2015/10/10

見えないものを見る

見えないものを見るというと「心眼」みたいな世界に入るけど、ノーベル・ウィーク第二弾で物理学賞を受賞したニュートリノの研究はまさにそういうものなのだ(笑)
日本人が受賞したノーベル賞のおよそ半分は物理学で、その中でも素粒子物理学は日本の十八番なんだよね。
今回受賞した東京大学宇宙線研究所の梶田隆章教授は、かつてニュートリノを世界で初めて観測した功績によりノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊博士の教え子なのだ!
指定でノーベル賞受賞という快挙だよ。

もともと小柴博士がやっていたのは、ものすごくまれにしか起こらない(と考えられている)陽子崩壊という現象の観測実験だったのだ。
そのために、岐阜県の神岡鉱山跡にカミオカンデという実験施設を作ったのだ。
地下に巨大な水槽を設置し、その中に純水を満たして、陽子崩壊が仮に起きた場合に発生するごくごく微弱な光(チェレンコフ光)を水槽を取り囲む超高感度の光センサー(光電子増倍管)で検知しよう、という計画なのだ。
でも、チェレンコフ光が発生するのは何も陽子崩壊が起きた場合だけじゃなくて、水中を光より早い速度で荷電粒子が動くと発生するのだ。
つまり、荷電粒子が水に飛び込んでくるとひどいノイズになるので、そうならないように地下深くに水槽を置く必要があるんだ(地層により宇宙から振ってくる荷電粒子が遮断できるのだ。)。

でも、それでもバックグラウンドのチェレンコフ光はゼロにはならないんだよね。
なぜなら、宇宙から降り注ぐ強い放射線である宇宙線が大気中の空気の分子と反応して発生するニュートリノが水槽の中の水とごくごくたまに反応してチェレンコフ光が出るため。
宇宙線と空気分子が反応すると、酸素原子や窒素原子からμ粒子というのが出てくるのだ。
でも、このμ粒子はすぐに崩壊して、電子と電子ニュートリノ、ミューニュートリノになるんだ。
この2つのニュートリノが大気ニュートリノとして地上にものすごい量で降り注いでいるんだ。
ちなみに、ニュートリノには電子ニュートリノ、ミューニュートリノ、タウニュートリノと3種類あるのだ。

でも、このニュートリノは幽霊粒子とも言われるように、ほとんど他の素粒子と反応しないので、基本はどんどんすり抜けていくのだ。
これは、この世界を構成する4つの力のうち、電磁気力と強い相互作用の影響を受けず、弱い相互作用と重力の影響しか受けないため。
ところが、全く反応しないわけではなくて、例えば、水中で水分子中の酸素原子の原子核のすぐ近くをニュートリノがすり抜けようとする場合、反応するのだ。
ニュートリノが陽子に衝突した場合、陽子が中性子と陽電子に分かれるんだけど、この陽電子は荷電粒子なので、チェレンコフ光を発生させることになるのだ。
つまり直接ニュートリノを見ることはできないんだけど、ニュートリノが反応した痕跡としてのチェレンコフ光を検知することで、ニュートリノが来ていることがわかるというわけ。
これが小柴博士がノーベル物理学賞を受賞した成果だよ。

で、いろいろとそうやって大気から来るニュートリノを観測していたとき、変な現象が起きたのだ。
大気ニュートリノの発生原理はわかっているので、降ってくるニュートリノの量はおおよそ検討がつくのだけど、電子ニュートリノがほぼ予想どおり観測できたのに対し、ミューニュートリノは数が少なかったのだ!
これは途中で何か起きているに違いない、と考えられたわけ。
素粒子物理学における「標準モデル」では、ニュートリノというのは質量がゼロと仮定しているのだけど、逆に、その仮定が間違っていて、ニュートリノがわずかばかりでも質量を持つと仮定すると、ニュートリノは飛行中に別の種類に変換する現象が発生すると想定できるんだって。
これは非常に難解な話なので、ここでは単純に、質量を持てば飛行中にニュートリノの種類が変わってしまう「ニュートリノ振動」という現象が起こるし、質量がない場合はニュートリノの種類は何があっても不変ということだけわかればよいのだ。

