2017/05/27

移動する祝日

フランスでは、今週後半は昇天祭があったので人が少なかったのだ。
必ず木曜日に設定される祝日なので、金曜日も休んで4連休にする人が多いんだよね。
復活祭に連動して日が決まる祝日で毎年日が変わるので時期は変わるのだけど、たいてい春の気候のよい時期なので、プチバカンスになるようなのだ。
イースターは日本に入ってきたものの、こっちはまだなじみが薄いよね。

キリストは、磔刑の3日後に復活したのだ。
というか、「女たち」が墓を見に行ったらもぬけの殻だったんだよね。
で、その40日後(復活当日が1日目になるので正確には39日後)に天に昇ったので、昇天祭が復活祭の40日後に設定されるわけ。
復活祭は、「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」と決められているので、その39日後=5週と4日後なので、必ず木曜日になるんだよ。
ちなみに、処刑は金曜日に執行され、その3日後に復活なので、復活は必ず日曜日なのだ!

もともと復活祭は古代の太陽信仰との結びつきが指摘されていて、それで、春分の日と月の満ち欠けをもとに設定されているんだよね。
ちょうど春分の日を越えて昼の時間が長くなっていく時期で、太陽の精力が増していくタイミング。
それを祝うものなのだ。
クリスマス(降誕祭)も、冬至祭りとの関係が指摘されているけど、やっぱり太陽信仰が関係しているみたい。
こういう古代の太陰暦で設定されていた祭りを太陽暦のキリスト教の中に取り入れていった結果、毎年日付が変わってしまう「移動祝日」ができあがったのだ。

実は、西方教会と東方教会で復活祭の日付が変わるので、当然のことながら昇天祭の日付も変わるのだ。
理由は簡単。
西方教会が復活祭の日付の算出にグレゴリオ暦を用いているのに対し、東方教会はユリウス暦を用いているため。
今年2017年はたまたま一致しているんだけど、昨年2016年は、西方教会では3月27日、東方教会では5月1日と1ヶ月以上のずれが生じていたのだ!
2024年に再度1ヶ月以上のずれが生じた後、2025年に再び一致するよ。
実にややこしい。

この「40日間」の根拠は、新約聖書のルカの福音書に続く使徒言行録にあるのだ。
そこでは、復活後のキリストは、40日の間各地で「神の国」について説いて回り、その後、ベタニア北部のオリベト山頂から天に帰ったとされているんだ。
ところが、おおもとであるルカの福音書では、弟子に会って会話した後、すぐに昇天したかの用の記述なんだよね。
もちろん、どれくらいの期間の話かは明示的に書いていないのだけど。
でも、逆に、使徒言行録には数字が書いてあることもあり、こっちが採用されているみたい。
復活自体が不思議な話なんだけど、これも不思議な話だ。

日本ではなじみがうすい昇天祭も、キリスト教においてはとても重要な祝日なんだって。
特に、キリストの「死と再生」による神格化というプロセスを完結させるものなので、大事なのだ。
というのも、新約聖書のうち降誕について触れているのはマタイの福音書とルカの福音書のみ。
ヨハネの福音書に至っては、「はじめにロゴスありき」とか言っているけど、降誕の下りはないのだ。
一方で、復活については全部の福音書が触れているんだ。
なので、特に復活祭は重要視されているんだよね。
ちなみに、昇天まで書いているのはマルコの福音書とルカの福音書のみ。
ルカの福音書は降誕から昇天まで全部が盛り込まれているのだ。

いずれにせよ、キリスト教において非常に重要な祝日なんだよね。
ただし、イースターのような飾りとか、独特の食習慣とかはないので、地味に街から人がいなくなっているだけなんだけど(教会では何かやっていりるのかな?)。
なので、日本にはイースターは浸透していっても、昇天祭まで無理だろうね。
こればかりは宗教色を排除して取り入れられないだろうから。

2017/05/20

過保護に育てればやわらかい

フランスでは、ちょうどアスパラガスが旬を迎えているのだ!
日本だとどんな野菜も通年見かけるけど、フランスではけっこう野菜の旬を大事にしているみたいなんだよね。
で、この時期のフランスの名物と言えば、ホワイトアスパラガス。
日本ではついこの間まで缶詰がメジャーだったけど、もちろんフランスでは生。
ゆでただけでほんのりとあまくておいしいのだ♪
ゆで汁にもうまみが溶け出すので、それを料理に使うんだって。

