食べたその後に
餃子っておいしいよねぇ。
でも、ニンニクが入っている餃子だと、においがどうしても気になってしまうのだ(>_<) とはいえ、あのにおいが滋養強壮にききそう、というイメージもあるんだけどね(笑)
それでも、そのにおいのメカニズムを知ると、なかなかおもしろいのだ。
いわゆる「にんにく臭」のもとはアリシンという物質。
これはにんにくに含まれているアリインという物質が、にんにくの細胞中にあるアリナーゼが作用してできる物質なのだ。
このアリインとかアリナーゼはネギ類によく含まれているもので、ネギやニラなんかのにおいも基本的には同じだよ。
にんにくでもニラでもネギでも、切ったりして細胞が傷つくとアリナーゼが出てきてにおいが発生するのだ!
ネギやニラは切ったとたんににおいがしてくるのはそのためだよ。
で、口の中でにんにくやネギ、ニラをかむと、同じようにアリインとアリナーゼが出会ってアリシンが生まれるんだけど、アリシンはわりと不安定な物質ですぐにほかの物質に変わっていくのだ。
そのひとつがアリルメチルスルフィドと呼ばれる物質で、これがにんにくを食べた後の不快な口臭の原因と言われているよ。
ところが、この物質は口臭だけでなく、実は汗の中にも分泌されたりするので、実際には体中がにおっているんだよ!
というのも、このアリシンから派生していく物質はのきなみ脂溶性が高いもので、すぐに粘膜から吸収され、血流にのってしまうのだ。
で、揮発性も高い物質なので、血液を介して呼気や汗の中に出ていったとき、においのもとになるというわけ。
にんにくを食べた後はいくら歯磨きをしてもそんなに意味はないのだ。
むしろ、コーヒーや緑茶に含まれるタンニン、牛乳に含まれるタンパク質など、におい物質を吸着するものが含まれているものを食後すぐに飲む、という方が効果があるみたい。
でもでも、すぐににおい物質はできているので、緊急の対処(?)が必要だよ。
あ、においが出てる、と気づいたときにはもうだいたい遅いのだ。
逆に、このにんにくのにおいをありがたがる人たちもいるんだよね。 その典型がにんにく注射。 名前だけ見るとにんにくのエキスを注射しているみたいだけど、実際には、注射をした後ににんにく臭がするのでそう呼ばれているだけで、注射されている薬剤はビタミンB1の誘導体なんだ。
ビタミンB1誘導体は活性型ビタミンB1とも呼ばれるもので、普通のビタミンB1より吸収率が高いのだ。
胃腸が弱っているときや、強度のビタミンB1欠乏(いわゆる「脚気(かっけ)」)だとビタミンB1が吸収しづらいので使われるんだ。
普通の食生活を送っている限りは水溶性ビタミンのビタミンB1が欠乏することはそんなにないので、注射してまで補給するものかどうかはちょっと疑問なんだよね。
ちなみに、水溶性ですぐに尿中に排泄されるから、そんなに過剰摂取を気にしなくても大丈夫だよ。
このビタミンB1誘導体で有名なのがアリナミン。
にんにくを研究していて生まれたと言われているんだけど、これは、にんにくに含まれるアリシンがビタミンB1が結合してアリアチミンになると吸収率が上がる、という発見がもとなのだ。
さらに研究をして、薬として安定性を高めたのがプロスルチアミンというやつで、これが初代のアリナミン。
当時は錠剤だったのだ。
でも、このプロスルチアミンは、にんにくのにおい成分をもとに開発しただけあってにんにく臭が強かったんだよね。
そこで、にんにく臭を減らす研究が進められ、コーヒーの香り成分を結合させた「におわない」ビタミンB1誘導体を開発したのだ。
それが今のアリナミンのフルスルチアミンだよ。
最初は黄色い錠剤だったけど、やがて黄色いドリンク剤になったのだ。
(黄色い色はビタミンB1の色だよ。)
にんにく注射で使われているビタミンB1誘導体も似たようなもので、だいたい黄色いんだよね。
でも、まだにおい成分が残っているものを使っているので、打った後ににんにく臭がするのだ。
にんにくを食べた場合よりもひどくて、すぐに血中に入るので、打った直後からにおいがするよ。
普通なら否定的にとらえられてもおかしくないのに、にんにくはむかしから滋養強壮にきくと言われていたので、肯定的に受け取られているみたい。
アリナミンならにおいなしで同じ効果だけど。
でも、どのみち普通にちょっとつかれているくらいの人なら、注射してまで補給する必要はないので、ほとんどが精神的な効果(プラセボ効果)じゃないのかな?
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