2016/02/27

江戸のランドマーク

2月23日は「ふじさん」の日!
安直な語呂だ(笑)
でも、日本のイメージって、やっぱり「富士山」なんだよね。
奈良時代の歌人である山部赤人さんがすでに富士山に関する長歌・反歌ですでに歌われていて、万葉集にも載っているのだ。
古代から霊峰として崇められ、実際に修験道の聖地でもあるんだよね。

で、この富士山は、江戸の人たちにも人気で、「富嶽三十六景」なんていう浮世絵シリーズもあるくらい。
そればかりか、「名所江戸百景」のような江戸の風景を描いた作品にもたびたび登場するのだ。
これは、実際に江戸からよく富士山が見えたからなんだよね。
江戸城から富士山まではだいたい100kmくらいで、当時は高い建物もなく見晴らしがよいし、何より空気が澄んでいたからよく見えたはずなのだ。

その証拠に、東京の地名で「富士見」というのがけっこうあって、これは西から東に上る坂のある場所が多いんだよね。
富士山がよく見える場所だったから「富士見」なのだ。
そのまま坂の名前としても「富士見坂」というのはたくさんあって、飯田橋から九段に向かう富士見坂や、日暮里から西日暮里に向かう富士見坂なんかは有名だよ。
今ではほとんど見えないのだけど・・・。

それでも、ビルの高層階からは、天気がよければ富士山が見えることが多いのだ。
冬だと空気も乾燥しているからよりくっきり見えるよね。
小学校の時は教室から富士山が見えるとうれしかったものだよ。
今ではマンションやビルなど高層の建物が増えてきて司会が遮られるから、天気がよくても見えないことがあるのが残念(>o<)
東京タワーですら見えづらくなってきているのだから仕方がないのかもしれないけど・・・。

人の目線の高さをAmと仮定して、地球の半径をRとすると、地平線までの距離は、三平方の定理を使って、(A+R)-Rの平方根で求められるのだ。
地球の半径に比べて、目線の高さはものすごく小さいので、近似値としては、2ARの平方根にほぼ等しくなるよ。
ここで、Aを1.5m、地球半径を6,371kmとすると、だいたい4.37kmになるのだ。
高い建物にいればそれだけ目線の高さは高くなるので遠くまで見通せるんだけど、例えば、地上約200mの高さにある新宿都庁の展望台から見ると、約38.8km先まで見えるのだ!
新宿起点で言えば、八王子、横浜、柏、市原、川越、春日部なんかでも見渡せているよ。

で、富士山の場合は、そもそも高さがあるので、もっと遠くにあっても見えるのだ。
富士山の高さをHmとすると、同じように三平方の定理から、富士山の山頂がぎりぎり地平線の先に見える限界点(地平線からの距離)は、(H+R)-Rの平方根になるはず。
これは約220kmになるんだよ。
なので、何も障害物がなければ、普通の人の目線の高さであっても、200km離れた地点から富士山は見えるというわけ。
東京は100km圏内なので余裕。
200km圏内と言えば、水戸、宇都宮、前橋・高崎、松本、名古屋なんかまで入るよ。
150km圏内まで入ると、上半分くらいは見えるので、京から下って豊橋まで出れば拝めたはずで、伊勢物語の東下りでも、三河の八橋(現在の豊田市)を過ぎたらもう見えていておかしくなくて、駿河まで出なくても見えていたはずなんだよね(笑)

ちなみに、目線が高いところもあれば、当然さらに遠くにあっても見えるはずで、100mの高さの展望台に上れば、地平線まで36km+富士山の限界点220kmで250km離れてもOK。
こうなると、金沢まで範囲が広がるんだけど、残念ながら石川県庁の19F展望ロビーは高さ約80mなので足りないのだ(ToT)
でも、日本アルプスの山々なら標高が2,000m級なので、当然のことながら富士山がよく見えるよ。
何も、目線の高さは人工の建物でなくても上げることはできるのだ(笑)

2016/02/20

そう言えば、なんか違和感を感じていた(笑)

