01/07

こえていこう♪

前から気になっていたんだけど、丘と山の境界ってあいまいだよね。
英語でもhillとmountainで区別しているけど、やっぱり明確な区分はないようなのだ。
標高○m以上が山で、未満が丘とか言われても混乱するだけかもしれないけど・・・。

一般に周囲より高いけど山よりは低くて、比較的傾斜が緩やかな地形を丘と呼ぶようなのだ。
で、丘が続いているような地形を丘陵というんだよね。
でも、ちょっと小高いところでも「山」とか「小山」とか呼ばれる場合があって、そういう地形を必ず丘と呼ぶわけでもないみたい。
確かに、地名では○○丘とか××山なんてのがけっこうあって、だいたい少し小高いところだけど、丘と山は特に高さに関係なく名付けられているような感じだよね。
東工大は大岡山駅と緑が丘駅にはさまれているけど、必ずしも大岡山の方が標高が高いわけじゃないよね(笑)

山は火山が噴火してできたり、大きな地殻変動で地面が盛り上がってできたりするけど、丘の場合はもっと小規模で、断層のところで少し土が盛り上がったとか、川などの浸食の後に取り残されて後に川がなくなったのでまわりより高くなっているとか(これは残丘というらしいよ。)、そういうのでできるみたい。
人工的に作られたものも多くて、少し小高いところが後々古墳とか塚だったことがわかるんだよね。
意外と東京都内には古墳とかが多くて、多摩川・野川沿い、善福寺川沿い、神田川沿いなんかに多いのだ。
上野公園内にも古墳があるよ。

人工的に作られたものとしては、江戸時代後期から明治初期にかけて作られた富士塚なんてのもあるよね。
ボクはけっこう富士塚好きで、登れるところは登ってみるのが楽しみなのだ♪
むかしは旅行が簡単じゃなかったので、富士山に登るのも大変だったのだ。
でも、富士講というのがはやったとき、富士山の形の塚を作って、その塚を登ると富士山に登ったのと同じ御利益がある、なんてされたんだよね。
実際に富士山の溶岩を積み上げて作られたものもあるんだよ。
本駒込にある富士神社の富士塚は大きくて、その頂上に神社があるくらいなのだ。

富士塚なんかは比較的新しいから人工物だとわかるけど、もっと古い時代の信仰の塚で、草なんかが生えてしまうと人工物か自然物かわからないんだよね。
実はそういうところも丘の魅力なのかも。
ひょっとしたらこの下は古墳になっているのかな?、なんて考えるとなかなかおもしろいのだ。

2008/01/06

グラタンじゃないんだよ

米国のドラマを見ていたら、大きなグラタンのようなおいしそうな料理が出てきたのだ。
それはミートローフと並んで米国の家庭料理の代表格であるキャセロール。
見た目も、おそらく味も、グラタンにそっくりなんだけど、米国発祥のオーブンを使った料理なんだよ。

もともとキャセロールは容器の名前で、オーブンや暖炉に入れてそのまま調理できる耐熱容器なのだ(欧州のものはキャセロール・ディッシュと呼ばれるのだ。)。
ほうろうのものや陶器のもののほかに、最近では耐熱ガラスのものもあるし、アルミの使い捨てのものもあるよね。
もともとフランスでは狩猟で獲ってきた獲物や家禽類と野菜と一緒にとろ火で煮込んだ料理をキャセロールと呼んでいて、これは容器のままテーブルに運んでいたかららしいのだ。
野菜のみのものもあるらしいけど、肉と野菜をとろ火で煮たシチューが本来のキャセロールだったわけ。

でも、米国のキャセロールは、野菜や肉、魚などをクリーム系の濃厚なソースと一緒にオーブンで焼いた料理で、よくショート・パスタやじゃがいもが入るし、上にチーズやパン粉をかけるので、まさしく見た目がグラタンそっくりなんだよね。
でも、ホワイト・ソース系のものだけでなく、トマト・クリームソース系などバリエーションもあるし、具もいろんな肉や野菜が使われるみたい。
とにかくまぜてオーブンで焼けばできあがり、という簡便さが重要なんだよね。
ミートローフもそうだけど、大量に簡単にできることが米国の家庭料理では重要なのだ(笑)

