乳タイプ
むかしからわりと有名な話のようだけど、常温で保存できる「コーヒーフレッシュ」は乳製品ですらなく、主原料が植物性油脂だというのだ!
これを知ったきっかけは、たまたまネットで見た、家庭にあるよく燃えるもの、という記事で、コーヒーフレッシュは植物性油脂が主原料なので、火の近くで扱う場合は注意、と書いてあったんだ。
で、実際に調べてみると、主原料は植物性油脂(ようは植物由来の油)で、そこに乳化剤(食用の界面活性剤)と乳製品(脱脂粉乳とか乳糖とか)とカゼインを加えたもののようなんだ。
確かに、乳製品だったら常温では保存できないよね・・・。
もともとコーヒーには脂肪分の多いクリーム(牛乳を遠心分離にかけて、上に浮いたクリーム層をとったもの。逆に下の方の水層をとると低脂肪乳や無脂肪乳になるのだ。)を使っていたんだけど、これは日持ちがしないし冷蔵しないといけないのでコストがかかる。
そこでその打開策が考えられたのだ。
まず出てきたのは粉末状のクリーミングパウダー。
1960年代初頭に出てきたのは、乳製品のみを主原料とする森永乳業のクリープ。
ここまではまだ乳製品にこだわっているのだ。
単純に脱脂粉乳をコーヒーに入れてもよいような気がするけど、そもそもコーヒーに合うのは乳脂肪分の多いクリームであること、それからなによりの問題として、脱脂粉乳はかなり水に溶けづらいことから、それでは解決策にならなかったのだ。
森永乳業では、生クリームの粉末化に関する理論の書かれた米国の論文をもとに、独自に技術開発をして作り上げたんだって。
技術自体は1950年代にできていたけど、さほど家庭でコーヒーを飲む習慣が根付いていなかったので、売り出すまでには時間がかかっているのだ・・・。
具体的には、乳中に含まれるカルシウムやマグネシウムのような二価のイオンはコーヒーに含まれている有機酸と反応し、乳タンパクを架橋して固まらせてしまうのだ・・・・。
ミルクティーにレモン汁を入れると乳タンパクが凝固して沈殿するけど、まさにそれと同じ反応が起こってしまうわけ(>o<)
そこで、そういう反応が起きないように、二価の金属イオンを一価の金属イオン(ナトリウムなど)に交換するのだ。
このとき、一度無脂肪乳にしてカラムを通してイオン交換を行い、その後井某分とまた混合するんだって。
次に、そうを霧状にして乾燥させ、粉末にするのだ。
短時間でさっと乾燥させるので風味が飛ばないんだとか。
最後に、細かい粒子だと水に溶けづらいので、ある程度の大きな粒子になるように造粒するのだ。
意外とクリープがざらざらしているのはこのためみたい。
こうして手軽に使える粉末状のミルクが登場したわけだけど、この少し後に、そもそもミルクを主原料にしない、植物性油脂由来のコーヒーフレッシュが登場するのだ!
それが1970年代。
同時に、植物性油脂を主原料とする粉末タイプのもの、クリーミングパウダーも登場(こっちは植物由来の脂肪で作るのだ。)。
何より、低コストでできるんだよね。
インスタントコーヒーとクリーミングパウダー、砂糖が一緒に入っているタイプの商品があるけど、そういうところに需要があるのだ。
乳製品や香料を加えるので風味はそこそこあるけど、やっぱり乳製品のみを原料とするクリープには及ばないみたい。
クリープはそのままなめる子供がいるくらいだからね(笑)
そして、植物性原料由来とは言え、実はコーヒーフレッシュやクリーミングパウダーの方がカロリーは高いみたい・・・。
これも注意が必要だね。
本来、コーヒーには無糖練乳や生クリームを使うものだったのだ。
無糖練乳というのは牛乳を加熱して水分を飛ばしたもの。
英語ではエバミルクと呼ばれているけど、加熱時に砂糖を加えると、加糖練乳=コンデンスミルクになるのだ。
生クリームは牛乳を遠心分離にかけ、上の方(=軽い方)の乳脂肪が多い部分を取り出したもの。
原始的には、牛乳を加熱殺菌後に静置して冷却すると、上の方にクリームが分離してくるので、それをすくったものなんだよね。
コーヒーに使うクリームは通常脂肪分が20~40%の軽めのもので、ケーキなどに使うホイップクリームの場合は30~50%ともう少し濃厚なのだ。
ウインナー・コーヒーは濃いめに入れたコーヒーに、濃いめのクリームを使うというわけ。
というわけで、ポーションタイプのコーヒーフレッシュはミルクの代用ではあっても、乳製品ではないのだ!
どうも粉末タイプのココアを作るときにコーヒーフレッシュを添加してもミルク感が出ないなぁ、と思っていたんだけど、原因はここだったんだね・・・。
粉末タイプでも、やっぱりクリープでないとダメなのかな?
実際に飲み比べてみるとけっこう違ったりして。
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