そんなホワイトアスパラガスも、ものとしてはグリーンアスパラガスと同じもの。
育て方が違うだけ。
普通に日光に当ててt育てるとグリーンアスパラガスになるんだ。
放っておくとどんどん太く、固くなっていくので、ある程度のところで収穫するのだ。
一方、ホワイトアスパラガスは、芽が出てきたところで土をかぶせたり、最初からトンネルの中で栽培されたりして、日光を遮って育てられたものなのだ。
すると、葉緑素が作られず、皮もあまり固くならず、苦みも少ないホワイトアスパラガスになるんだよ。
苦みがない分だけ甘みを感じるんだよね。
ちなみに、ビタミンなどの栄養面としては、やっぱり日に当てたものの方がよいみたい。

この栽培方法は「軟白栽培」と呼ばれる手法なのだ。
実はアスパラガスだけではなく、いろんな野菜に使われている手法だよ。
同じくフランスでよく見かけるのはチコリー。
イタリアで言うラディッキオ。
白菜のように葉がかたまっているけど、野生のものは普通に伸びて行くみたい。
これを軟白栽培することで、スーパーで見かけるあの形の野菜になるのだ。
苦みもあるけど、やわらかく、甘みもあるよね(熱を通すとより甘みを感じるのだ。)。

もちろん、これは欧州だけの栽培文化じゃないよ!
日本でもおなじみなのは、ウド。
酢の物にしたり、きんぴらにしたりするあの白いウドは、室の中で日光を遮って育てられたものなのだ。
山菜としての山ウドというのがあるけど、これは普通に日光を受け手育ったもの。
うどの大木じゃないけど、放っておくと太く固くなるので、若いうちに摘むのだ。
白ウドに比べると、苦みもあるし、あくが強いんだよね。
これは日光が当たっている結果。
でも、天ぷらなんかにすると山ウドもおいしいのだ。

もっとよく見かけるもので言えば、もやし。
大戦中は海軍が潜水艦の中で栽培していたなんて話もあるけど、豆を暗闇の中で発芽させて育てたのがもやしだよ。
普通に畑にまいたら双葉が出て育っていくけど、日光がないからひょろひょろと伸びていくのだ。
もともと豆に蓄えられている栄養だけで伸びるんだよね。
ビタミンが豊富だし、暗く、かつ、狭いところで育てられるので海軍にとっては帰朝だったみたい。

そして、根三つ葉。
ひょろっと白く長く太い茎を持つ三つ葉。
これはある程度成長した後に「根寄せ」と言って茎の周りに盛り土をして、そこに日光が当たらないようにして育てるのだ。
そうすると、土に覆われている部分が白く、やわらかくなるわけ。
長ネギの白い部分もそうだよ。
九条ネギのような全体が青いものが本来のもので、白ネギは根寄せしてその部分を軟白栽培しているのだ。

さらに、中華料理などで見かけるようになった黄ニラ。
これも日光を遮って育てられたニラで、柔らかく、臭みも少ないのだ。
ニラは鮮やかな緑色だけど、葉緑素が抜けるとちょと黄色っぽいってことだね。
普通のニラより少し高いのは、栽培に手間がかかっているからなのだ。

というわけで、そのまま育てると固くなったり、苦くなったりするものを、 日光を遮って育てることで柔らかく育てるというのはいろんな野菜で適用されている手法なのだ。
こういうのも人類の食へのあくなき追求だよね。
最初に考えた人はすごいと思うよ。
きっと、たまたま日陰で育ってものが柔らかかったり、苦みが少なかったりして、そういうのをヒントにしてやってみたんだろうね。
そして、植物の方も、日光を遮られてもなお育とうとするからこそできるわけで、その生命力もすごいのだ!

2017/05/13

どっちが起源

フランスに来てから、豚ひき肉が手に入らなくて困っていたんだよね。
ところが、実は普通にスーパの精肉コーナーになったのだ!
でも、それをよくよく見てみると・・・。
「ファルシ用」豚肉と書いてある!
そうか、ファルシに使うものか、ってファルシってなんだ?、となったわけ(笑)

ファルシというのは、いわゆる肉詰め料理。
日本ではピーマンの肉詰めがおなじみだけど、フランスでは、トマトのファルシをよく見かけるよ。
ナスやズッキーニなんかもあるのだ。
さらに、葉ものでひき肉のたねを包んだものもファルシ。
つまり、ロールキャベツもファルシで、フランスでは、シュー・ファルシというのだ。
フランスってあんまり豚肉を食べないみたいなんだけど、ファルシには使うんだね。