米国でキャセロールが浸透した背景としては、安価な耐熱容器が開発されたことと、冷蔵庫の残り物の肉や野菜で作れることこと、それと、スープの缶詰のキャンベル社が自前でクリームソースを作らずに濃厚なスープ缶詰を代用するレシピを広めたからなのだ。
なので、冷蔵庫にあるものとキャンベル社のクリーム系の濃厚なスープ缶さえあれば、あとは耐熱容器に入れてオーブンで焼くだけ、という簡便さなのだ。
第一次世界大戦の時代に節約が奨励されて一部の食品が配給制になるとかなり広まったようなのだ。
その後に来る世界恐慌もこれに拍車をかけ、簡単に安価に作れるキャセロールは米国の家庭料理として不動の地位を築くことになったみたい。
今でもパーティなんかで持ち寄る料理によく使われるんだって。

キャセロールはグラタンと違って大きな容器で作って取り分けるんだよね。
熱々のできたてを食べるのがおいしいんだろうけど、パーティなんかで出てくるのは冷めたものだよ(下から固形燃料で温めている場合もあるけどね。)。
でも、これが冷めてもそれなりにおいしいような味付けになっていて、そこも少しグラタンと違うのかも。
米国のパーティでグラタン風のものを食べたとしても、実はそれはキャセロールかもしれないので注意が必要なのだ(笑)

2008/01/05

ともに去りぬ

昨年末になんだかとても風が強かった日があったのだ。
ちょうどボクはクリスマス休暇で家でゆったりとしていたんだけど、外に出たくないと感じさせるような感じ。
雨が降っていて、雨粒が窓を打ちつけて、なんだかすごい景色だったのでとても印象的なのだ。
風が強いと体感温度も下がるし、冬にはちと厳しいよね。

風は気圧の差があると、気圧の高い方から低い方に吹くのだ。
気圧はようは空気の分子の密集度なんだけど、気圧が高いとそれだけ空気の分子が密になっていて、気圧が低いとまばらなわけ。
で、気圧の差があると、空気の分子が均一に分散しようと密な方からまばらな方へ空気の分子が移動するのだ。
これが風の正体だよ。

空気は温めると体積が増えるけど、空気の分子は変わらないので空気の分子はよりまばらに散らばることになるんだよね。
だからこそあたたかい空気は軽いんだけど、気圧も低いのだ。
すると、より密な冷たい空気の方へと空気が移動して風が吹くんだよ。
高気圧と低気圧があると、低気圧の方から高気圧の方に風が吹くのだ。

例えば、昼間の間は砂浜の方が海上よりあたたまりやすいので、海から陸に向かって風が吹くのだ。
逆に、夜になると砂浜の方が先に冷えて海は冷めにくくてまだ少しあたたかいので、今度は陸から海に向かって風が吹くんだよ。
これはもっと大きな視点で見ても同じで、季節風もこれと同じ原理なんだよ。

風を表すには風向と風速が使われるけど、風向は風が吹いてくる方向のことで、風が吹いていく方向ではないのだ。
北風は北から南に向かって吹く風で、北に向かって吹く風ではないんだよ。
日本の気象観測では、風速は地上約10mの観測点での10分間の平均風速で表すんだって。
なんと0.25秒おきに更新されているという3秒間の平均風速の最大値が最大瞬間風速なんだとか。
今はデジタル計測だろうから簡単にこういうのが計算できるけど、むかしはそうじゃないから、もっと違った定義だったんだろうね。

風速はそんなに正確に予測はできないけど、気圧の配置を見ればある程度の風の強さと向きは予測できるんだよね。
それが天気予報で言っているやつなのだ。
でも、局地的にはいろいろな細かい条件が重なってくるので、それが突風になったり、ゆったりした風になったりするようなのだ。
でも、風ってかなり体感温度に影響を与えるし、強い風だと列車や飛行機も遅れることがあるから正確に予測できるに越したことはないんだよね。
きっと難しいコンピュータのシミュレーション技術を使って予測精度は上がっているんだろうけど。

