実は公平?
いよいよ4月からは消費税率が上がるのだ。
駆け込み需要で高いものが売れているみたいだね。
かくいう我が家もいろいろとほしいものを3月中に買おうと画策しているけど。
実際、3%も税率が上がれば、1万円の価格で300円違うわけで、これがもっと高額なら大きいよね!
とは言え、むしろ目先の10円、20円の方が感覚的にはしっくり来て、節約節約と買いだめしたくなるのだけど(笑)
この消費税増税は、導入時点で「逆進性」の問題が指摘されたのだ。
ここで言う「逆進性」は、所得の低い人ほど消費税による税負担率が高くなる、というもの。
単純化すると、消費に占める食費の割合を示すエンゲル係数との関係で考えるとわかりやすいんだ。
つまり、収入が多く、生活に余裕がある人はエンゲル係数も低く、そのため、食費に係る消費税の負担率は低くなるのだ。
一方で、収入が少なく、食い詰めている人はエンゲル係数が高くなって、食費に係る消費税の負担率は大きくなるんだよね。
食費のように生活を営む上で絶対に必要な消費支出に着目すると、低所得者の方が消費税が重くのしかかっているように見えるというわけ。
もっと一般化して生活必需品の消費を考えた場合、生活必需品は所得が高ければそれだけ多く必要になるというものではなくて、一人あたりに必要な数・量が決まるものなので、所得が高くなれば生活必需品が消費支出に占める割合が少なくなるんだよね。
そうなると、生活必需品に係る消費税の負担率は所得に反比例することになるのだ。
これが消費税の逆進性と言われるもので、低所得者に税負担を押しつけているのではないか、という主張なんだよね。
ところが、これは論理的におかしいと反論もされているんだよね。
わかりやすい例で言えば、高所得者は高価なものを買うし、低所得者は割安なものを買うわけで、それぞれ所得に見合った消費をする限りにおいては税負担率は公平だ、というもの。
お金持ちはデパートで高級食材を買う一方で、庶民はスーパーのタイムセールで値引き品を買うのだから、お金持ちは庶民に比べて確かにたくさん税を払っているんだよね。
また、お金持ちは生活必需品だけでなくて嗜好品や美術品などの高価なものも買うわけで、生活必需品だけの消費支出で考えるのは適当ではないのだ。
こういう話があるので、いわゆる逆進性対策として、生活必需品については低減税率を適用して、低所得者の税負担率を下げよう、なんて話が出てくるんだよね。
ただ、海外では品目ごとに税率を変えている例もあるけど、それってけっこうシステムとして機能させるのは大変なんだよね・・・。
それに、何をもって「生活必需品」とするかの問題もあって、そうそう単純な話でもないのだ。
なので、とりあえずは8%に上げる段階では低減税率は適用されないことになっているのだ。
でも、将来的な課題として議論は残っているんだよね。
ところが、この話もおかしいと言われているんだよね。
ある一時点で見ると確かに高所得者は生活に余裕があって、収入に占める消費支出が低いように見えるんだけど、実際には生涯期間で考えると、
生涯収入 = 生涯納税額 + 生涯消費支出 + 相続・贈与額
の式が成り立つはずで、相続や贈与しない分は最終的にはなんらかの形で消費に回っているんだよね。
それが数年に一度自動車を買うとか、一生に一度豪邸を買うとかだからいまいちこの議論で補足しきれないだけで。
そもそも相続税や贈与税は消費税よりはるかに高い税率だからとやかく言われる筋合いはないし、生涯消費で考えると、下手に食料品に低減税率を適用すると、高所得者の方が生涯に食費に充てる金額は高いので、税額負担軽減効果では得をすることにもなってしまうんだ!
そうなると、一定の税率で等しく全員に消費税を課税した方がよいということになるんだよね。
これは数式だけのことだけど、やっぱりなんかダマされた感は残るんだよね。
で、つらつらと考えてみると、この「不公平感」は「金持ちはたくさん税金を払うべき」というところから来ているような気がするのだ。
所得税なんかは累進課税になっているから、所得が増えるほど税率も上がって、高所得者ほど多くの税金を納める仕組みになっているんだよね。
これが「富の再配分」につながっているわけだけど、消費税の場合は、上で見たように、所得の多寡に関係なく等しく、公平に税負担が来るので、別のところで低所得者が優遇されていただけに、低所得者に一見厳しいように見えるんだよね。
おそらくここがポイント。
となると、むかしあった物品税のように、贅沢品にはむしろ高い税率で消費税をかける、ということになるんだけど、そうなると、庶民が一世一代の高い買い物として自動車や住宅、婚約指輪なんかの高額のものを買うのに支障が出るから、それも難しいんだよね・・・。
こうやって詰めて考えてみるとなかなか奥が深いことがよくわかったのだ。
でも、まずは3月中に何を買ったらいいのか考えないとね(笑)
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