こういう前提の中でカミオカンデのグループが考えたのは、ひょっとしたら、ニュートリノの質量はゼロではなくて、ニュートリノ振動が起きているので、ミューニュートリノは少なくしか観測できないのではないか、という仮説。
カミオカンデの観測装置では、タウニュートリノのは観測できないので、大気ニュートリノ中のミューニュートリノが地上に届くまでの間にタウニュートリノに変わってしまっていたとしたら、この現象が説明できるかもしれない、ということ。
でも、カミオカンデではそこまでの感度がなかったので、より水槽が巨大化した、後継のスーパーカミオカンデを使った実験でその仮説が確かめられることになるんだよ。
ちなみに、巨大化させても陽子崩壊の方はやっぱり観測できないので、もっと大きな水槽にするハイパーカミオカンデ計画というのが構想されているのだ。

梶田博士がやったのはこの研究で、スーパーカミオカンデを使って詳細に大気ニュートリノを観測してみると、確かにミューニュートリノの数が減っていることがわかって、しかも、エネルギー分布もずれていることがわかったんだって。
このことから、ニュートリノが質量を持つ可能性が出てきたのだ。
さらに詳細な分析を行うため、今度はつくば市にある高エネルギー加速器研究機構(KEK)の陽子サイクロトロンから出る陽子線をターゲットに当て、そこから出てくる人工のニュートリノを神岡に向けて発射して、その飛行中にニュートリノ振動が起きているかどうかを確認する実験が行われたのだ。
これがK2K(KEKから神岡)実験。
この実験では、あらかじめ既知のニュートリノを打ち込んでいるので、より詳細に分析ができるのだ。
こうした実験を通じて、ミューニュートリノがタウニュートリノに変化する現象は確認できたんだ。
ちなみに、今回の共同受賞者のマクドナルド博士は、SNO実験という太陽から来るニュートリノを使った実験で、電子ニュートリノがミューニュートリノやタウニュートリノに変化する現象を観測しているのだ。

K2Kに続く実験として日本がやっているのが、東海村にある大強度陽子加速器(J-PARC)の大強度の陽子線を使って大強度のニュートリノビームを発生させ、それをスーパーカミオカンデに打ち込むというT2K(東海から神岡)実験。
この実験では、東海村から発射する段階でもニュートリノの量を計測していて、さらに詳細な分析が可能なのだ。
この実験により、これまで観測できていなかったミューニュートリノが電子ニュートリノになる現象が実験的に確認されたみたい。
現在は、ニュートリノの反粒子である反ニュートリノで振動が起きるのかどうかを実験していて、ニュートリノと反ニュートリノで振動現象に対称性を超えた違いがあるかどうかを確認する実験をしているのだ。

ものすごく難しい話だけど、宇宙がビックバンでできたときには粒子と反粒子がほぼ同数で存在したはずなんだけど、現在の宇宙はほぼ粒子のみにより構成されているんだよね。
仮に、粒子と反粒子が完全に対称性を持つ場合は、両方あるか、両方ないかしかないので、どこかで対称性に「破れ」があって、反粒子が消え、粒子だけが残ることになったはずなのだ。
その証拠となる現象を実験的につかんだのが、KEKにある加速器のKEKBで、やはりノーベル物理学賞を受賞した小林誠・益川敏英博士の理論を裏付ける実験結果を出したんだよね。
このKEKB加速器は電子と陽電子の衝突実験をしていて、電子と陽電子の間の対称性の破れを見ているんだけど、それと同じような対称性の破れがニュートリノの世界でもあるんじゃないか、というのをT2K実験で狙っているのだ。

ものすごく難しい話だけど、とにかくすごいことが日本から発信されてきたし、これからも発信できるかもしれないってこと。
今は物理学を志す学生が減ってきているみたいだけど、ずっと日本が強みを持ってきた分野なので、何とかしたいよね。
数学がわからなくて物理から逃げ出したボクの言うセリフではないかもしれないけど(笑)
それでも、まったく実用性がない分野なんだけど、日本はずっと世界をリードしてきているのは確かなので、このまま火が消えるようなことがないようにしてもらいたいものなのだ。

