2015/03/21

飛び起きる痛さ

火曜日早朝、いつもより30分早く起きる必要があって、目覚ましが鳴ってからさあ起きるぞ、とベッドの中で伸びをしたときにそれは起こったのだ!
ふくらはぎに走る激痛。
できればすぐに逆方向に筋肉を伸ばしたいけど、そもそも痛くて起き上がれない・・・。
たった10秒くらいだけど、無限に続くかと思われた、苦痛の時間だったのだ(>o<)
これがうわさの寝起きこむら返りかorz

「こむら返り」は、ふくらはぎの筋肉である腓腹筋が異常収縮してけいれんすること。
ふくらはぎが突っ張って、何とも言いようのない激痛が走るのだ。
まるでふくらはぎの筋肉の繊維の束がねじられ、あらぬ方向に引き延ばされる感じ・・・。
「こむら」というのは古い言葉で「ふくらはぎ」のことで、漢字では「腓」と書くんだよね。
で、このふくらはぎがまさにひっくり返るように感じるからこむら返り!
妖怪の名前でもありそうなほど凶悪だよね(笑)

こむら返りは筋肉のけいれんの一種だけど、ただ単に「つる」のではなくて、個別に名前がつくくらいだから、やっぱりインパクトが大きいんだろうね。
実際、スポーツをしていると、いきなり走り出したときに太ももがつって動けなくなることもあるけど、こむら返りほど痛いか、というと、痛さはそれほどでもなくて、動けなくなるという感覚の方が強いように思うんだ。
ボクは時々朝起きようとして首をひねってつることがあるけど、これも痛いのは痛いけど、こむら返りほどの破壊力はないのだ。
やっぱり筋肉の形状とか、痛覚神経への近さとか、いろいろと要因があるんだろうなぁ。

でも、こむら返りがなぜ起こるかはまったく未解明なんだよね。
一般に運動不足の人がいきなり運動した(走る、泳ぐなど)、脱水状態・電解質代謝異常だったなんてときに置きやすいと言われているのだ。
運動の後はわかりやすいけど、睡眠時に起こるのがきついんだよね・・・。
いきなり足に激痛が走って目が覚めるわけだから。
原因がわからないので防ぎようもないんだけど、よく筋肉をマッサージしてほぐして血流もよくしておく、水分補給や電解質補給(特にカルシウムとマグネシウム)をしておく、などが一般的な予防法としてあげられるもの。
特に、運動をあまりしていない人がいきなり走ったり泳いだりした場合は、ストレッチをした上でお風呂でよく暖まりながら筋肉をほぐしたりするといいみたい。
ボクの場合も朝のいつもの電車にちょっと遅れそうになって走ったのが原因じゃないかと思うんだよね。

ただし、別の病気が原因でこむら返りが起こりやすくなることもあるそうなのだ。
腎不全や下肢静脈瘤なんかで頻発することもあるとか。
これは血流が悪くなることに原因があるのかな?
妊娠中もこむら返りがよく発生する場合があって、これは電解質代謝異常とかなのかな?
あまりに高頻度に起こる場合は何か病的な原因がある可能性があるので、医者と相談した方がいいみたい。

こむら返りが起こっている最中は痛くてそれどころじゃないんだけど、ふくらはぎを観察してみると、力こぶのように難く盛り上がっているんだそうだよ。
これは、ふくらはぎの筋肉が局所的に硬く収縮(「強縮」)しているためで、異常な筋肉の興奮が継続している状態なのだ。
原因は不明ながら、運動神経から筋肉への情報伝達に不具合が発生していると考えられているのだ。
もっと上位の神経伝達に問題がある場合は、ふくらはぎだけに異常収縮が起こるわけがないので、運動神経の末端部で神経伝達物質が異常に放出されてしまうとかなんとかそういうことが起きているはずなのだ。
電解質代謝異常が原因として疑われるのもこのあたりから来ているよ。

