2024/06/22

宣言はしません。

 東京の梅雨入りが遅れているのだ。
天候的にはそれっぽいような、そうでもないような。
で、どういう判断基準で梅雨入りしたかどうかを決めているか調べてみたんだよね。
衝撃の結果が!
次回、梅雨入りはディナーの後で、というのはウソで、単純に言うと、「判断基準はない」というのが気象庁の正式な回答。

そもそも、気象庁は梅雨入りの時期を推定しているだけで、「宣言」はしていないのだ。
よくよく報道を正しく聞いてみると「梅雨入りしたとみられる」と発表しているだけ。
かつ、実は事後に実際の天候の移り変わりから日付を確定し、記録に残しているというのだ。
なので、報道で「今年は昨年より1週間ほど遅い梅雨入り」とか言っていても、比べているものが違うんだよ。
今年のは推定の日付、昨年のは確定の日付。

気象庁によれば、「梅雨」を「晩春から夏にかけて雨や曇りの日が現れる現象、またはその期間」と定義しているのだ。
これがすごいのは、この時期に話題になる梅雨前線は定義上は関係ないということ。
あくまでも特定の時期に雨天・曇天が続くことを指しているんだよ。
つまり、梅雨前線が関係ない雨(例えば台風による影響の雨)が続くと、梅雨が明けないらしいのだ!
逆に言うと、こういう定義なので、あるときまでは晴天が続いていたけど、どこかのタイミングで雨天や曇天が続くようになると「梅雨入り」になるわけ。
実際には、すっきりとクリアカットで線が引けるわけでもなく、「移り変わり」と呼ばれる期間が5日間ほどあって、その中日を「梅雨入り」の日とするんだそうだよ。

気象庁では、週間天気予報でそういう傾向が強く見えてくると「梅雨入りしたとみられる」と発表するのだけど、先日したように、実際の天候を踏まえて後で確定させて記録に残すのだ。
かつては気象庁も桜の開花と同じように「宣言」という形で発表していたんだけど、梅雨入り当日が晴天になったりすることもあってクレームが来たそうで、一切発表をやめたらしいんだよね。
でも、そうすると、今度は何で発表しないんだ、とたたかれたので、今のように「みられる」という推定の発表をするようにしたんだとか。

ここ10年の関東甲信地方の梅雨入り時期を見てみると、ほとんどが6月第1週、遅くても6月中旬までには梅雨入り。
過去30年の平均である「平年値」では6月7日なので、6月20日を越えているのは珍しく遅いのだ。
ちなみに、気象庁のHPで確認できる範囲(=1951年以降)で、関東甲信越地方の梅雨入りが6月20日以降になっているのは、1967年と2007年だけ。
1967年のときは、梅雨明けはその後割とすぐ後の7月18日なので、1ヶ月なかったのだ。
一方、2007年のときは梅雨明けもずれ込んで8月1日なので、1ヶ月半くらい梅雨が続いたのだ。

報道では、今年の梅雨は期間はそんなに長くないけど、強い雨がざーっと降ることが多い、みたいな予想をしていたけど、どうなんだろう?
雨の総量は農作物に大きく影響する(空梅雨だと不作になりがち)けど、最近は雨の降り方も問題だよね。
あまりにも強く降ると土砂崩れとかにつながるから。
それなりの期間、しとしとと降って、相応の量の降雨がある、というのが理想なんだけどなぁ

2024/06/15

淑女の読み物

 最近の若者は、わりと本を読むらしい。
といっても、ライトノベルが読まれているだけのようだけど・・・。
いわゆる「なろう系」やら「異世界転生もの」が量産されていて、アニメや漫画に展開されてメジャー化していくのだ。
古く言えば、「スレイヤーズ」、その後の世代だと「涼宮ハルヒシリーズ」、最近のだと「転スラ」、「無職転生」、「シャンフロ」、「オーバーロード」とか。
「涼宮ハルヒ」の時代まではプロ作家が書いていたのだけど、最近は小説投稿サイト(「小説家になろう」とか「アルファポリス」など)で素人作家さんが投稿して、人気が出ると書籍化、というぱてーんが増えてきているよね。
こういう形にすると玉石混交だろうけど、編集者が「何が受けるか」をあまり考えなくても、実際に人気のあるコンテンツを見つけられるという利点があるのだ。
携帯小説もそうだけど、けっこう何が受けるかわからないというのはあるんだろうね。
小説としては表現がけっこうメタメタでもストーリーや設定が面白い、キャラクターが魅力的、なんだか読ませる文章で続きが気になる、とかとか。