2008/01/04

あんたが大将♪

いよいよアイオワ州で党員集会が行われ、これから11月まで米国では大統領選挙一色になるのだ。
米国では議会もかなりの影響力を持っているけど、やっぱり大統領に相当程度の権限があるので、大統領選挙はまさにこれからの国の行く末を決める重要なイベントなのだ。
でも、なかなかわかりづらいシステムでもあるんだよね。
せっかくこの時期に米国にいるので、少し仕組みを調べてみたのだ。

米国の大統領選挙は4の倍数の西暦の年に行われることになっているのだ。
これは当然米国大統領の任期が4年だからだよ。
で、大統領が途中で辞任したり亡くなったりして副大統領以下の人が継承した場合、その任期はもともとの大統領の残りの任期となっているのだ。
なので、必ず4の倍数の年になるわけ。
今年はまさに2008年で4の倍数なので、大統領選挙の年なのだ。

大統領選挙の一般投票自体は11月の中頃に行われるんだけど、米国では長く二大政党政治が続いていることもあって、その前に共和党、民主党がそれぞれの大統領・副大統領候補を選ぶというプロセスが重要なのだ。
そのプロセスが今始まった、ということなんだよね。
今年は少しスケジュールが前倒しになっているけど、年明け2月から7月にかけて全米各州で予備選挙(Primary)又は党員集会(Caucus)が開催されて両党で候補者の選定を行うんだよね。
予備選挙というのは、どの人を党としての候補とするかを選ぶ代議員を選ぶ選挙で、間接選挙なんだよ(通常予備選挙は党員だけが参加するんだけど、オープン・プライマリというのもあって、無党派層も盗用できるものもあるみたい。)。
自分は誰々を候補として選出したい、と意思表明している人に投票して、その人が全党集会での候補者選定の票を投じることとなるのだ。
選挙の形ではなくて話し合いの形で代議員が選ばれるのが党員集会で、最初の党員集会はアイオワ州、最初の予備選挙はニュー・ハンプシャー州と決まっているみたい。
このふたつは大統領候補選定プロセスの今後を選ぶ上で非常に重要と認識されていて、特に注目が集まるのだ。
さらに、多くの州で同時に予備選挙・党員集会が行われる「スーパー・チューズデー」というのもあって、それが終わると事実上候補者が決まってしまうこともあるそうだよ(今年は2月5日の予定なのだ。)。
※基本的に代議員は最初に意思表明している人にしか投票しないので、どんでん返しはないのだ。

8月の終わりから9月にかけて両党で全党集会が開かれるんだけど、各州の人口比で割り当てられた代議員と、既に上院議員や下院議員、知事などの公職で活躍している政治家が特別代議員となって候補者選定のための投票をするんだって。
この時大統領候補として選ばれるためには過半数の得票が必要で、過半数を超えない場合は決選投票をするのだ。
で、米国の大統領選挙は副大統領候補とともにペアで戦うので、この全党大会で副大統領候補も同時に決めるんだよ。

両党で大統領候補が決まると選挙キャンペーンのTVコマーシャルなんかも始まって、10月にはテレビ討論会も開かれるのだ。
このテレビ討論会はケネディ大統領とニクソン大統領が選挙戦を戦ったときから始まったもので、かなりの影響力があると言われているんだよね。
実際にケネディ大統領はこのTV討論会のおかげで勝てたというし、前々回の選挙ではゴア元副大統領はTV討論会での姿が不評で負けたともいわれているのだ。

