2025/06/28

快適な肌触り

 家で愛用しているスリッパは、足の裏に触れる面が畳表のものなのだ。
夏場は少しひんやりしていて気持ちよく、かつ、足裏に張り付かない。
一方、冬はむしろ少しあたたかく感じるんだよね。
これも気持ちよい。
一度使ってからお気に入りで、何代目かなのだ。

畳表の素材は言わずと知れた「い草」。
イネ科の単子葉植物。
乾燥しても丈夫でしなやかなので敷物の素材になっているわけだけど、夏は高温多湿、冬は低温乾燥の日本の風土に合っているんだよね。
その要因は、その吸湿性のあるスポンジ状の構造。
畳表に使われるのはイグサの茎の部分だけど、その中はスポンジ状になっていて空気をたくさん蓄えられるようになっているのだ。
これがクッション性も出しているんだけど、それ以上に、この部分に湿気を含んだ空気をため込むんだよね。

夏の間は吸湿性があるので畳表の表面はさらっとしているのだ。
ユニクロの速乾シャツと同じ。
蒸れない、べたっとくっつかないで快適なのだ。
逆に、冬場はここに湿気のある空気がため込まれるんだけど、湿度と熱が適度に放出されるんだよね(放湿性)。
で、ほのかにあたたかい。
確かに、住宅の床面でも、板張りは冬冷たいけど、畳は少しあたたかみを感じるよね。
まったく同じことなのだ。
このクッション性と吸湿性・放湿性(あわせて調湿性)という特徴で、人の肌に触れるもので、かつ、体重がかかるようなもの、つまり畳表やござにはよい材料なのだ。

畳で思い浮かべるもう一つの特徴は独特の香り。
日本人は割と好きな香りだけど、バニラの主要な香り成分でもあるバニリンも含まれているみたいで、心を落ち着かせる効果もあるんだよ。
ただし、これは単純にイグサの香りというわけでもないのだ。
それは、畳表などに使う場合、「前処理工程」があるから。
そう、「泥染め」というプロセスがあるんだよね。

名前的に想像つくけど、泥水につけてから乾燥させるという工程。
粒子の細かい泥をつかった泥水にいったんつけてから乾燥させることで、イグサ表面がコーティングされ、ゆっくりと満遍なく乾燥するようになるのだ。
そのまま乾燥させるとむらが出てしまうのだけど、そうすると、均質にならないんだよね。
で、この乾燥過程で中に残っていた酵素も完全に失活するので、葉緑素の分解が完全に止まり、色変わりを防ぐのだ(紫外線などによる退色はあるので、ずっと鮮やかな緑なわけじゃないよ。乾燥させているのに干し草のように茶色くならない、ということ。)。
また、コーティングにより傷がつきづらくなるのだ。
さらに、イグサで重要な調湿性が向上すると言われているのだ。
まさにいことづくめ。
そして、イグサの本来のにおいと土のにおいが混ざって、いわゆる「新しい畳のにおい」になるらしい。
香りのブレンドがうまくいっているわけだね。

よいことばかりのようだけど、世の中には泥染めをしないイグサを使う場合もあるのだ。
泥染めをしない場合、イグサがもともと持っている油脂成分が表面に出てくるので水をはじき、つやつやな見た目になるんだけど、吸湿性は落ちるのだ。
でも、水をあまり吸わなくなるので、カビは生えづらくなるみたい。
香りについてはイグサ本来の、甘い草の香り(人によっては青物臭い?)。
でも、泥のコーティングない分だけ材料としてはもろくなるので、畳に加工するのは技術的に難しくなるんだって。
これがあまり見かけない理由のような気もするけど。

何はともあれ、ボクは夏涼しく、冬あたたかく、という部分が気に入っているので、しっかり泥染めしてもらったものでよいのだ。
このスリッパの本領発揮ははだしの時。
素肌で触れるとその良さがよくわかるんだよなぁ。
今の住宅はどんどん和室がなくなっているけど、温泉旅館とか行くとちょっと畳があってうれしかったりするわけで。
せめて畳敷きの部屋がなくても、スリッパくらいは、というところかな(笑)

