2012/03/10

家出ペンギン

東京の葛西臨海水族園からフンボルトペンギンの幼鳥が逃げ出し、旧江戸川(東京と千葉の境)でそれらしく姿が確認されたのだ。
逃げた理由は調査中だということだけど、すごい家出だよね!
で、ペンギンについて気になったので調べてみたのだ。

今回話題になったのは中型のフンボルトペンギン。
ペンギンの体長というと、足下から頭の先までのような気がするけど、ペンギンはあくまで鳥類なので、二足歩行の状態で測るのではなく、くちばしの先から尾羽の先までの他の鳥類と同じ測り方をするんだって!
フンボルトペンギンの体長は60~70cmと言われるけど、実際にたった状態では40~50cmくらいなのだ。
ちなみに、もっとも大型のペンギンはコウテイペンギンで体長120cmほど(たった状態では1m弱)。
もっとも小型なのはその名もフェアリーペンギン(或いは小型ペンギン)と呼ばれるもので、体長40cmほど(たった状態では25cmくらい、かつ前傾姿勢で歩くのでもっと小さく見えるのだ。)。
葛西臨海水族園にはフンボルトペンギンとフェアリーペンギンの両方がいるので、その大きさの違いは歴然。
フェアリーペンギンはぬいぐるみくらいの大きさしかないのだ(>o<)/

ペンギンというと南極に生息しているイメージだけど、本当に南極大陸に生息しているのは大型のコウテイペンギンと中型のアデリーペンギンのみ。
アデリーペンギンというのはステレオタイプのペンギンのイメージそのままのペンギンで、クールミントガムのパッケージにいるペンギンなのだ(笑)
南極大陸のまわりのもう少しだけ温暖なところに何種類か中型のペンギンが棲んでいて、そのほか、南米大陸やアフリカ大陸、オセアニアの海沿いで、寒流によって気候が温暖なところに「温帯ペンギン」と呼ばれるものがいるのだ。
最小のフェアリーペンギンはオーストラリアやニュージーランドの南側にいるみたい。
もっとも低緯度に生活しているのがガラパゴスペンギンで、ほぼ赤道付近。
ここも寒流のおかげで冷涼な気候なんだけど、ちょっとだけ生息域が北半球にはみ出しているので、柄派越しペンギンは唯一北半球に生息するペンギンと言えるのだ!

一般に動物は寒い地方にいるものほど大型化する傾向があるんだよね。
日本にいるツキノワグマよりシベリアにいるグリズリーは大きく、極域にいるホッキョクグマはもっと大きいのだ。
これは大型化した方が体積に比して体表面積が相対的に小さくなるからで、熱放散を少なくする戦略なのだ。
熱量自体は蓄えた脂肪=体積に比例するから、その方が脂肪燃焼で発熱した熱が有効に活用できるというわけ。
ペンギンもだいたい同様で、南極に近いところにいるペンギンは大きく、温帯ペンギンは小さいのだ。
フンボルトペンギンとガラパゴスペンギンは同じフンボルトペンギン属だけど、ペルーからチリにかけて生息しているフンボルトペンギンに比べ、赤道付近にいるガラパゴスペンギンの方が一回り小さいよ。

日本は南氷洋付近で捕鯨をしていた関係で、一緒にペンギンもつかまえて持ち帰っていたらしいのだ。
漁業が盛んだったこともあってえさとなる生きた魚も豊富にあったので、早くから飼育技術が確立し、世界の動物園で飼育されているペンギンの4分の1ほどは日本にいるとも言われるくらいのペンギン大国なんだよ。
特に温帯ペンギンはあまり氷雪を好まないので、夏の間だけクーラーで冷やしてあげれば、日本の環境でも繁殖できるのだ。
今年は日中友好40周年だけど、日中国交回復の祈念として中国からジャイアントパンダが送られた際、日本からはニホンカモシカとケープペンギンが贈られたんだって!
ペンギンは日本の特使でもあったのだ。
ちなみに、一昔前には中型ペンギンをペットで飼うのもはやったよね。

ただ、野生のペンギンの多くは絶滅危惧種なのだ。
気候変化の影響もさることながら、えさとなるイワシなどの魚の乱獲や、繁殖場所となる海沿いの地域の環境汚染(重油流出やプラスチックゴミの投棄など)が原因みたい。
派遣された当初は捕獲されて肉や脂肪をとったりもしたらしいけど、もともと鳥類でそんなにとれるわけでもないので、今では資源目的での捕獲はあり得ないのだ。
ちなみに、南極条約の国内措置法の南極地域の環境の保護に関する法律では、南極でペンギンの卵を勝手にとったりすると1年以下の懲役又は100万円以下の罰金になるよ(南極での調査研究には環境大臣への申請が必要なのだ。)。

ペンギンの特徴は二足歩行とフリッパーと呼ばれるつばさだよね。
地上ではおぼつかなく歩くけど、水中では「飛ぶ」ように素早く泳ぐのだ。
海鳥の中には水中に潜って泳ぐ種類もいるけど、ペンギンは飛ぶことを捨て、さらにその泳ぐことに特化しているのだ。
そのときに役立っているのがヒレ状のフリッパー(これはものすごく硬い板のような感じなんだよ。)で、かいのように、かじのように使って泳ぐのだ。
体についた子房は寒冷な地域に適応するだけでなく、体全体を流線型に近くすることで泳ぐのにも適用しているのだ。
ちなみに、脚が短いように思われているけど、あれは脂肪に覆われているだけで、骨格で見るともっと脚が長いんだって!
それと、氷雪や砂浜の上では、フリッパーでバランスをとりながらよちよち歩くこともあるけど、おなかをつけて滑るように移動する「トボガン」という方法で進むのだ。
そうじゃないと長距離移動できないよね。

コウテイペンギンは最低気温が-60度にも達する環境に生息していることもあって、「子育て」をするのだ。
アデリーペンギンが海沿いで繁殖するのに対し、コウテイペンギンは天敵を避けて海から離れた氷原で繁殖するんだ。
雄は雌が散乱した後に交代で脚の間に卵をはさみ、おなかの脂肪でくるんで温める姿は有名だけど、その間雌はえさを求めて海に行くのだ。
さらに、ひなが生まれた後は、雌がもどってくるまで面倒を見る必要があるのだ。
コウテイペンギンは食堂から分泌する白い乳状の「ペンギンミルク」を与えることでも知られているよね。
雌がもどってくるとやっと交代してえさにありつけるのだ。
2ヶ月以上あたためるらしいけど、繁殖地に移動してからだと120日間くらい絶食期間が続くんだって!
こんな過酷な子育てなら映画にもなるよね(笑)
ちなみに、ある程度ひなが育つと二親ともえさを取りに行くようになり、ひな鳥は「クレイシ(保育所)」と呼ばれる集められた状態で若い成長に守られながら徐々に海岸へ移動していくらしいよ。

というわけで、ペンギンも奥が深いねぇ。
ボクはペンギンが好きなので動物園や水族館では必ず近くに行くんだけど、今度はもっとよく観察してみようっと。
でもでも、やっぱり鳥だから、意外と目は怖いよ(笑)

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