2025/11/29

いつもここから

 最近、仕事で日本橋方面に行くことがあるのだけど、地味に熱い。
っていうか、三井不動産はしっかり都市開発しているイメージがある。
日本で最高層のビルも建築中だし。
一部は「三井のすずちゃん」のCMでも紹介されていたけど、三井不動産の肝いりで、日本橋地区に産業集積を作ろうとしているんだよね。
最初にできたのはLINK-Jというライフサイエンス系の企業・ベンチャーのネットワーク組織。
同じような枠組みで、2番目が宇宙のCROSS-U、三番目でできたばかりのが半導体の半導体のRISE-A
もともと日本橋には製薬系企業やベンチャーが集まっていたいうのもあってLINK-Jができたんだと思うけど、これが成功したからほかの分野もってことなんだろうなぁ。
で、実は日本橋という街は、江戸時代からイノベーションの中心地でもあったんだよね。


日本橋には「三越前」というすごい名前の地下鉄駅があるわけだけど、「三越」こと「三井越後屋」は日本で生まれた最初の百貨店。
もともとは呉服屋だったわけだけど、そのビジネススタイルはすでに江戸時代でイノベーションだったのだ。
有名なのは、
①店前現銀売(従来は通門を聞いてから商品を届けるか、買ってほしい商品を屋敷まで売りに行くスタイル、店頭に商品を並べてそれをその場で売買するのは三越から!)
②現銀掛値無(その当時は値引き交渉がある前提で高めの売値を提示して、とやっていたのだけど、それをやめて定価販売に徹した、というのは世界初)
③切り売り可(呉服屋では一反単位でしか売り買いしていなかったのだけど、顧客の需要に応じて反物を切り売り、これにより一反まるまる変えない顧客を開拓)
といったもの。

すでに江戸商いにイノベーションを起こしていたわけだけど、御一新後は、フランスの老舗百貨店であるラファイエットを参考に、呉服屋をベースに日本式の百貨店を展開。
商品カタログを作る、セールを告知するポスターを作る、電話による通信販売をするなど、今の業態の基本を次々と始めたのだ。
この開拓精神が現代にもつながっているんだよね。
最初の商社の一つである三井物産も、海外の輸入人を待っているだけじゃなく、自分で探してきて商品にするっていう思想から創設されているようだし。
で、アジアで最初、世界で三番目の地下鉄である銀座線ができるときは巨額を投じて日本橋三越の目の前に駅を作ったわけなのだ。

でも、日本橋がすごいのは三井だけではないんだよね。
もともと幕府の金座(金貨である小判・大判をつかさどる公的機関)は今の日銀のあたりに置かれていて、明治期以降も日本橋が金融の中心になるのだ。
一万絵札の顔である澁澤榮一翁の尽力で第一国立銀行ができたのはまさにそこ(本石町)。
その後、東京証券取引所の前身である東京株式取引所がつくられたのも日本橋(兜町)。
で、前島密さんが欧州の精度を参考に郵便事業を始めたのも日本橋で、今の日本橋郵便局の地が郵便発祥の地なのだ。

そのほか、中央区観光協会によれば、
(1)商品券(出汁でおなじみのにんべんが江戸末期に考案)
(2)人力車(最初の営業許可は日本橋)
(3)お子様ランチ(日本橋三越の食堂で「御子様洋食」として開発されたメニュー)
(4)ハヤシライス(丸善の創始者・早矢仕有的が考案)
(5)親子丼(人形町の軍鶏鍋の老舗「玉ひで」が鍋の最後に割り下に溶き卵と卵を入れて食べている客を見て考案)
(6)甘納豆(和菓子の老舗榮太郎が考案)
(7)稲荷寿司(人形町の志乃多寿司の初代店主が考案)
(8)味付海苔(明治天皇京都行幸のお土産として山本海苔店が開発)
などなど。
どれも江戸から明治にかけて開発されたもので、当時としてはしゃれた、時代の最先端を行くものだったはずなのだ。
ちなみに、高級フルーツの千疋屋も日本橋発祥で、もともとは江戸の町に発達していた水運を使って産地から仕入れた新鮮な野菜や果物を売る店としてできたらしい。
これも流通革命と言えばイノベーションなのだ。

今では銀座の方がおしゃれな街感を醸し出しているけど、銀座の街は御一新後すぐの二度の大火事で焼け野原になった後に開発されたのだ。
新橋に鉄道が通った後、日本橋と新橋をつなぐ場所に屋kの腹があったので、そこに最先端の街区を整備したイメージ。
もともと築地明石町に外国人居留地があったこともあって、洋風の赤レンガの街ができ、そこに当時は最先端のガス灯がともるのだ。
銀座の街が碁盤の目のように道が縦横に整備されているのは人工的に開発した街だから。
今ではそんなイメージはないけど、江戸城が立つ前は日比谷公園のあたりに海岸線があって、日比谷入江と呼ばれていて、江戸時代に徐々に埋め立てをしていって銀座や築地ができるのだ。
そういう意味ではウォーターフロントでもあって、江戸時代を通じて東日本の経済・金融の中心地であった日本橋から地続きで発展していった街でもあるんだよね。
横浜のみなとみらいや東京の晴海・有明のようなものだったのだ。

2025/11/22

栄養のかたまり

 どこにそんなに住んでいたのか、というほどクマが出てきているのだ。
どうも、今年は山の中に餌が少ないらしく、街中にまで出てきて探している、ということらしい。
でも、いざやあを降りてみれば、そこそこ食べ物もあるわけで。
クマの冬眠は両生類や爬虫類が仮死状態になるような冬眠とは違って、単純に代謝を極限まで落として寝ている冬ごもりの状態なので、十分い餌があればしなくてもよいんだよね。
極域にいるホッキョククマ(シロクマ)は冬眠しないわけだし。
で、一度町まで出て餌があることがわかると冬眠せずにずっと出てくるのではないか、みたいなことを言っている人もいるよ。
そうなると大変だ。

では、クマは冬眠の前に何を食べているのか?
まず重要なのは、ドングリなどの木の実。
クマは冬眠前にできるだけ皮下脂肪を蓄え、それを超低燃費で消費しながら春を待つのだ。
で、このときの餌集めで重要なのは、最終のコストはあまり高くなく、栄養価は高いこと。
実は、縄文人も採集生活の時はたくさんドングリを食べていたように、森林に拾いに行けば栄養価の高い木の実が手に入るという点でドングリは非常に優秀なんだよね。
その主成分は炭水化物(デンプン)や脂質。
適度にタンパク質やビタミン、ミネラルもあるようなのだ。
人間が食べる場合はあく抜きが大変だけど、健康食品業界では、ドングリは栄養価の高いスーパーフード扱いらしいよ。

なぜ栄養価が高いかというと、乾燥していて(=水分含有量が少なくて)エネルギー密度が高い食べ物だから。
単純に100gあたりのカロリーを比較してみるとわかるんだけど、
 ①スイカ        40kcal
 ②うどん(ゆで後)   100~130kcal
 ③ごはん(炊飯後)   170kcal
 ④食パン        250kcal
 ⑤ドングリ(シイの実) 240kcal
となっていて、ドングリは食パンに並んでグラム数当たりの熱量が大きいのだ。
ゆで前の乾麺のうどんや炊飯前の精白米はともに100gあたり350kcalくらいなので、デンプンなり脂質なりのカロリーのあるものの濃度の問題なんだよね(からっからの乾パンに至っては100gあたり400kcalくらいあるのだ!)。
いくら甘く感じても水っぽいスイカはカロリーが低く、水分量が減っていって相対的にデンプンや脂質の重量比が上がるとカロリーは高くなるのだ。
ま、当たり前だけど。

これに、最終が簡単というのもポイントが高いのだ。
クマは肉も食べるけど、肉を食べようとすれば借りが必要なわけで。
そうなるとけっこう体を動かさないといけないわけだけど、ドングリは拾うだけだからね。
短期間でとにかく栄養を取ろうと思うと極めてコスパの高い食料ではあるのだ。
でも、競合相手として、リスやネズミのようなげっ歯類なんかもいるので、ドングリが不作になってしまうと、冬眠前に十分な皮下脂肪が貯められなくなってしまうよ。
川沿いだと、遡上してきたサケというのも重要な栄養源で、日本では、ちょうど9~12月の増量期に「カモがネギしょった状態」で遡上してくるのだ。
産卵行動を終えたサケは力尽きてぷかぷか川に浮かんでいるけど、おいしいかどうかは別として(遡上してきた紗枝は脂が落ちに落ちていて食べてもおそらくおいしくない。)、超簡単に手に入るたんぱく源ではあるんだよね。
こっちも肉食の鳥だとかヤマネコのような競合相手はいるけど。

