2022/04/02

もっとも単純なアミノ酸

日本は「不眠大国」と呼ばれるほど、不眠に悩んでいる人が多いそうなのだ。
単に寝付きが悪い、眠りが浅い人から、病気のレベルで不眠症の人まで。
国民皆保険で処方せにゃ管と医療費負担が少ないというのもあるのだと思うけど、睡眠薬(睡眠導入薬を含む)の売り上げも世界トップレベルで高いみたい。
最近は町中の薬局で買える市販薬のドリエルのようなものもあるしね。
そんな中、「医薬品」ではなく「機能性表示食品」としてグリシン(味の素の商品名は「グリナ」)というのもあるのだ。
グリシンはアミノ酸の中でももっとも単純な構造をしたもので、中心の炭素の4つの結合のうち、2つが水素、ひとつがカルボニル基、残りひとつがアミノ基というもので(H2N-CH2-COOH)、20種類の必須アミノ酸の中でもっと分子量が小さく、また、唯一光学異性体を持たないものなのだ。

この商品説明などを見てみると、偶然寝る前にグリシンを服用すると眠りが深くなり、翌朝すっきり起きられることがわかって、睡眠の質の向上に繋がっているのではないか、ということがわかったんだって。
もともとは二重盲検法(ダブルブラインドテスト)で、何か効果がありそうな化合物の対照物、つまり、偽薬効果(プラセボ効果)を評価するための「効果がないはずのもの」として選ばれていたんだって。
ところが、どうもグリシンの方が効果がありそう、ということでいろいろと調べてみたんだって。
これまでにわかっているので、グリシンを服用して寝ると、睡眠の導入が速やかになり、かつ、深くて質の高い睡眠が得られやすい、ということ。
これをどう評価しているかというと、ひとつは体温、もう一つはレム睡眠とノンレム睡眠のバランスなのだ。

一般にヒトというか恒温動物は、睡眠時に体温が下がるのだ。
これは代謝が落ちて発熱量が下がる(インプット減少)のと、体表などからの放熱が盛んになる(王とプット増加)ことによるんだ。
寝汗をかくのは放熱が盛んになっているからで、一般には毛細血管が広がっているので、寝付いたヒトの手などを触るとあたたかいと感じるのだ。
体がほてって眠れない、手足が冷たくて眠れない、というのはこの裏返しで、睡眠時の体温調節がうまくいっていないからだとか。
ここで言う体温というのは、体の中の温度である深部体温のことで、通常は外的要因に左右されずに一定に保たれているもの。
体表面温度だと、風が吹けば下がるし、日が当たれば上がるけど、そういうのには左右されず、あくまでも体の中の調節機構のみによって上下するのが深部体温だよ。
でもでも、深部体温の調節がうまくいかないから眠れないのか、うまく眠れているから深部体温が下がっていくのかは本当はわからないと思うけどね。
深部体温は外から冷やしたり暖めたりしてもほとんど影響がないので、なかなか確かめようがないからわからないのだ。
現象として、睡眠と深部体温の調節は関係があることだけは確かなんだけど。

で、グリシンを服用すると、深部体温の調節がずれが是正されるようなのだ。
味の素の研究によれば、実際にグリシンを服用した場合と層でない場合で深部体温の変化を調べると、グリシンを服用した場合は、いわゆる「睡眠の質が高い」パターンの深部体温の変化になるみたい。
この研究はあくまで現象を追っているだけで作用メカニズムの解明にはつながらないのだけど、グリシンの服用が睡眠時の深部体温の変化に影響を及ぼしていて、かつ、その影響は質の高い睡眠をしているときの変化に近づけるような方向であるらしい、ということはわかるのだ。
睡眠薬ってちょっとこわいけど、ただのアミノ酸であるグリシンで本当にこういうよい効果が得られるのであれば、それはうれしいよね。

でも、どうもこれ以上はわからないようで、だからこそ、「機能性表示食品」にとどまっていて、医薬品には至っていないのだ。
作用メカニズムが不明だと何か副作用が出た場合も対処できないし、よい効果といっても、さっき見たように因果関係が本当にそうなのかがわからないので、薬事承認は通せないんだよね。
睡眠薬だと、睡眠の質はどう荒れ、眠れなかった人が眠れるようになる(副作用で悪夢を見る、うなされる、寝てもすっきりしないなんてのもあるけど・・・・)ので、わりとクリアカットに効果が評価できるんだよね。
でも、睡眠の質については、、深部体温変化やレム睡眠・ノンレム睡眠のバランスなどで状況証拠は集められるけど、質が上がったかどうかと言うこと自体は評価しづらいんだよね。
まさに、信じるものは救われる、の世界なのかもしれないけど。

