2012/03/24

かっふ~ん

春の訪れは花粉の訪れ。
まだまだ寒いというのに、すでに花粉症の人はつらそうだよね(>o<)
幸いにしてボクはまだそのおそろしさは未体験なので平気の平左なのだけど、苦しんでいる人を見ていると、いつか自分も?、と怖くなるのだ。
そんなくしゃみと涙を誘発する花粉だけど、そもそも花粉ってなんだっけ、ということがいまいちよくわからなかったので調べてみることにしたのだ。

花粉は植物の有性生殖に関与しているので、動物の精子と同じで単細胞なのかと思ったら大間違い!
ことはそんなに単純ではなさそうなのだ。
花粉も生殖細胞なので、まずは減数分裂するんだけど、花粉母細胞から4つの細胞ができるのだ。
動物の場合はここからそのまま生殖細胞へと分化していくんだけど、植物の場合はその先にさらに体細胞分裂をするのだ。
花粉自体は細胞壁で覆われていてひとつの細胞のように見えるんだけど、中は細胞分裂して分かれているというわけ。
これは受粉のメカニズムにも関係しているのだ。

花粉は花粉管細胞と生殖細胞に分かれていて、あわせて小胞子と呼ばれるのだ。
生殖細胞(又はその前駆体細胞)は花粉管細胞の「中」にある状態で、ミトコンドリアのように細胞内に取り込まれている状態なのだ。
花粉はめしべの先端にある柱頭に付着して受粉すると、花粉管という管をめしべの中に伸ばしていって、生殖細胞のある胚珠まで行くのだ。
花粉管が伸びている途上で生殖細胞は分化していくんだけど、常に花粉管の先端に来るようになっているんだって。

イチョウなどの裸子植物の場合は、生殖細胞は精子になり、胚珠中の卵細胞と受精するのだ。
植物で精子が形成されることがわかったのはけっこうな発見で(しかも、東洋にだけ残る生きた化石のイチョウで!)、東大の小石川植物園にはその発見碑があるくらいだよ。
被子植物の場合は、生殖細胞はほとんど原形質を持たない細胞核そのもののようなもので、それが胚珠の中の卵細胞と受精するんだけど、花粉管の中にある間にさらに二つに分かれていて、「重複受精」という特殊な受精の仕方をするのだ。
ひとつはそのまま胚となって固体まで成長するんだけど、もう片方は胚乳となって、趣旨が発芽するときの栄養成分となるのだ。
なので、それぞれを生殖受精と栄養受精と呼ぶみたい。

とにかく、受粉してから受精するまでに雄性生殖細胞を雌性生殖細胞まで届ける必要があるので、花粉管細胞の中に取り込まれていて、それが放出されるという特殊な形態になっているのだ。
ま、動物から見ると不思議だけど、植物から見たら当たり前なんだよね(笑)
なので、花粉は単細胞ではなく、複数の細胞からなる細胞の集合体なのだ。
いやあ、高校生物をとらなかったとは言え、まったく知らなかったよ。

受粉と言えば、自家受粉と他家受粉の2つがあるよね。
自家受粉は同一個体内で花粉がめしべに受粉して受精することだけど、花が開く勢いとか、少し風などで揺れてなどで受粉するのだ。
この場合、楽は楽だけど、遺伝的な多様性の確保の点からはあまりよいことではないんだよね。
近くに同種の植物がいない場合は有利だけど、そうでない場合は単性生殖と同じようになってしまうのだ!
そこで、自分の花粉で受粉しないようにしたのが他家受粉。
自家不和合性というのが発達していて、自分自身が非常に近縁な個体からの花粉では受粉しないメカニズムが構築されているのだ。
そうなると、よその花粉をどうやって受粉するかという問題が出てくるわけ。

被子植物の多くでは、昆虫などの動物によって花粉を運んでもらうという戦略をとっているのだ。
昆虫なら虫媒、鳥なら鳥媒だよ。
ただし、ただで花粉だけ運んでもらうわけにはいかないので、蜜を作ることで動物をおびき寄せ、その蜜を取りに来たついでに花粉を運んでもらう、ということにしているんだよね。
媒介してもらう動物によって花粉がつきやすいように花の構造も様々に発達しているのだ。
イチジクのように特定の昆虫(イチジクコバチ)に特化して花粉を運んでもらうという戦略をとっている植物もいるよ。
商品作物なんかだと人間が綿棒で受粉させたりもしているけど、多くはハチなどに花粉を運んでもらっているのだ。
なので、ミツバチの原因不明の個体数減は大きく農業に影響しているんだよね・・・。

一方で、イネなどの一部の被子植物やほとんどの裸子植物はまさに風任せで「風」に運んでもらうのだ。
これが風媒花。
動物に運んでもらう場合は蜜を作ったり、動物を呼び寄せる花を発達させるなどのコストがあるけど、風媒花の場合はコストのほとんどを花粉を作ることに傾注していて、大量に作って大量にとばして受粉させるようにしているのだ。
花粉症の人からすると迷惑千万な話だけど(笑)
風媒花の場合、風任せなので行き当たりばったり的な要素は多いけど、不特定に広範囲広げることはできるのだ。
ただし、風が吹いてくる方向はそんなに大きく変わらないから、どうしても風下方向にしか広がっていかないけどね。
動物による媒介の場合は動物の行動範囲にもよるけど、間に風を遮る障害物があっても動物に乗り越えてもらえるという利点があるんだよね。

そんなわけで、スギやヒノキが花粉を飛ばすのはけしからんと言いつつも、植物の性質だから仕方がないことなのだ。
ヒトが登場するよりもはるかむかしから続けていたことだしね。
でも、花粉症の原因が、微粘膜に付着した花粉が花粉管を伸ばし、それが粘膜を刺激して・・・、とかだったら少し気持ち悪いよね。

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