2026/03/07

冬の小川は水がない

今年の秋冬はとにかく降水が少ない。
東京も今年になってまともに雨が降ったのは2回。
北関東の水源地の貯水率も心配なレベルなのだ。
で、そんな中、多摩川水系の野川や浅川では川の水がなくなった!
川ってどこかに水源があってそこから流れてくるものだから、水源ごとかれてしまったのか?

実はそんなことはなくて。
水量が減ったので、いわゆる川底の下を流れる伏流水になっているらしい。
野川の場合は、国分寺崖線という段差のある断層に沿って流れているんだけど、わりと湧水が豊富で、その水を集めて流れているのだ。
ここはもともと古多摩川が流れていた跡で、地形が川に削られて段差のある河岸段丘というものになっているんだ。
で、その川筋跡は細かい石の層(礫層)になっていて、そこにまた水が集まって小さな川になったというもの。
そういうわけで、そこまで川の水の流量はなくて、さらに川底を侵食していくほどでもないんだよね。
そのため、もともとがけ下にあった礫層の上を流れるだけで、その小石を下流に押し流し、そののちにされに川底を削ってく、みたいなことはおこらなかったわけ。

つまり、流れている水の量は十分にあれば礫層の上に川が見えるけど、流量が減ると礫層の中を通るようになってしまって表面上は川の流れが消えるのだ。
ちょうど「水無川」になってしまうわけ。
でも、流量が戻ればまた普通に表面にも川の流れが出てくるよ。
アフリカには乾季には筋だけが残っていて、雨季にだけ流れる川というのもあるけど(「ワジ」と言うのだ。)、あっちは本当に川の流れが途絶えているんだよね・・・。
そういうのをどうしてもイメージしちゃうけど、さすがにそこまでは乾燥しているわけでない。

もともとの野川はもっと神奈川よりを流れていたんだけど、今の世田谷区・大田区に農業用水を供給するための六郷陽水(次太夫堀)が開削される際、もっと東寄りの流路に付け替えられたのだ。
これが江戸時代になる直前くらいの話。
戦後になって、六郷陽水の大部分が埋め立てられるようになると、少し西寄りに流路が変えられ、狛江と調布の間を通るようになるのだ。
このころは、下水設備も不十分で、生活排水が直接この野川に流されたので、どぶ川のようになってしまうんだよね。
悪臭が立ち込め、生態系も大きく損なわれるんだけど、平成に入るころにやっと下水道も十分に整備され、生活排水が流れ込まなくなると、徐々にきれいにもどっていったのだ。
ただし、生活排水がなくなった分流量が減って、今のように乾燥が続くと川が消えるようになってしまったようなのだ。
一方で、そのちょろちょろと流れるくらいの流れは川の生態系にとってはよいみたいで、湿原のような感じで葦が生え、魚や亀などの水生生物や昆虫が増え、それを目当てに鳥もやってくる、みたいになっているよ。
確かに野川の上流の方ってそういうイメージがあるよね。

そんなちょろちょろした流れだからといってあなどれないのがまた問題。
上に書いたように、もともと流量が少なくて浅い川なのだ。
「浅川」なんてそのままの名前だし。
これが何を意味するかというと、ちょっとした大雨で一気に流量が増えると、川があふれる、ということ。
実際、直近では2005年(平成17年)のときの集中豪雨で氾濫したらしく、世田谷区で床下浸水とかあったようなのだ。
神田川のようにもともと流量がそこそこある川で氾濫の危険性が高い川だと地下に巨大な調節池が整備されて氾濫しないようにするのだけど、乾燥が続くと川の流れが消えてしまうようん野川だとそういうわけにもいかないんだよね。
ないとは言わないけど、めったに起こらないから「それなりの備えで」としかならないのだ。

で、ボクが一番気になっているのは、亀や昆虫はいいとして、魚はどこに行っているのか、ということ。
野川は20km以上ある河川なので、もう少し水の豊富な川に逃げるにしても逃げ切れないと思うのだ。
かといって、ある程度の大きさのある魚であれば水と一緒に礫層に中に、というわけにもいかないだろうし。
徐々に川の水がなくなっていく中で、上流又は下流に追いやられるのだろうか?
で、水の流れが戻ったらまたもどってくるのだろうか?
近所に住んでいたらぜひ観察したいものなのだ。

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