慢性的に筋肉が硬く収縮してしまう状態が「こり」で、まさに肩こりの場合はこれをほぐすわけだけど、一気に、急に難く「こる」と「つる」という状態になるのだ。
痛いけど我慢して筋肉がほぐれるようにしてあげると、収まることもあるんだけど、これがきついんだよね(笑)
難くなっているふくらはぎをもむなんてのはもってのほかで、せいぜいふくらはぎを伸ばす方向にストレッチするのが関の山。
病的なけいれんの場合は筋弛緩剤なんかで無理矢理収縮を抑えることもあるみたいだけど、単なるこむら返りだと、やっぱり我慢するしかないんだよね(ToT)
ちなみに、心臓の筋肉で同様のことが起こるのが心室細動。
この場合は外から強い電気ショックを与えて異常収縮を解除するんだけど、そのための機械がAED(自動体外式除細動器)なのだ。
ということは、ひどいこむら返りには低周波治療器をぺたんとつけてスイッチを入れると効果があるかも?

2015/03/14

春の小川は道の下

春の小川はさらさら行くよ♪、と歌われていたのは、渋谷を流れていた宇田川の支流のひとつの河骨川と言われているんだよね。
小田急線の代々木八幡駅と参宮橋駅の間には歌碑もあるんだって。
でも、そんなところに川はない・・・。
実は、この川はすでに地中に埋められているんだよね。
「地中に埋める」というと埋め立てているような印象を受けるけど、そうではなく、地中を流れる川となっているのだ。
川の上にふたをしているイメージ。

この川を地中に埋めることを暗渠化と呼ぶんだ。
暗渠というのは「隠れた水路」といった意味で、逆に、水路がそのまま流れているものは「開渠」と言うのだ。
昭和の時代によくあった「どぶ川」だよね。
1964年の東京五輪を一つの契機として、治水対策、生活排水の流入による異臭対策等々から、これらのどぶ川と化した川の多くは、地中に埋められることとなったのだ。
23区内には川もないのに「○○橋」という交差点が多くあるけど(例えば銀座の数寄屋橋や三原橋など)、これもその下には川が流れているんだよ。
また、「○○川緑道」というのがあるけど、これは暗渠化した川の上が緑道として整備されたものなんだ。
もともと川の流れなので、蛇行しているんだよね。

家康公が入府する前の江戸は、広大な湿地で、銀座のあたりはもう入り江だったんだよね。
日比谷入江と呼ばれていて、太田道灌公が江戸城を最初に築いたときにはウォーターフロントで、目の前に江戸湾が広がっていたのだ・・・。
江戸幕府が成立して以降、城下町としての整備が進み、江戸城まわりに流れていた平川などがお堀として利用されるとともに、銀座方面は埋め立てが進んでいったのだ。
埋め立ては江戸末期まで続くんだよね(って、明治にも月島などが埋め立てられているけど。)。
でも、もともとは湿地帯で水はけの悪い土地。
そのまま埋め立てても地盤が弱いので、縦横に堀割を切って水を流し、水はけを改善したんだよね。
そのための開削工事が大土木工事として行われていたようなのだ。

仙台堀川なんかは仙台藩が実施した事業なので、その名前がついていたりするんだよ(今は暗渠化され、公園になっているよ。)。
いわゆる本所・深川地域の堀割では、堅川は暗渠になっているけど、横十間川や小名木川、大横川などは水路として水運交通の役割も担っていたこともあり、今でも開渠で残っているのだ。
川幅も広いので、埋め立てられるまでには至らなかったのかも。
隅田川に出る水路としての機能もあるしね。
月島運河なんかは今でも水運で使われているのだ。
同じ水運に使われていた日本橋川、銀座川、築地川は暗渠になっているので、都市計画との関係も大きいんだろうけど。

江戸二大上水も、いまだにすべて開渠になっている神田川(神田上水)は例外で、玉川上水とその支流となっている千川上水も暗渠になっているよ。
千川上水は今は千川通りという主要道路になっていて、玉川上水は三鷹あたりでは開渠になっているけど、都心に入ると緑道になっているのだ。
甲州街道(国道16号線)沿いに緑道があるよね。
もともと世田谷あたりも湧水が有名で水が多く出たので「北沢」、「野沢」、「奥沢」などなど「沢」がつく地名が多いんだけど、そのために川も多く、北沢川、蛇崩川、烏山川などが暗渠になっているよ。