ちなみに、グリシン自体は中枢神経でよく整形の神経伝達物質になっていることは知られていて、仮に脳内に直接投与すれば、鎮静作用があるはずなのだ。
多くの睡眠薬も神経の興奮を抑える薬なのだ。
そこからすると、似たような効果があってもよいとは思うけど、どうも効果は違うんだよね。
睡眠薬は文字どおり、飲むと眠くなる薬なのだ。
一方で、グリシンは飲んだら眠くなるんじゃなくて、寝付きがよくなる、睡眠の質がよくなるものなんだよね。
なので、神経の過剰興奮を抑制するから効く、というよりも、体内時計の狂いの是正とかそっち方面に影響してそうな気はするんだよなぁ。
これはそのうち解明されるのだろうか?

2022/03/26

全員野球で停電を防げ

先日の震度6強の地震の影響で東京電力管内の火力発電所の一部が稼働できない状況なのだ。
そんな中、開花宣言とともにやってきた「花冷え」の強力な寒気団により、関東地方は雪も降るような冷え込み・・・。
このために暖房による電力需要が一気に伸び、需給逼迫の危機が訪れたのだ。
このため、経済産業省や東京電力パワーグリッドは国民に節電を要請したんだよね。
このまま需要が供給力をオーバーすると大規模停電になるよ、と。
なんとか大規模停電は回避できたけど、かなりぎりぎりのところでふんばったようなのだ。

もともと電気の安定供給の大原則は「同時同量」。
消費している分だけ発電して供給して、需給のバランスを常時一致させる必要があるのだ。
多少のずれは周波数の乱れ程度で済むんだけど、大きく過不足が生じるとネットワークで障害が起こって大規模停電になるのだ。
電気回路で過電力が生じるとショートするけど、そういうイメージ。
実際、20世紀に米国で生じたカリフォルニア電力危機では、電力需要に対して供給が追いつかず大規模停電になったんだよね。
仮定のブレーカーとは違って、需要を抑えて再起動すればもとにもどるわけではなく、需給バランスが崩れた上でのネットワーク障害は送配電線が切れたり、発電所側にダメージがあったりと、すぐに復旧できないのだ・・・。
なので、実際にそんな事態になるとけっこう長期にわたって不自由することになるのだ。
なんでも電気を使う現代ではかなりきついよね。

この米国の電力危機は電力自由化による影響と言われていて、日本でも電力の自由化を進める上でその分析を行い、同じ過ちを犯さないように慎重に議論されたのだ。
そういうのもあって、一気に全面自由化するのではなく、大規模需要家から徐々に自由化範囲を広げていくという段階的な自由化になったんだよね。
で、現在完全自由化に移行したわけ。
ここで問題になったのは、「電力の安定供給」を担うのは誰なのか、という論点。
公益事業として規制されつつ各電力会社に地域独占が認められていた旧電気事業法の世界では、電力会社=一般電気事業者に対して「供給義務」が課せられていて、電力会社は電力の安定供給に努めなければならず、何か問題があれば経済産業大臣から必要な命令などが出せるようになっていたんだ。
具体的には、供給予備力をきちんと確保することが大原則。
過去の電力需要動向から予測して、それに見合った供給力を確保する、ということ。

この際、十分な「余裕」を持って供給力を確保することになっていて、通常は需要予測の8~10%程度の余力が必要と言われているんだ。
この需要予測を超える分が「予備力」で、需要予測に占める割合が「予備率」だよ。
最近の報道でよく聞く言葉になったよね。
この予備率が3%を切ると非常にまずい状況で、今回のように「需給逼迫警報」が出るということなのだ。
ここで言う「供給力」というのは発電所の発電能力=発電容量とは同じではない点が重要。
常に発電所が100%出力で発電できるわけじゃないし、定期メンテも必要なので、そういうのももろもろ含めて実際に発電できる能力で供給力を確保することが求められるんだ。
需要が甘利にも大きくて発電能力が足りない場合は、やはり今回よく聞くようになった「揚水発電」で、夜中に貯めておいた電気を昼間に回すなどの工夫が必要なのだ。