2025/06/21

オホーツクに消ゆ

 梅雨入り後すぐ、猛暑が続いている。
まるで真夏のような天気。
青い空、白い入道雲、強い日差し・・・。
でも、梅雨明けじゃないんだって。
まだ雨が戻ってくる可能性もあるから、とか。
確かに、ここ最近の天気図を見ると、例年なら日本列島を東西に貫いているはずの「梅雨前線」がないのだ。
かわりに、南からの高気圧(太平洋気団)が張り出してきていて、夏休みの時期のような威圧配置になっている・・・。

前線というのはもともと、2つの異なる気団が接触した部分のこと。
あたたかい空気と冷たい空気、乾燥した空気と湿った空気、と気団はそれぞれ特徴があるんだけど、異なる性質を持つ気団同士が接触した場合、容易に混じり合うものではないのだ。
十分に時間が経過すれば均一に混ざるはずなんだけど、実際には温度や湿度が不連続になる、不安定な境界面ができるんだよね。
それが前線。

あたたかい気団が張り出してきてもともとあった冷たい気団の上に覆いかぶさってくる場合にできるのが温暖戦線。
逆に、冷たい気団が張り出してきてあたたかい気団の下に潜り込んでくる場合にできるのが寒冷前線。
一般に温暖前線ができると広範囲にわたってしとしとと弱い雨が降り、雨が上がると気温が上がるのだ。
あたたかい気団が押し寄せてきているから当たり前だけど。
いわゆる春先の雨はこんな感じだよね。
一報、寒冷前線の場合は、あたたかい気団が一気に持ち上げられて積乱雲が生じ、狭い範囲で強い雨(場合によっては雷雨やひょう・あられ)が降って、雨が上がると気温が下がるのだ。
夏休みも終わるころの夕立なんかはこの典型だよね。

で、あたたかい気団と冷たい気団の勢力が拮抗している場合には、どちらも押し負けないのでしばらく前線が存在し続けるのだ。
これが停滞全線で、梅雨前線や秋雨前線がこれ。
前線のあるところは非常に不安定な状態で雨が降りやすいんだけど、どちらも引かないとそれが長続きするので長雨になるのだ。
梅雨前線の場合は、最終的に南からのあたたかい気団(太平洋気団)が冷たい気団(オホーツク気団)を北に追いやる形で夏の気圧配置になって終わるんだけど、それとほぼ同じような状態になっているのが今の天気図。
あたたかい気団が強すぎて前線を飲み込んでしまった状態なのだ。

秋になるころには、北の冷たい気団が勢力を回復してきて南下し、あたたかい気団と再度押し合い・へし合いをするのだけど、その時にできるのが秋雨前線。
秋の長雨(秋霖)なのだ。
で、そういう季節的変化でなくとも、なんらかの理由で冷たい気団が弱まっているだけなら、また冷たい気団がせり出してくることもある、すなわち、また拮抗状態になって前線が復活する可能性がある、ということで、梅雨明けではないだろう、と予測されているのだ。
レアだけど、過去にもそういうことがあったみたいだし。

ただし、けっきょく冷たい気団が再び降りてくることがなければ、後から見てこれが「梅雨明け」になってしまうこともあるんだよね・・・。
そうなると2~3日しか梅雨がなかったことになる。
さすがにそれはないよね。
空梅雨にもほどがある!

2025/06/14

おさない・かけない・しゃべらない

 フランスにいた時、何度か火災報知器が鳴って中庭に避難する、みたいなことがあったのだ。
ま、誤報なんだけど。
で、その時思ったのが、日本人が整然と非難行動をとるのに対し、フランス人は勝手気ままでだらだらやってる、ということ。
そういえば、こういう動きって子供のころから学校で訓練させられるから慣れているんだよなぁ、と実感したよ。
フランス人は幼稚園生のような動きだから、やはり訓練が足りない、というか、そもそもしたことがないのかも・・・。

