2012/07/28

つーるりつーるりぴーかぴかぴか

小学生だったころ、学期の終わりの大掃除の時には床のワックスがけをさせられたものなのだ。
床をいつも以上にきれいに掃いてから、いっせいにモップで白い液体を塗っていくんだよね。
乾くまでは立入禁止になって、塗った直後はつるつるでおもしろかったのだ。
体育館なんかは長期休みの間に業者さんがやっていたみたいだけどね。
で、最近知ったんだけど、この床の「ワックス」も進化していて、今ではコーティングと言う方が普通のようなのだ。

いわゆるむかしながらのワックスは文字どおり床の表面に固形状の脂の層をコーティングするもので、それこそ最初はスキー板の裏側のように蝋などを塗っていたんだろうけど、今ではアクリル樹脂を使うのが一般的なんだって。
床の表面に薄いプラスチックの膜を作るイメージなのだ。
もの自体は安いんだけど、すぐにはがれてしまうので1年に1回塗り直すなどのメンテナンスが欠かせないことと、塗るときに有機溶媒を使わないといけないので、くさいことがデメリットなのだ(>o<)
特有のワックス臭ってあるよね?
耐薬品性や撥水性もないので、床表面に光沢を与え、軽微な傷から保護する程度のものだよ。
塗り直しはめんどくさいけど、すぐにはがせるのはメリットで、見た目をきれいに保つにはよいのだ。

ここから少し進化しているのがウレタン樹脂を使ったもの。
アクリルは炭素、酸素、水素のみからなるけど、ウレタンはそこに窒素も加わるのだ。
アクリルがエステル結合(アルコール基の-OHとカルボン酸基の-COOHの間の結合)であるのに対し、ウレタンはアミド結合(アミノ基の-NHとカルボン酸基の-COOHの間の結合)だよ。
ウレタンの場合は耐摩耗性・耐油性に優れているので、油をはじくようになる=表面に油汚れがついてもすぐに拭き取れる、ということなのだ。
ただし、アクリル樹脂とは違って空気中の酸素や水分と反応して徐々に分解していく性質があるので、耐候性という観点では劣るんだよ。
ウレタンの場合は、高濃度に濃縮したものを塗るか、固める際にUV照射をするのだ。
UVの場合は、低分子のウレタン分子を有機溶媒に溶かした塗料を床面に塗布し、そこにUVを当てることでウレタンの低分子を重合させ、床表面でポリウレタンにするから。
アクリル樹脂の場合はもともと液体状に重合させることができるので(アクリル絵の具はまさにこれで、床に塗るワックスは透明なアクリル絵の具なのだ。)、塗って自然乾燥させるだけだよ。

UVで固めるウレタン樹脂の最大のメリットは、その場で重合させるので、分厚く、丈夫にできること。
耐用年数は一番長いみたい。
(耐用年数は皮膜がはがれない期間であって、その間中床がぴかぴかで保護されているとは限らないよ・・・。)
とは言え、あまり厚くしすぎると硬くなりすぎて引っ張り力に弱くなるので、ひび割れたりするんだって。
高濃度のウレタンを塗る場合はアクリル樹脂ほど簡単とは言えないまでもはがせるからいいとして、UVで固めるものははがせないので、適度に厚く、というのが重要なのだ。
体育館なんかはウレタン樹脂でコーティングするのが主流みたいだけど、はがせる方の高濃度のウレタン樹脂で、2年に1回とか定期的にメンテナンスするみたい。

これよりさらに強度が強くなるのはシリコン樹脂。
二酸化ケイ素(-O-Si-O-)の長い鎖状の分子に様々な有機官能基がついたものだよ(官能基の種類で性質が変わってくるのだ!)。
今ではいろんなところに使われているよね。
硬さもありながら弾力性もあって、水と油をはじき、薬剤などにも強いのだ。
しかも、10~15年はもつみたい。
ただし、はがすことはできないので、それ以上経つと床の張り替えになってしまうのだ・・・。
それはUVのウレタンも似たようなものだけどね。
とは言え、シリコンの場合は多少のでこぼこを気にせず塗れるので、塗り直しはある程度できるみたい(見た目の問題があるんだろうけど。)
時に光沢が強く、ぴかぴかてらてらになるみたいなのだ。

このシリコンよりさらに硬くなるのがガラスコーティング。
まさに二酸化ケイ素(SiO)だけでコーティングするんだ。
むかしは技術的にできなかったけど、今はナノコンポジット技術というのを使って、ナノメートルのオーダーの微少なガラスの粒子を液体の中に均一に分散させ、それを塗布して液体部分を乾燥して飛ばしてコーティングするようなのだ。
弾力性はシリコン樹脂に比べて落ちるけど、ガラスなので硬さは抜群。
耐用年数も20年以上と長期間持つのだ。
こっちは塗り直しがきかないので、原則張り替え。
でも、長い間持つし、表面に傷もつきづらいのだ。
光沢も抑えめにすることができて、床が適度なてかりになるみたいだよ。

というわけで、何度も塗るワックスから様々なコーティングと時代は進化しているのだ。
シリコン樹脂やガラスだと、薬剤にも強いので、子どもがマジックやクレヨンで床にいたずらがきをしても、除光液やベンジンで拭き取ることも可能なんだ!
防汚特性と言って汚れがこびりつきにくい特性もあるので、お掃除も楽々。
こうなると、つるつるの床はどんなコーティングになっているのか知りたくなるよね。

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