お宝は土の中にある

今年も日本寺のノーベル賞受賞者が出たのだ!
まずはノーベル・ウィーク初日の生理学・医学賞。
利根川進博士、山中伸弥博士に続いて三人目の受賞となったのは、北里大学特別栄誉教授の大村智さんだったのだ。
抗寄生虫薬の発見がその受賞理由だよ。

大村博士は、長年にわたって、微生物が作り出す天然有機化合物の研究に従事してきたのだ。
具体的に何をするかというと、いろんなところの土をとってきて、その中にいる微生物がどんな有機化合物を作っているのか、その有機化合物は何か有用な成分になるのかどうかを調べていたんだ。
今回受賞のきっかけになったのは、静岡県のゴルフ場近くの土壌からとった放線菌が作り出す抗生物質で、帰省中の駆除に効くものだったんだ。
それが最初は動物用医薬品として広く使われるようになり、やがてヒトにも有効で、特に中南米・アフリカで問題になっていた線虫による熱帯地方の風土病「オンコセルカ症」の特効薬だったので、多くの人を失明から救ったのだ。
こういう業績が評価されたわけ。

っていうけど、ひとつひとつの言葉がわかりづらいので(笑)、ちょっとずつ解説。
「放線菌」というのはバクテリアの一種で、菌糸を伸ばしながら放射状に広がって増えていくことから名付けられたもの。
今ではDNA解析をもとに分類するので、必ずしもそういう形態的特徴を持たないものも「放線菌」に分類されるらしいけど・・・。
ま、バクテリアであることがわかればいいのだ。

バクテリアやカビ(真菌)は、自分が増殖しやすいように、自分以外の微生物の増殖を阻害する物質を作ってまき散らすんだよね。
それが抗生物質。
よくテレビとかでこんなところにも雑菌が、とかいって、綿棒とかでこすって培地にすりつけて培養すると、丸い塊(コロニー)がいくつか出てくる、とかいうのをやっているけど、このとき、複数の菌が混ざってしまわず、それぞれがコロニーを作るのはこういう抗生物質で他の菌の増殖を抑えているからなんだ。

世界で最初に見つかったのは、青カビの作り出すペニシリンで、これは結核の特効薬として当時の医学を大きく前進させることになったのだ。
その次に見つかった抗生物質がバクテリアが作り出すストレプトマイシン。
これは放線菌由来の物質だよ。
腎毒性があるのと、重大な副作用で難聴にあんるというのがあるので今はあまり使われなくなったけど、やはり結核に著効を示したのだ。

抗生物質を薬として使う場合、ヒトの細胞にはあまり影響なく、バクテリアやカビなどの微生物にだけ増殖を阻害する効果を示す方がよいのだ。
そういうのをスクリーニングで選び出すんだよね。
で、そういう物質の中には、微生物だけじゃなくて、ウイルスや線虫などの寄生虫にも効果があるものがあったんだ。
今回は寄生虫となってヒトの疾患の原因となっている線虫に対して効果がある抗生物質で、そういうのは抗寄生虫薬と呼ばれるのだ。
イヌに飲ませるフィラリアの薬も抗寄生虫薬だよ。

ちなみに、抗生物質を少し化学的にいじると、増殖が特に早いヒトの細胞の増殖を抑える効果を持たせることができるのだ。
こうして作られたのが抗生物質系の抗がん剤。
ただ単に微生物の増殖を止めるだけでなくて、そういう拡張性もあって、かつては製薬会社・化学会社が競って新しい抗生物質を探索したものなのだ。
そういった世界的な潮流の中で、大村博士は金字塔とも言うべき成果を出したということだよ。

特に今回言及されている「オンコセルカ症」という病気は、らせん状に巻いている「回線糸状虫」という線虫が規制することで起こる病気で、ブユによって媒介されるんだ。
川の近くにいるブユにより感染し、やがて失明に至るので「河川盲目症」という日本語明があるのだ。
アフリカや中南米に患者さんがいて、大村博士が発見した抗生物質を米国の製薬会社のメルクが商品化したイベルメクチンが特効薬になっていて、多くの人が救われたんだって。
日本ではあまり寄生虫による病気というのはぴんとこないけど、発展途上の熱帯地域ではけっこう大きな問題なんだよね。

