2012/06/02

芽が出て甘くなる!

まもなくうっとうしい梅雨の時期がやってくるね・・・。
日本の四季の中でももっともうっとうしい時期なのだ(>o<)
そんなとき、意外にすっきりするのが伝統的な清涼飲料水。
冷やし甘酒なんかの場合は夏ばて対策も含めて飲まれていたけど、純粋に清涼飲料水という意味では、関西でよく見られる「冷やし飴」だよね!
これは今ではすっかり温かい飲み物として定着した甘酒とは逆で、むかしは暖かい状態(「飴湯」と呼ばれるよ。)で飲まれていたものが、明治になって「冷やし」で飲まれるようになったものなのだ。

冷やし飴や飴湯は、伝統的な製法で作った琥珀色の水飴を水又はお湯に溶き、生姜やニッキを少量加えて飲み口をすっきりさせたもの。
ただ甘いだけじゃない、というところが「すっきりさ」を感じさせるんだろうけど、これはジンジャーエールでも同じだよね。
普通の砂糖水じゃカブトムシみたいな気持ちになるし(笑)
最初不思議な味に感じるけど、なかなかおいしいものなのだ。

これに使われる伝統的な水飴というのは、お米のデンプンを麦芽に含まれる酵素で糖化したものだよ。
ヒトの唾液の中にも含まれる酵素のアミラーゼというのが麦芽中に多く含まれていて、それがデンプンを二糖の麦芽糖に分解していくのだ。
口の中でお米をよくかむと甘くなっていくのと同じ。
麦芽糖は甘さも控えめで、わりとすっきりした甘さなんだよね。
そのむかしは発芽玄米を使っていたようなんだけど、麦芽の方が酵素の量が多いので、次第に麦芽が主流になったのだ。
ビールやウィスキーの醸造にも麦芽をつくけど、あれも大麦などに含まれるデンプンを麦芽で糖化し、その後酵母でアルコール発酵させているんだ。
日本酒や焼酎の場合は麹(バクテリア)の力を借りて一次発酵(デンプンを単糖のブドウ糖にまで分解するよ。)させているのだ(実際には麹による糖化と酵母によるアルコール発酵が同じ並行的に起こっているので並行複発酵と言うのだ。)。

工業的な製法では、ジャガイモなどから精製したデンプンにシュウ酸を加え、酸性条件下で加水分解を行うのだ。
加水分解の時間・条件によってオリゴ糖、二糖、単糖というレベルまで分解できて、反応を終わらせるときに炭酸カルシウムを加えるんだ。
すると、シュウ酸はシュウ酸カルシウムという水に溶けない物資になるので、それを濾過して取り除くわけ。
濾過した液体を熱して少しにつめると粘りけのある、透明な水飴ができるよ。
一方、麦芽水飴の場合は、デンプンの供給源であるお米にミネラル分なんかが含まれるので、できあがりは少し茶色がかっているのだ。
これが「飴色」というやつ。

麦芽は、大麦やはだか麦を水にさらしておくと、発芽・発根してくるんだよね。
それをそのまま畑にまけば成長するわけだけど、これをよく乾燥させてから粉々に砕いたのが麦芽。
なんと、乾燥して砕いてからでも酵素の活性はほぼ失われないんだよね!
で、60度くらいにさましたおかゆに乾燥粉末麦芽を加え、よくかき混ぜるのだ。
このまま温度を保ちながら5~8時間くらいおくと、どろどろだったおかゆの上部に透明な駅ができてくるんだって、
これが酵素反応が進んだ証拠で、デンプンが分解されて糖液ができているのだ。
これを布などでこして、そのしぼり汁を根紅入れて泡を鳥ながら煮詰めてやると、褐色の水飴のできあがり♪
ちなみに、60度という温度は経験則からきたものだけど、60度より高いと酵素の糖化力が失われ、50度より低いと他の雑菌が繁殖するようなのだ。
そのぎりぎりのラインを見極めているみたいだよ。
さすが先人の知恵!

ちなみに、原理的には、煮詰める前の絞り汁に酵母を加えればそこでアルコール発酵もできるはずなのだ。
日本でも古代のお酒は口でお米をかんだ後に瓶に入れて発酵させていたんだよ(これを「口噛み酒」と言うのだ。)。
なので、お米を麦芽糖まで分解して醸造する場合もあったのだ。
あんまいr飲みたくないけど・・・。
ただし、日本ではその後麹を使った醸造法が定着したので、口噛み酒はもう残っていないけどね。
でも、小学校の理科の実験では、お米をかんでからヨウ素液を垂らすと紫色になる、なんていうのはやるよね(笑)

これって手間はかかるけど、そんなに特殊な道具を使ったりするわけでないので、高学年であれば夏休みの自由研究でやることができるかもね。
けっこうおもしろそう。
全部を水飴にせず、一部は少量の濁り酒とまぜればおそらくアルコール発酵もさせられるよ。
酒気帯び運転防止用に呼気中のアルコールを測定する機械はわりと簡単に手にはいるので、それを使えばアルコールができているかどうかもわかるはずなのだ(飲んでから息をはいてもいいけど、雑菌が繁殖している可能性もあるので、ビニール袋に少量入れてよく振ってから、その袋の中の空気を調べればよいのだ。)。

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