で、自由化前の世界だと、各電力会社がそれぞれの供給区域において一元的に供給義務を負っていて、社内で発電部門と送配電部門(ネットワーク部門)が協力して調整していたのだ。
で、自分の供給区域内だけでどうにもならなそうな時(真夏のピーク時など)は、隣接する電力会社から融通を受けるため、中央電力協議会で協議していたのだ。
でも、各電力会社の供給区域内のネットワークは基本的には独立していて、かつ、東日本と西日本では電気の周波数が異なるので、周波数が異なる区域間の融通には周波数変換所(全国で2カ所)を通すことが必要なこと、北海道電力と東北電力の間は直流連系しかないなど制限も多いんだよね。
なので、よほどのことがない限りは自分でなんとかする、というのが基本だったのだ。
※とはいえ、北海道電力や東北電力の原子力発電の電気の多くは東京電力に流れていたし、春の雪解けでどうしても放水しないといけない黒部ダムの水力発電の電力は北陸電力から関西電力に流れるのは「いつものこと」だったのだ。

電力全面自由化後は、電力会社に課せられていた供給義務が撤廃されるんだよね。
地域独占を認める代わりに規制を課していたのであって、その前提が崩れるからそこまで求められない、ということなのだ。
そこでどうなったかというと、新電力を含む小売電気事業者全体に「供給力確保義務」を課し、自分が売電契約を結んでいる顧客の需要を十分に満たすだけの供給力を確保することを売電事業者に求めたのだ。
加えて、電力ネットワーク全体の調整を図る機関として電気事業法に基づき設立されている電力広域的運営推進機関に対し、安定供給の確保のために需給状況を監視し、必要に応じて電気供給事業者に指示等を行うことを求めているんだ。
これはかつて中央電力協議会が調整していたようなネットワーク間融通だけでなく、ネットワーク内の需給バランスの調整も含まれるよ。
電力ネットワークの場合、入力と出力で数字が合っていればいいというわけではなく、ネットワークで電気の供給と消費のバランスがとれていないと障害が起こるので、それも見ないといけないのだ。
で、発電する事業者に対しては発電量の増減を指示し、売電する事業者に対しては筆王yに応じて需要抑制をするよう勧告することになるよ。

今回はなんとか乗り越えたとしても、大震災以降原子力発電所がなかなか再稼働しない中では予備力が厳しい状況は続くんだよね・・・。
夏のピーク時にはまた危ないかもしれないのだ。
ウクライナへの侵攻で原油価格や天然ガス価格も上がっていて火力発電もコストが上がっているし、電気の安定供給への課題は増えているね。
でも、こういう具体的な危機意識があると、節電への意識が高まるかも。

2022/03/19

4つのせめぎ合い

東北地方でかなり大きな地震があったのだ。
東京でもけっこう揺れてびっくりした。
停電したところもあるしね。
今回の地震も東日本大震災の余震とみられているようだけど、地震の震源地はちょっと違うみたい。
日本海溝付近なんだけど、大震災の時はプレートの境界面のひずみで、今回のはプレートの下あたりにできたひずみじゃないかって。

ここで言っているプレートというのは、太平洋プレート。
日本の領土は4つのプレートの上にのっていて、東日本がのっているのが北アメリカプレート。
西日本がのっているのがユーラシアプレート。
伊豆半島と伊豆諸島・小笠原諸島・沖ノ鳥島がのっているのがフィリピン海プレート。
そして、沖ノ鳥島がのっているのがこの太平洋プレートだよ。
太平洋プレートは名前のとおり太平洋を広くカバーしているプレートだけど、ハワイ諸島なんかがのっているのだけど、日本も南鳥島だけはこのプレート上にあるのだ。