最初に出てきた渋谷だと、渋谷川、宇田川、穏田川なんかが暗渠になっているんだよね。
渋谷はその名前のとおり「谷」になっていて、渋谷駅付近がすり鉢の底で、まわりを坂で囲まれているんだけど、当然そこに水の流れがあったんだよね。
それが全部地下に埋められているんだ。
東急東横店は渋谷川の上に建てられたので地下がなかったし、センター街も宇田川の上に作られているんだ。
まだ川の流れがあった頃の渋谷は今とは全く違う風景だったんだろうなぁ。
ちなみに、今の渋谷川は地下鉄のトンネル内にしみ出した水が排水されていて、それが主な水源となっているようなのだ。
まさに地下の川になっているね。

2015/03/07

仙人の食べ物?

春先と言えば、「春霞」。
朝方なんかもやっと景色がかすむよね。
これがサクラが咲いている時期だとまたきれいなのだ♪
都会ではあまりお目にかかれない現象だけど・・・。
むかしから、春の霞と秋の霧は風物詩だったみたい。

「霞」というのは、靄(もや)や霧で景色がかすむことを指すのだ。
靄や霧は大気中の水蒸気が冷却により凝結し、細かな水滴として浮遊している状態のことで、視界が1km未満になると霧、1~10kmだと靄と呼ぶそうだよ。
でも、10km先ってけっこう見えているよね(笑)
都会だと空気がきれいじゃないから、晴れて乾燥していたとしても、そこまで視界がよくないかもしれないorz
エアロゾルなどの微粒子によってかすんでしまうんだよね。

では、なぜ春に霞が出るのか。
これは対義的な秋の霧も同じなんだけど、昼夜の寒暖差が大きいときに発生しやすいんだ。
もちろん、もともと大気中に水蒸気がたっぷりあることが前提なんだけど。
で、実は春と秋ではちょっとまた状況が違うんだよね。
春の場合は、夕方に日が落ちてぐんと冷え込んできて、というのはあるけど、イメージ的にはむしろ朝靄だよね。
これは、冬から春にかけては天気がよく、空が晴れているので、日の出直前までに放射冷却で一気に冷え込むことが原因と考えられるのだ。
夕方に一度冷え、そこで凝結した水滴は、朝露・夜露として植物の表面なんかにつくんだよね。
さらに夜の間に放射冷却で冷えることで、靄とか霧になるのだ。

一方、秋の場合は、昼間にぐんぐん気温が上がって、しかも湿度も高くて蒸し蒸ししているのが、夕方になって涼しくなってくると、水蒸気が凝結して水滴に変わるのだ。
そもそも秋の頃はまだ湿度が高く、あんまり放射冷却の影響がないので、夜の冷え込みは春に比べて弱いのだ。
夕霧が秋の季語であるのも、秋の靄・霧は主に夕方に発生しやすいことを表しているんだ。
とは言え、秋の季語には朝霧というのもあるので、春は朝方、秋は夕方、と紋切り型ではないのだけど。
でも、夏から秋にかけてだと、主に夕霧になるんだけど、秋から冬にかけてだと朝霧になるんだよね。
ということは、春から夏にかけては夕方にかすむこともあるわけか。
夕靄という言葉もあるしね。

でも、春霞は必ずしも靄や霧だけが原因ではないんだよね。
中国大陸から飛来する黄砂もあるのだ。
黄砂は、中国大陸のゴビ砂漠やタクラマカン砂漠の砂が砂嵐で上空まで巻き上げられ、偏西風に乗って東に運ばれるもの。
重い粒子から落下していくので、北京ではかなり大きな砂粒が、朝鮮半島では中程度の砂粒が落下し、日本まで届くのはものすごく細かな粒子になるんだよね。
4ミクロンというから、砂というよりは、乾燥した泥に近いみたい。
このくらいの大きさだと、エアロゾルとして大気中に分散し、それによって光が屈折されて視界がぼやけるのだ。

