2012/07/21

きのこの名は?

スーパーで安売りをしていたので、白いブナシメジのブナピーを買ったのだ。
なんだかとっても人工的だよね。
しゃきしゃきしているし、味もいいんだけど、やっぱり白いといかにも人工栽培っぽいからちょっと人気ないのかな、と思ったり。
真っ白だから料理の彩りに使ったりするにはよいし、それなりに評判がよいから商品として売られているんだけど。
同じ値段なら普通の茶色いブナシメジを買ってしまうのだ(笑)

このブナピーは紫外線による品種改良をしたブナシメジで、「♪きのこのこのこげんきのこ」でおなじみのホクトの商品。
品種の登録名は「ホクト白1号菌」というらしいよ。
発売日が7月10日だったので、同日を「ブナピーの日」に設定しているんだとか。
一般的(?))には「納豆の日」だよね(笑)

ボクが子どものころは、ブナシメジという名称は一般的ではなくて、普通に「シメジ」だとか「ホンシメジ」という名前で売られていたのだ。
でも、「香りマツタケ、味シメジ」の天然のシメジは非常に貴重なきのこで、そうそう流通に乗るものではなかったんだ。
というのも、ホンシメジは外生菌生菌という種類のきのこで、植物の根の細胞の間に菌糸を伸ばし、植物と共生しているきのこなので、人工栽培が難しかったんだよね。
土中からリン酸や窒素などを吸い上げてある代わりに植物から光合成でできた炭化水素をもらって成長するのだ。
むかしから味がいいと言われるだけあって、グアニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸などのうまみ成分に富んでいるんだって。
今では技術が向上したので、菌床栽培もできるようになっているのだ。
ときどきスーパーで見かける「ホンシメジ」はこの人工栽培のホンシメジで、むかしみたいにブナシメジではないのだ。
ただし、やっぱり人工栽培だと天然物とは違うみたい・・・。

で、ホンシメジは人工栽培できないので、似たような食感、味を持っている、人工栽培できるきのことして普及したのがブナシメジ。
こっちはもともと木材腐朽菌で、倒木や切り株に生えるきのこなので、シイタケと同じようにわりと簡単に原木栽培できたのだ。
今は菌床栽培が多いみたいだけどね。
20世紀までは「ホンシメジ」の名称で売られていたんだけど、もともと違う種類のきのこでまぎらわしい、ということで、21世紀からは「ブナシメジ」として売られるようになったのだ。
今では「ブナシメジ」の名前もかなり一般化したよね。
ブナシメジにも天然ものはもちろんあって、写真で見る限り、スーパーで並んでいるものとが違うよ。
カサが大きく広がっているのだ!

ブナシメジとは別にスーパーで見かけることがあるのはハタケシメジ。
畑地などでも生えているのでこの名前があるみたい。
形状や食味はホンシメジにかなり似ていて、そもそも系統上はブナシメジよりホンシメジに近縁なのだ。
ホンシメジ・ハタケシメジがシメジ科シメジ属なのに対して、ブナシメジはシメジ科シロタモギタケ属だよ。
ホンシメジに近くても、菌生菌ではなく、腐生菌なので、落ち葉や埋もれ木に生えるのだ。
それで畑地や路傍なんかにもあるわけ。
堆肥による菌床栽培が可能なので、人工栽培されたものが流通しているのだ。
ブナシメジと比べると子実体(いわゆる「きのこ」の部分)が大きいんだよね。

これらシメジ類とはまったく関係ないのに、かつてはヒラタケ(ヒラタケ科ヒラタケ属)も「シメジ」として栽培品が流通していたことがあるんだって。
味にも香りにもくせがなく、どんな料理にも合うので人気だったのだ。
「信州シメジ」などの名前で今もあるらしいけど、ブナシメジの人気が高まっているのでほぼ見かけないね。
そう言えば、子どものころによく食べたカサの部分が黒いシメジはこれだったんだ!
きのこの種類的にはむしろエリンギなんかが近縁みたいだよ。
ヒラタケなんかはそれこそむかしから食べられていたんだから、わざわざシメジの名称を使わなくてもよかったような気もするんだけど。

というわけで、以外と商品としてのシメジの世界は奥が深いのだ。
ぷりっとしたくせのないきのこ、ということでは共通なんだけどね。
食べちゃえば同じ、ではなくて、ちょっと気にしてみるとおもしろいのだ♪

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