日本の場合は、関東大震災の経験を踏まえ、避難訓練・防災訓練というものを定期的にやることになっているんだよね。
災害対策基本法では、地方自治体は防災計画を作るべきこと、公的な施設や組織には災害予防責任者を置くこと、災害予防責任者は防災計画に従って防災訓練をすべきこと、などなどが定められているんだ。
実際に小中学校の教育課程にもきちんと避難訓練や防災訓練が組み込まれているんだよね。
これにより、日本人の場合は子供のころから定期的に避難訓練・防災訓練を重ねてきているのだ。
それこそやったことがない人なんていないんじゃなかろうか?
大人になって働き始めてからもあるところにはあるからね。

これが実際のインシデントに遭遇した際の動きの違い。
日本の場合、けっこう大きな地震があっても訓練の成果で初動でどうすべき、ちょっと落ち着いてきたらどうすべきかなどが刷り込まれているので、多少パニくってもなんとかなっているんだよね。
これが大事なわけ。
でも、じつは訓練によって通り一辺倒の動き方になることの危険もあるのだ。
東日本大震災の時は津波から逃げなくてはいけないので、なんとしても高台に避難すべきではあるんだけど、平時の訓練どおりにいつも行っている低地の避難所に避難してしまったがゆえに命を落としたケースなんかもあるらしい。
誰でも彼でも臨機応変には動けないけど、指示を与えてあげればきびきびと動けるようにはなっているので、これはむしろ非難を誘導する立場の人の問題かもしれないけどね。

では、海外では避難訓練をしていないのか、というと、全くゼロでは泣けど、日本のように定期的に行うのはまれみたい。
イタリアやギリシアなんかは日本と同じ地震・火山大国なんだからやってもよさそうだけど、お国柄かな?
日本の場合は関東大震災で逃げ遅れて火災に巻き込まれた人が多かった、というところから来ているから、災害被害の状況がことなるのかもだけど。
でもでも、日本ではほかの国で発生したらすごい被害になりそうな災害でも被害は小さかったりして、それが避難がうまくできていたから、なんてケースが知られるようになると、日本式の避難訓練を取り入れようという動きもあるみたい。
防災先進国としてこういうのはぜひ売っていきたい話なのだ。

しかし、よくよく考えてみると、年に数回程度の避難訓練だけでみんながきれいに動けるか、というと、そこはちょっと違うかもしれないんだよね。
日本はまたまたの特殊事情として、運動会やら入学式・卒業式やらで整然とした団体行動をとる訓練をしているのだ。
隊列を乱さない、なんてのはお手の物。
逆に言うと、欧米なんかだと軍隊にいた経験でもない限り、こういうのは不得意そうだよなぁ・・・。
なので、避難訓練のやり方だけ教えてもうまくできないおそれがあって、こういう普段からの団体行動とパッケージで教えないとダメかもしれないのだ。
マス・ゲーム的な動きは中国や北朝鮮が得意とするところで東アジアの十八番のような気もするけど、チア・リーディングとかシンクロナイズド・スイミングとか複数名で秩序ある動きをすることはできているので、やっぱりなれの問題なんだよなぁ。

あとは、そういうのはせずにのびのびとやらせたい、というのと、災害時の行動上のリスクとを天秤にかけてどう判断するかだけどね。
しかしながら、地球温暖化の影響か災害は激甚化してきているから、一定程度の避難訓練はしておかないともたないような気はするけどね。
学校教育における体育は軍事教練の残滓だ、なんていう人もいるけど、こういうメリットもあるから、やっておいて損はないように思うよ。
運動が苦手で成績もよくなかったボクでもそう思う(笑)

2025/06/07

ノーヘル・ノー免許

 自転車の同労交通法違反に対する厳罰化について報道されているのだ。
すでに昨年11月の道交法改正で、自転車の「(スマホ)ながら運転」や「酒気帯び運転」が厳罰化されているんだよね。
これは自転車による交通事故が増えているという社会状況を受けたもの。
で、現在報道されているのが、これら自転車の道交法違反について、自動車や自動二輪と同じように「反則金制度」、いわゆる「青切符」が来年4月から導入される方針になっている、というもの。
警察庁はパブコメを経て、道路交通法施行令を改正し、自転車をその対象に追加するつもりみたい。
そうなると、
 (1)「ながら運転」で12,000円
 (2)「遮断踏切立入」で7,000円
 (3)「信号無視」で6,000円
 (4)「逆走・歩道通行などの通行区分違反」で6,000円
 (5)「一時不停止」で5,000円
 (6)「ブレーキなどの制動装置不良」で5,000円
 (7)「無灯火」で5,000円
 (8)「傘さし・イヤホン運転」で5,000円
 (9)「二人乗り」で3,000円
の反則金になるよ。
警察官に見つかって青切符を切られた瞬間に金銭的なペナルティがかかることになるのだ。
自転車通学している中高生だろうと対象なので、しっかり交通ルールを知ってもらわないとお小遣いがすぐになくなる・・・。
「ながら運転」は自分でも悪いと思っているだろうけど、「一時不停止」なんかは知らない可能性が高いよね(>_<)