で、このプレートの境目は地震・火山活動が活発なところ。
北アメリカプレートとユーラシアプレートの接するところが地理で習うフォッサマグナで、静岡糸魚川構造線は境界面と見られているよ。
フィリピン海プレートが北アメリカプレートに突き刺さっているところが富士山。
今でも伊豆半島は日本列島を突き上げているのだ。
ちょうどインドプレートがユーラシアプレートを突き上げているところにヒマラヤ山脈があるのと同じ。
フィリピン海プレートとユーラシアプレートが接するところが、東海・東南海地震でリスクが高いと見られている南海トラフなんだよね。

で、今回の地震の震源地は、太平洋プレートが北アメリカプレートの下に沈み込んでいるあたり。
ちょうど日本海溝の付近なのだ。
非常に硬い地殻が動いて滑り込んでいるわけで、すっと沈み込んでいるわけではなく、摩擦でさまざまなゆがみ・ひずみが生じているのだ。
そのエネルギーが爆発的に解放されると大きな地震になるんだよね。
けっこうこれまでも東日本大震災の余震と見られるものは多かったけど、震源地がちょっと違うから、これまでひずみを貯めに貯めていた、ということかな?

こうしてみると、日本のように多くのプレートに国土が分かれてのっている例って少ないんだよね。
ニュージーランドなんかはオーストラリアプレートと太平洋プレートに分かれているけど。
火山・地震活動が活発な国というと、イタリアやインドネシア、トルコ、チリなんかが思い浮かぶのだ。
で、世界のプレートの図を見ると、それらの国々は複数のプレートの上にのっているわけではないのだけど、すぐ近くにプレートの境界面があるんだよね!
プレートの境界と関係なく火山活動が盛んなところとしてはハワイ諸島が思い浮かぶけど、あそこはフィリピン海プレート上のほっとスポットと呼ばれる場所にあって、マグマ活動が盛んなので火山は噴火するけど、地震はさほど多くないのだ。
むしろ、前に大きなロサンゼルス地震があったけど、北米西海岸はプレートの境界面なので、時々大きな地震が発生するんだよね。
北アメリカプレートとユーラシアプレートの境界は大西洋上にあるので、北米ではまさにそこだけが地震が起きやすい場所なのだ。
欧州も地中海に境界面があるので、地中海に面している国はわりと地震があるけど、そうでない場合は地震が少ないんだよね。

いずれにしても、このプレートの図を見ると、日本が非常に特殊な環境にあることはわかるよ。
世界有数の地震国と言われるのもうなづけるね・・・。
こういう環境で暮らしてきたから、自然に対する畏怖の念が強いのかも。

2022/03/12

無酔

最近のことと思うけど、ノンアルとか微アルの飲料がはやっているよね。
もともとノンアルは自動車を運転しないといけない人とかがせめて味だけはビールを楽しみたい、とかいうけっこう限定的なニーズだったと思うのだけど、ここのところは、ビールだけでなく、レモンサワーやワインのノンアルもテレビでよくCMを見るようになったのだ。
それだけ「売れる」ということだよね。
さらに、一時「ストロング」シリーズの、通常よりアルコールが濃いめの缶酎ハイがはやっていたと思ったら、その対極にある、アルコールがかなり低めの飲料、いわゆる微アルの飲料も増えてきているのだ。
ボクも層だけど、日本人は体質的に(遺伝的に)アルコールに弱い人が一定数いるので、お酒の雰囲気と味は楽しみたいけど、絶対量が飲めない、みたいなのはあるから、そういうところに刺さるみたい。
普通に飲める人でも、明日は朝が早いから、とか、最近ずっと飲んでるから、とかで微アルにしとくかみたいな需要もあるし、けっこう売れているようなのだ。

これらは、酒税法上はアルコール飲料に該当せず、扱いは「清涼飲料水」になるのだ。
酒税法では、「酒類」の定義として「アルコール分一度以上の飲料」としているので、アルコール度数が1%未満だとアルコール飲料にはならないのだ。
ノンアルと呼ばれるものは限りなくアルコール度数がゼロに近いもの(通常は0.05%未満)で、ちょっとは入っているけど度数が1%未満のものが微アルと呼ばれるみたい。
それこそ江戸時代より前から親しまれているのは甘酒だよね。
これはデンプンが糖分に分解されたところで飲んでしまっているので、糖分が発酵してアルコールになっていないのだ。
子どもの頃に楽しんだのは「シャンメリー」だよね。
ノンアルコールのシャンパン風味飲料。
そして、おじさんたtにの飲み物のホッピー。
ホッピー自体は微アルのビールテイスト飲料で、通常はそれだけでは飲まず、焼酎の割材に使うのだ。
プリン体が少ないから、通風のおじさんたちには大事なものだよね(笑)