北里柴三郎博士の薫陶を受け継ぐ北里研究所出身で、野口英世博士のように、熱帯地域の風土病の克服に大きな貢献があった、ということで、日本としては感慨深いものがあるよね。
大村博士のすごいところは、動物用医薬品として実用化されて得た富を使って自分で研究費をかせいでいたことと、ヒトの病気に使えるとわかったところで特許を放棄し、世界保健機関(WHO)が無償でアフリカ・中南米の患者さんに提供できるようにしたことなのだ!
研究者としては変わり種なのかもしれないけど、日本が世界に誇るべき研究者だったわけだね。

2015/10/03

超月

今年の中秋の名月は、翌日にスーパームーンが観測されることもあって注目されていたのだ!
確かにいつもより大きいような気がするし。
なんだか月の大きさや明るさが変化するというのは違和感があるけど、大きさについては最大で1.14倍の直径に、明るさは3割増し程度になるんだって。
これは計算上で出てくる数字なんだけど、NASAの観測でも確かにそうであることがわかっているのだ。

なぜ月の大きさが変わるのか?
もちろん、月そのものの大きさが変わっているわけでは当然なくて、地球から見た月の「見かけ上の大きさ」が変わっているんだよ。
この見かけ上の大きさは月と地球との距離に比例するはずなので、月と地球の距離に変動がある、ということなのだ。
この答えは簡単で、月が地球の周りを回る軌道は、円軌道ではなくて楕円軌道だから。
かなり真円に近いんだけど、ちょっとゆがんでいるんだよね。

理科年表の数字で言うと、最も地球に近づく近地点で362,600kmの距離。
最も遠ざかる遠地点では405,400km。
月の見かけ上の大きさはこの距離に反比例するはずなので、405,400÷362,600=1.118・・・
って、あれ?
1.12倍にしかならない!

実はこれにはさらなるからくりがあるのだ。
月が地球を周回する楕円軌道は一定ではなくて、太陽の引力の影響を受けてゆがむのだ。
すなわち、長径方向に太陽がある場合は、月は太陽に引っ張られるのでより楕円が扁平になるし、逆に、短径方向に太陽がある場合は、その楕円軌道はより円に近づくのだ。
これが無視できないくらいの差で現れてくるんだよ。
最も扁平になるときが、月と地球の距離の差が最大になるんだけど、そのときは、近地点が356,400km、遠地点が406,700km。
その比を見ると、406,700÷356,400=1.141・・・
そう、これが最大で1.14倍の正体なのだ。

次に明るさについて。
一般に星の明るさは地球とその星との距離の二乗に反比例するのだ。
すなわち、距離が、356,400÷406,700=0.876・・・で、0.88倍(=1/1.14倍)に縮まっているので、明るさは、(1/0.88)2倍=(1.14)2倍=1.2996倍にはるはず。
すなわち、3割増しということなのだ!

いわゆる星の明るさの話をするときは、一般には自分で光っている「恒星」なんだけど、月の場合は太陽の光を反射しているだけなので、事情が異なる、みたいな感じで書かれているものもあるのだ。
見かけ上の大きさの直径が1.14倍で、月の反射する光の量は月の見かけ上の大きさ(面積)に比例するから、その二乗で1.3倍の明るさ、としているんだ。
でも、これは実は間違い。
確かに反射光の量はそうなのかもしれないけど、明るさというのは単位面積当たりの光の量のことなので、面積が変わっても不変なのだ。
反射光だろうがなんだろうが、光源と観測点との距離こそが明るさには影響するんだよ。
月そのものの大きさが変われば明るさにも影響があるけど。

2015/09/26

金より貴重な銀

今年はカレンダーの妙により、秋に五連休が生まれたのだ!
世間的に「シルバーウィーク」としてもてはやされ、全国的に天気にも恵まれたことから、かなりの人が行楽に出かけたみたいだよね。
でも、次に五連休になるのは2026年で11年後なんだって・・・。
春の大型連休であるゴールデンウィークの場合は、祝日が3日連続しているので最低限三連休は保証されているんだけど、秋の場合は、国民の休日がうまく挟まらないとダメなんだよね(>o<)