この黄砂が飛来する時期には季節性があって、春が一番多いんだよね。
冬の間は積雪に覆われることが多く、そもそも砂が巻き上がらないんだけど、春になると表土も乾燥し、発達した移動性低気圧により風も強くなって巻き上げられる量が増えるんだって。
夏にかけては植物も生えてくるし、雨も多少降るので巻き上げられる量が減るみたいなのだ。
なので、春が一番多くて、秋が一番少ないんだって。
最初に言ったように、「霞」というのはあくまでも視界がぼやけている状態なので、それが靄や霧によるものか、黄砂によるものかは関係ないんだよね。
なので、「春霞」と言った場合には、黄砂が原因のものも含まれているのだ。
でも、黄砂でかすむと言われると、一気に萎えるよね(笑)

2015/02/28

栄養食材・一粒?メートル

冬が旬の食材と言えばカキ。
一般にマガキは「R」のつかない月に食べられる、と言われるけど、中でも、秋から冬にかけては実もぷりぷりにふくらんでおいしいと言われているのだ。
これは身の中に大量のグリコーゲンをため込むため。
このほかにも、カキは必須アミノ酸を全て含み、カルシウムや亜鉛といったミネラルも豊富なので、非常に栄養満点なんだ!
カキを食べて、栄養をつけて、冬を乗り越えよう。

このカキのグリコーゲンは、キャラメルのグリコの名前の由来でもあるんだよ。
グリコの創業者の江崎利一さんはもともと薬種業を営んでいたんだけど、故郷の佐賀県有明海沿いの堤防で、漁師さんたちがカキを煮ているのを目撃するのだ。
カキを塩ゆでしてから天日干しにして干しガキを作っていたんだけど、干しガキは中国では古くからうまみのある食材として珍重されていたのだ。
で、その茹でた後の煮汁は捨てられていたんだよね。
ところが、九大に依頼して分析してみると、この煮汁には大量のグリコーゲンが溶け出していて、カルシウムや銅などのミネラルもたっぷり。
そこで、捨てられるはずのこのカキの煮汁からグリコーゲンを抽出し、キャラメル菓子に混ぜ、栄養菓子として売り出すことにしたんだ。
これが一粒300mのグリコ。
300m走る分だけのカロリーがあるということだよ。
育ち盛りの子供にたっぷりと栄養をとってもらいたい、ということから考案されたんだって。

日本では捨てられていたカキの煮汁だけど、中国ではちゃんと使われていたんだよね。
煮汁を煮詰めて濃縮してから、小麦粉やデンプンでとろみをつけ、砂糖とうまみ調味料で味を調えてカラメル色素で色をつけたものがオイスターソース。
カキのうまみと風味が詰まった調味料となるのだ。
もともとは干しガキを使っていたわけだけど、19世紀の終わり近くになって、煮汁にもうまみがあることに気づき、濃縮して調味料にしたのがはじまりなんだとか。
広東省で李錦裳さんが作り始めたんだけど、この人が澳門(マカオ)に移り住んだので、澳門・香港で広まっていくことになるのだ。
今では広東料理で広く使われるよね。
グリコは大正初期に製造が始まるんだけど、実はどちらも20世紀はじめに普及しているのだ。

話をカキに戻すと、カキの食べ方として、生のまま食べるか、加熱して食べるかの大きく分けて二通りがあるのだ。
スーパーでも加熱用と生食用が売っているよね。
一般には、生食用の方が新鮮と思われがちだけど、実は違うんだよね・・・。
生食できるかどうかは、食中毒の原因となる大腸菌にどれだけさらされていたかの違いなんだ。
もともと大腸菌が少ない海域で採れたものはそのまま生で食べられるんだけど、養殖物なんかは沿岸部で採れるので、どうしても大腸菌にまみれているんだ(>o<)
そこで、大腸菌の少ないきれいな海水又は人工海水の中でしばらく飼育し、「浄化」する必要があるのだ。
普通にスーパーで見かける生食用のカキはこっちで、数日間絶食状態に置かれた後のものなので、実は加熱用のカキより味が劣ることもあるんだ・・・。
海女さんがきれいな海域から採ってきた天然物なら、生食すると全然違うんだけどね。