で、それはまだ理解できるんだけど、いまいちよくわからないのが、なぜか売れ続けている「ハーレクイン・ロマンス」。
こういう言い方をすると愛好者には怒られるかもだけど。
男性であることもあって、ほぼ触れたことはないので、よくわからないんだよね。
岩波文庫並みに本屋の一角を占めていて、売れ筋の書籍の一軍であることは知っているのだけど。
なので、少し調べてみることにしたのだ。

基本的には、ハーレクイン社が出版している主に女性をターゲットとした大衆恋愛小説のペーパーバックが「ハーレクイン・ロマンス」なのだ。
書いているのも女性、読んでいるのも女性で、男性には近寄りがたい雰囲気を持っているのが特徴。
日本では翻訳版が月2回刊行されているらしいけど、それくらい頻繁に出版されるもので、書籍の大量生産・大量消費の代名詞であるペーパーバックの雄なのだ。
っていうか、現在ではぱーぱーバックはもう「ハーレクイン・ロマンス」くらいしか売れないらしい。
かつてはスティーブン・キングのミステリなんかが良く売れたわけだけど、他のコンテンツが充実してくるにしたがってそういう伝統的なペーパーバックは軒並み売れなくなって、「ハーレクイン・ロマンス」だけが残ったようなのだ。
どうも、これは「ハーレクイン・ロマンス」の特徴から来ているらしいことがわかったよ。

先に書いた通り、基本は女性が読む女性作家による大衆恋愛小説。
ヒーローと呼ばれるイケメンや大金持ち(19世紀前半の英国摂政時代の貴族とかアラブの富豪とからしい。)の男性が、ヒロインと呼ばれる主人公の女性と恋に落ち、ハッピーエンドで終わるのだ。
かつ、女性をターゲットにしているので、女性が読んでいて不快になるような展開はまずなくて、浮気とか不倫とかではなくて、あくまでも純粋な恋愛が成就する、というものらしい。
日本ではドロドロした昼ドラが主婦層に好まれていたけど、欧米文化はキリスト教的な価値観もあって、王道のれないがよいらしい。

内容的には3つのシリーズがあって、日常では怒らないようなドラマティックな恋愛の話の「ロマンス」、身近に起こりそうな恋の話の「イマージュ」、情熱的な恋の話の「ディザイア」に分かれるそうで、背表紙もこのシリーズごとに色分けされているみたい。
で、舞台設定でもパターンがいくつかあって、歴史もの(ほとんどは英国摂政時代、日本の異世界転生ものの異世界のほとんどが中世欧州をベースにしているようなものか?)、アラブ王国もの(シークというアラブの王族と恋する話らしい、これはシャムの王様と子供たちの英語家庭教師の恋を描いた「王様と私」みたいなものか?)、現代もの(キャリアウーマンだったり、平凡な女性だったり)がメジャーみたい。
こういう基本的な枠組みの中で、いろんな女性作家が「順列組み合わせ」のような定型パターン・エピソードをつなぎ合わせてハッピーエンドになるれ内を描くようなのだ。
逆に言うと、こういう基本コンセプトがあるからこそ、どんどん大量に刊行できるわけだよね。

正直、これだけ聞くと、「そんな小説を読んで面白いのか?」と思うわけだけど、実はそうではないらしい。
これは、ターゲットである女性読者がその読書体験で何を求めているか、ということにつなげっているのだ。
基本的には、読書体験では、まだ見ぬ世界を知って知識が広がったり、登場人物に感情移入して喜怒哀楽を疑似体験したりするわけだけど、どうも女性の読書体験は後者、感情移入の方に重きが置かれるらしいんだよね。
女性は教官を求める、と言われているのと同じ。
逆に男性は理屈っぽく知識を求める傾向にあると言われ、自己啓発本みたいなやつはほとんどが男性読者なんだそうで。