秋に大型連休が生まれるためには、すでにハッピーマンデーが適用されている敬老の日と秋分の日が2日違いで、その間に平日が挟まることが必要なのだ。
敬老の日は9月の第3月曜日と決まっているので、秋分の日が9月の第3水曜日に来ないといけないわけ。
秋分の日は太陽が黄道(地球から見た見かけ上の太陽の軌道)における秋分点を通過する日なので、毎年日付が変わるんだよね。
だいたいは9月の21日、22日、23日のいずれかになるので、これが水曜日に当たればいいのだ。
24日が秋分の日になることもあるんだけど、その場合、秋分の日が24日となった場合、9月の第3月曜日は15日になってしまうので、この場合は大型連休にならないんだって。
こういう状況なので、秋の大型連休は非常にまれな存在なのだ!

そもそも、このシルバーウィークが生じるきっかけになったのは、ハッピーマンデー制度の導入と、祝日と祝日に挟まれた日を休日にする「国民の休日」制度の導入によるもの。
日本の祝日は「国民の祝日に関する法律」第二条により規定されていて、建国記念の日を除いては、法律上で日付が指定されているのだ。
元旦や天皇誕生日のように日付がきちっと定められているものと、敬老の日や体育の日のようにハッピーマンデー制度が適用されて、○月の第×月曜日というような指定をされているものがあるんだ。
建国記念の日だけは政治的な問題があったので、「政令で定める日」とされていて、別途政令で2月11日に決められているのだ。

さらに、同法第三条で振替休日と国民の休日が規定されているのだ。
昭和48年(1973年)までは振替休日もなくて、祝日が日曜日の場合は休みの日が1日減っていたんだけど、このときに振替休日を導入し、祝日が日曜日に当たる場合は、翌月曜日を振替休日にすることになったのだ。
また、昭和60年(1985年)には、2つの祝日に挟まれた平日を国民の祝日とする制度が導入されたんだよね。
基本的には、憲法記念日の5月3日とこどもの日の5月5日に挟まれた5月4日を休みにするためのものだったんだよね。

ハッピーマンデー制度は、平成10年(1998年)の法改正で導入され、平成12年(2000年)から施行。
まずは成人の日と体育の日が月曜日指定になったんだよね。
平成13年(2001年)の改正ではハッピーマンデーの対象が拡大され、平成15年(2003年)以降は、海の日と敬老の日もハッピーマンデーにより月曜日指定になったのだ。
このときから、敬老の日と秋分の日にはさまれた国民の休日がたまに発生する状況になったんだよね。
これがシルバーウィークのはじまり。
その最初のタイミングが平成21年(2009年)で、今回は二度目だったんだ。

ちなみに、その後も国民の休日に関する規定は微妙に改正されているのだ。
というのも、4月29日を「昭和の日」とし、みどりの日を「5月4日」にしたため、暦上では常に祝日が3日連続になる状況が発生したため、祝日と祝日に挟まれた日であって祝日でない日が国民の休日になる、というように改正がなされたんだ。
この場合、国民の休日になる可能性があるのは、敬老の日と秋分の日に挟まれる平日だけだよ。
また、このとき同時に振替休日の規定も改正されていて、ある祝日が日曜日に当たった場合、その直近の平日が振替休日になることになったんだ。
というのも、5月3日が日曜日だった場合、もともと5月4日は祝日なので、そのままでは振替休日がなくなってしまうので、5月6日が休日になるように変えられたのだ。

というわけで、今回の秋の連休はうまいことタイミングが重なって生じたものなのだ。
でも、実際の陽気のよいこのシーズンに連休があると行楽に出る人も多く、経済効果もあるので、祝日制度自体を見直して秋にも必ず大型連休があるようにしたい、という動きもあるんだよね。
とはいえ、日付が確定しない秋分の日を絡める限りはなかなか難しいので、なかなか妙案はないんだけど。
ま、たまにしかないからこそのありがたみというのもあるしね(笑)

2015/09/19

神出鬼没の赤い花

この前散歩しているときにヒガンバナを見たのだ。
もともと今年は残暑をあまり感じなかったし、めっきり秋っぽくなってきたけど、ヒガンバナを見るともう彼岸かぁ、と思うよね。
季節を感じさせる花のひとつなのだ。
ボクは割ときれいな花だなと思うけど、それ以上に、この花はその妖しさから忌避する向きもあるんだよね。

