2025/04/26

内なる〇〇を燃やせ

 お葬式に参加してきたのだ。
仏式だったのでお焼香をしたのだけど、なんで粉末状のお香が燃えるのか実はよくわかっていなかったんだよね。
灰の上に置かれている四角いものが熱源であることはしっていたのだけど、今回知ったのは、それが「炭」だったということ。
熱した石とか電熱だとか、そういうのを想定していたのだけど、よくよく考えれば仏教の儀式でお香を焚くのは非常に歴史があることだから、納得がいくよね。
石を熱してもよいけど、そんなに熱が長持ちしないし。

今回、お焼香の準備をしているのをたまたま見たのだけど、表面が銀色の何かにコーティングされた四角い炭にろうそくで火をつけ、それを灰の上に置いていたのだ。
炭が燃える場合は2種類あって、炎を上げてまさしく燃えている「燃焼」状態と、炎は出さずに赤熱しただけの状態でゆっくり燃える「熾火(おきび)」状態があるのだ。
炭火焼肉屋ら焼鳥、ウナギの蒲焼なんかでも燃え盛る炎に当てて焼いている絵わけではなく、静かに炎を上げずに燃えている炭から一定程度距離を話して焼いているよね。
遠赤外線というやつだ。
お焼香もこれと基本的には同じ原理でお香を焚いているようなのだ。

この炎を出さないで燃えている状態を「無炎燃焼」というらしいのだ。
炭の表面で炭素の酸化反応(C+O=CO)が起きていて、これが発熱反応なので燃焼に必要な温度が維持されるのだ。
この「炭の表面」というのがみそで、外側というだけでなく、多孔質の炭の場合は中心部も含めて空気に触れている面が多く、そこ全体で反応が起きているのだ。
つまり、炭全体がゆっくりと酸化反応を起こして発熱している感じ。

この状態はゆっくりしたものなので、火力はそこまで高くないけど長時間じっくりと焼けるというメリットがあるのだ。
これが炭火焼きでつかわれる所以で、火力が強すぎると食材の表面だけが焦げて中(中心部)は生の状態になってしまうわけだけど、弱めの熱でじっくり焼くので中心部まで火が通るのだ。
仲間で熱を通す過程で余計な脂も落ち、水分も適度に保持されながら焼けていくので、ふっくらと焼けるという寸法だよ。
焼鳥なんかでは重要だよね。
ステーキの焼き方だと、まずは表面を焦がして肉汁が漏れないようにし、じっくりと中まで火を通す、みたいなことをするわけだけど、基本的に肉類はゆっくりと被を入れた方が柔らかく仕上がるんだよね。

お焼香に使う熱源の炭はそのまま「焼香炭(しょうこうたん)」というものらしいいんだけど、これは1時間くらい燃え続けているみたい。
抱いた仏式のお葬式の読経は30~40分程度であることを踏まえると、ちょうどよい長さだね。
お通夜や葬儀が始まる前に火をつけておけば、よほどのことがない限りお焼香の間は熱源として使えるのだ。
お葬式はそれでよいのだけど、ずっとお香を焚き続けるような場合は炭だけだとつらいよね。
なので、高炉の中には電熱式のものもあるみたいなのだ。
アロマオイルを使う香炉なんかだと電熱式で下から水を温めて、その上にオイルを垂らすようなタイプが多いよね。

逆に、むかしは常にお香を焚いておきたいときは、お香自体を燃えるようにしていたのだ。
そう、お線香。
お線香は香料の成分を練ったうえで燃やしやすいように加工したもの。
これも炭と同じように炎を上げずにゆっくりと燃焼していくのだ。
浅草寺のようなお寺にはもくもくと煙が出ている「常香炉」は、参拝者が煙を浴びられるように常にお香を焚いているわけだけど、あれは常にお線香を焚いているのだ。
仏式のお通夜も寝ずの番でお線香を絶やさない、みたいなのがあるけど、やはり長時間の場合はお線香を焚き続けるというのが基本みたいだ。
作り方によるけど1時間くらい燃える続けるものもあるからね。

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