ちなみに、大腸菌などのバクテリアはある程度ぬくことはできるんだけど、気をつけたいのはノロウイルス。
感染者の排泄物を下水処理するときにどうしてもウイルスは除去しきれないらしく、河口付近にはウイルスが漂っているらしいんだ。
なので、養殖物ではそのウイルスを体内で生物濃縮してしまうことがあって、それをたまたま生食すると感染するのだ。
基本的には中までしっかりと火を通せば感染は防げるので、やっぱり養殖物なら加熱して食べた方がよいのかな?
カキフライや焼きガキ、カキ鍋などなど、加熱しても十分においしいよね。

2015/02/21

ビリっでニョキっ

たまたまた知ったんだけど、「ほだ木」に菌糸を植えるキノコの原木栽培をするとき、この原木に電気刺激を与えるとキノコの収量が増えるんだそうなんだよね。
もともと、雷が落ちるとキノコがよく採れる、という俗説があって、それを実際に模擬してみると、確かに収量が増えることがわかったんだそうだよ。
古代ギリシアでもすでに言及されているくらい古くから知られている話なんだとか。
今でもキノコ栽培で使われている技術で、「キノコ増産装置」の名前で電気パルスをかける機械もあるようなのだ。

このメカニズムの詳細は不明な点も多いようだけど、一般的には、キノコ=菌類の防衛本能ではないか、と考えられているんだ。
キノコはいわゆるカビである真菌類の作る「子実体」で、胞子をまき散らすことがその役割。
カビとしては網目状に菌糸体が広がっていくんだけど、風に乗せたり、無視に運ばせる形で物理的に遠く離れたところに胞子を移動させたいときに、菌糸が立体的に絡まって子実体が作られるのだ。
カビは徐々に広がっていくことはできるけど、そのままでは別の場所に移動できないので、生育環境の悪化などの要因で、「もはやこれまで・・・」となったら、胞子を遠くに飛ばし、そこで新たな菌生を始めるということなのだ。
落雷のショックがまさにその生存本能・防衛本能に火をつけているのではないか、というわけ。

当然、菌に生死の瀬戸際を感じさせるような刺激であればいいわけで、実は落雷だけじゃなくて、熱でも光でも、物理的な衝撃でもなんでもいいのだ。
いろいろと科学的に試した実験もあるけど、熱刺激や光刺激、物理的刺激等々で子実体形成が活性化されることがわかっているのだ。
原木栽培では電気パルス刺激なんかがやりやすいわけだけど、キノコ農家によっては、原木に菌糸を植えた後、55度のお湯につけてから乾かすとか(いわゆる「ヒートショック」)、原木を木槌で思い切りたたく(物理的衝撃)などの方法を使っている例もあるみたい。
熱刺激や光刺激を加えたときに菌糸の中でどういうタンパク質が増えるかとか見ている研究もあるようだけど、まだよくわからないみたいだね。

キノコの人工栽培は、欧州ではすでに16世紀には始まっていたようだけど、これは堆肥の上にマッシュルームをはやすもの。
シイタケなどの日本式の原木栽培は、江戸時代になって始まるのだ。
ただし、このときは、クヌギやナラなどの原木を伐採してきて、なたなどで傷つけたものを林の中に放置する、というもので、自然に胞子が付着し、そこからキノコが生えてくるのを待つ、というものだったみたい。
なので、必ずキノコが生えるわけでもなく、きっと、生育条件やそもそもの場所などのノウハウが大きくきいてくるものだったのだ。
種菌をあらかじめほだ木に接種して、というのはもっと時代が下ってからの話。