その大きな原因は、いきなり茎が伸びてきて花だけが咲くからだと思うんだよね。
そのために「幽霊花」なんて名前もあるし。
芽が出て、葉が増えて、やがて花が咲く、という一連の流れが見えず、いきなり花だけ出てくるので気持ち悪く感じるのだ。
確かに、この植物に特有の大きな特徴ではあるんだけどね。

これはボクもよく知らなかったし、実際に見ていても気づかなかったんだけど、花が終わって、茎も枯れた後に、細い葉が放射状に広がってくるんだって。
秋から冬にかけて葉が広がり、春には枯れて地上にはまた何もなくなるのだ・・・。
そして、秋口にまたいきなり茎が出てきて花が咲く。
ヒガンバナはデンプン質を多く含む鱗茎があるので、春~夏に葉で光合成をしなくても、秋~冬にためた栄養で花を咲かせられるんだよね。

ヒガンバナの妖しさは、その鮮やかな赤い色と特徴的な花の形もあるんだけど、この鱗茎には独があるというのも一役買っていると思うんだよね。
リコリンなどの有毒なアルカロイドを含んでいて、食べると嘔吐や下痢を引き起こし、場合によっては中枢神経が麻痺して死に至る場合も・・・。
その毒の効果を狙ってあぜ道に人為的に植えられたとも考えられるんだよね。
ネズミやモグラ、虫などの田を荒らす動物が独を嫌って近づいてこなくなる、というわけ。
墓場にも植えられるけど、これは土葬していた時代の名残で、動物が埋葬した死体を暴いて食べたりしないように、ということのようなのだ。

ただし、この有毒成分は水溶性なので、長時間水にさらすと抜くことができるんだって。
実際に太平洋戦争中は食べていたこともあったらしいよ。
ちなみに、この鱗茎は生薬の一つでもあって、むかしから使われていたようだよ。
有毒なものなので民間療法で使うには危険なんだけど。
もしどうしてもという場合は、必ず長時間水にさらした方がよいのだ。

このヒガンバナ、どうも日本には人為的に持ち込まれた帰化植物みたいなんだよね。
というのも、日本全国で見られるヒガンバナはすべてクローンで、遺伝情報が同じなのだ!
つまり、一株のヒガンバナが増やされて広まっていったということ。
北海道から沖縄まで分布しているのに、たったひとつの鱗茎から始まったのだ。
触れたように、農作物を荒らす動物への対抗手段として田のあぜ道なんかに植えられたので、そういう有用性が評価されていたんだね。
なお、日本のヒガンバナは三倍体になっているので、もともと種子では増えないんだって。

でも、そうなると気になるのは、山の中とか、人の住んだ形跡がないところにもヒガンバナが咲いていること。
でも、誰かが植えない限りは勝手に生えてくるわけではないので、かつてはそこに田や墓場など、人が暮らしていた形跡があると言うことなんだよね。
なんらかの形で鱗茎が山中などに持ち込まれた可能性もあるけど、そういう目で見てみると、人の住んだ形跡が発見できるかも。
今度思わぬところで見かけたら、よく観察してみようっと。

2015/09/12

自動販売機のジュースは当たるのか?

テレビを見ていて知ったんだけど、当たり付の自動販売機って、当たりの出る確率を設定できるんだね。
ただし、当たりの確率はどこまでもあげられるわけじゃなくて、最大で2%まで。
つまり、50本に1本の確率以下でしか当たらないのだ。
どうりで当たったことがないわけだ・・・。
そのテレビのインタビューでは、自動販売機会社からは、通常は1%(つまり、100本に1本)の割合で設定することをベースに設置者との間で調整するんだって。

この2%というのは業界の申し合わせとかじゃなくて、法令に基づく基準なのだ。
一般に「景品表示法」と言われている「不当景品類及び不当表示防止法」の第4条では、「内閣総理大臣は、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を確保するため必要があると認めるときは、景品類の価額の最高額若しくは総額、種類若しくは提供の方法その他景品類の提供に関する事項を制限し、又は景品類の提供を禁止することができる。」と規定して、景品でむやみに消費者をつるようなことをしてはならない、としているんだ。
これに基づいて公正取引委員会告示が出されていて(現在は法律の所管は消費者庁の所管になっているよ。)、その中で決まっているんだ。

その告示は「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」というもので、その中では「懸賞により提供する景品類の総額は、当該懸賞に係る取引の予定総額の百分の二を超えてはならない。」と定められているんだ。
自動販売機の場合「取引の予定総額」というのは、売上げ総額の予定額になるので、想定される売上げの2%以内でしか景品(この場合は当たりが出た場合の商品)を提供できないんだ。
これが当選確率が最大で50分の1の根拠なんだって。
自動販売機の場合、全く当たりが出ない設定と、当たりを出す場合は1/990~1/50で設定できるようになっているのが標準的みたい。
0.1%なんて設定もあるんだね(>o<)

ちなみに、景品の価格にも規制があって、5,000円以内の商品であれば20倍まで、5,000円以上は一律10万円が上限だよ。
缶コーヒーの懸賞でジャンパープレゼント、なんていう場合は、1本だけで応募できる、としてしまうと、景品は120円×20=2,400円以内におさめないといけなくなるんだよね。
これがシールを20枚集めて応募とすると、さらに20倍できるので、48,000円と高額商品も設定できることになるよ。
ただし、景品自体の価格が上がっても、景品全体で2%の枠は係るので、高額商品であればあるほど当選確率は下げざるを得ないのだ・・・。
自動販売機で当たらないんだから、缶コーヒーのジャンバーなんてさらに当たらないわけだよ(笑)
ジャンバーなどのキャンペーンの場合、通常は○○名様に当たる、というようにやるはずなので、おそらくは過去の売上げ実績から推定して2%の枠内に入るように景品の価格を設定しているはずなのだ。
普通は安全側で設定するはずなので、当選確率はますます下がるはずだね。

さらに、応募者全員プレゼントとなると、完全に2%以内のものしかもらえないというわけだよね。
ボクも今、一生懸命シールを集めているんだけど、コンビニのパンなどについているシールを集めて食器をもらうキャンペーンなんかがそう。
100円当たり1枚というシールを40点分集めるとすると、100×40×2%=80円ということになるのだ。
そうなると、景品としてもらえるのがオリジナル商品だとしても、マグカップやら皿やらの原価は80円程度に抑える必要があるんだよね。
だから中国製が多いのかな?

正直、必ずもらえる、という方が抽選でもらえるより魅力的なんだけど、当選確率の分だけ景品の価格は抑えなくてはいけないので、痛し痒しなんだよね。
ま、それを野放図にしたら大変なことになる、というので法律があるんだろうけど。
赤字覚悟で商品でつって売上げを伸ばし、独占又は寡占したところで一気に値上げ、というのがないとは言えないのだ。
でも、実はこうやって景品のレベルを法的に枠ではめていてくれた方が、貪欲な消費者のニーズにとことんまでつきあわなくてよくなるから、企業側にもメリットがあるのかも。

2015/09/05

バスでつなぐ

最近知ったんだけど、東日本大震災で被災した東北の鉄道路線はほぼ復旧はしているものの、一部は「仮復旧」なのだ。
この仮復旧というのが何を指すのかというと、鉄道ではなく、バスで代行輸送をしているんだよね。
JR東日本のウェブサイトにあるにくわしいんだけど、具体的には、気仙沼を起点とする気仙沼線と大船渡線の2路線なのだ。
もともと線路がかなり海岸沿いにあったので、本格復旧をするにはもっと山側の高台に線路を敷設し直す必要があるんだよね・・・。
でも、正直この路線は赤字路線なので、JR東日本としても大きな投資をして線路を敷設し直すことには難色を示しているのだ。
地元も相応の負担をしてくれたら、というのが鉄道会社の見方だけど、被災地域は他にも復興需要があってそこまで手が回らないのも事実。

一方、鉄道事業者であるJR東日本は公益事業体なので、勝手に赤字路線を廃線にできるわけでもないんだよね。
あくまでもその公共サービスの享受者である地元の合意が必要なのだ(>o<)
なので、なんらかの形で輸送サービスを提供する必要が出てくるわけ。
そこで登場するのが、バスによる代行輸送という考え方。
臨時で運転見合わせになった場合や、短期の工事で運休する場合もバスでの振替輸送が行われるけど、今回の場合は、もともと鉄道路線だったものをバス路線に代えて復旧させるという措置なんだよね。
新たに線路敷設をしない限りはバスでの輸送サービスの提供になるのだ。