米国の研究チームが、つに重力波の検出に成功したと発表したのだ!
重力波というのは、質量を持つ物体が加速度運動するときに生じる空間(重力場)のゆがみのことで、アインシュタイン博士が一般相対性理論に基づいて予言していたんだけど、長年直接的な観測ができなかったもの。日本もカミオカンデのある網岡鉱山跡に大型低温重力波望遠鏡(LCGT)「KAGRA」を整備していて、まもなく観測を始めるところだったのだ。
欧州でも観測をしていて、今後、米国以外のチームが重力波を観測することができるようになると、先の米国の発表は本当だったのかがまずわかり、その後、重力波の謎が徐々に解明されるかもしれないんだって。

実は、ボクたちも質量を持っているので、走ったりするとその周りの重力場はゆがんでいるんだ。
動くとなんか歪みを感じるよねぇ(笑)って、そんなわけはなくて。
この重力場のゆがみというのはものすごく小さなものなので、よほど大きな質量を持つようなものが動く場合でないと重力波として観測することは不可能なんだよね。
そこで、世界中の研究者は、ブラックホールやパルサーやらの宇宙空間にある巨大質量の天体の動きに起因する重力波を検出しようと競争していたのだ。
でも、それでも「さざ波」程度のものなので、技術的に観測が難しかったんだって。

間接的な証拠としては、互いに引き合いながら回転運動をしている連星パルサーという天体の周期を精密に観測することで、重力波というものがあるらしい、というのはわかっていたのだ。
連星パルサーは名前のとおり、ふたつのパルサーが互いに引き合いながら一体となってくるくる回転しているんだけど、どうも天体の間の距離が微妙に縮まっていて、それで回転の周期が変化していることがわかったのだ。
これは、それぞれのパルサーが共通の重心を中心に引き合いながら書いてぬんどうをするときに重力波が発生していて、その重力波の分だけエネルギーが失われることにより、徐々に近づいていく、ということのようなんだよね。
(仮に何もエネルギー損失がない場合には天体間距離は変わらないはずなのだ。)

で、この間接的証拠からエネルギーとしてどの程度の重力波が発生するかが予測できるわけだけど、これがごくごく小さなもの。
重力波は減衰することなく光の速さで伝わるんだけど、あまりにも小さすぎるのでノイズとの区別がつかず、観測できなかったみたい。
それを技術で工夫して、今回検出にこぎ着けたんだよ。

その検出方法の世界的なトレンドはレーザー干渉計(マイケルソン干渉計)を使ったもの。
光源から出たレーザーをビームスプリッターという装置でそのままの方向に進む光と、直角に曲がった方向に進む光に分けるのだ。
それぞれの光の進む先には鏡があって、レーザー光が反射され、その反射光を検出するんだけど、反射光もビームスプリッターで分離されてしまうので、実際には、もともとまっすぐだった光は反射してから曲げられた光が来て、先に曲げられた光は反射してからは直進する光が来るのだ。
何も起こらなければ光の進む距離の違いで干渉が起こるんだよね。
すなわち、光に「山」と「谷」の波があるので、「山」が重なれば強い光が検出され、逆に「谷」が重なると暗くなる。
「山」と「谷」が合わさると相殺してしまって光が弱くなるのだ。
これが「干渉縞」として観測されるんだよね。

重力波が到達すると、空間がゆがんでしまうので、それぞれの光の進む距離が伸びたり縮んだりするのだ。
理想的には片方は縮んで、片方は伸びるんだそうだよ。
でも、その大きさが、太陽と地球の距離に対して原子1個分くらいのゆがみ・・・。
なので、観測が難しいのだ。
KAGRAではレーザー光が進む距離が片道で3km、米国で重力波の観測に成功したLIGOの場合は4kmだよ。
地球が丸いので、どんなにがんばっても片道4kmとるのが限界なので、これ以上の長さでやるとなると、宇宙空間に出て人工衛星を使ってやるしかないんだけど、そういう構想もあるみたい(人工衛星の位置を精密に制御できないので実現はまだまだのようだけど。)。

我が国のKAGRAの場合は、工夫をすることで観測精度を上げているのだ。
ひとつは、地下深くに置くことで、地面の振動によるずれのノイズを下げること。
実は、国立天文台の三鷹キャンパスの地下にも小型の重力波望遠鏡のTAMA300というのがあるだけど、近くの産業道路を大型車両が通っただけで観測データがダメになるらしいんだよね・・・。
もうひとつの工夫は、徹底的に冷やすことで観測装置の熱振動を抑えること。
熱があると鏡も検出器も振動しているので、それがノイズとしてきいてくるのだ。
なので、KAGRAの場合は液体ヘリウムで冷やしながら観測するんだよ。

昨年ノーベル賞を受賞した梶田先生は、このKAGRAを整備している東京大学宇宙船研究所の所長だけど、米国の成果を賞賛していたよね。
初の観測実績は逃したけど、これからは国際共同で観測を進め、各地の観測装置でデータを集めることで、重力波の発生源の方向や距離などもわかる可能性があるので、まさに研究としてはこれから、ということのようなのだ。
なので、まだまだ挽回のチャンスがあるので、日本もKAGRAを使って研究をしてきたいってことなんだって。
本格稼働は来年になるみたいだけど、期待が高まるね。

2016/02/13

本当はメインなんです!

「なます」という料理があるのだ。
イメージとしては、お正月のおせち料理に入っている紅白のやつだよね。
さっぱりするのでボクは意外と好きなんだ。
ゆずをきかせてあるのがおいしいよね。
でも、実は、これは「精進なます」と呼ばれるものの一種で、もっと歴史があって、奥が深いものなのだ。

ことわざに出てくる「羮に懲りて膾を吹く」の「なます」なんだけど、「羹」というのが熱い料理で、「膾」は冷たい料理なんだよね。
具体的には、生肉や生魚を細切りにしたものを中国では「膾」と言うのだ(本当は魚の場合は「鱠」)。
時代劇なんかに出てくる「なます切りにする」というのは細かく切り刻む、ということだよ。
孔子さんも肉のなますを好んだと言われているけど、肉をあぶった「炙」とともに古代中国のごちそうだったんだって。
「人口に膾炙する」というのは、「炙」や「膾」のようなごちそうは人々に好まれてよく口にされるけど、それと同じように人々が口にする、ということなのだ。
酢の物の一種というイメージとはだいぶ違うよね・・・。

我が国にも「なます」は古くからある料理で、おそらく最初は本場中国のものが伝わったんだろうけど、「膾」ではなく、大和言葉の「なます」は独自の料理になっていたのだ。
平安後期の院政期には、魚や野菜を刻んだものを調味料と和えたものが「なます」と呼ばれていたようで、すでに仏教の影響からか、「生肉」はなくなっているのだ。
やがて、単に酢を使った調味料で和えたものを「なます」と呼ぶようになり、野菜だけを使ったなますも登場するんだ。
一応、野菜のみの場合は「精進なます」とよばれるのだけど。
このあたりになると、ほぼ現在の酢の物の概念だよね。

でも、江戸時代まではなますは「一汁三菜」の「菜」のひとつで、煮物・焼き物と並んでメインの料理の一つであったのだ。
通常お膳の中央より奥の「向こう側」に置かれたので、「向付(むこうづけ)」と呼ばれるようになるよ。
たぶん、この頃はまだ魚肉が入ったもので、今で言うところの「ぬた」や「カツオの土佐造り」に近い料理だと思うんだよね。
時代が下ってくるとこのなますはだんだんと刺身・お造りに置き換わっていくのだ。
もともとは刺身やお造りもなますの一種だったんだけど、はじめから調味料と和えるんじゃなくて、切り身だけ並べておいて、好きな味で食べた方がおいしくない?、ってなったんじゃないかと思うのだ。
江戸時代になると、江戸のような比較的海に近い年では新鮮な生魚が得られるようになり、さらに、醤油が普及してきて、あえてあらかじめ酢を使った調味料で和えなくてもよくなったのだ。

で、本来の酢を使ったなますはと言うと、会席料理では止め肴の酢の物・和え物として出るものに成り下がったのだ。
もちろん、ほぼ野菜だけが使われる料理に変わってはいるけど。
メインだったはずが、刺身に座を奪われてしまった・・・。
この結果、刺身のようなメインになるなます由来の料理がごそっとイメージから抜け落ちたので、いわゆる酢の物のイメージになっていくのだ。
しかも、「なます」の名前をそのまま使うのもおせち料理の「紅白なます」くらいだしね。

タルタルステーキもそうだけど、基本的には家畜の品種改良も進んでいないし、場合によっては狩猟で獲た獲物の場合もあったので、生肉はそのままではかたいもので、刻んで柔らかくする必要があったんだよね。
しかも、保存技術もよくなくてどんどん悪くなっていくのでくさみも出やすく、薬味や香辛料を混ぜることがおいしく食べるこつだったのだ。
酢を使うのは、味を調えるとともに、殺菌効果も狙っているよね。
傷みやすい鯖をしめさばにするのと同じ。
でも、江戸時代くらいまで下ると、そんなことをしなくても素材のママの味を楽しめるくらいの新鮮なものが手に入るようになったので、刺身文化が花開くのだ。
そういう意味では、「なます」という調理法は一定の役割を終えたんだよね。
ただし、味として好まれている部分は確かにあるので、酢の物のとして生き残っているのだ。

2016/02/06

製法が大事!?

文部科学省が定期的に改訂している「日本食品標準成分表」で衝撃が走ったのだ!
これは、カロリー計算やビタミンやミネラルなどの栄養素量の換算の基礎データになるものなんだよね。
料理のレシピで、塩分量が○○、カロリーが○○というのはこの表のデータから算出している例が多いのだ。
(逆に、そうでないと個別に熱量や成分を分析しないといけないから・・・。)
で、ニュースなどで話題になったのが、「ひじき」の鉄分量。
今時改訂から大幅に減ったんだよね・・・。

よく、鉄分が不足している場合は、ほうれん草やレバー、ひじきなどを食べましょう!、と指導されてきたけど、それが根底から変わるわけ。
スーパーで売っている乾燥ひじきを食べてもあまり鉄分が補えない可能性があるのだ。
学校給食とか病院食とかは栄養のバランスをすごく気にしているから、ひじきで鉄分がまかなえないとつらいかも。
女性の場合は特に鉄分の摂取が重要だから、気をつけないといけないよね。

その原因というのも明らかになっているから、今回大きく報道されているのだ。
それは、乾燥ひじきの製造過程で鉄釜が使われなくなったから。
ひじきは鉄鍋でにられてから乾燥させることで、鉄分が豊富になっていたのであって、海の中にある状態では鉄分が豊富なわけではなかったのだ!
ほうれん草とは違うわけだね。
なので、どうやって加工されたひじきかが重要なんだ。

近年では、さびにくくてメンテナンスが容易なのと、鉄より軽いのとで、ステンレス製の釜が使われるようになったんだって。
鉄の釜を使っていたときは、ひじきをにている間にその煮汁の中に鉄分が溶け出して、それをひじきが吸収していたんだけど、ステンレスの場合は鉄分の溶出はないので、本来ひじきが「地力」で持っている鉄分しかないわけなのだ。
実は、一般生活でも同じようなことが起こっていて、鉄のフライパンや鍋、鉄瓶・鉄のやかんなどが使われなくなったので、かつてに比べると意識して鉄分を摂取しないとダメになってきているんだよ。

鉄は熱伝導性も高く、加工しやすいので、古来より鍋や釜などに使われてきたんだけど、とにかく重いんだよね。
しかも、さびやすいのでメンテナンスも手間がいるのだ。
フライパンや鍋の場合は、油のなじみがよいことと、中華鍋のように重いことがかえって意味があることもあるので、業務用では使われているけど、一般家庭ではなくなりつつあるよね。
アルミなら、熱伝導性が高くて加工もしやすく、さびにくく軽いのだ。
かつては視点レスは熱伝導性が悪いので火にかける調理器具にはあまり使われなかったけど、「全面多層鋼」といって、ステンレスの間に鉄のような熱伝導性の高い金属をサンドイッチしたような材料にすることで、それを克服したのだ。
なので、ある程度の大きさが合ってアルミでは強度に問題が出るような場合は、ステンレスが使われるようになったのだ。
ひじきを煮る釜もそれでステンレス製に置き換わっているんだ。

はっきり言って、ひじきの加工業者さんもいまさら鉄釜に戻すわけにもいかず、正直困惑しているみたい。
今後は「鉄釜で煮ました」とか「ステンレス釜で煮ました」という標記が加わるようになるかもね。
でも、そうなると、「鉄釜」のやつばかりが売れてしまう可能性があるので、業界としてはつらいかな?
けっきょく、鉄の釜に戻すか、ステンレスの釜で煮るんだけど、煮るときに「鉄卵」みたいなのを入れて鉄分を補給するとかしないといけないもんね。
いずれにせよ、ひじき加工は何かが変わるはずなのだ。

