もっくもくにしてやんよ
冬は寒い代わりにからっと晴れることが多かったけど、春の天気は不安定でくもちがちなのだ。
そぼそぼと雨が降ることも多いよね(>o<)
これは、冬はいわゆる「西高東低」の冬型の気圧配置で安定していたのがくずれるから。
冬はシベリアの寒気団が南下してきて乾いた冷たい空気で安定しているのだけど、それが退くと張り出した高気圧がないので、偏西風に乗って熱帯海上で発生した湿った低気圧がやってきて雨を降らすんだよね。
雲ができる仕組みはわりと簡単で、熱帯地域等で海が温められると、その上に湿った暖かい空気の固まりができるのだ。
空気は気温が高いほど密度が低いので軽く、浮力が働いて上昇していくんだよね。
これが上昇気流。
通常の大気は高度が上がれば上がるほど気圧と気温は下がっていくんだけど、気温の低下は100mごとに0.6℃程度。
ところが、空気は熱伝導率がひくので、上昇していく空気は熱交換がほとんど行われないまままわりの気圧の低下に伴って断熱膨張してしまうので、冷却されるのだ。
この断熱冷却による効果は100mごとに1℃程度。
なので、100m上昇するごとに0.4℃ずつ差が埋まっていくのだ。
まわりの空気と上昇してきた空気の温度が同じになったところで上昇は終了。
このとき、通常は露点(空気を冷却していったときに、含まれている水蒸気が凝結して液体の水が出てくる温度。)を下回っているので、温かかった空気の中には小さな液体の水の粒子が分散している状態になるんだ。
上昇した先が零下の気温なら、小さな氷の粒になっていることもあるよ。
これが雲の正体。
水や氷の粒子が光を乱反射するので白く見えるのだ。
例えば、インド洋上空で発生した暖かい空気が日本上空に来ることを考えてみるとわかりやすいよ。
インドは熱帯なので年間を通じて気温はほぼ一定なんだけど、だいたい35~40℃くらい。
今回は計算しやすいように温められた空気の温度は36℃にするのだ。
これが春の日本上空に来るとすると、日本の春の気温はだいたい10~20℃。
これを18℃と仮定すると、温度差は36-18=16℃なので、16÷0.4×100=4,000m=4kmなので、上空4kmまで上昇するのだ!
ただし、途中で空気の気温が露点を下回ると、水蒸気が凝結するときに出る熱のせいで気温の低下率は100mごとに0.5℃に下がるのだ。
含まれていた水蒸気がすべて凝結するとまた100mで1℃ずつの低下率にもどるので、水蒸気がどれだけ含まれているかで上昇高度はもう少し上がるよ。
でも、この時点ですでに富士山よりさらに高いから、童謡のように「頭を雲の上に出し♪」というわけにはいかないね(笑)
これくらいだと、ちょうど雨を降らせる高度(2~6km程度)の雲だね。
しかし、実際には温められた空気が来る以外にも雲ができることがあるのだ。
その場合はもっと低い高度だよ。
例えば、高い山脈が海の近くにある場合、海からの湿った風が山に当たるとそのまま山の斜面に沿って上昇していくのだ。
すると、水蒸気がどんどん凝結して水になり、山の海側の低い高度のところに雲ができて雨を降らしながら山を越えるのだ。
山を越えるころには空気が乾燥しているので、今度は乾いた風として逆側に吹き下ろすわけ。
海側では湿っていたので100mで0.5℃ずつ温度が低下していくんだけど、逆側ではすでに乾燥しているので100mで1℃ずつ上昇していくのだ。
すると、海側で18℃だった湿った空気(すでに水蒸気が飽和していると仮定。)が2,000mの山を越えると、山の頂上で8℃、これが山の逆側の海抜0mに吹き下ろすと28℃になるのだ。
これがいわゆるフェーン現象で、上州名物のからっ風もこのたぐいのものなのだ。
他にも、湖や大きな川の水面上に薄く雲が広がることがあるんだよね。
これは水面上の湿った空気が冷たい外気に冷やされることで凝結するもの。
湖に冷たい風が吹いてきたりするとできるのだ。
昼間の湖で北風が吹くと霧が発生しやすくなるのだ。
逆に、十分に冷えた湖の上に湿った暖かい空気が吹いてくると、そこで霧が発生することもあるよ。
これは朝方に南風が吹いたときなどだよ。
というわけで、雲の発生には風と空気の湿度が大きく関係しているのだ。
それを踏まえて天気図を見ると、自分でもある程度雲ができるかどうかはわかるんだよね。
天気図を見なくても、その場その場で吹いてくる風の暖かさ/冷たさと湿気を感じることができれば、天気の移り変わりはある程度予測できるのだ。
きっと先人の知恵はこういうのを感じ取っていたんだろうね。
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