ここで使われているのはただのバスではなくて、バス高速輸送サービス(BRT)と呼ばれるものなんだよね。
バスだと道路の混雑状況によって定時性(時刻表どおりに運行できること)の確保が難しくなるんだよね。
かつ、一般道を走らせる場合はそんなに多くの本数を出せないので、輸送力にも限界があるのだ。
これを一部解消して、バスの短所を補っているのがBRTという交通システムなんだ。
具体的には、バス専用のレーン又はバス優先道路で運行させ、道路や交差点で他の車両の影響を受けづらくするのだ。
かつ、専用のプラットフォーム(駅)を用意して、車外で料金徴収を行うことで乗降をスムーズにしているんだ。
後払いでも先払いでも、バスだと運賃の支払いで列ができることがあって、出発できなくなるからね。
また、駅があると、乗降口と路面の段差を解消できるので、ノンステップになるのだ!

このあたりは路面電車のような軌道交通で解決されているんだけど、線路や軌道を敷設することなく提供できるところに大きなメリットがあるのだ。
線路や軌道は敷設だけでなくてメンテナンスにも多大なコストがかかるんだよね。
また、基本的には道路を走るだけなので、専用道路や優先道路が設定できれば、路線変更も用意なのだ。
今回の仮復旧でもここが大きくメリットになっていて、とりあえず前に線路が敷設されていたところに専用レーンを整備して、既存の駅を活用しながらバスを走らせているんだけど、有事の際はそこから一般道に出て避難でもできるのだ。
なので、起こるかどうかがわからない自然災害に備えて新たに線路や軌道を切り開く必要もなく、比較的安価な投資で復旧できるんだよね。
地元としても、高めの要求ばかりでことが動かなくてスタックするよりは、とりあえず「仮復旧」ということで今回の措置を受け入れているのだ。
今回は元線路だったところを専用レーンにしてバスを走らせるので、基本的には鉄道と同じようにほぼ時刻表どおりに運行できるはずなんだよね。
輸送力は落ちる可能性はあるけど、もともと赤字路線なので、すし詰めになるような事態もあまり想定されないのだ。

ところが、人の輸送はそれでいいとしても、このバスによる振替では貨物の輸送は代行できないんだよね・・・。
基本的には貨物営業はすでに廃止していたみたいだけど(基本は東北本線と常磐線が使われているのだ。)、まさに復興需要で物入りのときこそ、鉄道で大量に物資が輸送できるとメリットが大きいんだけどね。
JR貨物の場合、自分で持っている線路で走らせるのと、他の事業者(例えばJR東日本など)が持っている線路を走らせるのとで2通りの事業形態があるんだけど、仮に貨物輸送の観点でこの路線が特に重要だ、となると、JR貨物で整備することになるのだ(JR東日本はすでに人の輸送だけならBRTでいいと判断しているわけだからね。)。
ま、そこまでの需要はやっぱり見込めないんだろうなぁ。
地元としては鉄道路線の復活を望む声もあるようだけど。

ちなみに、このBRTというのは比較的安価コストで短期間に整備できる交通システムとして注目されていて、2020年の東京五輪の「足」としても計画があるみたいだよ。
ライトレールで路面電車を整備するのもあるけど、一度軌道を敷設してしまうと恒常的なものになってしまうので、まさにオリンピック特需のためだけに新交通システムを臨時で導入する、という場合はBRTの方が優れているんだよね。
今度のオリンピックでは臨海副都心が中心になるけど、東京駅などの都心部からのアクセスをよくする必要があるし、もともと勝どきとか晴海のあたりは交通の便がよくないところがあるので、その解消も含めて東京都が計画しているのだ。
実は、このあたりはもともと都電が縦横無尽に走っていたんだけど、自動車が増えたことで都電が廃止されていった経緯があるんだよね。
当時は地下鉄に振り返るとともに、地下鉄が通せないところは路線バスで対応ということになっていたんだけど、それがまたBRTという形で復活するかもしれないのだ。