で、このファルシとうのは「farcir(詰める)」という同士から来た名前で、もともと「詰め物料理」ということのようなのだ。
西欧では、古代ローマの時代だから、ウサギや鶏などの内臓を除いて、そこにハーブや香辛料を詰める料理があったそうなのだ。
そう、韓国の参鶏湯(サムゲタン)のようなイメージ。
内側に香りのものを詰め込んで、おいしく食べようというものなのだ。
これがファルシという料理の起源だと言うのだけど・・・。
あれ、なんか今のものと違う。

むしろ、ギリシアにあるブドウの葉で肉などのフィリングを包む料理の方が近いよね。
これはドルマというのだけど、実は中東生まれの料理。
現在のギリシア料理はトルコ料理を通じてアラブ世界の影響を強く受けているのだ!
ギリシアだけでなく、東欧で、トルコの影響があったような国には似たような料理が残っているらしいよ。
今のフランスの野菜の肉詰めのファルシは、これがさらに西欧まで伝播してきたものじゃないかと思うんだよね。
同じ「詰め物」料理だから、名前がファルシになっただけで。

中東のドルマはと言うと、トルコ語の「dolmak(詰める)」の過去分詞(=「詰められた」)から来ているんだって。
そう、語源もフランス語のファルシと同じなのだ!
これはますますあやしい。
ちなみに、アラビア語でも「詰められたもの」を意味する「マハシー」という名前なんだって。
日本語の「肉詰め」も同じだけど、どこでも同じような名付け方なんだね。
ちなみに、英語で肉詰めピーマンは「stuffed pepper」なので、やはり「詰められたピーマン」だよ。

中東のドルマは、すでにササン朝ペルシアの時代にあったようなのだ。
6~7世紀くらいみたいだよ。
このときの料理法は、まさにブドウの葉で何かを包む、というものだったみたい。
中世になると、イスラム世界ではすでにマハシーは一般的な料理になっていて、それがトルコ帝国によってさらに幅広く伝播されたんじゃないかと思うんだよね。
野菜と肉の取り合わせというのが万国共通で好まれているんだろうね。

一方で、古代ローマの肉にハーブなどを詰める料理法も現代に生き残っていいるよね。
今でもローストチキンを作るときは、内臓を除いた腹腔にハーブなどをつめるし、サンクスギビングの七面鳥もそうなのだ。
ジビエ料理では、臭みをとるためにこういう料理が特に大事なのだ。
英国料理として名高いハギスは、羊の胃の中に羊の他の内臓の詰め物をするものだけど、詰めるという発想は同じかもね。
詰める中身が斜め上の発想なだけで(笑)

でも、こうやって考えてくると、不思議なのは、フランスで売られているファルシ用の肉が豚肉であること。
中東から来たものなら、豚はダメだよね。
フランスのファルシも必ずしも豚ではないのだけど、スーパーで売られるくらいメジャーな詰め物用の肉であることは確か。
素材との相性の問題で、クセが比較的弱い豚肉の方がおいしい、ということなのかな?
これは、ムスリムでない国の発想だよね。

2017/05/06

仏の終戦記念日

5月と言えば、日本では大型連休!
でも、フランスはもともとバカンスの国なので、そうやって休日が連続することってないんだよね・・・。
普通に休めばいいだけ、ということなんだろうけど。
でも、5月はフランスでも祝日が多い月なのだ!
5月1日がメーデー、5月8日が第二次大戦戦勝記念日、そして、5月25日が昇天祭(復活祭と連動するので移動休日だよ。)。
って、あれ、フランスでは5月が終戦記念日なの?

というわけで、ちょっと調べてみると、この5月8日という日付は、ドイツが連合国軍に無条件降伏し、降伏文書に調印が行われた日なのだ。
英国首相のチャーチルさんが群衆に「Vサイン」を出した日でもあるよ。
欧州戦勝記念日、VEデーとも呼ばれるのだ。
でも、ちなみに、欧州地域で完全に戦闘したのは、プラハの戦いが終結した5月11日で、その3日後なんだって。
で、フランスもこの日を戦勝記念日に指定し、祝日にしているわけ。
フランスでは第一次大戦の休戦記念日も祝日だよ(11月11日)。

