2014/04/26

国を挙げての歓待?

昨日まで米国のオバマ大統領が国賓として来日していたのだ。
米国大統領を国賓として迎えるのは、平成8年(1996年)のクリントン大統領以来なんだって!
って、てっきり米国大統領が公式に来日する際は国賓として迎えているものだと思っていたから、逆にびっくり。
調べてみると、国賓であるかどうかというのは「接遇」の仕方に差があって、必ずしも政治的な意味を持っているわけではないんだって。

昭和59年(1984年)に閣議決定された(平成元年に一部改正)「国賓及び公賓並びに公式実務訪問賓客の接遇について」によると、外国の元首(国王・女王、大統領など)又はこれに準ずる者(英連邦所属国家の首相など)を招聘する場合、外務大臣が宮内庁長官と連絡して共同で請議し、閣議で決定することで国賓として接遇することができるとされているのだ。
今回のオバマ大統領の場合は、4月4日(金)の閣議で国賓としての接遇が決定されているよ。
ちなみに、「公賓」は、外国の皇族又は行政府の長若しくはこれに準ずる者を招聘する場合、外務大臣が閣議で了解を得ることで接遇できるものなのだ。
ちなみに、「又は」と「若しくは」は使い分けがあるので、「皇族」or「行政府の長若しくはこれに準ずる者(すなわち、首相、副大統領など)」と読むのが正しいのだ。
それから、平成元年の改正で加わったのが「公的実務訪問賓客」という概念で、これは、外国の元首若しくはこれに準ずる者、皇族又は行政府の長若しくはこれに準ずる者が実務を主たる目的として訪日することを希望する場合に、外務大臣が閣議で了解を得て接遇することができる様式。
この3種類の接遇の場合は、賓客本人+随行者について、日本政府が滞在費等を支出して迎えるということになっているようなのだ。
逆に言うと、賓客として迎えられない場合は相手もちで来ているってことだよね。

この国賓や公賓の接遇様式は、閣議決定では細かく定められていなくて、「政府として儀礼を尽くして公式に当該賓客を接遇するにふさわしいものとし、その接遇様式については国際慣例等を勘案して、外務大臣が関係大臣と協議の上、決定する」となっているだけ。
公的実務訪問賓客についても、「賓客の地位、訪問目的にふさわしいものとし、その接遇様式については国際慣例等を勘案して、外務大臣が関係大臣と協議の上、決定する」となっているのだ。
一般に国賓として迎える場合は、首脳会談に加えて、儀仗隊による栄誉礼付の歓迎式典、宮中における両陛下への会見、宮中晩餐会、退京時の両陛下による迎賓館への御訪問(すなわち両陛下が迎賓館までお見送りに来られる、ということ)などの公式行事が行われるよ。
国賓はこれらの公式行事が入るので、自動的に2泊以上滞在してもらうことになるんだって。
その意味では、今回のオバマ大統領の2泊3日は最低限のラインなのだ!

公賓の場合は、儀仗隊の栄誉礼がなかったり、晩餐会でなく午餐会になったり、両陛下のお見送りがなくなったりと格落ちになるのだ。
国賓・公賓の場合は通常迎賓館に宿泊してもらうんだけど、今回のオバマ大統領は米国側の希望もあって迎賓館には宿泊していないのだ。
公的実務訪問賓客の場合は、迎賓館には宿泊できず、かつ、宮中の午餐会も開かれないことがあるんだって。
宮中で陛下に会見することもあるけど、こっちもマストではないみたいで、要望があって時間が合えば、的なものみたい。
さらに、本当かどうかはわからないけど、ネットで調べると、随行者の滞在費が何人まで認められるかとかそういうところでも差があるみたい。
ちなみに、国ではなく外務省としておもてなしする「外務省賓客」というのもあるそうで、こちらは宮中行事が全く含まれなくなるのだ。

国賓は英語では「state guest」で、まさに国家としての賓客として迎えるんだけど、外交慣例上の接遇様式なので、日本だけで勝手に決めてやっているものではないのだ。
「お互い様」のところがあるので、海外でも似たような形式で接遇することになっているのだ。
日本での運用でいうと、国賓を迎えるのは概ね10年に一度で、10年以内に国賓として遇された経緯のある対象国や元首は国賓として迎えないようにしているのだ。
皇室日程もあるので、年間で国賓待遇で接遇できるのは1~2件に限られるというから、そんなものかな?
そうなると、よほどの長期政権でもない限り、国賓として接遇してもらえるのはほぼ一度きりってことだよね。
その代わり、多少格落ちにはなるけど、公賓とか公式実務訪問賓客として迎えるんだって。
国家元首の場合は公賓で迎えるのは厳しいので、「公式実務訪問賓客」という概念が作られているみたいなのだ。

東京では国賓を迎えるに当たって、JRや地下鉄の駅で自動販売機やコインロッカーが使えなくなったり、首都高が交通制限をしたりと、けっこう不便な点も多いんだよね・・・。
都心部ではいろんなところで警官が警護にあたっているし。
これも首都の運命なのかな。

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