11月の大統領選挙には二大政党の候補者だけじゃなくて、他にもいろいろな人が立候補するんだよ。
米国生まれで14年以上米国に住んでいて、35歳以上だったらよいのだとか。
なので、毎年さまざまな人が立候補して話題になるのだ。
まずほとんど得票できないんだけど・・・。
この一般投票もかなり複雑なシステムで、各州ごとに投票結果を集計するんだけど、全米で単純に票数を合計するわけじゃないんだよね。
各州ごとに選挙人というのが割り当てられていて、これは上院議員+下院議員+首都のDC枠3名の合計538名からなるもので、この選挙人の過半数を獲得した人が大統領になるのだ。
選挙人は得票数で比例配分するのではなく、その州で一番多く得票した人がその州全体の選挙人を書くときできるので、例え僅差でもカリフォルニアやニュー・ヨーク、テキサスといった人口の多い州で勝と有利なのだ。
実際にゴアもと副大統領は単純に全米での得票数ではブッシュ大統領に勝っていたけど、この選挙人制度のせいで負けたんだよね。

11月の投票で選挙人が決まると、12月に形式的に選挙人による投票が行われて(これは各州での一般投票の結果に基づいて選挙人は各州で勝った候補に投票するのだ。)、それで大統領が正式に選ばれるんだって。
で、翌年の1月に盛大に就任式が行われるけど、実際には一般投票の結果が出てからは次期政権発足のための準備が始まるんだよね。
それにしても、予備選挙が始まってから大統領が決まるまでにも10ヶ月以上かかるし、システムも複雑でわかりづらいのだ。

2008/01/03

赤いやつはマフラー代わり

ボクは汗をよく吸い取るのが気に入っていてタオルハンカチを使っているんだけど、戦前まではけっこう手ぬぐいが使われていたんだよね。
手ぬぐいは長さもあるので頭に巻いたりもできるし、ハンカチよりもかなり広い用途に使えるのだ。
もともとは手ぬぐいというくらいで手を拭くものだろうけど、今でいうとタオルに近い使い方で、洗顔で顔を拭いたり、汗をぬぐったり、農作業の時に日よけで頭に巻いたりといろいろ使っていたみたいだよ。

起源は明らかじゃないらしいんだけど、すでに江戸時代には「手拭」という名で呼ばれていて、庶民の間で広く使われていたみたい。
さらにむかしは手巾と呼ばれていたようだよ。
今でもハンカチのことを手巾と言ったりするよね。
基本的には細長く切った布なので、きっと最初は細長い布の切れはしをそのまま汗をぬぐったり、手を拭いたりするのに使っていて、それがだんだんと「手ぬぐい」として様式が確立したんじゃないかな、と思うんだよね。

手ぬぐいは一般的にはしをわざと縫わないのだ。
これは、まだ下駄や雪駄の鼻緒が切れたときにはしをちぎって応急処置をしたり、けがをしたときに包帯代わりに細くさいて巻き付けたりするのに使えるからなのだ。
時代劇を見ているとよくそういうシーンが出てくるよね。
でも、はしを縫っていないと洗濯しているとほつれてきてしまうので、最近ではしっかりと縫ってあるものもあるようなのだ。

手ぬぐいは粗い平織りでよく水分を吸うけど、タオルのように保温性がないからむれないのだ。
なので剣道の面をかぶるときには手ぬぐいを使うよね。
厚くもないのではちまきにして額から汗が流れてこないようにするのにも手ぬぐいの方が向いているのだ(トラックの運転手さんなんかはタオルを巻いていることもあるけどね。)。
風呂敷はかなりすたれてしまっているけど、手ぬぐいは意外と需要が多くて廃れずに残っているんだって。
そう言えば、贈答品とかでもけっこう見かけるし(タオルの方が多いけど)、お祭りの時なんかには町内会から配られたりもするよね。

タオルは似た用途に使うものだけど、粗く織った布地の表面にループ状の細かい意図が飛び出ているタオル地を使っているのが特徴なのだ。
こうすることで、保湿性、保温性、吸水性を高めているんだよ。
布地自体はすき間が多いのでそのままならある程度通気性があるんだけど、ループ状の部分で空気がトラップされるので、保湿性と保温性が出てくるのだ。
このせいでタオルを巻いているとむれることがあるんだけど、逆に寒いときにはタオルの方があたたかくて気持ちいいんだよね。
とは言え、けっこう通気性があるのでタオルにだけくるまっていても寒いのだ。
タオルケットが得なつばに使われるのは、汗を吸い取ってある程度通気性があるのでむれないけど、保温性もあるので寝冷えしないからなのだ。