で、ボクが思った感想は、自転車もそうだけど、もっと「質が悪い」電動キックボード(LUUPなど)を取り締まった方がよいのでは?、というもの。
高速道路に侵入したうえで逆走したり、信じられない乗り方をしている人もいるようなのだ。
運営会社はアカウント削除で二度とサービスが使えないようにするとかなんとか言っているけど、そういうことじゃないんだよなぁ・・・。
なので、警察に違反者を取り締まって、交通ルールを守らなければならないことを知らしめてほしいわけ。

でも、この電動キックボードなどが含まれる「特定小型原動機付自転車」という車両種はかなり特殊。
ヘルメットの着用については、一般原動機付自転車が必須なのに対し、自転車と同じく努力義務。
だけど、規格上制限速度が20km/h以下に設定されているので、実際はかなりのスピードで走っているよね。
これが自転車と同じでよいのか?
とはいえ、カテゴリ的には「原動機付自転車」に入っているので、昨年11月に自転車が追加される前から「ながら運転」は禁止だし、もちろん、酒気帯び運転など決して許されないのだ!
実際には、飲み会帰りにスマホで通話しながら乗っているなんて人もいるようなんだけど・・・。

で、こちらの電動キックボードはもともと反則金制度の対象なので、自転車の取締強化を待つことなく、いますぐにでも危険運転に青切符をきれるのだ。
最近になって多少そういう事例もでてきているようだけど、街中で「絶対アウト」的な乗り方をみかけるんだよなぁ。
それを見ると、自転車の反則金制度というのの実効性が疑われる。
でもでも、むしろ、自転車追加で取締強化する必要があるから人員を増やして体制を強化します!、ということであれば、ついでに取り締まってもらえるかもしれないよね。
実はそこに期待しているのだ。

ちなみに、原動機付自転車の反則金は自動二輪と同額で設定されているので、「速度超過」で6,000~20,000円、「ながら運転」で12,000円、「信号無視」で6,000円、「通行区分違反」で6,000円、「合図不履行違反(ウィンカーなしでの右左折)」で5,000円など。
けっこうな反則金収入がありそうだけどなぁ。
自動車の「ネズミ取り」するより、こっちの方が稼げそうな気がする。
街中も安全になるし。
一度一斉取り締まりをしてみてほしい。

2025/05/31

こまい話

 進次郎農相の機動力で、放出された備蓄米が店頭に安価に並ぶようになった。
なんだかすごいセクシー。
これを受けて、テレビなんかでは「古米のおいしい食べ方」みたいなのを特集しているよね。
古米くらいならさほど問題ないし、むしろ寿司屋さんなんかは好んで古米を使ったりするんだけど(水分含有量が少ないから寿司酢を混ぜるのに向いているらしい。)、今回の放出は古古米や古古古米といった2~3年前のお米。
テレビに出てくる(自称)専門家は、「普段であれば家畜の飼料用に回していたようなもので、臭くて食べられたものではない」とか言っているけど、進次郎大臣は報道陣の前で食べて「どれもおいしい」と言っていたね。
もともとお米のにおいが苦手な人がいるから、そういう人にはきついんだろうけど、あまり気にせずに食べられる人も多いということかな?