歴史を振り返ってみると、フランスはナチス・ドイツの侵攻を受け、パリは陥落していたんだよね。
それは1940年の6月17日。
ロンドンに亡命していたシャルル・ド・ゴール将軍はBBCの放送でレジスタンス活動を呼びかけたのだ。
これが後の「自由フランス」。
徐々に勢力を増していき、1944年には、ド・ゴール将軍は「フランス共和国臨時政府」を名乗り出すんだけど、連合国はこれをフランス政府としては承認しなかったんだよね。
このとき、名目上のフランス政府は、フランス南部を統治していたヴィシー政権。
パリなど北部はドイツの占領下にあって、パリはフランス政府自らが統治できなくなっていたのだ!
フランス中部の街に「ヴィシー」を首都としたのでこの名があるんだけど、ドイツ及びイタリアと休戦協定を結び、枢軸国の支配下に入ったのだ。

1944年に連合国軍がノルマンディー上陸作戦で北フランスに上陸し、パリへと南進をしていって、8月にドイツ占領下のパリを陥落し、解放したのだ。
このとき、ド・ゴール将軍の「フランス共和国臨時政府」が先にパリに入り、名実ともにフランス政府としての機能を果たしていくこととなるのだ。
パリ市庁舎(オテル・ドゥ・ヴィル)でパリ解放の宣言も行っているよ。
連合国軍も10月になって、ヴィシー政権でなく、臨時政府を正式なフランス政府と認めたんだよね。
こうして、4年間にわたるパリの占領は解かれたのだ。

シャルル・ド・ゴール将軍は非常にカリスマを持った人だったようで、戦後すぐに首相に就任し、その後大統領になるのだ。
パリの玄関であるシャルル・ド・ゴール国際空港にも名前が残っているよね。
大統領になったのは1959年と遅く、1890年生まれなので、すでに70歳になろうとしている頃だったのだ!
でも、この後11年間大統領職にあって、アルジェリア戦争で混乱していたフランスの政局を安定させ、今のフランス第5共和制を確立した大物政治家なのだ。
やっぱりすごい人なんだよねぇ。

こうやってみると、やっぱりフランスという国にとっては、自国を占領していたドイツ軍を完全に降伏させた日の方が大事なんだよね。
世界史的には最後まで戦った日本が降伏した日が本当の終戦なんだろうけど。
正直、欧州的にはドイツが降伏していれば事実上戦争は終わっているよね。
後は南洋とかアジアの話だから・・・。
植民地問題はあるんだけど。

でも、実は、日本では8月15日と思っている日付も、受け止めが違うようなのだ。
8月14日、日本はポツダム宣言の受諾を連合国各国に通知し、翌15日未明に、玉音放送により日本が連合国に無条件降伏することを国内に公表したのだ。

2017/04/29

あふれる鴨肉

フランスの名物の一つと言えばフォアグラ。
カフェでもビストロでもレストランでも、どこにでもあるんだよね。
もちろん、スーパーにも瓶詰めなどが売られているよ!
それだけフランス人に愛されているんだよね。
カモはもともと「渡り」の習性があるので、肝臓にエネルギーとして脂肪を蓄え、脂肪肝になりやすいんだって。
それに目をつけ、ローマ人がフォアグラを作り出したそうなのだ・・・。
さすがの食に対する飽くなき追求。
ローマ帝国崩壊後にいったん廃れるんだけど、ルネサンス以降に復活し、また広まったみたい。

で、当然、フォアグラをとった後にはカモの肉が残るわけで・・・。
このカモ肉は野生のカモ(ジビエのカモ)と比べると脂がのっているのだ。
そして、そのカモ肉がカフェやビストロでよく使われているもののようなのだ。
どうりでカモ料理が多いと思った!
鶏肉(poulet)に加えてカモ肉(canard)はたいていどこのお店にもあるからね。
フォアグラをこれだけ食べるなら、副産物(?)のカモ肉も流通するはずだ。

脂がのっているという性質を利用して生み出された料理がコンフィ。
水(湯)の代わりに脂で煮込む料理だよ。
このカモ肉は脂が多いので、ゆっくりと温めると脂が融けてきて、肉が黄色い脂につかるようになるのだ。
主に脚の肉が使われるよ。
煮込んだ後はゆっくりと固めると油脂がまとわりついた状態になって、保存・運搬が容易になるのだ。
フランスでは缶詰なども売っているよ。
温め直すときにゆっくりと熱を入れるんだけど、皮はぱりぱり、中の肉はほろほろという状態になるのだ。
ちょっと脂っこいので、たいていはフルーツなどの甘み・酸味のあるものを合わせるんだ。