こういう冬眠前の食べだめ食料が不足すると、次の食料を探しに山を下りてくるのだ。
ちょっと前までは、里山の栗とか柿に手を出す程度なのでそこまで人と接触することはなかったわけだけど、さらに食料不足が深刻になると、人間がいようが構わずにさらに街中まで入ってきてしまうわけだね。
今がその状況。
で、襲われる人も出てきているのだけど、もっと怖いのは、こういう山を下りてきているようなクマは、山での餌の取り合いに勝てなかった、比較的弱いクマだということ。
つまり、山の中にはもっと強いクマがまだいるのだ・・・。

下手に餌を上げるのもよくないし、やっぱりある程度間引きして適正な生息数に落ち着けないと共存は蒸すかしいんだろうなぁ。
シカが増えすぎて餌がそっちに取られているんじゃないか、みたいな話もあるし、都市部周辺の山間部の生体全体を適正に管理しなくちゃダメなんだろうなぁ。
そういう点では、かつての日本の「里山」というのはわりとよくできたシステムだったんだと思うよ。

2025/11/15

リスクを取ってうまさを追求する?

 夏場に雨が多かったので、今年はマツタケが豊作なんだって。
で、全く同じ理由で、毒キノコも豊作。
例年、キノコ狩りであやまって毒キノコを食べて、というニュースが出るけど、今年は増えるかもしれないと言われているのだ。
で、毒キノコ誤食事案でもっとも多いのはツキヨタケ。
茶色い、キノコっぽいキノコなんだけど、見た目がシイタケやヒラタケに似ていて、いかにも食べられそうなんだよね。
でも、このキノコにはイルジンという毒成分が含まれていて、かなり激しめの下痢や嘔吐の症状が出るのだ。
死亡例の報告は少ないらしいけど、なかなかきつそうだよね。

で、ツキヨタケはまさに見間違いで食べてしまいそうになる、一見なんの変哲もないキノコだけど、見た目から明らかに毒キノコ然としているのもいるのだ。
その代表例は紅テングタケ。
白い斑点のある赤いかさ。
まさに絵にかいたような毒キノコ(笑)
見てすぐに毒っぽいなと分かるので間違って食べることはまずないけど、なぜか食べる人がいるのだ。
それは・・・。

おいしいらしい!
ベニテングタケの毒成分のひとつ、イボテン酸はアミノ酸の一種で、強いうまみを示すそうなのだ。
生体内ではグラミンさん受容体やアスパラギン酸受容体に作用するようだけど、コンブのうまみの主成分がグルタミン酸なので、まさに味蕾においても同じように作用するようなのだ。
カエンタケやツキヨタケ、ドクツルタケのような食べたら死ぬようなはがしい毒ではないこともあり、このうまみのために少量食べようとする勢力がいるらしい。
で、食べ過ぎちゃうと中毒症状が出るのだ。
それとは別に、似てから塩漬けにすると毒をかなり弱められるので、食糧難の時には食べていた、という地域もあるみたい。

ベニテングタケには、イボテン酸の代謝物(脱炭酸)で、やはり毒成分のムッシモールというのも含まれていて、この二つが複雑に絡み合って中毒症状を起こすのだ。
イボテン酸は血液脳関門(非常に密な血管内皮細胞の壁にy理限られた化合物しか脳内に侵入できない)を越えられないので、末端のアスパラギン酸受容体に作用するんだけど、これは興奮作用を起こすもの。
興奮、せん妄、けいれんなどにつながるのだ。
一方で、炭酸がとれたムッシモールは血液脳関門を越えて脳内に侵入できるんだけど、脳の中ではγアミノ酪酸(GABA)受容体に作用するのだ。
こっちは抑制系で、眠気、不快感、めまいなどが起こるよ。
で、この二つが同時に起こってしまうのだけど、成人ではムッシモールの方の抑制系の症状が強く出て、子供ではイボテン酸の興奮系の症状が強く出ると胃荒れているよ。
頭はもうろうとしてくるけど肉体は興奮状態にあるという不思議な状況になるわけだけど、この特性から、古代からシャーマニズムの儀式に使われたりしていたらしい。
則子宮の毒ではないというのがポイントだね。