そうなると、女性読者としては、読書を通じて疑似恋愛を体験して、ドキドキしたい、ワクワクしたい、と思っているわけだ。
でも、個人個人で趣味嗜好がことなるから、せっかくなら現実では味わえないようなラブ・ロマンスを求める人もいれば、実際には体験できていない日常の中でも起こり得そうな恋愛を求める人もいるのだよね。
で、自治はそのほとんどすべてのパターンがそこにはあるのだ!
つまり、読者にしてみれば、自分がどの疑似恋愛体験をしたいのかを探りながらいろんな作品を読んでいくことになるよ。
これが数多くの作品を次々と打ち出して読者をひきつけてやまないコツ。
最初はこういうのが好き、と思っていても、読んでみたら別のジャンルもよかった、みたいなのもあるし、一度はまればどんどん手に取るのだ。
こう考えると、なんだか「なぜ売れているのか」がわかった気がするよね。
ボクは恋愛小説はあまり好みでないので読まないけど(笑)

2024/06/08

丸善にしかける

 地味に好きなお菓子がある。
それはレモンケーキ。
甘酸っぱくて、懐かしい味。
子供の時に最初に食べたのは近所のケーキ屋さんのやつ。
大人になってからは主にコンビニやスーパーで買える山崎のレモナック。
時々百貨店で高級なやつを買うとぜいたくな気分になる。

そんなレモンケーキ。
発祥は大正時代だそう。
広島県の物産陳列館(被爆後に「原爆ドーム」になった建物)で大正8年(1919年)3月に開催された「似島獨逸俘虜技術工藝品展覧會」の菓子即売所で、日本初のバウムクーヘン(ユーハイムのもの)とともにレモンケーキが販売され、大好評を得たのだとか。
この時のレモンケーキは今のような紡錘形でコーティングされたものではなく、レモンピールなどで風味をつけた生地をパウンドケーキ型で焼いて、上部にアイシングしてからカットしたものだったみたい。
当時の広島県内では一大ブームで、御使い物や仏壇に供える菓子と言えばこれ、というくらいになったとか。
それが全国に広まっていったらしいけど、そこまでメジャーにはならなかったのだ。

転機が訪れたのは戦後になってから。
葛飾区にある製菓・製パン用型製品を作っている千代田金属工業が、レモンをかたどった紡錘形の型を作ったのだ。
これまではサクで焼いてカットしていたわけだけど、フィナンシェなどの焼き菓子のように、最初から一つ一つ紡錘形の焼き菓子ができるのだ。
これにレモン風味のホワイトチョコレートでコーティングすると、現在一般的に認知されているようなレモンケーキになるわけ。
これが昭和40年代から50年代にかけて一大ブームになり、全国メジャーなお菓子になったわけ。

まだこのころだとあまりにもしつこいバターの風味は苦手な人が多いだろうし、少し酸味があってさっぱりしているほど良い甘さが受けたのかも。
フォルムもかわいらしいしね。
焼き菓子なので生ケーキより日持ちするので「おもたせ」なんかにもできる点もよかったのだ。
で、その後は「ちょっと懐かしいお菓子」程度になっていくんだけど、最近またブームが来ているようなのだ。
平成の後期くらいからだけど、レモン風味のお菓子が流行ってから、伝統的(?)なタイプにひと手間加えたものが出て来るんだよね。
中にレモンマーマレードを入れてみたり、レモンピールをお目にしてよりレモン風味を出したり。
これらが高級路線のレモンケーキなのだ。