胸肉(ささみ)の方は、伝統的には燻製にしたみたい。
燻製にしても脂がのっているのでぱさぱさしないんだよね。
でも、今ではソテーすることが多くなっているそうなのだ。
それがカフェやビストロにある「マグレ・ド・カナル」。
たいていはレアに焼いて、甘めのソースがかかっているよ。
脂がのっているので、ゆっくりと焼くと皮がぱりぱりにできるのだ。
胸肉とは言えまったくぱさぱさはしていないのが特徴だよ。
日本人にはちょっとくどいかもしれないけど。

日本でカモというと、真っ赤な肉に白い脂が縁取っている見た目で、それなりに脂がのっているとはいえ、肉々した淡泊めな味わいを想像しがち。
一方で、フランスで一般的に食べられる「canard」はむしろ脂がよくのった肉なので注意が必要なのだ。
全くの別物と思えば、おいしいものだと思うけどね。
逆に、フランスの鶏肉は多くの場合皮もはずされているし、ぱさぱさした感じもあるので、脂ののった鳥類の肉を食べたい場合はカモの方がよいかも。
カフェとかビストロのカモなら高くないしね。

ちなみに、日本でよく見かけるカモ肉はほとんどアヒルだそうだよ。
合鴨の場合は合鴨農法に使った後の合鴨。
合鴨は交雑種でそのまま自然界に放ってはいけないので、合鴨農法の後は食用にするんだって。
DASH村の合鴨はどうなったんだろう?

2017/04/22

ぬるま湯で冷やせ

つい最近知ったんだけど、火傷をしたとき、幹部を冷やす必要があるけど、それは冷水よりはぬるま湯の方がいいらしいのだ。
ラットに焼きごてを当てるというかわいそうな実験で確かめられたそうなんだけど、冷水よりぬるま湯で冷やした方が損傷の広がりも抑えられ、痕も残らなかったのだとか。
一般的には、痛みを感じなくなるまで流水で冷やすとよいと言われているけど、実は、その流水は水というより、少しぬるいくらいのお湯の方がよいようなのだ。
火傷は熱による皮膚や粘膜の損傷だけど、熱によってタンパク質が変性し、生理活性が失われることが原因なんだよね。
よく高熱の際の注意として、タンパク質は45度くらいで変成すると言われるけど、これは火傷の場合も同じ。
ただし、タンパク質自体が45度を越える温度まで温められる必要があるので、熱の伝わりやすさという観点が必要なのだ。
熱したフライパンとか沸騰したお湯のような温度の高いものであれば、一瞬触れただけでもダメなんだけど、こたつの遠赤外線のような温度がさほどたかくないものについては、長時間さらされることで火傷になっていくんだよ。
これがいわゆる「低温火傷」。
人間の体で起こっている物理的・化学的変化は同じだけど、タンパク質がどのくらいの時間をかけて熱変性したかの違いなのだ。
タンパク質は一定の温度以上になると熱変性してしまうので、何より大事なのは熱の伝導というわけ。
火傷をしたらすぐに患部を冷やせ、というのは、ここに意味があるのだ。
すなわち、火傷をしてそのまま放っておくと、熱がまわりに伝わっていて損傷が広がっていくので、まずはあら熱を取って熱変性がこれ以上広がらないようにしましょう、というのが一義的な目的だよ。
損傷の広がりは面的なものではなくて、立体的なものでもあるので、放置すると皮膚の下の深いところまで熱損傷して、火傷の痕が残ってしまうことになるのだ・・・。
すぐに冷やせば痕の残りにくくなるというわけ。
冷やす理由その2は、炎症を抑えること。
熱損傷が起きると体の生体反応でサイトカインやプロスタグランジンのような生理活性物質が大量に放出されて、炎症が起こるんだよね。
炎症は生体防御機構でもあるんだけど(例えば、患部から細菌が入って感染症になるのを防いだりするのだ。)、けっこうまわりの組織を損傷させてしまうものでもあるんだよね・・・。
他の病気でも炎症を抑えることが多いけど、火傷も同じ。
炎症を抑えた方が治りが早いし、きれいになるのだ。
プロスタグランジンなんかは痛みをより強く感じさせる作用もあるので、痛みも抑えられるよ。
で、こういう効果があるから冷やした方がよいんだけど、冷やしすぎるのもダメ、というのが最近わかってきたことなんだよね。
むかしから氷で冷やすと逆に炎症になったりしてよくないとは言われていたんだけど、たいていの場合「冷水」と言われてはいたのだ。
ところが、冷水で冷やしてしまうと、患部周辺の毛細血管が収縮してしまい、血行が悪くなるので、炎症を強く抑える一方で、組織の修復も遅れることになるのだ・・・。
そこで出てきたのがぬるま湯。
患部を熱変性が起こってしまう温度より下げるんだけど、血管を収縮させすぎないから血行も悪くさせない。
そのためには、ぬるいと感じるくらいの温度のぬるま湯がよい、ということなのだ。
患部を清潔に保つためにも流水が望ましいので、水道で冷やすにしても、水じゃなくてぬるいお湯にしてゆっくり冷やすというのがよいみたい。
組織の修復を邪魔しづらいので、患部がきれいに治るというメリットもあるよ。
ただし、これらはあくまでも軽い火傷の場合の対処法。
皮膚を越えて深いところまで熱損傷が進んでいるような場合は、とにかくさっと冷やしてすぐに病院に行くことが必要なのだ!
なので、キッチンでちょっと火傷したとか、そういう場合の対処法だよ。