この古いお米の臭み、「古米臭」の主成分はヘキサナールというアルデヒド。
米ぬか中の遊離脂肪酸が酸化されることで出てくる物質で、草いきれや大豆の「青臭さ」のもとなんだそうだよ。
米ぬか中には「米油」が搾り取れるほど多くの油脂が含まれているんだけど、菜種や綿実なんかとは違い、そこに同時に脂肪分解酵素のリパーゼもたくさんあるらしいのだ。
普通は子房の形にしてエネルギーを蓄えるので、分解酵素はえんるぎーを取り出すときに出てくると思うんだけど、米ぬか中には最初から多くの分解酵素が含まれているみたい。
玄米の状態って本来は温度と水分で発芽の条件を待っている状態なわけだけど、条件が整い次第ロケットスタートでエネルギーを取り出して発芽するぞ、ということなのだろうか?
とはいえ、実際にリパーゼが多く含まれているので、玄米は保存中に脂肪が分解されて遊離脂肪酸というのが出てくるのだ。

その遊離脂肪酸のひとつがn-ヘキサン(ノルマル・ヘキサン)で、これが酸化されるとアルデヒドのヘキサナールができてくるのだ。
さらに酸化されるとカルボン酸のカプリン酸というのになるんだけど、これはヤギの臭みだって。
イメージしづらいけど。
炭素数が4~6くらいのアルデヒドやカルボン酸(C4のブチナール/酪酸、C5のペンタナール/吉草酸、C6のヘキサナール/カプリン酸)はどれも悪臭で知られているんだよね。
この悪臭の鯨飲となるカルボン酸もアルコールとエステル結合するとフルーツ系の方向成分になるから不思議。
逆に言うと、よい香りを持つものは裏腹にこういう悪臭成分も併せ持つということなのだ。


これらの物質は揮発性があるので熱をかけるととんでいくわけだけど、これは炊飯という調理方法とはいまいち相性がよくないんだよね・・・。
つまり時間をかけて加熱しながら水分を浸透させていくわけだけど、通常二をするなどしてちょっと加圧するので、この悪臭成分が焚いている最中のお米にも映ってしまうのだ。
最初にふたを開けておいてにおいを確認しながら臭くなくなったらふたをする、とか、リゾットやピラフのように先に生米を炒める、みたいなやり方だとましになるかな?
よく知られている方法に、少しお酒を入れて炊くとよい、というのがあるけど、これはアルコールが一緒に混ざっていると、共沸という現象でアルコールと揮発性のある子^る成分がまだ温度が高くない状況で先にとんでくれるのでにおい移りしない、ということみたい。
「共沸」というのは沸点が異なるもの同士が混ざっているときに分留できずに一緒に混ざったまま蒸発していく現象のことだそうだよ。

もうひとつの解決策としては、炊く前に氷を入れておく、というのがあるのだ。
こうすることで、釜(又は鍋)の中があたたまるのに時間がかかる、つまり、悪臭成分は蒸発していくけど水分はさほど蒸発していかないという温度状態がちょっと長くなるので、においが移りづらくなるみたい。
けっこう簡単な方法だよね。
もちろん、悪臭成分をとばさなくても、そこから取り除くのでもよいわけ。
活性炭で吸着してしまう、というのがスタンダードで、お米と混ぜて炊くと嫌なにおいが取れる活性炭(竹炭など)や素焼きのプレートなんかは市販されているよね。
でも、氷を入れておけばいい、とか、日本酒をちょっとたらせばいい、と言われるとそっちの方が楽なような。

というわけで、仮に放出備蓄米を食べる場合は、そんな工夫を少しするとおいしく食べられるようなのだ。
前にコメの大不作でタイ米を緊急輸入したときは、食べ方を間違えて「おいしくない」という評判になってしまったけど、その二の舞は避けないとね。
古いお米にはにおいがある、というのはあらかじめわかっていることなので、それをちょっとの工夫で回避すればよいだけなのだ。

2025/05/24

虫愛づる万博

 いよいよ開幕した大阪・関西万博。
さっそく入場者数のことが話題になっていたけど、現在の話題の中心は「虫」。
どうも虫が大量発生していて、すごいことになっているらしいのだ。
これが「いのち輝く未来社会のデザイン」かと皮肉られてもいるよね・・・。
体調の蒸しとともに生きるのが未来社会ではないはずなんだけど。