その後に登場してきたのが、いわゆるフリー計のビールテイスト飲料。
いったんビールを造ってからアルコールを除去する製法や、爆中や爆中エキスを元にビール風味の炭酸飲料を作る製法など、いろいろあるみたい。
それぞれ特徴はあるので、ビールの銘柄の好き嫌いがあるように、どれがビールの代替物としてよいかという好みもあるんだろうね。
それこそ最近はいろんなものが売られているから、それだけマーケットも広がったのだろうと思うのだ。

そして、もはやノンアルはビールだけではなく、酎ハイやワインにも広がったのだ。
もともと欧米にはノンアルのビールテイスト飲料やワイン風味のブドウジュースなんてのはあって、アルコールをその場で飲めない人とが楽しむ文化があったんだよね。
日本は下戸が多いこともあるんだろうけど、そこまでの需要が過去にはなく、知る人ぞ知る、みたいな扱いだったのだ。
一方で、レストランとかに行くと、お酒がだめな人用にノンアルコールのカクテルは置かれていたよね。
でも、カクテル自体が甘いものだから、ノンアルのカクテルも甘いもので、食事と一緒に楽しむもの、とはなかなか言えないのだ。
そこで実は需要があったのが、お酒のような風味だけど、アルコールがほとんど入っていない、雰囲気重視の飲料と言うことだったんだね。
甘くないジュースというとうれなさそうだけど、強い甘味で食事の邪魔をしない、むしろ、お酒と同じように食事を引き立てるみたいな存在になったのだ。

そして、重要なのは、ノンアルビールが飲食店で提供されていたときはそこまで爆発的なヒットにはならなかったけど、家庭用の缶飲料が売り出されて浸透が進んだという点。
実際には、売り出してみると意外と売れたから、各社がさらにいろんな商品を展開するとさらにマーケットが広がって、というのがおそらく現在の姿と思われるのだ。
背景には、道路交通法の改正による飲酒運転の厳罰化とかもあるんだろうけど、お酒が苦手な人、その場ではお酒が飲めない人でもお酒の味を楽しみたい、という需要が顕在化したということだろうね。
ニッチな需要だからと思って見逃されていたら、思ったより大きな需要だったということかな。
これまでは、飲めないけどそういう席につきあわないといけない人が消極的に選ぶ、みたいなイメージだったんだけど、自宅用のものが宇売れると言うことは、お酒の味や雰囲気を楽しみたいけどアルコールはそんなに摂取したくないという積極的なノンアル/微アルの需要があったということなのだ。
一人で食事と飲み物を楽しみたいときの選択肢として売れているということだよね。
これはけっこう生活・文化における多様性が拡大した結果なのかも。

2022/03/05

これって感染するよりひどいのでは?

 新型コロナのワクチンを接種したのだ。
3回目接種で、全部モデルナ。
前回もそうだったんだけど、けっこう強い副反応が出た。
実家の家族も副反応がひどかったと言うから、遺伝的要素があるのかも・・・。
コロナワクチンに弱い家系か・・・。

一般に、医薬品の場合は副作用というんだけど、ワクチンの場合は副反応と呼ぶんだよね。
目的の感染症に対して免疫を持たせる(=抗体を作らせる)のが主反応なので、それ以外に出てくる反応が副反応なのだ。
いろんな原因があるみたいだけど、ワクチンの主成分によるもの、主成分以外のものによるもの、などなど。
多くの場合はアレルギー反応で、多くのワクチンは鶏卵を使って作るので、玉子アレルギーの人はダメなんだよね。
そのほか、ワクチンには安定剤のようなものも入っていて、それに反応する人もいるのだ。
生ワクチンの場合は、弱毒化したウイルスをそのまま投与するので、それで普通に感染症が起こる可能性もあるんだよね。