現在では、温度湿度を管理したり、雑菌が混入しないように無菌室のような栽培室で栽培したりと、栽培環境がこうじょうしているのだ。
さらに、ホクトの力が大きいけど、これまで人工栽培できなかったキノコの栽培条件がわかってきたり、場合によっては、そのままでは人工栽培できないキノコを、他のキノコと細胞レベルで融合させて栽培できるようにしたり、とさらに進化しているようだよ。
最終的には、マツタケをなんとかしたくて、シイタケやヒラタケと融合させて、ということを試行錯誤しているみたいだけど、天然物のマツタケの風味や食感が再現できないみたい。

ただ、かつては「見つけたら小躍りして喜ぶ」と言われたマイタケの人工栽培は実現しているから、そう遠くない将来に人工栽培マツタケも実現するかもだよね。
そのときに、この電気刺激だとか、熱刺激なんてのもきいてくるかもしれないのだ。
マツタケが自然界でどういうきっかけで生えてくるかが何となくわかれば、それを模擬すればいいわけだからね。
希少だからありがたいのかもしれないけど、安くておいしいマツタケが市場に出回るというのも魅力的だよね。

2015/02/14

あの聖人はどこへいった!?

2月14日と言えば、「ふんどしの日」。
じゃなくて、バレンタインデー。
日本では女子が気になる男子に告白する日みたいな感じだけど、本場(?)の欧米では、単に恋人たちの日として受け止められていて、男性から女性に花束を贈ったりとかの方が多いようなのだ。
チョコレートを贈るというのも製菓業界に躍らされている、という説もあるよね・・・。

諸説はあるけど、その起源で有名なのは、古代ローマでの聖バレンタイン(ウァレンティヌス)の伝説。
時のローマ皇帝クラウディウス2世は、ローマ兵士の士気が下がらないようにと兵士の結婚を禁止したんだけど、ウァレンティヌスはその命令に逆らい、兵士たちに結婚の秘蹟を授けた、というもの。
これにより帝国の怒りを買ったウァレンティヌスは、2月14日に処刑され、殉教するのだ・・・。
そこから、2月14日が聖ウァレンティヌスの祝日とされ、恋人たちの日として祝われるようになった。
と言うんだけど、これはどうも後付けの話で、まったくもって真実ではないようなのだ(笑)

そもそも3世紀のローマではキリスト教は迫害されていないし、ローマ皇帝が兵士の結婚を禁止した、という事実も確認できないのだ。
むしろ、皇帝は兵士長に結婚を奨めたみたいな話は残っているようなので、前提からしておかしいんだよね。
さらに、そのころの殉教した人の名前を探しても、ウァレンティヌスの名前は見つからないようなのだ・・・。
なぜか5世紀になると名前が登場し、そこから聖人として信仰されるようになるみたいなんだけど、それも「恋人たちの守護聖人」ではなく、むしろ「てんかんの守護聖人」といったものだったとか。
「恋人」と結びつけられたのは15世紀になってからで、イングランドの詩人、ジェフリー・チョーサーさんの創作からなんだって。
バレンタイン反対派のみなさんにはうれしいお知らせだね(笑)

日本人からわかりづらいのは、結婚が禁止されたときに、結婚の秘蹟を授けた、という部分。
キリスト教では、信者同士が結婚するときは、司祭が間に入って昇任となることが必要なのだ。
今でもキリスト教式の結婚式だと司祭の前で結婚の誓いを述べたりするけど、あれは本来は正式な宗教儀式なんだよね。
法制度としての戸籍がない時代だから、事実婚も内縁も何もないような気がするけど、キリスト教社会においては、教会に認められることが結婚の条件だったんだね。
一夫一婦制で不特定多数を対象とした姦淫を認めないキリスト教としては、特定のパートナーをオーソライズすることが必要だったんだろうね。
ちなみに、相手がキリスト教信者でない場合は秘蹟にならないので、司祭がいようがいまいが関係ないのだ。
ただし、キリスト教社会では正式に結婚したとは見なされないんだろうけど・・・。