現在大発生しているのはユスリカ。
そう、川や池の近くの水辺で「蚊柱」を作っている小さい羽虫。
広義には蚊の仲間ではあるけど、成虫は口は退化していて生殖活動をするだけの存在なので、人を刺したりするわけではないのだ。
そう、ただ単に「邪魔」、「気持ち悪い」と嫌悪感を向けらるだけで、それ以上の実害はないんだよね。
いわゆる「不快害虫」というやつ。
だったらこの繁殖期間はがまんするか、というのもあるんだけど、報道で見る限りはそのレベルは超えていそうだね。
とにかく、虫、虫、虫・・・、という感じだから。

それと、もろい虫なので、手で払ったりするだけですぐ死んじゃうんだけど、そうなると、虫の体液などがつくわけで。
服についた虫を払おうものなら死骸が服にこびりつく、体液がしみる・・・。
何かされる和じゃないから我慢しろと言われても、目の前がむしだらけだからなぁ。
こういうのは一番込めるよね。
万博協会はアース製薬なんかに協力を求めているらしいけど。

このユスリカの幼虫は「赤虫」と呼ばれるもの。
釣餌に使われたり、ペットの魚の餌にしたりするやうだよね。
あの赤いうねうねしたやつが水辺にいて、それが羽化するんだけど、一匹の雌の周りに大量の雄がぐるぐる回って蚊柱を形成するのだ。
川辺とかで出くわしても気持ちの良いものではないけど、その規模がすごいことになっているみたいだからなぁ。
たまったもんじゃないね。
幼虫の住む水域が富栄養化すると大量発生するようだから、今回の万博の開催に当たって周りの水辺でそういうことがあったんだろうね。

見た目が気持ち悪いとして忌避される虫はけっこういて、便所コオロギことカマドウマとか、本当はゴキブリを食べてくれる益虫なのに見た目が怖いと言われるアシダカグモだとか。
花壇とかにいるダンゴムシも、子供の時は平気で触れたはずなのに、大人になるとちょっと気持ち悪いとか思ってしまうよね。
住宅の密閉度が上がり、住環境化都市化していくと蒸しと触れる機会が少なくなるから余計にそうなるのだ。
でも、せっそk動物ってどうしても哺乳類とは全く異なる慶太をしているから、どうしても意思の疎通ができなさそう、と感じてしまい、それが忌避間につながるんだよね。
逆に、犬や猫はなんか話していることが伝わりそうなのでそうはならないのだ。
好きでカブトムシなんかを飼っている人は心の中で会話しているかもだけど。

万博に戻るけど、今は「不快害虫」のユスリカだからまだいいとして、このまま放っておくとボウフラから蚊が湧いてくる可能性も高いよね。
そうなると実害が出るのだ。
夏になっていけば食べ残しなんかにハエがわくこともあるだろうし、万博の虫対策は今後も大変だろうなぁ。
ああいう埋立地って虫が大量発生しやすい環境なんだから、もう少し事前に対策を打てたんじゃないかとも思うけど、どうなんだろう?
跡地利用のIR(統合型リゾート)のことを考えても、虫対策は大きな課題だよね。
ここで日本の虫対策の技術力を見せるのもありだ。

2025/05/17

百聞が一見を超える

 ネットのニュースで見たのだけど、総務省が実施した委託調査で、ネットで目にした情報をそのまま信じやすい人が半数に上る、という衝撃的な結果が出たのだ。
かつ、その情報を家族や友人と会話したり、SNSで拡散した人は25%程度とか。
こりゃあ、ネットを中心に陰謀論がはびこるわけだ。
全部DSがうらであやつっているギフハブが悪い!