今回の新型コロナワクチンは、RNAワクチン。
抗原となる、コロナウイルスのカプセルタンパク質をコードしたmRNAを投与しているのだ。
体の中に入ったmRNAはそのままタンパク質に翻訳されて、抗原タンパク質ができるわけ。
で、それに対する抗体もできて、ウイルスが来たときにはその抗体でウイルスを無効化できるのだ。
このmRNAからできるタンパク質は体にとっては異物なので、抗体も作られるんだけど、自然免疫も活性化されるのだ。
で、コロナワクチンの副反応の多くは、この自然免疫の活性化の影響だと思うんだよね。

というのも、コロナワクチンの副反応の主要なものは、発熱、体の痛みなどなど。
これって、体の中で炎症メディエーターであるプロスタグランジンが増えることで起きているはずなのだ。
プロスタグランジンは炎症反応が起こると大量に分泌される化学物質で、発熱を促し、痛覚を増強するのだ。
まさにインフルエンザをひいたときのような状態になるんだよね。
なので、発熱や全身の痛みが出ていると言うことは、プロスタグランジンが大量に出ているので、少なくとも免疫系が活性化されている証拠ではあるのだ。
ただ、あまりにひどい副反応は過剰な反応なんだけど・・・。

このプロスタグランジンは、細胞膜の中にあるアラキドン酸という脂肪酸に、シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)という酵素が作用してできるのだ。
なので、このCOX-2の作用を抑えてあげれば副反応は出にくくなるはず。
で、これを助けてくれる薬が非ステロイド性解熱鎮痛剤だよ。
バファリンに入っているアセトアミノフェンもそうだけど、伝統的なアスピリンや、イブプロフェン、エテンザミド、インドメタシンなどなど、いろんな薬があるのだ。
これは発熱と痛みの増強を促すプロスタグランジンの生成を抑えるので、過剰な副反応が抑えられるのだ。
実際にボクもイブプロフェンを飲んでいたけど、薬が効いている間は熱もあまり出ないし、体の痛みもかなり治まるのだ。
きれて瞬間がきついのだけど・・・。

この薬は市販の風邪薬にも入っているけど、総合感冒薬は余計なものもたくさん入っているんだよね。
なので、鎮痛剤として売っている単剤で買った方がよいのだ。
ただし、この薬が生成を抑制してしまうプロスタグランジンには胃粘膜保護作用があるので、この薬を飲むと胃が荒れるのだ。
かならず食後に飲むことが大事。
今回は食欲は低下しなかったのでボクは問題なかったけど、体の調子が悪いときは食欲もないから、これが難しいんだよなぁ。

2022/02/26

整いました!

最近、日本人の食事には圧倒的にタンパク質が不足しているので、積極的に摂りましょう、と言われているのだ。
確かに、ごはんに、麺類に、パンに、と主食にこだわる日本人の食事は炭水化物(糖質)ばかりだ・・・。
ボクも最近はサラダチキンやらちくわなどの練り物を積極的に食べるようにしているんだ。
そして、江戸時代から日本人の貴重なタンパク質源だったのが大豆。
豆腐や油揚げは手軽にタンパク質がとれる食品だよね。
さらに、食事にも合わせやすいのが豆乳。
味に好き嫌いがあるけど、乳糖不耐症で牛乳が苦手な人でも大丈夫だし、飲み物だから摂取しやすいのにけっこうタンパク質が入っている!!

で、最近豆乳をよく飲むようになったんだけど、ボクは豆乳の味自体は嫌いではないので、タンパク質量が多くてカロリーが低めの「無調整」を選んでいるのだ。
一般的なのは「調製豆乳」で、そのほか、コーヒー味などフレーバーのついた「豆乳飲料」があるんだよね。
これらは牛乳と同じように規格があって、厳密に区別されているみたい(日本農林規格、いわゆるJASだよ。)。
牛乳だと乳脂肪を取り除いたりするけど、豆乳の場合は何を「調整」しているのかいまいちよくわからないよね。

まず、豆乳は大豆を水に浸してすりつぶし、さらに水を加えて煮詰めた汁をこしたもの。
残りかすが「おから」なのだ。
タンパク質と脂肪分の多くは豆乳の中に出て、残った食物繊維がおから、とイメージするとわかりやすいのだ。
でも、この製法だと、水の量で豆乳の濃さがまちまちになるよね。
そこで、JASの規格では、無調整豆乳の条件として、最終的な大豆タンパク質含有率を3.8%以上としているよ。
かつ、大豆と水以外の原料は使ってはいけないのだ。
まさに豆の絞り汁というわけ。
で、この無調整豆乳の場合は、あたためてにがりを加えればかたまって豆腐になるし、そのまま火にかけて表面にできてくる膜をすくうと湯葉になるよ。
規格はあるけど、濃いのでないとうまくいかないので注意。