話をもどして、バレンタインデーの起源なんだけど、すでに世界中に広まっている聖名祝日なんだけど、今ではカトリックの正式な祝日ではないのだ!
戦後にバチカンで聖人の整理が行われて、実在があやしい聖人は聖人暦から除外されてしまったのだ。
ウァレンティヌスはすべてがあやしいので、当然外されてしまい、今では教会とは関係ない世界で祝われているんだよ。
ウァレンティヌスの遺骸を保存している教会もあちらこちらにあるんだけど、すでに聖遺物ではないということなんだよね・・・。
ちなみに、西方教会では2月がウァレンティヌスの日なんだけど、東方教会では7月又は8月なんだって。
もちろん、恋人とかは関係なく、一殉教聖人ということみたい。

では、なぜ2月中旬にウァレンティヌスの祝日が設定されたか、が問題になるよね。
関連づけられているのは、古代ローマのルペルカリア祭。
結婚の女神ユノや豊穣の女神マイアを祭る豊穣と健康を祈る祭典なのだ。
これは、2月には立春があって、冬の終わりが見えて徐々にあたたかくなっていく、という季節であることに関連しているんだよね。
東洋の旧正月も同じ考えで2月を旧正月(新春)と設定しているけど、春の訪れを祝う季節なのだ。
(ちなみに、マイアは5月=Mayの、ユノは6月=Juneの語源だよ。どちらも春の女神なのだ!)
なので、ユノというよりは、むしろマイアが大事だったんじゃないかと思うんだよね。
結婚の女神も子孫繁栄という意味で広くは豊穣につながるんだけど。

で、この土俗の祭りをキリスト教に取り込むとき、この聖ウァレンティヌスが使われたと考えられるのだ。
クリスマスやハロウィンももともとはキリスト教徒は関係ないとこから取り込んだものだけど、同じだよね。
でも、元来のバレンタインデーはよくわからない祝日だったし、後に全く関係なかった恋人たちの日なんていう属性が与えられてしまったがために、カトリック教会も取り込んでおく必要性がなくなったんじゃないかな。
今となっては、キリスト教から離れた方が逆によかったのかもしれないけど。

2015/02/07

砂糖より甘い

コーヒーにハチミツは合うのか?、というのは個人の好みが分かれるところで、賛否両論あるんだよね。
でも、スタバなんかにはハチミツが置いてあるし、ハニーなんちゃらラテ、なんていうのもあるから、味的に合わないというわけではないんだよね。
ボクの個人的な感覚からすると、ハチミツってブラックコーヒーに入れてもあまり甘くならないので、ハチミツだけしか入れないというのはあまり選択肢にならないかな・・・。
ミルク+ハチミツが最高!、という意見がわりとあるのもそういうことだと思うけど。
で、大して気にしていなかったんだけど、ホットコーヒーにハチミツを入れてもたいして甘くならない、というのは、実は科学的に本当だったのだ!

一般にハチミツは砂糖(ショ糖)より甘味が強いとされているんだよね。
ミツバチが花から蜜を集めている段階では、その蜜の甘みは主にショ糖なんだけど、ミツバチがいったん飲み込んで、巣の中で保存していく過程で、酵素により化学変化が起きているのだ。
二糖であるショ糖は分解され、単糖であるブドウ糖と果糖に分解されているんだ。
ブドウ糖(=グラニュー糖)はショ糖より甘みが少ないんだけど、果糖はショ糖より甘いのだ。
ショ糖の甘みを100とした場合、ブドウ糖は65~80、果糖は120~170なので、ショ糖を分解してブドウ糖と果糖が1:1で混ざっている状態になったとすると、ショ糖より1.2倍くらい甘くなるんだよね。
このため、ハチミツの方が砂糖より甘いのだ。