ネットのない時代からうわさが広まる波佐谷というのは想像する以上のもので、悪事千里を走るじゃないけど、過去の調査で「口裂け女」の噂の広がりを計測すると、時速100kmの速さで伝播していっている、なんてのがあったんだよね。
で、こういうのは、本当らしいものより、むしろ、えっそんなことが、適菜八の方が広まるんだよね。
それは当たり前で、誰もがそうだよね、とすぐに納得できるような話にはバリューがないから口の端に上らないのだ。
その内容が衝撃的だったり、サプライズがある方が話題にするよね。
でも、口裂け女の話は子供を中心に広まるのであって大人はまともにはとりあわなかったのだ。
それは面白い話ではあるけど嘘っぽいとすぐに見抜けるから。
でも、子供は信じやすいので広めてしまう・・・。
そういう構図だったはずなんだよね。

ところが、先の調査でいうと、大人であってもフェイクニュースに騙されやすい、ということが浮き彫りになったんだよね。
情報の中身として完全に荒唐無稽と切って捨てられるような「口裂け女」の噂とは違い、もう少し「信じられないけどそう言われるとそんな気がする」的なものだろうから大人が全く信じないわけじゃないだろうけど、問題はそれよりも「ネットの情報」というのがミソだと思うのだ。
会話で話題にする場合、その情報を口に出すときに、本気で信じているのか、半信半疑なのか、デマだと話あったうえで話しているのか、などは明言しなくてもニュアンスでにじみ出てくるよね。
ネットの場合もメールとして転送するとか、ブログを書く、生地にコメントをつける場合はそうなんだけど、X(旧ツイッター)のリツイートみたいな機能の場合は、単純に情報をっ買う産するだけなんだよね。
ボタンをぽちっとするだけで。
なんでその情報を拡散しようと思ったのか本当の意図は読めないのだ。
もちろん、コメント付きで囲繞したうえでポストしてもよいのだけど。

リツイートの場合、その情報がそのままフォロワーのタイムラインに流れていき、拡散されていくんだよね。
で、ここでさらに問題なのが、多くの人は趣味・趣向・主張に従ってSNSをフォローするので、もともと似たような考え方を持つ人にバイアスがかかってコミュニティが形成されているということ。
すなわち、同じ内容の情報に興味を持つ可能性が高く、かる、同じようにリツイートする可能性も高いのだ。
そうなると、自分のSNSのタイムラインには複数のルートで同じ情報が流れていくことになるんだよね。
もともフォロー・フォロワーの関係はかなりバイアスがかかったコミュニティではあるんだけど、人間は自分を基準において物事を考えがちなので、「広くせけにっぱんの人がその情報を支持している」と誤認しがちなのだ。
実際は似たようなことを考えている集団の中での一過性のブームみたいなものなんだけど、コミュニティ内でその情報が拡大再生産されていくなかで、それが真実に思えてきてしまうのだ。
そう、いわゆる「エコーチェンバー」になってしまうのだ。

ネットではやっている陰謀論の多くは、冷静に考えれば「そんなことないだろ」という荒唐無稽なものではあるんだけど、ある種の願望であったり、現実逃避的な感情とかみ合ってしまうと、「信じたくなってしまう情報」になるんだよね。
古来より、人間は自分の認識の限界を超えた事象をものすごく恐れる傾向があって、無理やりにでもこじつけて理解しようとするのだ。
それが雷は雷神が太鼓をたたいて落とすものだ、とか、貧乏神に取りつかれて落ちぶれた、とかそういう続伸なわけ。
それと同じように、自分では理解不能なことを自分でも受け入れ可能な、かつ、他責的なこじつけをしてくれるようなトンデモ論には一定の魅力があって、無意識化には「それにのっかりたい」という願望があるのだ。
そういう状況下で、SNSで何度もそのトンデモ論が流れてきて目にするようになると、「一見信じられないような話だが、これだけ多くの人がその情報を拡散しているのならば、これは真実なのではないか」と思い込んでしまうんだよね。
こうなるともうあとは転げ落ちていくだけ。
ほぼ自己暗示の世界だけど。

最近は「コミュニティノート」機能があるので、善意の第三者から冷静なツッコミがはいることもあるけど、SNS情報が容易に拡散すること、かつ、同じような思想を持つ集団の中でエコーチェンバーになりやすいことは、ネットで陰謀論が広まる重要な要因だと思うんだよね。
なので、ネットの情報とはそういう性質を持っているものだと理解したうえで、適切に一定の距離を置いて受け止める必要があるのだ。
とはいえ、ボクもこの調査の話はニュースで見ただけで原本(一次ソース)には当たっていないので、すでに誤情報に踊らされているおそれはあるのだけど・・・。