そういうわけで、現代人は普段から鉄分の摂取により気をつけないといけないのだ。
鉄分は2価の鉄イオン(Fe2+)の状態で吸収されることから、よくビタミンCと一緒に摂取するといいと言われているよね。
それよりも簡便な方法は、お茶などを飲むときに鉄瓶で沸かしたお湯を使うとよいのだ。
鍋とかだと重いと料理が大変になるけど、お湯を沸かすやかんくらいならたいして気にならないからね。
地が頃ではカラー南部鉄瓶が海外で流行していたりするけど、日本でも鉄瓶にまた注目が集まるかも。

2016/01/30

なぞの単位

米国に留学していたとき、スーパーでは牛乳が「ガロン」単位で売られていたのだ。
ハーフ・ガロンとか、クォーター・ガロンとか。
イメージとしては、ハーフ・ガロンだと1升、クォーター・ガロンだと1Lという感覚(笑)
日本だと、ニュースで原油価格の話題になったときくらいにしか聞かない単位だから、正直よくわからないよね。
でも、いまだに米英では広く使われているのだ!

計量の単位というのは古来から重視されていて、世界史でも「度量衡の統一」というのは一つの大きな出来事として紹介されるよね。
古代ローマの広大な帝国支配しかり、秦の始皇帝の中央集権体制の確立しかり。
地域の狭いコミュニティの中で物々交換とかしかしないのであればさほど問題は生じないんだけど、広域に物資を流通させたり、広いエリアを統一の基準で統治したりするのには、その域内の人々が同じ単位で計量することが重要なのだ。
「○○をどれだけ」と言ってもお互いに通じないから、取引ができないし、租税も徴収できないのだ。

大航海時代以降、世界中がつながって、国際的な流通が始まるわけだけど、こうなると、一国ではなく、国際的な単位の統一が必要になってくるんだよね。
そういう流れの中で出てきたのが「メートル法」。
これまで各地域で伝統的に使われていたものとは一線を画し、当時の最先端の科学的知識をもとに設定されたのだ。
これは地球の円周の1/4を1万kmとした単位。
実際には地球は球体ではなく、ちょっとひしゃげているので、現在では光が規程単位時間に進む距離と再定義されているよ。

これは初めてして、現在では国際単位系が基本的には「MKS」単位(メートル・キログラム・秒)で統一されつつあるんだけど、メートル法を採用しない国もあるわけで。
かく言う我が国も、伝統的な尺貫法がずっと使われてきて、メートル法に完全移行したのは戦後なんだよね。
(と言いつつ、今でも家屋とか家具とかは尺貫法をベースにした寸法になっているけど。)
で、いまだに採用をしていないのが英国。
メートル法の発祥が仏国だというのが気に入らないのかもしれないけど、独自にポンド・ヤード法を貫いているのだ。
そもそもEU加盟国でありながらユーロを通貨として導入していないしね。

でも、もっとたちが悪い国もあるのだ・・・。
それが米国。
法律上はメートル法を採用していることになっていて、伝統的なポンド・ヤード法は「慣例的単位」ということで仕様が認められているんだけど、実際にはほとんどの場合においてポンド・ヤード法が使われているのだ。
ステーキの重量はポンドかオンス表示だし、液量の表示はガロンやバレルだし。
自動車の速度計もマイル毎時だよね。
気温も摂氏ではなく華氏で表示するので、日本人からするとあたたかいのか、寒いのかもよくわからないのだ。
(科学分野では絶対温度を使う関係もあって、華氏より摂氏を好むんだけどね。)

さらに、もっとめんどうなのが、英米では微妙にポンド・ヤードの単位がずれていること。
英国では160液量オンスで1ガロンだけど、米国では128液量オンスで1ガロン。
それぞれ4.546Lと3.785Lで、1L近くずれているのだ・・・。
日本国内では、計量法という法律に従って、原則としてメートル法標記をしないといけないんだけど、米国と取引をする関係で、米国ガロンは石油取引などで例外的に認められているのだ。
っていうか、大国である米国と取引するため、日本以外の国もある程度は米国の単位系を受け入れざるを得ないんだよね(>o<)
まったく迷惑な話だけど。
しかも、法律上はメートル法が正式になっているのに!

「ガロン」という単位は、ラテン語でバケツを意味する「gallet」から来ているようなんだけど、英米語特有のバケツ一杯分の水とかそういうイメージなのだ。
なので、バケツのサイズが異なれば単位がずれるのも当たり前と言うこと。
すでにいろんな計量単位がガロンと呼ばれていて、現在ではだいたい三種類に集約されているんだって。
ひとつは英国式ガロン。
後の二つは米国式で、液体の単位である米国式液量ガロンと、穀物なんかの固体を計量する単位である米国式官僚ガロンがあるのだ。
いやあ、ややこしい・・・。

科学の世界ではすでにMKS単位系に統一されているので、実社会でも徐々に変えていけるはずなんだけどね・・・。
っていうか、中学とか高校の理科ではどういう教育をしているのか気になるよ。
英国の場合は、それはそれ、これはこれで、これこそが英国の伝統だ!、と教えてそうだけど(笑)

2016/01/23

賢く計量

テレビのCMでも電力全面自由化の話が出てきているのだ。
これまでは大口の電気の使用者(電力会社の言う「需要家」)だけが電気の供給事業者を選べたんだけど、4月からは全消費者が選べるようになるんだよね。
で、すでに東京ガスやソフトバンクのようなインフラ系事業者が名乗りを上げているし、なぜかHISのような会社も事業を検討しているのだ。
選択肢がいきなり増えるわけだけど、セット割りとか各社のメニューを比較して賢く選びたいものなのだ。

この電力自由化に当たって必要となるのがスマートメーターという計量器。
これまで一般家庭の場合は、積算計というメーターが使われていて、これは検針日から次の検針日までの間に電力量を送料としてどれだけ使ったか、だけを計量する機械。
円盤がぐるぐる回っているやつだよ。
刑事ドラマとかで、「居留守を使っていても電気のメーターが回っているから中にいるはずだ!」みたいな感じで出てくるよね(笑)
でも、電気の供給事業者を電力会社から変更する場合、このままではまずいのだ。

なぜかというと、電気は使う分だけ常に発電しなくちゃいけない「瞬間消費財」だから。
複数の電気の供給事業者があった場合、ある時点でどの事業者の消費者がどれだけ電気を使っているのかをひもつけておかないと、その時点で必要な発電量がわからないのだ・・・。
これを「同時同量」という言うんだけど、電気の供給量と消費量に差が生じると、電圧が低下したりして、停電に陥るんだよね。
日本の場合、発電所のある地域と、電力の巨大消費地が偏在していて、それを結びネットワーク(送配電網)も太い幹から枝分かれしているような構造なので、少しのずれでもネットワークが落ちやすいのだ。

米国なんかの場合は、日本の10倍の広さの土地に2~3倍の人口しかいないわけで、ニューヨークのような例外を除くと基本的には全地域がそこそこ「田舎」なんだよね。
なので、それを結ぶネットワークはそれこそ蜘蛛の巣状に張り巡らされていて、ある地域で多少ずれが生じても、ネットワーク全体でその影響を吸収できる、丈夫な構造になっているんだよね。
日本の場合、基幹線に近いところでずれが生じるとその影響は全体で吸収できないので、より厳格に同時同量が必要と言われているよ。
実際、各電力会社管内には「中央給電指令所」というのがあって、ネットワーク全体の電力の消費動向をリアルタイムで把握して、どの発電所を動かしてバランスを保つのか、という運用をしているのだ。

携帯電話のように、複数のキャリアがインフラを整備できればまた別だけど、電力ネットワークを別の事業者が新たに作ることは想定されないので、基本的には既存の電力会社のネットワークを使わせてもらうんだよね。
なので、新規事業者は、発電と電力供給をセットで行うことになるのだ。
それで、各消費地点でどれだけ電気が使われているか把握し、その量に見合う発電をする必要が出てくるのだ。
米国の場合は、発電と電力供給が切れていて、消費量に合わせて発電事業者から電気を卸で買ってくる仕組みなんだけど、その場合も、電力の使用状況で卸電力の価格が変わるので、どのみち最終消費地点での使用量をモニターしているのだ。
これまでは電力会社だけが供給していたので、系統全体でどれだけ使っているかを見るというどんぶり勘定で足りたんだけど、複数の電力供給事業者が出てくるとそうもいかないというわけ。