さらに、ベニテングタケにはムスカリンという毒成分も含まれているのだ。
これはアセチルコリン受容体に作用するのだけど、やはり血液脳関門を越えられないので、末梢で興奮状態を引き起こすのだ。
副交感神経が刺激されて、発汗、縮瞳、血圧上昇などの症状が出てくるのだけど、心臓発作や呼吸困難につながるので危ない奴なのだ。
オウム真理教の地下鉄サリン事件でつくぁれた神経毒ガスのサリンは同じ作用を持つものだけど、ひどいとああいう状況にもなりかねないわけだ。
ベニテングタケの場合は微量にしか含まれないので、こっちの症状がメインになることはないようだけど。

というわけで、こうやって調べてみると、本当においしいならちょttくらいかじってみても、という気になってしまうな(笑)
でも、うまみ成分はあるがそこまで強くない、とかいう報告もあるようなので、あえてリスクはとらなくても、という気もする。
今はマイタケのようなうまみ成分(グアニル酸)が強いキノコがスーパーで売ってるしね。
ちなみに、天然のマイタケは、見つけると米を踊って喜ぶほどおいしい、というところから来ているらしいから、うまいキノコならそっちがノーリスク・ハイリターンだ。

2025/11/08

木を喰らふ

 わりと有名な雑学として、シロアリはアリではなくゴキブリの仲間、というのがあるのだ。
アリやハチのような女王を頂点とするコロニーを形成する社会性昆虫の代表選手だけど、「目」レベルで違うんだよね。
ちなみに、哺乳類のアリクイはアリもシロアリも食べるようなのだ。
ゴキクイじゃ動物園で人気でないよね・・・。

さて、そんなシロアリは日本のような木造建築中心の社会では非常に迷惑な害虫。
いつの間にか家がボロボロにされてしまうのだ。
これは、シロアリの仲間がもともと植物遺体を食べる昆虫だから。
そう、木材は樹木の死体を加工したものなんだよね。

シロアリが木材をかじって生活できるのは、セルロースを分解できるから。
このセルロースの分解というのが実は厄介で、多くの動物は自分でセルロースを分解することはできないんだよね。
カタツムリのような会の仲間は自分で消化できるらしいけど、哺乳類の草食動物は共生最近に分解してもらって栄養を取り出しているんだよね。
ウシが反芻するのは効率よく分解してもらうためだし、げっ歯類の中でも草食のハムスターの盲腸が異様に長いのは微生物にセルロースを分解してもらう必要があるから。
で、シロアリの場合も、腸内の共生細菌の力を借りて分解しているんだって。
ただし、シロアリの場合は自分で消化酵素を持っている仲間もいるようだけど。
とはいえ、まずは微生物にセルロースを分化してもらう、というのがメインみたい。

で、日本で困ったちゃんの害虫であるヤマトシロアリは「下等シロアリ」と呼ばれるもので、とにかく大きく強力なあごで硬い木材を細かくかみ砕き、腸の中で微生物にセルロースを分解してもらって栄養を摂取するのだ。
森の中の朽ちであれば問題ないんだけど、街中で木造住宅の柱でそれをやられると困るわけだよね。
人間の一方的な都合でしかないけど。
逆に、森の中では、朽ち木を分解してくれるという重要な役割を担っているのだ。
そもそも、セルロースは化学的にかなり安定なぶっしるで、だからこそ、木造建築だったり紙だったりが歴史の中で残っていくわけだけど、森の中でいつまでもセルロースが分解されずに残っていたら植物の遺体で埋まってしまうわけで。
こういう分解作用は重要だし、分解されたのちは他の植物の肥料になったりもするからね。
自然の摂理の中で必要な存在なのだ。

