いざ!無限大の彼方へ♪
今年のノーベル物理学賞は超新星の研究で宇宙が加速膨張をしていることを示した研究者に贈られたのだ。
って、よく意味がわからないよね(笑)
毎年のこととは言え、物理学賞、特に宇宙関係の受賞は難しい話が多いような・・・。
でも、なんだかくやしいので、ちょっとだけ調べてみたよ。
宇宙の始まりは、今では「ビッグバン」で始まったというのが定説だよね。
でも、アインシュタイン博士が相対性理論を確立した近代物理学では「ビッグバン」なんて現象は信じられていなかったのだ!
むしろ、「静的な宇宙」、すなわち、厳然としてそこにあって、変化のない宇宙が広がっている、と考えられていたんだ。
普通は自分たちを取り巻く環境は、小さな変化はあるにしても、トータルでは不変と考えるからね。
ところが、相対性理論をつきつめていくと、宇宙はかなり動的であることがわかってきたんだ。
その中で出てきたのがビッグバンという理論。
ある時巨大な爆発が起こって、そのときに宇宙が生じ、現在に至るまで広がり続けている、という話だよ。
仮説として提示されたときは見向きもされなかったようなんだけど、宇宙望遠鏡にも名前を残したハッブル博士の研究で宇宙が広がっている証拠が示されてから、状況が変わってきたんだ。
ハッブル博士は、非常に遠くの銀河系やクエーサーの研究をしていたんだけど、そこから来る光を調べてみると、銀河の組成から想定される光の波長より長い波長の光が観測されている事実を発見したのだ。
これは光のドップラー効果によるもので、遠ざかっていく光源からの光は波長がより長く観測され(赤方偏移)、逆に近づいてくる光源の光は波長が短く観測されるのだ(青方偏移)。
光速は常に一定なので、音のドップラー効果とは違って、周波数でなく波長がずれるんだよね。
で、遠くにある銀河からの光を調べたら、核融合反応等の光源と考えられる現象で出てくるはずの光より波長が長い光が観測されたんだよね。
で、光源である銀河は観測点である地球から徐々に離れている、ということがわかったのだ。
調べてみると、離れている距離に比例して速い速度で遠ざかっていることがわかって、これを「ハッブルの法則」というのだ。
さらに、宇宙には宇宙背景放射と言って、全方向からマイクロ波が放射されているのが観測されるのだ。
これは熱源が光としてエネルギーを照射する黒体放射に換算すると絶対温度で3K程度。
これは宇宙の「気温」とも言うべきものなんだけど、この正体は、ビッグバンからしばらく後(38万年くらい後)に出てきた光の「なれの果て」と考えられているんだ。
ビッグバン直後は超高熱状態で光(光子)は自由に広がって運動できない状態らしいんだけど、ある程度冷えてくると自由に動けるようになるそうなのだ。
それが「宇宙の晴れ上がり」と言う瞬間で、このときに出てきた光が広がっていって、大きく赤方偏移して赤外線を通り越してマイクロ波にまでなったのが背景放射の正体と考えられているんだ。
で、この背景放射はどこでどの方向から測っても同じという等方性を有しているんだけど、それこそがビッグバンの時に出てきた光が広がったものが観測されているから、という証拠になるんだって。
こうした観測データからビッグバンによる宇宙生成が証拠づけられてきたんだけど、いくつか理論的不具合もあったのだ。
それを解決するのが日本の佐藤勝彦博士も提唱者の一人であるインフレーション理論というやつだよ。
けっきょく「原初」はどうなっていたのか、完全に「無」だったのかどうかなどの解決はついていないんだけど、理論的にいろんなことがわかってきて、かつ、一様と考えられていた宇宙(universe)は、実は同時並行的にいろんな状態が存在している「マルチバース(multiverse)」な状態であることもわかってきたんだそうな。
もうこの辺になるとついていけないよね(>o<)
ビッグバンに話をもどすと、相対性理論で考えていくと、まずいことがわかってきたのだ。
それは、現在推計される宇宙全体の質量では宇宙が膨張し続けるには不十分である、という計算結果。
もっと巨大な質量がなければ膨張が止まって収縮を始め、いずれは無次元の特異点に収束してしまうことになるのだ。
これを「ビッグクランチ」と言うんだよ。
でも、実際は広がり続けているので、何か観測できていない、足りない分の質量があるはずなのだ。
それで出てきたのが暗黒物質(ダークマター)。
重力が働いた痕跡として間接的には存在がわかるんだけど、正体が未だにわからないんだよね。
質量が0だと思われていたニュートリノ(小柴博士がスーパーカミオカンデで観測してノーベル賞を取った素粒子だよ。)に質量があったので、一時はダークマターの正体だ、と言われたこともあったけど、ニュートリノだけでは足りないのだ!
そこで、重力波観測装置(LCGT)というのを作ってその正体をつかもう、という国際大型プロジェクトも動き始めているんだ。
そのうち何かわかるのかな?
で、今回のノーベル物理学賞の受賞は、さらに踏み込んだもので、遠くにある超新星から出てくる光を調べていたら、想定したよりも速い速度で宇宙が広がっていることをつきとめた、という成果。
ハッブルの法則では距離と遠ざかる速度は比例するんだけど、実際に精度を高めて観測すると、加速膨張していることがわかったんだ。
つまり、現在も宇宙が広がる速度は少しずつ大きくなっているというわけ。
そうすると、現在推計されている宇宙全体のエネルギーだけでは説明ができなくなるのだ・・・。
そこで出てくるのが暗黒エネルギー(ダークエナジー)というやつで、よくわからないけど、宇宙を広げるように働く(物質同士が近づこうとする万有引力に抗して斥力として働く)ものが存在すると仮定したわけ。
なんだかこんな話が多いね(笑)
これでやっと今回の受賞研究の内容に行き着いたんだけど、このダークエナジーについてはほんとによくわからないんだよね。
現代物理学では、宇宙に存在しているすべての相互作用(重力や電磁気力、原子核内の強い相互作用や弱い相互作用)をひとつの理論で説明しようとする大統一理論の構築を目指しているけど、けっきょくはそこに行き着くことになるのだ。
ダークエネジーを解明することは、その大統一理論の構築につながるんだって。
もしこの理論を打ち立て、それが観測データから証明されれば、またノーベル賞受賞につながるはずなのだ。
これまでも宇宙の生成を巡ってはいくつもノーベル賞が出ているんだけどね。
実生活にはほとんど影響がない話のようだけど、壮大な話ではあるよね。
つい50年前の人たちはビッグバンもしらなかったわけだけど、今では多くの人は聞いたことがあるわけで、未来ではもっと一般の人も宇宙生成について詳しくなっているのかもしれないね。
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