でも、この無調整豆乳って、大豆独特の風味というか、青臭さがあるのだ。
そして、少しえぐみがあるんだよね。
これらを苦手としている人がけっこういて、戦後までは豆乳をそのまま飲むことはあまりなかったみたい。
で、おいしく飲めるような製法ができてから広く広まってきたのだ。
それが、調味料などを加えて飲みやすくした「調製豆乳」。
ちなみに、最近では大豆の品種改良も進んで、青臭さやえぐみが抑えられたものもあって、無調整豆乳も飲みやすくなっているとか。

JAS上、調製豆乳に足してよい原料は、脱脂加工大豆(大豆油を取り除いたもの)、植物油と調味料。
大豆の青臭さは、大豆中に含まれる不飽和脂肪酸がもともと大豆の中にある酵素の作用でアルデヒドができることで出てくるのだ。
これは草刈りをしたときの青臭さと同じで、大豆を破砕して酵素が外に出てくることによって反応が起きてしまうんだ。
なので、現在は水に浸漬した大豆をいったん蒸して酵素を失活させてから破砕したりと工夫をしているみたい。
そして、大豆の中の脂肪分(大豆油)は不飽和脂肪酸に富んでいるので、酸化されて劣化しやすいのだ・・・。
できたて・絞りたてを飲めばよいのだけど、一般に流通させようとすると油の酸化を防ぐ必要があるんだよね。
そこで、豆乳のパッケージは基本脱酸素になっているし、調製豆乳の場合は、酸化防止剤を入れたり、脱脂加工大豆を加えて大豆タンパク質量を減らさないようにしつつ、飽和脂肪酸の多い植物油脂を加えたりするのだ。
こうすることで「飲みやすく」なるよ。
最後に、砂糖や塩などで味を調えるんだ。
こうして「調製豆乳」が作られるんだけど、JASでは、大豆他の悪質含有率を3.0%以上としていて、無調整豆乳より「薄く」なっているのだ。
これが飲みやすさにもつながるんだけど、薄くなっているにもかかわらず糖類が足されているのでカロリーは高くなるのだ。

そして、調製豆乳では保存性を高める観点から、食品添加物としてpH調整剤や乳化剤等も加えられているよ。
さらに、調製豆乳の場合は消泡剤が入っているんだよね。
無調整豆乳を飲むとよくわかるんだけど、よく振ってから飲もうとするとものすごく泡立つのだ。
そして、その泡はけっこう丈夫で消えないんだよね。
泡立つから即飲みづらいということではないけど、泡立つと空気に触れる表面積が大きくなって酸化しやすくなるから、調製豆乳では泡立ちが押さえられているんだ。
乳化剤も入っているので、タンパク質や脂肪分が沈殿しづらくなっているのも特徴。
ただし、これは逆にいうと、豆腐として固められない、ということなのだ。
豆腐はにがりの凝集作用で固めるので、それが阻害されるわけ。
また、最近ではレアチーズのように豆乳にレモン汁を加えてタンパク質と脂肪分を沈殿させて取り出す、みたいなこともあるみたいだけど、pH調整剤が入っている調製豆乳では難しいよ。
いずれもそういう加工がしたい場合は無調整豆乳がよいのだ。
調製豆乳はあくまでも飲み物に特化したものなのだ。

2022/02/19

壁ドンしたら手に色がついた

 最近テレビCMでよく見かけるようになったのだけど、家の外壁の塗装は古くなると粉状のものが浮き出てくるのだ。
それに気づかずに壁に触れると手に色がつく!
学校とかの公共の建物で古い壁なんかを触ると経験があるよね。
これが「チョーキング」という現象で、樹脂塗料の中の顔料の粒子が表面に浮き出てきているものだよ。
もともと壁に塗っている塗料は、この顔料を樹脂に溶かし込んだものなんだけど、なんらかの理由で樹脂がなくなることによって、表面に出てくるようになるのだ。