2017/04/15

おフランスのかほり

フランスでは香味野菜のエシャロットがよく使われるのだ。
炒めると独特のよい香りがするんだよね。
おろしてソースに加えることもあるみたい。
で、せっかくフランスにいるので、自分でも料理に使ってみようとスーパーで探したんだけど・・・。
いまいちよくわからない!
でも、これには理由があったのだ。

日本で「エシャロット」と言うと、居酒屋などで出てくる、味噌をつけてかりっとかじったりする値の部分が少し丸くなったネギを想像するよね。
なので、それっぽいものを探していたのだ。
でも、本物のエシャロットは、少しほっそりした小ぶりのタマネギといった形状。
てっきり「ペコロス」だと思っていたんだけど、これがエシャロットだったのだ。
タマネギと同じ茶色く固い皮に覆われていて、鱗茎は少し紫色になっているのだ。
ちょうど海外産のタマネギと同じような色で、まさにそれが小ぶりになった感じ。
炒めると、タマネギとニンニクの中間のような香りが出るんだって。

なぜボクが誤解していたのか。
それは、日本では、柔らかいうちに若摘みした「根らっきょう」が「エシャロット」と呼ばれることがあるから。
「根らっきょう」だと売れなさそうなので、「エシャロット」とおしゃれな名前をつけて売り出したのが始まり。
でも、フランスの香味野菜の「エシャロット」とまぎらわしいので、「エシャレット」と改められたらしいんだよね。
ところが、改名したのに似たような名前にしてしまったので、混乱が残ってしまったようなのだ。

フランスで言うエシャロットが日本の一般の市場にはほとんど出回らないこともあり、「エシャレット」が「エシャロット」として売られていることも多いんだよね・・・。
でも、最近になって、おしゃれな料理のレシピなんかに「エシャロット」が出てくるようになったので、エシャロットとエシャレットは違うもの、ということが様々な場面で言及されるようになったんだ。
農林水産省にはQ&Aページもあるよ。
ちなみに、まぎらわしいということで、フランスではただの「エシャロット」なのに、日本ではわざわざ「ベルギー・エシャロット」と呼ばれることもあるんだって。

もともとタマネギの仲間は中央アジアや中東の原産の植物で、エシャロットは十字軍が欧州に持ち帰ったものと考えられているんだ。
エシャロットの名前自体も、イスラエル南部のアシュケロンという都市の名前に由来しているんだって。
なので、フランス料理によく使われる食材ではあるんだけど、イランや南アジアでもよく食べられている野菜ということなのだ。
ケバブの付け合わせにされたり、インドネシアのチリソースの一種であるサンバルソースに使われるということだけど、やっぱりその香りを楽しむ野菜なんだね。
中国本土や台湾でも使われるみたいなんだけど、朝鮮半島を通って日本までは来なかったんだね。
仏教の影響で香りの強い野菜は敬遠されたからかな?
でも、中国原産のらっきょうは普通に伝わっているんだよね。
不思議。

現在日本で入手できるエシャロットはほとんど輸入物。
ベルギーやオランダからのものが多いみたい。
それで「ベルギー・エシャロット」なのかな?
もともとタマネギの中まで冷暗所に保存すれば長期保存が可能なので、通年で輸入が行われているようだよ。
ただし、まだまだ一般のスーパーで見かけることは少なくて、ちょっとおしゃれな高級スーパーに行かないと手に入らないことが多いけどね。
なので、やっぱりフランスにいるうちに食べておくべきなのだ(笑)