オホーツクに消ゆ
梅雨入り後すぐ、猛暑が続いている。
まるで真夏のような天気。
青い空、白い入道雲、強い日差し・・・。
でも、梅雨明けじゃないんだって。
まだ雨が戻ってくる可能性もあるから、とか。
確かに、ここ最近の天気図を見ると、例年なら日本列島を東西に貫いているはずの「梅雨前線」がないのだ。
かわりに、南からの高気圧(太平洋気団)が張り出してきていて、夏休みの時期のような威圧配置になっている・・・。
前線というのはもともと、2つの異なる気団が接触した部分のこと。
あたたかい空気と冷たい空気、乾燥した空気と湿った空気、と気団はそれぞれ特徴があるんだけど、異なる性質を持つ気団同士が接触した場合、容易に混じり合うものではないのだ。
十分に時間が経過すれば均一に混ざるはずなんだけど、実際には温度や湿度が不連続になる、不安定な境界面ができるんだよね。
それが前線。
あたたかい気団が張り出してきてもともとあった冷たい気団の上に覆いかぶさってくる場合にできるのが温暖戦線。
逆に、冷たい気団が張り出してきてあたたかい気団の下に潜り込んでくる場合にできるのが寒冷前線。
一般に温暖前線ができると広範囲にわたってしとしとと弱い雨が降り、雨が上がると気温が上がるのだ。
あたたかい気団が押し寄せてきているから当たり前だけど。
いわゆる春先の雨はこんな感じだよね。
一報、寒冷前線の場合は、あたたかい気団が一気に持ち上げられて積乱雲が生じ、狭い範囲で強い雨(場合によっては雷雨やひょう・あられ)が降って、雨が上がると気温が下がるのだ。
夏休みも終わるころの夕立なんかはこの典型だよね。
で、あたたかい気団と冷たい気団の勢力が拮抗している場合には、どちらも押し負けないのでしばらく前線が存在し続けるのだ。
これが停滞全線で、梅雨前線や秋雨前線がこれ。
前線のあるところは非常に不安定な状態で雨が降りやすいんだけど、どちらも引かないとそれが長続きするので長雨になるのだ。
梅雨前線の場合は、最終的に南からのあたたかい気団(太平洋気団)が冷たい気団(オホーツク気団)を北に追いやる形で夏の気圧配置になって終わるんだけど、それとほぼ同じような状態になっているのが今の天気図。
あたたかい気団が強すぎて前線を飲み込んでしまった状態なのだ。
秋になるころには、北の冷たい気団が勢力を回復してきて南下し、あたたかい気団と再度押し合い・へし合いをするのだけど、その時にできるのが秋雨前線。
秋の長雨(秋霖)なのだ。
で、そういう季節的変化でなくとも、なんらかの理由で冷たい気団が弱まっているだけなら、また冷たい気団がせり出してくることもある、すなわち、また拮抗状態になって前線が復活する可能性がある、ということで、梅雨明けではないだろう、と予測されているのだ。
レアだけど、過去にもそういうことがあったみたいだし。
ただし、けっきょく冷たい気団が再び降りてくることがなければ、後から見てこれが「梅雨明け」になってしまうこともあるんだよね・・・。
そうなると2~3日しか梅雨がなかったことになる。
さすがにそれはないよね。
空梅雨にもほどがある!
0 件のコメント:
コメントを投稿