樹脂がなくなる原因はずばり経年劣化。
永久によい状態が保てるわけではなくて、どうしても耐用年数があるんだよね。
で、その耐用年数こそがまさにこういうチョーキング現象が出るくらいなわけで、そうなると、塗料を塗っている意味がなくなってくるので、塗り直しが必要なのだ。
テレビCMはその塗装の会社のCMなんだよね。
手に粉がついあら塗り替え時だよ、ということ。

樹脂の劣化の原因はいろいろあるけど、メジャーなのは、太陽光に含まれる紫外線による影響。
樹脂は高分子で、ポリ塩化ビニルなら塩化ビニル、ポリエチレンならエチレンと基本単位となる構造があって、それが長く繋がっている構造なのだ。
その結合部分に紫外線が当たるとそこが切れることがあるんだよね。
多くの場合、紫外線が当たってエネルギーが加わるとそこで酸化反応が起きて酸素がくっつくんだけど、それは不安定な状態なのでその結合が切れて安定化するのだ。
これは高分子の脱重合という現象で、高分子である樹脂は水に溶けないことが甥のだけど、重合する前の基本単位の分子は水に溶けるものも多いのだ。
で、紫外線で結合が切れて脱重合が起こっているところが雨にさらされると、樹脂だったものが雨に溶け出してなくなってしまう、ということになるよね。
そうすると、樹脂層が薄くなってしまって、そこに混ぜ込んであった水に溶けない顔料だけがそこに残ってしまって、樹脂がなくなった分、顔料が表面に出てきたようになるんだよね。
これがチョーキングの正体。

樹脂にはいろんな種類があるので、壁塗りをする際は状況に応じて適切なものを使うわけで、乾燥/湿気に強いもの、高温/低温につよいものなどを選んでできるだけ劣化を遅らせようとはするけど、それでも経年劣化はするんだよね。
多少劣化が見えてきた段階でさらに表層に透明なコーティングをしてしまう、というのもあるけど、これもちょっと時間稼ぎをするだけだし、見た目がちょっと汚くなるんだよね。
ちゃんとやろうと思ったら、一回前の塗装をはがして、新たに塗装し直さないとだめなんだよね。
色落ちで見た目が悪くなるから塗り直せばよい、という簡単な話ではないのだ。

これはなんでそもそも塗料を塗っているのか、というところから来るんだよね。
色をつけて見た目をきれいにするため、というのも当然あるのだけど、もっと大きな理由は、壁面の保護。
壁面がむき出しだと、風雨や直射日光にさらされて壁材自体が傷んでしまうので。
そうならないように、表面に保護膜を作って保護しよう、というのが塗装。
そういう意味では、塗装が経年劣化で傷むのはある意味当たり前っていうか、そもそもの役割で、壁材そのものではなく、表面の塗料が傷むようにしているということなんだよね。
特に鉄材だと、参加してさびるともろくなってしまうので、表面をコーティングすることに大きな井mがあるのだ。
コンクリート剤なんかだと、雨に濡れると徐々に溶け出してしまうので、直接雨水に触れないようにすることも必要なんだよね。
そうやって保護膜を作ってあげるのが塗料で、その「バリア」が弱まってきたらはり直すのが必要だよね。

同じような保護膜は他のものにもあるよ。
日本の伝統工芸品でいえば漆器のうるし。
漆を塗ることで強度を上げるとともに水をはじくようにして、木製の食器が長持ちするのだ。
見た目がきれいになる以上に実用的なメリットがあるからこそ、かぶれながらもクロウしてうるしを集め、職人技でなんども塗って仕上げる技術が生まれたんだよね。
もう少し身近なものだと、健在にも使われるトタン。
トタンは薄い鉄板を亜鉛メッキしてコーティングしたもの。
鉄がそのまま外気にさらされているとどんどんさびてしまうけど、亜鉛で表面を覆うことで鉄の腐食を防止しているのだ。
これは、亜鉛の方がイオン化傾向が大きい=酸素と結合しやすい性質を利用したもので、鉄がさびるのは酸素と結合するからなので、先に亜鉛と結合しちゃえば鉄はさびないよね、ということ。
これにより、軽く加工しやすくってさびづらいという便利な建材になっているのだ。
といっても、むき出しの鉄よりはましだとしても時間が経てばトタンもさびるけどね。