ちなみに、イエシロアリが「下等シロアリ」とすると、「上等シロアリ」もいるわけ。
国内でいうと、八重山諸島に生息するタイワンシロアリなんかがそう。
このシロアリは賢くて、巣の中でキノコを栽培し、そのキノコを食べているのだ。
そう、農業をするアリなのだ。
下等シロアリがセルロースの分解に協力してもらっている微生物は原生生物(バクテリア)が多いみたいだけど、こっちはキノコ、すなわち真菌であるカビと共生しているのだ。
しかも、体内ではなく、体外で。
そういうアリがいることは知っていたけど、「アリ」ではなくて「シロアリ」だったのか。
やっぱりゴキブリの類の方が賢いのかな?
アリは他のアリの出したg\フェロモンをたどることでえさ場に行きつくだけというけど、ゴキブリは迷路学習も得意だとかいうし。
憎まれっ子世にはばかるだなぁ。

2025/11/01

冬の備えで樹木に巻こう

ついこの間まで夏日・真夏日・猛暑日だったのに、一気に秋めいてきた。
夏が長くなった分、秋が短くなってるなぁ。
冬に突入する時期はあまり変わらないからなんだよね。
そんな冬の備え。
一気に寒くなったから人の衣替えも大変だけど、日本庭園では冬に備えて庭師さんたちが準備をするのだ。

その一つが「こも巻き」。
霜降(10月下旬)のころに松の幹に藁でできたこもをまきつけるのだ。
江戸時代から行われている害虫の駆除法で、松の害虫のマツカレハという蛾の幼虫が冬の間にこのこもの中に潜り込むので、啓蟄(3月上旬)のころにこもをはずし、虫ごと燃やしてしまう(「こも焼き」)、という方法。
このマツカレハの幼虫の毛虫は狭い場所に入って越冬する習性があってそれを利用する、というのだけど・・・。
どうも効果はあやしいらしいのだ。
昔から、この幼虫の天敵となる益虫(サシガメやクモなど)も一緒に殺してしまっているのではないか、たいして毛虫は集められていないのではないか、と疑問に思われていたらしい。
で、21世紀になって科学的に調べてみたところ(兵庫県立大の研究グループが姫路城で行った研究)、

(1) こもを巻くことで益虫に越冬場所を提供し、益虫を増やす効果あり
(2) 一方で、昔から言われているように害虫防除効果がわずか
(3) こもをはずす際に幹を点検する作業が松のメンテナンス上は非常に重要
(4) こもを巻いて中にいる昆虫の種類を調べること自体は外注・益虫モニタリングの手法として有効

といった結果が出たらしい。
なので、今では害虫駆除目的でこも巻きをしなくなっているところもあるとか。
とはいえ、江戸時代に始まった手法なので、経験則的にメリットがあったはずで、気候や風土の違いが影響するのかも、とは思うんだよね。
寒さが厳しい、或いは、そこまで厳しくない地域では有効とか、雪の量の多寡で効果が変わるとか。

これと似たような見た目のものに「冬囲い」というのがあるんだよね。
こちらは松以外も含めて庭木などの樹木を積雪や冷機から保護する目的で幹にこもやむしろを巻き付けるもの。
特に積雪多い寒い地方で行われるものなのだ。
豪雪地帯だと雪の重みで幹や枝が折れたり、乾燥した冷たい風が幹や枝の表面が傷んだりするのを防ぐのだ。
そう、人間が防寒具を切るのと同じだね。

この「冬囲い」と同じように、冬に備えての準備となっているのが「雪吊」。
雪の重みで得蛾が折れないように、木の上にテントを張るような感じで縄を張るのだ。
広く張った枝はそのまま雪を受け止めてしまうけど、縄を張ることで角度をつけて雪が高く積もらないように工夫するわけだよね。
「冬囲い」も「雪吊」も金沢の兼六園が有名で、やはり雪深い北国の代表的な大名庭園を麺テンスしていくうえで洗練された技術用のようなのだ。
どこまで必要かは別として、都内の大名庭園(駒込の六義園や江戸川橋の肥後細川庭園など)で見られるよ。

これらは特徴的あ見た目もあって、秋の風物詩にもなっているんだよね。
これらの作業が始まると秋から冬に移っていくんだなぁ、と感じるわけ。
日本庭園の秋の楽しみは紅葉もあるけど、こっちもぜひ感じてみてほしいものなのだ。