2014/04/05

奈良の春日の青芝に♪

和食を食べるときにあるとうれしいのは漬け物。
自宅では買っても消費しきれないことが多いので、なかなか家で食べることは少ないけど。
外でおいしい漬け物に出会うとうれしいよね♪
先日は、近為の大丸東京店で食事をしたんだけど、さすがに漬物屋さんだけあっておいしかったのだ!
その中でも、おいしいなぁ、と感じたのが奈良漬け。

奈良漬けはアルコール分があるので前は苦手だったんだけど、どうもそれはおいしい奈良漬けを食べていなかっただけのようなのだ(笑)
よい奈良漬けは、酒の風味があるくらいで、塩辛くもなく、深みのある味わい。
むかしから口の中をさっぱりさせるからと、鰻の蒲焼きのような脂の多い料理と取り合わせになってきたんだよね。
確かに、脂ののった魚の後に食べるとさわやかな感じがするよ。

奈良漬けは歴史が古く、平城京移籍から出土した木簡にも「かすづけ」という名前で登場するのだ。
当時のお酒はいわゆるどぶろくでにごり酒なので、酒を濾過した後に残ったものではなく、ワインの澱のように酒瓶の底に沈殿しているものだったみたい。
これ自体が貴重なものなので、当然「かすづけ」も高級品で、庶民が食べられるようなものではなかったのだ。
江戸時代になると清酒が登場し、酒粕が普通に手に入るようになるので、そこから庶民のものとなるのだ。
幕府に献上されたり、奈良を訪れる旅人に供されたりして徐々に普及していったらしいよ。
ちなみに、「奈良漬け」という名称は、江戸時代初期の慶長年間に名付けられ、それが定着したもので、奈良以外の地で作っても、一般名称なので「奈良漬け」と言うのだ。

奈良漬けの作り方は手が込んでいて、まずは白瓜や胡瓜などの野菜を塩漬けにするのだ。
この下漬けの段階で歯ごたえが決まるらしいので、こつがあるようだよ。
水分をよく取り除いてから、酒粕に砂糖、みりんなどを加えた粕床に漬けていくのだ。
そのまま放っておくのではなくて、粕床は定期的に替え、漬け替えを行うんだって。
これにより塩分が適度に抜け、酒粕からアミノ酸などがしみこんでくるのだ。
と同時に、独特のべっ甲色、琥珀色に染まっていくよ。
ボクは醤油か何かの色かと思っていたけど、酒粕に漬けることで出てくる色だったのだ。

ここで使う酒粕は、スーパーなどでも見かける「板粕」ではなく、「踏込み粕」と呼ばれるものだよ。
シート状に固められている板粕は、日本酒の副産物で、最後にもろみを絞って清酒を取り出した後に残るもので、圧搾されて固まっているのだ。
酒成分が多く残っていたり、大吟醸のように米粒がまだ形状を残したままである場合などは板状に固まらないので、それは「ばら粕」と呼ばれるんだって。
この板粕やばら粕をタンクに入れ、足で踏み込んで空気を抜いてから数ヶ月から半年くらい発酵を進めたものが「踏込み粕」。
ペースト状になっていて、なおかつ、少し色がついているのだ。

これはメイラード反応によるもので、酒粕中で糖分とアミノ酸が反応し、褐色の色素ができるんだよね。
なので、発酵が進んだ酒粕が、黄色、茶色、黒とどんどん味噌のような色に変わってくるのだ。
醤油や味噌も同じメイラード反応で茶色くなっているので、まさに同じような色なわけ。
このメイラード反応が進むと独特の香気も出てきて、それが奈良漬けの風味にもつながるんだ。
最近はあまり長期間漬けないのが多いようだけど、長期間漬けて真っ黒になった奈良漬けは、塩も抜けているし、風味が強くなっているのだ。
醤油漬けではないから決してしょっぱくないんだよ。

奈良漬けと言えばアルコールが含まれていることでおなじみだけど、切りたてはちょっとアルコールが強いんだって。
切ってからしばらく置くと、適度にアルコールが飛んで、お酒が苦手な人でも食べやすくなるそうな。
ボクの場合がまさにこれだね(笑)
ちなみに、水で洗うと風味が飛ぶので、酒粕を手や布でぬぐって、そのまま切るのが正しいみたい。

ちなみに、奈良漬けに含まれる程度のアルコールの場合、よほど大量に食べなければ飲酒運転で捕まることはないそうだよ。
食べてからしばらくするともう検出されなくなるのだ!
以前、直前に奈良漬けを食べて・・・、といいわけをした人がいたみたいだけど、やっぱり飲酒していたことが判明したみたい。
アルコール分を5%ほど含んでいる奈良漬けの場合、400g(60切れくらい)も食べないと反応しないという実験結果も出ているのだ。
念のため30分以上は時間を置いた方がいいんだろうけど、奈良漬けだけならそんなに気にしなくてもよいみたい。
油断は禁物だけど。

0 件のコメント: