のろのろすんな!
最近は冬になるとノロウイルスによる食中毒が話題になるのだ。
自分が子供の頃だと、食中毒は夏のもので、それこそ高い気温で腐敗が進むのが早くて、傷んだものを食べてしまうのが、いわゆる「食中毒」だったのだ。
細菌性のものだよね。
細菌性の食中毒は腐ったものを食べた人から先には広がらないんだけど、ノロウイルスによる食中毒は、感染した人の吐瀉物や糞便に含まれるウイルスが経口感染することで感染が広がってしまうのだ(>o<)
ノロウイルスは乾燥に強いから、乾燥した吐瀉物や糞便から出る塵埃が口に入るおそれがあるんだよね・・・。
もともと「カキにあたる」っていうのがあるけど、これが実はノロウイルスなんだよね。
ノロウイルスに感染すると、半日~2日くらいで急性胃腸炎を発症し、激しい嘔吐と下痢に見舞われ、発熱もするのだ。
で、それを看病していると、その患者の吐瀉物や糞便に触れる可能性があって、そこからまた感染が広がるんだよね・・・。
ノロウイルスの食中毒でこわいのは、この感染の広がりによる集団食中毒なのだ!
ウイルスが乾燥に強く、アルコールや逆性石けんなどでは消毒できないので、徹底的に洗い流すしかないんだって。
とにかく衛生管理あるのみ、ということみたい。
カキなどの貝であたるというのは、貝にこのウイルスが付着していることが原因なのだ。
貝の中では増殖はせず、感染するのはあくまでもヒトだけ。
感染者の糞便が下水に流れ、それが海に流されると、海水中に漏れ出た微量のウイルスを河口付近にいる貝が取り込むのだ。
これが蓄積されてしまい、相当量蓄積されてしまった貝を食べるとあたる、というわけ。
きれいな海域の貝しか生食用にはしちゃいけない、ということだよね・・・。
よく、カキなんかは生食用と加熱用とで分けて売られているけど、それは新鮮さの違いではなく、こういうところに違いがあるのだ。
どんなに新鮮でも、その貝のとれた場所によって生食にはできない、ということなのだ。
ノロウイルスが悪質なのは、研究室レベルで増やすことがまだできていない、という点。
このせいでなかなか研究が進まないのだ。
最初にウイルスの存在が知られるようになったときは、いちいち電子顕微鏡でウイルスがあるかどうかを確認していたとか。
今では、酵素反応と高原・抗体反応を使ったELISAという分析法や、ウイルスのRNAを逆転写PCR(RT-PCR)で検出する方法が使われているみたい。
検出するだけならそれでもいいんだけど、何か試験に使おうと思っても、患者から抽出したウイルスしかない状態だとどうしても数が限られるから、なかなかきびしいよね・・・。
電子顕微鏡でしか見られなかった時代なんてそもそも診断も難しかったわけで。
そのせいでずっとマイナーだったんだけど、その感染がもたらす被害が大きいし、最近はわりと簡便に検出できるようになったので話題になり始めたのだ。
このウイルスが戦後になって急に出てきた、ということはおそらくなくて、むかしからあったけど、なんだかわからなかっただけなんだよね。
日本でむかしから「おなかに来る風邪」というものがあったけど、それもノロウイルスだったのではないか、と考えられているみたい。
最初に見つかったのは、1968年米国オハイオ州ノーフォークの小学校における集団感染。
最初はノーフォークウイルスと呼ばれていたみたい。
1977年には札幌でも同様のウイルスが発見され、そっちはサッポロウイルスと呼ばれたのだ。
それぞれのウイルスが遺伝子レベルで同定できるようになったのは1990年。
それまでは電子顕微鏡でウイルスの形を観察したり、症状から推測するしかできなかったみたい。
2002年には国際ウイルス学会で、ノーフォークの「Nor」とサッポロの「Sap」を「virus」に「o」をはさんでつなげる命名が正式採用され、それぞれ「ノロウイルス」と「サポウイルス」となったのだ。
ただし、これは属名なので、日本語では「ノロウイルス属」、「サポウイルス属」になるよ。
研究が進んでいないだけあって、このノロウイルスによる症状の発症メカニズムは不明なんだとか。
そのため、基本的には対症療法しかできなくて、熱を下げたり、下痢がひどい場合には栄養輸液をしたりというのが基本。
ウイルスを出し切ることもあって、あまり止瀉薬は使わないとか。
出すだけ出してすっきりしろ、ってこと?
症状がそんなにひどくない場合には、経口補水液やスポーツドリンクを人肌にあたためて飲むがよいらしいよ。
ちなみに、ノロウイルスは血液型感染率に差があることが知られていて、O型は罹患しやすく、B型は罹患しづらいとか。
B型は丈夫だなぁ(笑)
とにもかくにも、こういうよくわからないものなので、予防には衛生管理あるのみ。
自分でできることは、手洗いの徹底と、自宅のキッチンまわりを清潔に保つことだね。
この寒い時期に寒いトイレにこもるのはつらいから、気をつけないと!
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