2012/04/14

緊急情報発信!

北朝鮮のロケット打上げ(ミサイル?)問題でJ-ALERTが注目されているのだ。
なんかけっきょくうまく打上げも警報もうまくいかなかったみたいだけど(ToT)
これは消防庁が整備した「全国瞬時警報システム」のことで、地震、津波、火山噴火などの大規模自然災害の発災時や、今回のミサイル発射、テロなどの武力攻撃事態が発生した場合、対象地域の国民に瞬時に、一斉に、直接情報を伝達するシステムなんだ。
21世紀に入ってから危機管理意識が高まり、国の主導で導入されたんだよね。
それまでは、自治体ごとに有線放送や行政無線を使っていたんだけど、これはその自治体ごとなので、情報の内容にも質の差があるし、伝わる速度もまちまち・・・(>o<)
そこで、こういうシステムが考案されたわけ。

具体的には、静止軌道上の通信衛星を介して国からの情報を地方自治体に送信し、その内容が市町村役所や公立病院、公立図書館などで館内放送として流されたり、地域衛星通信ネットワークに接続された同報系市町村防災行政無線を通じて屋外にあるサイレンから流れたりするのだ。
このとき、瞬時に、直接伝えるために、自動的に防災行政無線が起動され、誰かが操作しなくても放送が流されるところがミソ。
これにより一律に素早く情報伝達ができるわけなのだ。

情報の流れは、自然災害なら気象庁が、武力攻撃事態なら内閣官房が状況を察知し、システムの運用者である消防庁に連絡を入れるのだ。
消防庁の側ではあらかじめテンプレートとしていくつか「メッセージ」が用意されているので、事態に応じてそれを選び、対象地域向けに発信。
これを自治体側が受け取って館内放送なり、防災行政無線なりでそのメッセージが流れるんだ。
このとき、対象地域やメッセージの内容はコード管理をされていて、消防庁からは全国一律にとりあえず情報発信するんだけど、受け手である自治体側の受信機で自分に関係あるコードのものだけ取り出す仕組み。
でも、今回のミサイル問題に備えた沖縄での試験では、この部分がうまくいかなかったわけ。
でも、それには一定の理由があるのだ。

消防庁のサイトにあるJ-ALERTの概要資料によると、J-ALERTで発信される情報には3種類あって、原則同報無線を自動起動するもの、同報無線の自動起動を選択できるもの、普通に情報を流すだけのものがあるのだ。
必ず自動起動するものには、今回のような弾道ミサイル情報、大規模テロ情報、緊急地震速報、津波警報(大津波・津波)などがあるんだ。
自治体ごとの設定で自動起動が選べるものは、噴火情報、地震速報、津波注意報、土砂災害警戒情報、竜巻注意情報など。
その他は、記録的短時間大雨情報、指定河川洪水情報、噴火予報、気象注意報など。

で、このメッセージの種類と対象地域をコード管理しているわけだけど、受信機側でその設定をする必要があるんだよね。
そこに不備があると対象地域なのに反応しなかったり、選んでいたはずなのに自動起動がうまくいかなかったりするんだ。
今回は事前にわかったからまだ対処のしようがあるけど、1年に一度くらいは確認するようにした方がよいんだろうね。
せっかくのシステムが役に立たないのでは困るのだ(ToT)

でも、実はこのJ-ALERTの普及率はいまいち。
消防庁の資料によると、昨年12月1日現在で受信機の運用は全地方自治体のうちの98.4%まで来ているけど、自動起動できるような端末を整備しているのは66.0%、さらに自動起動を実施しているのは61.8%まで落ちるのだ・・・。
なんでこんな事態になっているかというと、受信設備の整備や、自動起動端末と防災行政無線をつなげるのにお金がかかるから。
単純な話だけど、小さい自治体だとバカにならないんだよね。

そこで活躍しているのが緊急情報ネットワークシステム。
ニュースでも出てくるEm-Netだよ。
これは国と地方自治体を結ぶ総合行政ネットワーク「LGWAN」を利用して、官邸と自治体を双方向通信でつなぎ、緊急情報を流すものなのだ。
これだと、通常のパソコンに専用ソフトウェアをインストールするだけで使えて、後はスピーカーなど情報を流す設備があればよいのだ。
電子メールの一斉送信みたいなものだけど、相手端末に強制的に受信させ、着信と同時にアラームが鳴って注意喚起するようになっているのだ。
パソコン画面上では地域指定でメッセージも送れるので、アラームが鳴ったらパソコンを確認し、メッセージを確認して初動体制がとれるわけ。
送信側から相手端末が起動しているかどうかも確認でき、受信可能な状況かどうかもわかるんだって。

こういうのはひとつのシステムに過度に依存するとそこに障害が発生したときに対応できなくなるから、複数のシステムを整備しておいた方がよいんだよね。
自治体側では複数のシステムを導入して運用するのは大変だけど、ことは緊急事態なわけで、情報の漏れは致命的なのだ。
今回の件を契機に危機意識が高まれば、また整備が進むかな?

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