でも、ちょっと気になるのは、なぜ広島発祥なのか?
そう、我が国ではレモン栽培は広島が全国一なんだよね!
というのも、レモンの木は寒さに弱く、国内で栽培できる個所は限られるのだとか。
その一大産地が広島県の瀬戸内海沿岸部なんだよね。
レモン自体が日本に伝わったのが明治6年(1873年)、広島県で最初に植えられたのが明治31年(1897年)と言われているよ。
最初は買ってきたネーブルの苗木の中にレモンが混ざっていて、間違って植えたらしい・・・。
で、レモンの実がなるのだけど、どうやって食べたらよいのかわからないので、港に寄港する船乗りたちに聞いたりしていたのだとか。
そういう背景があって、レモン味のものが広島の名物になったのわけなのだ。

2024/06/01

がる

 実際の会話ではあまり使うことがないけど、ネットなんかでは良く見る表現、「イキる」、「イキり」。
(ネガティブな意味で)格好をつけている、調子に乗っている、虚勢を張っているなどの意味。
不良やチンピラがオラついて絡んでくる様子がまさに「イキって」いる状態だよね。
そういう時に限って、こういう人の方から「イキって」じゃねぇぞ、と言われるわけだけど。

「イキ」は「粋」又は「意気」で、「いきがる」の「が」が抜けた口語表現ではないかと考えられているらしい。
接尾語の「がる」は、形容詞又は形容動詞の語幹や名詞にくっついて、そのように振る舞う、そのようはふりをする、という意味を持たせる言葉。
「強がる」とか「賢がる」とかの「がる」で、本来はそうでないのにそのように見せている的なネガティブなニュアンスを持っているのだ。
で、「粋」にくっつけば、「粋」なふりをする、「粋」であるかのように振る舞う、ということになるよね。

もともと江戸時代で使われていた「粋」という概念はざっくりという今の「cool」と同じでなんかかっこいい、というイメージ。
なので、「いきがってんじねぇ」という場合は、かっこうつけているんじゃねぇ、ということになつよね。
おそらくこれがもともとの意味なんだと思うけど、これが「イキる」になっていく過程で、便利な言葉として様々なシチュエーションで使われていくことで、広がりを持った意味になっていくのだ。
ええかっこしい・かっこうつけている=>調子に乗っている/虚勢を張っている、的な。

ネットとの相性が良いのは、匿名性の高い場においては、自らの本質を隠してなんでもかんでも「盛れる」ので、まさに「イキっ」た人が数多くいる、ということなんだろうね。
少しでもぼろを出したり、あまりにも見え透いた虚勢であれば「イキり」認定されるわけ。
有名な2ちゃんのコピペでこんなのがあるけど、最後まで「イキっ」ていて清々しく、ほほえましいのだ。

33 風吹けば名無し 2016/06/22(水) 12:46:30.27 ID:ISNFTZMe0
まーたしょうもない人生送ってるやつが成功者を叩いてるのか

45 風吹けば名無し 2016/06/22(水) 12:48:16.70 ID:Y8g+JM3E0
>>33
税理士一発合格、早稲田卒、身長182、都内85階タワマン住みがしょうもない人生なんですか・・・(唖然)

73 風吹けば名無し 2016/06/22(水) 12:50:56.00 ID:+61AL8Z50
>>45
東京都内に85階建てのマンションなどない
今建設中の新宿の60階が東京の最高層だ

109 風吹けば名無し 2016/06/22(水) 12:53:53.53 ID:Y8g+JM3E0
>>73
お前が知らないだけだろにわか
俺が言ったのは海外の都内マンションの事。海外住みだからね
日本住みなんていついった?にわか


ちなみに、「生きる」は同音異義語だけど、「イキる」とは活用が違うんだよね。
「生きる」は上一段活用、「イキる」は五段活用。
否定の助動詞の「ない」に接続させるために未然形にすると一目瞭然で、「生き・ない」と「イキら・ない」に分かれるのだ。
なので、文脈を組まずとも音声だけでも区別することができるのだ。
ま、あんまり「生きる」と「イキる」が混同されるような場面は想定されないけど。
アンジャッシュかなんかがコントにしてくれればおもしろいけどね。
世界の黒澤も「イキる」の方で映画を撮っていたらだめだったかも。