で、一般家庭でも、4月以降に電力会社以外の事業者から電気を買う場合、或いは、電力会社から買うけど、深夜電力メニューなど多様なメニューの中から自分の消費傾向にあったメニューで電気を買う場合は、順次スマートメーターに交換されていくのだ。
日本の場合、ほぼ全国に光回線が敷設されているので、30分とか1時間ごとにどれだけ電気を使ったかを計量器からデータを送ることになるよ。
原理的にはほぼリアルタイムでもできるわけだけど、そうなるとあまりにも情報量が多すぎるので、その単位時間内の誤差は一番多くの消費を抱える電力会社が「帳尻合わせ」をするんだよね。
この調整に必要なコストは、ネットワークの使用量に上乗せなので、電力供給事業者全体で負担することになっているのだ。

スマートメーターになると、どの季節のどの時間にどういう電気の使い方をしているのかがわかるわけ。
今でも東京電力は「電気家計簿」といって、月ごとの消費動向をまとめて教えてくれるサービスがあるんだけど、これがさらに30分ないし1時間ごとの単位でわかるのだ。
そうすると、夏冬に多く消費して春秋は少ないというざっくりとした傾向だけじゃなく、昼間は家に居ないから少ないけど、夕方から夜にかけて家に帰ってくると一気に増える、朝起きるくらいの時間に増える、などの傾向がわかってくるのだ。
で、今度はそれに合わせて料金メニューが選べるようになるんだよね。
電力全体でいうと、昼間に消費のピークがあるので、昼の消費量を減らして、夜の消費量を増やすと、発電量を大きく増減しなくてすむというメリットがあるので、深夜電力は安いんだよね。
なので、平日昼間は家に誰もいない家庭なら、昼間は電力単価が高いけど、夜はその分安くなるというメニューを選ぶとよいのだ。
そういうのが携帯電話のメニューと同様にたくさん出てくるわけ。

正直、そういうのにあまりコストをかけたくない人には面倒なだけだけど、考えて工夫すればかなりお得になるはずなのだ。
とか言いながら、実際に我が家はどうしようかまだ迷っているんだけど(笑)
おそらく、最初はガスや携帯キャリアのセット割りが増えるんだろうなぁ。
そのうち、太陽光発電の自家発電と組み合わせて、とか、いろいろと出てくると思うけど。

2016/01/16

蒸気でふっくら

鏡開きも終わって、おもちにも飽きてきた頃?
今年はそんなに食べていないけど。
でも、そろそろパンが食べたくなるんだよね。
日本でパンの朝食と言えば、食パンのトーストなのだ!
最近はクロワッサンとかオサレなパンを食べる人もいるけどね。

食パンがなぜそう呼ばれるようになったのかはよくわからないらしいけど、外国人居留者向けの「主食用パン」が縮まったものとか、美大生が消しゴム代わりに使っていた「消しパン」と区別するためとか、いろんな説があるのだ。
単純にパン食が一般的でなかった時代に、「食事とともに食べるパン」だから「食パン」なのだと思っていたけど。
今ではテーブルロールとかフランスパン(バゲットやバタール)なんかも並ぶけど、むかしはそんなにパンの種類なんかなかったろうし、何より、英国式の四角い箱型に入れて整形して焼成するブレッド型は工場で大量生産できるので、英国の植民地などに広まっていったんだよね。
日本でも軍隊などでまずパン食が導入され、それを家庭に持ち帰って広まっていく、という流れがあるので、一番なじみがあるパンだったはずなのだ。
(すでに木村屋のあんパンなんかはあるけど、食事用ではないからね。)

食べ方としては、ほぼ直方体のパンをスライスして食べるわけだけど、多くの場合は焼いて焦げ目をつけてトーストにされるのだ。
お米もそうだけど、やはりあたたかい方が柔らかくておいしい、というのがあるんだよね。
これは中に含まれるデンプンの構造的変化によるものなのだ。
デンプンは熱を加えられると糊化(アルファ化)されて、もっちりとやわらかい食感になるんだけど、時間的変化で老化(ベータ化)していって、硬くなってくるのだ。
冷や飯が硬くなるのはこのためで、これを再び柔らかくするためには、蒸して「炊き直し」をしたり、温かい汁や茶をかけて「汁かけ飯(ねこまんま)」や「茶漬け」にしたり、さらには、汁で煮て「雑炊」にしたりするのだ。
今では炊飯器に保温機能があるのでこういうことはしないけど、昔は釜で炊いた後はおひつで保存していて、通常は朝食時に炊飯したものを夕食でも食べるので、夜は冷たいごはんだったのだ。

パンの場合は、普通の家にはパン窯などないので、パンを焼くのはもっと低い頻度。
大きなパンを焼いて少しずつ切り分けて食べる必要があって、中世のようなまだ商業流通が発達していない時代にはパン屋で買うこともできないので、地元の領主や修道院が持っているパン窯を借りて一度に多くのパンを焼き、それを少しずつ食べていったようなのだ。
すると、その時間の経ったパンをおいしく食べるための工夫も出てくるよね。
お米ほどじゃないにしても、パンも時間が経つとデンプンが硬くなるので、温めて柔らかくするのだ。
で、単純に言えば、暖炉などで焼くわけで、これがおそらくトーストの始まり。

でも、パンを温める上で重要な点は、パンが硬くなる最大の原因は水分の減少だということ。
焼きたてのパンがやわらかいのはそれだけ水分が多いからで、冷める過程で徐々に水分が失われて硬くなり、つにはかちかちになってしまうのだ・・・。
ごはんもかぴかぴになるけど、もともと水分を多量に含んでいるので、それよりもデンプンの老化で硬くなる方が問題なのだ。
パンは焼成の過程で水分を飛ばすので、デンプンよりも含有水分量が問題になるよ。
なので、パン屋さんで作るパンは、ギリギリまで多くの水分が残るように、ものすごくやわらかい生地を焼き上げているのだ。
過程で作るパンがすぐに硬くなる理由は、生地がまとまりやすくなるように水分が少なめのレシピになっているからだとか。

なので、パンを温めるときは水分量に気をつける必要があるのだ。
日本はもともと湿度が高いので、そこまで気にせずとも、英国式のカリカリに焼いたトーストを食べるのであれば問題はないのだけど、厚みのある、ふっくらしたトーストが食べたい場合は、水分量がキーになるよ。
もちろん、食パンのみならず、他のパンを温めるときも同じなのだ。
普通にオーブントースターで温めると水分が飛んでいくだけなので、ちょっと時間のたったパンはふっくらとはしないよね。
なら、電子レンジでいいかというと、これも難しくて、パンから出る水分で表面がべちゃべちゃになったり、水分が飛びすぎて芯まで硬くなったりするのだ。
重要な点は、湿度を保ちつつ加熱することなんだよね。

ガスや薪のオーブンの場合は、燃料が燃焼するときに同時に水蒸気も出てくるので、そのまま焼いてもOK。
オーブンに数十秒入れて温めると、表面がからっとして、中はふわっと温まるのだ。
欧米のように湿度が低い、乾燥した気候の場合は、水で濡らしたガーゼで包んで温めることもあるみたい。
日本の場合は湿度も高いので、アルミホイルに包んでオーブントースターでじっくり温めると、パンから出てくる水蒸気に囲まれて温められるので、比較的ふっくらするのだ。
電子レンジで温めたい場合は、そのままラップで包んで温めるとべちゃべちゃになる可能性が高いので、深い器に入れて、そこにラップをかけたりするとよいのだ。

すでにかちこちに硬くなって理待っている場合は、表面をさっと水でぬらし、アルミホイルに包んでオーブントースターで温めるといいよ。
ガス式オーブンがあるなら、濡れガーゼでくるんでオーブンで温めるとなおよいのだ。
硬いからといって蒸してしまうとさすがにしわしわになるので注意。
中華まんとは違うのだ。

ちなみに、ヘルシオのようなスチームレンジがあれば、そのまま温めればいいんだよね。
最近は高性能のトースターもあって、焼く前に水を補給して、中で水蒸気を出しつつ、サーモスタットで温度管理しながら焼き上げてくれるものもあるのだ。
これで焼くと相当おいしいらしいけど、値段も値段なので、どこまでパンに愛着を持つかによるね。
ごはんが好きな人は高い炊飯器を買うから、それと同じことだけど。