タオルと手ぬぐいは似たような使い方をするものだけど、それぞれ特徴があるからうまく使い分けると宵のかもね。
うちにある手ぬぐいはほとんど使われることなくタンスに眠っているけど、今度出してみて使ってみようかな?
夏場なんかは手ぬぐいの方がよさそうなのだ。

2008/01/02

たこあげは電線のない広い場所で!

お正月になると見かけるCMと言えば、「おせちもいいけどカレーもね」のハウス食品のCMと、「たこあげをするときは電線のない広い場所で」という電力会社のCMなのだ。
たこが電線に引っかかった場合は自分でとろうとせずにかならず電力会社に連絡してください、っていうんだよね。
CMは毎年変わっているけど、言っている内容はボクが子どものころからまったく同じなのだ。

いわゆる街中にある電柱の上にある電線は配電線というやつで、電車に乗っていたり、高速道路を走っていたりする時に見かける鉄塔を結んでいる電線が送電線というやつなのだ。
送電線はいわゆるネットワークの部分で、電力の供給区域をカバーするように広がっているのだ。
各発電所はこのネットワークにつながっているんだけど、ネットワークの安定性を保つために、1ヶ所送電線が切れてもネットワーク全体に大きな支障が出ないようにうまく網目が作られているんだよ。
発電所もネットワークに電気の流れの偏りが出ないようにバランスよくつながないといけないのだ。
1ヶ所に電気が流れすぎるとその熱(ジュール熱)で電線がとろけてしまうんだよね。

通常はネットワークの基幹線は20,000ボルト以上の電圧で、日本で最高の電圧の電線は新潟の柏崎刈羽原発と東京電力管内をつなぐ100万ボルトの電圧の送電線なのだ。
こんな電圧の高い送電線は世界でも珍しいみたいだよ。
他の電力会社(沖縄を除く)の一番太いネットワークは50万ボルトで、発電所からネットワークに入る手前で昇圧して、高い電圧の電気を流すネットワークにするんだけど、ネットワークの辺縁に行くほど徐々に電圧が下げられていくのだ。
電圧を高くするのは電気を長距離流すときに熱などとして失われるエネルギー・ロスを少なくするためだよ。

で、この送電線ネットワークから電力の消費者(需要家)のところまで電気を運ぶ電線が配電線で、送電線から直接20,000ボルト以上の電圧で供給を受けるのが特別高圧というやつなのだ(契約電力は2,000kW以上だよ。)。
大きな工場や大規模なデパート、ショッピング・モールなんかがこれに当たって、自前で大きな変圧器を持っていて降圧してから電気を使うのだ。
これより少し低い電圧、3,600~6,600にしてから、需要家のところで600ボルトにして配電するのが高圧(契約電力は50kW以上2,000kW未満)で、中規模の工場や中小ビル、スーパーなんかがこれに当たるんだ。
特別高圧は基本的にそのままネットワークからそのまま電気を引き込む感じだけど、高圧の場合はある程度まとめてで夏を落としておいて、そこから様々な需要家に配電するのだ。

さらに電圧を落として100~200ボルトで配電するのが低圧(契約電力は50kW未満)で、これは電柱の上のゴミバケツのような変圧器で電圧を落とすんだよ。
コンビニなんかがこれに当たるのだ。
いわゆる一般家庭の電気は電灯需要というやつで、むかしは照明が主要な電気の使用先だったのでこんな名前になっているみたい。
基本的には一般家庭は100ボルトで配電されていて、プラグに差し込むと100ボルトの交流の電気が得られるのだ(米国では120ボルトなんだよね。)。
電柱はこの低圧と電灯需要を供給するための低圧配電線を支えるもので、さらにそこから引き込み線で各需要先へ電気を送るんだよね。

