草食ということは草を食べるということです
秋の虫が鳴きだした。
なんか涼しくなてきたし、秋を感じる。
そこで(?)、気になったんだけど。
あの秋の虫たちってバッタの仲間だから草を食べているわけだよね、基本的に(コオロギは肉も食べるというのは映画「ラストエンペラー」で知ったけど。)。
でも、バッタの仲間って、ウシとかヒツジみたいに反芻しているわけじゃないよね。
だとすると、どうやって植物を消化しているのか?
一般に、植物に特徴的な細胞壁はセルロースでできているのだけど、これが分解できないのだ。
木になると、木質と呼ばれるリグニンというのがあって、これがさらに輪をかけて分解できない。
っていうか、これらが簡単に分解されてしまうと紙や木造建築が成り立たないわけだけど。
では、どうやって消化して、栄養にするのか?
ウシやヒツジのような反芻する動物は、細かく砕いた植物を微生物の力を借りて分解して栄養を取り出している、はず。
では、昆虫はどうなのか?
改めて草食動物について調べてみたのだ。
草食動物の栄養摂取方法にはいくつかあるんだよね。
単純なのは、消化可能な可食部(果物や木の実、花の蜜、樹液など)をだけを食べるという手法。
これはまあそうだよね。
で、そうではなくて、葉っぱを主に食べている動物たちがどうしているのか。
これにはいくつかパターンがあるのだ。
シンプルなのは、自分でセルロースを分解する、という手法。
ただし、生物界でもセルロースの分解酵素を持っているものは少なくて、動物界では貝類くらいしかないらしい。
っていうか、陸生の貝類、すなわち、カタツムリやナメクジつはセルロースが分解できるのだ!
以外にすごい動物なんだね、とびっくり。
海の中の貝類は海藻も食べるみたい。
でも、普通はセルロースは分解できないので、他の生物(主に微生物)と共生して、分解してもらうのだ。
外部共生するものとしては、リグニンを分解できる白色腐朽菌(キノコ)を育てて餌にしているシロアリなんかがわりと有名だよね。
とはいえ、こういうのはメジャーではなく、やっぱり内部共生、つまり、体の中に微生物を取り入れて、という方が多いのだ。
その意味では、ヒトもいろんな腸内細菌と共生しているし、反芻動物はみんなそう。
特殊な例だと、コアラなんかは消化できないユーカリの葉を栄養にするために特殊な菌と共生しているんだけど、子コアラはその菌を持っていないので、最初に親の糞を食べる、という通過儀礼(?)があるよ。
内部共生型にもさらにサブパターンがあるみたい。
①先に自分が消化して残りを微生物に分解してもらうか、②先に微生物に分解してもらってから栄養を吸収するか、③先に自分が消化したうえで微生物に分解してもらいそこからさらに栄養を吸収するか、の3通り。
ヒトの場合は①で、ウマをはじめ反芻しない哺乳動物はみんなこのカテゴリーに入るらしい。
よくかみ砕いて自分で吸収できる栄養を吸収した残りかすを盲腸・結腸・大腸のあたりで共生している微生物に分解してもらって、菌はふんと一緒に体外に排出されるのだ。
ただし、この菌の食べ残しの栄養を水分と一緒に台帳から吸収することができて、酢酸やプロピオン酸のような低級脂肪酸ならそのままブドウ糖代謝に回せるし、ビタミンB群やビタミンKなどはこの腸内細菌が作ったものを町内から吸収したりしているのだ。
これで共生が成り立つわけだ。
②の場合は、丁寧にかみ砕き、すりつぶした植物を微生物に分解してもらい、菌ごといただいて栄養にする、というもの。
もともと栄養価の高い(=糖質やたんぱく質が多い)穀類や豆類が餌の場合は微生物にいいところ撮りされてしまうわけだけど、栄養価の高くない草だけを食べる場合はこの方がよいのだ。
反芻する動物はこれ。
ヒトは草だけではなかなか生きていけないけど、ウシやヒツジは反芻を繰り返すことで草を発酵させ、栄養価を高めてからいただいているのだ。
カバやナマケモノみたいな動物は、草しか食べないし、反芻もしないけど、この方法で栄養を取っているみたい。
ナマケモノはいいとして、カバはあれだけパワフルでもこのやり方なのか・・・。
③は反芻動物で、①と②のいいところどり。
まず、自分で吸収できる栄養は吸収しきったうえで、その残りかすを微生物に分解してもらう。
そのうえで、菌ごとさらに栄養を吸収する。
ウサギやモルモットはこれで、多くの場合は糞食をするらしいのだ。
例えば、ウサギの場合、一度目は少し柔らかい糞を出すらしいんだけど、これは自分で吸収できる栄養を吸収した残りかすのようなもの。
これをもう一度餌として食べ、体内で発酵させてから菌ごとさらに栄養をいただくちう二段スタイルなのだ。
反芻しようすると体を大きくしないといけないんだけど、この方法だと小型になれるのだ。
昆虫の中でも、シロアリ・ゴキブリの中はこれらしい。
シロアリの仲間はリグニンたっぷりの木材を食いつぶすわけで、すごいやつらだよね。
で、この上記にもれるもの、それが多くの昆虫。
それらは・・・。
セルロースは分解できないけどとにかく量を食べて少ない栄養を浸する集める、という戦略らしい!
どうしても体内共生しようとすると体が重くなるんだよね。
例えば、ヒトの場合、腸内細菌の重量は1~2kgと見積もられているのだ。
こういうときのヒトの標準体重は60kgを仮定しているだろうから、1~2%というところかな。
ただし、発酵させるには一定規模数の菌がいないとダメだから、そのまま比例で減らすわけにもいかないんだよね。
なので、バッタはひたすら食べる、ということらしい。
カイコなんかもそうで、とにかく大量の葉っぱを食べるのだ。
実はパンダもこれに近く、ほとんど消化吸収できないけど大量の竹を食べるんだよね・・・。
というわけで、疑問がひとつ解決した。
バッタの大量発生による蝗害というのがあるけど、確かにこういう非効率な食べ方をするのであればそうなるか、と思うよ。
嫌われ者だけど、シロアリのように効率的に食べればもっと少ない量ですむのに。
ま、棲息環境での戦略上そういう「物量作戦」でも問題なかっ宝現世主として残っているのだろうけど。
なにごとも効率だけでは割り切れないのは昆虫も同じか。
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