ところが、この果糖は冷やした状態だと甘いんだけど、高温になると甘みがなくなるという性質があるんだよね。
具体的には40度以下ではショ糖より甘くなるけど、この温度を超えるとショ糖より甘みが弱くなるのだ。
したがって、ホットのブラックコーヒーにハチミツを入れてもたいして甘みを感じない、ということになるわけ。
逆に、冷たくすると甘みが強くなるので、果糖を多く含む果物は冷やした方が甘くておいしくなるのだ。
一般に果物を冷やして食べるのはこのためだよ。
確かに、スイカは冷やして食べないと甘みが薄いような・・・。

このハチミツのような状態を人工的に作り出したのが転化糖というもの。
ショ糖は、賛成条件下で加熱するか、インベルターゼという酵素を作用させて加水分解るとブドウ糖と果糖に分解されるんだけど、ジャムを作る過程では、もともと果汁中に含まれるクエン酸やアスコルビン酸(ビタミンC)によってショ糖の加水分解が進み、自然に転化糖になるんだよね。
なので、ジャムは大量に砂糖を使って作るけど、それ以上に甘くなっているんだ!
砂糖を抑えたジャムでもけっこう甘くなるのはこのため。

完全に分解するには酵素を使った方がいいみたいだけど、家庭でも簡便に転化糖を作るためには、1kgの砂糖に1gのクエン酸を加えて20分くらい加熱しながらシロップを作ると、ほどよく転化糖が混ざったものになるみたい。
レモン汁なんかでもいいみたいだけど、このシロップだと、冷めても砂糖が結晶化しない(白く固まらない)し、酸味も感じない程度のものになるんだって。
家でアイスコーヒー用のシロップを作る際には参考になるね!
なかなか自分で作ろうとは思わないけど(笑)

転化糖の場合、カロリーを抑えて甘みを強くできるので、微糖やカロリー控えめと銘打った食品に使われることが多いのだ。
その視点で見ていくと、転化糖でなく、異性化糖というのも出てくるんだよね。
これもブドウ糖と果糖が混ざったものなんだけど、ショ糖を分解するのではなく、デンプンをアミラーゼという酵素を使ってブドウ糖に分解し、さらにそのブドウ糖をイソメラーゼという酵素を使って果糖に変化させたものなのだ。
さらに、処理後に濾過やイオン交換などで精製し、水分を蒸発させると、42%の果糖を含むブドウ糖液になるんだって。
このあと、さらに果糖の比率を高める加工もできるのだ。
サトウキビやテンサイから砂糖を作るよりも安価に砂糖より甘いシロップが作ることができるので、キューバ危機後の米国で普及し、主に清涼飲料水の甘味料として広まったんだって(キューバ危機以前はキューバから砂糖を輸入していたので、一気に砂糖不足に陥ったのだ。)。
もともとは通商産業省工業技術院(現在は独法化されて産業技術総合研究所)の研究成果で、国有特許の輸出第1号なんだとか。

この異性化糖(又は、高フルクトースコーンシロップ)は、安くて甘くていいんだけど、肥満の大きな原因になるともいわれているんだよね。
米国人はコーラを始め、甘い飲み物を大量に飲むイメージがあるけど、その甘みのもとがこの異性化糖なんだよね。
砂糖を使うよりはカロリーは控えめのはずなんだけど、血糖値の制御機構に悪影響があると考えられているのだ。
ステビアとかサッカリンとかアスパルテームとかの人工甘味料も同じなんだけど、末梢組織で直接取り込まれて消費されるのはブドウ糖だけで、転化糖・異性化糖に含まれる果糖はすべて肝臓で代謝されるんだよね。
このため、血糖値をコントロールしているインスリンの制御機構から外れてしまうのだ。
ハチミツをたまに食べる、ジャムを食べる程度ならよいのかもしれないけど、恒常的に甘い飲料を飲むようになると、甘みを摂取しているのに血糖値が上がらない変な状態が続くことになって、コントロールがおかしくなるのだ。
さらに、果糖は肝臓で代謝され、中性脂肪としてたまっていくので、肥満を助長すると考えられているんだよね・・・。
表面上のカロリー控えめにダマされてはいけないというわけか。
やっぱり、ダイエットを考えるなら、コーヒーはブラックで飲むべきだね(笑)