日本では現在高圧と特別高圧が自由化されていて、電力会社以外からも電気が買えるのだ。
でも、送電線ネットワークと配電線は電力会社の所有物なので、これを借りないといけないんだよね(電力会社の電線で電気を運んでもらうことを「託送」と言うのだ。)
米国や欧州だと、送電線ネットワークはいわゆる電力会社から独立した運用者が管理していて、電力会社は配電線だけを持っていたりするのだ。
電気の自由化分野の競争を適正化するために、送電線・配電線事態は電力会社が所有しているけど、差別なく競合会社にも使わせてあげないといけない規制になっているのだ(電話線の場合と同じだよ。)。
いずれにしても、電線は電力会社のものなので、たこが引っかかったら連絡するのは管理している電力会社なのだ。

ちなみに、日本の場合は各電力会社ごとにネットワークが形成されていて、日本全体が大きなネットワークになっているわけじゃなく、小さなネットワークが並んでいるというイメージなのだ。
ネットワークの間は連系線と呼ばれる特別な電線でつながっていて、ここを流せる電気の量には限りがあるので、ひとつの大きなネットワークとしては機能しないのだ。
それに、東日本と西日本では電気の周波数も異なっていて、東では50Hz(北海道、東北、東京)、西では60Hz(中部、関西、北陸、中国、四国、九州、沖縄)なんだよね。
これは東京と大阪でそれぞれ発電事業が始まったときに導入した発電機の違いに由来していて、明治以来、統一できないで現在に至っているんだよね。

2008/01/01

年の暮れ

米国時間では今日が大晦日。
いよいよ明日から2008年なのだ。
ニュー・ヨークなんかではカウントダウン・イベントがあるんだけど、ボクのいるDCでは静かなものだよ。

大晦日の「みそか」はもともと月末を表す言葉で、30歳を「三十路(みそじ)」というように、「三十(みそ)+日(か)」で「晦日(みそか)」なのだ。
旧暦だと月の最終日が29日のこともあるんだけどね(笑)
で、その「みそか」の中でも年内の最後の晦日なので大晦日というみたいだよ。
旧暦は月の満ち欠けと連動していて、基本的に1日(朔日)は新月になるので、その前の30日は俗に「つごもり(月隠り)」とも言ったのだ。
なので、大晦日のことを「おおつごもり」と読むこともあるんだよ。

日本ではいろいろな年越しの風習があるけど、かつて重要だったのは歳神を迎えることだったのだ。
今でもなまはげやあまめはぎの習慣として東北や北陸にはその風習の一部が残っているんだけど、年の最後にマレビトである歳神を迎え、豊年を祝ったものだそうだよ。
この歳神は幸福をもたらすだけじゃなくて、怠け者や悪い子を懲らしめる役割も持っていて、それに特化されたのがなまはげやあまめはぎなのだ。
で、この歳神を迎えるに当たっては夜通し起きていなくてはいけなくて、それが除夜のしきたりだったんだって。
鐘の音を聞くために起きているわけじゃないみたいだよ。
ちなみに、お正月に玄関先にかざる門松は歳神のよりしろで、鏡餅はお供え物だったんだって。

もうひとつ重要な大晦日の文化と言えばなんと言っても年越しそば。
江戸時代中期には大晦日だけじゃなくて月末にそばを食べる習慣(「みそかそば」)があったそうで、それが大晦日だけに残ったと考えられているそうだよ。
一般には「細く長く」暮らせるようにと願って食べると言われているけど、江戸時代の金細工職人は作業場に散った金粉をそば粉の団子で集めていて、それで金運がよくなるようにそばを食べるなんて説もあるようなのだ。
年越しそばっていつ食べたらいいのかいまいちよくわからないけど、年を越す前に食べきらないといけないんだって。
お昼ごはんや夕食じゃなくて、年越しのお夜食にしている場合は注意が必要なのだ。